JP6197921B2 - サスペンション用基板の製造方法、および配線基板の製造方法 - Google Patents
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Description
そして、このサスペンション用基板は、一般に、ばね性を有する金属支持基板と、前記金属支持基板の上に形成されたベース絶縁層と、前記ベース絶縁層の上に形成された複数の配線と、を有している。
図9に示すように、インターリーブ配線構造100は、第1の電気信号を伝送する配線101と、前記第1の電気信号とは逆位相となる第2の電気信号を伝送する配線102で構成される一対の差動配線からなり、前記第1信号伝送配線101は、配線104A、104Cに分岐し、前記第2信号伝送配線102は、配線104B、104Dに分岐し、互いに逆位相となる配線が隣になるように、交互に並列配設されている。
そして、同位相の配線104A、104Cは、ジャンパー線105で接続されており、同様に、配線104B、104Dは、ジャンパー線106で接続されており、各々、同じ位相同士の配線で閉じた回路を形成している。
より具体的に説明すると、配線104A、104B、104C、104Dと配線下の金属支持基板111とは、誘導もしくは容量性結合を形成するため、配線104A、104B、104C、104Dに電気信号(特に高周波信号)が伝送されると、導電性の低いステンレス鋼からなる金属支持基板111にも電流が発生して、伝送ロスが大きくなるという問題がある。
そのため、図10(b)に示すように、配線104A、104B、104C、104Dの下の金属支持基板111を除去して開口部116を設け、上記の誘導性の結合を低減させる方法が提案されている(例えば、特許文献3)。
しかしながら、配線の線幅をより大きくする方法は、配線の高密度化の観点から好ましくなく、また、配線間の距離をより小さくする方法は、高い加工精度を要求し、コストアップ等を招くことになるため好ましくない。
そして、カバー絶縁層の材料として、主に用いられるポリイミド樹脂は、空気(比誘電率は1程度)よりも比誘電率の高い誘電体(比誘電率は3〜4程度)であるため、このポリイミド樹脂からなるカバー絶縁層で配線間を充填することが考えられる。
まず、本発明のサスペンション用基板の平面構成について説明する。
図1は、本発明に係るサスペンション用基板の一例を示す概略平面図である。
図1に示すように、本発明に係るサスペンション用基板1は、先端部分に、磁気ヘッドスライダを実装するためのタング部2を有し、テール側端部に、読取回路または書込回路と接続するための接続端子部3を有し、タング部2と接続端子部3との間に、前記磁気ヘッドと書込回路とを電気的に接続するための書込配線4と、前記磁気ヘッドと読取回路とを電気的に接続する読取配線5を有するものである。
本発明に係るサスペンション用基板は、金属支持基板と、前記金属支持基板上に形成されたベース絶縁層と、前記ベース絶縁層上に形成された複数の配線と、を備えたサスペンション用基板であって、前記ベース絶縁層、および、前記配線の上に、前記配線間の中央における厚みが前記配線の厚みよりも小さい第1のカバー絶縁層を有し、前記配線間における前記ベース絶縁層の上の前記第1のカバー絶縁層の上に、第2のカバー絶縁層を有するものである。
ここで、前記第1のカバー絶縁層14は、主に、配線4A〜4Dの腐食等による劣化を防止するために、配線4A〜4Dを被覆する目的で形成されるものであり、前記第2のカバー絶縁層15は、主に、配線間の結合容量を高めるために配線4A〜4Dの各配線間の隙間を埋める目的で形成されるものである。
したがって、本発明において、前記第2のカバー絶縁層15は、少なくとも、前記配線4A〜4D間における前記ベース絶縁層12の上の前記第1のカバー絶縁層14の上に形成されていればよい。
また、本発明において、前記第2のカバー絶縁層15は、感光性材料を使って、フォトリソ工程により、前記配線4A〜4D間における前記ベース絶縁層12の上の前記第1のカバー絶縁層14の上にのみ形成されていてもよい。
