以下に、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態によるチューブ容器を詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
はじめに、本発明の第1の実施の形態によるチューブ容器1全体について説明する。図1は、チューブ容器1の正面図である。図1に示すように、チューブ容器1は、筒状の胴部10Aと胴部10Aの一端部側に設けられた円形の口部10Bとを有し、内容物が収容される容器本体10と、口部10Bに着脱可能に装着される筒状のキャップ20と、を備えている。図1では、キャップ20が二点鎖線で示された載置面Mに接触し、そして容器本体10の口部10Bが下側に向く直立状態で、チューブ容器1が載置面Mに載置された状態が示されている。図1では、キャップ20によって覆われているため外部からは視認できない口部10Bが、便宜上、破線で表されている。
なお本実施の形態においては、図1に示すような、口部10Bが下側に向く状態だけでなく、後述するように、口部10Bが上側に向く状態でも容器本体10を支持することができるよう、キャップ20が構成されている。以下、容器本体10の口部10Bが下側に向く状態を「倒立状態」と称し、容器本体10の口部10Bが上側に向く状態を「正立状態」と称することもある。
上述の口部10Bは、図1において破線で示す連結体100の一要素として構成されていてもよい。この場合、連結体100は、口部10B、口部10Bの外周部から口部10Bの径方向外側に張り出す環状の肩部10C、および肩部10Cの外周縁から口部10B側とは反対側に向けて立ち上がる連結筒部10Dを有している。この連結体100が、当該連結体100とは別体である胴部10Aのその開放した一端部に連結されることで、容器本体10Aが形成されている。
胴部10Aは、例えば、ドライラミネート法で積層された基材フィルムおよびシーラントフィルムを含む積層体フィルムの側端同士をヒートシールなどによって接着させることによって筒状に形成したものである。胴部10Aの一端部は開放しており、その内側には、上述の連結体100の連結筒部10Dが挿入されて接着等されている。一方、胴部10Aの他端部は、内容物が充填された後、溶着等によって閉鎖されており、これによって扁平状の閉鎖部10Eが形成されている。また、閉鎖部10Eが形成されることに伴い、胴部10Aのうちの閉鎖部10Eに隣接する部位は、閉鎖部10Eに近づくに従いその厚さが次第に小さくなる形状になっている。
チューブ容器1の容器本体10に収容される内容物は、後述する、口部10Bを介した内容物の詰め替えが可能である程度の流動性を有する限りにおいて、特には限定されないが、例えば内容物として、歯磨き剤、ハンドクリーム、頭髪用コンディショナーなどを挙げることができる。なお、口部10Bを介した内容物の詰め替えを考慮し、図示の容器本体10の口部10Bは、比較的大径となっている。
次に、図1に加えて図2〜図5をさらに参照して、キャップ20について詳細に説明する。図2は、キャップ20の斜視図であり、図3は、キャップ20の後述する蓋体21がキャップ本体22の注出口41を開放させた状態のキャップ20を示した図であり、図4は、キャップ20の縦断面図であり、図5は、キャップ20の側面図である。
図1に示すように、本実施の形態においてキャップ20は、チューブ容器1が載置面Mに載置される際に載置面Mに接触する接触部30を含む蓋体21と、口部10Bに装着されたキャップ本体22と、を有している。蓋体21の接触部30は、キャップ20のうち載置面Mに面する側(図1では下側)に形成されている。以下の説明において、キャップ20のうち載置面Mに面する側のことを「第1側」とも称する。また、第1側とは反対側(図1では上側)のことを、「第2側」とも称する。図中には、説明の便宜上、「第1側」が向く方向を矢印Iで示し、「第2側」が向く方向を矢印IIで示している。
図2および図4に示すように、キャップ本体22は、キャップ20のうち第2側、すなわち上側に形成され、容器本体10の口部10Bに着脱可能に装着される接続部として機能する内筒部40を含んでいる。図4に示すように、内筒部40の内周面には雌ねじ部40Aが形成されている。また、容器本体10の口部10Bには、図示は省略するが、内筒部40の雌ねじ部40Aに対応する雄ねじ部が形成されている。すなわちキャップ20は、螺着によって容器本体10に装着されるように構成されている。なお容器本体10へのキャップ20の挿着方法は螺着に限られることはなく、嵌合などその他の方法が採用されていてもよい。
