JP6197932B1 - バンパレインフォースメント構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】意匠部材とバンパレインフォースメントとの間にクリアランスを確保し、異音の発生や意匠部材の破損を抑制しつつ、車両デザイン性を確保すると共に、バンパレインフォースメントの所定部位の剛性を確保することができるバンパレインフォースメント構造の提供を目的とする。【解決手段】バンパレインフォースメント20の前面におけるクラッシュカン12正面部位との対応部には、車両前部に位置する意匠部材60との干渉防止用として車両後方に窪む凹部24dが前面上端から前面下端にかけて延設され、凹部24dの上下方向中間部位から凹部外側段差X3,X4と交差して上記クラッシュカン12よりも車幅方向外側まで延設され、かつ、車幅方向外側部位26aの膨出量が車幅方向内側部位26bの膨出量よりも大きい前方膨出部26が設けられたことを特徴とする。【選択図】図9

Description

この発明は、左右のクラッシュカンの前端部相互間に車幅方向に延びるバンパレインフォースメントが架渡されたバンパレインフォースメント構造に関する。
一般に、車両前部にはクラッシュカンやバンパレインフォースメント等の荷重吸収部材が設けられている。これらのクラッシュカンやバンパレインフォースメントは車両の衝撃荷重を受け止めるために頑強なものになっている。
上述のバンパレインフォースメントの前方部には車両の意匠性と歩行者接触時の安全性とを図る目的で、比較的柔らかい材料で形成されたフロントバンパフェース等が配設されている。
上述のフロントバンパフェースには、エンジンルーム内に走行風を導入すると共に、意匠性を高めるフロントグリルが設けられている。これらフロントバンパフェースやフロントグリルは、基本的には樹脂で形成されることが多く、これらフロントバンパフェース、フロントグリルの剛性を確保するために、フロントバンパフェース後部、フロントグリル後部には補強部としてフランジやリブ等が設けられる。
上述のフロントバンパフェースやフロントグリルは柔軟性および復元力を有し、安全性と意匠性とを両立しているが、これらフロントバンパフェース、フロントグリルが故意または不注意で後方に押圧されると、その後部のフランジやリブがバンパレインフォースメントに当って、異音が発生したり、フロントバンパフェースやフロントグリル(特に、その後部の補強部)が破損するので好ましくない。
一方で、車両前側の左右のコーナ部は空力特性や旋回性等の観点で、傾斜形状または湾曲形状に形成されることが多い。また、車両のスモールオーバラップ衝突の対策として、上述のバンパレインフォースメントをクラッシュカンよりも車幅方向の外側に延設する場合がある。
この場合、バンパレインフォースメントを真横外側に延ばすと、車両デザイン性が阻害されるので、スモールオーバラップ衝突の対策と、車両デザイン性確保との両立が要請されるものである。
ところで、特許文献1には、バンパビームの車幅方向外端部と、バンパビーム延長部材の車幅方向内端部との間に凹部が形成された車両の車体前部構造が開示されている。
しかしながら、上記特許文献1に開示された従来構造の凹部は、車幅方向に延びるものであり、しかも、該凹部の上下および車幅方向外側には車両正面視でコ字状の内方端部が設けられているので、フロントバンパフェース後部やフロントグリル後部の補強部としてのフランジやリブを回避しにくいものであった。
特開2012−228907号公報
そこで、この発明は、意匠部材とバンパレインフォースメントとの間にクリアランスを確保し、異音の発生や意匠部材の破損を抑制しつつ、車両デザイン性を確保すると共に、バンパレインフォースメントの所定部位の剛性を確保することができるバンパレインフォースメント構造の提供を目的とする。
この発明によるバンパレインフォースメント構造は、左右のクラッシュカンの前端部相互間に車幅方向に延びるバンパレインフォースメントが架渡されたバンパレインフォースメント構造であって、上記バンパレインフォースメントの前面におけるクラッシュカン正面部位との対応部には、車両前部に位置する意匠部材との干渉防止用として車両後方に窪む凹部が前面上端から前面下端にかけて延設され、上記凹部の上下方向中間部位から凹部外側段差と交差して上記クラッシュカンよりも車幅方向外側まで延設され、かつ、車幅方向外側部位の膨出量が車幅方向内側部位の膨出量よりも大きい前方膨出部が設けられたものである。
上述の意匠部材は、フロントバンパフェース、フロントグリル、シグニチャー(グリル回りの縁取り部材)等に設定することができる。
上記構成によれば、クラッシュカン正面部位と対応するバンパレインフォースメント前面に、意匠部材との干渉防止用として車両後方に窪んで上下方向に延びる凹部を設けたので、上記意匠部材(詳しくは、その後端のリブやフランジ)と凹部との間にクリアランスを確保することができ、これにより、異音の発生や意匠部材の破損を抑制し、かつ車両デザイン性を確保することができる。
また、上述の前方膨出部は凹部の上下方向中間部位から凹部外側段差と交差してクラッシュカンよりも車幅方向外側まで延設され、かつ、その膨出量は車幅方向内側部位に対して車幅方向外側部位が大きい。上述の凹部外側段差には荷重が集中して折れ曲がりの起点となる可能性があるが、前方膨出部は凹部外側段差と交差しているので、曲げに対して強くなり、所定部位(凹部外側段差が存在する部位)の剛性を確保することができる。
要するに、意匠部材とバンパレインフォースメントとの間にクリアランス(詳しくは、車両前後方向のクリアランス)を確保し、異音の発生や意匠部材の破損を抑制しつつ、車両デザイン性を確保すると共に、バンパレインフォースメントの所定部位(凹部外側段差が存在する部位)の剛性を確保することができるものである。
