JP5229933B2 - 発酵アルコール飲料製造用後熟ホップの製造方法 - Google Patents
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(A)R−フラクション比率A:サンプル中の苦味成分を、HPLC用カラム;C18オクタデシルカラム、粒径5μm×内径4.0mm×カラム長250mm[Nucleosil 100−5C18[商品名(商標)] 4.0×250mm]を用いて、蒸留水27%、メタノール72%、および、リン酸1%からなる移動相Aを、1ml/分の一定流速で270nmの検出波長のHPLCによる測定をした場合において、4.5分、6.7分、7.6分および9.5分の各々±1分のリテンションタイムの順で検出される4つのピーク面積の総和であるR−フラクションを、リテンションタイムが10分〜40分のHPLC送液の組成を、前記移動相A100%から、メタノール99%およびリン酸1%からなる移動相B100%に至るように連続かつ直線的なグラジエントをかけた場合において、検出されるα酸及びβ酸由来のピーク面積の総和で除した値、
(B)R−フラクション比率B:サンプル中の苦味成分を、HPLC用カラム;C18オクタデシルカラム、粒径5μm×内径4.0mm×カラム長250mm[Nucleosil 100−5C18[商品名(商標)] 4.0×250mm]を用いて、蒸留水27%、メタノール72%、および、リン酸1%からなる移動相Aを、1ml/分の一定流速で270nmの検出波長のHPLCによる測定をした場合において、4.5分、6.7分、7.6分および9.5分の各々±1分のリテンションタイムの順で検出される4つのピーク面積の総和であるR−フラクションを、リテンションタイムが10分〜40分のHPLC送液の組成を、移動相A100%から、メタノール99%及びリン酸1%からなる移動相B100%に至るように連続かつ直線的なグラジエントをかけた場合において、検出されるイソα酸由来の3つのピーク面積の総和で除した値、
(C)4−メチル−3−ペンテン−1−オール比率:発酵前溶液、発酵液、又は発酵アルコール飲料中の香気成分をC18固相カラムで抽出後、GC/MS質量分析器を用いて検出した場合において、内部標準物質Borneolのピーク強度に対する4−メチル−3−ペンテン−1−オールのピーク強度の比率を、ビールの苦味価B.U.で除した値。
本発明の実施に際しては、GC/MS質量分析器、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)及び味センサーが用いられる。本発明において用いられるGC/MS質量分析器、HPLC及び味センサーとしては、市販の装置を用いることができる。
ホップペレットにおけるR−フラクション比率Aの算出について説明する:ホップペレット0.5gを市販ミキサーで粉砕し、この粉砕ホップにメタノール:リン酸=10:1の比率で作成した混合液10mlを加え懸濁させる。次に1時間穏やかに上下に懸濁液を攪拌させ調整したサンプルを下記分析条件下に、HPLCに供する。HPLCでの分析条件はEBC Method 7.7に準じる方法で実施した。
カラム:Nucleosil 100−5C18 4.0×250mm
サンプル注入量:50μl
移動相A組成:蒸留水27.0%・メタノール72.0%・リン酸1.0%
移動相B組成:メタノール99.0%・リン酸1.0%
移動相流速:1ml/min.(流速一定)
検出波長:270nm
フルポン(Hulupone)を含む4つのピークであるR−フラクション エリア面積から、次式によりR−フラクション比率A(指標)を算出する:[R−フラクション比率A=(R−フラクションピーク面積の和)/(α酸+β酸のピーク面積の和)]
冷却麦汁におけるR−フラクション比率Bの算出について説明する:イソオクタン抽出したサンプルを用いてHPLCにより、EBC Method 7.8に記載された方法に準じる方法で実施した。分析の結果を、図3に示す。なおR.T.=10minまでの非イソα酸画分のピークの分離を改善させるため、一部グラジエントプログラムを変更した(1と同条件)。ホップの保管酸化に伴い増大するR.T.=10分までに出現するピーク(R−Fraction)のうち特に増大が大きい4つのピークに着目し、この4つのピーク面積の和を冷却麦汁でのイソα酸由来の3つのピーク面積の総和で割った値をR−フラクション比率Bとする(図4)。エリア面積はHPLCシステムで自動認識され、垂直分割されたピークの面積とする(図4)。
