JP6199288B2 - ホップ酸化反応産物抽出物含有発泡性飲料 - Google Patents

ホップ酸化反応産物抽出物含有発泡性飲料 Download PDF

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Description

関連出願の参照
本特許出願は、先に出願された日本国における特許出願である特願2012−139216号(出願日:2012年6月20日)に基づく優先権の主張を伴うものである。かかる先の特許出願における全開示内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
発泡酒、ノンアルコール飲料、ビールなどの発泡性飲料では、その泡が飲料の美観および風味に対して大きな影響を与えることが従前知られている。例えば、発泡性飲料の泡は、炭酸ガスの逃げを防止するとともに、弾ける音の心地良さ、泡立ちによる香り立ち、見た目の美味しさなどを付与している。また、発泡性飲料をグラスやジョッキに注いだ場合には、泡は飲料の酸化防止効果を奏する。
近年、発泡性飲料の美観および風味の向上を目的として、種々の泡質の改善手段が検討されている。例えば、特開2004−81171号公報(特許文献1)には、起泡剤として0.05〜3wt%のオクテニルコハク酸澱粉を使用した炭酸ベースの発泡性飲料が報告されている。しかしながら、十分な泡感を得るための必要量のオクテニルコハク酸澱粉を飲料に配合すると、飲用時にベタツキが発生し口触りおよび喉越しを悪くしてしまう場合がある。また、オクテニルコハク酸澱粉は飲料への溶解性(透明性)および耐熱性がいずれも低レベルに止まり、飲料の種類によっては泡質向上に用いることが困難な場合がある。
また、特開昭61−88869号公報(特許文献2)には、サポニン成分および炭酸ガスを含有させてなる発泡性混成酒が報告されている。しかしながら、サポニンは苦味が強く、飲料の味を悪くするという問題がある。
また、25th Anniversary Review: The Role of Hops in Brewing, JOURNAL OF THE INSTITUTE OF BREWING, VOL. 117, NO. 3, 2011(非特許文献1)には、イソα酸などホップ成分が泡持ち増強作用を有することが報告されている。しかしながら、イソα酸などホップ成分は、苦味が強く、飲料の香味を変化させてしまう場合がある。
また、Developments in food scicence, Chemistry and analysis of hop and beer bitter acids, M.Verzele(非特許文献2)には、アベオイソフムロンは苦味がなく、アルコール飲料の泡持ち改善効果があることが報告されている。しかしながら、飲料の泡持ち改善のためには0.009〜0.016w/w%程度の高用量のアベオイソフムロンを用いる必要である。また、アベオイソフムロンを単離生成することは困難であるとされている。
このような技術状況下、発泡性飲料の泡質を効果的に改善させる手段が依然として求められているといえる。
特開2004− 81171号公報 特開昭61−88869号公報
25th Anniversary Review: The Role of Hops in Brewing, JOURNAL OF THE INSTITUTE OF BREWING, VOL. 117, NO. 3, 2011 Developments in food science, Chemistry and analysis of hop and beer bitter acids, M.Verzele
本発明者らは、今般、鋭意検討した結果、ホップを酸化処理して得られた分解産物が、イソα酸など泡持ち増強物質の含量を大幅に低下させているにも関わらず、飲料の泡質を効果的に改善し、優れた美観および飲用感を付与しうることを見出した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
ここで、飲料の泡質とは、泡量、泡持ち時間、狭義の泡質(泡の細かさ等の外観)、泡感(飲用感)の総合評価を意味する。但し、実施例においては、泡の細かさ等の外観を狭義の泡質として評価する場合がある。
したがって、新規なホップ酸化反応産物含有発泡性飲料の提供をその目的としている。
本発明によれば以下の発明が提供される。
(1)ホップ酸化反応産物を含有する、泡質の改善された発泡性飲料。
(2)ホップ酸化反応産物が、そのHPLC分析による総ピーク面積に対するイソα酸、α酸およびβ酸のピーク面積の割合が20%以下である、(1)に記載の発泡性飲料。
(3)ホップ酸化反応産物の飲料中の濃度が10〜500ppmである、(1)または(2)に記載の発泡性飲料。
(4)ホップ酸化反応産物が、ホップ酸化反応産物抽出物である、(1)〜(3)のいずれか一つに記載の発泡性飲料。
(5)ホップ酸化反応産物抽出物が、ホップ酸化反応産物の水性媒体抽出物である、(1)〜(4)のいずれか一つに記載の発泡性飲料。
(6)飲料中のα酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物の合計含有量が0.01〜400ppmである、(1)〜(5)のいずれか一つに記載の発泡性飲料。
(7)飲料中のα酸酸化物、イソα酸酸化物、およびβ酸酸化物の合計含有量が10〜400ppmである、(1)〜(6)のいずれか一つに記載の発泡性飲料。
(8)飲料中のα酸酸化物、イソα酸酸化物、およびβ酸酸化物の合計含有量が50〜400ppmである、(1)〜(7)のいずれか一つに記載の発泡性飲料。
(9)飲料中のトリシクロオキシイソコフムロントリシクロオキシイソフムロンおよび7トリシクロオキシイソアドフムロンの合計含有量が0.01〜75ppmである、(1)〜(8)のいずれか一つに記載の発泡性飲料。
(10)飲料中のトリシクロオキシイソコフムロントリシクロオキシイソフムロンおよびトリシクロオキシイソアドフムロンの合計含有量が0.1〜50ppmである、(1)〜(9)のいずれか一つに記載の発泡性飲料。
(11)ホップ酸化反応産物を飲料に含有させる工程を含む、泡質の改善された発泡性飲料の製造方法。
(12)ホップ酸化反応産物がホップ酸化反応産物抽出物である、(11)に記載の発泡性飲料の製造方法。
(13)ホップ酸化反応産物を飲料に含有させる工程を含む、発泡性飲料の泡質改善方法。
(14)ホップ酸化反応産物がホップ酸化反応産物抽出物である、(13)に記載の泡質改善方法。
(15)ホップ酸化反応産物抽出物を有効成分とする、発泡性飲料の泡質改善剤。
(16)上記ホップ酸化反応産物抽出物が、ホップ酸化反応産物の水性媒体抽出物である、(15)に記載の泡質改善剤。
(17)発泡性飲料の泡質改善剤としての、ホップ酸化反応産物抽出物の使用。
(18)上記ホップ酸化反応産物抽出物が、ホップ酸化反応産物の水性媒体抽出物である、(17)に記載の使用。
本発明によれば、飲料の泡質を効果的に改善し、優れた美観および飲用感を付与することができる。また、本発明のホップ酸化反応産物は、殆ど香味を持っておらず添加量も低レベルであり、飲料の香味を変化させることなく泡質を改善する上で有利である。また、本発明のホップ酸化反応産物は、増粘性が低く、飲料の良好な口触りおよび喉越しを実現する上で有利である。また、本発明のホップ酸化反応産物は、良好な溶解性および耐熱性を有しており、発泡性飲料の製造へ適用する上で有利である。