この発明の一実施態様においては、上記凹部は車幅方向外側後方へ傾斜した底面部を有し、上記前方膨出部は上記底面部の上下方向中間部位から車幅方向に延設されたものである。
上記構成によれば、上述の底面部は車幅方向外側後方へ傾斜しており、この底面部の傾斜構造により、前方膨出部を凹部の車幅方向内側縁よりも車両後方に配置することができ、当該前方膨出部を意匠部材後端から車両後方に回避することができる。
この発明の一実施態様においては、上記クラッシュカンは中空十字断面形状に形成されており、上記前方膨出部は中空十字断面の車幅方向外側の側方延長部と車両正面視で重複する位置において車幅方向に延設されたものである。
上記構成によれば、前方膨出部が中空十字断面のクラッシュカンにおける車幅方向外側の側方延長部と車両正面視で重複するので、スモールオーバラップ衝突時の荷重を、上記クラッシュカンの側方延長部で確実に受止めることができ、バンパレインフォースメント端部の剛性向上を図って、その折れ曲がりを防止することと、意匠部材との間のクリアランス確保との両立を図ることができる。
この発明によれば、意匠部材とバンパレインフォースメントとの間にクリアランスを確保し、異音の発生や意匠部材の破損を抑制しつつ、車両デザイン性を確保すると共に、バンパレインフォースメントの所定部位(凹部外側段差が存在する部位)の剛性を確保することができる効果がある。
本発明のバンパレインフォースメント構造を備えた前部車体構造の平面図 図1の要部拡大平面図 (a)はクラッシュカン先端と対応する部位におけるバンパレインフォースメントの正面図、(b)はクラッシュカン先端部と延長部材との相対関係を示す正面図 図3(a)のA−A線矢視断面図 図3(a)のB−B線矢視断面図 車両右側のバンパレインフォースメント構造を示す斜視図 図6の分解斜視図 意匠部材の正面図 図8のC−C線矢視断面図 図9の斜視図 車両左側のサイドフロントパネルの拡大平面図 車両右側のサイドフロントパネルの他の実施例を示す正面図
意匠部材とバンパレインフォースメントとの間にクリアランスを確保し、異音の発生や意匠部材の破損を抑制しつつ、車両デザイン性を確保すると共に、バンパレインフォースメントの所定部位の剛性を確保するという目的を、左右のクラッシュカンの前端部相互間に車幅方向に延びるバンパレインフォースメントが架渡されたバンパレインフォースメント構造において、上記バンパレインフォースメントの前面におけるクラッシュカン正面部位との対応部には、車両前部に位置する意匠部材との干渉防止用として車両後方に窪む凹部が前面上端から前面下端にかけて延設され、上記凹部の上下方向中間部位から凹部外側段差と交差して上記クラッシュカンよりも車幅方向外側まで延設され、かつ、車幅方向外側部位の膨出量が車幅方向内側部位の膨出量よりも大きい前方膨出部が設けられるという構成にて実現した。
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面はバンパレインフォースメント構造を示し、図1は当該バンパレインフォースメント構造を備えた前部車体構造の平面図である。
バンパレインフォースメント構造の説明に先立って、まず、図1を参照して前部車体構造の構成を概略的に説明する。
[前部車体構造]
図1において、エンジンルーム1と車室2とを車両前後方向に仕切るダッシュパネル3(詳しくは、ダッシュロアパネル)を設けている。このダッシュパネル3は上下方向および車幅方向に延びる縦壁部と、この縦壁部の上端に一体に折曲げ形成された上端折曲げ部と、縦壁部の下部から後下に延びるスラント部3aとを備えている。
ダッシュパネル3の上端折曲げ部にはカウルボックス4を取付ける一方、ダッシュパネル3後部の車幅方向中央部には車室2側へ突出したトンネル部5を設けている。
上述のダッシュパネル3の縦壁部前面からエンジンルーム1の左右両サイド部を車両前方に延びる左右一対のフロントサイドフレーム6,6を設けている。フロントサイドフレーム6,6は車両前後方向に延びる車体剛性部材であって、該フロントサイドフレーム6はフロントサイドフレームインナとフロントサイドフレームアウタとを接合固定して、車両の前後方向に延びるサイドフレーム閉断面を有している。
また、該フロントサイドフレーム6はダッシュパネル3の縦壁部前面からスラント部3a下面に沿って設けられており、一方で、図示しないフロアパネルの下部には、当該フロントサイドフレーム6と車両前後方向に連続するようにフロアフレーム7が設けられている。このフロアフレーム7は断面逆ハット形状に形成されており、フロアフレーム7とフロアパネルとの間には車両前後方向に延びる閉断面が形成されている。
上述のトンネル部5は図面ではその前側一部のみを図示しているが、実際にはダッシュパネル3からフロアパネル後部のキックアップ部まで車両前後方向に延びており、該トンネル部5の下部には、車両前後方向に延びるトンネルロアフレーム8が設けられている。このトンネルロアフレーム8は断面逆ハット形状に形成されており、トンネルロアフレーム8とトンネル部5下部との間には車両前後方向に延びる閉断面が形成されている。
上述のダッシュパネル3の縦壁部前方隣接位置において、フロントサイドフレーム6の車幅方向外側と、車体剛性部材であるエプロンレインフォースメント9の車幅方向内側との間には、ダンパ支持部10aを備えたサスペンションタワー部10が設けられている。
図2は図1の要部拡大平面図、図3の(a)はクラッシュカン先端と対応する部位におけるバンパレインフォースメントの正面図、図3の(b)はクラッシュカン先端部と延長部材との相対関係を示す正面図、図4は図3の(a)のA−A線矢視断面図、図5は図3の(a)のB−B線矢視断面図、図6は車両右側のバンパレインフォースメント構造を示す斜視図、図7は図6の分解斜視図で、図2〜図7においては、車両右側のバンパレインフォースメント構造を示している。図8は意匠部材の正面図、図9は図8のC−C線矢視断面図であって、車両左側のバンパレインフォースメント構造を示している。
