この発明の測定装置では、前述の如く、移動する被検面を、コヒーレント光により照明し、被検面により反射された反射光を検出光として受光する撮像センサにより得られる2次元の画像データから、移動距離および移動速度の少なくとも一方を測定するが、実施の形態の説明に先立って、2次元のスペックルパターンを利用する測定の場合を例として、基本的事項と発明の課題とするところを説明する。
図9を参照する。
図9(a)において、符号401は照明光学系、符号Obは移動体、符号407は撮像センサを示している。
移動体Obは具体的には、例えば、前述した画像形成装置に用いられる記録媒体や搬送ベルト、中間転写ベルトや感光体である。
説明の簡単のため、移動体Obとして中間転写ベルトを想定する。移動体Obの図で上側の面が「被検面(以下では「動的被検面」という。)」であり、その面に沿って「図面に直交する方向」へ移動する。
変位測定の測定対象である変位は、動的被検面の面方向の「移動速度および移動距離の少なくとも一方」である。
照明光学系401は、この例では、レーザ光源とカップリングレンズとを有する。レーザ光源として、半導体レーザを用いる場合を説明する。
レーザ光源である半導体レーザからレーザ光を放射させ、カップリングレンズにより光束形態を調整する。
半導体レーザから放射されるレーザ光は発散性であるので、カップリングレンズにより発散性を抑制して適当な光束形態とする。
適当な光束形態は、例えば、平行光束や「弱い発散性もしくは弱い収束性の光束」である。照明光学系401からコヒーレント光を放射する。
放射されたコヒーレント光は照射光403となり、被検体Obの動的被検面を照射し、反射されると、動的被検面による検出光405となって撮像センサ407に向かう。
撮像センサ407は2次元の受光面を有する、所謂「エリアセンサ」である。
検出光405は、動的被検面の表面の「ランダムな微細凹凸」や被検体内部の「ランダムな微細構造」により拡散されている。
検出光405はコヒーレント光であるので、上記の如く拡散されると干渉によりランダムな干渉パターンを発生する。
ランダムな干渉パターンは、検出光405の到る部分で発生し、前記2次元の受光面の部分に発生するものが「スペックルパターン」として撮像センサ407で撮像される。
図9(b)は、撮像センサ407により実際に撮像されたスペックルパターンの1例を示している。
スペックルパターンは、図9(b)に示すように、細かい輝点の「2次元のランダムな分布」である。以下、便宜上、細かい輝点の個々を「スペックル」と呼ぶ。
図9(b)に示された4角形の全体は「撮像センサの2次元の受光面」に対応する。
図9(b)は、撮像センサ407により撮像されるべきスペックルパターンが「適正な位置」に形成されている場合である。
即ち、図の如く、スペックルパターンは、2次元の受光面の略中央に形成されている。
動的被検面の移動方向は、前述のように、図9(a)では図面に直交する方向であるが、同図(b)では「図の左右方向の右向き」である。
動的被検面が移動すると、それに応じて、スペックルパターンも同方向に移動する。
検出光405が直接に撮像センサの受光面に入射する場合、スペックルパターンの移動速度は、動的被検面の移動速度に等しい。
検出光405が撮像センサ407の受光面を照射するのは一定の領域であるから、スペックルパターンが生成される領域は「受光面上の同一領域」である。
動的被検面は、照射光403の照射位置に相対的に移動し、動的被検面の表面の微細凹凸や被検体内部の微細構造はランダムである。
従って、発生するスペックルパターンは時々刻々と変化する。
しかし、スペックルパターンの「動的被検面の同一部分で生じる検出光」が形成する部分は同一性を保つ。
従って、動的被検面の移動に応じて移動するスペックルパターンは形態の同一性を保って変位する。
さて、動的被検面の変位測定を行なう場合には、撮像センサ407により、所定のフレームレートで動的被検面Obによる2次元のスペックルパターンを取得する。
そして、所定の時間間隔で取得したスペックルパターン相互の相互相関演算を行う。
相互相関演算は、種々のものが知られているが、例えば、以下如きものである。
所定の時間間隔で取得された2つのスペックルパターンを「f1」、「f2」とする。
また、フーリエ変換演算を「F[ ]」、逆フーリエ変換演算を「F−1[ ]」、相互相関演算を「★」、複素共役を「*」で表す。
このとき、相互相関演算は次式で表される。
f1★f2*=F−1[F[f1]・F[f2]*]
f1★f2*は「相互相関演算後の画像データ」であり、f1、f2は2次元画像であるから、相互相関演算後の画像データも「2次元のデータ」である。
相互相関演算の対象としてのスペックルパターン:f1、f2としては、原理的には撮像センサ407の受光面全体から得られる画像パターンを用いることができる。
しかし、このようにすると、演算対象としてのデータが膨大となり、演算に要する時間が長くなるため、動的被検面の変位をリアルタイムで測定することが困難になる。
そこで、図9(b)に示すように、撮像センサ407の2次元の受光面上に「破線で囲んだ矩形状の領域」を設定する。この領域を「測定用部分領域」と言う。
この測定用部分領域で撮像される画像データを用いて、相互相関演算を行う。
即ち、受光面に生成するスペックルパターン全体のうちの測定用部分領域で撮像される「スペックルパターン部分」のみが相互相関演算の画像データとして用いられる。
測定用部分領域は、例えば、図9(b)の横方向(移動方向)に150画素、上下方向に50画素、即ち、「150×50」サイズの画素配列領域とすることができる。
このようにすれば、受光面全域の膨大なデータを扱う場合に比して、少量のデータで相互相関演算を行うことができ、相互相関演算を十分に短い時間で実行できる。
図9(c)は、このように設定された「測定用部分領域」から得られたスペックルパターン部分の1例を示している。
撮像センサ407により所定の時間間隔で2つのスペックルパターン部分を撮像し「測定用部分領域で得られる2次元の画像データ」を上記のf1、f2とする。
