本発明に係る昇降装置は、滑車等の回転部材に掛けられたロープ等の索状部材の一端側に、搬送の対象である被搬送物としてのワークを搬送する搬送リフター部を連結するとともに、索状部材の他端側にカウンタウエイトとして機能するウエイト部を連結した構成を備え、重力を利用して搬送リフター部を昇降させる構成のものである。本発明は、かかる構成において、ウエイト部を互いに結合・分離可能な複数の部分により構成し、回転部材および索状部材によって互いに連動する搬送リフター部とウエイト部の昇降動作にともなってウエイト部を自動的に結合・分離させることで、無動力でシンプルかつコンパクトな構成を実現し、省スペース化および低コスト化を図るとともに、安全性の向上を図ろうとするものである。以下、本発明の実施の形態を説明する。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る昇降装置1は、自動車の製造工場において、例えば床面や台座上の支持面等の所定の設置面2上に設置され、所定の製造工程で取り扱われるワーク3を、昇降動作によって搬送するものである。本実施形態では、昇降装置1によって搬送されるワーク3は、自動車部品の一つであって自動車においてエンジンルームと乗員室とを隔てるダッシュパネルである。
本実施形態の昇降装置1は、次のような動作原理を利用したものである。重さが互いに異なる2つの物体がそれぞれ両端側に連結されたロープが滑車(定滑車)に掛けられて滑車の両側から垂下した構成においては、ロープの移動および滑車の回転をともなって、重い方の物体が下降する(軽い方の物体が上昇する)。そして、重い方の物体の重さが一定である場合、軽い方の物体の重さが軽くなることで、物体の移動の加速度、つまり重い方の物体の下降動作(軽い方の物体の上昇動作)の加速度が減少する。
このような動作原理において、昇降装置1は、滑車に掛けられたロープの一方の物体側においてワーク3の搬入・搬出を受けることによる一方の物体側の重さの変化により、物体を昇降させる。そして、滑車に掛けられたロープの他方の物体側においてウエイト部の結合・分離により、物体の昇降の速度(加速度)を制御する。
図1に示すように、本実施形態の昇降装置1は、回転部材である滑車5と、索状部材であるロープ6と、ワーク3を支持する搬送リフター部7と、ワーク3を支持した状態(以下「載荷状態」という。)の搬送リフター部7よりも軽いウエイト部8とを備える。
滑車5は、昇降装置1の設置面2に対する所定の高さ位置において、所定の回転軸5aを中心に回転可能に設けられる。本実施形態では、滑車5は、設置面2上に立設された直線状の支柱11の上端部に支持された状態で設けられている。滑車5は、例えば設置面2から約4メートルの高さ位置に設けられる。滑車5は、全体として円盤状の外形をなす部材である。
図2に示すように、本実施形態では、滑車5を支持する支柱11として、横断面形状がH形状となるH型鋼が用いられている。したがって、支柱11は、横断面形状であるH形状において縦の2本の部分に相当する互いに平行な一対の帯板状のフランジ部11aと、同じくH形状において横の1本の部分に相当する部分であって一対のフランジ部11a間の中央部を繋ぐ帯板状のウェブ部11bとを有する。
そして、H型の横断面形状を有する支柱11に対して、滑車5が、ウェブ部11bの両板面側において一対のフランジ部11a間に納まるように2個設けられている。このため、滑車5の直径は、支柱11の一対のフランジ部11a間の距離よりも短い。2個の滑車5は、互いに同径であり、ウェブ部11bを介して回転軸5aを同軸上に位置させる。2個の滑車5は、回転軸5aを共通にしても別々にしてもよい。各滑車5には、同じ長さのロープ6が掛けられる。なお、本実施形態では滑車5は円盤状の部材であるが、滑車5としては、例えば円筒形状の外形の部材等、回転軸5aの軸方向視で円形状を有する部材であればよい。また、同軸配置される滑車5の数についても特に限定されるものではなく、例えばワーク3およびそれを支持する搬送リフター部7の大きさや重さ等によっては1個であったり3個以上であったりしてもよい。
ロープ6は、滑車5の両側から垂下するように滑車5の周囲に掛けられ、滑車5により案内されながら移動する。すなわち、ロープ6は、滑車5の上半部の円周に沿う部分の両側に、滑車5の水平方向に沿う径方向の一側(図1において右側)から垂下する第1垂下部6aと、同他側(図1において左側)から垂下する第2垂下部6bとを有し、滑車5により案内されながら移動することで第1垂下部6aおよび第2垂下部6bの長さを変化させる。
