JP2019077604A - ガラス容器およびガラス容器のワンプレス製造方法 - Google Patents

ガラス容器およびガラス容器のワンプレス製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】縁部を備えた口部の底面に複数の凹部を有するガラス容器、およびそのようなガラス容器を歩留まりよく製造することができるガラス容器のワンプレス製造方法を提供する。【解決手段】縁部を備えた口部と、胴部と、を有するガラス容器およびそのようなガラス容器のワンプレス製造方法であって、縁部を備えた口部の底面に複数の凹部を有し、たとえば、凹部の個数を2〜4個の範囲内の値とするとともに、縁部の厚さを2〜4mmの範囲内の値とすることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、縁部を備えた口部の底面に複数の凹部を有するガラス容器、およびそのようなガラス容器のワンプレス製造方法に関する。
従来、パウダーファンデーションやフェイスパウダーといった粉状の化粧料を固めた固形化粧料は、プラスチック製あるいは紙製の容器に収容されるのが一般的である。
プラスチック製あるいは紙製の容器であれば、複数の収容部を形成することが容易であることから、複数種の固形化粧料を一つの容器内に並べて収容することができ、化粧をする際の使用性に優れるという利点がある(例えば、特許文献1参照)。
すなわち、特許文献1には、図32(a)〜(c)に示すように、化粧料が充填される凹状の収納部415を有する化粧料容器410であって、収納部415の壁面417を形成する貫通穴414が設けられた本体部411と、貫通穴414を塞ぐように本体部411の下面に固定されて、収納部415の底面を形成する底部418と、を備え、本体部411は、収納部415の壁面417を化粧料と咬み合う多孔面状に形成しかつ、該本体部411の外側から該収納部415の側へ伝わる衝撃を緩和する発泡体で構成される、化粧料容器410が開示されている。
他方、複数種の固形化粧料を収容するための容器に関するものではないが、特許文献2には、高級感を備えた肉厚のガラス容器の製造方法として、ゴブと称される溶融ガラスを充填した仕上げ型内に、プランジャーを挿入して仕上げ形状のガラス容器を成形するプレス工程と、この仕上げ形状のガラス容器を冷却用金型に移動して、冷却用金型の内部に送風される冷却エアー、および仕上げ形状のガラス容器の内部に送風される冷却エアーで、仕上げ形状のガラス容器の外周面および内周面をそれぞれ強制的に冷却する冷却工程と、からなるワンプレス製瓶方法が開示されている。
すなわち、図33に示すように、仕上げ形状のガラス容器510の内部に送風される冷却エアー512と、冷却用金型500の内部に送風される冷却エアー514とを併用して、仕上げ形状のガラス容器510の内周面および外周面をそれぞれ強制的に冷却するワンプレス製瓶方法が開示されている。
特開2011−19649号公報(特許請求の範囲等) 特開2000−211930号公報(特許請求の範囲等)
しかしながら、特許文献1に記載の化粧料容器は、デザイン性や高級感が不十分であるため、その点において需要者の要求を十分に満たすことができないという問題が見られた。
一方、特許文献2に記載のワンプレス製瓶方法を用いて、複数の収容部を有するガラス容器を製造した場合、複数の収容部間の仕切り部分に歪みが生じたり、口部における縁の部分(以下、「縁部」と称する。)や仕切り部分に欠点が生じたりして、所望のガラス容器を安定的に製造することが困難になるという問題が見られた。
そこで、本発明の発明者らは、上述した問題に鑑み鋭意検討したところ、ワンプレス製造工程において、ゴブの温度およびプランジャーの温度をそれぞれ所定の範囲に調節することにより、縁部を備えた口部の底面に複数の凹部を形成した場合であっても、歪みや欠点の発生を効果的に抑制できることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の目的は、縁部を備えた口部の底面に複数の凹部を有するガラス容器、およびそのようなガラス容器を歩留まりよく製造することができるガラス容器のワンプレス製造方法を提供することにある。
本発明のガラス容器によれば、縁部を備えた口部と、胴部と、を有するガラス容器であって、縁部を備えた口部の底面に複数の凹部を有することを特徴とするガラス容器が提供され、上述した問題を解決することができる。
すなわち、本発明のガラス容器であれば、複数の凹部を有することから、複数のパウダーファンデーションやフェイスパウダー等の固形化粧料を並べて収容することができ、化粧をする際の使用性を効果的に向上させることができる。
また、複数の凹部が、縁部を備えた口部の底面に形成されていることから、複数の凹部に収容された固形化粧料が直接的に風に当たって粉飛びが発生することを防止することができる。
また、フィルムを縁部の内側に落とし込むことにより、蓋を閉めた状態での容器内における粉飛びの発生についても容易に抑制することができる。
また、本発明の容器はガラス製であることから、外観形状を比較的自由に設計することができるため、デザイン性に優れるばかりか、適度な重量感があり質感もよいため、プラスチック容器等にはない高級感を醸し出すことができる。
また、本発明のガラス容器を構成するにあたり、凹部の個数を2〜4個の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、複数の凹部間の仕切り部分における歪み、および縁部や仕切り部分における欠点の発生を効果的に抑制しつつ、使用性およびデザイン性をさらに向上させることができる。
また、本発明のガラス容器を構成するにあたり、縁部の厚さを2〜4mmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、縁部における欠点の発生を効果的に抑制しつつ、使用性およびデザイン性をさらに向上させることができる。
また、本発明のガラス容器を構成するにあたり、縁部の高さを2〜12.5mmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、縁部における欠点の発生を効果的に抑制しつつ、使用性およびデザイン性をさらに向上させることができる。
また、本発明のガラス容器を構成するにあたり、隣り合う複数の凹部間の仕切り部分の最薄部における厚さを2〜4.5mmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、仕切り部分における歪み、および縁部や仕切り部分における欠点の発生を効果的に抑制しつつ、使用性およびデザイン性をさらに向上させることができる。
また、本発明のガラス容器を構成するにあたり、凹部の深さを7.5〜16mmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、仕切り部分における歪み、および縁部や仕切り部分における欠点の発生を効果的に抑制しつつ、使用性およびデザイン性をさらに向上させることができる。
また、本発明のガラス容器を構成するにあたり、口部側から眺めた場合に、口部の開口面積に対する複数の凹部の開口面積の合計の割合を50〜93%の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、複数の凹部間の仕切り部分における歪み、および縁部や仕切り部分における欠点の発生を効果的に抑制しつつ、使用性およびデザイン性をさらに向上させることができる。
また、本発明の別の態様は、上述したガラス容器のワンプレス製造方法であって、下記工程(A)〜(E)を含むことを特徴とするガラス容器のワンプレス製造方法である。
(A)ファンネルを、成形型に対して嵌合させた後、当該ファンネルを介して成形型内に1090〜1150℃のゴブを投入する工程
(B)成形型からファンネルを取り外した後、バッフルを成形型に対して嵌合させる工程
(C)成形面部分に複数の凸面部を有するプランジャーにおける成形面部分の温度を270〜370℃の範囲内の値に調節した後、プランジャーを、バッフルが嵌合された側の反対側から成形型内に挿入してゴブをプレスすることにより、ゴブから仕上げ形状のガラス容器を成形する工程
(D)プランジャーを、仕上げ形状のガラス容器から引き抜く工程
(E)仕上げ形状のガラス容器を、冷却用金型に移送し、冷却する工程
すなわち、本発明のガラス容器のワンプレス製造方法であれば、ゴブの温度およびプランジャーの温度をそれぞれ所定の範囲に調節していることから、複数の凹部間の仕切り部分における歪み、および縁部や仕切り部分における欠点の発生を効果的に抑制して、歩留まりよく所定のガラス容器を製造することができる。
また、本発明のガラス容器のワンプレス製造方法を実施するにあたり、工程(A)におけるゴブの温度から工程(C)における成形面部分の温度を引いた差の値を740〜810℃の範囲内の値とすることが好ましい。