そして、上記の相互相関演算を行うと、図10に示すような「2次元の画像データ」が得られる。
図10において、画素xは、図9(b)に示す移動方向の画素位置、画素yは同図における上下方向の画素位置であり、測定用部分領域におけるものである。
また、縦軸は「相関強度」で、画像データ:f1、f2の相互相関演算の結果を「画素を座標として」表している。
相互相関演算後の画像データには図10に示すような「相関強度のピーク」が現れる。
このピークの「図10の画像の中心からの位置」が、2つのスペックルパターン部分の位置ずれ量を表す。
従って、上記「ピークを探す演算」を行って、2つのスペックルパターン部分の移動距離:ΔLを算出できる。
また、2つのスペックルパターンの撮像を行った時間間隔:Δtは決まっているから、演算:ΔL/Δtにより、動的被検面の移動速度を算出できる。
以上が、スペックルパターンを利用する変位測定の基本的事項である。
上に説明した例では、照明光学系401、移動体Ob、撮像センサ407の相対的な位置関係が適正である。
即ち、動的被検面によるスペックルパターンは、撮像センサ407の受光面の中央部に生成している。
しかし、例えば図11(a)のように、照明光学系401の取り付け誤差で、照射光403Aの照射角が狂うと、検出光405Aが撮像センサ407を照射する位置がずれる。
図11(b)は、この場合の1例を示したもので、スペックルパターンは、受光面の中央部から図で「上方にずれた位置に生成」している。
この場合、図9(b)の「測定用部分領域」から得られる画像データは、スペックルパターンを有効に表現するものとはならず、精度良い変位測定を行なうことができない。
この発明の変位測定装置では、スペックルパターンの生成位置が、撮像センサの受光面の中心からずれている場合においても、以下のようにして適正な変位測定を実現する。
即ち、撮像センサを「その受光面の所望の面積領域の画像データを出力可能」とする。
そして、撮像センサから出力される「2次元のスペックルパターン全体の画像データ」を用い、受光面上に「変位測定に用いられる測定用部分領域」を特定して設定する。
この測定用部分領域の特定は「エリア検出部」により行なう。
以下、発明の実施の形態を説明する。
移動体搬送装置の実施の1形態を図1に示す。
図1に実施の形態を示す移動体搬送装置は、「ベルト状の移動体」である移動部材Eを回転させ、その周面を循環的に移動させる装置である。
ベルト状の移動部材Eは、ローラR1、R2、R3に巻き掛けられ、駆動モータMTによりローラR1を駆動して回転させる。移動部材Eの外周面が「動的被検面」である。
この例では動的被検面の移動速度を「測定対象としての変位」とする。
ベルト状の移動部材Eは、例えば、カラーや多色方式の画像形成装置における前述の中間転写ベルトや搬送ベルト等であることができる。
図1において、符号A1で示す部分は、移動部材Eを「搬送される移動体」としてユニット化された移動体搬送装置である。
また、符号50で示す部分は「測定装置」としての速度検出装置である。
図1に示すように、速度検出装置50は、照明光学系51と、エリアセンサ52と、エリア検出部53と、速度検出部54と、を有している。
照明光学系51は、レーザ光を放射するレーザ光源と、このレーザ光源から放射されるレーザ光を略平行光である照射光Lとするカップリングレンズと、を有している。
照明光学系51から放射される照射光Lは、移動部材Eに斜め方向から照射される。
移動部材Eは、その表面もしくは内部に散乱性の構造(表面のランダムな微細な凹凸や、面内部のランダムな微細構造)を有する。
移動部材Eに照射された照射光Lは、反射光Ldとして拡散反射され、エリアセンサ52の受光面52aに入射する。
エリアセンサ52は「2次元の受光面を有する撮像センサ」である。
エリアセンサ52としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)センサを用いることができる。
あるいはまた、フォトダイオードアレイ等をエリアセンサ52として用い得る。
エリアセンサ52は、その受光面52aを移動部材Eの外側の面(動的被検面)と平行にして、前記面に対して間隔をあけて対向して設けられている。
エリアセンサ52の受光面52aに入射する反射光Ldは「動的被検面によるスペックルパターン」を生成する。
スペックルパターンは、移動部材Eにより拡散反射された反射光Ldの干渉により生じ、移動部材Eの移動に伴い「パターンの形態を維持」したまま移動する。
スペックルパターンは、図9(b)に例示した如きパターンである。
エリアセンサ52は、受光面52aの位置に生成したスペックルパターンを撮像し、各画素に入力する光の強さを量子化し、2次元の画像データとして出力する。
この2次元の画像データは、エリア検出部53に入力する。
エリア検出部53は、入力される2次元の画像データに基づき「測定用部分領域」を特定する。
「測定用部分領域」は、2次元の受光面を構成する「2次元の画素配列」において「速度測定に用いる画素配列領域」であり、2次元の受光面の一部分である。
図9(b)に示した「破線で囲んだ矩形状の領域」は測定用部分領域の1例である。
この発明では、この「測定用部分領域」を、エリアセンサ52の受光面52aにおけるスペックルパターンの位置に応じて「受光面上の最適の位置」に設定するのである。
エリアセンサ52は、受光面の全体を構成する全画素のデータを画像データとして出力できるが、受光面の「任意の部分面積領域を構成する画素のデータ」も出力できる。
即ち、エリアセンサ52に対する外部からの設定により、受光面52aの全画素の画像データを出力できる。
また、外部からの設定により、受光面52aの「任意の位置、任意のサイズの部分エリア(部分面積領域)」の画素の画像データのみを出力することもできる。
測定用部分領域も「受光面52a」の部分面積領域であり、従って、エリアセンサ52は、測定用部分領域を構成する画素の画素データのみを出力できる。
測定用部分領域の特定は、図1のエリア検出部53で実行される。