ロープ6の一端部となる第1垂下部6aの下端部には、搬送リフター部7が連結される。一方、ロープ6の他端部となる第2垂下部6bの下端部には、ウエイト部8が連結される。このように、ロープ6は、搬送リフター部7とウエイト部8とを互いに連結するとともに、滑車5に掛けられることで折り返され、滑車5の両側から垂下した態様で配される。したがって、ロープ6は、搬送リフター部7およびウエイト部8の互いに反対方向となる昇降動作にともなって滑車5により案内されながら移動する。なお、2個の滑車5のそれぞれに掛けられるロープ6は、各滑車5に対応する位置にて同様の態様により搬送リフター部7およびウエイト部8に連結される。
ロープ6は、ワーク3、搬送リフター部7、およびウエイト部8の重量等に応じて所定の引張強度を有する。具体的には、ロープ6としては、例えば、直径(線径)が2〜3ミリメートル程度、引張強度が200〜300キログラム程度のものが採用される。ただし、ロープ6の直径や引張強度等は特に限定されない。
搬送リフター部7は、上記のとおりワーク3を支持する部分であり、支柱11に沿って上下方向に移動可能、つまり昇降可能に設けられる。搬送リフター部7は、ロープ6の一端側が連結され、ロープ6により吊られた状態、つまり上向きの張力を受けた状態で昇降する。搬送リフター部7は、ワーク3を位置決めして載せた状態で支持する。つまり、ワーク3は、搬送リフター部7に対して所定の位置・姿勢で載った状態で支持される。なお、搬送リフター部7の所定の位置には、2個の滑車5に掛けられた2本のロープ6それぞれの一端側が連結される。
搬送リフター部7は、滑車5と略同じ高さ位置を上昇端の位置とし、この上昇端に位置する所定の状態を、ワーク3の搬入を待機する待機状態とする。また、搬送リフター部7は、待機状態でワーク3の搬入を受けた後、載荷状態で所定の下降端の位置まで下降して停止する。そして、下降端の位置で停止した搬送リフター部7から、作業者によってワーク3が搬出される。搬送リフター部7の下降端の位置は、設置面2上に立つ作業者等によってワーク3が搬出される所定の高さ位置となる。このように、搬送リフター部7は、その待機状態となる上昇端の位置をワーク3の搬入位置とし、下降端の位置をワーク3の搬出位置とし、搬入位置から搬出位置までの範囲で昇降動作して、ワーク3を下降搬送する。
ウエイト部8は、搬送リフター部7と同様、支柱11に沿って上下方向に移動可能、つまり昇降可能に設けられる。ウエイト部8は、ロープ6の他端側が連結され、ロープ6により吊られた状態、つまり上向きの張力を受けた状態で昇降する。ウエイト部8は、重力の作用を滑車5およびロープ6を介して搬送リフター部7に上向きの引張力として伝達する。すなわち、ウエイト部8は、搬送リフター部7に対するカウンタウエイトとして機能する部分であり、搬送リフター部7に対するワーク3の搬入・搬出による搬送リフター部7側の重さの変化に応じて、搬送リフター部7を昇降させるための引張力を、ロープ6および滑車5を介して搬送リフター部7に作用させる。ウエイト部8は、滑車5の近傍に達する高さ位置を上昇端の位置とする。
このように、搬送リフター部7とウエイト部8は、ロープ6により互いに連結されてロープ6が掛けられた滑車5の両側に吊り下げられた状態、つまり重力の作用により相手側を上向きに引っ張った状態で昇降する。そして、ウエイト部8は、載荷状態の搬送リフター部7よりも軽いことから、搬送リフター部7が載荷状態の場合、搬送リフター部7側が下降し、ウエイト部8側が上昇する。
ウエイト部8は、互いに結合・分離可能に構成された部分として、第1のウエイト部であるメインウエイト20と、第2のウエイト部であるサブウエイト40とを有する。
メインウエイト20は、ロープ6の他端側の連結を受ける。つまり、ロープ6の他端側の端部となる第2垂下部6bの下端部は、ウエイト部8を構成するメインウエイト20の部分に連結される。本実施形態では、2個の滑車5に掛けられた2本のロープ6それぞれの他端側が、メインウエイト20の所定の位置に連結される。
メインウエイト20は、滑車5を支持する支柱11にガイドされながら昇降動作する。つまり、メインウエイト20は、H型鋼である支柱11に対して支柱11の長手方向(上下方向)に沿う方向に移動可能に係合した状態で設けられ、支柱11に対する係合状態を維持しながら上下方向に移動する。
