JP6198996B1 - 太陽電池および太陽電池を生産する方法 - Google Patents

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Abstract

太陽電池の開放電圧および変換効率を高くする。太陽電池において、pn接合体は、pn接合を有し、一方の主面、端面および他方の主面を有する。一方の主面は、p型の導電型を呈する。他方の主面は、n型の導電型を呈する。第1の誘電体膜は、一方の主面を覆う部分および端面を覆う部分からなる。一方の主面を覆う部分は、第1の酸化アルミニウム膜を含む。端面を覆う部分は、第2の酸化アルミニウム膜を含む。第2の誘電体膜は、他方の主面を覆い、酸化アルミニウム膜を含まない。第1の電極は、一方の主面を覆う部分を貫通し、一方の主面に接し、銀を含む。第2の電極は、第2の誘電体膜を貫通し、他方の主面に接し、銀を含むがアルミニウムを含まない。

Description

本発明は、太陽電池および太陽電池を生産する方法に関する。
従来の太陽電池においては、例えば、n型シリコン基板の受光面にテクスチャと呼ばれる微小な凹凸が形成され、n型シリコン基板の受光面の全体に沿ってp型の導電型を有する不純物拡散層が形成され、n型シリコン基板の裏面の全体に沿ってn型の導電型を有する不純物拡散層が形成される。p型の導電型を有する不純物拡散層により、受光面がp型の導電型を呈し、pn接合がn型シリコン基板に形成され、pn接合体が得られる。n型の導電型を有する不純物拡散層により、裏面がn型の導電型を呈する。
受光面は、パッシベーション膜及び光反射防止膜になる誘電体膜で覆われる。受光面を覆う誘電体膜は、パッシベーション膜及び光反射防止膜になる窒化シリコン膜等からなる単層膜である場合もあるし、パッシベーション膜になる酸化アルミニウム膜等および光反射防止膜になる窒化シリコン膜等からなる積層膜である場合もある。
裏面は、パッシベーション膜になる誘電体膜で覆われる。裏面を覆う誘電体膜は、窒化シリコン膜等である。
受光面を覆う誘電体膜には、櫛状の平面形状を有する電極が貫通させられる。受光面を覆う誘電体膜を貫通する電極は、電極前駆体に受光面を覆う誘電体膜をファイアースルーさせることにより形成される。
裏面を覆う誘電体膜には、櫛状の平面形状を有する電極が貫通させられる。裏面を覆う誘電体膜を貫通する電極は、電極前駆体に裏面を覆う誘電体膜をファイアースルーさせることにより形成される。
特許文献1に記載された太陽電池は、従来の太陽電池の一例である。
特許文献1に記載された太陽電池においては、n型シリコン基板がリンドープ{100}N型アズカットシリコン基板(以下では「リンドープ基板」という。)であり、p型の導電型を有する不純物拡散層がホウ素拡散層であり、n型の導電型を有する不純物拡散層がリン拡散層である(段落0042)。ホウ素拡散層は、2枚のリンドープ基板のうちの一方のリンドープ基板の裏面と2枚のリンドープ基板のうちの他方のリンドープ基板の裏面とが重ねられたものを臭化ホウ素雰囲気中において1000℃で熱処理することにより形成される(段落0042)。リン拡散層は、2枚のリンドープ基板のうちの一方のリンドープ基板の裏面と2枚のリンドープ基板のうちの他方のリンドープ基板の裏面とが重ねられたものをオキシ塩化リン雰囲気中において850℃で熱処理することにより形成される(段落0042)。
テクスチャは、熱濃水酸化カリウム水溶液によりリンドープ基板からスライスダメージを除去した後にリンドープ基板を水酸化カリウム/2−プロパノール水溶液中に浸漬することにより形成される(段落0042)。
受光面を覆う誘電体膜は、パッシベーション膜になる酸化アルミニウム膜および光反射防止膜になる酸化チタン膜からなる積層膜である(段落0002、0005および0043)。酸化アルミニウム膜は、原子層堆積法により形成される(段落0043)。酸化チタン膜は、常圧CVD法により形成される(段落0043)。
裏面を覆う誘電体膜は、パッシベーション膜になる窒化シリコン膜である(段落0004および0042)。窒化シリコン膜は、プラズマCVD法により形成される(段落0042)。
特許文献1の記載によれば、ファイアースルー後に電極を受光面に電気的に良好に接触させるためには、酸化アルミニウム膜は、40nm以下の厚さを有さなければならず、望ましくは30nm以下の厚さを有し、特に望ましくは20nm以下の厚さを有する(段落0021および0032)。また、特許文献1の記載によれば、酸化アルミニウムが20nm以上100nm以下の厚さを有する場合は、酸化アルミニウム膜がパッシベーション膜になる(段落0033および図7)。
国際公開第2011/033826号
特許文献1に記載された太陽電池に代表される従来の太陽電池においては、pn接合体の端面が誘電体膜に覆われない。このため、pn接合体の端面におけるキャリア再結合が起こりやすく、開放電圧が低くなる。
また、pn接合体のn型の導電型を呈する主面の一部が酸化アルミニウム膜で覆われてしまう場合があり、n型の導電型を呈する主面への電気的接続に適したアルミニウムを含まない電極とn型の導電型を呈する主面との接触抵抗が高くなり変換効率が低くなる場合がある。
本発明は、これらの問題を解決することを目的とする。本発明が解決しようとする課題は、pn接合体の端面におけるキャリア再結合を起こりにくくし、太陽電池の開放電圧を高くすることである。
また、本発明が解決しようとする課題は、アルミニウムを含まない電極とpn接合体のn型の導電型を呈する主面との接触抵抗を低くし、太陽電池の変換効率を高くすることである。
(1)本発明の第1の態様においては、太陽電池が、pn接合体、第1の誘電体膜、第2の誘電体膜、第1の電極および第2の電極を備える。
pn接合体は、pn接合を有し、一方の主面、端面および他方の主面を有する。一方の主面は、p型の導電型を呈する。他方の主面は、n型の導電型を呈する。
第1の誘電体膜は、一方の主面を覆う部分および端面を覆う部分からなる。一方の主面を覆う部分は、第1の酸化アルミニウム膜を含む。端面を覆う部分は、第2の酸化アルミニウム膜を含む。
第2の誘電体膜は、他方の主面を覆い、酸化アルミニウム膜を含まない。
第1の電極は、一方の主面を覆う部分を貫通し、一方の主面に接し、銀を含む。
第2の電極は、第2の誘電体膜を貫通し、他方の主面に接し、銀を含むがアルミニウムを含まない。
第1の部分は、第1の酸化シリコン膜を含み、第2の部分は、第2の酸化シリコン膜を含み、pn接合体、第1の酸化シリコン膜および第2の酸化シリコン膜は、堆積膜を備えずpn接合体と第1の酸化シリコン膜との基板内界面およびpn接合体と第2の酸化シリコン膜との基板内界面を有する基板を構成する。
(2)本発明の第2の態様においては、太陽電池を生産する方法が、pn接合体を準備する工程、第1の誘電体膜を形成する工程、第2の誘電体膜を形成する工程、第1の電極前駆体および第2の電極前駆体を形成する工程ならびに複合体を焼成する工程を備える。
pn接合体は、pn接合を有し、一方の主面、端面および他方の主面を有する。一方の主面は、p型の導電型を呈する。他方の主面は、n型の導電型を呈する。
第1の誘電体膜は、一方の主面を覆う部分および端面を覆う部分からなる。一方の主面を覆う部分は、第1の酸化アルミニウム膜を含む。端面を覆う部分は、第2の酸化アルミニウム膜を含む。
第1の誘電体膜が形成される場合は、第1の酸化アルミニウム膜、第2の酸化アルミニウム膜および第3の酸化アルミニウム膜が形成される。第3の酸化アルミニウム膜は、他方の主面の上にはみ出す。続いて、第1の酸化アルミニウム膜を覆う第1のマスク膜及び第2の酸化アルミニウム膜を覆う第2のマスク膜が形成される。このときには、第3の酸化アルミニウム膜が覆われないようにされる。続いて、第3の酸化アルミニウム膜が除去される。このときには、第1のマスク膜が第1の酸化アルミニウム膜を覆い第2のマスク膜が第2の酸化アルミニウム膜を覆う状態が維持され、第1の酸化アルミニウム膜および第2の酸化アルミニウム膜が除去されないようにされる。
第2の誘電体膜は、他方の主面を覆い、酸化アルミニウム膜を含まない。第2の誘電体膜は、第1の誘電体膜が形成される前に形成されてもよく、第2の誘電体膜が形成された後に形成されてもよい。
第1の電極前駆体は、一方の主面に対向し、銀を含む。第2の電極前駆体は、第2の誘電体膜を挟んで他方の主面に対向し、銀を含むがアルミニウムを含まない。第1の電極前駆体および第2の電極前駆体が形成されることにより、pn接合体、第1の誘電体膜、第2の誘電体膜、第1の電極前駆体および第2の電極前駆体を備える複合体が得られる。
複合体が焼成されることにより、第1の電極前駆体は、第1の電極に変化する。第1の電極は、一方の主面を覆う部分を貫通し、一方の主面に接する。また、第2の電極前駆体は、第2の誘電体膜をファイアースルーし、第2の電極に変化する。第2の電極は、第2の誘電体膜を貫通し、他方の主面に接する。
本発明によれば、pn接合体の端面が酸化アルミニウム膜を含む誘電体膜に覆われるため、pn接合体の端面におけるキャリア再結合が起こりにくい。これにより、太陽電池の開放電圧が高くなる。
また、本発明によれば、pn接合体のn型の導電型を呈する主面を覆う誘電体膜が酸化アルミニウム膜を含まないため、pn接合体のn型の導電型を呈する主面への電気的接続に適したアルミニウムを含まない電極がpn接合体のn型の導電型を呈する主面に接することが阻害されない。これにより、アルミニウムを含まない電極とpn接合体のn型の導電型を呈する主面との接触抵抗が低くなり、太陽電池の変換効率が高くなる。
実施の形態1の太陽電池を模式的に示す断面図である。 実施の形態1の太陽電池を模式的に示す上面図である。 実施の形態1の太陽電池を模式的に示す下面図である。 実施の形態1の太陽電池を生産する手順を示すフローチャートである。 実施の形態1の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。 実施の形態1の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。 実施の形態1の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。 実施の形態1の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。 実施の形態1の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。 実施の形態1の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。 実施の形態1の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。 実施の形態1の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。 実施の形態1の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。 実施の形態1の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。 実施の形態1の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。 第3の酸化アルミニウム膜を除去する時間と電流密度との関係を示す図である。 第3の酸化アルミニウム膜を除去する時間と開放電圧との関係を示す図である。 第3の酸化アルミニウム膜を除去する時間と曲線因子との関係を示す図である。 第3の酸化アルミニウム膜を除去する時間と効率との関係を示す図である。 実施の形態2の基本例の太陽電池を模式的に示す断面図である。 実施の形態2の基本例の太陽電池を生産する手順を示すフローチャートである。 実施の形態2の基本例の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。 実施の形態2の基本例の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。 実施の形態2の基本例の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。 実施の形態2の基本例の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。 実施の形態2の基本例の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。 実施の形態2の基本例の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。 実施の形態2の基本例の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。 実施の形態2の変形例の太陽電池を模式的に示す断面図である。 実施の形態2の変形例の太陽電池を生産する手順を示すフローチャートである。 実施の形態2の変形例の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。 実施の形態2の変形例の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。 実施の形態2の変形例の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。 実施の形態2の変形例の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。 実施の形態2の変形例の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。 実施の形態2の変形例の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。 実施の形態3の太陽電池を模式的に示す断面図である。 実施の形態3の太陽電池を生産する手順を示すフローチャートである。 実施の形態3の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。 実施の形態3の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。 実施の形態3の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。 実施の形態3の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。 実施の形態3の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。 実施の形態3の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。 実施の形態3の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。 実施の形態3の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。 実施の形態3の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。