また、図10は図9の斜視図、図11は車両左側のサイドフロントパネルの拡大平面図、図12は車両右側のサイドフロントパネルの他の実施例を示す正面図である。
次に、図2〜図11を参照してバンパレインフォースメント構造について詳述する。
なお、図2〜図7で示す車両右側のバンパレインフォースメント構造と、図9〜図11で示す車両左側のバンパレインフォースメント構造とは、左右対称または左右略対称に構成されている。
[クラッシュカン取付け構造]
図2、図4、図6、図7に示すように、上述のフロントサイドフレーム6の前端にはセットプレート11が一体的に設けられる一方、車両正面視で十字中空断面形状のクラッシュカン12の後端部には取付けプレート13が一体的に設けられている。そして、この取付けプレート13は、複数のボルト14、ナット15から成る取付け部材を用いてセットプレート11の前部に締結固定されている。
上述のクラッシュカン12はフレーム前端荷重吸収部(衝突エネルギ吸収部材)であって、図3に示すように、該クラッシュカン12は、アウタ部材16とインナ部材17とを組合せて、車両正面視で十字状のクラッシュカン閉断面18を備えている。
[バンパレインフォースメントの構成]
図1に示すように、左右のクラッシュカン12,12の前端部相互間には、車幅方向に延びるバンパレインフォースメント20が架け渡されている。
このバンパレインフォースメント20は、図1、図2、図4に示すように、左右のクラッシュカン12,12前面に直接架け渡されて車幅方向に延びるバンパレインフォースメント本体21と、このバンパレインフォースメント本体21の車幅方向中間部前面を覆う中間パネルとしての中間フロントパネル22と、バンパレインフォースメント本体21の車幅方向端部において、その後面側で接合固定されて車幅方向外側に突設された延長部材23(いわゆるエクステンション)と、中間フロントパネル22および延長部材23に接合固定され、クラッシュカン12の前面全体と重複して、当該クラッシュカン12の前面よりも車幅方向外側まで延設されたサイドパネルとしてのサイドフロントパネル24と、を備えている。
上述の中間フロントパネル22と上述のサイドフロントパネル24との両者により、バンパレインフォースメント本体21の前面を覆うバンパレインフォースメントパネル25を構成している。また、この実施例では、図1、図2に示すように、サイドフロントパネル24と延長部材23との車幅方向外端部は略面一状になるよう構成されている。
[バンパレインフォースメント本体の構成]
図5に示すように、上述のバンパレインフォースメント本体21は、上下方向に延びる後面部21aと、この後面部21aの上端から前上に延びる上面部21bと、上記後面部21aの下端から前下に延びる下面部21cと、上面部21bの前端から上方に延びる前面部21dと、下面部21cの前端から下方に延びる前面部21eと、上側の前面部21dの上端および下側の前面部21eの下端から後方に延びるフランジ部21f,21fとを一体形成したもので、車両前方側が開放される前開きコ字状に形成されている。
図3に示すように、上述のバンパレインフォースメント本体21の車幅方向外側端部は、車両正面視でクラッシュカン12の前面全体(正面全体)と重複しており、当該車幅方向外側端部における上縁21gはクラッシュカン12の上縁よりも上側に位置しており、車幅方向外側端部における下縁21hはクラッシュカン12の下縁よりも下側に位置しており、車幅方向外側端部における外縁21iはクラッシュカン12の外縁よりも車幅方向外側に位置している。
[中間フロントパネルの構成]
図6、図7に示すように、上述の中間フロントパネル22には、その上下両縁から上下方向中間部にかけて上下方向に延びると共に、車両前方に膨出するビード22a(bead)が一体形成されている。該ビード22aは車幅方向に所定間隔を隔てて複数設けられている。また、中間フロントパネル22の車幅方向外端縁22bは、図3に示すように、クラッシュカン12の車幅方向内端縁と対向する位置で終焉している。
このように形成した中間フロントパネル22を、図5に示すように、バンパレインフォースメント本体21の上下の前面部21d,21eに溶接固定することで、これら両者22,21間には車幅方向に延びるバンパレイン閉断面S1が形成されている。
[バンパレインフォースメント本体、延長部材、中間フロントパネル、サイドフロントパネルの構成]
図4に示すように、上述の延長部材23はバンパレインフォースメント本体21よりも厚肉とされている。また同図に示すように、上述のサイドフロントパネル24は中間フロントパネル22よりも厚肉とされている。
図7に示すように、上述の延長部材23はバンパレインフォースメント本体21の後面部21aに接合固定される後側接合部23aと、バンパレインフォースメント本体21の上側の前面部21dに接合固定される上側接合部23bと、バンパレインフォースメント本体21の下側の前面部21eに接合固定される下側接合部23cと、を一体形成したものである。
[クラッシュカンの構成]
ところで、図3の(b)に示すように、上述のクラッシュカン12はアウタ部材16とインナ部材17とを接合固定して車両正面視で十字状のクラッシュカン閉断面18を有するものであるから、このクラッシュカン12の車幅方向外側には、上下方向上側の側壁16aと、上下方向中間部の側壁16bと、上下方向下側の側壁16cとが形成されている。これらの各側壁16a,16b,16cは車幅方向外側側壁(いわゆる縦壁)であり、側壁16bは他の側壁16a,16cよりもさらに車幅方向外側に位置している。