また、メインウエイト20は、搬送リフター部7よりも重い。すなわち、メインウエイト20は、ワーク3を支持していない状態(ワーク3が載っていない状態、以下「非載荷状態」という。)の搬送リフター部7よりも重い。このため、搬送リフター部7が非載荷状態であり、ウエイト部8においてサブウエイト40が切り離された状態、つまりウエイト部8がメインウエイト20のみの状態においては、滑車5およびロープ6によってウエイト部8(メインウエイト20)が下降して搬送リフター部7が上昇することになる。
サブウエイト40は、ウエイト部8においてメインウエイト20の下側に設けられる部分であって、メインウエイト20に対して結合・分離可能な部分である。また、サブウエイト40は、ウエイト部8におけるロープ6の連結を受けていない部分である。これらの構成により、サブウエイト40は、メインウエイト20に対して結合された状態では、メインウエイト20と合体した状態で一体的に上昇し、メインウエイト20から分離した状態では、ロープ6の他端側が連結されたメインウエイト20から独立して自重により下降する。
サブウエイト40は、設置面2上に上下方向に立設されたガイドロッド12により所定の位置で昇降動作が案内される状態で設けられている。ガイドロッド12は、支柱11の近傍であって支柱11における搬送リフター部7が昇降する側(図1において右側)とは反対側(同左側)に設けられている。ガイドロッド12は、横断面が円形状であって所定の径を有する直線状の棒状の部材である。ガイドロッド12は、支柱11に対して左右方向(フランジ部11aの幅方向)について中心を一致させる位置に設けられる。サブウエイト40は、ガイドロッド12を貫通させた状態で設けられ、ガイドロッド12に沿って摺動する態様で昇降動作が案内される。なお、ガイドロッド12は、横断面が円形の棒状の部材に限らず横断面が多角形状の角柱状の部材であってもよい。
図3に示すように、ガイドロッド12は、具体的には、支柱11の一方の(ウエイト部8側の)フランジ部11aの外側の面に支持プレート14aを介して略水平方向に突出するように設けられる支持台14上に立設されている。なお、図3に示すように、支持台14の上面と、支持プレート14aの支柱11側と反対側(支持台14が突出する側)の面との間には、補強用の板状のリブ部14bが、支持台14および支持プレート14aに対して溶接等により固定された状態で設けられている。
ガイドロッド12は、支持台14上に設けられた挿入支持部15により支持された状態で立設されている。挿入支持部15は、支持台14上に固定された板状の土台部15aと、土台部15a上の中央部に設けられた挿入部15bとを有する。挿入部15bは、ガイドロッド12の下端部を挿入させる穴部が形成された筒状の部分である。挿入支持部15は、挿入部15bにガイドロッド12の下端部を挿入させた状態で、ガイドロッド12を支持する。
以上のようにメインウエイト20とサブウエイト40とを有するウエイト部8は、メインウエイト20からサブウエイト40が分離している状態(以下「分離状態」という。)から、メインウエイト20およびサブウエイト40の上下方向の相対的な近接移動により、メインウエイト20にサブウエイト40を自動的に結合させるように構成されている。本実施形態では、下降端の位置で停止した状態のサブウエイト40に対して、メインウエイト20が上側から下降することにより、メインウエイト20とサブウエイト40とが上下方向に相対的に近接移動する。サブウエイト40は、上側からのメインウエイト20の衝突を受けることで、自動的にメインウエイト20に結合される。
また、ウエイト部8は、メインウエイト20にサブウエイト40が結合している状態(以下「結合状態」という。)にある下降端の位置から、載荷状態の搬送リフター部7の下降にともなう上昇の過程における所定のタイミングで、メインウエイト20からサブウエイト40を分離させるように構成されている。すなわち、上記のとおりサブウエイト40に対して上側からメインウエイト20が下降することで結合状態となったウエイト部8は、載荷状態の搬送リフター部7よりも軽いことから、載荷状態の搬送リフター部7の下降にともなって上昇し、搬送リフター部7が下降端の位置に達するまでの過程において、所定のタイミング、つまり所定の高さ位置でメインウエイト20からサブウエイト40を分離させる。