1 実施の形態1
1.1 太陽電池
図1は、実施の形態1の太陽電池を模式的に示す断面図である。図2は、実施の形態1の太陽電池を模式的に示す上面図である。図3は、実施の形態1の太陽電池を模式的に示す下面図である。
図1、2および3の各々に示されるように、太陽電池1000は、シリコン基板1010、第1の酸化アルミニウム膜1011、第2の酸化アルミニウム膜1012、第1の窒化シリコン膜1013、第2の窒化シリコン膜1014、第3の窒化シリコン膜1015、第1の電極1016および第2の電極1017を備える。シリコン基板1010は、ボロン拡散層1020、n型シリコン層1021およびリン拡散層1022を備え、一方の主面である受光面1060、端面1061および他方の主面である裏面1062を有する。
シリコン基板1010は、pn接合体1030を構成する。第1の酸化アルミニウム膜1011および第1の窒化シリコン膜1013は、第1の誘電体膜1040のうちの受光面1060を覆う部分1050を構成する。第2の酸化アルミニウム膜1012および第2の窒化シリコン膜1014は、第1の誘電体膜1040のうちの端面1061を覆う部分1051を構成する。第3の窒化シリコン膜1015は、裏面1052を覆う第2の誘電体膜1041を構成する。
受光面1060に光が照射された場合は、pn接合体1030の内部にキャリアが光生成し、第1の電極1016および第2の電極1017を経由して太陽電池1000から電力を取り出すことができる。
シリコン基板1010の表面1055には、テクスチャが形成される。テクスチャは、微小な凹凸であり、表面1055に光を閉じ込める。凹凸を形成する突起の各々は、典型的には一辺が0.1〜10μmの長さを有する構造物である。テクスチャは微小な凹凸であるため、図1、2および3にテクスチャは描かれていない。
シリコン基板1010は、主にシリコンからなる。
ボロン拡散層1020は、受光面1060に沿い、p型の導電型を有する。ボロン拡散層1020により、受光面1060はp型の導電型を呈する。pn接合体1030は、p型の導電型を有するボロン拡散層1020とn型の導電型を有するn型シリコン層1021との界面にpn接合1070を有する。このため、ボロン拡散層1020は、エミッターになる。ボロン拡散層1020が他の種類のp型の導電型を有する不純物拡散層に置き換えられてもよい。例えば、ボロン拡散層1020がアルミニウム拡散層、ガリウム拡散層、インジウム拡散層等に置き換えられてもよい。
リン拡散層1022は、裏面1062に沿い、n型の導電型を有する。リン拡散層1022により、裏面1062はn型の導電型を呈する。リン拡散層1022により、シリコン基板1010の内部に電界が発生し、シリコン基板1010の内部に光生成したキャリアが裏面1062から遠ざけられる。すなわち、リン拡散層1022は、BSF(Back Surface Field)層になる。リン拡散層1022が他の種類のn型の導電型を有する不純物拡散層に置き換えられてもよい。例えば、リン拡散層1022がアンチモン拡散層、ヒ素拡散層等に置き換えられてもよい。
n型シリコン層1021は、n型の導電型を有し、ボロン拡散層1020とリン拡散層1022との間にあり、端面1061に露出する。これにより、ボロン拡散層1020とリン拡散層1022とは端面1061において互いに分離され、ボロン拡散層1020とリン拡散層1022との間にリーク電流が流れることが抑制される。
第1の誘電体膜1040は、受光面1060を覆う部分1050および端面1061を覆う部分1051からなり、裏面1062を覆う部分を備えない。
受光面1060を覆う部分1050は、第1の酸化アルミニウム膜1011および第1の窒化シリコン膜1013からなる。端面1061を覆う部分1051は、第2の酸化アルミニウム膜1012および第2の窒化シリコン膜1014からなる。受光面1060を覆う部分1050が第1の酸化アルミニウム膜1011および第1の窒化シリコン膜1013以外の膜を含んでもよい。端面1061を覆う部分1051が第2の酸化アルミニウム膜1012及び第2の窒化シリコン膜1014以外の膜を含んでもよい。
第1の酸化アルミニウム膜1011は、受光面1060を覆う。第1の窒化シリコン膜1013は、第1の酸化アルミニウム膜1011を覆う。第2の酸化アルミニウム膜1012は、端面1061を覆う。第2の窒化シリコン膜1014は、第2の酸化アルミニウム膜1012を覆う。第2の酸化アルミニウム膜1012は、第1の酸化アルミニウム膜1011から連続する。第2の窒化シリコン膜1014は、第1の窒化シリコン膜1013から連続する。
第1の酸化アルミニウム膜1011および第2の酸化アルミニウム膜1012の各々は、5nmの厚さを有する。第1の酸化アルミニウム膜1011および第2の酸化アルミニウム膜1012の両方または片方がさらに薄くまたは厚くなってもよい。
第1の酸化アルミニウム膜1011および第2の酸化アルミニウム膜1012の各々は、負の固定電荷を有する。このため、p型の導電型を呈する受光面1060を覆う第1の酸化アルミニウム膜1011は、p型の導電型を有するボロン拡散層1020の内部に光生成した少数キャリアである電子を欠陥が多い界面である受光面1060から遠ざける。したがって、第1の酸化アルミニウム膜1011は、受光面1060におけるキャリア再結合を起こりにくくし、良好なパッシベーション膜になる。端面1061を覆う第2の酸化アルミニウム膜1012は、光生成したキャリアである電子を欠陥が多い界面である端面1061から遠ざける。したがって、第2の酸化アルミニウム膜1012は、端面1061におけるキャリア再結合を起こりにくくし、パッシベーション膜になる。第1の酸化アルミニウム膜1011および第2の酸化アルミニウム膜1012の各々は、高密度の負の固定電荷を有するため、5nmの厚さしか有しない場合においても、パッシベーション膜になる。受光面1060および端面1061におけるキャリア再結合を起こりにくくすることは、太陽電池1000の開放電圧を高くすることに寄与する。
第1の窒化シリコン膜1013および第2の窒化シリコン膜1014の各々は、約2.0という大きな屈折率を有する。このため、第1の窒化シリコン膜1013および第2の窒化シリコン膜1014の各々は、良好な光反射防止膜になる。第1の窒化シリコン膜1013および第2の窒化シリコン膜1014の両方または片方が他の種類の光反射防止膜に置き換えられてもよい。例えば、第1の窒化シリコン膜1013および第2の窒化シリコン膜1014の両方または片方が、酸化シリコン膜、酸化チタン膜、炭化シリコン膜、酸化スズ膜等に置き換えられてもよい。
第1の酸化アルミニウム膜1011および第2の酸化アルミニウム膜1012の各々は、約1.76という小さな屈折率しか有さず、5nmの厚さしか有しないので、良好な光反射防止膜にならない。しかし、太陽電池1000においては、第1の酸化アルミニウム膜1011および第2の酸化アルミニウム膜1012をそれぞれ覆う第1の窒化シリコン膜1013および第2の窒化シリコン膜1014の各々が良好な反射防止膜であるため、受光面1060および端面1061における光反射が良好に抑制される。
第2の誘電体膜1041は、裏面1062を覆い、第3の窒化シリコン膜1015からなる。第2の誘電体膜1041が第3の窒化シリコン膜1015以外の膜を含んでもよい。
第3の窒化シリコン膜1015は、正の固定電荷を有する。このため、n型の導電型を呈する裏面1062を覆う第3の窒化シリコン膜1015は、n型の導電型を有するリン拡散層1022の内部に光生成した少数キャリアである正孔を欠陥が多い界面である裏面1062から遠ざけ、良好なパッシベーション膜になる。第3の窒化シリコン膜1015が他の種類のパッシベーション膜に置き換えられてもよい。
第2の誘電体膜1041は、酸化アルミニウム膜を含まない。これにより、n型の導電型を呈する裏面1062への電気的接続に適したアルミニウムを含まない第2の電極1017が裏面1062に接することが阻害されない。このことは、第2の電極1017と裏面1062との接触抵抗を低くし太陽電池1000の変換効率を高くすることに寄与する。
受光面1060を覆う部分1050には、第1の開口1080が形成される。第1の開口1080は、第1の電極1016が有する平面形状に適合する平面形状を有し、櫛状の平面形状を有する。
第2の誘電体膜1041には、第2の開口1081が形成される。第2の開口1081は、第2の電極1017が有する平面形状に適合する平面形状を有し、櫛状の平面形状を有する。
第1の電極1016は、第1の開口1080を経由して受光面1060を覆う部分1050を貫通し、受光面1060に接し、ボロン拡散層1020と電気的に導通する。第1の電極1016は、銀およびアルミニウムを含む。
第1の電極1016は、櫛状の平面形状を有し、フィンガー電極1090及びバス電極1091を備える。第1の電極1016が櫛状でない平面形状を有してもよい。フィンガー電極1090は、平行配列された多数本の線状電極からなる。多数本の線状電極の配列ピッチは、制限されないが、例えば1.5mmである。多数本の線状電極の各々の線幅は、制限されないが、例えば50μmである。バス電極1091は、平行配列された4本の線状電極からなる。バス電極が3本以下または5本以上の線状電極からなることも許される。4本の線状電極の配列ピッチは、制限されないが、例えば39mmである。4本の線状電極の各々の線幅は、制限されないが、例えば1mmである。多数本の線状電極の各々は、4本の線状電極の各々と直交する。
第2の電極1017は、第2の開口1081を経由して第2の誘電体膜1041を貫通し、裏面1062に接し、リン拡散層1022と電気的に導通する。第2の電極1017は、銀を含むがアルミニウムを含まない。第2の電極1017がアルミニウムを含まないため、第2の電極1017がn型の導電型を呈する裏面1062に接しても導電型への影響は生じない。
第2の電極1017は、櫛状の平面形状を有し、フィンガー電極1100及びバス電極1101からなる。第2の電極1017が櫛状でない平面形状を有してもよい。フィンガー電極1100は、平行配列された多数本の線状電極からなる。多数本の線状電極の配列ピッチは、制限されないが、例えば1.2mmである。多数本の線状電極の各々の線幅は、制限されないが、例えば50μmである。バス電極1101は、平行配列された4本の線状電極からなる。バス電極1101が3本以下または5本以上の線状電極からなることも許される。4本の線状電極の配列ピッチは、制限されないが、例えば39mmである。4本の線状電極の各々の線幅は、制限されないが、例えば1mmである。多数本の線状電極の各々は、4本の線状電極の各々と直交する。
1.2 太陽電池を生産する方法
図4は、実施の形態1の太陽電池を生産する手順を示すフローチャートである。図5から15までの各々は、実施の形態1の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。
図4に示される工程S101においては、n型単結晶シリコン基板が準備される。準備されるn型単結晶シリコン基板は、インゴットを板状にスライスすることにより作製されており、スライスされたときに形成されたダメージ層を表面に沿う表層部に含む。n型単結晶シリコン基板以外の半導体基板が準備されてもよい。例えば、n型多結晶シリコン基板が準備されてもよい。
図4に示される工程S102においては、準備されたn型単結晶シリコン基板(以下では「n型シリコン基板」という。)にテクスチャエッチングが行われる。工程S102により、図5に示される、テクスチャが表面1110の全体に形成されたn型シリコン基板1120が得られる。テクスチャエッチングは、準備されたn型シリコン基板をエッチング液に浸漬する溶液処理により行われる。