また、クラッシュカン12の車幅方向内側には、上下方向上側の側壁17aと、上下方向中間部の側壁17bと、上下方向下側の側壁17cとが形成されている。これらの各側壁17a,17b、17cは車幅方向内側側壁(いわゆる縦壁)であり、側壁17bは他の側壁17a,17cよりもさらに車幅方向内側に位置している。
[クラッシュカンと延長部材の関連構造]
図3の(b)に示すように、上述の延長部材23は、クラッシュカン12よりも車幅方向外側に突出されている。詳しくは、該延長部材23は、クラッシュカン12の上下方向中間部における車幅方向外側側壁16bよりもさらに車幅方向外側に突出されている。
しかも、図3(a)、図3(b)に示すように、該延長部材23は、車両正面視で、上述のクラッシュカン12の車幅方向外側側壁16a,16b,16cの前後方向の端部(前端部)と重複するよう構成されている。
つまり、図3(b)に示すように、延長部材23の車幅方向内側端部23dは、クラッシュカン12の各車幅方向外側側壁16a,16b,16cよりも車幅方向内側に位置しており、延長部材23の車幅方向外側端部23eは、クラッシュカン12の各車幅方向外側側壁16a,16b,16cよりもさらに車幅方向外側に位置しており、また、クラッシュカン12の上下寸法に対して延長部材23の上下寸法は充分大きく設定されている。
要するに、バンパレインフォースメント本体21にその背面側(後側接合部23a参照)が接合固定され、かつ、クラッシュカン12よりも車幅方向外側に突出された延長部材23が設けられ、該延長部材23は、バンパレインフォースメント本体21よりも厚肉(図4参照)とされると共に、車両正面視で、クラッシュカン12の車幅方向外側側壁16a,16b,16cの前後方向の端部(前端部)と重複するよう構成されたものである。
これにより、スモールオーバラップ衝突時に、バンパレインフォースメント20のクラッシュカン12よりも車幅方向外側に衝突物が当っても、厚肉の延長部材23を介してクラッシュカン12に確実に荷重伝達し、さらに、延長部材23が、車両正面視で、上記各車幅方向外側側壁16a,16b,16cの前端と重複することで、バンパレインフォースメント本体21背面のクラッシュカン当接部に対する集中荷重強度を高めて、重量増加を抑えつつ、スモールオーバラップ衝突時にバンパレインフォースメント本体21が潰れることなく、クラッシュカン12に円滑に荷重伝達するよう構成したものである。
[延長部材の構成]
また、図2、図9に示すように、上述の延長部材23の車幅方向外側部位(車幅方向外側端部23e参照)は、車幅方向内側部位(車幅方向内側端部23d参照)よりも車両平面視で前後方向の寸法が小さくなるよう形成されており、さらに、図2、図9に示すように、該延長部材23は車幅方向外側が細くなる先細り形状に形成されている。
これにより、延長部材23の後方スペースの確保と、バンパレインフォースメント20の車幅方向の曲げ剛性の略同等化によるクラッシュカン12への荷重伝達性能の最適化との両立を図ると共に、延長部材23の車幅方向外側部位(車幅方向外側端部23e参照)の前後方向の寸法が小さいことにより、補機32(図9参照)のレイアウトや車両デザイン性の自由度向上を図るよう構成したものである。なお、補機32の具体的取付け構造については、後述する。
なお、補機32としては、キャパシタ、レーダ、ウオッシャタンク、ランプユニットその他の何れであってもよい。
[クラッシュカンとバンパレインフォースメント本体との関連構造]
図2、図9に示すように、上述のクラッシュカン12はその前端部において上下方向中間部がバンパレインフォースメント本体21の後面部21aで終焉する一方、クラッシュカン12の上下方向上側および下側はバンパレインフォースメント本体21の前面部21d,21e(図5参照)まで前方に延びている。
そして、クラッシュカン12の前端部とバンパレインフォースメント本体21とは溶接手段にて互いに接合固定されるが、図2、図9に示すように、クラッシュカン12の車幅方向外側側壁16a,16c(但し、図2、図9では上側の側壁16aのみを示す)のバンパレインフォースメント本体21との接合前後長L1は、クラッシュカン12の車幅方向内側側壁17a,17c(但し、図2、図9では上側の側壁17aのみを示す)のバンパレインフォースメント本体21との接合前後長L2よりも短く設定されている。すなわち、L1<L2の関係式が成立するように構成されている。
バンパレインフォースメント20の車幅方向内側はその車幅方向外側に対して相対的に薄肉に形成され、この薄肉に形成された部分は接合前後長L2を相対的に長く(L2>L1)することで、単位長さ当りの荷重伝達量を小さくして、荷重分散を図り、バンパレインフォースメント20の車幅方向外側は、延長部材23の板厚により確実にクラッシュカン12へ荷重伝達し、かつ、車幅方向外側をコンパクトに形成することで、補機32(図9参照)レイアウトや車両デザイン性の自由度をさらに向上すべく構成したものである。
[フレーム共通化の構成]
ここで、上述のバンパレインフォースメント本体21は板厚が相対的に薄肉で、比較的高張力の熱間プレス(プレス加工時に成形と同時に焼入れ等の熱処理を行うプレス加工)製の部材を用い、上述の延長部材23は板厚が相対的に厚肉で、比較的低張力の冷間プレス製の低コストで、かつ集中荷重強度が強い部材を用いている。これにより、車幅(車両の全幅)が異なる車両であってもフレームの共通化と、バンパレインフォースメント20の車種に応じた対応とを図るよう構成している。
すなわち、フロントサイドフレーム6,6の車幅方向の離間距離を車幅が小さい車両に対応させると共に、軽量高剛性のバンパレインフォースメント本体21を車幅が小さい車両に対応させて、車幅が異なる車種にも共通して用い、車幅が大きい車両に対応する場合には、バンパレインフォースメント20の車幅方向外側の延長部材23とサイドフロントパネル24とを変更することで、車幅を異にする車種に容易に対応するよう構成したものである。