このように実施することにより、仕切り部分における歪み、および縁部や仕切り部分における欠点の発生を、さらに効果的に抑制することができる。
また、本発明のガラス容器のワンプレス製造方法を実施するにあたり、工程(C)において、成形面部分の内周面に対し、冷却エアーを吹き付けて冷却することが好ましい。
このように実施することにより、仕切り部分における歪みを、さらに効果的に抑制することができる。
また、本発明のガラス容器のワンプレス製造方法を実施するにあたり、工程(C)において、成形面部分の外周面に対し、冷却エアーを吹き付けて冷却することが好ましい。
このように実施することにより、仕切り部分における歪みを、さらに効果的に抑制することができる。
図1(a)〜(b)は、本発明のガラス容器を説明するために供する平面図及び側面図である(その1)。 図2は、仕切り部分における歪み、並びに、縁部や仕切り部分における欠点を説明するために供する図である。 図3(a)〜(b)は、本発明の別のガラス容器を説明するために供する平面図及び側面図である(その2)。 図4(a)〜(b)は、本発明の別のガラス容器を説明するために供する平面図及び側面図である(その3)。 図5(a)〜(b)は、本発明の別のガラス容器を説明するために供する平面図及び側面図である(その4)。 図6(a)〜(c)は、本発明の別のガラス容器を説明するために供する斜視図、平面図及び側面図である(その5)。 図7(a)〜(b)は、本発明のさらに別のガラス容器を説明するために供する平面図及び側面図である(その6)。 図8(a)〜(b)は、本発明のガラス容器のワンプレス製造方法における工程(A)〜(B)の概要を説明するために供する図である。 図9(a)〜(b)は、本発明のガラス容器のワンプレス製造方法における工程(C)〜(D)の概要を説明するために供する図である。 図10(a)〜(c)は、本発明のガラス容器のワンプレス製造方法における工程(E)の概要を説明するために供する図である。 図11は、ガラス容器のワンプレス製造装置を説明するために供する図である。 図12(a)〜(c)は、成形型を説明するために供する図である。 図13(a)〜(b)は、口型を説明するために供する図である。 図14(a)〜(b)は、ガイドリングを説明するために供する図である。 図15(a)〜(b)は、口型に対するガイドリングの収容形態を説明するために供する図である。 図16(a)〜(b)は、プランジャーを説明するために供する図である。 図17(a)〜(b)は、プランジャーを説明するために供する別の図である。 図18(a)〜(b)は、プランジャーを説明するために供するさらに別の図である。 図19(a)〜(b)は、プランジャーを説明するために供するさらに別の図である。 図20(a)〜(b)は、プランジャーの内部冷却装置を説明するために供する図である。 図21(a)〜(c)は、プランジャーの内部冷却装置を説明するために供する別の図である。 図22は、ブローヘッドを説明するために供する図である。 図23は、冷却用金型について説明するために供する図である。 図24(a)〜(b)は、冷却用金型を構成する底型について説明するために供する図である。 図25(a)〜(b)は、実施例4のガラス容器を示すために供する図である。 図26(a)〜(c)は、比較例1のガラス容器を示すために供する図である。 図27(a)〜(b)は、比較例2のガラス容器を示すために供する図である。 図28(a)〜(b)は、比較例3のガラス容器を示すために供する図である。 図29(a)〜(b)は、比較例4のガラス容器を示すために供する図である。 図30は、比較例4における工程(C)の態様を説明するために供する図である。 図31は、比較例4におけるガイドリングを説明するために供する図である。 図32(a)〜(c)は、従来の化粧料容器を説明するために供する図である。 図33は、従来のワンプレス製瓶方法を説明するために供する図である。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態は、縁部を備えた口部と、胴部と、を有するガラス容器であって、縁部を備えた口部の底面に複数の凹部を有することを特徴とするガラス容器である。
以下、本発明の第1の実施形態を、図面を適宜参照して、具体的に説明する。
1.形状
図1(a)〜(b)に示すように、本発明のガラス容器200は、縁部202aを備えた口部202と、胴部206と、を有するガラス容器200であって、縁部202aを備えた口部202の底面202bに複数の凹部202cを有することを特徴とする。
この理由は、このように構成することにより、複数の凹部202cに収容された固形化粧料が直接的に風に当たって粉飛びが発生することを防止することができるためである。
また、フィルムを縁部202aの内側に落とし込むことにより、蓋を閉めた状態での容器内における粉飛びの発生についても容易に抑制することができる。
なお、図1(a)は、凹部202cを3個有するガラス容器200の平面図であり、図1(b)は、当該ガラス容器200の側面図である。
また、図1(a)に示す縁部202aの厚さL1を2〜4mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる縁部202aの厚さL1が2mm未満の値となると、破損しやすくなったり、使用性およびデザイン性が過度に低下しやすくなったりする場合があるためである。一方、かかる縁部202aの厚さL1が4mmを超えた値となると、縁部202aにおいて欠点が過度に発生しやすくなる場合があるためである。
したがって、縁部202aの厚さL1の下限値を2.3mm以上の値とすることがより好ましく、2.5mm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、縁部202aの厚さL1の上限値を3.1mm以下の値とすることがより好ましく、2.6mm以下の値とすることがさらに好ましい。
なお、縁部202aにおける欠点とは、図2に示すように、ガラスの表面だけでなくガラスの内部にまで達するスジ状の痕である。
また、かかる欠点Bは、その発生個所から判断して成形型の分割線に由来するものではない。
また、このような欠点Bは、仕切り部分202dにも発生する場合もある。
かかる縁部202aや仕切り部分202dにおける欠点Bの発生機構については、第2の実施形態において説明する。
なお、図2は、歪みDおよび欠点Bを有するガラス容器200の斜視図である。
また、図1(b)に示す口部202の底面202bからの縁部202aの高さL2を2〜12.5mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる縁部202aの高さL2が2mm未満の値となると、縁部202aとしての機能を十分に発揮することが困難になって、使用性およびデザイン性が過度に低下する場合があるためである。一方、かかる縁部202aの高さL2が12.5mmを超えた値となると、縁部202aにおいて欠点が過度に発生しやすくなる場合があるためである。
したがって、縁部202aの高さL2の下限値を3mm以上の値とすることがより好ましく、3.5mm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、縁部202aの高さL2の上限値を6.5mm以下の値とすることがより好ましく、4.5mm以下の値とすることがさらに好ましい。
また、縁部202aの平面形状は、特に制限されるものではないが、例えば、円形状、楕円形状、多角形状等とすることが好ましい。
また、縁部202aの側断面形状は、ワンプレス製造方法により形成可能な形状であれば特に制限されるものではないが、複数の凹部202cが形成される底面202bの平面積を広く確保する観点から、図1(b)に示すように、底面202bに対する縁部202aの内壁が起立する角度θ1を80〜87°の範囲内の値とすることが好ましい。
また、図1、3〜5に示すように、凹部202cの個数を2〜4個の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、凹部202cの個数をかかる範囲内の値とすることにより、複数の凹部202cの間の仕切り部分202dにおける歪み、および縁部202aや仕切り部分202dにおける欠点の発生を効果的に抑制しつつ、使用性およびデザイン性を、さらに向上させることができるためである。
但し、複数の凹部202cの間の仕切部分202dにおける歪み、および縁部202aや仕切り部分202dにおける欠点の発生を、より効果的に抑制する観点から、凹部202cの個数の上限値を3個以下の値とすることがより好ましく、2個の値とすることがさらに好ましい。
また、複数の凹部202c間の仕切り部分202dにおける歪みとは、図2に示すように、文字通り、仕切り部分202dが横方向に歪んだり、下方に部分的に沈んだりすることを意味する。
また、かかる仕切り部分202dにおける歪みDの発生機構については、第2の実施形態において説明する。