ホップを酸化処理して得られた生成物(実施例1)のHPLCチャート)である。 ホップを酸化処理して得られた生成物(実施例1)のHPLCチャートの拡大図である。 酸化処理されていないホップのHPLCチャートである。 酸化処理されていないホップのHPLCチャートの拡大図である。 低温で酸化処理して得られた生成物(実施例5)のHPLCチャートである。 ホップを酸化処理して得られた生成物(実施例11)のHPLCチャートの拡大図である。Aがトリシクロオキシイソコフムロン、Bがトリシクロオキシイソアドフムロン、Cがトリシクロオキシイソフムロンに対応する。 複数の条件下でホップを酸化処理して得られた生成物中のα酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物の合計量と、TCOIHsトリシクロオキシイソコフムロントリシクロオキシイソフムロンおよびトリシクロオキシイソアドフムロン)の量との関係を示すグラフである。
発明の具体的説明
[ホップ酸化反応産物]
本発明において、ホップ酸化反応産物とは、ホップまたはその加工物(ホップペレット等)を酸化処理して得られるものをいう。本発明により提供されるホップ酸化反応産物は、例えば、ホップを空気中の酸素に接触させて酸化することにより得ることができる。本発明において酸化処理とは特に限定されるものではないが、酸化効率の観点から、好ましくは60℃〜80℃、8時間〜120時間の条件下で酸化処理を行うことができる。酸化処理の手法は後述する。また、本発明においてホップは、ルプリン部を含有するものであれば任意の形態のものでよく、収穫して乾燥させる前のもの、収穫して乾燥したもの、圧縮したもの、粉砕したもの、ペレット状に加工したものなど用いることができる。また、ルプリン部を選択的に濃縮したペレットを用いることもできる。さらに、異性化処理をしたペレットを用いることもできる。
ホップには、α酸(フムロン類)、β酸(ルプロン類)、イソα酸(イソフムロン類)などの酸性樹脂成分が含まれている。本発明において「フムロン類」は、フムロン、アドフムロン、コフムロン、ポストフムロン、およびプレフムロンを含む意味で用いられる。また、本発明において「ルプロン類」はルプロン、アドルプロン、コルプロン、ポストルプロン及びプレルプロンを含む意味で用いられる。さらに、本発明において「イソフムロン類」は、イソフムロン、イソアドフムロン、イソコフムロン、イソポストフムロン、イソプレフムロン、Rho-イソフムロン、Rho-イソアドフムロン、Rho-イソコフムロン、Rho-イソポストフムロン、Rho-イソプレフムロン、テトラハイドロイソフムロン、テトラハイドロイソアドフムロン、テトラハイドロイソコフムロン、テトラハイドロイソプレフムロン、テトラハイドロイソポストフムロン、ヘキサハイドロイソフムロン、ヘキサハイドロイソアドフムロン、ヘキサハイドロイソコフムロン、ヘキサハイドロイソポストフムロン、ヘキサハイドロイソプレフムロンを含む意味で用いられる。なお、イソフムロン類にはシスおよびトランス立体異性体が存在するが、特に断りがない限りその両者を含む意味で用いられる。
後記実施例によると、ホップを酸化処理に付すことによりα酸、β酸、イソα酸の含有量が低減され、これら以外の成分の含有量が増加する。したがって、「ホップ酸化反応産物」の例としては、実施例1と同様のHPLC分析を実施した場合に、酸化反応産物のうちHPLC総ピーク面積に対するα酸、β酸およびイソα酸のピーク面積の割合が、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下であるものが挙げられる。
本発明の酸化反応産物に含まれるα酸、β酸、イソα酸以外の成分は、HPLC等の周知の分析手段により容易に検出することができる。例えば、実施例1に記載の手順で調製されたホップ酸化反応産物には、α酸、β酸およびイソα酸以外の化合物が含まれており、実施例6および7に示す通り、とりわけ、後述するような抽出物の形態をとる場合に、優れた泡質改善作用を示すことができる。したがって、本発明の酸化反応産物の例としては、実施例1のHPLC分析を実施した場合に、酸化反応産物のうちHPLCの総ピーク面積に対するα酸、β酸およびイソα酸以外の成分のピーク面積の割合が、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上であるものが挙げられる。
本発明のホップ酸化反応産物には、例えば、処理条件あるいは摂取の態様によっては、フムロン類などの酸化反応により生成した脂肪酸などが含まれる可能性があり、酸化臭やコゲ臭と表現されるような不快臭により摂取が妨げられる可能性があることが判明した。したがって、本発明の酸化反応産物は、好ましくは、酸化産物中から不快臭が除去されたものである。不快臭の除去の手法は後述する。
[ホップ酸化反応産物抽出物]
本発明のホップ酸化反応産物は、酸化処理に付したホップを水あるいは各種有機媒体などを含む溶媒による抽出や、超臨界二酸化炭素などを用いる超臨界抽出に供して得られる抽出物として利用することが可能であり、本発明は、かかる態様、すなわちホップ酸化反応産物抽出物も包含する。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、およびブタノールなどの炭素数1〜4の低級アルコ−ル;酢酸エチルエステルなどの低級アルキルエステル;エチレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどのグリコール類;その他アセトン、酢酸などの極性溶媒;ベンゼンやヘキサンなどの炭化水素;エチルエーテルや石油エーテルなどのエーテル類などの非極性溶媒などが挙げられるが、後述する不快臭除去を勘案すれば、好ましくは水性媒体であり、より好ましくは、水または極性有機溶媒またはそれらの混合物などの含水性有機溶媒であり、より好ましくは水である。抽出物とすることにより本発明のホップ酸化反応産物を高濃度で利用可能となるほか、保存時の安定性が増すことなどから有利である。
本発明のホップ酸化反応産物抽出物は、好ましくはα酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物を含有している。また、本発明のホップ酸化反応産物抽出物は、「トリシクロイソフムロン等」を含有する。ここで、「トリシクロイソフムロン等」とは、トリシクロオキシイソコフムロン(tricyclooxyisocohumulone)(TCOIcoH:式1)、トリシクロオキシイソフムロン(tricyclooxyisohumulone)(TCOIH:式2)、トリシクロオキシイソアドフムロン(tricyclooxyisoadhumulone)(TCOIadH:式3)が含まれる化合物群である。本明細書では、以下、TCOIcoHTCOIHおよびTCOIadHをまとめてTCOIHsという。
本発明のホップ酸化反応産物抽出物によれば、飲料において優れた泡質改善効果を奏することができる。また、本発明のホップ酸化反応産物抽出物は、飲料に添加する場合、当該抽出物未添加飲料と比較して、泡持ち時間を延長する上で好ましい。
[ホップ酸化反応産物の調製]
酸化処理
本発明の酸化反応産物は、ホップを酸化処理することにより製造することができる。
酸化処理は、好ましくはホップを空気中に放置すること、または空気中で加熱することにより行われる。加熱温度は特に限定されないが、好ましい上限は100℃であり、より好ましい上限は80℃である。加熱温度を100℃以下とする場合には異性化よりも酸化を優先的に進行させる上で有利である。また、好ましい加熱温度の下限は60℃である。加熱温度を60℃以上とする場合には酸化反応を効率的に進行させる上で有利である。また、反応期間も特に限定されるものではなく、ホップの品種や反応温度により適宜決定することができる。例えば、60℃であれば48〜120時間、80℃であれば8〜24時間が好ましい。さらにホップの形態は空気中の酸素と接触できれば特に限定されるものではないが、好ましくは粉末状にすることにより、反応時間を短縮できる。また、ホップは、高湿の環境下で加熱することなく放置すなわち保管してもよい。