図2〜図5に示すように、キャップ本体22は二重筒状に形成されていてもよい。すなわち、キャップ本体22は、上述した内筒部40の外周側に位置する外筒部43をさらに有していてもよい。この場合、キャップ本体22は、内筒部40および外筒部43がそれぞれ接続された円板状の天板部42を有しており、内筒部40および外筒部43はそれぞれ、天板部42から上側に向けて立設されている。ここでは、図4に示すように天板部42が水平方向に沿って延びる例が示されている。天板部42には注出口41が形成されており、この注出口41は、キャップ20が容器本体10の口部10Bに装着されているときに口部10Bと連通するよう、天板部42のうち内筒部40の内側の位置に形成されている。
外筒部43は、内筒部40よりも上側に突出するよう構成されていてもよい。この場合、好ましくは外筒部43は、図1に示すように、キャップ20が容器本体10の口部10Bに装着されているときに容器本体10の胴部10Aに沿って容器本体10の肩部10Cよりも上側へ延びる延長部43Aを有している。この延長部43Aの直径は、延長部43Aによって容器本体10の胴部10Aが適切に外側から覆われるよう、設定されている。
蓋体21は、載置面Mに接触する上述の接触部30を提供するとともに、キャップ本体22の注出口41を閉鎖するためにキャップ本体22に装着されたものである。この蓋体21は例えば、注出口41および天板部42と対向する円板状の蓋本体31と、蓋本体31の外周縁から上側に立ち上がる嵌合筒部32と、を有している。蓋体21の嵌合筒部32およびキャップ本体22の外筒部43は、互いに嵌合可能に構成されている。すなわち本実施の形態において、キャップ本体22への蓋体21の装着は、蓋体21の嵌合筒部32とキャップ本体22の外筒部43との間の嵌合によってもたらされている。
ここで、例えば、図2および図4に参照されるように、蓋体21がキャップ本体22に装着されているときには、円板状の天板部42の中心軸(横断面中央を通る直線)と円板状の蓋本体31の中心軸(横断面中央を通る直線)とは共通軸上に位置するようになっている。図3では、蓋体21がキャップ本体22に装着されているときに、前記共通軸が、キャップ本体22を通過する点C1と、蓋体21を通過する点C2と、が示されている。以下では、点C1を、キャップ本体22の中心C1と呼び、点C2を蓋体21の中心C2と呼ぶ場合がある。さらに、これらの中心C1,C2を含む、前記共通軸がキャップ20において通過する部位のことを、キャップ20の中心と呼ぶ場合がある。
また図3および図4に示すように、蓋体21の嵌合筒部32とキャップ本体22の外筒部43との間には、両者に連結されたヒンジ部33が設けられていてもよい。これにより、蓋体21は、ヒンジ部33を回転軸として、注出口41を閉鎖する状態と、注出口41を開放する状態と、の間で回動可能となっている。蓋本体31には、蓋体21が注出口41を閉鎖した状態のときに注出口41の先端部外周面に外嵌されて注出口41を閉止する閉止筒部31Aが形成されていてもよい。これによって、蓋体21が注出口41を閉鎖した状態のときに内容物が注出口41から漏出することをより確実に防ぐことができる。
上述のように蓋体21とキャップ本体22との間にヒンジ部33が設けられている場合、好ましくは、上述の注出口41は、キャップ本体22のうちヒンジ部33が設けられている側とは反対側に形成されている。ここで「反対側」とは、キャップ本体22の中心C1を境にしてヒンジ部33寄りの位置に注出口41が位置しないことをいう。換言すれば、キャップ本体22の中心C1を挟んで一方側にヒンジ部33が配置されており、他方側に注出口41が配置されていることをいう。これによって、使用者が蓋体21を開放して注出口41から内容物を例えば使用者の手に向けて注出させる際に、蓋体21と手とが干渉してしまうことを抑制することができる。
チューブ容器1が直立状態で安定に支持され得る限りにおいて、蓋体21の接触部30の具体的な形態が特に限られることはない。例えば本実施の形態においては、図4に示すように、蓋体21は、蓋本体31の外周縁部から下側に突出する環状のリブ34を有しており、このリブ34の下端が接触部30となる。なお図示はしないが、このようなリブ34が存在しない場合、蓋本体31の下面が接触部30として機能してもよい。