なお、図3(a)は、凹部202cを2つ有するガラス容器200の平面図であり、図3(b)は、当該ガラス容器200の側面図である。
また、図4(a)は、凹部202cを不均等に2つ有するガラス容器200の平面図であり、図4(b)は、当該ガラス容器200の側面図である。
また、図5(a)は、凹部202cを4つ有するガラス容器200の平面図であり、図5(b)は、当該ガラス容器200の側面図である。
また、図5(a)は、凹部202cを4つ有するガラス容器200の平面図であり、図5(b)は、当該ガラス容器200の側面図である。
また、図6(a)は、一つの仕切り部分202dによって、凹部202cを2つ有する、実質的に円柱状のガラス容器200の立体斜視図であり、図6(b)は、当該ガラス容器200の平面図であり、図6(c)は、当該ガラス容器200の側面図である。
したがって、異なる2種類の化粧品を、2つの凹部202cにそれぞれ収容することもできるし、1種類の化粧品を小分けして2つの凹部202cに収容することもできる。
また、かかる図6(a)〜(c)のガラス容器200は、その縁部202aから、凹部202cの底部に向かって、斜面202eが形成されており、その境界については、便宜上、点線202c´で示してある。しかしながら、実際は、境界線は見えず、斜面202eと、凹部202cの底部と、が連続面を形成している。
そして、かかる斜面202e及びその凹部202cの滑らかな境界を利用して、はけやブラシ等を用いて、ガラス容器200の内部に収容した化粧品を外部に取り出す際の、しごき箇所として使用することができ、所望量の化粧品のみを取り出すことに使うことができる。
更に言えば、はけやブラシ等をその斜面を利用して、短期間であれば、保持することができることから、それらの仮固定場所としても使用できる。
なお、図6(a)〜(b)に示すような斜面202eを有するガラス容器200についても、図6(c)において、点線で示すように、対向する斜面等を先端に有するプランジャーを用い、すなわち、図15(b)に示すプランジャーの先端部をさらに細工して、ワンプレス法にて作成することができる。
また、図7(a)は、十字状の4つの仕切り部分202dによって、凹部202cを4つ有するガラス容器200の平面図であり、図7(b)は、当該ガラス容器200の側面図である。
したがって、異なる4種類の化粧品を4つの凹部202cに収容することもできるし、4つの凹部202cに1種類の化粧品を小分けして収容することもできる。
よって、使用する順番が決まっている化粧品を、4つの凹部202cに、順に収容しておけば、間違えて使用することも少なくなくなると言える。
また、図1(a)〜図7(a)に示す、隣り合う凹部202cの間の仕切り部分202dにおける最薄部の厚さL3を2〜4.5mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる最薄部の厚さL3が2mm未満の値となると、ガラス容器200の使用性およびデザイン性が過度に低下する場合があるためである。一方、かかる最薄部の厚さL3が4.5mmを超えた値となると、仕切り部分202dにおける歪み、および縁部202aや仕切り部分202dにおける欠点が過度に発生しやすくなる場合があるためである。
したがって、隣り合う複数の凹部202cの間の仕切り部分202dの最薄部の厚さL3の下限値を2.15mm以上の値とすることがより好ましく、2.3mm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、隣り合う複数の凹部202cの間の仕切り部分202dの最薄部の厚さL3の上限値を3.5mm以下の値とすることがより好ましく、3mm以下の値とすることがさらに好ましい。
また、図1(b)〜図7(b)に示す凹部202cの深さL4を7.5〜16mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる凹部202cの深さL4が7.5mm未満の値となると、ガラス容器200の使用性およびデザイン性が過度に低下する場合があるためである。一方、かかる凹部202cの深さL4が16mmを超えた値となると、仕切り部分202dにおける歪み、および縁部202aや仕切り部分202dにおける欠点が過度に発生しやすくなる場合があるためである。
したがって、凹部202cの深さL4の下限値を9mm以上の値とすることがより好ましく、11mm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、凹部202cの深さL4の上限値を15mm以下の値とすることがより好ましく、14mm以下の値とすることがさらに好ましい。
また、図1(a)〜図7(b)に示すように、口部202の側から眺めた場合に、口部202の開口面積、すなわち縁部202aの内側の平面積に対する複数の凹部202cの開口面積の合計の割合を50〜93%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる割合が50%未満の値となると、使用性およびデザイン性が過度に低下する場合があるためである。一方、かかる割合が93%を超えた値となると、仕切り部分202dにおける歪み、および縁部202aや仕切り部分202dにおける欠点が過度に発生しやすくなる場合があるためである。
したがって、口部202の開口面積に対する複数の凹部202cの開口面積の合計の割合の下限値を70%以上の値とすることがより好ましく、80%以上の値とすることがさらに好ましい。
また、口部202の開口面積に対する複数の凹部202cの開口面積の合計の割合の上限値を90%以下の値とすることがより好ましく、87%以下の値とすることがさらに好ましい。
また、凹部202cの平面形状は、特に制限されるものではないが、例えば、円形状、楕円形状、多角形状、扇形状、三日月形状とすることが好ましい。
より具体的には、図1、3〜5には、凹部202cの平面形状が、三日月形状、四角形状、円形状のガラス容器200が示してある。
また、凹部202cの断面形状は、ワンプレス製造方法により形成可能な形状であれば特に制限されるものではないが、粉状の化粧料を固めた固形化粧料を安定的に収容する観点から、図1(b)に示すように、底面に対する凹部202cの内壁が起立する角度θ2を80〜87°の範囲内の値とすることが好ましい。
また、図1(a)〜図7(b)に示すように、口部202の最大径L5を20〜60mmの範囲内の値とすることが好ましい。
また、口部202の外側面には、蓋部材と螺合させるためのネジ山を形成してもよい。
また、胴部206の最大径L6は、口部202の最大径L5と同じか、それよりも35〜70mm程大きな値とすることが好ましい。
また、胴部206の形状は特に制限されるものではなく、例えば、円柱形や多角柱とすることが好ましい。
2.材質
また、ガラス容器を構成するガラスの種類についても特に制限されるものではなく、ソーダ石灰ガラス、ホウ珪酸ガラス、鉛ガラス、リン酸塩ガラス、アルミノ珪酸塩ガラス等が挙げられる。
また、ガラス容器を構成するガラスとして、無色透明ガラスを用いることも好ましいが、着色透明ガラスや着色半透明ガラスを用いることも好ましい。
無色透明ガラスを用いた場合には、ガラス容器内に収容する内容物の色を外部から十分に認識させることができるとともに、光の内部反射を利用して、内容物の色をより鮮やかに認識させることができる。
一方、着色透明ガラスや着色半透明ガラスを用いた場合には、光の内部反射を利用して、内容物の色味とガラスの色味との相乗効果により、デザイン性に優れたガラス容器を得ることができる。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態は、第1の実施形態のガラス容器のワンプレス製造方法であって、下記工程(A)〜(E)を含むことを特徴とするガラス容器のワンプレス製造方法である。
(A)ファンネルを、成形型に対して嵌合させた後、当該ファンネルを介して成形型内に1090〜1150℃のゴブを投入する工程
(B)成形型からファンネルを取り外した後、バッフルを成形型に対して嵌合させる工程
(C)成形面部分に複数の凸面部を有するプランジャーにおける成形面部分の温度を270〜370℃の範囲内の値に調節した後、プランジャーを、バッフルが嵌合された側の反対側から成形型内に挿入してゴブをプレスすることにより、ゴブから仕上げ形状のガラス容器を成形する工程
(D)プランジャーを、仕上げ形状のガラス容器から引き抜く工程
(E)仕上げ形状のガラス容器を、冷却用金型に移送し、冷却する工程
以下、本発明の第2の実施形態を、第1の実施形態と異なる点を中心に、図面を参照しつつ、具体的に説明する。
1.ワンプレス製造方法の概要
本発明のガラス容器のワンプレス製造方法は、所定の工程(A)〜(E)を含むことを特徴とする。
したがって、まず、それぞれの工程の概要を、図8〜10を用いて説明した後、ガラス容器のワンプレス製造装置、並びに、当該ガラス容器のワンプレス製造装置を構成する成形型、プランジャー、ファンネル、バッフル、ブローヘッドおよび冷却用金型等について、具体的に説明する。