すなわち、上述のような構成にすることで、本発明に係るサスペンション用基板の差動インピーダンスをさらに低減化でき、安定化できる。
なお、比誘電率とは、物質(誘電体)の誘電率と真空の誘電率の比のことであり、空気の比誘電率が、概ね1であるのに対し、ポリイミド樹脂の比誘電率は3〜4程度である。
そして、ポリイミド樹脂は、配線の腐食等による劣化を防止するためのカバー絶縁層の材料として実績がある。
そして、従来においては、主にイミド化工程における樹脂の収縮により、配線間のカバー絶縁層の厚みが薄くなってしまい、配線の高さ(厚み)まで前記カバー絶縁層を形成することができず、それゆえ、配線間の結合容量も大きくできないという問題があった。
より具体的に述べれば、前記第1のカバー絶縁層を形成する第1のポリイミド前駆体をイミド化した後に、前記第2のカバー絶縁層を形成する第2のポリイミド前駆体を含む塗液を、前記第1のカバー絶縁層の上に塗布して、イミド化等の処理を施して第2のカバー絶縁層を形成する。
それゆえ、本発明においては、第2のカバー絶縁層を形成する際の塗液(第2の塗液)の粘度を、第1のカバー絶縁層を形成する際の塗液(第2の塗液)の粘度よりも小さくなるように調整して、第2のカバー絶縁層による配線間の充填性を、より高めることもできる。
詳しくは、後述するサスペンション用基板の製造方法で説明する。
本発明において、上記の配線4A〜4Dは、一対の差動配線をそれぞれ分岐して交互に並列配設したインターリーブ配線構造を構成するものである。
ここで、前記インターリーブ配線構造を構成する配線は、上述の書込配線であっても良く、読取配線であっても良いが、中でも書込配線であることが好ましい。書込配線において、特に低インピーダンス化が求められているからである。
金属支持基板の材料としては、サスペンション用基板の支持体として機能し、所望のばね性を有するものであれば、特に限定されるものではないが、例えばステンレス鋼を挙げることができる。
金属支持基板の厚さは、例えば、10μm〜30μmの範囲内、中でも15μm〜25μmの範囲内であることが好ましい。
ベース絶縁層は、金属支持基板の表面上に形成されるものであり、ベース絶縁層の上に形成される配線と金属支持基板とを電気的に絶縁するものである。
ベース絶縁層の材料としては、所望の絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばポリイミド等を挙げることができる。また、ベース絶縁層の材料は、感光性材料であっても良く、非感光性材料であっても良い。ベース絶縁層の厚さは、例えば、5μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。
配線の材料としては、所望の導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば銅(Cu)等を挙げることができる。各配線は、その表面にニッケル(Ni)、金(Au)による保護めっき層が形成されていても良い。
次に、本発明に係るサスペンション用基板の製造方法について説明する。
本発明に係るサスペンション用基板の製造方法は、金属支持基板と、前記金属支持基板上に形成されたベース絶縁層と、前記ベース絶縁層上に形成された複数の配線と、を備えたサスペンション用基板の製造方法であって、前記ベース絶縁層の上に、前記配線を形成する工程と、前記ベース絶縁層、および、前記配線の上に、第1のカバー絶縁層を形成する工程と、前記第1のカバー絶縁層の上に、第2のカバー絶縁層を形成する工程と、を順に有するものである。
本発明に係るサスペンション用基板1を製造するには、まず、図4(a)に示すように、金属支持基板11(例えば、ステンレス鋼)、ベース絶縁層12(例えば、ポリイミド)、および配線材層13(例えば、銅)が、順次形成された積層体を用意する。ベース絶縁層12と配線材層13の間には、シード層が設けられていても良い(図示せず)。
なお、本発明においては、前記第2のカバー絶縁層15は、少なくとも、前記配線4A〜4D間における前記ベース絶縁層12の上の前記第1のカバー絶縁層14の上に形成されていればよい。