酸化処理により、ホップに含まれているα酸、β酸およびイソα酸は酸化反応産物へ変化しうる。これらの成分の酸化の程度はHPLCなどにより分析し確認することができる。
酸化処理に付されるホップはビール添加物として市販されており、本発明では市販品を使用することができる。例えば、ホップ毬花を圧縮しペレット状にしたもの(Type90ペレット)、ルプリン部分が選択的に濃縮されたペレット(Type45ペレット)、または異性化処理したホップペレット(例えば、Isomerized Pellets (HopSteiner社))、などを用いることができる。
不快臭除去処理/抽出物の調製]
ホップを酸化処理に付して得られた酸化反応産物には不快臭があり、摂取の態様によっては悪影響を及ぼしうることから、該処理により生成した不快臭を除去する処理を実施してもよい。
酸化処理に付したホップを、好ましくは水、含水有機溶媒または極性有機媒体(エタノールなど)で抽出することで、不快臭を除去してホップ酸化反応産物を抽出することができる。得られた抽出物がホップ酸化反応産物抽出物である。この方法は極めて簡便で、かつ効率的である点で非常に有利である。抽出温度は特に限定されないが、好ましくは60℃以下であり、抽出効率を勘案すれば、50〜60℃がより好ましい。抽出されたホップの酸化反応産物は、不溶性成分をろ紙などで除去し、濃縮して抽出エキスとすることができる。該抽出物は、食品または飲料等に有利に利用することができる。
[泡質改善剤/飲料]
また、本発明の一つの態様によれば、ホップ酸化反応産物(好ましくはホップ酸化反応酸物抽出物)を含んでなる、泡質改善剤が提供される。本発明の泡質改善剤は、ホップ酸化反応産物(好ましくはホップ酸化反応酸物抽出物)を有効成分としており、泡質改善効果が求められている飲料に添加することにより、その泡質を効果的に改善することができる。ここで、ホップ酸化反応産物抽出物は、好ましくはホップ酸化反応産物の水性媒体抽出物であり、より好ましくは含水性有機溶媒抽出物または水抽出物であり、さらに好ましくは水抽出物である。本発明における泡質改善の効果は、特に限定されないが、例えば、泡持ちの向上、泡の微細性向上、外観向上、飲用感向上、シャンパン感向上などが挙げられる。したがって、一つの態様によれば、本発明の泡質改善剤は、泡持ちの向上剤、泡の微細性向上剤、外観向上剤、飲用感向上剤またはシャンパン感向上剤である。
また、本発明の泡質改善剤は、ホップ酸化反応産物またはホップ酸化反応産物抽出物(例えば、酸化処理に付したホップの水性媒体抽出物等)をそのまま泡質改善剤として用いてもよいが、他の食品衛生上許容可能な添加物をさらに含んでいてもよい。
上記の他の食品衛生上許容可能な添加物としては、特に限定されないが、例えば、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、酸味料、乳化剤、強化剤、製造用剤および香料などを適宜添加してもよい。
また、本発明の泡質改善剤は、液状、粉状、顆粒状などのいずれの形状を有するものであってもよい。
本発明の泡質改善剤中のホップ酸化反応産物抽出物の含有量は、特に規定されないが、例えば、乾燥質量を基準で、10〜100質量%とすることができる。本発明のホップ泡質改善剤の適用は食品であれば制限されず、飲料、飲料以外の食品に適用が可能である。
飲料
また、本発明の一つの態様によれば、ホップ酸化反応産物(好ましくはホップ酸化反応産物抽出物)を含有させてなる、飲料が提供される。
本発明の飲料は、好ましくは、α酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物ならびに/またはTCOIHsを含んでなる。
本発明の飲料におけるα酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物の合計含有量は、好ましくは0〜400ppmであり、より好ましくは0.01〜400ppmであり、さらに好ましくは10〜400ppm、さらに一層好ましくは50〜400ppmである。
また、本発明の飲料におけるTCOIHsの含有量は、好ましくは0.01〜75ppmであり、より好ましくは0.1〜60ppm、さらに好ましくは0.1〜50、さらに一層好ましくは0.1〜0.40ppmである。
本発明のホップ酸化反応産物(好ましくはホップ酸化反応産物抽出物)を飲料に含有させる工程では、ホップ酸化反応産物(好ましくはホップ酸化反応産物抽出物)を飲料の最終製品に加えても、飲料の製造工程前および製造工程中に加えても、製造工程中で酸化処理に付したホップを直接抽出してもよく、飲料の製造工程には加熱工程(例えば、煮込み工程)を含んでいてもよい。また、本発明のホップ酸化反応産物(好ましくはホップ酸化反応産物抽出物)は、摂食時直前に飲料に加えてもよい。さらに、本発明のホップ酸化反応産物(好ましくはホップ酸化反応産物抽出物)を2回以上に分けて、飲料に加えてもよい。
また、ホップ酸化反応産物(好ましくはホップ酸化反応産物抽出物)を飲料へ含有させる手法としては、本発明のホップ酸化反応産物を飲料に加えてもよいし、飲料を本発明のホップ酸化反応産物(好ましくはホップ酸化反応産物抽出物)に加えてもよく、または飲料と、本発明のホップ酸化反応産物(好ましくはホップ酸化反応産物抽出物)と混合して用いてもよい。飲料を本発明のホップ酸化反応産物(好ましくはホップ酸化反応産物抽出物)に加えるとは、例えば、本発明のホップ酸化反応産物(好ましくはホップ酸化反応産物抽出物)が既に存在する容器などに、飲料を加える態様も含まれる。
本発明のホップ酸化反応産物(好ましくはホップ酸化反応産物抽出物)を含有させる飲料は、特にその種類は限定されず、他の食品原料調味料または泡質改善剤などが含有されてなる飲料であってもよい。本発明の飲料の好適な例としては、発泡性飲料であり、具体的な例としては、アルコールを含有する飲料であっても、アルコールを含有しない飲料であってもよく、例えば、サイダー、ラムネ飲料、コーラ飲料、果汁入り炭酸飲料、清涼飲料、低アルコール類(ビール、発泡酒、アルコール度数12%以下のサワー類、カクテル類、チューハイ類など)、ノンアルコールビールなどが挙げられる。これら飲料は、炭酸ベースの発泡性飲料であってよい。本発明の飲料の好適な例としては、好ましくはアルコールを含有しない飲料(非アルコール飲料)であり、泡量の増加の効果が顕著である。なお、本発明のホップ酸化反応産物(好ましくはホップ酸化反応産物抽出物)は、飲料以外の飲食品に適用してもよく、本発明にはかかる態様も包含される。
本発明のホップ酸化反応産物(好ましくはホップ酸化反応産物抽出物)の飲料への添加量は、特に限定されず、添加対象や、供給源の種類および性質に応じて当業者が適宜決定することができるが、例えば、飲料全量に対して、ホップ酸化反応産物抽出物の乾燥重量基準で、好ましくは10〜500ppmであり、より好ましくは20〜200ppmである。
また、本発明の一つの態様によれば、本発明のホップ酸化反応産物(好ましくはホップ酸化反応産物抽出物)を飲料に含有させる工程を含む、泡質の改善された飲料の製造方法が提供される。
また、本発明の別の態様によれば、本発明のホップ酸化反応産物(好ましくはホップ酸化反応産物抽出物)を飲料に含有させる工程を含む、飲料の泡質改善方法が提供される。