ウエイト部8においてその下降端の位置からの上昇の過程でメインウエイト20からサブウエイト40が切り離されるタイミングは、例えば、上昇するウエイト部8がその昇降範囲における略中間地点に達した時点に設定される。この例によれば、ウエイト部8が設置面2から約4メートルまでの高さ範囲で昇降動作する場合、結合状態のウエイト部8は、設置面2から約2メートルの高さ位置に達した時点で、メインウエイト20からサブウエイト40を分離させる。
このように結合状態で上昇する過程でメインウエイト20からサブウエイト40を分離させるウエイト部8は、結合状態または分離状態で、上述したような搬送リフター部7の搬入位置から搬出位置までの昇降動作の範囲に対応した範囲で昇降動作する。詳細には次のとおりである。
ウエイト部8において、メインウエイト20は、サブウエイト40と結合する下降端の位置から、載荷状態の搬送リフター部7が下降端に位置した状態で位置する上昇端の位置(滑車5の近傍に達する高さ位置)までの範囲で昇降動作する。メインウエイト20は、サブウエイト40と結合する下降端の位置から、サブウエイト40と一体的に上昇し、その上昇の過程でサブウエイト40が切り離された後は、載荷状態の搬送リフター部7により引っ張られることで、単独でその上昇端の位置まで上昇する。
一方、ウエイト部8において、サブウエイト40は、メインウエイト20と結合する下降端の位置から、メインウエイト20から分離される位置までの範囲で昇降動作する。すなわち、サブウエイト40は、メインウエイト20と結合する下降端の位置から、メインウエイト20と一体的に上昇し、その上昇の過程でメインウエイト20から切り離された後は、ガイドロッド12に沿って単独で自重により自由落下に近い態様で下降する。
ここで、本実施形態の昇降装置1における搬送リフター部7およびウエイト部8の重さの相対的な関係について説明する。まず、載荷状態の搬送リフター部7は、結合状態のウエイト部8よりも重い。このことから当然に、載荷状態の搬送リフター部7は、分離状態のウエイト部8(メインウエイト20)よりも重い。したがって、搬送リフター部7が載荷状態の場合、ウエイト部8が結合状態であるか分離状態であるかにかかわらず、搬送リフター部7側が下降する。
一方、非載荷状態の搬送リフター部7は、分離状態のウエイト部8よりも軽い。このことから当然に、非載荷状態の搬送リフター部7は、結合状態のウエイト部8よりも軽い。したがって、搬送リフター部7が非載荷状態の場合、ウエイト部8が結合状態であるか分離状態であるかにかかわらず、搬送リフター部7側が上昇する。ただし、搬送リフター部7がその上昇端である搬入位置で載荷状態となってからその状態で下降して下降端である搬出位置に達するまでの過程で、ウエイト部8は下降端から結合状態で上昇してその上昇の途中で分離状態となる。このため、搬送リフター部7が搬出位置で非載荷状態となってから搬入位置まで上昇して戻る過程においては、ウエイト部8は常に分離状態(メインウエイト20のみの状態)であることから、結合状態のウエイト部8の下降動作をともなって非載荷状態の搬送リフター部7が上昇するという状況は基本的には生じない。
以上のような搬送リフター部7およびウエイト部8の重さの相対的な関係が成り立つ具体的な各部の重量の値としては、搬送リフター部7が15kg、ワーク3が10kg、メインウエイト20が16kg、サブウエイト40が8kgという例が挙げられる。かかる数値例によれば、載荷状態の搬送リフター部7の重量は、15+10=25(kg)、結合状態のウエイト部8は、16+8=24(kg)となり、載荷状態の搬送リフター部7は結合状態のウエイト部8よりも1kg重くなる。また、非載荷状態の搬送リフター部7は、15kgであって、分離状態のウエイト部8、つまりメインウエイト20の16kgよりも1kg軽くなる。以下の説明では、ここで示した数値例を適宜用いる。ただし、搬送リフター部7およびウエイト部8の各部の重量の値は上記の数値例に限定されるものではない。また、本実施形態では、メインウエイト20の方がサブウエイト40よりも重いが、これとは逆でサブウエイト40の方がメインウエイト20より重くてもよい。
次に、本実施形態に係るウエイト部8において互いに結合・分離可能なメインウエイト20およびサブウエイト40の構成について、図3〜図9を用いて詳細に説明する。なお、ウエイト部8の説明においては、滑車5に対してウエイト部8が設けられる側(図1において左側)を前側とし、滑車5に対して搬送リフター部7が設けられる側(図1において右側)を後側として前後方向を規定し、ウエイト部8の正面視(図5参照)における左右方向を左右方向とする。