なお、図8〜10は、成形型100やプランジャー50等を含む全体を、成形型100を二分割して開くための二分割断面と直交する面で切断して、切断面を正面から眺めた場合の断面図である。
(1)工程(A)
工程(A)は、図8(a)に示すように、ファンネル72を、成形型100に対して嵌合させた後、当該ファンネル72を介して成形型100の内部にゴブ70を投入する工程である。
このとき、本発明では、投入するゴブ70の温度TGを1090〜1150℃の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかるゴブ70の温度TGが1090℃未満の値となると、工程(C)においてプランジャー50でゴブ70をプレスする際に、ゴブ70の流動性が過度に低下してしまい、その結果、後述するように、縁部や仕切り部分において欠点が過度に発生しやすくなる場合があるためである。一方、かかるゴブ70の温度TGが1150℃を超えた値となると、工程(C)においてプランジャー50の成形面部分52が過度に加熱しやすくなったり、ゴブ70が成形型100を通過して下方に漏れやすくなったりする場合があるためである。
したがって、ゴブ70の温度TGの下限値を1100℃以上の値とすることがより好ましく、1110℃以上の値とすることがさらに好ましい。
また、ゴブ70の温度TGの上限値を1140℃以下の値とすることがより好ましく、1130℃以下の値とすることがさらに好ましい。
なお、本発明における「投入するゴブ70の温度TG」とは、より具体的には、投入する直前のゴブ70の温度を意味する。
(2)工程(B)
工程(B)は、図8(b)に示すように、成形型100からファンネル72を取り外した後、バッフル60を成形型100に対して嵌合させる工程である。
(3)工程(C)
工程(C)は、図9(a)に示すように、成形面部分52に複数の凸面部を有するプランジャー50を、バッフル60が嵌合された側の反対側から成形型100の内部に挿入してゴブ70をプレスすることにより、ゴブ70から仕上げ形状のガラス容器200´を成形する工程である。
かかる工程(C)では、プランジャー50によりゴブ70をプレスすることにより、口部202´および複数の凹部の内周面が成形されるとともに、口部202´の外周面および胴部206´の外周面も成形される。
また、口部202´の内周面および外周面が形成される際に、口部202´の一部である縁部202a´も成形されることになる。
また、仕上げ形状のガラス容器200´における仕切り部分の端面は、プランジャー50における複数の凸部分の間の「又」の部分により成形されることになる。
このとき、本発明では、プランジャー50における成形面部分52の温度TPを270〜370℃の範囲内の値に調整することを特徴とする。
この理由は、かかる成形面部分52の温度TPが270℃未満の値となると、凹部202cや仕切り部分202dにシワが発生しやすくなる場合があるためである。一方、かかる成形面部分52の温度TPが370℃を超えた値となると、仕上げ形状のガラス容器200´における複数の凹部の仕切り部分の温度が過度に高くなってしまい、その結果、後述するように、当該箇所に歪みが発生しやすくなる場合があるためである。
したがって、成形面部分52の温度TPの下限値を290℃以上の値とすることがより好ましく、310℃以上の値とすることがさらに好ましい。
また、成形面部分52の温度TPの上限値を350℃以下の値とすることがより好ましく、330℃以下の値とすることがさらに好ましい。
なお、TPの調節は、基本的にゴブのプレスにより加熱した成形面部分の冷却ということになるが、ワンプレス製造装置の駆動初期等、成形面部分がまだ加熱されていない時点では、敢えて冷却する必要は無い。
また、工程(A)におけるゴブの温度TGから工程(C)における成形面部分の温度TPを引いた差の値TG−TPを740〜810℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるTG−TPが740℃未満の値となると、TGが過度に小さな値になって、ゴブ70の流動性が過度に低下してしまい、その結果、後述するように、縁部や仕切り部分において欠点が過度に発生しやすくなる場合があるためである。あるいは、TPが過度に大きな値になって、仕上げ形状のガラス容器200´における複数の凹部の仕切り部分の温度が過度に高くなってしまい、その結果、後述するように、当該箇所に歪みが発生しやすくなる場合があるためである。一方、かかるTG−TPが810℃を超えた値となると、TGが過度に大きな値になって、プランジャー50の成形面部分52が過度に加熱しやすくなったり、ゴブ70が成形型100を通過して下方に漏れやすくなったりする場合があるためである。あるいは、TPが過度に小さな値になって、凹部202cや仕切り部分202dにシワが発生しやすくなる場合があるためである。
したがって、工程(A)におけるゴブの温度TGから工程(C)における成形面部分の温度TPを引いた差の値TG−TPの下限値を760℃以上の値とすることがより好ましく、780℃以上の値とすることがさらに好ましい。
また、TG−TPの上限値を805℃以下の値とすることがより好ましく、800℃以下の値とすることがさらに好ましい。
また、プランジャー50における成形面部分52の温度調節方法としては、特に限定されるものではないが、成形面部分52の内周面に対し、冷却エアーを吹き付けて冷却することが好ましい。
この理由は、成形面部分52を内側から冷却することにより、成形面部分52の潜熱を効率的に除去し、成形面部分52の温度を安定的に所定の範囲に調節することができるためである。
また、成形面部分52の外周面に対し、冷却エアーを吹き付けて冷却することも好ましい。
この理由は、成形面部分52を外側から冷却することにより、ゴブと直接接触する成形面部分52の表面を効率的に冷却することができるためである。
また、より効率的に冷却する観点からは、成形面部分52の内周面および外周面の両方に対し、冷却エアーを吹き付けて冷却することが特に好ましい。
また、冷却エアーの温度としては、0〜40℃の範囲内の値とすることが好ましく、冷却エアーの圧力としては、0.15〜0.25MPaの範囲内の値とすることが好ましく、冷却エアーの供給時間としては、1.1〜1.7秒の範囲内の値とすることが好ましい。
なお、成形面部分52の内周面に対して冷却エアーを吹き付ける方法としては、プランジャー50に対して後述する内部冷却装置を取り付けることにより行うことが好ましい。
また、冷却を効率化する観点から、成形面部分52の内周面に対する冷却エアーの吹き付けは、プランジャー50の動きと同期させて行うことが好ましく、より具体的には、ゴブに対してプランジャー50をプレスしているときに、冷却エアーを吹き付けることが好ましい。
また、成形面部分52の外周面に対し冷却エアーを吹き付ける方法としては、例えば、後述するインディビジュアルセクションマシーン(ISマシーン)に対してノズル状の吹出口を有する吹き出し装置を設置して、ノズル状の吹出口から直接的に成形面部分52の外周面に対して冷却エアーを吹き付けることが好ましい。
なお、プランジャー50の成形面部分52をゴブ70に対して完全に挿入した後は、ゴブ70の表面が一定形状を保持する程度に冷却されるまで、そのままの状態を維持し、仕上げ形状のガラス容器200´が成形される。
(4)工程(D)
工程(D)は、図9(b)に示すように、プランジャー50を、仕上げ形状のガラス容器200´から引き抜く工程である。
すなわち、上述した工程(C)におけるプランジャー50を上方へ移動させる工程を逆に辿って、プランジャー50を下方へ移動させ、プランジャー50を仕上げ形状のガラス容器200´から引き抜く工程である。
(5)工程(E)
工程(E)は、図10に示すように、仕上げ形状のガラス容器200´を、冷却用金型80に移送し、冷却する工程である。
より具体的には、バッフル60が取り外された後、成形型基部10が二分割されて取り外される。
この時点で、仕上げ形状のガラス容器200´は、底部が上側の状態で、アーム(図示せず)に接続された口型20によって口部202´を挟持されている。
次いで、アームを、支点を中心に180°回転させ、仕上げ形状のガラス容器200´の上下を反転させるとともに、図10(a)に示すように冷却用金型80の一部である底型82の真上に移動させる。
次いで、図10(b)に示すように口型20を二分割して開くことにより、仕上げ形状のガラス容器200´を自重により落下させ、底型82の上に載置する。
次いで、図10(c)に示すように、冷却用金型80の一部である二分割された仕上げ型84を両側方から接近させて、仕上げ形状のガラス容器200´を冷却用金型80の内部に収容する。
次いで、底型82の下方から冷却エアーを供給し、仕上げ形状のガラス容器200´の外周面と、仕上げ型84の内周面との間の間隙に下方から上方に向かって冷却エアーを通過させる。