本発明の飲料の製造方法および本発明の泡質改善方法は、本発明の飲料に関する上記記載に基づいて実施することができる。
なお、ホップ酸化反応産物(好ましくはホップ酸化反応産物抽出物)の他、飲料に使用可能な他の添加物を飲料へ含有させる場合には、他の添加物はホップ酸化反応産物(好ましくはホップ酸化反応産物抽出物)と同時に飲料に加えてもよく、別々に加えてもよい。さらに、ホップ酸化反応産物(好ましくはホップ酸化反応産物抽出物)を飲料に使用可能な他の添加物と混合して、飲料へ加えてもよい。
以下の例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるも
のではない。
実施例1:酸化処理に付したホップの調製
ペレット状のハラタウペルレ種(HPE種)のホップを試験に供した。ホップをミルで粉砕し、80℃で24時間まで加熱反応時間を保持した。得られた生成物について以下のように前処理を実施した後、HPLC分析に供した。
〔反応物分析前処理〕
採取した生成物を10%w/vとなるようエタノールに添加し、50℃で1時間抽出を行った。得られた抽出液をエタノールで10倍に希釈した。
[HPLC構成装置]
ホンプ:LC-10ADvp×3(SHIMADZU)
デガッサー:DGU-20A5(SHIMADZU)
システムコントローラー:CBM-20A(SHIMADZU)
オートサンプラー:SIL-20ACHT(SHIMADZU)
カラムオーブン:CTO-20AC(SHIMADZU)
フォトダイオードアレー検出器:SPD-M20A(SHIMADZU)
波形解析ソフトウェア:LCSolution(SHIMADZU)
[HPLC条件]
カラム:Alltima C18 2.1mm I.D. x 100mm 粒子径3μm
流速:0.6mL/min
溶出溶媒A:水/リン酸、1000/0.2, (v/v) + EDTA(free) 0.02%(w/v)
溶出溶媒B:アセトニトリル
溶出溶媒C:水
注入量:3μL
カラム温度:40℃
検出波長: 270nm(酸化反応産物、α酸、イソα酸、β酸)
グラジエントプログラム:
上記分析条件にて、検出波長270nmで検出される全ピークの合計面積値(mAU・min)中のα酸、β酸、イソα酸のピークの面積値の比率(%)を算出した。波形解析にあたって、溶媒ピークやインジェクションショックによる負ピークが生じる領域は解析除外領域とした。
上記実施例1の生成物の分析時のHPLCクロマトグラムを図1Aに示す。また、図1Bに拡大図を示し、30分以降の解析時に用いた面積を斜線で示す。
酸化処理を行わなかった際の分析時クロマトグラムを図2Aに示す。また、図2Bに拡大図を示した。α酸、β酸のピークについては、この分析時のα酸(a1、a2、a3)、β酸(b1、b2)の保持時間を基準とした。a1、a2、a3は順にコフムロン、フムロン、アドフムロンであり、b1、b2はそれぞれコルプロン、ルプロンおよびアドルプロンである。
各分析サンプルにおける検出波長270nmで検出される全ピークの合計面積値(mAU・min)中のα酸、β酸、イソα酸のピークの面積値の比率(%)は表2の通りであった。
上記結果から明らかなように、酸化処理して得られた生成物(ホップ酸化反応産物)ではα酸、β酸およびイソα酸の全ピークに対する比率がかなり低下しており、未処理に比べα酸、β酸およびイソα酸が90%程度減少していた。
また、酸化反応によりα酸、β酸およびイソα酸以外のピークが新たに出現していた。すなわち図1Aにおいて矢印A1およびA2で分画される範囲のピーク(α酸、β酸のピークを除く)がこれに該当する。検出波長270nmで検出される全ピークの合計面積値(mAU・min)中の矢印A1およびA2で分画される範囲のピーク(α酸、β酸のピークを除く)の面積値の比率(%)は表3の通りであった。
なお、矢印A1およびA2で分画される範囲のピーク面積値は、保持時間3分から25分までのA1のピーク面積値と、保持時間32分から39分までのA2のピーク面積値(α酸、β酸のピークを除く)との総和である。ここで、A1における「保持時間25分まで」とは、trans-イソコフムロンと同定されているピークの出現までを意味する。
また、図1A左の矢印A1で分画される範囲には、保持時間9.7分付近、保持時間11.8分付近、保持時間12.3分付近に特徴的なピークが認められた。
また、図1A右の矢印A2で分画される範囲には、ショルダーピークが認められ、その始点が保持時間32分付近、そのトップ点(α酸、β酸のピークを除く)は保持時間35分〜36分付近、終点は保持時間39分付近であった。
矢印A1で分画される範囲に検出されるピーク群が本明細書におけるα酸酸化物、イソα酸酸化物、およびβ酸酸化物に該当する。
ここで、全ピークに対する矢印A1で分画される範囲のピークの面積値の比率(%)は、78.0%であった。
上記分析方法にてホップまたは上記生成物(ホップ酸化反応産物)に含まれるα酸、β酸、イソα酸の定量分析が可能である。定量分析用の標準品としては、α酸、β酸、イソα酸は、例えばAmerican Society of Brewing Chemists(ASBC)から入手可能なInternal Calibration StandardsのICE-2、ICS-I2、ICS-T2などが利用できる。
ホップ酸化反応産物中のα酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物の定量
また、上記分析方法にてホップ酸化反応産物に含まれるα酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物を定量した。具体的には図1Aの矢印A1の分画範囲の総ピーク面積値からイソα酸換算値の定量値として当該成分量を算出した。
さらにホップ酸化反応産物抽出物中のα酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物は以下の前処理条件でサンプルを前処理した後、上記HPLC分析法で定量した。
ホップ酸化反応産物抽出物中のα酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物、ならびにTCOIHsの定量分析前処理法
ホップ酸化反応産物抽出物を水に溶解又は懸濁させた。次に、水溶液中塩酸濃度が0.1Nとなるように塩酸を添加しpHを下げ、水層の2倍容量のジクロロメタンにてα酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物を抽出した。次に、ジクロロメタン抽出液を回収し、窒素気流下でジクロロメタンを蒸発させ、エタノールに溶媒を置換し、HPLC分析に供した。定量値の算出は、α酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物については、上述するホップ酸化反応産物中のα酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物の定量法に記載した方法で行った。TCOIHsについては、後述する実施例11に記載の方法で定量した。
ホップ酸化反応産物抽出物を添加した飲料中のα酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物とTCOIHsについても本前処理法で処理した後、それぞれ定量することができる。
実施例2:ホップの酸化反応産物からホップ酸化反応産物抽出物の抽出/不快臭の除去