なお、測定用部分領域の特定は「移動部材Eを静止させた状態」で行なう。
以下、エリア検出部53の具体例に基づいて、測定用部分領域の特定を説明する。
図3は、エリア検出部53の具体的な実施の1形態を示している。
エリア検出部53は、図3に示す各部を有する。
即ち、画像データ2値化部531、パターン領域検出部532、カウントエリア設定部533、白画素カウント部534、エリア座標保持部535を有する。
さらに、カウント値保持536、カウント値比較部537を有する。
前述の如く、移動部材Eを静止した状態で、エリアセンサ52によりスペックルパターンを撮像し、画像データを出力する。
エリアセンサ52は、フレームレートに従う所定周期で、移動部材Eにおけるレーザ光Lが照射された箇所からの拡散反射光が生成するスペックルパターンを撮像する。
エリアセンサ52は撮像したスペックルパターンの2次元の画像データを出力する。
この時、エリアセンサ52は「受光面全体の画像データ」即ち、受光面の全画素の画像データを出力するように設定しておく。
すると、撮像されるスペックルパターンは、図9(b)や図11(b)に例示する如きものとなる。
画像データ2値化部531は、エリアセンサ52から出力される画像データを「予め設定された閾値(閾値データ)」との比較により2値化する。
即ち、入力される画像データの「画素ごとのデータ」を閾値と比較し、閾値以上のデータ値をもつ画素と、閾値より小さいデータをもつ画素とに分ける。
便宜上、以下の説明において、閾値以上のデータ値をもつ画素を「白画素」、閾値より小さいデータを持つ画素を「黒画素」と呼ぶ。
従って、エリアセンサ52から得られる画像データは、画像データ2値化部531により「白画素と黒画素」として2値化される。
「白画素」は、閾値以上のデータを持つ画素、即ち「所定レベル(閾値)以上の出力の画素」である。
2値化は「撮像毎(フレーム毎)」に行なわれる。
2値化された画像データである「2値化画像データ」は、パターン領域検出部532と白画素カウント部534に入力する。
パターン領域検出部532は、入力する2値化画像データから「全ての白画素を含んだ領域のうちで最も小さい矩形状の領域」を検出して最小画素パターン領域とする。
そして、この最小画素パターン領域の座標(画素の配列位置番号)を特定する。
図2を参照して、最小画素パターン領域を説明する。
図2において升目を刻んだ長方形はエリアセンサの受光面52aの全域を説明図として示している。説明の便宜のため、受光面を構成する全画素数を極端に少なく描いた。
X方向は、図1に示す移動部材Eの移動方向、Yは動的被検面に平行で、X方向に直交する方向である。
図中の「黒く塗りつぶした升目」は、前記「白画素」すなわち「閾値より大きいデータ値をもつ画素」を表している。「白画素の分布」はランダムである。
図中に、太線で囲んだ矩形状の領域ARは「全ての白画素を含んだ領域のうちで最も小さい領域」即ち最小画素パターン領域である。
パターン領域検出部532は最小画素パターン領域ARを画定し、その座標を定める。
このように定められる座標は、X方向については、最小画素パターン領域ARの最も小さい座標:Xmin、最も大きい座標:Xmaxである。
Xminは、スペックルパターンの画素データ全体から得られる白画素の部分の中で、X方向の最も小さい座標をもつ白画素の座標である。
Xmaxは、スペックルパターンの画素データ全体から得られる白画素の部分の中で、X方向の最も大きい座標をもつ白画素の座標である。
また、Y方向については、最小画素パターン領域ARの最も小さい座標:Ymin、最も大きい座標:Ymaxである。
Yminは、スペックルパターンの画素データ全体から得られる白画素の部分の中で、Y方向の最も小さい座標をもつ白画素の座標である。
Ymaxは、スペックルパターンの画素データ全体から得られる白画素の部分の中で、Y方向の最も大きい座標をもつ白画素の座標である。
このように、4つの座標:Xmin、Ymin、Xmax、Ymaxによって、最小画素パターン領域ARの、受光面52a上における位置が特定される。
4つの座標:Xmin、Ymin、Xmax、Ymaxは、カウントエリア設定部533へ向けて出力される。
即ち、この段階で、スペックルパターンが「エリアセンサ52の受光面上のどの領域に生成しているか」が特定される。
このように特定された最小画素パターン領域AR内に、速度測定に使用する「測定用部分領域」を特定して設定する。
この測定用部分領域の特定プロセスは、図3の形態例では以下のように行われる。
図4を参照する。図4の上の図は、上に説明した最小画素パターン領域ARを示している。
前述の如く、説明の簡単のために画素の数を極端に少なく描いている。
この最小画素パターン領域AR内で「測定用部分領域」の位置を特定する。
この特定には「カウント領域」を用いる。図4における符号CRがカウント領域を示している。カウント領域CRは「白画素の数をカウントする領域」である。
カウント領域CRは「測定用部分領域と同じ形状で同じ大きさの矩形状領域」である。
測定用部分領域は、例えば、画素数にして「150×50」サイズ程度の大きさであるが、説明の簡単のため、X方向に6画素、Y方向に3画素のサイズとして説明する。
即ち、「測定用部分領域」とカウント領域CRとは、共に「6×3」サイズの矩形状である。
「測定用部分領域」は、最小画素パターン領域AR内で「白画素の密度が最も高い部分を含む領域(説明中の例では6×3サイズの矩形状の領域)」として特定される。
「白画素」は、閾値以上の大きさのデータ(輝度)をもつスペックルに対応し、白画素の密度が最も高い領域はスペックルパターンの情報密度が最も高いからである。
図4に即して、簡単化された例で説明する。説明の具体性のため、最小画素パターン画像ARを特定する4つの座標を以下のように定める。
Xmin=2、Xmax=15、Ymin=6、Ymax=12
測定用部分領域の特定は、前述の如く、移動部材Eを静止させた状態で行なわれ、説明中の現段階で、最小画素パターン領域ARの「サイズと位置」が特定されている。