それと同時に、仕上げ形状のガラス容器200´の上方に配置されたブローヘッド86により、仕上げ形状のガラス容器200´における口部202´の側の内周面に対しても冷却エアーが吹き付けられる。
したがって、仕上げ形状のガラス容器200´は外周面および内周面を同時に冷却されて、最終的なガラス容器200となる。
2.縁部および仕切り部分における欠点の発生機構
次いで、図2に示すような、縁部202aや仕切り部分202dにおける欠点Bの発生機構を説明する。
すなわち、縁部202aや仕切り部分202dにおける欠点Bは、図9(a)に示す工程(C)において、プランジャー50によりゴブ70をプレスした際に、成形型100の成形面部分と、プランジャー50の成形面部分52との間をゴブ70が流動的に拡散するときの不均一性が原因となって発生する。
つまり、一番最後にゴブ70が充填される仕上げ形状のガラス容器200´における縁部や仕切り部分において、別々の方向から不均一に拡散し、回り込んで来たゴブ70が合流することになるため、その合流点では、熱履歴の異なるゴブ70同士がぶつかり、融合することになる。
このため、熱履歴の相違が所定以上になると、ゴブ70同士の衝突点において欠点Bが生じることになる。
特に、本発明では、所定のガラス容器200を製造するために、成形面部分52に複数の凸面部を有するプランジャー50を使用する必要があることから、ゴブ70の拡散が不均一になりやすく、その結果として縁部202aおよび仕切り部分202dにおいて欠点Bが生じやすくなる。
そこで、本発明では、図8(a)に示す工程(A)において、投入するゴブの温度TGを1090〜1150℃という通常よりも高い値に制限することにより、ゴブ70の粘度を低くし、ゴブ70の流動性を上げることで、不均一に拡散したゴブの熱履歴の相違の幅が小さくなるように制御し、衝突点において欠点Bが生じないようにしている。
なお、通常のワンプレス製造工程におけるゴブの温度は、1050℃前後の値である。
3.仕切り部分における歪みの発生機構
次いで、図2に示すような、複数の凹部202cの間の仕切り部分202dにおける歪みDの発生機構を説明する。
すなわち、仕切り部分202dにおける歪みDは、図9(a)に示す工程(C)において、プランジャー50の成形面部分52の温度が過度に上昇することにより発生する。
かかる成形面部分の温度上昇は、高温のゴブ70を繰り返しプレスすることにより、通常の均一な成形面部分を有するプランジャーでも生じるが、特に本発明のように複雑な形状の成形面部分52を有するプランジャー50を用いた場合には、顕著になる。
これは、成形面部分52の表面積が大きくなること、および、凸面部同士が対向する部分に熱が残留しやすくなること、に起因する。
さらに、本発明では、上述したように、縁部202aにおける欠点Bの発生を抑制する観点から、ゴブ70の温度を通常よりも高い温度に設定している。
したがって、本発明では、プランジャー50の成形面部分52の温度が過度に上昇しやすくなる。
その結果、特に温度が上昇しやすい凸面部同士が対向する底の部分、すなわち、凸面部間の又の部分の温度が上昇し、当該部分によって成形される仕上げ形状のガラス容器200´における仕切り部分の温度が、他の部分よりも上昇しやすくなり、ひいては、得られるガラス容器200の仕切り部分202dにおいて歪みDが発生しやすくなる。
そこで、本発明では、図9(a)に示す工程(C)において、プレスの前段階でのプランジャー50における成形面部分52の温度を270〜370℃の範囲内の値に調節することで、仕切り部分202dにおける歪みDの発生を抑制している。
4.ガラス容器の製造装置
本発明のガラス容器のワンプレス製造方法を実施するガラス容器のワンプレス製造装置としては、基本的に図11に示すように、インディビジュアルセクションマシーン(ISマシーン)300を使用することができる。
かかるISマシーンは、所定の成形型100を使用するとともに、当該成形型100で成形した仕上げ形状のガラス容器を冷却用金型80に移送した後、ブローヘッド86から吹き付けられる第1の冷却エアーと、仕上げ型84の内周面に沿って吹き付けられる第2の冷却エアーと、を用いて、冷却するように構成されている。
すなわち、一回のプレスで仕上げ形状のガラス容器を成形した後、当該仕上げ形状のガラス容器を、冷却用金型の中で冷却するだけで、所定のガラス容器を製造することができる。
したがって、かかるISマシーンであれば、例えば、図1(a)〜(b)に示すような、特定形状のガラス容器200を、容易かつ連続的に製造することができる。
なお、図11は、ISマシーン300の斜視図である。
(1)成形型
図12(a)〜(c)に示すように、本発明における成形型100は、それぞれ二分割する成形型基部10および口型20と、口型20の内部に当該口型20の開閉時に口型20との接触面に対してスライド可能に収容されたガイドリング30と、を含む構成とすることが好ましい。
なお、図12(a)は、成形型100を、成形型100を二分割して開くための二分割断面と直交する面で切断して、切断面を正面から眺めた場合の断面図である。
また、図12(b)は、図12(a)に示す成形型100を二分割して開いた状態を示す断面図である。
また、図12(c)は、図12(b)に示す二分割して開いた状態の成形型100の平面図である。
以下、成形型基部10、口型20およびガイドリング30について、それぞれ具体的に説明する。
(1)−1 成形型基部
図12(a)〜(c)に示すように、本発明における成形型基部10は、ガラス容器の胴部を成形するための型部材である。
かかる成形型基部10は、二分割して開くための分割線Dを有するとともに、ガラス容器の胴部の外周形状を成形するための内周面からなる胴部成形部12を有している。
また、胴部成形部12の上方には、ゴブを投入するための開口部を有しており、また、かかる開口部には、ファンネルやバッフルを嵌合するための凹部が設けられている。
また、胴部成形部12の下方にも、口型の上部を両側から挟み込んで一体化するための開口部を有しており、上方の開口部と、胴部成形部12等の成形部と、下方の開口部とは、連通している。
なお、成形型基部のサイズや形状は、製造するガラス容器のサイズや形状に対応させて、適宜選択すればよい。
また、成形型基部の構成材料としては、従来公知の材料を使用すればよく、特に制限されるものではないが、例えば、鉄や鉄合金、真鍮、銅−ニッケル合金等を挙げることができる。
(1)−2 口型
図12(a)〜(c)に示すように、本発明における口型20は、ガラス容器の口部の外周形状を成形するための型部材である。
かかる口型20は、二分割して開くための分割線Dを有するとともに、上面の開口部の内壁に、ガラス容器の口部の外周形状を成形するための内周面からなる口部成形部22を有しており、かかる口部成形部22には、口部が蓋部材と螺合する構成である場合には、ネジ山を成形するための溝部22aが設けられる。
また、図13(a)〜(b)に示すように、上面の開口部の下方には、ガイドリング30を口型20の開閉時に口型20との接触面に対してスライド可能に収容するためのガイドリング収容部26を有している。
また、ガイドリング収容部26の下方にも、プランジャーを挿入する際の入り口となる開口部を有しており、上面の開口部と、ガイドリング収容部26と、下方の開口部とは、連通している。
また、図12(a)〜(c)に示すように、口型20の外周面における上部には、成形型基部10によって両側から挟み込まれて嵌合し、一体化するための凸部が設けられている。
なお、図13(a)は、二分割した口型20のうち、一方の口型20を内周面側から眺めた斜視図であり、図13(b)は、図13(a)に示す口型のガイドリング収容部26に対し、ガイドリング30を収容した状態を示す斜視図である。
また、口型の材料物質としては、従来公知の材料を使用すればよく、特に制限されるものではないが、例えば、成形型基部の構成材料と同様に、鉄や鉄合金、アルミ、銅−ニッケル合金等を挙げることができる。
(1)−3 ガイドリング
図12(a)〜(c)に示すように、本発明における口型20は、内部にガイドリング30を収容していることが好ましい。
かかるガイドリング30は、口部における縁部の端面を形成するための型部材であるが、同時に、ゴブに対してプランジャーをプレスする際にプランジャーの移動精度を向上させるためのガイド部材でもある。
また、図14(a)〜(b)に示すように、ガイドリング30は、上面32に開口部を有しており、かかる開口部の平面形状は、プランジャーの成形面部分の根本における平面形状と一致している。
したがって、プランジャーの成形面部分をゴブに対して完全に挿入する段階で、プランジャーの移動を精度よくガイドすることができる。
なお、図14(a)は、ガイドリング30の斜視図であり、図14(b)は、ガイドリング30を下面側から見た斜視図である。
また、上面32の開口部の内壁の上部に、ガラス容器の口部における縁部の端面部分を成形するための端面成形部34を有している。