エッチング液は、90重量部の6%水酸化ナトリウム水溶液に10重量部のイソプロパノールが混入されたものである。エッチング液の温度は、80℃である。浸漬時間は、10分である。このテクスチャエッチングの条件によれば、エッチング深さが約10μmになり、準備されたn型シリコン基板からダメージ層が除去される。
テクスチャエッチングの条件が変更されてもよい。例えば、水酸化ナトリウム水溶液の濃度が変更されてもよく、イソプロパノールの混入量が変更されてもよい。エッチング液が、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等のアルカリ性水溶液に市販されているテクスチャエッチング用の添加剤が添加されたものであってもよい。n型多結晶シリコン基板が準備される場合は、エッチング液がフッ化水素酸および硝酸からなる混合液であってもよい。
溶液処理に代えてリアクティブイオンエッチング(RIE)によるドライ処理が行われてもよい。テクスチャエッチングの前に、イソプロパノールが混入されていない高温の水酸化ナトリウム水溶液に準備されたn型シリコン基板が浸漬され、ダメージ層が除去されてもよい。
図4に示される工程S103においては、図6に示されるように、図5に示されるn型シリコン基板1120の受光面1130および端面1131を覆うボロンシリケートガラス(BSG)膜1140が形成され、BSG膜1140をさらに覆う非ドープシリケートガラス(NSG)膜1141が形成される。工程S103により、図6に示される、n型シリコン基板1120、BSG膜1140およびNSG膜1141を備える複合体1150が得られる。BSG膜1140は、ボロン拡散層を形成するためにn型シリコン基板1120に拡散させられるボロンの供給源である。NSG膜1141は、n型シリコン基板1120にボロンを拡散している間にボロンがアニール雰囲気中に揮発することを抑制するキャップ膜になる。NSG膜1141が省略されてもよい。
BSG膜1140およびNSG膜1141は、常圧化学気相成長(CVD)法により形成される。BSG膜1140およびNSG膜1141が形成される場合は、n型シリコン基板1120が、その裏面1132がSiCトレイに接するようにSiCトレイに載せられ、大気圧の第1の原料ガス中および大気圧の第2の原料ガス中を順次に通過するように水平搬送される。これにより、100nmの厚さを有するBSG膜1140および500nmの厚さを有するNSG膜1141が形成される。第1の原料ガスは、シランガス、酸素ガスおよびジボランガスからなる混合ガスである。第2の原料ガスは、シランガスおよび酸素ガスからなる混合ガスである。n型シリコン基板1120は、SiCトレイを加熱することにより500℃に加熱される。
BSG膜1140およびNSG膜1141が形成される場合は裏面1132がSiCトレイに接するため、BSG膜1140およびNSG膜1141は裏面1132の上にはみ出さない。しかし、n型シリコン基板1120にそりが生じた場合等においてBSG膜1140およびNSG膜1141が裏面1132の周辺部の上にはみ出すことがまれにある。この場合は、複合体1150が0.5%フッ化水素酸に120秒間浸漬され、BSG膜1140のうちの裏面1132の周辺部の上にはみ出す部分およびNSG膜1141のうちの裏面1132の周辺部の上にはみ出す部分が選択的に除去される。選択的な除去が可能であるのは、BSG膜1140のうちの裏面1132の周辺部の上にはみ出す部分およびNSG膜1141のうちの裏面1132の周辺部の上にはみ出す部分は、不完全であるため、フッ化水素酸に対するエッチングレートが速く、短時間で除去されるためである。
BSG膜1140およびNSG膜1141の両方または片方の形成の条件が変更されてもよい。BSG膜1140およびNSG膜1141の両方または片方が常圧CVD法以外の形成方法により形成されてもよい。
図4に示される工程S104においては、図7に示されるように、図6に示される複合体1150がアニールされ、BSG膜1140に含まれるボロンがn型シリコン基板1120のうちの受光面1130に沿う表層部および端面1131に沿う表層部に熱拡散させられる。工程S104により、図7に示される、受光面1160および端面1161に沿うボロン拡散層1170が形成されたシリコン基板1180、BSG膜1181ならびにNSG膜1182を備える複合体1190が得られる。
複合体1150がアニールされる場合は、300枚の複合体1150が3.5mmピッチで石英ガラス製のボートに載せられた被処理物が準備される。被処理物は、750℃に加熱された横型拡散炉の石英チューブの内部に搬入される。その後に、流量が10SLMになるように窒素ガスが石英チューブの内部に流された状態において石英チューブが1000℃まで昇温され、その状態が30分間保持され、ボロンが熱拡散させられる。その後に、石英チューブが750℃まで降温され、被処理物が石英チューブの外部に搬出される。アニールの条件が変更されてもよい。
図4に示される工程S105においては、図8に示されるように、図7に示される複合体1190の表面1200を覆うリンガラス(PSG)膜1210が形成され、PSG膜1210に含まれるリンがシリコン基板1180のうちの裏面1162に沿う表層部に熱拡散させられる。工程S105により、図8に示される、受光面1230および端面1231に沿うボロン拡散層1170が形成され裏面1232に沿うリン拡散層1022が形成されたシリコン基板1250、BSG膜1181、NSG膜1182ならびにPSG膜1210を備える複合体1260が得られる。
PSG膜1210が形成されリンが拡散させられる場合は、300枚の複合体1190が3.5mmピッチで石英ガラス製のボートに載せられた被処理物が準備される。被処理物は、750℃に加熱された横型拡散炉の石英チューブの内部に搬入される。その後に、流量が10SLMになるように窒素ガスが石英チューブの内部に流された状態において石英チューブが850℃まで昇温される。その後に、材料ガスが石英チューブの内部に流され、その状態が10分間保持され、PSG膜1210が形成され、リンが熱拡散させられる。その後に、材料ガスが石英チューブの内部に流されない状態が17分間保持され、リンがさらに熱拡散させられる。その後に、石英チューブが750℃まで降温され、被処理物が石英チューブの外部に搬出される。材料ガスは、ガラス容器に封入されたオキシ塩化リン(POCl3)を窒素ガスでバブリングすることにより得られる、オキシ塩化リンおよび窒素ガスからなる混合ガスである。PSG膜1210の形成およびリンの拡散の条件が変更されてもよい。
PSG膜1210は、裏面1232を覆うだけでなく受光面1230および端面1231に対向する。しかし、受光面1230および端面1231はBSG膜1181およびNSG膜1182からなるバリア層で覆われているため、受光面1230に沿う表層部および端面1231に沿う表層部にリンは拡散しない。
望ましくは、被処理物において、2枚の複合体1190のうちの一方の複合体1190の受光面側の主面1225と2枚の複合体1190のうちの他方の複合体1190の受光面側の主面1225とが密着させられた密着体が1個のスリットに挿入される。これにより、受光面1230に沿う表層部にリンが熱拡散することがさらに抑制され、1度に処理できる複合体1190が倍増する。
図4に示される工程S106においては、図9に示されるように、図8に示される複合体1260にガラスエッチングが行われ、複合体1260からBSG膜1181、NSG膜1182およびPSG膜1210が除去される。工程S106により、図9に示されるシリコン基板1250が得られる。
複合体1260にガラスエッチングが行われる場合は、複合体1260が10%フッ化水素酸に4分間浸漬される。ガラスエッチングの条件が変更されてもよい。
工程S106が終了した時点においては、ボロン拡散層1170のシート抵抗は110Ω/sqであり、リン拡散層1022のシート抵抗は40Ω/sqである。リン拡散層1022のシート抵抗は、n型シリコン層1021の寄与を含む。ボロン拡散層1170のシート抵抗およびリン拡散層1022のシート抵抗が変化してもよい。
図4に示される工程S107においては、図10に示されるように、図9に示されるシリコン基板1250のボロン拡散層1170とリン拡散層1022とが互いに分離される。工程S107により、図10に示される、受光面1060に沿うボロン拡散層1020が形成され裏面1062に沿うリン拡散層1022が形成されたシリコン基板1010が得られ、pn接合体1030が得られる。
ボロン拡散層1170とリン拡散層1022とが互いに分離される場合は、各々がシリコン基板1250と同じ平面形状を有する2枚の押さえ板が準備され、200枚のシリコン基板1250が重ね合わされた重ね合わせ体が2枚の押さえ板で挟まれた被処理物が準備される。被処理物は、四フッ化炭素ガス、酸素ガスおよび窒素ガスからなる混合ガスであるエッチングガス中でプラズマ処理される。これにより、ボロン拡散層1170のうちの端面1231に沿う部分がエッチングガスに曝され除去され、n型シリコン層1021が露出する。2枚の押さえ板には、重ね合わせ体を挟み込む力が加えられ、隣接するシリコン基板1250の隙間が排除される。これにより、ボロン拡散層1020およびリン拡散層1022が除去されずに残る。
プラズマ処理以外の処理によりボロン拡散層1170とリン拡散層1022とが互いに分離されてもよい。
図4に示される工程S108においては、図11に示されるように、図10に示されるシリコン基板1010の受光面1060および端面1061をそれぞれ覆う第1の酸化アルミニウム(Al2O3)膜1270および第2の酸化アルミニウム(Al2O3)膜1012が形成される。工程S108により、図11に示される、シリコン基板1010、第1の酸化アルミニウム膜1270および第2の酸化アルミニウム膜1012を備える複合体1280が得られる。
第1の酸化アルミニウム膜1270および第2の酸化アルミニウム膜1012は、原子層堆積(ALD)法により形成される。第1の酸化アルミニウム膜1270および第2の酸化アルミニウム膜1012が形成される場合は、シリコン基板1010の裏面1062がトレイに接するようにシリコン基板1010がトレイに載せられた被処理物が準備される。被処理物が成膜チャンバーの内部に置かれ、トレイが200℃に保たれ、成膜チャンバーの内部が一端真空排気された後にトリメチルアルミニウム(TMA)蒸気の成膜チャンバーの内部への導入と水蒸気の成膜チャンバーの内部への導入が交互に行われる。これにより、受光面1060および端面1061にはTMA蒸気および水蒸気が交互に接し、アルミニウム原子の最表面への結合と酸素原子の最表面への結合とが交互に起こり、ち密な第1の酸化アルミニウム膜1270および第2の酸化アルミニウム膜1012が形成される。
第1の酸化アルミニウム膜1270および第2の酸化アルミニウム膜1012が形成された後に、複合体1280が425℃で20分間熱処理される。これにより、第1の酸化アルミニウム膜1270および第2の酸化アルミニウム膜1012がアニールされる。熱処理の条件が変更されてもよい。工程S108における熱処理が省略され、図4に示される工程S109において加熱が行われるときに第1の酸化アルミニウム膜1270および第2の酸化アルミニウム膜1012がアニールされてもよい。
実験によれば、ALD法により第1の酸化アルミニウム膜1270および第2の酸化アルミニウム膜1012が形成される場合は、裏面1062の周辺部の上に第3の酸化アルミニウム膜1290が回り込み、裏面1062の上にはみ出す第3の酸化アルミニウム膜1290も複合体1280を構成する。第3の酸化アルミニウム膜1290が形成される範囲は、端面1061と裏面1062との境界から20mm離れた位置まで広がる。ALD法においては、供給されるガスの分子そのものが成膜種であるため、供給されるガスがトレイと裏面1062との隙間に侵入しうる限りは、トレイに接する裏面1062にも通常の成膜レートで成膜が行われる。これに対して、プラズマCVD法においては、プラズマ放電が直接的に存在しない当該隙間には成膜種が存在する確率が低く、トレイに接する裏面1062に成膜が行われにくい。
最終的に第2の電極1017になる第2の電極前駆体はアルミニウムを含まないため、第2の電極前駆体に第3の酸化アルミニウム膜1290をファイアースルーさせることは難しい。このため、第3の酸化アルミニウム膜1290は、第2の電極前駆体が形成される前に除去される。
図4に示される工程S109においては、図12に示されるように、図11に示される複合体1280の第1の酸化アルミニウム膜1270および第2の酸化アルミニウム膜1012をそれぞれ覆う第1の窒化シリコン膜1300および第2の窒化シリコン膜1014が形成される。工程S109により、図12に示される、シリコン基板1010、第1の酸化アルミニウム膜1270、第2の酸化アルミニウム膜1012、第1の窒化シリコン膜1300および第2の窒化シリコン膜1014を備える複合体1310が得られる。第1の窒化シリコン膜1300および第2の窒化シリコン膜1014は、平行平板型のプラズマCVD法により形成される。
第1の窒化シリコン膜1300および第2の窒化シリコン膜1014が形成される場合は、1体積部のシランガス、4体積部のアンモニアガスおよび4体積部の窒素ガスからなる混合ガスが成膜チャンバーの内部に導入される。