次に、容器本体10の口部10Bが上側に向く状態(正立状態)で容器本体10を保持するように胴部10Aの他端部すなわち閉鎖部10Eを含む部位を支持するためにキャップ20に形成されている要素について説明する。以下の説明においては、正立状態で容器本体10を保持するためのキャップ20の要素を「支持部」と総称する。ここでは支持部は、図2〜図5に示すように、キャップ20の中心C1を挟んで外筒部43に形成された一対のスリット44として構成されている。
本実施の形態では、スリット44は、外筒部43に形成された上述した延長部43Aの径方向で対向する部位に形成されており、延長部43Aの先端から天板部42側に延びている。この場合スリット44は、延長部43Aのうちその先端から天板部42側に延びる対向する一対の壁面と、当該一対の壁面の天板部42側の端部にそれぞれ連なる壁面と、によって画定されている。本実施の形態では、スリット44の幅寸法は、閉鎖部10Eおよび胴部10Aのうちの閉鎖部10Eに隣接する部位を受け入れて挟持することが可能な寸法に設定されている。例えば本実施の形態では、スリット44は、延長部43Aの先端から天板部42側に向かうにつれてその幅が次第に狭くなるように構成されている。一例としてスリット44がこのような形状を有することで、胴部10Aの閉鎖部10Eおよび胴部10Aのうちの閉鎖部10Eに隣接する部位をスリット44に嵌め込むことにより、容器本体10を正立状態で保持することができる。なお、胴部10Aの閉鎖部10Eおよび胴部10Aのうちの閉鎖部10Eに隣接する部位は、スリット44に遊び(隙間)をもって嵌め込まれてよいし、遊びなく圧入されて嵌め込まれてもよい。また、本実施の形態においては、支持部(スリット44)に嵌め込まれる「胴部の他端部」に対応する部位は、閉鎖部10Eおよび胴部10Aのうちの閉鎖部10Eに隣接する部位となっている。しかしながら、このような「胴部の他端部」に対応する部位は、支持部(スリット)の形状および寸法によっても変わり得る。
ところで、容器本体10とキャップ20との間の密封性という観点から考えると、上述のスリット44は、密封性を低下させるよう作用するものであるといえる。一方、本実施の形態においては上述のように、スリット44は、容器本体10の胴部10Aを覆うよう胴部10Aに沿って延びる延長部43Aに形成されている。このため、延長部43Aと胴部10Aとの間の隙間が可能な限り小さくなるよう、好ましくは両者が密着するように延長部43Aを構成することにより、仮にスリット部44に水などの液体が到達したとしても、液体がキャップ20の内側に浸入してしまうことを胴部10Aによって防ぐことができる。従って、容器本体10とキャップ20との間の密封性を全くまたはほとんど低下させることなく、正立状態で容器本体10を保持するためのスリット44(支持部)をキャップ20に設けることができる。
なお、スリット44によって容器本体10とキャップ20との間の密封性が低下してしまうことを防ぐために延長部43Aにスリット44が設けられている場合、スリット44が形成される場所以外には、そのような延長部43Aが設けられる必要は特に無いといえる。従って、図1,2,4,5に示すように、一対のスリット44の間の、スリット44から離れた場所においては、外筒部43には、延長部43Aが切り欠かれた一対の切欠き部46が形成されていてもよい。換言すると、延長部43Aにおけるスリット44が形成されてない領域には、切欠き部46が形成されていてもよい。これによって、外筒部43の全域にわたって延長部43Aが形成される場合に比べて、外筒部43を形成するために用いられる樹脂材料の量を低減することができる。なお、容器本体10とキャップ20との間の密封性を向上させる上では、スリット44の有無に依らず、延長部43Aが有効に作用する。従って、スリット44の部分を除いて、外筒部43の全域にわたって延長部43Aが形成されていてもよい。
キャップ20の材料としては、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂が用いられる。キャップ20の製法は特には限られないが、例えば、射出成型法や圧縮成型法を用いることにより、上述の蓋体21、キャップ本体22やヒンジ部33を含むキャップ20を一体的に形成することができる。
次に、第1の実施の形態によるチューブ容器1の作用について説明する。
はじめに、チューブ容器1に収容されている内容物を使用する方法について説明する。チューブ容器1内に内容物が存在している間は通常、容器本体10の口部10Bにキャップ20を装着した状態で、キャップ20の蓋体21を下側にして容器本体10が倒立状態で保持されている。チューブ容器1を使用する際には、チューブ容器1を持ち上げ、キャップ本体22から蓋体21を取り外して、注出口41を外部に露出させる。この状態で、容器本体10を圧搾することにより、注出口41から内容物が吐出される。