実施例1の酸化処理に付したホップは酸化反応に起因する脂肪酸などを含んでおり、摂取する態様によっては、この不快臭のため快適な摂取が困難であると考えられた。そこで、不快臭の除去を検討した。
実施例1の生成物100gにエタノールを1Lとなるように添加し、55℃で1時間攪拌し、エタノール抽出物を得た。
次いで、ろ過により抽出残渣を除去し、濃縮を行うことで22gの深緑色固形物(抽出物)を得た。深緑色固形物(抽出物)には不快臭は確認されなかった。
抽出物を希釈してHPLC分析に供し、ホップ酸化反応産物(α酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物)が抽出されていることを確認した。全ピークの合計面積値中のα酸、β酸、イソα酸のピークの面積値の比率(%)は、3%であった。全ピークの合計面積値中の図1の矢印A1(α酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物に相当)およびA2で分画される範囲のピーク(α酸、β酸のピークを除く)の面積値の比率(%)は、97%であった。なお、深緑色固形物(抽出物)のHPLCチャートでは、図1Aの矢印A1(α酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物に相当)およびA2で分画される範囲において、図1Aと同様の極大値を有するピークおよびショルダーピークが確認された。
また、深緑色固形物(ホップ酸化反応産物抽出物)および未酸化ホップペレットについて苦味に関する官能評価(パネラー6名)を行ったところ、深緑色固形物(ホップ酸化反応産物抽出物)では、未酸化ホップペレットより苦味が低減していることが確認された。
実施例3:酸化処理に付したホップの水抽出法
実施例1のホップを、60℃で120時間まで加熱反応時間を保持し、酸化処理に付したホップを得た。該獲得物100gに水を1Lとなるように添加し、55℃で1時間攪拌し、水抽出物を得た。
抽出物をHPLC分析に供したところ、ホップ酸化反応産物が抽出されていることを確認した。全ピークの合計面積値中のα酸、β酸、イソα酸のピークの面積値の比率(%)は2%であった。全ピークの合計面積値中の図1Aの矢印A1およびA2で分画される範囲のピーク(α酸、β酸のピークを除く)の面積値の比率(%)は、98%であった。なお、抽出液のHPLCチャートでは、図1Aの矢印A1およびA2で分画される範囲(α酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物に相当)において、図1Aと同様の極大値を有するピークは確認されたが、ショルダーピークは確認されなかった。
実施例4:水抽出物から得たホップ酸化反応産物抽出物の濃縮
実施例3の水抽出物をスプレードライヤー(日本ビュッヒ社製;B-290)を用いて濃縮したところ、深緑色固形物(水抽出物由来)を得た。
抽出物を希釈してHPLC分析に供し、ホップ酸化反応産物抽出物を確認したところ、濃縮前と同様のピーク形状を示しており、全ピークの合計面積値中のα酸、β酸、イソα酸のピークの面積値の比率(%)は2%と変化していなかった。また、濃縮前後のエキスの香味に関する官能評価(パネラー4名)を行ったところ、香味変化は見られなかった。
実施例5:酸化反応温度、時間の検討
実施例1の方法に従い、ホップペレットを60℃または80℃で酸化処理し、経時的に生成物を採取しHPLCにて測定し、ピーク全体の面積に対するα酸、β酸およびイソα酸のピーク面積の合計のピーク面積比1、および、ピーク全体の面積に対するα酸、β酸およびイソα酸以外(図1Aの矢印A1およびA2で分画される範囲に当たる)のピーク面積比2を算出した。また、実施例2と同様に、未加熱および加熱のいずれのサンプルでも官能評価を実施した。ピーク面積に関する結果は以下の通りであった。
反応温度・時間に比例し、加熱温度が上昇するとピーク面積比2(図1Aの矢印A1およびA2で分画される範囲:α酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物に相当)が大きくなる一方、ピーク1が小さくなり、効率よく苦味の低減が図れることが明らかとなった。また、加熱サンプルのHPLCチャートでは、図1Aの矢印A1およびA2で分画される範囲において、図1Aと同様の極大値を有するピークおよびショルダーピークが確認された。
また、官能評価の結果、全ての加熱サンプルでは、未加熱(未酸化)よりも苦味が低減していることが確認された。
実施例6:低温での酸化処理検討
実施例1の方法に従い、ザーツ種のホップを4℃で5年間保管し、酸化処理を行った。
得られた生成物について、HPLC分析に供した。
上記実施例6の生成物の分析時のHPLC分析クロマトグラムを図3に示す。ホップの品種や反応温度によらず、同様の生成物(ホップ酸化反応産物)を得られることが確認された。
実施例7:ホップ酸化反応産物抽出物による泡質改善試験 (非アルコール飲料)
実施例4で得られた酸化処理に付したホップ(ホップ酸化反応産物)の水抽出物(以下、「ホップ酸化反応産物抽出物」という:α酸、β酸、イソα酸のHPLCピークの面積値の比率(%)は2%)またはイソフムロン溶液(α酸、β酸、イソα酸のHPLCピークの面積値の比率(%)は100%)を試験サンプルとして用い、以下の(1)〜(5)の試験方法にしたがって、非アルコール飲料の泡質改善効果を確認した。
試験方法
(1)果糖ブドウ糖液糖6w/w%、クエン酸0.12w/w%(酸度0.12)、を溶かした溶液に、試験サンプルを添加し、表5に示される組成の飲料溶液1〜5を調製した(ホップ酸化反応産物抽出物およびイソフムロンはエキス中の固形分換算濃度である)。
(2)各飲料溶液を炭酸ガス圧2.0kg/cmとなるよう調整した(炭酸入り飲料溶液)。このとき、ガス圧測定は京都電子工業(株)製GVA−500bを用いた。(1)(2)の操作は20℃の室温で行った。
(3)液温を5℃に調整した。
(4)測定:500mLメスシリンダー(高さ35cm、外径5.5cm・IWAKI製)の口部より上方5cmの位置から炭酸入り飲料溶液100mLを、2L/minの速度で、メスシリンダー中央部に液が落ちるよう注意して注ぎ、生じた泡の体積をメスシリンダーの目盛りから読み取った。また、溶液を注ぎ終わってから泡が消えるまでにかかる時間を測定した。「泡が消えた」という判断は、メスシリンダー上部から見て、液面中央部に泡がなくなり、メスシリンダーの円の外周から1cmの範囲に泡が納まったことをもって判断した(泡の消え方は、まず高さがなくなり液面のみが泡がある状態となる。次に、液面中央部から円の外側に向かって泡が消えていく)。
(5)泡質改善と香味について、パネラー5名により評価した。泡感(飲用感)の評価は
パネラー5名の話合いにより決定した。
試験結果は表6に示される通りであった。
非アルコール飲料の泡量については、ホップ酸化反応産物抽出物およびイソフムロンのいずれにおいても、改善効果が認められた。また、ホップ酸化反応産物抽出物濃度10ppmの場合、無添加のサンプル1と比較して泡量が約4倍に増加し、特に濃度50ppm(α酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物量として)の場合、約5倍に増加した。下記実施例8のアルコール飲料での効果と比較して顕著であることが示された。
一方、泡持時間は、イソフムロンよりも、ホップ酸化反応産物抽出物を添加する方が改善していた。特に、ホップ酸化反応産物抽出物濃度50ppmの場合、イソフムロン濃度50ppmの場合と比較して泡持ち時間が3倍に向上していた。