また、上面32の開口部の下方には、プランジャーの成形面部分をゴブに対して完全に挿入する段階で、プランジャーの台座部分が収まるための台座収容部36が設けられている。
なお、後述する比較例4に示すように、上面32の開口部を、プランジャーの成形面部分に形成された複数の凸面部のそれぞれに対応させて複数設けた場合、ガラス容器の仕切り部分の端面をガイドリング30の上面で成形することになる。
したがって、ガイドリング30の構造上、縁部の形成自体が困難になるばかりか、ガイドリング30の加熱により仕切り部分の歪みが顕著になり、さらに、その歪みが口部全体に伝播しやすくなる。
したがって、ガイドリング30における上面32の開口部の個数を1個とすることが好ましい。
また、図13(b)に示すように、ガイドリング30は、口型20の内部に当該口型20の開閉時に口型20との接触面に対してスライド可能に収容される。
より具体的には、ガイドリング30の上面32、並びに、ガイドリング30の外周面における下部に外側に張り出すように設けられた張出部38の上面および下面が、それぞれ口型20におけるガイドリング収容部26の内壁における対応する接触面に対してスライド可能に収容される。
また、図15(a)〜(b)に示すように、ガイドリング30が、バネ部材28により付勢された状態で、口型20の内部に収容してあることが好ましい。
また、図10(b)に示すように、工程(E)において、口型20を二分割して開くとともに、ガイドリング30によって仕上げ形状のガラス容器200´の落下位置をセンタリングしながら、仕上げ形状のガラス容器200´を自重により落下させ、冷却用金型80の底型82の上に載置することが好ましい。
この理由は、工程(C)で得られた仕上げ形状のガラス容器200´を、安定的に冷却用金型80に移送することができるためである。
ここで、図14(a)に示すように、ガイドリング30における上面32の開口部の内壁の上部(冷却用金型80に移送する際には、アームにより口型20ごと180°回転されて「下面の開口部の内壁の下部」となる)には、ガラス容器の口部における縁部の端面部分を成形するための端面成形部34が設けられていることから、僅かではあるがガイドリング30と仕上げ形状のガラス容器200´とは嵌合している。
したがって、バネ部材28によりガイドリング30がセンタリングされることにより、同時に仕上げ形状のガラス容器200´もセンタリングされることになる。
なお、図15(a)は、ガイドリング30を収容した口型20を垂直方向に切断した場合の断面図であり、図15(b)は、口型20の平面図である。
また、ガイドリングの構成材料としては、従来公知の材料を使用すればよく、特に制限されるものではないが、例えば、成形型基部の構成材料と同様に、鉄や鉄合金、真鍮、銅−ニッケル合金等を挙げることができる。
(2)プランジャー
図16(a)〜(b)に示すように、本発明におけるプランジャー50は、成形型の下方から成形型内に挿入し、ガラス容器における口部の内周面、すなわち、縁部の内周面および複数の凹部を成形するための部材である。
かかるプランジャー50は、口部の内周面を直接的に成形する部分である成形面部分52と、成形面部分52の土台となる台座部分54と、からなる。
また、成形面部分52は、複数の凸面部52cを有しており、かかる複数の凸面部52cの数や、隣り合う複数の凸面部52cの間の最近接距離、凸面部52cの高さ、図16(a)における成形面部分52の平面積に対する複数の凸面部52cの平面積の合計の割合、凸面部52cの平面形状および断面形状は、ガラス容器における複数の凹部における内容と対応する。
また、図16(a)〜(b)に示すプランジャー50は、図1(a)〜(b)に示すガラス容器200を製造するためのプランジャー50である。
その他のプランジャー50の例として、図17〜19に、図3〜5に示すガラス容器200を製造するためのプランジャー50を示す。
なお、図16(a)は、プランジャー50の平面図であり、図16(b)は、プランジャー50の側断面図であり、図17〜19も同様である。
また、図20(a)に示すようにプランジャー50の内部には、図20(b)に示すような冷却エアー供給口56aと、冷却エアー吹出口56bと、冷却エアー排出口56cを有する筒状の内部冷却装置56を収容することが好ましい。
この理由は、かかる内部冷却装置56を用いることにより、成形面部分52の内周面に対し、冷却エアーを効率的に吹き付け、成形面部分52の温度を制御よく調節することができるためである。
すなわち、かかる内部冷却装置56であれば、図20(a)に示すように、冷却エアー吹出口56bから冷却エアーを成形面部分52の内周面に対して吹き付けつつ、吹き付けられた後のエアーは、冷却エアー供給口56aから新しく供給される冷却エアーの進行を阻害することなく、後方に設けられた冷却エアー排出口56cを通って外部に排出することができるためである。
また、内部冷却装置56の材料物質は特に限定されないが、ステンレスやアルミ合金等を用いることが好ましい。
なお、図20(a)は、内部冷却装置56を収容した状態のプランジャー50の断面図であり、図20(b)は、内部冷却装置56の断面図である。
また、図21(a)に示すプランジャー50では、図20(a)に示す場合と異なり、成形面部分52の内周面が、複数の凸面部52cのそれぞれの形状に追従した形状になっており、成形面部分52の肉厚が薄くなっている。
そして、図21(b)〜(c)に示す内部冷却装置56における冷却エアー吹出口56bが、複数の凸面部52cごとに設けられている。
したがって、図21(a)〜(c)に示す内部冷却装置56およびプランジャー50であれば、図20(a)〜(b)に示す内部冷却装置56およびプランジャー50よりも、さらに効率的に成形面部分52の温度を制御することができる。
なお、図21(a)は、内部冷却装置56を収容した状態のプランジャー50の断面図であり、図21(b)は、内部冷却装置56の平面図であり、図21(c)は、内部冷却装置56の断面図である。
また、プランジャーのサイズに関しては、製造するガラス容器のサイズによって様々であるため、特に制限されるものではないが、通常、プランジャーの成形面部分の最大径を10〜50mmの範囲内の値とすることが好ましく、プランジャーの成形面部分の長さを10〜50mmの範囲内の値とすることが好ましい。
また、プランジャーの構成材料としては、従来公知の材料を使用すればよく、特に制限されるものではないが、例えば、成形型基部の構成材料と同様に、鉄や鉄合金、真鍮、銅−ニッケル合金等を挙げることができる。
(3)ファンネル
図8(a)に示すように、本発明におけるファンネル72は、成形型基部10における上方の開口部に対して嵌合させて、成形型100の内部に安定的にゴブ70を投入するための部材である。
かかるファンネルは、両端部が開口した筒状の形状であり、下端の開口部よりも上端の開口部の面積を広くすることが好ましい。
また、ファンネルの構成材料としては、成形型基部の構成材料と同様に、鉄や鉄合金、真鍮、銅−ニッケル合金等を挙げることができる。
(4)バッフル
図8(b)〜7(b)に示すように、本発明におけるバッフル60は、成形型基部10における上方の開口部に対して嵌合されて当該開口部を塞ぐ部材であり、仕上げ形状のガラス容器200´の底部を成形するための部材である。
すなわち、バッフル60の底面にある凸部61が、仕上げ形状のガラス容器200´の底部を成形することになる。
また、バッフル60の構成材料としては、成形型基部10の構成材料と同様に、鉄や鉄合金、真鍮、銅−ニッケル合金等を挙げることができる。
(5)ブローヘッド
また、図22に示すブローヘッド86は、図10(c)に示すように、後述する冷却用金型80の内部の所定位置に収容された仕上げ形状のガラス容器200´の内部に対して、第1の冷却エアー96を効率的に送風するための部材である。
かかるブローヘッド86は、図22に示すように、第1の冷却エアー96を送風する送風孔86aと、仕上げ形状のガラス容器200´の内部に対して当該第1の冷却エアー96を吹出させるための吹出口(第1吹出口)86bと、を備え、図10(c)に示すように、仕上げ形状のガラス容器200´の口部から離間して配置される。
これによって、送風孔86aの内部を送風されてくる第1の冷却エアー96を、第1吹出口86bを介して、仕上げ形状のガラス容器200´の内部に供給するとともに、吹出された第1の冷却エアー96を、ブローヘッド86と、仕上げ形状のガラス容器200´の口部との間に設けられた間隙から効率的に排出することができる。
したがって、ブローアンドブロー成形やプレスアンドブロー成形のように、ブローエアーによって膨らませることなく、仕上げ形状のガラス容器200´の内面側から、効率的に冷却することができる。
また、このように配置されるブローヘッド86であれば、ブローヘッド86の内部に、第1の冷却エアー96の排出孔を設ける必要がなくなるために、内部加工を簡素化することができる。