第1の窒化シリコン膜1300および第2の窒化シリコン膜1014の形成の条件が変更されてもよい。第1の窒化シリコン膜1300および第2の窒化シリコン膜1014がプラズマCVD法以外の形成方法により形成されてもよい。
第1の窒化シリコン膜1300および第2の窒化シリコン膜1014がプラズマCVD法により形成される場合は、トレイに接する複合体1280の裏面側の主面1320には成膜が行われにくいため、第3の酸化アルミニウム膜1290は、窒化シリコン膜に覆われず、複合体1310の外部に露出する。
図4に示される工程S110においては、図13に示されるように、図12に示される複合体1310から第3の酸化アルミニウム膜1290が除去され、受光面1060を覆う部分1315および端面1061を覆う部分1316からなる第1の誘電体膜1317が得られる。受光面1060を覆う部分1315は、第1の酸化アルミニウム膜1270および第1の窒化シリコン膜1300からなる。端面1061を覆う部分1316は、第2の酸化アルミニウム膜1012および第2の窒化シリコン膜1014からなる。工程S110により、図13に示される、シリコン基板1010および第1の誘電体膜1317を備える複合体1330が得られる。
第3の酸化アルミニウム膜1290が除去される場合は、複合体1310が0.5%フッ化水素酸に90秒間浸漬される。フッ化水素酸に対する窒化シリコン膜のエッチングレートは、フッ化水素酸に対する酸化アルミニウム膜のエッチングレートの1/10以下である。このため、第1の酸化アルミニウム膜1270が第1の窒化シリコン膜1300に覆われ第2の酸化アルミニウム膜1012が第2の窒化シリコン膜1014に覆われた状態が維持されたまま複合体1310が0.5%フッ化水素酸に浸漬された場合は、第1の窒化シリコン膜1300および第2の窒化シリコン膜1014の各々がマスク膜となる。これにより、第1の酸化アルミニウム膜1270は第1の窒化シリコン膜1300に保護されて除去されず、第2の酸化アルミニウム膜1012は第2の窒化シリコン膜1014に保護されて除去されず、窒化シリコン膜に保護されない第3の酸化アルミニウム膜1290のみが除去される。
第3の酸化アルミニウム膜1290の除去の条件が変更されてもよい。第1の窒化シリコン膜1300とは別の第1のマスク膜および第2の窒化シリコン膜1014とは別の第2のマスク膜が形成され、第3の酸化アルミニウム膜1290、第1のマスク膜および第2のマスク膜が除去された後に、第1の窒化シリコン膜1300および第2の窒化シリコン膜1014が形成されてもよい。
図4に示される工程S111においては、図14に示されるように、図13に示される複合体1330に備えられるシリコン基板1010の裏面1062を覆う第3の窒化シリコン膜1340が形成され、裏面1062を覆い第3の窒化シリコン膜1340からなり酸化アルミニウム膜を含まない第2の誘電体膜1345が得られる。工程S111により、図14に示される、シリコン基板1010、第1の誘電体膜1317および第2の誘電体膜1345を備える複合体1350が得られる。第3の窒化シリコン膜1340は、工程S109と同様に平行平板型のプラズマCVD法により形成される。
第2の誘電体膜1345は、第1の誘電体膜1317が形成された後に形成されるが、第1の誘電体膜1317が形成される前に形成されてもよい。
図4に示される工程S112においては、図15に示されるように、図14に示される複合体1350の受光面側の主面1360および裏面側の主面1362にそれぞれ第1の電極前駆体1370および第2の電極前駆体1371が形成される。工程S112により、図15に示される、シリコン基板1010、第1の誘電体膜1317、第2の誘電体膜1345、第1の電極前駆体1370および第2の電極前駆体1371を備える複合体1380が得られる。第1の電極前駆体1370は、受光面1060を覆う部分1315を挟んで受光面1060に対向する。第2の電極前駆体1371は、第2の誘電体膜1345を挟んで裏面1062に対向する。電極前駆体とは、太陽電池1000の仕掛品を構成する構成物であって最終的に電極になるものをいい、焼成により電極になるものをいう。
第1の電極前駆体1370が形成される場合は、第1の電極ペーストが受光面側の主面1360にスクリーン印刷され印刷膜が形成され、形成された印刷膜が250℃で5分間かけて乾燥させられ第1の電極ペーストに含まれる溶剤が蒸発させられる。第1の電極ペーストは、Agの粒子、ガラス粒子、樹脂成分、溶剤等からなる混合物であり、銀を含み、数重量%のアルミニウムを含む。第1の電極ペーストに含まれる銀は、第1の電極前駆体1370が第1のアルミニウム膜1270をファイアースルーすることを容易にする。第1の電極ペーストの組成が変更されてもよい。
第2の電極前駆体1371が形成される場合は、第2の電極ペーストが裏面側の主面1362にスクリーン印刷され印刷膜が形成され、形成された印刷膜が250℃で5分間かけて乾燥させられ第2の電極ペーストに含まれる溶剤が蒸発させられる。第2の電極ペーストは、Agの粒子、ガラス粒子、樹脂成分、溶剤等からなる混合物であり、銀を含むが、アルミニウムを含まない。第2の電極ペーストの組成が変更されてもよい。
第1の電極前駆体1370および第2の電極前駆体1371の両方または片方の形成の条件が変更されてもよい。第1の電極前駆体1370および第2の電極前駆体1371の両方または片方がスクリーン印刷以外の形成方法により形成されてもよい。
図4に示される工程S113においては、図15に示される複合体1380が焼成され、第1の電極前駆体1370が受光面1060を覆う部分1315をファイアースルーし、第2の電極前駆体1371が第2の誘電体膜1390をファイアースルーする。工程S113により、図1、2および3の各々に示される太陽電池1000が完成する。
複合体1380が焼成される場合は、複合体1380が、トンネル炉の内部に導入され、ピーク温度800℃で3秒間熱処理される。
工程S113により、受光面1060を覆う部分1315が図1に示される受光面1060を覆う部分1050に変化し、第1の電極前駆体1370が図1に示される第1の電極1016に変化する。このとき、第1の電極前駆体1370に含まれる樹脂成分が消失し、第1の電極前駆体1370に含まれるガラス粒子が受光面1060を覆う部分1315を貫通し、第1の電極前駆体1370に含まれるアルミニウムがボロン拡散層1020と合金層を形成し、第1の電極前駆体1370に含まれる銀粒子が形成された合金層に接し、第1の電極1016とボロン拡散層1020との電気的導通が得られる。
工程S113により、第2の誘電体膜1390が図1に示される第2の誘電体膜1041に変化し、第2の電極前駆体1371が図1に示される第2の電極1017に変化する。このとき、第2の電極前駆体1371に含まれる樹脂成分が消失し、第2の電極前駆体1371に含まれるガラス粒子が第2の誘電体膜1390を貫通し、第2の電極前駆体1371に含まれる銀粒子がリン拡散層1022に接し、第2の電極1017とリン拡散層1022との電気的導通が得られる。
1.3 第3の酸化アルミニウム膜を除去する時間と発電特性との関係
工程S110において第3の酸化アルミニウム膜1290を除去する時間(複合体1310を0.5%フッ化水素酸に浸漬する時間)を変化させ、太陽電池1000の発電特性がどのように変化するかを調べた。その結果を図16から19までに示す。図16は、第3の酸化アルミニウム膜を除去する時間(酸化アルミニウム除去時間)と電流密度(Jsc)との関係を示すグラフである。図17は、第3の酸化アルミニウム膜を除去する時間(酸化アルミニウム除去時間)と開放電圧(Voc)との関係を示すグラフである。図18は、第3の酸化アルミニウム膜を除去する時間(酸化アルミニウム除去時間)と曲線因子(FF)との関係を示すグラフである。図19は、第3の酸化アルミニウム膜を除去する時間(酸化アルミニウム除去時間)と効率(Efficiency)との関係を示すグラフである。
除去する時間が0秒から90秒に増加した場合は、図18に示されるように、曲線因子が単調増加し、図19に示されるように、効率も単調増加する。曲線因子の増加は、直列抵抗の低下による。直列抵抗の低下は、第3の酸化アルミニウム膜1290が薄くなり、第2の電極1017と裏面1062との接触抵抗が低くなることによる。
これらのことから、工程S110においては、第3の酸化アルミニウム膜1290を除去する時間を90秒とした。ただし、この時間は、他の条件により変化する。
2 実施の形態2
2.1 実施の形態2の基本例の太陽電池
実施の形態2の基本例の太陽電池は、主に、pn接合体の表面を覆う酸化シリコン膜が形成される点で、実施の形態1の太陽電池と異なる。以下では、実施の形態2の基本例の太陽電池が実施の形態1の太陽電池と異なる点が主に説明される。実施の形態1において採用された発明の構成およびその変形が、上記の異なる点の採用を阻害しない範囲内において、実施の形態2の基本例においても採用されてもよい。
図20は、実施の形態2の基本例の太陽電池を模式的に示す断面図である。
図20に示される太陽電池2000は、基板2010、第1の酸化アルミニウム膜2011、第2の酸化アルミニウム膜2012、第1の窒化シリコン膜2013、第2の窒化シリコン膜2014、第3の窒化シリコン膜2015、第1の電極2016および第2の電極2017を備える。基板2010は、ボロン拡散層2020、n型シリコン層2021、リン拡散層2022、第1の酸化シリコン膜2023および第2の酸化シリコン膜2024を備える。
ボロン拡散層2020、n型シリコン層2021およびリン拡散層2022は、pn接合体2030を構成する。pn接合体2030は、一方の主面である受光面2060、端面2061および他方の主面である裏面2062を有する。第1の酸化シリコン膜2023、第1の酸化アルミニウム膜2011および第1の窒化シリコン膜2013は、第1の誘電体膜2040のうちの受光面2060を覆う部分2050を構成する。第2の酸化シリコン膜2024、第2の酸化アルミニウム膜2012および第2の窒化シリコン膜2014は、第1の誘電体膜2040のうちの端面2061を覆う部分2051を構成する。第3の窒化シリコン膜2015は、裏面2062を覆う第2の誘電体膜2041を構成する。
基板2010の表面2055には、テクスチャが形成される。pn接合体2030は、主にシリコンからなる。
ボロン拡散層2020は、受光面2060に沿い、p型の導電型を有する。ボロン拡散層2020により、受光面2060はp型の導電型を呈する。pn接合体2030は、p型の導電型を有するボロン拡散層2020とn型の導電型を有するn型シリコン層2021との界面にpn接合2069を有する。このため、ボロン拡散層2020は、エミッターになる。
リン拡散層2022は、裏面2062に沿い、n型の導電型を有する。リン拡散層2022により、裏面2062はn型の導電型を呈する。リン拡散層2022は、BSF層になる。
n型シリコン層2021は、n型の導電型を有し、ボロン拡散層2020とリン拡散層2022との間にあり、端面2061に露出する。これにより、ボロン拡散層2020とリン拡散層2022とは端面2061において互いに分離される。
第1の誘電体膜2040は、受光面2060を覆う部分2050および端面2061を覆う部分2051からなり、裏面2062を覆う部分を備えない。
受光面2060を覆う部分2050は、第1の酸化シリコン膜2023、第1の酸化アルミニウム膜2011および第1の窒化シリコン膜2013からなる。端面2061を覆う部分2051は、第2の酸化シリコン膜2024、第2の酸化アルミニウム膜2012および第2の窒化シリコン膜2014からなる。
第1の酸化シリコン膜2023は、受光面2060を覆う。第1の酸化アルミニウム膜2011は、第1の酸化シリコン膜2023を覆う。第1の窒化シリコン膜2013は、第1の酸化アルミニウム膜2011を覆う。第2の酸化シリコン膜2024は、端面2061を覆う。第2の酸化アルミニウム膜2012は、第2の酸化シリコン膜2024を覆う。第2の窒化シリコン膜2014は、第2の酸化アルミニウム膜2012を覆う。第2の酸化シリコン膜2024は、第1の酸化シリコン膜2023から連続する。第2の酸化アルミニウム膜2012は、第1の酸化アルミニウム膜2011から連続する。第2の窒化シリコン膜2014は、第1の窒化シリコン膜2013から連続する。
第1の酸化シリコン膜2023および第2の酸化シリコン膜2024の各々は、1.5nmの厚さを有する。第1の酸化シリコン膜2023および第2の酸化シリコン膜2024の両方または片方がさらに薄くまたは厚くなってもよい。