フルポン(Hulupone)を含む4つのピークであるR−フラクション エリア面積から、次式により冷却麦汁におけるR−フラクション比率B(指標)を算出する:[冷却麦汁におけるR−フラクション比率B=(R−フラクションピーク面積の和)/(イソα酸の3つのピーク面積の和)]
GC/MSによるホップ香気成分の分析について説明する:ビール中の香気成分をC18固相カラムで抽出し、それをGC/MSに供した。ボルネオール(Borneol)を内部標準物質として用い、SIMモードで一定既知濃度のボルネオールのピーク強度に対するサンプル中の4−メチル−3−ペンテン−1-オール(4−methyl−3−penten−1−ol)に該当するピーク強度の比率を求めることで、4−メチル−3−ペンテン−1-オールの濃度を相対的に算出した。GC/MSにおけるホップ香気成分の分析条件は表2のとおり。後熟ホップを、100%使用した試醸品の分析結果を図5示す。
4−メチル−3−ペンテン−1-オール比率を、次式から算出する:[4−メチル−3−ペンテン−1-オール比率=(内部標準ボルネオールに対する4−メチル−3−ペンテン−1-オール レスポンス比率)/(サンプルB.U.値)]
<(1)評価用サンプルの調製>
評価に用いた貯酒サンプルは1.5Lスケールの装置を用いて作成した。仕込麦汁13.5度に調製した仕込麦汁(仕込時の麦芽使用比率67%,副原料(米・コーングリッツ・コーンスターチ)使用比率33%)をサンプルとして煮沸試験に用いた。電気ヒーターで麦汁を加温煮沸し、煮沸強度は一定で、90分間で蒸発率が10%となるようにコントロールして行い、ホップは煮沸開始直後に添加した。煮沸終了後、蒸発量と同量の水をサンプルに追加した上で、95℃で60分麦汁静置させた。ろ紙ろ過後、氷水で麦汁を冷却させた麦汁にビール酵母を添加し、12℃で1週間主発酵、4日間後発酵を行なったサンプルを試飲用貯酒サンプルとした。
ビール官能のためのトレーニングを受けたパネルによって、試醸サンプルの苦味評価を実施した。サンプル評価の実施の際には(1)で作製した貯酒サンプルのBUを予め測定し、B.U.を25となるように必要に応じて炭酸水でサンプルの稀釈を行なった。サンプル評価においては、専用の評価用紙を用い、B.U.=25である市販ビールを標準を評価3とし、それと比較して苦味質、苦味強度、後苦味を5段階で評価した。またパネルに苦味強度として実際に感じられる苦味感を評価するために、感知苦味をB.U.値として評価した。またその他サンプルに対する評価をフリーコメントとして記述した(実施例における表4、5、7参照)。
味センサーとして、Insent社製 「Taste sensing system SA402B」を用いた。
この装置は、生体での味検出機構を模倣し、被測定溶液中に浸漬させた特定の味覚に反応する人工脂質膜の表面電位を測定することにより、味を検出している。
各サンプルを測定時間30秒でそれぞれ3回ずつのCPA測定を実施した。
サンプルを測定する前の基準液の測定値をVr、サンプルの測定値をVs、サンプル測定後の基準液の測定値をVr’とする。基準液は人の唾液に相当し、そこからの電位変化が味信号であり、ここでは相対値(Vs−Vr)と呼ぶ。またサンプルを測定した前後での基準液の測定値の変化(Vr’−Vr)は膜に呈味物質が吸着したことにより、膜の電荷密度や構造が変化したことに由来すると考えられる。人に置き換えれば、ビールを飲んだ後もしばらく口の中に苦味が残った結果生じる後味に相当する。(Vr’−Vr)をCPA(Change of membrane Potential caused by Adsorption )値と呼ぶ。
(a)洗浄液1(エタノール溶液)60秒
(b)洗浄液2(基準液による共洗い)30秒
(c)洗浄液3(基準液による共洗い)30秒
(d)安定液にて安定判定30秒
(e)サンプル測定30秒
(f)洗浄液4(基準液による共洗い)3秒
(g)洗浄液5(基準液による共洗い)3秒
(h)CPA液測定30秒
(i)測定によって得られたデータには一様なドリフトがあるため、統計解析に基づいた補正を実施する。