また、泡質(泡の外観)および飲用感もホップ酸化反応産物抽出物品とイソフムロン添加品とで大きく異なっていた。ホップ酸化反応産物抽出物を添加した場合には、泡が細かくシャンパン感が確認された。また、ホップ酸化反応産物抽出物を添加した場合、飲料の香味への影響は確認されなかった。一方、イソフムロンを添加した場合には、泡が大きく、苦味が確認され、炭酸が弾ける感じは確認されなかった。
以上の通り、泡持時間、泡質および飲用感については、ホップ酸化反応産物抽出物は、イソフムロンよりも、改善効果が高かった。ホップ酸化反応産物抽出物は、イソフムロンよりも総合的な泡質改善効果について評価が高かった。
なお、上記ホップ酸化反応産物抽出物濃度はいずれも、α酸、β酸およびイソα酸量として規定した。
実施例8:ホップ酸化反応産物抽出物の泡質改善効果(アルコール飲料)
実施例4で得られた酸化処理に付したホップの水抽出物(以下、「ホップ酸化反応産物抽出物」という:α酸、β酸、イソα酸のHPLCピークの面積値の比率(%)は3%)またはイソフムロン溶液(α酸、β酸、イソα酸のHPLCピークの面積値の比率(%)は100%)を試験サンプルとして用い、以下の(1)〜(5)の試験方法にしたがって、アルコール飲料の泡感改善効果を確認した。
試験方法
(1) 果糖ブドウ糖液糖6%、クエン酸0.12%(酸度0.12)、およびアルコール5%を溶かした溶液に、試験サンプルを添加し、表7に示される組成の飲料溶液6〜8を調製した(ホップ酸化反応産物抽出物およびイソフムロンはエキス中の固形分換算濃度)。
以下、ガス圧測定、評価方法等は実施例7(2)〜(5)に示した手法と同様の手法により行った。
試験結果は表8に示される通りであった。
アルコール飲料の泡量については、ホップ酸化反応産物抽出物添加品およびイソフムロン添加品のいずれにおいても、改善効果が認められた。また、ホップ酸化反応産物抽出物濃度50ppmの場合、無添加のサンプルNo.1と比較して泡量が約1.3倍に増加した。一方、泡持時間は、イソフムロンよりも、ホップ酸化反応産物抽出物を添加する方が改善しており、泡持ち時間が2.6倍に向上していた。
また、泡質(泡の外観)および飲用感もホップ酸化反応産物抽出物とイソフムロンとで大きく異なっていた。ホップ酸化反応産物抽出物を添加した場合には、泡が細かくシャンパン感が確認された。また、ホップ酸化反応産物抽出物を添加した場合、飲料の香味への影響は確認されなかった。一方、イソフムロンを添加した場合には、泡が大きく、苦味が確認され、炭酸が弾ける感じは確認されなかった。
以上の通り、泡持時間および泡質等について、ホップ酸化反応産物抽出物は、イソフムロンよりも優改善効果が高かった。ホップ酸化反応産物抽出物は、イソフムロンよりも総合的な泡質改善効果について評価が高かった。
なお、上記ホップ酸化反応産物抽出物濃度はいずれも、α酸、β酸およびイソα酸量として規定した。
実施例9:泡質改善試験(ホップ酸化反応産物抽出物とイソフムロンの混合比)
実施例4で得られた酸化処理に付したホップの水抽出物(以下、「ホップ酸化反応産物抽出物」という:α酸、β酸、イソα酸のHPLCピークの面積値の比率(%)は3%)およびイソフムロン溶液(α酸、β酸、イソα酸のHPLCピークの面積値の比率(%)は100%)を所定の割合で混合して試験サンプルとして用い、以下の(1)〜(5)の試験方法にしたがって、含有比の違いによる非アルコール飲料の泡質改善効果を確認した。
なお、本試験では、飲料中のホップ酸化反応産物抽出物およびイソフムロンの合計濃度を50ppm(ホップ酸化反応産物抽出物およびイソフムロンはエキス中の固形分換算濃度)とし、試験サンプルのホップ酸化反応産物抽出物およびイソフムロンの配合比を、100:0、80:20、50:50、20:80または0:100とした。なお、ホップ酸化反応産物抽出物濃度はいずれも、α酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物量として規定した。
試験方法
(1)果糖ブドウ糖液糖6%、クエン酸0.12%(酸度0.12)を溶かした溶液に、試験サンプルを添加し、表9に示される組成の飲料溶液9〜14を調製した。
(2)〜(5)は、実施例7に記載の方法と同様の手法により行った。
試験結果は表10に示される通りであった。
非アルコール飲料の泡量については、ホップ酸化反応産物抽出物およびイソフムロンの配合比がいずれにおいても(サンプルNo.9〜14)、添加品の非添加品に比した改善効果が認められた。
一方、泡持時間は、ホップ酸化反応産物抽出物の配合比が大きい場合ほど改善していた。また、泡質(泡の外観)および飲用感もホップ酸化反応産物抽出物の配合比が大きいほど、細かくシャンパン
様になることが確認された。
以上の通り、泡持時間および泡質等について、ホップ酸化反応産物抽出物の配合比が大きいほど、改善効果が高かった。ホップ酸化反応産物抽出物は、イソフムロンよりも総合的な泡質改善効果について評価が高かった。なお、ホップ酸化反応産物抽出物濃度はいずれも、α酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物量として規定した。
実施例10:様々な飲料におけるホップ酸化反応産物抽出物の泡質改善効果の確認
ペレット状にしたハラタウヘラクレス種(HHS種)ホップを60℃で120時間まで加熱反応時間を保持し、ホップ酸化反応産物を得た。この反応産物50gに水を1Lとなるように添加し、50℃で30分攪拌し、水抽出物(以下、「ホップ酸化反応産物抽出物」という)を得た。
上記ホップ酸化反応産物抽出物(α酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物を含有。α酸、β酸、およびイソα酸のHPLCピークの面積値の比率(%)は3%)を試験サンプルとして用い、以下の試験方法にしたがって、様々な飲料での泡質改善効果を確認した。
10−1:炭酸ガス圧の違い
試験方法
(1)グラニュー糖6%、クエン酸0.12%(酸度0.12)を溶かした溶液に所定量の炭酸ガスを溶解させ炭酸飲料溶液15〜17とした(表11)。そして、それぞれにホップ酸化反応産物抽出物由来のα酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物濃度が0ppmまたは50ppmとなるようにホップ酸化反応産物抽出物を添加した。
ガス圧測定法、その他評価方法は実施例7に示した(2)〜(5)の手法と同様の手法とした。
試験結果は表12に示される通りであった。
ホップ酸化反応産物抽出物を添加することにより、各ガス圧において、泡の体積(泡量)は7〜10倍、泡持ち時間は100〜200倍に向上しており、泡量および泡持時間の向上が確認された。また、泡質(泡の外観)や飲用感もホップ酸化反応産物抽出物添加品が優れていた。よって、ホップ酸化反応産物抽出物添加による泡質改善効果が確認された。
以上の通り、ホップ酸化反応産物抽出物添加による泡質改善効果はどのようなガス圧の炭酸飲料でも発現することが示唆された。
10−1:甘味料の違い
試験方法
(1)クエン酸0.12%(酸度0.12)を溶かした溶液に、甘味料としてグラニュー糖・人工甘味料(アセスルファムK)を添加し、表13に示される組成の飲料溶液18〜20を調製した。そして、それぞれにホップ酸化反応産物抽出物由来のα酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物濃度が0ppmまたは50ppmとなるようにホップ酸化反応産物抽出物を添加した。
ガス圧測定法、その他評価方法は実施例7に示した(2)〜(5)の手法と同様の手法とした。
試験結果は表14に示される通りであった。