第1の酸化シリコン膜2023および第2の酸化シリコン膜2024の各々は、固定電荷をほとんど有しない。このため、第1の酸化シリコン膜2023および第2の酸化シリコン膜2024の各々には、電界効果によりパッシベーション膜になることはほとんど期待できない。しかし、第1の酸化シリコン膜2023および第2の酸化シリコン膜2024の各々は、堆積膜ではなく、シリコン基板のうちの表面に沿う表層部を酸化することにより形成される。このため、pn接合体2030と第1の酸化シリコン膜2023との界面である受光面2060およびpn接合体2030と第2の酸化シリコン膜2024との界面である端面2061の各々は、堆積膜を備えない基板2010が有する基板内界面であり、清浄であり、キャリア再結合の再結合中心になる界面順位を形成しにくい。したがって、第1の酸化シリコン膜2023は、受光面2060におけるキャリア再結合を起こりにくくし、第2の酸化シリコン膜2024は、端面2061におけるキャリア再結合を起こりにくくする。受光面2060および端面2061におけるキャリア再結合を起こりにくくすることは、太陽電池2000の開放電圧を高くすることに寄与する。これに対して、ALD法により形成される酸化アルミニウム膜、CVD法により形成される窒化シリコン膜等の堆積膜とシリコン基板との堆積膜/基板界面は、堆積膜が形成される前にシリコン基板の表面が汚染されていた場合には、清浄でなく、キャリア再結合の再結合中心になる界面順位を形成しやすい。
第1の酸化アルミニウム膜2011は、実施の形態1において説明されたように、受光面2060におけるキャリア再結合を起こりにくくし、良好なパッシベーション膜になる。第2の酸化アルミニウム膜2012は、実施の形態1において説明されたように、端面2061におけるキャリア再結合を起こりにくくし、パッシベーション膜になる。受光面2060および端面2061におけるキャリア再結合を起こりにくくすることは、太陽電池2000の開放電圧を高くすることに寄与する。
第1の窒化シリコン膜2013および第2の窒化シリコン膜2014の各々は、実施の形態1において説明されたように、良好な光反射防止膜になる。
第2の誘電体膜2041は、裏面2062を覆い、第3の窒化シリコン膜2015からなる。第3の窒化シリコン膜2015は、実施の形態1において説明されたように、良好なパッシベーション膜になる。
第2の誘電体膜2041は、酸化アルミニウム膜を含まない。これにより、n型の導電型を呈する裏面2062への電気的接続に適したアルミニウムを含まない第2の電極2017が裏面2062に接することが阻害されない。このことは、第2の電極2017と裏面2062との接触抵抗を低くし太陽電池2000の変換効率を高くすることに寄与する。
受光面2060を覆う部分2050には、第1の開口2078が形成される。第2の誘電体膜2041には、第2の開口2079が形成される。
第1の電極2016は、第1の開口2078を経由して受光面2060を覆う部分2050を貫通し、受光面2060に接し、ボロン拡散層2020と電気的に導通する。第1の電極2016は、銀およびアルミニウムを含む。
第2の電極2017は、第2の開口2079を経由して第2の誘電体膜2041を貫通し、裏面2062に接し、リン拡散層2022と電気的に導通する。第2の電極2017は、銀を含むがアルミニウムを含まない。
2.2 太陽電池を生産する方法
図21は、実施の形態2の基本例の太陽電池を生産する手順を示すフローチャートである。図22から28までの各々は、実施の形態2の基本例の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。
図21に示される工程S201からS207までは、それぞれ実施の形態1の工程S101からS107までと同様の工程である。工程S201からS207までにより、図22に示される、受光面側の基板主面2070に沿うボロン拡散層2080が形成され裏面側の基板主面2072に沿うリン拡散層2081が形成されpn接合2090を有するシリコン基板2100が得られる。
図21に示される工程S208においては、図23に示されるように、図22に示されるシリコン基板2100がオゾン水酸化され、第1の酸化シリコン膜2110、第2の酸化シリコン膜2024および第3の酸化シリコン膜2112が形成される。工程S208により、図23に示される、第1の酸化シリコン膜2110、第2の酸化シリコン膜2024および第3の酸化シリコン膜2112が形成され、ボロン拡散層2120およびリン拡散層2121が形成された基板2125が得られる。
第1の酸化シリコン膜2110、第2の酸化シリコン膜2024および第3の酸化シリコン膜2112が形成される場合は、シリコン基板2100がフッ化水素酸で洗浄され、その直後にシリコン基板2100に対してオゾン水酸化が行われる。シリコン基板2100がフッ化水素酸で洗浄されることにより、シリコン基板2100から自然酸化膜が除去される。シリコン基板2100をフッ化水素酸で洗浄することが省略されてもよい。オゾン水酸化においては、シリコン基板2100がオゾン水に3分間浸漬される。オゾン水は、炭酸ガスおよびオゾン発生装置が発生したオゾンガスで純水をバブリングすることにより作製され、14mg/Lのオゾン濃度を有する。炭酸ガスによるバブリングは、オゾン濃度を維持するために行われる。オゾン水酸化により、シリコン基板2100のうちの受光面側の基板主面2070に沿う第1の表層部、基板端面2071に沿う第2の表層部および裏面側の基板主面2072に沿う第3の表層部が酸化され、第1の表層部が第1の酸化シリコン膜2110に変化し、第2の表層部が第2の酸化シリコン膜2024に変化し、第3の表層部が第3の酸化シリコン膜2112に変化し、シリコン基板2100のうちの第1の表層部、第2の表層部および第3の表層部以外の非表層部にpn接合体2030が得られる。第1の酸化シリコン膜2110、第2の酸化シリコン膜2024および第3の酸化シリコン膜2112の各々の厚さは、同様のオゾン水酸化をモニター基板になるミラー基板に行い、ミラー基板に形成された酸化シリコン膜の厚さを測定することにより推定できる。
第1の酸化シリコン膜2110、第2の酸化シリコン膜2024および第3の酸化シリコン膜2112の形成の条件が変更されてもよい。オゾン水酸化に代えて熱酸化が行われてもよい。
第3の酸化シリコン膜2112は、第2の電極2017が裏面2062に接することを阻害する。このため、第3の酸化シリコン膜2112は、最終的に第2の電極2017になる第2の電極前駆体が形成される前に除去される。
図21に示される工程S209においては、図24に示されるように、図23に示される基板2125の受光面側の基板主面2135および基板端面2136をそれぞれ覆う第1の第1の酸化アルミニウム膜2140および第2の酸化アルミニウム膜2012が形成される。工程S209により、図24に示される、基板2125、第1の酸化アルミニウム膜2140および第2の酸化アルミニウム膜2012を備える複合体2150が得られる。第1の酸化アルミニウム膜2140および第2の酸化アルミニウム膜2012の形成は、実施の形態1の工程S108と同様に、ALD法により行われる。ALD法により第1の酸化アルミニウム膜2140および第2の酸化アルミニウム膜2012が形成される場合は、裏面側の基板主面2137の周辺部の上に第3の酸化アルミニウム膜2142が回り込み、裏面側の基板主面2137の上にはみ出す第3の酸化アルミニウム膜2142も複合体2150を構成する。
図21に示される工程S210においては、図25に示されるように、図24に示される複合体2150の第1の酸化アルミニウム膜2140および第2の酸化アルミニウム膜2012をそれぞれ覆う第1の窒化シリコン膜2160および第2の窒化シリコン膜2014が形成される。工程S210により、図25に示される、基板2125、第1の酸化アルミニウム膜2140、第2の酸化アルミニウム膜2012、第1の窒化シリコン膜2160および第2の窒化シリコン膜2014を備える複合体2170が得られる。第1の窒化シリコン膜2160および第2の窒化シリコン膜2014の形成は、実施の形態1の工程S109と同様に、平行平板型のプラズマCVD法により行われる。第3の酸化アルミニウム膜2142は、窒化シリコン膜に覆われず、複合体2170の外部に露出する。
図21に示される工程S211においては、図26に示されるように、図25に示される複合体2170から第3の酸化シリコン膜2112および第3の酸化アルミニウム膜2142が除去され、受光面2060を覆う部分2165および端面2061を覆う部分2166からなる第1の誘電体膜2167が得られる。受光面2060を覆う部分2165は、第1の酸化シリコン膜2110、第1の酸化アルミニウム膜2140および第1の窒化シリコン膜2160からなる。端面2061を覆う部分2166は、第2の酸化シリコン膜2024、第2の酸化アルミニウム膜2012および第2の窒化シリコン膜2014からなる。工程S211により、図26に示される、基板2180および第1の誘電体膜2167を備える複合体2190が得られる。第3の酸化シリコン膜2112および第3の酸化アルミニウム膜2142が除去される場合は、複合体2170が0.5%フッ化水素酸に90秒間浸漬される。第1の酸化シリコン膜2110および第1の酸化アルミニウム膜2140が第1の窒化シリコン膜2160に覆われ第2の酸化シリコン膜2024および第2の酸化アルミニウム膜2012が第2の窒化シリコン膜2014に覆われた状態が維持されたまま複合体2170が0.5%フッ化水素酸に浸漬された場合は、第1の窒化シリコン膜2160および第2の窒化シリコン膜2014の各々がマスク膜となる。これにより、第1の酸化シリコン膜2110および第1の酸化アルミニウム膜2140は第1の窒化シリコン膜2160に保護されて除去されず、第2の酸化シリコン膜2024および第2の酸化アルミニウム膜2012は第2の窒化シリコン膜2014に保護されて除去されず、窒化シリコン膜に保護されない第3の酸化シリコン膜2112および第3の酸化アルミニウム膜2142のみが除去される。
図21に示される工程S212においては、図27に示されるように、図26に示される複合体2190に備えられる基板2180の裏面側の基板主面2200を覆う第3の窒化シリコン膜2162が形成され、裏面側の基板主面2200を覆い第3の窒化シリコン膜2162からなり酸化アルミニウム膜を含まない第2の誘電体膜2185が得られる。工程S212により、図27に示される、pn接合体2030、第1の誘電体膜2167および第2の誘電体膜2185を備える複合体2210が得られる。第3の窒化シリコン膜2162の形成は、実施の形態1の工程S111と同様に、平行平板型のプラズマCVD法により行われる。
図21に示される工程S213においては、図28に示されるように、図27に示される複合体2210の受光面側の主面2220および裏面側の主面2222にそれぞれ第1の電極前駆体2230および第2の電極前駆体2231が形成される。工程S213により、図28に示される、pn接合体2030、第1の誘電体膜2167、第2の誘電体膜2185、第1の電極前駆体2230および第2の電極前駆体2231を備える複合体2240が得られる。第1の電極前駆体2230および第2の電極前駆体2231の形成は、実施の形態1の工程S112と同様に、スクリーン印刷により行われる。
図21に示される工程S214においては、図28に示される複合体2240が焼成され、第1の電極前駆体2230が受光面2060を覆う部分2165をファイアースルーし、第2の電極前駆体2231が第2の誘電体膜2185をファイアースルーする。工程S214により、図20に示される太陽電池2000が完成する。複合体2240の形成は、実施の形態1の工程S113と同様に行われる。
工程S214により、受光面2060を覆う部分2165が図20に示される受光面2060を覆う部分2050に変化し、第1の電極前駆体2230が図20に示される第1の電極2016に変化する。
工程S214により、第2の誘電体膜2185が図20に示される第2の誘電体膜2041に変化し、第2の電極前駆体2231が図20に示される第2の電極2017に変化する。
2.3 実施の形態2の変形例の太陽電池
実施の形態2の変形例の太陽電池は、pn接合体の裏面を覆う酸化シリコン膜が形成される点で、実施の形態2の基本例の太陽電池と異なる。以下では、実施の形態2の変形例の太陽電池が実施の形態2の基本例の太陽電池と異なる点が主に説明される。実施の形態2の基本例において採用された発明の構成及びその変形が、上記の異なる点の採用を阻害しない範囲内において、実施の形態2の変形例においても採用されてもよい。
図29は、実施の形態2の変形例の太陽電池を模式的に示す断面図である。
図29に示される太陽電池2500は、基板2510、第1の酸化アルミニウム膜2511、第2の酸化アルミニウム膜2512、第1の窒化シリコン膜2513、第2の窒化シリコン膜2514、第3の窒化シリコン膜2515、第4の窒化シリコン膜2516、第1の電極2517および第2の電極2518を備える。基板2510は、ボロン拡散層2520、n型シリコン層2521、リン拡散層2522、第1の酸化シリコン膜2523、第2の酸化シリコン膜2524および第3の酸化シリコン膜2525を備える。
ボロン拡散層2520、n型シリコン層2521およびリン拡散層2522は、pn接合体2530を構成する。pn接合体2530は、実施の形態2の基本例のpn接合体2030と同様のものであり当該pn接合体2030と同様に作製され、一方の主面である受光面2560、端面2561および他方の主面である裏面2562を有する。第1の酸化シリコン膜2523、第1の酸化アルミニウム膜2511および第1の窒化シリコン膜2513は、第1の誘電体膜2540のうちの受光面2560を覆う部分2550を構成する。第2の酸化シリコン膜2524、第4の窒化シリコン膜2516、第2の酸化アルミニウム膜2512および第2の窒化シリコン膜2514は、第1の誘電体膜2540のうちの端面2561を覆う部分2551を構成する。第3の酸化シリコン膜2525および第3の窒化シリコン膜2515は、裏面2562を覆う第2の誘電体膜2541を構成する。第1の酸化シリコン膜2523、第2の酸化シリコン膜2524、第3の酸化シリコン膜2525およびpn接合体2530は、基板2510を構成する。