また、かかるブローヘッド86についても、上述した成形型等と同様に、鉄合金や真鍮、銅−ニッケル合金等を用いて構成することができる。
なお、図22は、ブローヘッド86の斜視図である。
(6)冷却用金型
また、図23に示す冷却用金型80は、仕上げ形状のガラス容器200´を内部に保持して、冷却するために使用される金型である。
かかる冷却用金型80は、図23に示すように、仕上げ形状のガラス容器200´の側周面を取り囲むための仕上げ型84と、仕上げ形状のガラス容器200´の底部が載置される底型82と、を備えている。
この冷却用金型80については、成形型100と異なり、仕上げ形状のガラス容器200´を冷却するだけであって、かつ、仕上げ形状のガラス容器200´と側方では直接接触しないことから、通常、鋳物、鉄合金、真鍮等からなり、その形状についても、製造するガラス容器の外形形状に応じて、適宜変更することができる。
なお、図23は、冷却用金型80を垂直方向に切断した場合の断面図である。
また、底型82は、仕上げ形状のガラス容器200´の底部が載置される部材である。
かかる底型82は、図24(a)〜(b)に示すように、第2の冷却エアー98を送風する送風孔82aと、第2の冷却エアー98を、仕上げ形状のガラス容器200´の外周面と仕上げ型との間に設けられた間隙に対して挿通させるべく、仕上げ形状のガラス容器200´の下方側から吹出させるための第2吹出口82bとを備えている。
なお、図24(a)は、底型82の平面図であり、図24(b)は、図24(a)に示す底型82を、点線A−Aに沿って垂直方向に切断して、切断面を矢印に沿った方向から眺めた場合の断面図である。
このような仕上げ型84および底型82を含む冷却用金型80であれば、第2の冷却エアー98を、仕上げ形状のガラス容器200´の下方側の第2吹出口82bから所定方向(垂直方向)に吹出させることができるために、仕上げ形状のガラス容器200´に対して直接吹き付けられることがなくなる。
したがって、第2の冷却エアー98の風圧等によって、仕上げ形状のガラス容器200´が変形することを有効に防ぐことができる。
また、第2吹出口82bから吹出された第2の冷却エアー98を、仕上げ形状のガラス容器200´と、仕上げ型84と、の間隙に挿通させることにより、第1の冷却エアー96と相まって、仕上げ形状のガラス容器200´の内周面および外周面から、効率よくかつ均一に冷却させることができる。
さらに、仕上げ型84の内周面の表面状態や温度状態にかかわらず、得られるガラス容器200の表面に不要な凹凸等が形成されることがなくなるため、得られるガラス容器200の品質を向上させることができる。
以下に、実施例を参照して、本発明のガラス容器の製造方法をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
1.ガラス容器の製造
(1)工程(A)
図8(a)に示すように、ファンネルを成形型に対して嵌合させた後、当該ファンネルを介して成形型内にソーダ石灰ガラスのゴブ78gを投入した。
このとき、ゴブの温度を1095℃に調節した。
なお、ゴブの温度は、フォアハース内においてバーナーを調節することにより調節した。
(2)工程(B)
次いで、図8(b)に示すように、成形型からファンネルを取り外した後、バッフルを成形型に対して嵌合させた。
(3)工程(C)
次いで、図9(a)に示すように、成形面部分に3つの凸面部を有する図14に示すプランジャーにおける成形面部分の温度を、図20(a)に示す内部冷却装置を用いて350℃に調節した後、プランジャーを、バッフルが嵌合された側の反対側から成形型内に挿入してゴブを1.4秒間プレスすることにより、ゴブから仕上げ形状のガラス容器を成形した。
なお、内部冷却装置には、常温のエアーを0.2MPaの圧力で1.4秒間供給した。
(4)工程(D)
次いで、図9(b)に示すように、プランジャーを、仕上げ形状のガラス容器から引き抜いた。
(5)工程(E)
次いで、図10に示すように、仕上げ形状のガラス容器を、冷却用金型に移送して冷却し、図1に示すガラス容器を得た。
2.評価
(1)仕切り部分における歪み
得られたガラス容器の仕切り部分における歪みを評価した。
すなわち、同じ条件にて20,000個のガラス容器を製造し、仕切り部分における歪みについて、主観的な外観観察における合格品の歩留まりを計算し、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
◎:仕切り部分における歪みについての歩留まりが99%以上の値である
○:仕切り部分における歪みについての歩留まりが90〜99%未満の範囲内の値である
△:仕切り部分における歪みについての歩留まりが80〜89%未満の範囲内の値である
×:仕切り部分における歪みについての歩留まりが80%未満の値である。
(2)縁部および仕切り部分における欠点
得られたガラス容器の縁部および仕切り部分における欠点を評価した。
すなわち、上述した20,000個のガラス容器のうち、仕切り部分における歪みについての合格品を対象として、縁部および仕切り部分における欠点について、主観的な外観観察における合格品の歩留まりを計算し、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、下記基準において、「縁部および仕切り部分における欠点についての歩留まり」とは、縁部にも、仕切り部分にも欠点が無いガラス容器の歩留まりを意味する。
◎:縁部および仕切り部分における欠点についての歩留まりが99%以上である
○:縁部および仕切り部分における欠点についての歩留まりが90〜99%未満の範囲内の値である
△:縁部および仕切り部分における欠点についての歩留まりが80〜89%未満の範囲内の値である
×:縁部および仕切り部分における欠点についての歩留まりが80%未満の値である
[実施例2]
実施例2では、成形面部分に2つの凸面部を有する図17に示すプランジャーと、図21(a)〜(b)に記載の内部冷却装置を用いるとともに、成形型を当該プランジャーに適合するものに変え、かつ、工程(A)において、1120℃のゴブを30g投入し、さらに、工程(C)において、プランジャーの成形面部分の温度を325℃に調節したほかは、実施例1と同様にして、図3に示すガラス容器を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例3では、成形面部分に2つの不均等な凸面部を有する図18に示すプランジャーと、図示しない内部冷却装置を用いるとともに、成形型を当該プランジャーに適合するものに変え、かつ、工程(A)において、1095℃のゴブを45g投入し、さらに、工程(C)において、プランジャーの成形面部分の温度を323℃に調節したほかは、実施例1と同様にして、図4に示すガラス容器を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例4では、成形面部分に2つの不均等な凸面部を有する図示しないプランジャーと、図示しない内部冷却装置を用いるとともに、成形型を当該プランジャーに適合するものに変え、かつ、工程(A)において、1100℃のゴブを39g投入し、さらに、工程(C)において、プランジャーの成形面部分の温度を330℃に調節したほかは、実施例1と同様にして、図25に示すガラス容器を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例5では、成形面部分に4つの凸面部を有する図19に示すプランジャーと、図示しない内部冷却装置を用いるとともに、成形型を当該プランジャーに適合するものに変え、かつ、工程(A)において、1100℃のゴブを160g投入し、さらに、工程(C)において、プランジャーの成形面部分の温度を293℃に調節したほかは、実施例1と同様にして、図5に示すガラス容器を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例6では、図示しないものの、成形面部分に2つの斜面を備えた凸面部を有し、それらが、平行対向するように設けてあるプランジャーと、図示しない内部冷却装置を用いるとともに、成形型を当該プランジャーに適合するものに変え、かつ、工程(A)において、1100℃のゴブを160g投入し、さらに、工程(C)において、プランジャーの成形面部分の温度を293℃に調節したほかは、実施例1と同様にして、図6(a)〜(c)に示す、所定の斜面を有するガラス容器を製造し、評価した。
その結果、仕切り部分における歪みについての歩留まりが99%以上の値であって、縁部および仕切り部分における欠点についての歩留まりについても99%以上の値であった。
[比較例1]
比較例1では、工程(A)において、ゴブの温度を1085℃に調節するとともに、工程(C)において、プランジャーの成形面部分の温度を535℃に調節したほかは実施例1と同様にガラス容器を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。また、得られたガラス容器の斜視図および写真を図26(a)〜(c)に示す。