まず、メインウエイト20について説明する。メインウエイト20は、H型鋼である支柱11に係合する部分である基部21と、基部21に設けられる一対のアーム部22とを有する。メインウエイト20は、一対のアーム部22によってサブウエイト40をキャッチすることで、サブウエイト40と結合される。
基部21は、略直方体状に沿う外形を有する。具体的には、図8に示すように、基部21は、略矩形板状の部分であって前側に位置する前面部21aと、同じく略矩形板状の部分であって前面部21aの左右両側に設けられる側面部21bとを有する。側面部21bは、前面部21aに対してその左右両側の端部から後側に向けて折れ曲った態様で設けられる部分である。基部21は、前面部21aと側面部21bとにより、全体として平面視で略コ字状ないしは略U字状をなし、後側を開放側とする向きで設けられる。
メインウエイト20は、基部21の部分を支柱11に係合させた状態で設けられる。具体的には、メインウエイト20は、H型鋼である支柱11の前側のフランジ部11aを、基部21の内部において複数のガイドローラ23により前後から挟んだ状態で、支柱11に係合する(図8参照)。詳細には次のとおりである。
図8に示すように、ガイドローラ23は、上記のとおり平面視で略コ字状ないしは略U字状の基部21の内部に設けられる。ガイドローラ23は、基部21を構成する左右両側の側面部21bの内側において、左右方向を回転軸方向として、側面部21bを左右方向に貫通した状態で設けられる支軸部23aにより、回転自在に側面部21bに支持される。フランジ部11aの前側に位置するガイドローラ23は、フランジ部11aの前側面11cに接触するように設けられ、フランジ部11aの後側に位置するガイドローラ23は、フランジ部11aの後側面11dに接触するように設けられる。これにより、前側のフランジ部11aが、その前後に配置されたガイドローラ23によって挟まれた状態となる。
図5および図8に示すように、本実施形態のメインウエイト20は、支柱11の前側のフランジ部11aを挟んで互いに前後方向に対向する位置に設けられる一対のガイドローラ23を一組として、基部21の上端部および下端部のそれぞれにおいて左右両側の各位置に計4組のガイドローラ23を有する。このように、メインウエイト20は、基部21に設けられた4組のガイドローラ23、つまり合計8個のガイドローラ23により、基部21の部分を支柱11に係合させた状態で設けられている。これにより、メインウエイト20は、支柱11によってガイドされ、姿勢を維持した状態で、ガイドローラ23の回転をともなって上下方向に移動可能に設けられる。
このように支柱11に沿って昇降動作するメインウエイト20に対しては、メインウエイト20が下降端に達した際の衝撃を吸収するための緩衝部材16が設けられている(図3参照)。緩衝部材16は、直方体状に形成されたウレタン樹脂等からなるブロック体である。緩衝部材16は、支柱11の前側のフランジ部11aの前側面11cから垂直方向に前方に向けて突出する板状の部分であるステー16a上にボルト等によって固定された状態で、下降端のメインウエイト20に対応する所定の高さ位置に設けられる。
アーム部22は、基部21の左右両外側において基部21の側面部21bに支持され、基部21から前側に向けて略水平方向に突出するように設けられる。アーム部22は、細長い(幅狭の)矩形板状(短冊状)の部材からなるアーム本体22aと、基部21の側面部21bの外壁面に沿う板状の部材からなる支持プレート22bとを有する。支持プレート22bは、アーム本体22aの後端部の内側に固定された状態で設けられる。アーム部22は、アーム本体22aの長手方向が前後方向となるように、かつ、アーム本体22aの両側の板面が左右両側を向くように支持された状態で設けられる。
アーム部22は、その後端部となる支持プレート22bよりも後側の部分に設けられた回動支持部22cにより、基部21の側面部21bに対して回動可能に支持される。アーム部22は、回動支持部22cにより、水平面に沿って回動可能に支持される。つまり、回動支持部22cは、支柱11の長手方向に沿う上下方向(鉛直方向)を回動軸方向として、アーム部22を回動可能に支持する。なお、アーム本体22aおよび支持プレート22bは一体的に回動する。
アーム部22は、その長手方向を前後方向に沿わせた位置を内側の回動端とし、その内側の回動端の位置から、後端の回動支持部22cの位置を中心に外側に所定の角度範囲で回動可能に設けられる。したがって、左右両側の2本のアーム部22は、それぞれが内側の回動端に位置することで、前後方向に沿って互いに平行な状態となり、それぞれが外側に回動することで、平面視でハの字状をなすことになる(図8、二点鎖線参照)。