即ち、説明中の最小画素パターン領域ARのサイズは「14×7」であり、座標は上記Xmin、Xmax、Ymin、Ymaxである。
このように特定された最小画素パターン領域AR内で「6×3サイズの領域中に最も多くの白画素が含まれる領域」を測定用部分領域として特定する。
図4の下図は、この場合を示している。
静止状態にある移動物体Eの表面によるスペックルパターンの撮像を、適宜のフレームレートで繰り返す。
各撮像で得られる画像データのうちで用いられるのは、最小画素パターン領域ARのデータであり、撮像ごとに毎回同じデータが得られる。
各撮像で得られる最小画素データARをフレームF1、フレームF2・・等々とする。
図4の下図は、撮像を45回行なった場合であり、フレームF1〜フレームF45が示されている。
これらフレームF1〜F45の個々に対し、カウント領域CRを、図のように1画素ずつずらし、ずらす度に、カウント領域CR内の含まれる白画素の数をカウントする。
カウント領域をずらすことを「カウント領域をシフトする」と言う。
前述のように、Xmin=2、Xmax=15、Ymin=6、Ymax=12であるから、最小画素パターン領域ARは14×7画素で構成されている。
このサイズの最小画素パターン領域ARを、6×3画素サイズのカウント領域CRで漏れなくカバーするには、図の如く、カウント領域CRの45回のシフトが必要である。
即ち、X方向に(14−6+1=9)回のシフト、Y方向に(7−3+1=5)回のシフトで、全体として9×5=45回のシフトである。
この45回のシフトで、白画素の数が最大となるときのカウント領域CRの位置が、測定用部分領域の位置として特定され、その座標が特定される。
若干、具体的に説明する。最初のフレームF1ではカウント領域の開始座標として(2,6)を、終了座標としては(7,8)を出力する。
次のフレームF2では、カウント領域をX方向に1画素ずらし、開始座標として(3,6)を、終了座標として(8,8)を出力する。
同様に、フレームごとにX方向に1画素ずらした開始座標、終了座標を出力する。
X方向の終了座標が「最小画素パターン領域のX終了座標Xmax(=15)と一致」したら、カウント範囲のX方向の開始座標はXmin(=2)に戻す。
そして、カウント範囲のY方向の開始座標をYmin+1(=3)とする。
この状態が、図4下図で上から2段目の左端の状態であり、開始座標として(2,7)、終了座標として(7,9)を出力する。
同様に、フレームごとに「X方向及びY方向にカウント範囲の座標をずらしつつ出力」する。
そして、カウント範囲のX方向の終了座標及びY方向の終了座標が、最小画素パターン領域ARの座標:Xmax(=15)、Ymax(=12)と一致したら終了する。
このような測定用部分領域の特定は、図3の形態例では、以下のように行われる。
パターン領域検出部532は、最小画素パターン領域ARのX方向、Y方向の座標:Xmin、Ymin、Xmax、Ymaxを、カウントエリア設定部533に出力する。
カウントエリア設定部533は、上記座標をもとに「白画素カウンタ部534におけるカウント領域CRの座標」を、フレームごとに上記の如くずらしながら出力する。
「白画素カウンタ部534におけるカウント領域CRの座標」は、白画素カウンタ部534で、白画素の数をカウントするべきカウント領域の座標である。
カウント領域CRは、測定用部分領域と同形状・同サイズであり、測定用部分領域は、図1の速度検出部54で「演算に使用する画像範囲」である。
即ち、速度検出部54は「演算部」である。
白画素カウント部534は、画像データ2値化部531から2値化画像データを入力され、その最小画素パターン領域内において上述の白画素のカウントを行う。
即ち、カウントエリア設定部533で指定されたカウント領域CR内の「白画素の数」をフレームごとにカウントする。
カウント結果は、カウント値保持部536と比較部537に出力される。
カウント値比較部537は、白画素カウント部534から出力されるカウント値と、カウント値保持部536から出力されるカウント値の比較を行う。
そして、白画素カウント部534から出力されるカウント値の方が、カウント値保持部536からのカウント値より大きい場合は、更新信号を出力する。
更新信号が出力されると、カウント値保持部536には「その時点の白画素カウント部534からのカウント値」が保持される。
同時に、エリア座標保持部535には「その時点の白画素がカウントされたカウント領域の座標」が保持される。
白画素カウント部534から出力されるカウント値が、カウント値保持部536からのカウント数より小さい場合は、更新信号は出力されない。
従って、カウント値保持部536、エリア座標保持部535には「その時点で保持されている座標の値」がそのまま保持される。
従って、カウント値保持部536には、常に「最も大きなカウント値」が保持される。
カウント領域CRに対する上述の全てのカウント動作が終了した段階では、白画素の数が最も大きかったカウント領域の座標が、エリア座標保持部535に保持されている。
エリア座標保持部535は、この座標を「測定用部分領域座標」として出力する。
以下、図1を参照する。
測定用部分領域座標は、図1に示すように、上位コントローラ200に出力される。
上位コントローラ200は「マイクロコンピュータ等」であって、入力された測定用部分領域座標に従い、エリアセンサ52に測定用部分領域を設定する。
かくして、測定用部分領域がエリアセンサ52の受光面に設定される。
このように測定用部分領域が設定されたら、移動部材Eを移動させ、所定のフレームレートで撮像を行なう。フレームレートは数100〜数1000程度に設定できる。
このとき撮像ごとに出力する画像データは、上記の如く設定された測定用部分領域内の画素の出力のみである。
即ち、測定用部分領域のスペックルパターン部分が画像データ化されて出力される。
このようにして、所定の時間間隔で撮像された画像データを前述のスペックルパターン:f1、f2として、前述の「相互相関演算」を速度検出部54において実行する。