フルポン(Hulupone)を含む4つのR−フラクションのエリア面積から、発酵アルコール飲料におけるR−フラクション比率B(指標)を算出する。[発酵アルコール飲料におけるR−フラクション比率B=(R−フラクションの4つのピーク面積の和)/(イソα酸の3つのピーク面積の和)
[4−メチル−3−ペンテン−1−オール濃度=(4−メチル−3−ペンテン−1−オール濃度)/(発酵アルコール飲料のB.U.値)
Claims (4)
- 発酵アルコール飲料の原料として用いるホップの加工方法において、予め、ホップの熟成条件に対する、ホップ中、又は、ホップを用いた発酵アルコール飲料を製造する際の発酵前溶液、発酵液、若しくは発酵アルコール飲料における下記(A)で定義されるR−フラクション比率A、下記(B)で定義されるR−フラクション比率B、及び、(C)で定義される4−メチル−3−ペンテン−1−オール比率の1又は2以上を、サンプルを測定して求め、かかる測定して求めた数値を指標としてホップの熟成度を調整することを特徴とする後熟ホップの製造方法。
(A)R−フラクション比率A:サンプル中の苦味成分を、HPLC用カラム;C18オクタデシルカラム、粒径5μm×内径4.0mm×カラム長250mmを用いて、蒸留水27%、メタノール72%、および、リン酸1%からなる移動相Aを、1ml/分の一定流速で270nmの検出波長のHPLCによる測定をした場合において、4.5分、6.7分、7.6分および9.5分の各々±1分のリテンションタイムの順で検出される4つのピーク面積の総和であるR−フラクションを、リテンションタイムが10分〜40分のHPLC送液の組成を、前記移動相A100%から、メタノール99%およびリン酸1%からなる移動相B100%に至るように連続かつ直線的なグラジエントをかけた場合において、検出されるα酸及びβ酸由来のピーク面積の総和で除した値、
(B)R−フラクション比率B:サンプル中の苦味成分を、HPLC用カラム;C18オクタデシルカラム、粒径5μm×内径4.0mm×カラム長250mmを用いて、蒸留水27%、メタノール72%、および、リン酸1%からなる移動相Aを、1ml/分の一定流速で270nmの検出波長のHPLCによる測定をした場合において、4.5分、6.7分、7.6分および9.5分の各々±1分のリテンションタイムの順で検出される4つのピーク面積の総和であるR−フラクションを、リテンションタイムが10分〜40分のHPLC送液の組成を、移動相A100%から、メタノール99%及びリン酸1%からなる移動相B100%に至るように連続かつ直線的なグラジエントをかけた場合において、検出されるイソα酸由来の3つのピーク面積の総和で除した値、
(C)4−メチル−3−ペンテン−1−オール比率:発酵前溶液、発酵液、又は発酵アルコール飲料中の香気成分をC18固相カラムで抽出後、GC/MS質量分析器を用いて検出した場合において、内部標準物質Borneolのピーク強度に対する4−メチル−3−ペンテン−1−オールのピーク強度の比率を、ビールの苦味価B.U.で除した値。 - 発酵アルコール飲料の原料として用いるホップの加工方法において、ホップペレット中の苦味成分を分析する場合において、粉砕したホップペレット0.5gを、メタノール10に対してリン酸1の割合で溶解したメタノール/リン酸溶液10mlに懸濁・攪拌させたサンプルから測定して求めたR−フラクション比率Aが、0.2から0.4となるようにホップの熟成度を調整することを特徴とする、請求項1記載の後熟ホップの製造方法。
- 発酵アルコール飲料の原料として用いるホップの加工方法において、発酵前溶液、発酵液、若しくは発酵アルコール飲料のイソオクタン抽出物から測定して求めたR−フラクション比率Bが、0.30から0.40となるようにホップの熟成度を調整することを特徴とする請求項1記載の後熟ホップの製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか記載の後熟ホップの製造方法によって製造された後熟ホップを用いたことを特徴とする、苦味と旨味が調和し香味に優れた発酵アルコール飲料の製造方法。
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