このように長手方向の後端部が回動可能に支持された一対のアーム部22は、先端側(回動支持部22c側と反対側)を互いに近付ける方向に回動することを閉じる動作とし(図8、矢印A1参照)、先端側を互いに遠ざける方向に回動することを開く動作とする(図8、矢印A2参照)。なお、アーム部22が内側の回動端にある状態では、支持プレート22bが基部21の側面部21bの外壁面に接触した状態となる。
2本のアーム部22の間には、左右方向を伸縮方向として配されたスプリング25が架設されている。スプリング25は、コイル状の引張りばねであり、伸縮方向の両端側に、線材の先端部が略円環状に形成された引掛け部25aを有する。スプリング25は、その両端側の引掛け部25aを、アーム本体22aの内側面22dに設けられた円環状の係止部22eに係止させた状態で、2本のアーム部22間に支持される。
スプリング25は、上記のとおり引張りばねであり、2本のアーム部22をこれらが互いに近接する方向(閉じる方向)に引っ張り付勢する。2本のアーム部22は、自然状態において、スプリング25の引張力により閉じる方向に付勢された状態で内側の回動端に位置し、互いに平行な状態となる。したがって、アーム部22は、内側の回動端から外側に向けて開く方向に回動する際には、スプリング25の付勢力に抗して回動することになる。
このように、メインウエイト20は、開閉可能であり閉じる方向に付勢された状態で設けられる一対のアーム部22を有する。なお、一対のアーム部22を閉じる方向に付勢するための構成は、本実施形態のようなコイル状の引張りばねに限定されるものではなく、例えば、2本のアーム部22を外側から押圧する押圧バネや、2本のアーム部22を外側から囲むゴム等の環状の弾性部材等であってもよい。
アーム部22の先端側には、サブウエイト40に対して係止する部分となる係止プレート26が設けられている。係止プレート26は、略矩形板状の部材が略直角に(略L字状に)折り曲げられた態様の部材であり、いずれも矩形板状の部分であって略L字状をなす固定部26aと係止板部26bとを有する。
係止プレート26は、固定部26aをアーム部22のアーム本体22aの内側面22dに固定させることで、アーム部22に固定される。固定部26aは、その板面をアーム本体22aの内側面22dに沿わせた状態で、固定部26aを板面に対して垂直方向に貫通するとともにアーム本体22aに対して内側面22d側からねじ込まれるボルト等の締結部材26cによって、アーム部22に固定される。本実施形態では、締結部材26cによる固定部分は、前後方向の両端側の位置となる2箇所に設けられている。
このように固定部26aがアーム部22に固定されることで、固定部26aに対して略直角をなす部分である係止板部26bは、アーム本体22aの内側面22dに対して略直角方向に突出する突片部を形成する。係止プレート26は、アーム部22の内側面22dから内側に向けて突出する板状の係止板部26bの両側の板面が上下を向くように、つまり係止板部26bの板面が水平方向に沿うように、しかも係止板部26bが固定部26aの下側に位置するように、アーム部22に固定される。このように、係止プレート26は、正面視(アーム本体22aの長手方向視)で略L字状となるようにアーム部22に固定される(図5参照)。
このように先端側に係止プレート26が設けられた一対のアーム部22は、閉じた状態において、内側に突出する係止プレート26の係止板部26bを互いに対向させる。そして、一対のアーム部22が内側面22dから突出する係止板部26bをサブウエイト40における所定の位置に係止させることで、メインウエイト20によってサブウエイト40がキャッチされた状態、つまりメインウエイト20とサブウエイト40とが互いに結合した状態となる。
また、アーム部22の長手方向の中途部分には、メインウエイト20からサブウエイト40を分離させるために一対のアーム部22を開かせる際に用いられる分離用ローラ27が設けられている。分離用ローラ27は、アーム本体22aの内側面22dにおいて、スプリング25の係止部22eと係止プレート26との間に設けられている。