ホップ酸化反応産物抽出物を添加することで、各甘味料添加品において、泡の体積(泡量)は7〜15倍、泡持ち時間は70〜200倍に向上しており泡量および泡持時間の向上が確認された。
また、泡質(泡の外観)や飲用感もホップ酸化反応産物抽出物添加品が優れていた。よって、ホップ酸化反応産物抽出物添加による泡質改善効果が確認された。
以上の通り、ホップ酸化反応産物抽出物添加による泡質改善効果はどのような甘味料の炭酸飲料でも発現することが示唆された。
10−3:配合原料の違い
試験方法
(1)グラニュー糖6%、クエン酸0.12%(酸度0.12)、グレープフルーツ果汁、モルトエキス、紅茶エキス、香料を原料として、表15に示される組成の炭酸飲料溶液21〜24を調製した。そして、それぞれにホップ酸化反応産物抽出物由来のα酸酸化物、イソα酸酸化物、およびβ酸酸化物濃度が0ppm又は50ppmとなるようにホップ酸化反応産物抽出物を添加した。
ガス圧測定法、その他評価方法は実施例7に示した(2)〜(5)の手法と同様の手法とした。
試験結果は表16に示される通りであった。
ホップ酸化反応産物抽出物を添加することで、各原料において、泡の体積(泡量)は1.2〜1.7倍、泡持ち時間は1.2〜40倍に向上しており泡量および泡持時間の向上が確認された。
また、泡質(泡の外観)や飲用感もホップ酸化反応産物抽出物添加品が優れていた。よって、ホップ酸化反応産物抽出物添加による泡質改善効果が確認された。
以上の通り、ホップ酸化反応産物抽出物添加による泡質改善効果はどのような原料の炭酸飲料でも発現することが示唆された。
10−4:pHの違い
試験方法
(1)グラニュー糖6%、クエン酸またはクエン酸三Naを添加した、表17に示される組成の飲料溶液25〜26を調製した。そして、それぞれにホップ酸化反応産物抽出物由来のα酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物濃度が0ppmまたは50ppmとなるようにホップ酸化反応産物抽出物を添加した。
ガス圧測定法、その他評価方法は実施例7に示した(2)〜(5)の手法と同様の手法とした。
試験結果は表18に示される通りであった。
ホップ酸化反応産物抽出物を添加することで、各pHにおいて、泡の体積(泡量)は7〜14倍、泡持ち時間は100〜120倍に向上しており泡量および泡持時間の向上が確認された。また、泡質(泡の外観)や飲用感もホップ酸化反応産物抽出物添加品が優れていた。よって、ホップ酸化反応産物抽出物添加による泡質改善効果が確認された。
以上の通り、ホップ酸化反応産物抽出物添加による泡質改善効果はどのようなpHの炭酸飲料でも発現することが示唆された。
実施例11:ホップ酸化反応産物由来のα酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物の構成成分TCOIHに関する分析
ホップ酸化反応産物またはその抽出物中のα酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物の構成成分としてトリシクロオキシイソコフムロンtricyclooxyisocohumuloneTCOIcoH:式1)、トリシクロオキシイソフムロンtricyclooxyisohumuloneTCOIH:式2)、トリシクロオキシイソアドフムロンtricyclooxyisoadhumuloneTCOIadH:式3)が含まれることを確認した(本明細書では、上述の通り、TCOIcoHTCOIHおよびTCOIadHをまとめてTCOIHsという)。
TCOIHsはホップ酸化反応産物からクロマトグラフィー等の公知の分画手法により単離・精製した。
TCOIHsのうち、単離したTCOIHの精密質量測定の結果(m/z 377.1964 [M-H]-、(calcd. for C21H29O6, 377.1970)、TCOIHの分子式はC21H30O6であると推定された。
また、TCOIHの1H、13C-NMRの結果は、表19に示す通りであった。さらに、各種2次元NMR測定の結果からTCOIHの平面構造を決定した。
また、6αMeおよび6βMe基のケミカルシフト値、ならびにNOESY測定結果より、C環部の相対立体配置に関しては、式4に示す通り、7位の1-hydroxy-1-methylethyl基がβ配置であることが示唆された。
ホップ酸化反応産物もしくはその抽出物または抽出物を含む飲料中のTCOIHsは単離、精製したTCOIHを標準品としてHPLCまたはLC-MS等の手法により定量することが可能である。以下にホップ酸化反応産物中のTCOIHsの分析例を示す。
[HPLC条件]
カラム:L-column2 2.1mm I.D. x 150mm 粒子径3μm
流速:0.375mL/min
溶出溶媒A:5mM ギ酸アンモニウム(pH8.5)
溶出溶媒B:アセトニトリル
注入量:3μL
カラム温度:40℃
検出波長: 270nm
グラジエントプログラム:
ホップを60℃120時間酸化処理に付して得たホップ酸化反応産物を実施例1記載の前処理を行ったのち、上記記載のHPLC条件にて分析した結果を図4に示す。図4中AがTCOIcoH、BがTCOIadH、CがTCOIHに対応する。
実施例12:ホップ酸化反応産物中のα酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物ならびにTCOIHsの定量
ホップの酸化の進行とともに、ホップ酸化反応産物に含まれるα酸酸化物・イソα酸酸化物およびβ酸酸化物ならびにTCOIHsの量は増加する。図5にホップを様々な条件で酸化反応に付して得られたホップ酸化反応産物中のα酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物の量と、TCOIHs量とをプロットした。
ホップ酸化反応産物中のα酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物の量とTCOIHs量とには相関が認められた(相関係数r = 0.939)。
また、ホップ酸化反応産物抽出物中のα酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物の量に対するTCOIHsの量は、ホップ酸化反応産物調製時の品種、酸化条件および抽出物の抽出条件によって変動したが、約1.5〜20質量%の範囲であった。
実施例13:飲料中のホップ酸化反応産物由来α酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物、ならびにTCOIHsの安定性
実施例10で調整したホップ酸化反応産物抽出物0.6%、クエン酸0.08%、クエン酸三ナトリウム0.03%を用いてpH3.4の炭酸飲料(炭酸ガス圧2.5kg/cm2)を調製し、65℃10分と同程度の殺菌に伏した後、加熱遮光保存、曝光保存に処した。その後、実施例1および11に記載の方法にて飲料中のα酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物の濃度、ならびにTCOIHs濃度を定量した。結果を表20に示す。
飲料中でホップ酸化反応産物由来のα酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物、ならびにTCOIHsはいずれも安定であり、泡持ち改善効果が長期にわたって維持されることが示唆された。
実施例14:ホップ酸化反応産物中のα酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化成分の濃度、およびTCOIHsと泡質改善効果