そして、その演算結果に基づき、移動速度を測定する。
この測定は、以下のように行なわれる。
相互相関演算後の画像データに現れるピーク(図10参照)の位置の「画像の中心」からの距離により、スペックルパターン:f1とf2との距離:ΔLを求める。
2つのスペックルパターン:f1、f2は連続して撮像されているから、撮像間隔はフレーム時間(1/フレームレート)である。
従って、これを時間:Δtとすれば、上記ΔLを用いて、ΔL/Δtを演算すれば、移動部材Eの表面、即ち、動的被検面の移動速度:Vrを求めることができる。
速度検出部54は、上述の演算で得た「移動速度」をモータ制御部80に出力する。
モータ制御部80には上位コントローラ200により「目標速度:Vt」が設定されている。
モータ制御部80は、速度検出部54から入力する移動速度:Vrと目標速度:Vtとの比較により、駆動モータMTを制御する。
即ち、モータ制御部80は、速度検出部54から入力する移動速度:Vrが、目標速度:Vtに近づくように、駆動モータMTの回転速度をフィートバック制御する。
この制御により、移動部材Eの回転による外周面の速度を高精度に制御できる。
上述の如く、エリアセンサ52の受光面に対してスペックルパターンの位置がずれても、測定用部分領域を最適位置に設定できる。
従って、照明光学系51のための高精度な「取り付け機構や取り付け調整」が不要となり、測定装置、ひいては移動体搬送装置のコストを低減化できる。
上述の実施の形態では、カウント領域CRのシフトを1画素ずつ行っているが、2画素または3画素というように「複数画素ずつシフト」するようにしてもよい。
また、「1フレームごとにカウント領域をシフト」しているが、カウント領域のシフトを複数フレームごとに行い、白画素のとして複数フレームの平均を求めてもよい。
図5に、上に説明した「スペックルパターンの撮像」から「測定用部分領域」の特定までを表すフローチャートを示す。
ステップ:S1で、I=1、Nmax=0とする。Iはカウンタ領域の「シフト回数」に対応するパラメータを表す。
ステップ:S2でスペックルパターンを撮像する。
ステップ:S3では、撮像されたスペックルパターンの画像データを白画素と黒画素に2値化し、2値化画像データを得、最小画素パターン領域を特定する。
ステップ:S4では、I番目のカウント領域内の白画素の数をカウントし、その値をNIとする。
ステップ:S5では「NmaxとNIの大小関係」を判定し、大きい方のカウント値をNmaxとする。
ステップ:S6では、パラメータ:Iを「1だけ増加」させる。
ステップ:S7では、パラメータ:Iとパラメータ:Sの大小関係を判定する。
パラメータ:Sは、最小画素パターン領域内でカウント領域をシフトさせる最大シフト回数である。
ステップ:S7で、「S>I」であれば、カウント領域による最小画素パターン領域内の全領域での白画素のカウントが終了していない。
従って、この場合はステップ:S8に移り、カウンタ領域をシフトさせ、ステップ:S2に戻る。
ステップ:S7で「I>S」となった状態では、カウント領域による白画素数のカウントが「最小画素パターン領域の全域」で実施されている。
従って、この場合は、ステップ:S9で「Nmaxとなったカウント領域の座標」を出力する。その結果「測定用部分領域」が特定される。
以下には、図1におけるエリア検出部53の具体的な実施の別形態を説明する。
図6は、この実施の形態を示している。
この形態では、エリア検出部は、以下の各部を有する。
即ち、画像データ2値化部531、パターン領域検出部532、カウントエリア設定部533A、並列処理部600、選択信号生成部701、エリア座標選択部702である。
画像データ2値化部531、パターン領域検出部532は、図3に即して説明したものと同じである。
並列処理部600は、複数の処理部を有する。処理部の数は適宜に選択できるが、ここでは説明の具体性のために9個であるとする。
即ち、並列処理部600は、9組の処理部601〜609を有する。これら9個の処理部の構成は同一である。
即ち、i=1〜9としてi番目の処理部は、白画素カウント部534−i、エリア座標保持部535−i、カウント値保持部536−i、カウント値比較部537−iを持つ。
これら白画素カウント部534−i、エリア座標保持部535−i、カウント値保持部536−i、カウント値比較部537−iは、図3に示したものと同様である。
カウントエリア設定部533Aは、白画素の数をカウントするカウント領域を複数個、同時に出力する。この例では、9個で、処理部601〜609に対応する。
同時に出力される複数のカウント領域は、最小画素パターン領域内で「1画素もしくは複数画素」だけシフトされている。
画像データ2値化部531から、撮像の1フレームごとに出力される2値化画像データは、各処理部の白画素カウント部534−i(i=1〜9)に同時に入力させられる。
カウントエリア設定部533Aは、上記「最小画素パターン領域内で、1画素もしくは複数画素シフトされた複数(=9)のカウント領域」を同時に出力する。
各処理部601〜609には、これらのカウント領域が1つずつ割り振られる。
そして、各処理部に「割り振られたカウント領域内の白画素の数」がカウントされ、カウント値保持部536−iに保持される。
例えば、図4の下図の場合を例に取ると、9個のカウント領域は、フレームF1〜F9で、それぞれの白画素の数をカウントするカウント領域である。
即ち、このようにすると、例えば、図4の下図に示した「フレームF1〜フレームF9における白画素数のカウント」が1フレームで実行されることになる。
従って、次の撮像によるフレームでは、図4におけるフレームF10〜F18に対するカウント領域が、カウントエリア設定部533Aから出力される。
各処理部では、新たにカウントされた白画素数と、先のフレームでカウントされた白画素数を比較して、その大小によりカウント値保持部536−iの保持内容の更新を行う。
同時に、エリア座標保持部535−iの保持内容の更新も行う。