[サイドフロントパネルの構成]
一方、図7に示すように、上述のサイドフロントパネル24は、その車幅方向内側に上下方向に延びる一対の稜線X1,X2を有すると共に、車幅方向中間部にも上下方向に延びる一対の稜線X3,X4を有している。
上述の稜線X3,X4を跨ぐ位置から車幅方向外端にかけて車両前方へ突出する前方膨出部26を、サイドフロントパネル24の上下方向中間に、一体形成している。そして、前方膨出部26の上側には延長部材23の上側接合部23bに接合固定される上側接合部24aを形成し、前方膨出部26の下側には延長部材23の下側接合部23cに接合固定される下側接合部24bを形成し、稜線X1の車幅方向内側には中間フロントパネル22の車幅方向外端部に接合固定される内側接合部24cを形成している。
[サイドフロントパネルと中間フロントパネルとクラッシュカンとの関連構造]
図3、図6に示すように、上述のサイドフロントパネル24はその内側接合部24cが中間フロントパネル22と接合固定されており、また該サイドフロントパネル24は中間フロントパネル22よりも厚肉に形成されると共に、車両正面視でクラッシュカン12の正面全体と重複して、該クラッシュカン12の正面よりも車幅方向外側まで延設されたものである。
これにより、サイドフロントパネル24の剛性を高め、スモールオーバラップ衝突時の衝突物からの集中荷重に対する強度向上を図っている。衝突荷重入力時にはサイドフロントパネル24が後方に曲がろうとするが、厚肉のサイドフロントパネル24は中間フロントパネル22と接合されており、サイドフロントパネル24が中間フロントパネル22で引張られることで、該サイドフロントパネル24の折曲がりを防止して、クラッシュカン12に衝突荷重を伝達し、クラッシュカン12を潰すことで衝突エネルギを吸収すべく構成したものであり、バンパレインフォースメント本体21の口閉じ変形(上下の前面部21d,21eが接近する方向への変形)を抑制しつつ、スモールオーバラップ衝突時にサイドフロントパネル24を介してのクラッシュカン12への荷重伝達性能を確保するように構成したものである。
[前方膨出部とクラッシュカンとの関連構造]
また、図3に正面図で示すように、前方膨出部26は、上述のバンパレインフォースメントパネル25(このバンパレインフォースメントパネル25は、中間フロントパネル22とサイドフロントパネル24とで形成される)におけるクラッシュカン12正面の少なくとも車幅方向外側の一部と重複する部位から該クラッシュカン12よりも車幅方向外側まで延び、かつ、車両前方に膨出する閉断面S2(サイドバンパレイン閉断面、図4参照)構造のものであって、上述のバンパレインフォースメント本体21および前方膨出部26は、クラッシュカン12よりも高剛性とされたものである。なお、この実施例では、上述の前方膨出部26の剛性は、バンパレインフォースメント本体21の剛性と同等またはそれ以下になるように設定されている。
[荷重伝達および荷重吸収の構成]
上述の前方膨出部26は、図4に示すように、延長部材23との間で上述のサイドバンパレイン閉断面S2を形成しており、当該前方膨出部26は閉断面S2(サイドバンパレイン閉断面)の大きさにより、その曲げ剛性が高いので、スモールオーバラップ衝突の初期には該前方膨出部26にて荷重を確実にクラッシュカン12に伝達し、その荷重伝達量の増加を図ると共に、スモールオーバラップ衝突の後期には、車両前方に膨出した前方膨出部26を車両前後方向に潰れ変形させて、荷重吸収量の増加を図るよう構成したものである。
ここで、上述のバンパレインフォースメント本体21の剛性に対して、前方膨出部26の剛性を低く設定した場合には、バンパレインフォースメント本体21の後退変位を抑制して、さらに荷重吸収を図ることができ、クラッシュカン12よりも車幅方向外側、かつ、バンパレインフォースメント20後方に補機32(図9参照)が配設された場合には、前方膨出部26の荷重吸収量の増加により、補機32の損傷を低減することができるものである。
要するに、バンパレインフォースメント本体21は、左右のクラッシュカン12,12に荷重を伝達する必要性から剛性が求められる一方で、荷重吸収性能については然程要求されないので、バンパレインフォースメント本体21は荷重伝達機能を有するように構成し、前方膨出部26は荷重伝達機能と荷重吸収機能との両機能を有するように構成し、これらバンパレインフォースメント本体21と前方膨出部26とを機能別に作り分けしたものである。
[意匠部材と凹部の構成]
図8、図9、図10に示すように、車両前部には意匠部材としてのフロントバンパフェース40、フロントグリル50、導風板部60が設けられている。これらフロントバンパフェース40、フロントグリル50、導風板部60は、柔軟性および復元性を確保するために樹脂部材で構成されると共に、その剛性を確保する目的で後部に補強部としてのフランジやリブが一体形成されている。図9、図10においては、導風板部60後部のグリルフランジ61(補強部)を示している。
図9、図10に示すように、フロントバンパフェース40のグリル取付け孔部41には、車両後方に延びる係止突片42が一体形成されており、この係止突片42で係合される係合部51を備えたフロントグリル50が上述のグリル取付け孔部41に配置されている。この際、フロントグリル50の係合部51はフロントバンパフェース40の係止突片42で係止される。
グリル取付け孔部41に配置されたフロントグリル50は、図8に示すように、複数の縦格子部52と、複数の横格子部53との間に、複数の走行風取入れ口54…を形成したものである。また、上述の導風板部60は、図9に示すように、フロントグリル50の直後部に配置されており、その補強部であるグリルフランジ61は、図9、図10に示すように、クラッシュカン12と対向する位置において斜め外側後方に延びるように形成されている。