実施例10で調整したホップ酸化反応産物抽出物を用いて、その添加量と泡質改善効果との関係を評価した。
試験方法
(1)グラニュー糖6%、クエン酸0.12%(酸度0.12)を溶かした溶液に、飲料中のホップ酸化反応産物抽出物由来のα酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物の濃度を1〜1000ppmとなるように添加し、飲料溶液27〜34とした(表21)。
ガス圧測定法、その他評価方法は実施例7に示した(2)〜(5)の手法と同様の手法とした。
試験結果は表22に示される通りであった。
α酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物の濃度を1〜1000ppm(TCOIHsの濃度として0.141〜141ppm)の間で添加することにより、濃度依存的に泡量は3〜150倍、泡持ち時間は100〜120倍以上に増加した。
すなわち、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物の濃度が1〜1000ppm(TCOIHsの濃度として0.141〜141ppm)の範囲において泡質向上効果が示された。外観味覚への影響を鑑みると、泡質(泡の外観、データ示さず)および飲用感が1000ppm(TCOIHsの濃度として141ppm)で低下傾向にあったことから、1〜500ppm(TCOIHsの濃度として0.141〜70.5ppm)とすることが好ましいと考えられた。また、好ましい苦味が泡感によい影響を与えることや苦味の苦手な需要者にも認容されうることから、10〜400ppm(TCOIHsの濃度として0.141〜56.4ppm)、さらには50〜400ppm(TCOIHsの濃度として7.191〜56.4ppm)とすることが好ましいと考えられた。
実施例15: TCOIHsの濃度と泡質改善効果
複数のホップ酸化反応産物抽出物を用意し、TCOIHsの濃度と泡質改善効果を評価した。
[サンプル]
(i)HPEペレットを20℃熟成品からのホップ酸化反応産物抽出物(α酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物)として1ppmまたは10ppm含有する飲料(TCOIHsとしては0.038ppmまたは0.38ppm含有)
(ii)HPEペレットを 4℃熟成品からのホップ酸化反応産物抽出物(α酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物)として10ppm含有する飲料(TCOIHsとしては0.36ppm含有)
(iii)HHSペレットを80℃熟成品からのホップ酸化反応産物抽出物(α酸酸化物、イソα酸酸化物およびβ酸酸化物)として500ppm含有する飲料(TCOIHsとしては105ppm含有)
[試験方法]
(1)グラニュー糖6%、クエン酸0.12%(酸度0.12)を溶かした溶液に、試験サンプルを添加し、表23に示される組成の飲料溶液35〜39を調製した。
ガス圧測定法、その他評価方法は実施例7に示した(2)〜(5)の手法と同様の手法とした。
試験結果は表24に示される通りであった。TCOIHsを0.038〜105ppm添加した飲料において、濃度依存的に泡量は6〜11倍、泡持ち時間は4〜90倍以上に増加した。
すなわち、TCOIHsを0.038〜105ppm添加した飲料において、泡質向上効果が示された。
外観味覚への影響を鑑みると、泡質(泡の外観、データ示さず)および飲用感が105ppmで低下傾向にあったことから、飲料中の濃度は80ppm未満とすることがより好ましいと考えられた。

Claims (15)

  1. ホップ酸化反応産物を含有する、泡質の改善された発泡性飲料であって、
    前記飲料中のトリシクロオキシイソコフムロン、トリシクロオキシイソフムロンおよびトリシクロオキシイソアドフムロンの合計含有量が0.01〜75ppmである、発泡性飲料。
  2. 前記ホップ酸化反応産物が、そのHPLC分析による総ピーク面積に対するイソα酸、α酸およびβ酸のピーク面積の割合が20%以下である、請求項1に記載の発泡性飲料:[前記HPLC分析の条件]
    カラム: C18 2.1mm I.D. x 100mm 粒子径3μm
    流速:0.6mL/min
    溶出溶媒A:水/リン酸、1000/0.2, (v/v) + EDTA(free) 0.02%(w/v)
    溶出溶媒B:アセトニトリル
    溶出溶媒C:水
    注入量:3μL
    カラム温度:40℃
    検出波長: 270nm(酸化反応産物、イソα酸、α酸、β酸)
    グラジエントプログラム:
  3. 前記ホップ酸化反応産物のHPLC分析による総ピーク面積に対するイソα酸、α酸およびβ酸以外のピーク面積の割合が80%以上である、請求項2に記載の飲料。
  4. 前記ホップ酸化反応産物の飲料中の濃度が10〜500ppmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発泡性飲料。
  5. 前記ホップ酸化反応産物が、ホップ酸化反応産物抽出物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発泡性飲料。
  6. 前記ホップ酸化反応産物抽出物が、ホップ酸化反応産物の水性媒体抽出物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の発泡性飲料。
  7. 飲料中のα酸酸化物、イソα酸酸化物、およびβ酸酸化物の合計含有量が0.01〜400ppmである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の発泡性飲料。
  8. 飲料中のトリシクロオキシイソコフムロン、トリシクロオキシイソフムロンおよびトリシクロオキシイソアドフムロンの合計含有量が0.1〜50ppmである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の発泡性飲料。
  9. 前記トリシクロイソフムロンが7β-トリシクロイソフムロンである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の発泡性飲料。
  10. ホップ酸化反応産物を飲料に含有させる工程を含む、泡質の改善された発泡性飲料の製造方法であって、
    前記泡質の改善された飲料中のトリシクロオキシイソコフムロン、トリシクロオキシイソフムロンおよびトリシクロオキシイソアドフムロンの合計含有量が0.01〜75ppmである、製造方法。
  11. 前記ホップ酸化反応産物がホップ酸化反応産物抽出物である、請求項10に記載の発泡性飲料の製造方法。
  12. 前記トリシクロイソフムロンが7β-トリシクロイソフムロンである、請求項10または11に記載の製造方法。
  13. ホップ酸化反応産物を飲料に含有させる工程を含む、発泡性飲料の泡質改善方法であって、
    前記泡質の改善された飲料中のトリシクロオキシイソコフムロン、トリシクロオキシイソフムロンおよびトリシクロオキシイソアドフムロンの合計含有量が0.01〜75ppmである、方法。
  14. 前記ホップ酸化反応産物がホップ酸化反応産物抽出物である、請求項13に記載の泡質改善方法。
  15. 前記トリシクロイソフムロンが7β-トリシクロイソフムロンである、請求項13または14に記載の泡質改善方法。
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