また、本発明において、前記第2のカバー絶縁層15は、感光性材料を使って、フォトリソ工程により、前記配線4A〜4D間における前記ベース絶縁層12の上の前記第1のカバー絶縁層14の上にのみ形成されていてもよい。
なお、上記の開口部16の形成は、配線材層13をエッチングする工程(図4(c))と同一工程において、金属支持基板11をエッチングすることにより形成してもよい。
すなわち、本発明の製造方法により得られたサスペンション用基板の差動インピーダンスを、さらに低減化することができ、かつ、安定化することができる。
そして、従来の方法においては、主にイミド化工程における樹脂の収縮により、配線間のカバー絶縁層の厚みは薄くなってしまい、配線の高さ(厚み)まで前記カバー絶縁層を形成することはできず、それゆえ、配線間の結合容量も大きくできないという問題があった。
それゆえ、本発明においては、第1のカバー絶縁層による配線の被覆を、従来どおりの信頼性で達成することができ、この効果に加えて、主に第2のカバー絶縁層による配線間の充填によって、配線の結合容量を増加することができ、差動インピーダンスを低減することができる。
各塗液の粘度を上記のように調整することにより、前記第2の塗液の流動性を、前記第1の塗液の流動性よりも高めることができ、第2のカバー絶縁層による配線間の隙間の充填性を、より高めることができるからである。
前記第1のポリイミド前駆体と、前記第2のポリイミド前駆体が、同一のポリアミド酸で構成されていれば、第1のカバー絶縁層を形成する工程と、第2のカバー絶縁層を形成する工程とで、イミド化等の条件を同じにすることで、前記第1のカバー絶縁層と前記第2のカバー絶縁層を同質のものにすることができ、前記第1のカバー絶縁層と前記第2のカバー絶縁層との密着性を高めることができるからである。
感光性ポリイミド樹脂は、例えば、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸に、ジヒドロピリジン誘導体等の感光剤を結合させることにより、得ることができる。
次に、本発明のサスペンションについて説明する。本発明のサスペンションは、上述したサスペンション用基板と、ロードビームとを含むことを特徴とするものである。
次に、本発明のヘッド付サスペンションについて説明する。本発明のヘッド付サスペンションは、上述したサスペンションと、該サスペンションに実装された磁気ヘッドスライダとを有するものである。
次に、本発明のハードディスクドライブについて説明する。本発明のハードディスクドライブは、上述したヘッド付サスペンションを含むことを特徴とするものである。
図8に示されるハードディスクドライブ70は、ケース71と、このケース71に回転自在に取り付けられ、データが記憶されるディスク72と、このディスク72を回転させるスピンドルモータ73と、ディスク72に所望のフライングハイトを保って近接するように設けられ、ディスク72に対してデータの書き込みおよび読み込みを行うスライダを含むヘッド付サスペンション60とを有している。このうちヘッド付サスペンション60は、ケース71に対して移動自在に取り付けられ、ケース71にはヘッド付サスペンション60のスライダをディスク72上に沿って移動させるボイスコイルモータ74が取り付けられている。また、ヘッド付サスペンション60は、ボイスコイルモータ74にアーム75を介して取り付けられている。
2・・・タング部
3・・・接続端子部
4・・・書込配線
4A、4B、4C、4D・・・配線
5・・・読取配線
11・・・金属支持基板
12・・・ベース絶縁層
13・・・配線材層
14・・・第1のカバー絶縁層
15・・・第2のカバー絶縁層
20・・・インターリーブ配線
21・・・第1信号伝送配線
22・・・第2信号伝送配線
23A、23B、23C、23D・・・接続ビア
24、25・・・接続線
41・・・レジストパターン
50・・・サスペンション
51・・・ロードビーム
60・・・ヘッド付サスペンション
61・・・磁気ヘッドスライダ
70・・・ハードディスクドライブ
71・・・ケース
72・・・ディスク
73・・・スピンドルモータ
74・・・ボイスコイルモータ
75・・・アーム