分離用ローラ27は、円盤状ないしは円柱状の部材である。分離用ローラ27は、アーム部22の長手方向に沿う方向、つまりアーム部22が閉じた状態で前後方向に沿う方向(図8において前後方向)を回転軸方向として回転自在に設けられる。分離用ローラ27は、アーム部22の内側面22dから垂直方向に突出する板状の部分であるステー27aに対して軸支部材27bにより回転自在に軸支されている。なお、ステー27aは、アーム部22の内側面22dに固定されたL字型プレートにより構成されている。
このようにアーム部22に設けられる分離用ローラ27は、後述するように、メインウエイト20からサブウエイト40を分離させる際、サブウエイト40をキャッチした状態の一対のアーム部22を開かせるために用いられる分離用プレート60との関係において、一対のアーム部22が開く方向の作用を受けるために分離用プレート60に接触する部分となる。なお、分離用プレート60に対する接触部分としては、分離用ローラ27のように回転する部分ではなく、固定の部分、つまりアーム本体22aと一体の部分であってもよい。この場合、分離用プレート60に対するアーム部22の接触部分は、分離用プレート60に対して摺動する部分となる。
また、メインウエイト20は、上記のとおりウエイト部8においてロープ6の他端側の連結を受ける部分である。このため、メインウエイト20には、ロープ6の他端部が連結される連結部28が設けられている。連結部28は、基部21の左右の側面部21b上に設けられた支持台部29上に立設された状態で設けられている。
支持台部29は、基部21の側面部31bの後端部から上方に向けて延びる垂直部とこの垂直部の上端から左右方向の内側に向けて延びる水平部とを有し、正面視で略L字状となる板状の部分である(図5参照)。支持台部29の水平部上に、連結部28が設けられる。
連結部28は、支持台部29の水平部上に立設された棒状の基部を介して設けられた円環状の繋止部28aを有する。連結部28の繋止部28aに対してロープ6の端部が結び付けられることにより、連結部28にロープ6の他端側の端部が連結される。なお、上述したようにメインウエイト20には2本のロープ6の他端側が連結されることから、連結部28および支持台部29は左右方向に対称に構成され、連結部28は左右方向に所定の間隔をあけた2箇所の位置に設けられている。
次に、サブウエイト40について説明する。サブウエイト40は、略直方体状のブロック体である基部41と、基部41上に設けられてメインウエイト20の一対のアーム部22が係止される部分となる結合案内部42とを有する。サブウエイト40は、結合案内部42の部分がメインウエイト20の一対のアーム部22によりキャッチされることで、メインウエイト20に対して結合した状態となる。
基部41は、略直方体状の外形を有し、その6面がそれぞれ上下・左右・前後を向くように支持される。基部41は、上述したようにサブウエイト40の昇降動作をガイドするガイドロッド12を貫通させる部分であり、基部41には、ガイドロッド12を貫通させる上下方向の貫通孔が形成されている。
結合案内部42は、基部41の上面41aから上向きに突出する首部43と、首部43上に設けられる頭部44とを有する。首部43は、略水平面に沿う基部41の上面41aから上下方向を中心軸方向として突出する円柱状の部分である。このため、首部43は、その外周面として、基部41の上面41aに対して垂直な方向を中心軸方向とする円周面43aを有する。
頭部44は、截頭円錐状(円錐台状)の外形を有する部分であり、側面視で台形状をなし、中心軸方向を上下方向に沿わせるとともに首部43と同軸心上に設けられる。頭部44は、首部43と一体的な部分である。頭部44は、首部43に対する拡径部分である。つまり、頭部44の下端の外径は、円柱状の首部43の外径よりも大きく、頭部44の外周面と首部43の外周面(円周面43a)との間には段差が形成される。このような頭部44は、基部41の上面41aに対向する面となる円環状の底面44aと、外周面であって円錐の側面形状に沿う円錐面44bと、上側の端面となる上面44cとを有する(図6参照)。
また、頭部44は、左右両側のアーム部22の先端側に設けられた2つの係止プレート26について左右方向に互いに対向する内側縁端26dの位置が平面視で円錐面44bの上下方向の中途部の所定の位置に重なるように設けられる。言い換えると、メインウエイト20側に設けられる係止プレート26およびサブウエイト40側に設けられる頭部44は、メインウエイト20とサブウエイト40との上下方向の相対的な近接移動によって係止プレート26の内側縁端26dが頭部44の円錐面44bの中途部分に接触するように構成される。したがって、左右方向に互いに対向する係止プレート26の内側縁端26d間の隙間の大きさは、メインウエイト20とサブウエイト40とが互いに近接することで係止プレート26の内側縁端26dが頭部44の円錐面44bの中途部に接触するような大きさに設定される。