図9、図10に示すように、バンパレインフォースメント20の前面におけるクラッシュカン12正面部位との対応部には、車両前部に位置する意匠部材としての導風板部60、特に、補強部であるそのグリルフランジ61との干渉防止用として車両後方に窪む凹部24dが前面上端から前面下端にかけて延設されている。
この実施例では、バンパレインフォースメント20を構成するサイドフロントパネル24に干渉防止用の凹部24dがその上端から下端にわたって上下方向に連続して形成されている。図9の要部を図11に拡大平面図で示すように、車両後方に窪む凹部24dはサイドフロントパネル24に形成された合計4つの稜線X1,X2,X3,X4のうち、車幅方向最内端の稜線X1と車幅方向最外端の稜線X4との間に形成されている。
そして、上述の前方膨出部26は、図3、図9〜図11に示すように、上記凹部24dの車幅方向中間部位および上下方向中間部位から凹部外側段差としての稜線X3,X4と交差してクラッシュカン12よりも車幅方向外側まで延設されており、かつ前方膨出部26における車幅方向外側部位26aの車両前方への膨出量がその車幅方向内側部位26bの車両前方への膨出量よりも大きく形成されている。
これにより、意匠部材である導風板部60のグリルフランジ61と凹部24dとの間に、図9、図10に示すクリアランスCL(軽度変形時不干渉隙)を確保し、意匠部材が押圧されて後退した場合の異音の発生や上記グリルフランジ61の破損を抑制して、車両デザイン性を確保すべく構成したものである。
また、上述の凹部外側段差である稜線X3,X4には荷重が集中して折れ曲がりの起点となる可能性があるが、前方膨出部26が稜線X3,X4と交差し、稜線X3,X4が前方膨出部26で上下に仕切られるので、サイドフロントパネル24は曲げに対して強くなり、所定部位(稜線X3,X4部位)の剛性を確保するよう構成したものである。
要するに、意匠部材(導風板部60、特に、そのグリルフランジ61参照)とバンパレインフォースメント20(この実施例ではサイドフロントパネル24参照)との間にクリアランスCL(詳しくは、前後方向クリアランス)を確保し、異音の発生や意匠部材の破損を抑制しつつ、車両デザイン性を確保すると共に、バンパレインフォースメント20におけるサイドフロントパネル24の稜線X3,X4部位の剛性を確保すべく構成したものである。
[底面部と前方膨出部の構成]
図9〜図11に示すように、上述の凹部24dは車幅方向の外側かつ後方へ傾斜した底面部24eを有している。図11に示すように、この底面部24eは合計4つの稜線X1,X2,X3,X4のうち、稜線X2と稜線X3との間に形成されたものである。
そして、上述の前方膨出部26は上記底面部24eの車幅方向中間部位および上下方向中間部位から車幅方向外方に向けて延設されたものである。この底面部24eの傾斜構造により、前方膨出部26を、図9、図11に示すように、凹部24dの車幅方向内側縁(稜線X1参照)よりも車両後方に配置して、当該前方膨出部26を意匠部材後端としての導風板部60のグリルフランジ61後端から車両後方に回避すべく構成したものである。
[クラッシュカンと前方膨出部の構成]
図3に示すように、上述のクラッシュカン12は中空十字断面形状に形成されており、アウタ部材16による上下方向中間部の側壁16b上端と上下方向上側の側壁16a下端との間には、車幅方向に延びる壁部16d(いわゆる横壁)が形成されており、上下方向中間部の側壁16b下端と上下方向下側の側壁16c上端との間にも、車幅方向に延びる壁部16e(いわゆる横壁)が形成されている。
そして、上述の各要素、16b,16d,16eにより中空十字断面の車幅方向外側の側方延長部16Aが形成されており、前方膨出部26はクラッシュカン12の該側方延長部16Aと車両正面視で重複する位置において、当該側方延長部16Aに沿って車幅方向に延設されている。
これにより、前方膨出部26が上記側方延長部16Aと車両正面視で重複し、スモールオーバラップ衝突時の荷重を、クラッシュカン12の側方延長部16Aで確実に受止め、バンパレインフォースメント20端部の剛性向上を図り、その折れ曲がりを防止することと、意匠部材(導風板部60、特に、そのグリルフランジ61の後端参照)との間の車両前後方向のクリアランスCL(図9、図10参照)確保との両立を図るよう構成したものである。
[バンパレインフォースメント本体の端部および延長部材の構成]
図2、図7、図9に示すように、バンパレインフォースメント本体21の車幅方向端部正面(車幅方向端部における前面部21d,21e参照)、並びに、延長部材23の車幅方向端部正面(上側接合部23b、下側接合部23c参照)は、外側後方に延びており、上述の前方膨出部26は車幅方向乃至車幅方向外側後方に延びている。
これにより、前方膨出部26の車両前方への突出量を抑え、空力性能や取回し性のよいコーナ形状の車両デザイン性を確保すべく構成している。
図2、図9に示すように、バンパレインフォースメント本体21は、少なくともクラッシュカン12の先端対応部およびそれよりも車幅方向外側の部位において、後面部21aが前面部21d,21eに対して車幅方向に平行に近い状態(この実施例では、略車幅方向)に延設されている。また、図2、図9に示すように、延長部材23の後側接合部23aは上側接合部23b、下側接合部23cに対して車幅方向に平行に近い状態(この実施例では、略車幅方向)に延設されている。
これにより、スモールオーバラップ衝突対策と、クラッシュカン12よりも車幅方向外側におけるバンパレインフォースメント本体21の後面方向のスペースSP(図9参照)確保とを両立することができ、該スペースSPに補機32を配設することが可能となる。
[補機の配設構造]