次に、チューブ容器1内の内容物を使い尽くした後、チューブ容器内へ内容物を補充する方法について説明する。はじめに、内容物が充填されたボトルやパウチ(図示せず)などを準備する。次に、チューブ容器1の容器本体10からキャップ20を取り外し、口部10Bを開放させる。そして、キャップ20の蓋体21の接触部30を下側にしてキャップ20を載置面Mに載置する。このときキャップ20においては、図2に示すように、キャップ本体22におけるスリット44の開放端が上側に向く状態となっている。そして、キャップ20の中心を挟んで対向して位置するスリット44それぞれに、口部10Bが上側に向く状態とされた容器本体10の閉鎖部10Eおよび胴部10Aのうちの閉鎖部10Eに隣接する部位を嵌め込む。これによって、図6に示すように、口部10Bが上側に向く状態で容器本体10を保持することができる。この状態の間に、上側に向いた口部10Bを介して容器本体10内へ内容物を注入することができる。
このように、本実施の形態によれば、チューブ容器1のキャップ20は、容器本体10を倒立状態で保持するように容器本体10の一端部側の口部10Bに接続される接続部(内筒部40)に加えて、容器本体10を正立状態で保持するように容器本体10の他端部を支持する支持部(スリット44)を有している。このように、キャップ20は、容器本体10の倒立状態の保持および正立状態の保持の両方を実現可能に構成されている。このため、構成要素を新たに追加することなく、チューブ容器1の容器本体10の正立状態を容易に実現することができる。従って本実施の形態によれば、携帯性に優れたチューブ容器1に、詰め替え性の向上という、経済面および環境面で優れた新たな価値を安価に付加することができる。
なお、上述した本実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した本実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の本実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した本実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
(スリットの変形例)
図7は、第1の実施の形態の変形例によるキャップの側面図である。図7に示す変形例によるキャップでは、スリット44を画定する延長部43A(外筒部43)のうちの対向する一対の壁面それぞれに、当該一対の壁面が対向する方向にそれぞれ突出する突片48が形成されている。この例では、延長部43Aのうちの対向する一対の壁面におけるスリット44の開放端側の領域に、突片48が形成されている。このような突片48を設けることにより、突片48が設けられている領域におけるスリット44の幅寸法を、突片48が設けられていない領域に比べて局所的に小さくすることができる。これによって、スリット44が胴部10Aに対して及ぼす挟持力を局所的に大きくすることができる。このことにより、後述するように、容器本体10の正立状態の安定性を効果的に向上させることができる。
図7に示すように、突片48は、突出方向に向かうにつれて先細りとなる三角形状に形成されていてもよい。これによって、上側からスリット44に挿入された胴部10Aの閉鎖部10Eが突片48の突出方向の先端部に至る際の、スリット44の幅寸法の変化の程度を、比較的になだらかなものとすることができる。これにより、胴部10Aの閉鎖部10Eをスリット44内にスムーズに案内することができる。以上の点で、この変形例は、第1の実施の形態と異なっている。
以下、本変形例によるスリット44によってもたらされる作用について説明する。容器本体10の胴部10Aをスリット44の奥まで嵌め込んだ際に、胴部10Aとスリット44との間に遊び(隙間)がある場合には、容器本体10は、スリット44の奥側に位置する閉鎖部10Eの端縁を回転軸として傾こうとする。しかしながら、図7で説明した変形例のように突片48が形成される場合には、突片48が、傾こうとする容器本体10の胴部10Aに干渉して、容器本体10の傾きを抑制することができる。すなわち本変形例のスリット44によれば、胴部10Aの閉鎖部10Eだけでなく、胴部10Aのうち閉鎖部10Eから口部10B側へ離間した部分を確実に挟持することができる。このため、容器本体10の正立状態の安定性を向上させることができる。また、図7の変形例においては、延長部43Aのうちの対向する一対の壁面におけるスリット44の開放端側の領域に、突片48が形成されているため、閉鎖部10Eと、胴部10Aのうち突片48によって挟持される部分との間の間隔をより広くすることができる。このため、突片48がスリット44の奥側の領域に形成される場合に比べて、容器本体10の傾きをより効果的に抑制することができる。これによって、容器本体10の正立状態の安定性を効果的に向上させることができる。