第3の酸化シリコン膜2525は、裏面2562を覆う。第3の窒化シリコン膜2515は、第3の酸化シリコン膜2525を覆う。第3の酸化シリコン膜2525は、第2の酸化シリコン膜2524から連続する。
第3の酸化シリコン膜2525は、1.5nmの厚さを有する。第3の酸化シリコン膜2525の厚さが、さらに薄くまたは厚くなってもよい。
第3の酸化シリコン膜2525は、第1の酸化シリコン膜2523および第2の酸化シリコン膜2524と同様に、固定電荷をほとんど有しない。しかし、pn接合体2530と第3の酸化シリコン膜2525との界面である裏面2562は、pn接合体2530と第1の酸化シリコン膜2523との界面である受光面2560およびpn接合体2530と第2の酸化シリコン膜2524との界面である端面2561と同様に、清浄であり、キャリア再結合の再結合中心になる界面準位を形成しにくい。第3の酸化シリコン膜2525は、裏面2562におけるキャリア再結合を起こりにくくし、太陽電池2500の開放電圧を高くすることに寄与する。
2.4 実施の形態2の変形例の太陽電池を生産する方法
図30は、実施の形態2の変形例の太陽電池を生産する手順を示すフローチャートである。図31から36の各々は、実施の形態2の変形例の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。
図30に示される工程S251からS258までは、それぞれ図21に示される工程S201からS208までと同様の工程である。工程S251からS258までにより、図31に示される、pn接合体2530、第1の酸化シリコン膜2610、第2の酸化シリコン膜2524、第3の酸化シリコン膜2611を備える基板2600が得られる。
図30に示される工程S259においては、図32に示されるように、図31に示される基板2600の裏面側の基板主面2620および基板端面2621をそれぞれ覆う第3の窒化シリコン膜2630および第4の窒化シリコン膜2516が形成される。工程S259により、図32に示される、基板2600、第3の窒化シリコン膜2630および第4の窒化シリコン膜2516を備える複合体2640が得られる。第3の窒化シリコン膜2630および第4の窒化シリコン膜2516の形成は、実施の形態1の工程S109と同様に、平行平板型のプラズマCVD法により行われる。
図30に示される工程S260においては、図33に示されるように、図32に示される複合体2640に備えられる基板2600の受光面側の基板主面2622を覆う第1の酸化アルミニウム膜2660が形成され、図32に示される複合体2640の端面2670を覆う第2の酸化アルミニウム膜2512が形成される。工程S260により、図33に示される、基板2600、第3の窒化シリコン膜2630、第4の窒化シリコン膜2516、第1の酸化アルミニウム膜2660および第2の酸化アルミニウム膜2512を備える複合体2672が得られる。第1の酸化アルミニウム膜2660および第2の酸化アルミニウム膜2512の形成は、実施の形態1の工程S108と同様に、ALD法により行われる。ALD法により第1の酸化アルミニウム膜2660および第2の酸化アルミニウム膜2512が形成される場合は、複合体2640の裏面側の主面2680の周辺部の上に第3の酸化アルミニウム膜2661が回り込み、複合体2640の裏面側の主面2680の上にはみ出す第3の酸化アルミニウム膜2661も複合体2672を形成する。
図30に示される工程S261においては、図34に示されるように、図33に示される複合体2672の第1の酸化アルミニウム膜2660および第2の酸化アルミニウム膜2512をそれぞれ覆う第1の窒化シリコン膜2695および第2の窒化シリコン膜2514が形成される。工程S261により、図34に示される、基板2600、第3の窒化シリコン膜2630、第4の窒化シリコン膜2516、第1の酸化アルミニウム膜2660、および第2の酸化アルミニウム膜2512、第1の窒化シリコン膜2695および第2の窒化シリコン膜2514を備える複合体2700が得られる。第1の窒化シリコン膜2695および第2の窒化シリコン膜2514の形成は、実施の形態1の工程S109と同様に、平行平板型のプラズマCVD法により行われる。第3の酸化アルミニウム膜2661は、窒化シリコン膜に覆われず、複合体2700の外部に露出する。
図30に示される工程S262においては、図35に示されるように、図34に示される複合体2700から第3の酸化アルミニウム膜2661が除去され、受光面2560を覆う部分2690および端面2561を覆う部分2691からなる第1の誘電体膜2702が得られる。受光面2560を覆う部分2690は、第1の酸化シリコン膜2610、第1の酸化アルミニウム膜2660および第1の窒化シリコン膜2695からなる。端面2561を覆う部分2691は、第2の酸化シリコン膜2524、第4の窒化シリコン膜2516、第2の酸化アルミニウム膜2512および第2の窒化シリコン膜2514からなる。また、第1の酸化シリコン膜2611および第3の窒化シリコン膜2630からなる第2の誘電体膜2720が得られる。工程S262により、図35に示される、基板2600、第1の誘電体膜2702および第2の誘電体膜2720を備える複合体2710が得られる。第3の酸化アルミニウム膜2661が除去される場合は、複合体2700が0.5%フッ化水素酸に90秒浸漬される。第1の酸化アルミニウム膜2660が第1の窒化シリコン膜2695に覆われ、第2の酸化アルミニウム膜2512が第2の窒化シリコン膜2514に覆われた状態が維持されたまま複合体2700が0.5%フッ化水素酸に浸漬された場合は、第1の窒化シリコン膜2695および第2の窒化シリコン膜2514の各々がマスク膜となる。これにより、第1の酸化アルミニウム膜2660は第1の窒化シリコン膜2695に保護されて除去されず、第2の酸化アルミニウム膜2512は第2の窒化シリコン膜2514に保護されて除去されず、窒化シリコン膜に保護されない第3の酸化アルミニウム膜2661のみが除去される。
図30に示される工程S263においては、図36に示されるように、図35に示される複合体2710の受光面側の主面2730および裏面側の主面2731にそれぞれ第1の電極前駆体2740および第2の電極前駆体2741が形成される。工程S263により、図36に示される、第1の電極前駆体2740、第2の電極前駆体2741および複合体2710を備える複合体2750が得られる。第1の電極前駆体2740および第2の電極前駆体2741の形成は、実施の形態1の工程S112と同様に、スクリーン印刷により行われる。
図30に示される工程S264においては、図36に示される複合体2750が焼成され、第1の電極前駆体2740が受光面2560を覆う部分2690をファイアースルーし、第2の電極前駆体2741が第2の誘電体膜2720をファイアースルーする。工程S264により、図29に示される太陽電池2500が完成する。
工程S264により、受光面2560を覆う部分2690が図29に示される受光面2560を覆う部分2550に変化し、第1の電極前駆体2740が図29に示される第1の電極2517に変化する。
工程S264により、第2の誘電体膜2720が図29に示される第2の誘電体膜2541に変化し、第2の電極前駆体2741が図29に示される第2の電極2518に変化する。
3 実施の形態3
3.1 太陽電池
実施の形態3の太陽電池は、主に、受光面がn型の導電型を呈し裏面がp型の導電型を呈する点、ボロン拡散層が形成されない点およびp型の導電型を呈する主面に接する電極がファイアースルーさせられたものでない点で、実施の形態1の太陽電池と異なる。以下では、実施の形態3の太陽電池が実施の形態1の太陽電池と異なる点が主に説明される。実施の形態1および2において採用された発明の構成およびその変形が、上記の異なる点の採用を阻害しない範囲内において、実施の形態3においても採用されてもよい。
図37は、実施の形態3の太陽電池を模式的に示す断面図である。
図37に示される太陽電池3000は、シリコン基板3010、第1の酸化アルミニウム膜3011、第2の酸化アルミニウム膜3012、第1の窒化シリコン膜3013、第2の窒化シリコン膜3014、第3の窒化シリコン膜3015、第1の電極3016および第2の電極3017を備える。シリコン基板3010は、p型シリコン層3020およびリン拡散層3021を備え、一方の主面である裏面3062、端面3061および他方の主面である受光面3060を有する。
シリコン基板3010は、pn接合体3030を構成する。第1の酸化アルミニウム膜3011および第1の窒化シリコン膜3013は、第1の誘電体膜3040のうちの裏面3062を覆う部分3050を構成する。第2の酸化アルミニウム膜3012および第2の窒化シリコン膜3014は、第1の誘電体膜3040のうちの端面3061を覆う部分3051を構成する。第3の窒化シリコン膜3015は、受光面3060を覆う第2の誘電体膜3041を構成する。
シリコン基板3010の表面3055には、テクスチャが形成される。シリコン基板3010は、主にシリコンからなる。
p型シリコン層3020は、裏面3062の側にあり、p型の導電型を有する。p型シリコン層3020により、裏面3062はp型の導電型を呈する。
リン拡散層3021は、受光面3060に沿い、n型の導電型を有する。リン拡散層3021により、受光面3060はn型の導電型を呈する。
第1の誘電体膜3040は、裏面3062を覆う部分3050および端面3061を覆う部分3051からなり、受光面3060を覆う部分を備えない。
裏面3062を覆う部分3050は、第1の酸化アルミニウム膜3011および第1の窒化シリコン膜3013からなる。端面3061を覆う部分3051は、第2の酸化アルミニウム膜3012および第2の窒化シリコン膜3014からなる。
第1の酸化アルミニウム膜3011は、裏面3062を覆う。第1の窒化シリコン膜3013は、第1の酸化アルミニウム膜3011を覆う。第2の酸化アルミニウム膜3012は、端面3061を覆う。第2の窒化シリコン膜3014は、第2の酸化アルミニウム膜3012を覆う。第2の酸化アルミニウム膜3012は、第1の酸化アルミニウム膜3011から連続する。第2の窒化シリコン膜3014は、第1の窒化シリコン膜3013から連続する。
第1の酸化アルミニウム膜3011は、実施の形態1において説明されたように、裏面3062におけるキャリア再結合を起こりにくくし、パッシベーション膜になる。第2の酸化アルミニウム膜3012は、実施の形態1において説明されたように、端面3061におけるキャリア再結合を起こりにくくし、パッシベーション膜になる。裏面3062および端面3061におけるキャリア再結合を起こりにくくすることは、太陽電池3000の開放電圧を高くすることに寄与する。
第1の酸化アルミニウム膜3011とシリコン基板3010との界面である裏面3062および第2の酸化アルミニウム膜3012とシリコン基板3010との界面である端面3061における欠陥密度は大きい。第1の窒化シリコン膜3013は、第1の窒化シリコン膜3013から離脱する水素原子を裏面3062まで拡散させることにより、裏面3062の欠陥を補償する。第2の窒化シリコン膜3014は、第2の窒化シリコン膜3014から離脱する水素原子を端面3061まで拡散させることにより、端面3061の欠陥を補償する。
第2の誘電体膜3041は、受光面3060を覆い、第3の窒化シリコン膜3015からなる。第3の窒化シリコン膜3015は、実施の形態1において説明されたように、良好なパッシベーション膜になるとともに良好な光反射防止膜になる。
第2の誘電体膜3041は、酸化アルミニウム膜を含まない。これにより、n型の導電型を呈する受光面3060への電気的接続に適したアルミニウムを含まない第2の電極3017が受光面3060に接することが阻害されない。このことは、第2の電極3017と受光面3060との接触抵抗を低くし太陽電池3000の変換効率を高くすることに寄与する。
裏面3062を覆う部分3050には、ストライプ状の平面形状を有する第1の開口3078が形成される。第2の誘電体膜3041には、櫛状の平面形状を有する第2の開口3079が形成される。
第1の電極3016は、裏面3062を覆う部分3050を挟んで裏面3062と対向し、第1の開口3078を経由して裏面3062を覆う部分3050を貫通し、裏面3062に接し、p型シリコン層3020と電気的に導通する。第1の電極3016は、銀およびアルミニウムを含む。第1の電極3016は、面状に拡がる平面形状を有する。
第2の電極3017は、第2の開口3079を経由して第2の誘電体膜3041を貫通し、受光面3060に接する。第2の電極3017は、銀を含むがアルミニウムを含まない。第2の電極3017は、櫛状の平面形状を有し、フィンガー電極及びバス電極を備える。フィンガー電極は、平行配列された多数本の線状電極からなる。多数本の線状電極の配列ピッチは、制限されないが、例えば1.2mmである。多数本の線状電極の各々の線幅は、制限されないが、例えば50μmである。バス電極は、平行配列された4本の線状電極からなる。バス電極が3本以下または5本以上の線状電極からなることも許される。4本の線状電極の配列ピッチは、制限されないが、例えば39mmである。4本の線状電極の各々の線幅は、制限されないが、例えば1mmである。多数本の線状電極の各々は、4本の線状電極の各々と直交する。