これを5回繰り返すと、5回目(5フレーム目)には、フレームF37〜F45における各カウント領域での白画素の数がカウントされる。
そして、各処理部601〜609において「白画素の数が最も大きいカウント領域」のカウント数が、カウント値保持部536−iから選択信号生成部701に出力される。
また、エリア座標保持部535−iから「カウント値保持部536−iで最も大きいカウント値のカウント領域の座標」がエリア座標選択部702に出力される。
選択信号発生部701は、入力してくる「9個のカウント領域のカウント値」を比較して「最大のカウント値を持つカウント領域」を選択する。
そして、選択結果を選択信号によりエリア座標選択部702に出力する。
エリア座標選択部702は選択信号にもとづいて「白画素のカウント値が最も大きいカウント領域の座標」を測定用部分領域座標として出力する。
図3に示した実施の形態だと、図4の場合、45回の撮像によるフレームF1〜F45に対して、カウント領域内の白画素の数のカウントを行う必要がある。
これに対して、図6に示した場合だと、5回の撮像による5フレームで、測定用部分領域を特定することができ、測定用部分領域の設定に必要な処理時間を短縮できる。
並列処理を行う処理部の数を更に増やせば、処理時間の更なる短縮が可能である。
図7および図8に、図6の構成例のエリア検出部による測定用部分領域の特定のフロー図を示す。
図7のステップS11で「K=1」として設定される「K」はエリアセンサにより撮像されるフレームを現すパラメータである。
ステップ:S12では「スペックルパターンの撮像」が行われる。
ステップ:S13では、ステップ:S12で撮像されたフレームにおける「最小画素パターン領域」が特定される。
ステップ:S14では、ステップ:S12で特定された最小画素パターン領域が、複数の処理部(図6の例では処理部601〜609)の白画素カウント部へ出力される。
ステップ:S15では、「複数の処理部による並列処理」が行われる。
ステップ:S16では、パラメータ:Kの値が1だけ増加される。
ステップ:S17では、ステップ:S16で1だけ増加されたパラメータ:KとZの大小関係が判定される。「Z」は、最大撮像回数(上の例ではZ=5)である。
「Z>K」のときは、全ての撮像が終了していないので、ステップ:S12に戻り、次の撮像が行われる。
「Z<K」のときは、全ての撮像が終了したことになるので、ステップ:S18で「測定用部分領域の座標」を選択する。
そして、ステップ:S19で、測定用部分領域の座標を出力する。
複数の処理部の個々の白画素カウント部におけるカウント領域は、新たな撮像が行われる度に切り替えられる。
そして、各処理部において、切り替えられたカウント領域内の白画素の数がカウントされる。
このようにカウントされた白画素の数は、各処理部において「前にカウントされた白画素の数」と比較されて、大きい方の値が保持される。
従って、Z回の全ての撮像とそのフレームに対する処理が終了した段階では、各処理部で「白画素の数が最も大きいカウント領域の座標とその白画素数」が特定されている。
これら複数の処理部の個々において特定されたカウント領域とカウント数が、図6の選択信号生成部701に、また座標がエリア座標選択部702へ出力されるのである。
そして、ステップ:S18で、複数の処理部から得られた複数のカウント領域のうちから、白画素の数が最も大きいカウント領域とその座標が選択される。
ステップ:S19では、このように選択されたカウント領域の座標が、測定用部分領域の座標として出力されるのである。
図8に、ステップ:S18の内容を表すフロー図を示す。
ステップ:S21で、パラメータ:Iの範囲を1からKに設定する。ここに、パラメータ:Iは「複数の処理部の個々を表すパラメータ」である。
Kは「複数の処理部の数を表すパラメータ」であり、上述の例ではK=9である。
ステップ:S22では、全ての撮像が終了した後に、I番目の処理部から出力されるカウント領域の白画素の数をNIとする。
従って、ステップ:S22において、K個の処理部からの「白画素の数:N1〜NK」が出力されている。
ステップ:S23では、これらK個の「白画素の数:N1〜NK」のうちで最大の値を持つものを選択する。
ステップ:S24で、ステップS23において得られた「最大の白画素数:Nmaxをもつカウント領域の座標」を出力するのである。
ステップ:S23は、図6における選択信号生成部701で実行され、選択信号としてエリア座標選択部702に入力される。
そして、エリア座標選択部702が、すでに得ているK個の処理部のカウント領域の座標から、前記選択信号により特定されたカウント領域の座標を特定して出力する。
これがステップ24で行われる。
上記の如く、図3に実施例を示すエリア検出部の場合、エリア検出部は、単一のカウント領域を用いて、測定用部分領域を検出するものである。
また、図6の実施の形態では、エリア検出部は、同一形状のN(≧2)個のカウント領域を用いる。
そして、2値化画像データを生成するたびに、該2値化画像データと合同なN個のカウント用2値化画像を得る。
さらに、各カウント用2値化画像に対して1個のカウント領域を用いて「測定用部分領域を検出するためのカウント」を同時に行なう。
また、図1の実施の形態における変位測定装置では、動的被検面による検出光は、屈折されることなく撮像センサであるエリアセンサ52の受光面52aに導光されている。
しかし、これに限らず、動的被検面による検出光は、レンズ等の屈折光学系を介して撮像センサに導光するようにしてもよい。
この場合、屈折光学系による作用は、単に、撮像センサの受光面に合わせて、検出光の発散性を抑制するものであっても良い。
また、結節光学系を用いる場合、動的被検面による検出光が、屈折光学系により撮像センサの受光面上に結像するようにしてもよい。
この場合には、例えば動的被検面に「極く近接」して発生するスペックルパターンの像が撮像センサの受光面上に結像することになる。
上に説明した実施の形態では、測定装置を用い「動的被検面を停止状態にして、測定用部分領域の検出」を行なう測定方法が実施されている。