なお、図7で説明した変形例においては、スリット44を画定する延長部43Aのうちの対向する一対の壁面それぞれに、突片48が形成される例を示した。しかしながら、胴部10Aのうち閉鎖部10Eから口部10B側へ離間した部分を支持することができる限りにおいて、突片48の具体的な構成が特に限られることはない。例えば、図示はしないが、延長部43Aのうちの対向する一対の壁面のいずれか一方のみに、他方へ向かって突出する突片が形成されていてもよい。
(外筒部の変形例)
次に、第1の実施の形態の他の変形例について説明する。図8は、第1の実施の形態の他の変形例によるキャップの縦断面図である。図8に示す変形例では、キャップ本体22の外筒部43における延長部43Aに、第1の実施の形態で説明した切欠き部46が形成されていない。すなわち、スリット44が形成された部位を除き、外周部43の全域にわたって延長部43Aが形成されている。以上の点で、この変形例は、第1の実施の形態と異なっている。
図8で説明した変形例によれば、容器本体10とキャップ20との間の密封性が向上するため、液体がキャップ20の内側に浸入することをより効果的に防止することができる。
(キャップ本体の変形例)
次に、第1の実施の形態のさらに他の変形例について説明する。図9は、第1の実施の形態のさらに他の変形例によるキャップの縦断面である。
上述の第1の実施の形態および各変形例においては、容器本体10の口部10Bに接続される接続部がキャップ20の内筒部40によって構成され、容器本体10の他端部を支持するための支持部がキャップ20の外筒部43に設けられる例を示した。すなわち、接続部と支持部とがそれぞれ異なる要素となっている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、本変形例において説明するように、接続部と支持部とがキャップ20の1つの筒部内に含まれてもよい。
図9に示す本変形例では、キャップ本体22が、第1の実施の形態のように二重筒状に形成されていない。具体的には、キャップ本体22は、キャップ20が容器本体10の口部10Bに装着されているときに容器本体10の口部10Bと連通する注出口41が形成された円板状の天板部42と、天板部42の外周縁から上側に向けて立設された接続筒部50と、を有している。
接続筒部50のうちの天板部42側の領域には、キャップ20を容器本体10の口部10Bに装着するための雌ねじ部50Aが形成されている。一方、接続筒部50のうちの雌ねじ部50Aが形成された領域の上端部(第2側寄りの端部)から接続筒部50の先端までの領域には、第1の実施の形態と同様のスリット44および切欠き部46が形成されている。また、図示の例では、接続筒部50が2段筒状に形成されており、接続筒部50のうちのスリット44および切欠き部46が形成された領域は、接続筒部50のうちの雌ねじ部50Aが形成された領域よりも大径に形成されており、第1の実施の形態で説明した延長部43Aに相当する。そして、容器本体10のうちの口部10Bは雌ねじ部50Aに螺着されており、口部10Bから張り出す肩部10Cは、接続筒部50のうちのスリット44および切欠き部46が形成された領域に向けて延びている。そして、肩部10Cの外周縁部側から上側に延びる胴部10Aは、接続筒部50のうちのスリット44および切欠き部46が形成された領域によって外側から覆われている。このように、キャップ20の接続筒部50に、容器本体10の口部10Bに接続される接続部、および、容器本体10の他端部を支持する支持部として機能するスリット44の両方が含まれている。従って、より簡易な構成を有するキャップ20を用いて、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。以上の点で、この変形例は、第1の実施の形態と異なっている。
なお図9に示す例においては、接続筒部50のうちの雌ねじ部50Aが形成された領域までスリット44は延びていないが、これに限られることはなく、図示はしないが、スリット44は、雌ねじ部50Aが形成された領域まで延びていても構わない。
(第2の実施の形態)