3.2 太陽電池を生産する方法
図38は、実施の形態3の太陽電池を生産する手順を示すフローチャートである。図39から47までの各々は、実施の形態3の太陽電池の仕掛品を模式的に示す断面図である。
図38に示される工程S301においては、p型単結晶シリコン基板が準備される。p型単結晶シリコン基板以外の半導体基板が準備されてもよい。例えば、p型多結晶シリコン基板が準備されてもよい。
図38に示される工程S302においては、準備されたp型単結晶シリコン基板(以下では「p型シリコン基板」という。)にテクスチャエッチングが行われる。工程S302により、図39に示される、テクスチャが表面3090に形成されたシリコン基板3080が得られる。テクスチャエッチングは、実施の形態1の工程S102と同様に行われる。
図38に示される工程S303においては、図40に示されるように、図39に示される表面3090を覆うリンガラス(PSG)膜3100が形成され、PSG膜3100に含まれるリンがシリコン基板3080のうちの表面3090に沿う表層部に熱拡散させられる。工程S303により、図40に示される、リン拡散層3120が形成されたシリコン基板3130およびPSG膜3100を備える複合体3140が得られる。PSG膜3100の形成およびリンの拡散は、実施の形態1の工程S105と同様に行われる。
PSG膜3100は、シリコン基板3130の受光面3150だけでなくシリコン基板3130の端面3151および裏面3152も覆う。リン拡散層3120は、シリコン基板3130のうちの受光面3150に沿う表層部だけでなくシリコン基板3130のうちの端面3151に沿う表層部および裏面3152に沿う表層部にも形成される。
PSG膜3100の形成およびリンの拡散においては、300枚のシリコン基板3080が3.5mmピッチで石英ガラス製のボートに載せられた被処理物が準備される。被処理物は、750℃に加熱された横型拡散炉の石英チューブの内部に搬入される。その後に、流量が10SLMになるように窒素ガスが石英チューブの内部に流された状態において石英チューブが850℃まで昇温される。その後に、材料ガスが石英チューブの内部に流され、その状態が10分間保持され、PSG膜3100が形成され、リンが熱拡散させられる。その後に、材料ガスが石英チューブの内部に流されない状態が17分間保持され、リンがさらに熱拡散させられる。その後に、石英チューブが750℃まで降温され、被処理物が石英チューブの外部に搬出される。材料ガスは、ガラス容器に封入されたオキシ塩化リン(POCl3)を窒素ガスでバブリングすることにより得られる、オキシ塩化リンおよび窒素ガスからなる混合ガスである。
望ましくは、被処理物において、2枚のシリコン基板3080のうちの一方のシリコン基板3080の裏面3072と2枚のシリコン基板3080のうちの他方のシリコン基板3080の裏面3072とが密着させられた密着体が1個のスリットに挿入される。これにより、2枚のシリコン基板3080のそれぞれの裏面3072に沿う表層部にリンが熱拡散することが抑制され、1度に処理できるシリコン基板3080が倍増する。
図38に示される工程S304においては、図41に示されるように、図40に示される複合体3140から、リン拡散層3120のうちの裏面3152に沿う部分および端面3151に沿う部分が除去され、PSG膜3100が除去される。工程S304により、図41に示される、受光面3065に沿うリン拡散層3021が形成されたシリコン基板3145が得られる。シリコン基板3145は、pn接合3147を有するpn接合体3146である。シリコン基板3145の裏面3066は、p型の導電型を呈する。シリコン基板3145の受光面3067は、n型の導電型を呈する。
リン拡散層3120のうちの裏面3152に沿う部分および端面3151に沿う部分の除去ならびにPSG膜3100の除去には、片面エッチング装置が用いられる。
片面エッチング装置は、第1のエッチングエリア、第1の純水シャワー洗浄エリア、第2のエッチングエリア、第2の純水シャワー洗浄エリア、エアナイフエリアおよび温風乾燥エリアを備える。複合体3140は、第1のエッチングエリア、第1の純水シャワー洗浄エリア、第2のエッチングエリア、第2の純水シャワー洗浄エリア、エアナイフエリアおよび温風乾燥エリアを順次に通過する。
第1のエッチングエリアおよび第2のエッチングエリアの各々は、多数本の回転搬送軸を備える。多数本の回転搬送軸の各々は、フッ素樹脂製であり、30mmの直径を有する。多数本の回転搬送軸は、平行配列され、同期回転させられる。多数本の回転搬送軸には、複合体3140が載せられる。これにより、多数本の回転搬送軸の上を複合体3140が搬送される。
第1のエッチングエリアにおいては、PSG膜3100のうちの裏面3152を覆う部分および端面3151を覆う部分が除去され、リン拡散層3120のうちの裏面3152に沿う部分および端面3151に沿う部分が除去される。第1のエッチングエリアにおいては、混酸薬液の液面上に稜線部(最上部)が露出するように多数本の回転搬送軸が混酸薬液に半ば沈められる。稜線部(最上部)の露出高さは、2mmである。この状態において複合体3140が多数本の回転搬送軸の上を搬送された場合は、表面張力により複合体3140の裏面側の主面3155および端面3156に混酸薬液が接し、PSG膜3100のうちの裏面3152を覆う部分および端面3151を覆う部分が除去され、リン拡散層3120のうちの裏面3152に沿う部分および端面3151に沿う部分が除去される。しかし、複合体3140の受光面側の主面3154には混酸薬液が接しないため、PSG膜3100のうちの受光面3150を覆う部分は除去されず、リン拡散層3120のうちの受光面3150に沿う部分は除去されない。混酸薬液は、2重量部の50%フッ化水素酸、7重量部の69%硝酸および4重量部の純水からなる混合物である。混酸薬液の温度は、10℃である。混酸薬液によるシリコンエッチングにおいては、混酸薬液の温度がエッチングレートに大きく影響するため、混酸薬液の温度が一定に維持される。エッチング深さは約5μmである。リン拡散層3120は約0.5μmの厚さを有するので、エッチング深さが約5μmである場合は、リン拡散層3120のうちの裏面3152に沿う部分および端面3151に沿う部分が完全に除去される。エッチング深さがさらに深くなってもよく、テクスチャが消滅して最終的に図37に示される裏面3062となる裏面3067および最終的に図37に示される端面3061となる端面3066の各々が平坦になるほどにエッチング深さが深くなってもよい。これにより、裏面3062および端面3061の各々の表面積が減少し裏面3062を覆うパッシベーション膜および端面3061を覆うパッシベーション膜の各々が良好なパッシベーション膜になる。
第2のエッチングエリアにおいては、PSG膜3100のうちの受光面3150を覆う部分が除去される。第2のエッチングエリアにおいては、フッ化水素酸の液面上に多数本の回転搬送軸が露出しないように多数本の回転搬送軸が薬液に完全に沈められる。この状態において複合体3140が多数本の回転搬送軸の上を搬送された場合は、複合体3140の受光面側の主面3154に薬液が接し、PSG膜3100のうちの受光面3150を覆う部分が除去される。薬液は、5%フッ化水素酸である。
図38に示される工程S305においては、図42に示されるように、図41に示されるシリコン基板3145の裏面3067および端面3066をそれぞれ覆う第1の酸化アルミニウム膜3160および第2の酸化アルミニウム膜3012が形成される。工程S305により、図42に示される、シリコン基板3145、第1の酸化アルミニウム膜3160および第2の酸化アルミニウム膜3012を備える複合体3170が得られる。第1の酸化アルミニウム膜3160および第2の酸化アルミニウム膜3012の形成は、実施の形態1の工程S108と同様に行われる。
ALD法により第1の酸化アルミニウム膜3160および第2の酸化アルミニウム膜3012が形成される場合は、受光面3065の周辺部の上に第3の酸化アルミニウム膜3162が回り込み、受光面3065の上にはみ出す第3の酸化アルミニウム膜3162も複合体3170を構成する。
図38に示される工程S306においては、図43に示されるように、図42に示される複合体3170の第1の酸化アルミニウム膜3160および第2の酸化アルミニウム膜3012をそれぞれ覆う第1の窒化シリコン膜3180および第2の窒化シリコン膜3014が形成される。工程S306により、図43に示される、シリコン基板3145、第1の酸化アルミニウム膜3160、第2の酸化アルミニウム膜3012、第1の窒化シリコン膜3180および第2の窒化シリコン膜3014を備える複合体3190が得られる。第1の窒化シリコン膜3180および第2の窒化シリコン膜3014の形成は、実施の形態1の工程S109と同様に、平行平板型のプラズマCVD法により行われる。第3の酸化アルミニウム膜3162は、窒化シリコン膜に覆われず、複合体3190の外部に露出する。
図38に示される工程S307においては、図44に示されるように、図43に示される複合体3190から第3の酸化アルミニウム膜3162が除去され、裏面3067を覆う部分3195および端面3066を覆う部分3196からなる第1の誘電体膜3197が得られる。裏面3067を覆う部分3195は、第1の酸化アルミニウム膜3160および第1の窒化シリコン膜3180からなる。端面3066を覆う部分3196は、第2の酸化アルミニウム膜3012および第2の窒化シリコン膜3014からなる。工程S307により、図44に示される、シリコン基板3145および第1の誘電体膜3197を備える複合体3200が得られる。
第3の酸化アルミニウム膜3162が除去される場合は、複合体3190が0.5%フッ化水素酸に90秒間浸漬される。フッ化水素酸に対する窒化シリコン膜のエッチングレートは、フッ化水素酸に対する酸化アルミニウム膜のエッチングレートの1/10以下である。このため、第1の酸化アルミニウム膜3160が第1の窒化シリコン膜3180に覆われ第2の酸化アルミニウム膜3012が第2の窒化シリコン膜3014に覆われた状態が維持されたまま複合体3190が0.5%フッ化水素酸に浸漬された場合は、第1の窒化シリコン膜3180および第2の窒化シリコン膜3014の各々がマスク膜となる。これにより、第1の酸化アルミニウム膜3160は第1の窒化シリコン膜3180に保護されて除去されず、第2の酸化アルミニウム膜3012は第2の窒化シリコン膜3014に保護されて除去されず、窒化シリコン膜に保護されない第3の酸化アルミニウム膜3162のみが除去される。
図38に示される工程S308においては、図45に示されるように、図44に示される複合体3200に備えられるシリコン基板3145の受光面3065を覆う第3の窒化シリコン膜3182が形成され、受光面3065を覆い第3の窒化シリコン膜3182からなり酸化アルミニウム膜を含まない第2の誘電体膜3215が得られる。工程S308により、図45に示される、シリコン基板3145、第1の誘電体膜3197および第2の誘電体膜3215を備える複合体3210が得られる。第3の窒化シリコン膜3182の形成は、実施の形態1の工程S111と同様に、平行平板型のプラズマCVD法により行われる。
図38に示される工程S309においては、図46に示されるように、図45に示される複合体3210の裏面3067を覆う部分3195に開口3078が形成される。工程S309により、図46に示される、シリコン基板3010、第1の誘電体膜3040および第2の誘電体膜3215を備える複合体3240が得られる。
開口3078が形成される場合は、532nmの波長を有するグリーンレーザー光が裏面3067を覆う部分3195に線間隔が50μmになるようにストライプ状に掃引照射され、裏面3067を覆う部分3195の一部がストライプ状に剥離され除去される。第1の酸化アルミニウム膜3160および第1の窒化シリコン膜3180はグリーンレーザー光に対して透明であるが、シリコン基板3145はグリーンレーザー光によりアブレーションされるため、その上にある第1の酸化アルミニウム膜3160および第1の窒化シリコン膜3180の一部が剥離除去される。開口3078は、図38に示される工程S310において第1の電極前駆体を裏面3062に接触させるために必要である。
図38に示される工程S310においては、図47に示されるように、図46に示される複合体3240の裏面側の主面3251および受光面側の主面3250にそれぞれ第1の電極前駆体3260および第2の電極前駆体3261が形成される。工程S310により、図47に示される、シリコン基板3010、第1の誘電体膜3040、第2の誘電体膜3215、第1の電極前駆体3260および第2の電極前駆体3261を備える複合体3270が得られる。第1の電極前駆体3260は、裏面3062を覆う部分3050を挟んで裏面3062に対向し、開口3078を経由して裏面3062を覆う部分3050を貫通し、裏面3062に接する。第2の電極前駆体3261は、第2の誘電体膜3215を挟んで受光面3060に対向する。
第1の電極前駆体3260が形成される場合は、第1の電極ペーストが裏面側の主面3251にスクリーン印刷され印刷膜が形成され、形成された印刷膜が250℃で5分間かけて乾燥させられ第1の電極ペーストに含まれる溶剤が蒸発させられる。第1の電極ペーストは、Agの粒子、ガラス粒子、樹脂成分、溶剤等からなる混合物であり、銀を含み、数重量%のアルミニウムを含む。