図1に即して実施の形態を説明した移動体搬送装置は、面に沿う方向に移動可能な移動体(移動部材E)と、該移動体をその表面に沿う方向に移動させる駆動手段MTを持つ。
また、移動体Eの表面の移動速度を測定する変位測定装置50と、該変位測定装置による測定結果に応じて、駆動手段による移動部材の移動を制御する制御手段80を有する。
図1に示した「移動体搬送装置」の実施の形態について、若干補足する。
移動部材Eは、上述したように、表面に「ランダムな微細凹凸」や内部に「ランダムな微細構造」を持つ。
表面にランダムな微細凹凸を有する場合、微細凹凸による表面粗さは「粗さが大きい」方が、検出光に対する拡散性が強くなるため望ましい。
表面の微細凹凸は、経時的に変化しないことが好ましい。
経時的に微細凹凸が劣化しなければ、スペックルパターンも変化しない。
例えば、移動部材Eの回転のホームポジションを定めて、回転駆動を制御するような場合には「ホームポジションで発生するスペックルパターン」を記憶しておくことがある。
そして、記憶したスペックルパターンの検出によりホームポジションを検出できる。
経時的に微細凹凸が劣化してスペックルパターンが変化すると、ホームポジション検出の際の演算処理に誤差が経時的に増大してしまう恐れがある。
また、表面の微細凹凸が磨耗して粗さが小さくなると、検出光を拡散させる機能が劣化し、検出精度を劣化させる恐れもある。
このような問題を回避する方策として、移動部材Eの表面を光透過性媒質でコーティングすることが好ましい。
この場合、移動部材Eのコーティング前の表面に微細凹凸を形成し、コーティング層の表面は平滑にしておくのが好ましい。
コーティングする光透過性媒質は、光学的に完全に透明である必要はなく、多少の吸収があっても良い。
駆動モータMTとしては、例えば、周知の「ステッピングモータ」等を用い得る。
モータ制御部80は、マイクロコンピュータや電子回路などで構成できる。
以下、本発明の一実施形態である画像形成装置について、図12、図13を参照して説明する。
図12は、画像形成装置の実施の1形態を説明図として略示している。
図中の符号1Y、1M、1C、1Kは、中間転写ベルト105に沿って並設されたドラム状の感光体であり、それぞれ、図中の矢印方向に回転駆動される。
中間転写ベルト105の符号105に付された(E)は、中間転写ベルト105が、上に説明した移動部材Eに対応することを示す。
符号に付せられている「Y、M、C、Y」は、それぞれ「イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック」に関するものであることを意味する。以下において同様である。
感光体1Y、1M、1C、1Kの周囲には、帯電手段2Y、2M、2C、2K、現像手段4Y、4M、4C、4Kが配設されている。
さらに、1次転写手段6Y、6M、6C、6K、感光体クリーニング手段5Y、5M、5C、5K等が配備されている。
図においては、帯電手段2Y〜2Kとして、帯電ローラによる接触式のものを示しているが、これに限らず、帯電ブラシや、非接触式のコロナチャージャ等を用いてもよい。
また、1次転写手段6Y〜6Kとしては、周知の転写チャージャ、転写ローラ、転写ブラシ等を用いることができる。
図12において、符号30は定着手段、40は2次転写手段、41は搬送手段を示している。
図12の画像形成装置は「中間転写ベルト方式の多色画像形成装置」である。
符号50は、図1に即して説明した測定装置(速度検出装置)である。
速度検出手段50は、中間転写ベルト105や、駆動モータMT、図示を省略された「上位コントローラやモータ制御部等」と「移動体搬送装置」を構成する。
画像形成プロセスを簡単に説明する。
各感光体1Y、1M、1C、1Kは帯電器2Y、2M、2C、2Kにより均一に帯電され、その後、光走査装置20によりそれぞれ光走査されて静電潜像が形成される。
各感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに形成された静電潜像は、それぞれ、現像手段
4Y、4M、4C、4Kによって現像される。
この現像により感光体1Yに「イエロートナー画像」が形成され、感光体1Mに「マゼンタトナー画像」が形成される。
また、感光体1Cには「シアントナー画像」が形成され、感光体1Kには「ブラックトナー画像」が形成される。
これら各色のトナー画像は、1次転写手段6Y、6M、6C、6Kにより、中間転写ベルト105上に順次重ね合わせて1次転写される。
この1次転写により、中間転写ベルト105上にカラートナー画像が形成される。
記録媒体STは、図示を省略された給紙部から給紙されて搬送手段を経て2次転写手段40の位置に搬送される。
カラートナー画像が転写された記録媒体STは、搬送ベルト等の搬送手段41で定着手段30に搬送され、定着手段30によりカラートナー画像を定着される。
このようにして、多色画像またはフルカラー画像が得られる。そして、カラートナー画像を定着された記録媒体STは、図示を省略された排紙部や後処理装置等に排紙される。
また、各色のトナー画像が転写された後の感光体1Y、1M、1C、1Kは、クリーニング手段5Y、5M、5C、5Kによりクリーニングされる。
このクリーニングは、各クリーニング手段の有するブレードやブラシ等のクリーニング部材により行なわれ、感光体上の残留トナーや紙粉が除去される。
カラートナー画像の2次転写後の中間転写ベルト105も、図示を省略されたベルトクリーニング手段によりクリーニングされて残留トナーや紙粉が除去される。
なお、図12に示す画像形成装置では、単色モード、2色モード、3色モード、フルカラーモードを実施できる。
単色モードでは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのいずれか1色の画像が形成される。
2色モードでは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの「いずれか2色の画像」を重ねて形成する。