図10は、第2の実施の形態によるキャップの蓋体がキャップ本体の注出口を開放させた状態のキャップを示した図であり、図11は、第2の実施の形態によるキャップの縦断面図であり、図12は、第2の実施の形態によるキャップの側面図である。図13は、図11の矢印13方向に見た矢視図である。本実施の形態における第1の実施の形態と同一の構成部分は、同一符号を示し、説明は省略する。また、第1の実施の形態において得られる作用効果が本実施の形態においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
はじめに、上述の第1の実施の形態におけるキャップ20と、本実施の形態におけるキャップ20との間の主な相違点について説明する。図10〜図13に示すように、本実施の形態では、キャップ本体22の天板部42に、第2側から第1側に向けて、すなわち上側から下側に向けて天板部42を貫通する第1水抜き孔60が形成されている。また、キャップ本体22の天板部42は、第1水抜き孔60に向かうに従い、水平方向に対して第1側(下側)へ傾斜した方向に延びる傾斜面70を有している。さらに、蓋体21に、第2側から第1側に向けて、すなわち上側から下側に向けて蓋体21を貫通する第2水抜き孔61Aが形成されている。後述するように、第1水抜き孔60および第2水抜き孔61Aは、外部からキャップ20内に浸入した水などの液体を外部へ排出するためのものである。
次に、天板部42の第1水抜き孔60について詳細に説明する。キャップ本体22が内筒部40および外筒部43を含む場合、キャップ本体22の天板部42は、図11に示すように、内筒部40の内側に位置する円板状の中央側円板部42Aと、内筒部40と外筒部43との間に位置する環状の外周側円板部42Bと、に区画される。中央側円板部42Aには、注出口41が形成されている。そして上述の第1水抜き孔60は、図11に示すように外周側円板部42Bに形成されている。すなわち、第1水抜き孔60は、天板部42のうち内筒部40と外筒部43との間の領域に形成されている
図11に示すように、第1水抜き孔60は、外周側円板部42Bにおけるヒンジ部33に隣接する位置に形成されていてもよい。一般にヒンジ部33近傍の領域には使用者の注意があまり向かないので、ヒンジ部33近傍に第1水抜き孔60を設けることにより、第1水抜き孔60が目立つことを抑制することができる。なお、上述のようにキャップ本体22のうちヒンジ部33が設けられている側とは反対側に注出口41が設けられている場合、キャップ20の中心を挟んで一方側に注出口41が配置され、他方側に第1水抜き孔60が配置されることになる。
本実施形態において、第1水抜き孔60は、図10に示すように、外周側円板部42Bの周方向に長尺に延びる弧状或いは弓形状に形成されている。このような形状を採用することの利点については後述する。
次に、天板部42の傾斜面70について詳細に説明する。傾斜面70は、天板部42上に到達した水などの液体が重力によって自然と第1水抜き孔60へ向かうようにするために設けられたものである。本実施の形態においては、上述のように第1水抜き孔60は天板部42の外周側円板部42Bに、第2側から第1側に向けて外周側円板部42Bを貫通するよう形成されており、従って傾斜面70も、外周側円板部42Bの第2側(上側)の面に形成されている。具体的には、図11および図12に示すように、外周側円板部42Bは、第1水抜き孔60に向かうに従い、水平方向に対して第1側(下側)へ傾斜した方向に延びるように形成されている。傾斜部70の傾斜角は特には限られないが、例えば2〜30°の範囲内に設定される。
本実施の形態では、傾斜面70は、外周側円板部42Bの全域に形成されている。すなわち、外周側円板部42Bの全域に、第1水抜き孔60に向かう傾斜がつけられている。しかしながら、これに限られることはなく、傾斜面70は、外周側円板部42Bにおいて部分的に形成されていてもよい。また本実施の形態では、中央側円板部42Aは、水平方向に延びるものとして示されているが、これに限られることはなく、中央側円板部42Aおよび外周側円板部42Bが一体に傾斜状に形成されていてもよい。すなわち、傾斜面70が、中央側円板部42Aおよび外周側円板部42Bにわたって形成されていてもよい。
次に、蓋体21の第2水抜き孔61Aについて詳細に説明する。図11に示すように、第2水抜き孔61Aは、蓋体21のうちヒンジ部33が設けられている側においてヒンジ部33に隣接して形成されている。そして、図11に示すように、蓋体21が注出口41を閉鎖する状態においては、第1水抜き孔60Aと第2水抜き孔61Aとが対向する。また、この例において、第2水抜き孔61Aは、キャップ本体22の第1水抜き孔60と同様に、蓋本体31の周方向に長尺に延びる弧状或いは弓形状に形成されている。