図26(a)〜(c)に示すように、2つの仕切り部分にそれぞれ外側への歪みDが発生するとともに、縁部における2つの仕切り部分に挟まれた箇所に、欠点Bが発生していることが確認された。
[比較例2]
比較例2では、工程(A)において、ゴブの温度を1095℃に調節するとともに、工程(C)において、プランジャーの成形面部分の温度を385℃に調節したほかは、実施例3と同様にガラス容器を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。また、得られたガラス容器の斜視図および写真を図27(a)〜(b)に示す。
図27(a)〜(b)に示すように、仕切り部分の真ん中の部分が下方に沈んで歪みDが発生しているとともに、縁部においても欠点Bが発生していることが確認された。
[比較例3]
比較例3では、工程(A)において、ゴブの温度を1070℃に調節するとともに、工程(C)において、プランジャーの成形面部分の温度を380℃に調節したほかは、実施例5と同様にガラス容器を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。また、得られたガラス容器の斜視図および写真を図28(a)〜(b)に示す。
図28(a)〜(b)に示すように、仕切り部分の平面部分に波紋状の歪みDが発生するとともに、縁部および仕切り部分に、規則的に欠点Bが発生していることが確認された。
[比較例4]
比較例4では、成形面部分に2つの凸面部を有する図示しないプランジャーと、図示しない内部冷却装置を用いるとともに、成形型を所定のものに変え、かつ、ゴブの量を166gに変えたほかは、実施例1と同様にガラス容器を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。また、得られたガラス容器の斜視図および写真を図29(a)〜(b)に示す。
図29(a)〜(b)に示すように、仕切り部分の真ん中の部分が下方に沈んで歪みDが発生していることが確認された。
なお、図30に比較例4における工程(C)の態様を示す。
比較例4で用いられた成形型100におけるガイドリング30は、図31(a)〜(b)に示すように、開口部が仕切り部分32aによって2つに分割されており、これらの2つの開口部を介して、プランジャー50の成形面部分52における2つの凸面部が上下動することになる。
そして、ガラス容器における口部の端面はガイドリング30の上面における端面成形部34bにより成形され、ガラス容器における仕切り部分の端面は、仕切り部分32aの上面における端面成形部34aによって成形されることになる。
したがって、ガラス容器における口部の端面と、仕切り部分の端面とは、それぞれ同じ高さに成形されることになるため、「縁部」は存在しないことになる。
また、ガイドリング30の上面における仕切り部分32aは、プランジャー50において特に温度が上昇しやすい箇所である凸面部の間の「又」の部分に挟まれることから、著しく温度が上昇しやすくなる。
したがって、図31(a)〜(b)に示すような、仕切り部分32aを有するガイドリング30を用いた場合、得られるガラス容器における仕切り部分における歪みの発生が顕著であり、かつ、かかる仕切り部分における歪みが、直接的に口部全体に伝播しやすくなる。
その結果、蓋を螺合することさえ困難になるほど、寸法安定性が低下することが確認されている。
なお、図30は、成形型100やプランジャー50等を含む全体を、成形型100を二分割して開くための二分割断面と直交する面で切断して、切断面を正面から眺めた場合の断面図であり、図31(a)は、ガイドリング30の平面図であり、図31(b)は、ガイドリング30の断面図である。

*比較例4のガラス容器には「縁部」は存在しないが、比較する上での便宜のため、口部における仕切り部分を除いた部分を縁部とみなして数値を記載している。
以上、詳述したように、本発明のガラス容器の製造方法によれば、ワンプレス製造工程において、ゴブの温度およびプランジャーの温度をそれぞれ所定の範囲に調節することにより、縁部を備えた口部の底面に複数の凹部を形成した場合であっても、歪みや欠点の発生を効果的に抑制できるようになった。
その結果、パウダーファンデーションやフェイスパウダー等の粉状の化粧料を固めた固形化粧料を収容した場合であっても、粉体が容器外に飛散しにくく、かつ、美的外観に優れたガラス容器を、歩留まりよく製造することができるようになった。
したがって、本発明のガラス容器およびそのワンプレス製造方法は、特に化粧品用容器における実用性およびデザイン性の向上に著しく寄与することが期待される。
10:成形型基部、12:胴部成形部、20:口型、22:口部成形部、22a:溝部、26:ガイドリング収容部、28:バネ部材、30:ガイドリング、32:上面、36:台座収容部、38:張出部、50:プランジャー、52:成形面部分、54:台座部分、56a:冷却エアー供給口、56b:冷却エアー吹出口、56c:冷却エアー排出口、56:内部冷却装置、60:バッフル、61:凸部、70:ゴブ、72:ファンネル、80:冷却用金型、82:底型、82a:送風孔、82b:第2吹出口、84:仕上げ型、86:ブローヘッド、86a:送風孔、86b:第1吹出口、96:第1の冷却エアー、98:第2の冷却エアー、100:成形型、200:ガラス容器、200´:仕上げ形状のガラス容器、202:口部、202a:縁部、202b:底面、202c:複数の凹部、202d:仕切り部分、206:胴部、300:インディビジュアルセクションマシーン(ISマシーン)

Claims (11)

  1. 縁部を備えた口部と、胴部と、を有するガラス容器であって、
    前記縁部を備えた口部の底面に複数の凹部を有することを特徴とするガラス容器。
  2. 前記凹部の個数を2〜4個の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載のガラス容器。
  3. 前記縁部の厚さを2〜4mmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1または2に記載のガラス容器。
  4. 前記縁部の高さを2〜12.5mmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のガラス容器。
  5. 隣り合う前記複数の凹部間の仕切り部分の最薄部における厚さを2〜4.5mmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のガラス容器。
  6. 前記凹部の深さを7.5〜16mmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のガラス容器。
  7. 前記口部側から眺めた場合に、前記口部の開口面積に対する前記複数の凹部の開口面積の合計の割合を50〜93%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のガラス容器。
  8. 前記請求項1〜7のいずれか一項に記載のガラス容器のワンプレス製造方法であって、
    下記工程(A)〜(E)を含むことを特徴とするガラス容器のワンプレス製造方法。
    (A)ファンネルを、成形型に対して嵌合させた後、当該ファンネルを介して前記成形型内に1090〜1150℃のゴブを投入する工程
    (B)前記成形型からファンネルを取り外した後、バッフルを前記成形型に対して嵌合させる工程
    (C)成形面部分に複数の凸面部を有するプランジャーにおける前記成形面部分の温度を270〜370℃の範囲内の値に調節した後、前記プランジャーを、前記バッフルが嵌合された側の反対側から前記成形型内に挿入して前記ゴブをプレスすることにより、前記ゴブから仕上げ形状のガラス容器を成形する工程
    (D)前記プランジャーを、前記仕上げ形状のガラス容器から引き抜く工程
    (E)前記仕上げ形状のガラス容器を、冷却用金型に移送し、冷却する工程
  9. 前記工程(A)における前記ゴブの温度から前記工程(C)における前記成形面部分の温度を引いた値を740〜810℃の範囲内の値とすることを特徴とする請求項8に記載のガラス容器のワンプレス製造方法。
  10. 前記工程(C)において、前記成形面部分の内周面に対し、冷却エアーを吹き付けて冷却することを特徴とする請求項8〜9のいずれか一項に記載のガラス容器のワンプレス製造方法。
  11. 前記工程(C)において、前記成形面部分の外周面に対し、冷却エアーを吹き付けて冷却することを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載のガラス容器のワンプレス製造方法。
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