すなわち、図9に平面図で示すように、フロントサイドフレーム6前端のセットプレート11に一体に折曲げ形成された平面視L字状の取付け片11aに対し、ボルト29、ナット30などの取付け部材を用いて補機取付けブラケット31を固定し、この補機取付けブラケット31に補機32を取付け、当該補機32をクラッシュカン12よりも車幅方向外側で、かつ、バンパレインフォースメント本体21の後方のスペースSPに配設することができる。
ここで、上述の補機32としては、上述したように、キャパシタ、レーダ、ウオッシャタンク、ランプユニットその他の何れであってもよい。
[前方膨出部の拡幅構造]
さらに、図3、図6、図7に示すように、上述の前方膨出部26は、その車幅方向外側部位26aが車幅方向内側部位26bに対して上下方向に拡幅形成されている。これにより、上述の前方膨出部26の膨出量を抑えながら、バンパレインフォースメントパネル25端部(つまり、サイドフロントパネル24)の曲げ剛性を高めるよう構成している。
図3、図6、図7で示した前方膨出部26の拡幅構造は、車幅方向内側部位26bから前方膨出部26の車幅方向中間部位に向けて一旦、拡幅した後に、車幅方向中間部位から車幅方向外側部位26aにかけて上下方向寸法が同一で車幅方向に延びるよう構成したが、図12に示すように、前方膨出部26は、その車幅方向内側部位26bから車幅方向外側部位26aにかけて上下方向寸法が連続して漸増する拡幅構造を採用してもよい。
図12の構造を採用すると、図2、図9に示すバンパレインフォースメント本体21および延長部材23が車幅方向外側にいく程、その前後寸法が小さくなることに対応して、前方膨出部26の上下方向寸法が車幅方向外側にいく程、大きくなるので、バンパレインフォースメント20の車幅方向全幅にわたる剛性の略均一化を図ることができる。
[バンパレインフォースメントの断面補強構造]
ところで、図2、図4、図5に示すように、バンパレインフォースメント本体21の車幅方向中間部におけるサイドフロントパネル24隣接部位には、バンパレインフォースメント断面(バンパレイン閉断面S1参照)補強部材としてのフック取付けブラケット27とシュラウド取付けブラケット28とが設けられている。
上述のフック取付けブラケット27は、剛性パイプ部材により形成されており、該フック取付けブラケット27はバンパレインフォースメント20のバンパレイン閉断面S1を車両前後方向に横断して貫通するように設けられている。図4、図5に示すように、フック取付けブラケット27の前側突出部外周は中間フロントパネル22に取付けられ、フック取付けブラケット27の後側突出部外周はバンパレインフォースメント本体21の後面部21aに取付けられている。
図2,図5に示すように、上述のシュラウド取付けブラケット28は、上下方向に延びる後面部28aと、この後面部28aの車幅方向外側端部から車両前方に延びる外面部28bと、上記後面部28aの車幅方向内側端部から車両前方に延びる内面部28cと、バンパレインフォースメント本体21の形状に対応するように外面部28bの上下方向中間に設けられた接合フランジ部28dと、バンパレインフォースメント本体21の形状に対応するように内面部28cの上下方向中間に設けられた接合フランジ部28eと、を備えている。
そして、上述の各接合フランジ部28d,28eを、図2、図5に示すように、バンパレインフォースメント本体21の後面側に接合固定することで、バンパレインフォースメント本体21にシュラウド取付けブラケット28を固定したものである。
このように、バンパレインフォースメント本体21のサイドフロントパネル24隣接部位に、フック取付けブラケット27およびシュラウド取付けブラケット28を設けることで、バンパレインフォースメント本体21の車幅方向中間部の断面形状の口閉じ変形等の変形を防止し、バンパレイン閉断面S1を維持することにより、スモールオーバラップ衝突時にサイドフロントパネル24を強固に引張り支えるよう構成したものである。
[バンパレインフォースメント本体の構成]
さらに、図2に示すように、上述のバンパレインフォースメント本体21は、クラッシュカン12よりも車幅方向外側端部が、クラッシュカン12よりも車幅方向中央側に対して車両前後方向の寸法が小さく設定されており、これにより、バンパレインフォースメント20の車幅方向中央部乃至外側端部の曲げ剛性の均質化を図りつつ、車両デザイン性を確保すべく構成したものである。
[サイドバンパレイン閉断面の構成]
一方で、図4、図6に示すように、サイドフロントパネル24を厚肉にし、かつ該サイドフロントパネル24と延長部材23との間にサイドバンパレイン閉断面S2を確保することで、前方膨出部26の潰れによっても荷重を吸収するよう構成している。ここで、サイドフロントパネル24と延長部材23との組合せによる曲げ剛性は、フロントサイドフレーム6の耐力よりも小さいことが好ましい。
なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印INは車幅方向の内方を示し、矢印OUTは車幅方向の外方を示し、矢印UPは車両上方を示す。
[バンパレインフォースメント構造]
以上詳述したように、上記実施例のバンパレインフォースメント構造は、左右のクラッシュカン12,12の前端部相互間に車幅方向に延びるバンパレインフォースメント20が架渡されたバンパレインフォースメント構造であって、上記バンパレインフォースメント20の前面におけるクラッシュカン12正面部位との対応部には、車両前部に位置する意匠部材(導風板部60、特に、そのグリルフランジ61参照)との干渉防止用として車両後方に窪む凹部24dが前面上端から前面下端にかけて延設され、上記凹部24dの上下方向中間部位から凹部外側段差(稜線X3,X4参照)と交差して上記クラッシュカン12よりも車幅方向外側まで延設され、かつ、車幅方向外側部位26aの膨出量が車幅方向内側部位26bの膨出量よりも大きい前方膨出部26が設けられたものである(図1、図3、図9〜図11参照)。