次に、第1水抜き孔60および第2水抜き孔61Aの形状についてより詳細に説明する。図10には、第1水抜き孔60のキャップ20の中心回りの角度Xと、第2水抜き孔61Aのキャップ20の中心回りの角度Y1と、が示されている。本実施の形態では、角度Xと角度Y1は略同一に設定されている。角度Xと角度Y1の具体的な値は、キャップ20に求められる液体の抜けやすさ、強度や外観などに基づいて適宜設定される。例えば第1水抜き孔60および第2水抜き孔61Aは、キャップ20の中心回りに5°〜75°の範囲で連続して延びる孔として形成される。図10においては、角度Xと角度Y1がいずれも約45°となっている例が示されている。すなわち、第1水抜き孔60および第2水抜き孔61Aはそれぞれ、キャップ20の中心回りに、約45°の範囲で連続して延びる孔として形成されている。
なお、キャップ本体22に形成される水抜き孔の個数、および、蓋体21に形成される水抜き孔の個数が特に限定されることはない。例えば図10に示すように、蓋体21は、第2水抜き孔61Aに加えて、第2水抜き孔61B,61C,61Dがさらに形成されていてもよい。これら4つの第2水抜き孔61A,61B,61C,61Dは、例えば、蓋体21の蓋本体31のうちの外周側の部位において周方向に略90°の間隔を空けて形成されている。図11に参照されるように、第2水抜き孔61A,61B,61C,61Dは全て、蓋本体31のうちリブ34に囲まれた位置に形成される。
また図10には、第2水抜き孔61Bのキャップ20の中心回りの角度Y2が、上述の角度Xおよび角度Y1と併せて示されている。角度Y2は、約10°となっている。すなわち、第2水抜き孔61Bは、キャップ20の中心回りに、約10°の範囲で連続して延びる孔として形成されている。
なお、キャップ本体22の第1水抜き孔60を通って蓋体21側に至る液体の大部分は、第1水抜き孔60と対向する位置にある第2水抜き孔61Aに到達して第2水抜き孔61Aから排出されると考えられる。従って、蓋体21に形成される第2水抜き孔のうち第2水抜き孔61A以外の孔、すなわち第2水抜き孔61B,61C,61Dは、第2水抜き孔61Aからは排出されなかった少量の液体を排出するための補助的なものであるといえる。従って、上述の第2水抜き孔61B,61C,61Dは、第2水抜き孔61Aよりも開口面積が小さい円形状に形成されていてもよい。これによって、第2水抜き孔61Aと同等の寸法を有する孔が4つ蓋体21に形成される場合に比べて、孔に起因する蓋体21の強度や意匠性の低下を抑制することができる。
以下、本実施の形態によるチューブ容器1の作用について説明する。本実施の形態によれば、天板部42における外筒部43の径方向の内側に水などの液体が浸入した場合に、当該液体が、図13の矢印αに示すように、天板部42の傾斜面70によって第1水抜き孔60に案内されて、第1水抜き孔60の外部に排出される。その後に、第1水抜き孔60の外部に排出された液体を、第2の水抜き孔61A,61B,61C,61Dから蓋体21の外部に排出できる。これにより、キャップ20内に液体が滞留することによってカビなどが発生したり、蓋体21を取り外した際に液体が飛び散ったりすることを抑制することができる。
また、上述のように、キャップ20に形成されるスリット44は、容器本体10とキャップ20との間の密封性を低下させるよう作用するものである。ここで、本実施の形態によれば、仮にスリット44によって容器本体10とキャップ20との間の密封性が低下される場合にあっても、キャップ20の内部に浸入した液体を効果的に排出することができる。従って、スリット44に起因する密封性の低下による悪影響を好適に抑制することができる。
また、本実施の形態では、第1水抜き孔60と第2水抜き孔61Aとが対向しているため、第1水抜き孔60の外部に排出された液体を、第2の水抜き孔61Aから効率的に排出することができる。
また、本実施の形態においても、図11に示すように、蓋体21(蓋本体31)に、第1側(下側)に向けて立ち上がるリブ34が形成されている。リブ34は、第2水抜き孔61A,61B,61C,61Dを囲っている。この場合、蓋本体31に形成されたリブ34における接触部30が載置面Mに接触され、口部10Bが下側に向く状態で容器本体10が保持された際に、蓋本体31の下側におけるリブ34の内側の領域と載置面Mの間には空間が形成される。従って、チューブ容器1が載置面Mに載置されている状態であっても、当該空間に、第2の水抜き孔61A,61B,61C,61Dから液体を排出することができる。このため、蓋本体31上の液体を効率的に蓋本体31の外部に排出することができる。