3色モードでは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの「いずれか3色の画像」を重ねて形成する。
フルカラーモードでは、上記のように4色の重ね画像を形成する。
これらの各モードは、図示を省略された操作部により指定して実行できる。
前述の如く、速度検出手段50、中間転写ベルト105、駆動モータMT、図示を省略された「上位コントローラやモータ制御部等」は「移動体搬送装置」を構成する。
そして、移動体搬送装置における移動体としての中間転写ベルト105の周面の移動速度が、速度検出手段50により検出される。
そして、その検出結果に基づき、図示を省略された「上位コントローラやモータ制御部」により駆動モータMTの駆動が制御される。
そして、中間転写ベルト105の移動速度が高精度に制御され、色ずれのない良好な画像が得られる。
図13は、画像形成装置の実施の別形態を説明図的に略示している。繁雑を避けるため、混同の恐れが無いと思われるものについては、図12と符号を共通化した。
従って、図12と符号を共通化したものについては、図12に関する説明を援用する。
各感光体1Y〜1Kへの静電潜像の形成、現像による各色のトナー画像の形成のプロセスは、図12のものと同じである。
図13の画像形成装置では、各感光体1Y〜1K上に得られた各色トナー画像は、搬送ベルト106により搬送される紙等の記録媒体ST上に、各感光体から直接に転写される。
この実施の形態では、搬送ベルト106の外周面の移動速度が速度検出の測定対象であり、従って、搬送ベルト106は図1における移動部材Eに対応する。
このことを示すため、図12において符号106に(E)を付している。
この画像形成装置は「直接転写方式」であり、紙等の記録媒体STの進入経路が、図12のものとは異なっている。
即ち、各色のトナー画像を転写される記録媒体STは、搬送ベルト106により、各感光体1Y〜1Kに向けて搬送するようになっている。
記録媒体STは、矢印の如く搬送され、搬送ベルト106の図で上側の外周面に保持され、搬送ベルト106の半時計方向の回転により、図の左方へ搬送される。
そして、各感光体1Y〜1Kから順次、イエロートナー画像、マゼンタトナー画像、シアントナー画像、ブラックトナー画像を転写される。
この転写は、転写手段6Y〜6Kにより順次行われ、転写された上記各色のトナー画像は、互いに重畳してカラートナー画像を構成する。
転写手段6Y〜6Kは、図12の画像形成装置において用いられる1次転写手段と同じものを用いることができ、従って、図12におけるものと符号を共通化している。
この実施の形態においては、各色トナー画像が直接転写される記録媒体STが「被転写体」であり、記録媒体STを搬送する搬送ベルト106が「搬送体」である。
そして、搬送体としての搬送ベルト106の外周面の移動速度が、速度検出装置50による速度検出の測定対象である。
カラートナー画像を形成された記録媒体STは、定着手段30により、カラートナー画像を定着されて装置外部へ排出される。
トナー画像転写後の各感光体1Y〜1Kは、クリーニング手段5Y〜5Kによりクリーニングされて残留トナーが除去される。
また、搬送ベルト106の周面も、図示を省略されたベルトクリーニング手段により適宜にクリーニングされる。
図13に示す画像形成装置も「移動体搬送装置」を有している。
「移動体搬送装置」は、速度検出手段50、搬送ベルト106、駆動モータMT、図示を省略された「上位コントローラやモータ制御部等」により構成されている。
そして、移動体搬送装置における移動体としての搬送ベルト106の周面の移動速度が、速度検出手段50により検出される。
そして、その検出結果に基づき、図示を省略された「上位コントローラやモータ制御部」により駆動モータMTの駆動が制御される。
そして、搬送ベルト106の移動速度が高精度に制御され、色ずれのない良好な画像が得られる。
図12、図13に即して実施の形態を説明した画像形成装置は、電子写真プロセスを用いて、光導電性の感光体1Y〜1Kに静電潜像を形成する。
そして、形成された静電潜像をトナー画像として可視化し、被転写体である中間転写ベルトや記録媒体に転写する。
即ち、定方向へ移動する移動体(中間転写ベルト105、搬送ベルト106により搬送される記録媒体)の表面に画像を形成する。
そして、被転写体(中間転写ベルト)または被転写体の搬送体(搬送ベルト)を移動体として、その表面の移動距離および移動速度の少なくとも一方の測定が行なわれる。
図12および13に即して説明した実施の形態において、移動体である中間転写ベルトや搬送ベルトの移動速度が、リアルタイムで検出される。
検出された移動速度と、適正な移動速度(前述の目標速度)との差である速度変動:ΔVも簡単に得られる。
この速度変動:ΔVを光走査装置20にフィードバックして、光走査による書き込み開始のタイミングや、副走査方向における書き込み開始位置の補正を行なうこともできる。
例えば、書き込み開始位置の補正は、周知の「液晶偏向素子」を用いて可能である。
周知の如く、液晶偏向素子は、液晶に印加する電圧によって、感光体に到達する光の位置を、感光体の回転方向(副走査方法)にずらすことができる。
中間転写ベルト105や搬送ベルト106に速度変動:ΔVが発生すると、各色トナー画像の重ね合わせがずれたり、各色画像自体が伸縮したりする。
液晶偏向素子を用いて、ベルトの速度変動の補正と同様に、各色トナー画像の形成位置や画像の伸び縮みを補正でき、色ずれや画像伸び縮みのない高画質な画像が得られる。
この発明の測定装置や移動体搬送装置は、上に説明した画像形成装置に適用できるが、適用の対象は画像形成装置に限定されない。
即ち、一方向に移動する移動体の移動速度や移動距離の検出を必要とする装置やシステムなどであれば、この発明の測定装置や移動体搬送装置を適用できる。
また、測定装置、移動体搬送装置、画像形成装置は、上に説明した実施の形態に限定されるものではない。発明の本質を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。