第2の電極前駆体3261が形成される場合は、第2の電極ペーストが受光面側の主面3250にスクリーン印刷され印刷膜が形成され、形成された印刷膜が250℃で5分間かけて乾燥させられ第2の電極ペーストに含まれる溶剤が蒸発させられる。第2の電極ペーストは、Agの粒子、ガラス粒子、樹脂成分、溶剤等からなる混合物であり、銀を含むがアルミニウムを含まない。
図38に示される工程S311においては、実施の形態1の工程S113と同様に、図47に示される複合体3270が焼成され、第1の電極前駆体3260が焼成され、第2の電極前駆体3261が第2の誘電体膜3215をファイアースルーする。工程S311により、図37に示される太陽電池3000が完成する。複合体3270の焼成は、実施の形態1と同様に行われる。
工程S311により、第1の電極前駆体3260が図37に示される第1の電極3016に変化する。このとき、第1の電極前駆体3260に含まれる樹脂成分が消失し、第1の電極前駆体3260に含まれるアルミニウムがp型シリコン層3020と合金層を形成し、第1の電極前駆体3260に含まれる銀粒子が形成された合金層に接し、第1の電極3016とp型シリコン層3020との電気的導通が得られる。合金層は、約20μmの厚さを有するため、開口3078が形成されたときにp型シリコン層3020に欠陥が生じた場合でも、当該欠陥は合金層に取り込まれ、当該欠陥の影響は抑制される。
工程S311により、第2の誘電体膜3215が図37に示される第2の誘電体膜3041に変化し、第2の電極前駆体3261が図37に示される第2の電極3017に変化する。このとき、第2の電極前駆体3261に含まれる樹脂成分が消失し、第2の電極前駆体3261に含まれるガラス粒子が第2の誘電体膜3215を貫通し、第2の電極前駆体3261に含まれる銀粒子がリン拡散層3021に接し、第2の電極3017とリン拡散層3021との電気的導通が得られる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
1000,2000,2500,3000 太陽電池、1010,3010 シリコン基板、2010,2510 基板、1011,2011,2511,3011 第1の酸化アルミニウム膜、1012,2012,2512,3012 第2の酸化アルミニウム膜、1013,2013,2512,3013 第1の窒化シリコン膜、1014,2014,2514,3014 第2の窒化シリコン膜、1015,2015,2515,3015 第3の窒化シリコン膜、1016,2016,2517,3016 第1の電極、1017,2017,2518,3017 第2の電極、1030,2030,2530,3030 pn接合体、2023,2523 第1の酸化シリコン膜、2024,2524 第2の酸化シリコン膜、2525 第3の酸化シリコン膜。

Claims (7)

  1. 一方の主面(2060,2560)、端面(2061,2561)および他方の主面(2062,2562)を有し、pn接合を有し、前記一方の主面(2060,2560)がp型の導電型を呈し、前記他方の主面(2062,2562)がn型の導電型を呈するpn接合体(2030,2530)と、
    前記一方の主面(2060,2560)を覆う第1の部分(2050,2550)及び前記端面(2061,2561)を覆う第2の部分(2051,2551)からなり、前記第1の部分(2050,2550)が第1の酸化アルミニウム膜(2011,2511)を含み、前記第2の部分(2051,2551)が第2の酸化アルミニウム膜(2012,2512)を含む第1の誘電体膜(2040,2540)と、
    前記他方の主面(2062,2562)を覆い、酸化アルミニウム膜を含まない第2の誘電体膜(2041,2541)と、
    前記第1の部分(2050,2550)を貫通し、前記一方の主面(2060,2560)に接し、銀を含む第1の電極(2016,2517)と、
    前記第2の誘電体膜(2041,2541)を貫通し、前記他方の主面(2062,2562)に接し、銀を含むがアルミニウムを含まない第2の電極(2017,2518)と、
    を備え、
    前記第1の部分(2050,2550)は、第1の酸化シリコン膜(2023,2523)をさらに含み、
    前記第2の部分(2051,2551)は、第2の酸化シリコン膜(2024,2524)をさらに含み、
    前記pn接合体(2030,2530)、前記第1の酸化シリコン膜(2023,2523)および前記第2の酸化シリコン膜(2024,2524)は、堆積膜を備えず前記pn接合体(2030,2530)と前記第1の酸化シリコン膜(2023,2523)との基板内界面(2060,2560)および前記pn接合体(2030,2530)と前記第2の酸化シリコン膜(2024,2524)との基板内界面(2061,2561)を有する基板を構成する
    太陽電池(2000,2500)。
  2. 前記第2の誘電体膜(2541)は、第3の酸化シリコン膜(2525)を含み、
    前記pn接合体(2530)、前記第1の酸化シリコン膜(2523)、前記第2の酸化シリコン膜(2524)および前記第3の酸化シリコン膜(2525)は、前記基板(2510)を構成し、
    前記基板(2510)は、前記pn接合体(2530)と前記第3の酸化シリコン膜(2525)との基板内界面(2562)をさらに有する
    請求項1の太陽電池(2500)。
  3. a) 一方の主面(1060,2060,2560,3067)、端面(1061,2061,2561,3066)および他方の主面(1062,2062,2562,3065)を有し、pn接合を有し、前記一方の主面(1060,2060,2560,3067)がp型の導電型を呈し、前記他方の主面(1062,2062,2562,3065)がn型の導電型を呈するpn接合体(1030,2030,2530,3146)を準備する工程(S101−S107,S201−S208,S251−S258,S301−S304)と、
    b) 前記一方の主面(1060,2060,2560,3067)を覆う第1の部分(1315,2165,2690,3195)及び前記端面(1061,2061,2561,3066)を覆う第2の部分(1316,2166,2691,3196)からなり、前記第1の部分(1315,2165,2690,3195)が第1の酸化アルミニウム膜(1270,2140,2660,3160)を含み、前記第2の部分(1316,2166,2691,3196)が第2の酸化アルミニウム膜(1012,2012,2512,3012)を含む第1の誘電体膜(1317,2167,2702,3197)を形成する工程(S108−S110,S209−S211,S260−S262,S305−S307)と、
    c) 工程b)の前または後に、前記他方の主面(1062,2062,2562,3065)を覆い酸化アルミニウム膜を含まない第2の誘電体膜(1345,2185,2720,3215)を形成する工程(S111,S208,S212,S258,S259,S308)と、
    d) 前記一方の主面(1060,2060,2560,3067)に対向し銀を含む第1の電極前駆体(1370,2230,2740,3260)および前記第2の誘電体膜(1345,2185,2720,3215)を挟んで前記他方の主面(1062,2062,2562,3065)に対向し銀を含むがアルミニウムを含まない第2の電極前駆体(1371,2231,2741,3261)を形成し、前記pn接合体(1030,2030,2530,3146)、前記第1の誘電体膜(1317,2167,2702,3197)、前記第2の誘電体膜(1345,2185,2720,3215)、前記第1の電極前駆体(1370,2230,2740,3260)および前記第2の電極前駆体(1371,2231,2741,3261)を備える複合体(1380,2240,2750,3270)を得る工程(S112,S213,S263,S310)と、
    e) 前記複合体(1380,2240,2750,3270)を焼成することにより、前記第1の電極前駆体(1370,2230,2740,3260)を、前記第1の部分(1315,2165,2690,3195)を貫通し前記一方の主面(1060,2060,2560,3067)に接する第1の電極(1016,2016,2517,3016)に変化させ、前記第2の電極前駆体(1371,2231,2741,3261)に前記第2の誘電体膜(1345,2185,2720,3215)をファイアースルーさせ、前記第2の電極前駆体(1371,2231,2741,3261)を、前記第2の誘電体膜(1345,2185,2720,3215)を貫通し前記他方の主面(1062,2062,2562,3065)に接する第2の電極(1017,2017,2518,3017)に変化させる工程(S113,S214,S264,S311)と、
    を備え、
    工程b)は、
    b-1) 前記第1の酸化アルミニウム膜(1270,2140,2660,3160)、前記第2の酸化アルミニウム膜(1012,2012,2512,3012)および前記他方の主面(1062,2062,2562,3065)の上にはみ出す第3の酸化アルミニウム膜(1290,2142,2661,3162)を形成する工程(S108,S209,S260,S305)と、
    b-2) 前記第1の酸化アルミニウム膜(1270,2140,2660,3160)を覆う第1のマスク膜(1300,2160,2695,3180)及び前記第2の酸化アルミニウム膜(1012,2012,2512,3012)を覆う第2のマスク膜(1014,2014,2514,3014)を前記第3の酸化アルミニウム膜(1290,2142,2661,3162)を覆わないように形成する工程(S109,S210,S261,S306)と、
    b-3) 前記第1のマスク膜(1300,2160,2695,3180)が前記第1の酸化アルミニウム膜(1270,2140,2660,3160)を覆い前記第2のマスク膜(1014,2014,2514,3014)が前記第2の酸化アルミニウム膜(1012,2012,2512,3012)を覆う状態を維持したまま前記第1の酸化アルミニウム膜(1270,2140,2660,3160)および前記第2の酸化アルミニウム膜(1012,2012,2512,3012)を除去しないように前記第3の酸化アルミニウム膜(1290,2142,2661,3162)を除去する工程(S110,S211,S262,S307)と、
    を備える太陽電池(1000,2000,2500,3000)を生産する方法。
  4. 工程b-1)は、原子層堆積法により前記第1の酸化アルミニウム膜(1270,2140,2660,3160)および前記第2の酸化アルミニウム膜(1012,2012,2512,3012)を形成する
    請求項3の太陽電池(1000,2000,2500,3000)を生産する方法。
  5. 前記第1のマスク膜(1300,2160,2695,3180)は、第1の窒化シリコン膜(1300,2160,2695,3180)であり、
    前記第2のマスク膜(1014,2014,2514,3014)は、第2の窒化シリコン膜(1014,2014,2514,3014)であり、
    前記第1の部分(1315,2165,2690,3195)が前記第1の窒化シリコン膜(1300,2160,2695,3180)をさらに含み、
    前記第2の部分(1316,2166,2691,3196)が前記第2の窒化シリコン膜(1014,2014,2514,3014)をさらに含む
    請求項3または4の太陽電池(1000,2000,2500,3000)を生産する方法。
  6. f) 一方の基板主面(2070)、基板端面(2071)および他方の基板主面(2072)を有し、pn接合を有するシリコン基板(2100)を準備する工程(S201−S207,S251−S257)
    をさらに備え、
    前記第1の部分(2165,2690)が第1の酸化シリコン膜(2110,2610)をさらに含み、
    前記第2の部分(2166,2691)が第2の酸化シリコン膜(2024,2524)をさらに含み、
    前記シリコン基板(2100)のうちの前記一方の基板主面(2070)に沿う第1の表層部および前記基板端面(2072)に沿う第2の表層部を酸化することにより、前記第1の表層部を前記第1の酸化シリコン膜(2110,2610)に変化させ、前記第2の表層部を前記第2の酸化シリコン膜(2024,2524)に変化させ、前記第1の表層部および前記第2の表層部以外に前記pn接合体(2030,2530)を得る
    請求項3から5までのいずれかの太陽電池(2000,2500)を生産する方法。
  7. 前記第2の誘電体膜(2720)は、第3の酸化シリコン膜(2611)を含み、
    前記シリコン基板のうちの前記他方の基板主面に沿う第3の表層部を酸化することにより、前記第3の表層部を前記第3の酸化シリコン膜(2611)に変化させる
    請求項6の太陽電池(2500)を生産する方法。
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