ところで、キャップ本体22の天板部42の外周側円板部42Bに形成される傾斜面70の傾斜は、図11に示すように一般に、キャップ本体22を断面図で見た場合に一様な傾斜角となるよう、設定される。しかしながら、図13に示すように、天板部42の外周側円板部42B上に到達した液体は、環状の外周側円板部42Bによって画定される円周状の経路に沿って第1水抜き孔60へ向かう。この場合、円周状の経路において液体が傾斜面70によって付与される駆動力の程度は、外周側円板部42B上における位置によって異なることになる。例えば、第1水抜き孔60が設けられている位置の近傍において液体が傾斜面70によって付与される駆動力は、第1水抜き孔60が設けられている位置から周方向に90°離間した位置において液体が傾斜面70によって付与される駆動力よりも小さくなる。従って、第1水抜き孔60の近傍においては、その他の領域に比べて、水が流れにくくなっているといえる。
ここで本実施の形態によれば、上述のように、第1水抜き孔60は、外周側円板部42Bの周方向に長尺に延びる弧状或いは弓形状に形成されている。すなわち、外周側円板部42Bのうち水が流れにくい領域は、第1水抜き孔60にされている。従って、その他の領域から第1水抜き孔60近傍の領域へ傾斜面70に沿って流れてきた水などの液体を、より確実に第1水抜き孔60に到達させることができる。
次に、第2の実施の形態の変形例について説明する。図14は、第2の実施の形態の変形例によるキャップの縦断面図である。ここで説明する変形例では、第2の実施の形態の一部が変更されている。本実施の形態における第2の実施の形態と同一の構成部分は、同一符号を示し、説明は省略する。
図14に示す変形例では、蓋体21の蓋本体31が、第2水抜き孔61Aに向かうに従い、水平方向に対して第1側(下側)に傾斜する方向に延びる傾斜面71を有している。これに対応して、リブ34は、第2水抜き孔61Aに向かうに従い、その高さが次第に小さくなるように形成されている。
本変形例によれば、第1水抜き孔60の外部に排出された水などの液体が、蓋体21の傾斜面71によって第2水抜き孔61Aに案内されて、第2水抜き孔61Aの外部に排出される。これにより、天板部42における外筒部43の径方向の内側に浸入した液体を、効果的に排出することができる。
また、図15には、第2の実施の形態の他の変形例によるキャップの縦断面図が示されている。図15に示す変形例では、キャップ本体22の天板部42が上述した傾斜面70を有していない一方、蓋体21の蓋本体31のみが傾斜面71を有している。また、蓋本体31には、キャップ本体22の第1水抜き孔60と対向する上述した第2水抜き孔61Aが形成されていない一方、第1水抜き孔60とキャップ20の中心を挟んで反対側に位置する第2水抜き孔61Bのみが形成されている。また、蓋体21の傾斜面71は、第2水抜き孔61Bに向かうに従い、水平方向に対して第1側(下側)に傾斜する方向に延びている。以上の点で図14で説明した変形例と異なっている。
本変形例によれば、第1水抜き孔60から排出された水などの液体が傾斜面71によって、第1水抜き孔60と離れた位置にある第2水抜き孔61Bに案内されるため、蓋体21に形成された水抜き孔の位置によらず、キャップ20の内部に浸入した液体を効果的に排出することができる。このため、良好な液体の排出性を確保しながら、蓋体21に形成される水抜き孔の配置自由度を確保できる。なお、傾斜面71の傾斜方向および蓋体21に形成される水抜き孔の位置は、図15で説明した変形例の態様に限られることはない。
以上、本発明の各実施の形態を説明したが、本発明は、上述の実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、上述の実施の形態では、ドライラミネート法により積層された基材フォルムおよびシーラントフィルムを含む積層体フィルムの側端同士をヒートシールなどによって接着させることによって筒状に形成されてなる胴部10Aの開放した一端部に、口部10B等を有する連結体100が接着等されることによって、容器本体10Aが形成されている。しかしながら、溶融押出成形法により胴部10Aが筒状に形成され、これに連結体100が接着等されていてもよい。また、ブロー成形により、胴部10Aと口部10B(肩部10C)とが一体に成形されるものでもよい。