ここで、上述の意匠部材は、実施例で示した導風板部60に代えて、フロントバンパフェース40、フロントグリル50、シグニチャー(グリル50の回りの縁取り部材)等に設定してもよい。
この構成によれば、クラッシュカン12正面部位と対応するバンパレインフォースメント20前面に、意匠部材(導風板部60、特に、そのグリルフランジ61参照)との干渉防止用として車両後方に窪んで上下方向に延びる凹部24dを設けたので、上記意匠部材(詳しくは、その後端の補強部としてのリブやフランジ61参照)と凹部24dとの間に前後方向のクリアランスCL(つまり、軽度変形時不干渉隙)を確保することができ、これにより、異音の発生や意匠部材の破損を抑制し、かつ車両デザイン性を確保することができる。
また、上述の前方膨出部26は凹部24dの上下方向中間部位から凹部外側段差(稜線X3,X4参照)と交差してクラッシュカン12よりも車幅方向外側まで延設され、かつ、その膨出量は車幅方向内側部位26に対して車幅方向外側部位26aが大きい。上述の凹部外側段差(稜線X3,X4参照)には荷重が集中して折れ曲がりの起点となる可能性があるが、前方膨出部26は凹部外側段差(稜線X3,X4参照)と交差し、前方膨出部26で凹部外側段差が上下に仕切られるので、曲げに対して強くなり、所定部位(凹部外側段差としての稜線X3,X4が存在する部位)の剛性を確保することができる。
要するに、意匠部材(導風板部60参照)とバンパレインフォースメント20との間にクリアランスCLを確保し、異音の発生や意匠部材の破損を抑制しつつ、車両デザイン性を確保すると共に、バンパレインフォースメント20の所定部位(凹部外側段差としての稜線X3,X4が存在する部位)の剛性を確保することができるものである。
この発明の一実施形態においては、上記凹部24dは車幅方向外側後方へ傾斜した底面部24eを有し、上記前方膨出部26は上記底面部24eの上下方向中間部位から車幅方向に延設されたものである(図9、図11参照)。
この構成によれば、上述の底面部24eは車幅方向外側後方へ傾斜しており、この底面部24eの傾斜構造により、前方膨出部26を凹部24dの車幅方向内側縁(稜線X1参照)よりも車両後方に配置することができ、当該前方膨出部26を意匠部材(導風板部60参照)後端から車両後方に回避することができる。
この発明の一実施形態においては、上記クラッシュカン12は中空十字断面形状に形成されており、上記前方膨出部26は中空十字断面(クラッシュカン閉断面18参照)の車幅方向外側の側方延長部16Aと車両正面視で重複する位置において車幅方向に延設されたものである(図3参照)。
この構成によれば、前方膨出部26が中空十字断面(クラッシュカン閉断面18参照)のクラッシュカン12における車幅方向外側の側方延長部16Aと車両正面視で重複するので、スモールオーバラップ衝突時の荷重を、上記クラッシュカン12の側方延長部16Aで確実に受止めることができ、バンパレインフォースメント20端部の剛性向上を図って、その折れ曲がりを防止することと、意匠部材(導風板部60参照)との間のクリアランスCL確保との両立を図ることができる。
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の意匠部材は、実施例の導風板部60に対応し、
以下同様に、
凹部外側段差は、稜線X3,X4に対応し、
中空十字断面は、クラッシュカン閉断面18に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、上記実施例においては、中空十字断面形状のクラッシュカン12を例示したが、これは方形枠状の断面形状を有する一般的なクラッシュカンであってもよい。
また、意匠部材としては例示した導風板部60に代えて、フロントバンパフェース、フロントグリル、またはシグニチャー(グリル回りの縁取り部材)であってもよい。
以上説明したように、本発明は、左右のクラッシュカンの前端部相互間に車幅方向に延びるバンパレインフォースメントが架渡されたバンパレインフォースメント構造について有用である。
12…クラッシュカン
16A…側方延長部
18…クラッシュカン閉断面(中空十字断面)
20…バンパレインフォースメント
24d…凹部
24e…底面部
26…前方膨出部
26a…車幅方向外側部位
26b…車幅方向内側部位
60…導風板部(意匠部材)
X3,X4…稜線(凹部外側段差)

Claims (3)

  1. 左右のクラッシュカンの前端部相互間に車幅方向に延びるバンパレインフォースメントが架渡されたバンパレインフォースメント構造であって、
    上記バンパレインフォースメントの前面におけるクラッシュカン正面部位との対応部には、車両前部に位置する意匠部材との干渉防止用として車両後方に窪む凹部が前面上端から前面下端にかけて延設され、
    上記凹部の上下方向中間部位から凹部外側段差と交差して上記クラッシュカンよりも車幅方向外側まで延設され、かつ、車幅方向外側部位の膨出量が車幅方向内側部位の膨出量よりも大きい前方膨出部が設けられたことを特徴とする
    バンパレインフォースメント構造。
  2. 上記凹部は車幅方向外側後方へ傾斜した底面部を有し、
    上記前方膨出部は上記底面部の上下方向中間部位から車幅方向に延設された
    請求項1に記載のバンパレインフォースメント構造。
  3. 上記クラッシュカンは中空十字断面形状に形成されており、
    上記前方膨出部は中空十字断面の車幅方向外側の側方延長部と車両正面視で重複する位置において車幅方向に延設された
    請求項1または2に記載のバンパレインフォースメント構造。
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