100・・・インターリーブ配線構造
101・・・第1信号伝送配線
102・・・第2信号伝送配線
104A、104B、104C、104D・・・配線
105、106・・・ジャンパー線
110、120・・・サスペンション用基板
111・・・金属支持基板
112・・・ベース絶縁層
114・・・カバー絶縁層
116・・・開口部
Claims (3)
- 金属支持基板と、前記金属支持基板上に形成されたベース絶縁層と、前記ベース絶縁層上に形成された複数の配線と、前記ベース絶縁層及び前記配線の上に形成された第1のカバー絶縁層と、前記配線間における前記第1のカバー絶縁層の上に形成された第2のカバー絶縁層と、を備えたサスペンション用基板の製造方法であって、
前記ベース絶縁層、および、前記配線の上に、前記配線間の中央における厚みが前記配線の厚みよりも小さい第1のカバー絶縁層を形成する工程と、
前記配線間における前記ベース絶縁層の上の前記第1のカバー絶縁層の上に、第2のカバー絶縁層を形成する工程と、
を順に有し、
前記第1のカバー絶縁層が、第1のポリイミド前駆体をイミド化した第1のポリイミド樹脂を含み、
前記第1のカバー絶縁層を形成する工程が、前記第1のポリイミド前駆体を溶剤に溶解させた第1の塗液を、前記ベース絶縁層、および、前記配線の上に塗布し、前記第1のポリイミド前駆体をイミド化する工程を含み、
前記第2のカバー絶縁層が、第2のポリイミド前駆体をイミド化した第2のポリイミド樹脂を含み、
前記第2のカバー絶縁層を形成する工程が、前記第1のポリイミド前駆体をイミド化して前記第1のカバー絶縁層を形成した後に、前記第2のポリイミド前駆体を溶剤に溶解させた第2の塗液を、前記第1のカバー絶縁層の上に塗布する工程を含み、
前記第2の塗液の粘度が、前記第1の塗液の粘度よりも小さく、
前記第2のポリイミド樹脂が感光性ポリイミド樹脂であって、
前記第2のカバー絶縁層を形成する工程が、フォトリソ工程により、前記配線間における前記ベース絶縁層の上の前記第1のカバー絶縁層の上にのみ形成する工程であることを特徴とするサスペンション用基板の製造方法。 - 前記第1のポリイミド前駆体と、前記第2のポリイミド前駆体が、同一のポリアミド酸で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用基板の製造方法。
- 金属支持基板と、前記金属支持基板上に形成されたベース絶縁層と、前記ベース絶縁層上に形成された複数の配線と、前記ベース絶縁層及び前記配線の上に形成された第1のカバー絶縁層と、前記配線間における前記第1のカバー絶縁層の上に形成された第2のカバー絶縁層と、を備えた配線基板の製造方法であって、
前記ベース絶縁層、および、前記配線の上に、前記配線間の中央における厚みが前記配線の厚みよりも小さい第1のカバー絶縁層を形成する工程と、
前記配線間における前記ベース絶縁層の上の前記第1のカバー絶縁層の上に、第2のカバー絶縁層を形成する工程と、
を順に有し、
前記第1のカバー絶縁層が、第1のポリイミド前駆体をイミド化した第1のポリイミド樹脂を含み、
前記第1のカバー絶縁層を形成する工程が、前記第1のポリイミド前駆体を溶剤に溶解させた第1の塗液を、前記ベース絶縁層、および、前記配線の上に塗布し、前記第1のポリイミド前駆体をイミド化する工程を含み、
前記第2のカバー絶縁層が、第2のポリイミド前駆体をイミド化した第2のポリイミド樹脂を含み、
前記第2のカバー絶縁層を形成する工程が、前記第1のポリイミド前駆体をイミド化して前記第1のカバー絶縁層を形成した後に、前記第2のポリイミド前駆体を溶剤に溶解させた第2の塗液を、前記第1のカバー絶縁層の上に塗布する工程を含み、
前記第2の塗液の粘度が、前記第1の塗液の粘度よりも小さく、
前記第2のポリイミド樹脂が感光性ポリイミド樹脂であって、
前記第2のカバー絶縁層を形成する工程が、フォトリソ工程により、前記配線間における前記ベース絶縁層の上の前記第1のカバー絶縁層の上にのみ形成する工程であることを特徴とする配線基板の製造方法。
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