以上のように互いに同軸心上に設けられた円柱状の首部43と截頭円錐状の頭部44とを有する結合案内部42は、側面視で全体として上を向く略矢印状の外形をなす。そして、結合案内部42は、その軸心に沿う中心部に、ガイドロッド12を貫通させる。すなわち、基部41の上側に設けられる結合案内部42は、基部41と一体的に構成される部分であって、結合案内部42には、ガイドロッド12を貫通させる貫通孔が、基部41に形成されたガイドロッド12の貫通孔に連続するように形成されている。このように、サブウエイト40は、基部41および結合案内部42を含む部分を貫通するガイドロッド12により、上下方向の移動、つまり昇降動作がガイドされる。
また、サブウエイト40は、ガイドロッド12に対して押圧力を作用させるテンションローラ45を有する。テンションローラ45のガイドロッド12に対する押圧力(圧接度合い)が調整されることで、ガイドロッド12に沿うサブウエイト40の昇降動作の抵抗、つまり負荷が調整される。
テンションローラ45は、円柱状の外形を有し、その中心軸を回転軸の位置として、左右方向を回転軸方向として回転自在に支持された状態で設けられる。テンションローラ45は、ガイドロッド12の前側に設けられ、円形の横断面形状を有する棒状のガイドロッド12に前側から接触(圧接)し、サブウエイト40の上下方向の移動にともなって回転するように設けられる。テンションローラ45の外周部分、つまりガイドロッド12に対する接触部分は、例えば合成樹脂等の材料からなる。
テンションローラ45は、基部41に固定される固定アーム46と、固定アーム46に対して回動可能に設けられる回動アーム47とを介して、基部41に支持される。固定アーム46は、細長い(幅狭の)矩形板状(短冊状)の部材であり、基部41の左右両外側の側面のそれぞれに、長手方向を前後方向に沿わせて固定された状態で設けられる。つまり、基部41には、前後方向に沿う互いに平行な左右一対の固定アーム46が設けられる。固定アーム46は、その前側の部分を基部41から前方に向けて突出させる。なお、サブウエイト40は、基部41、結合案内部42、テンションローラ45、およびテンションローラ45の支持構造を含め、左右対称に構成される。
回動アーム47は、固定アーム46と同様に細長い矩形板状の部材であり、その長手方向の中途部が、各固定アーム46の前端部に設けられたアーム支持部47aによって回動可能に支持される。アーム支持部47aは、回動アーム47の回動軸方向を、テンションローラ45の回転軸方向と平行な方向、つまり左右方向として、回動アーム47を軸支する。
回動アーム47は、固定アーム46に対して左右方向の外側に設けられ、長手方向が側面視で後下がりの斜め方向(上側から下側にかけて徐々に前側から後側に向かう斜め方向)となる向きで支持される(図3参照)。回動アーム47の下端部、つまりアーム支持部47aからの下側への延出部分の端部に、テンションローラ45を支持するローラ支持部47bが設けられる。つまり、テンションローラ45は、回動アーム47の下端部に設けられたローラ支持部47bにより、左右一対の回動アーム47間に回転可能に支持される。
回動アーム47のアーム支持部47aからローラ支持部47b側と反対側の部分、つまり上側の部分には、テンションローラ45のガイドロッド12に対する押圧力(ローラ押圧力)を調整するための調整機構が設けられている。かかる調整機構は、左右の回動アーム47の上端部間に架設された支持プレート48と、支持プレート48を貫通する調整ボルト49と、調整ボルト49の先端側が当接する部分であるボルト受部50とを有する。
支持プレート48は、細長い矩形板状の部材であり、その長手方向を左右方向として、左右の回動アーム47間に架設される。支持プレート48は、側面視において、板面に対する垂直方向が回動アーム47の長手方向に対して直交する方向となる向きに支持される(図3参照)。
調整ボルト49は、支持プレート48の左右方向の中央部を貫通して支持プレート48に支持された状態で設けられる。調整ボルト49は、支持プレート48の板面に対して垂直方向に支持プレート48を貫通する。したがって、調整ボルト49は、側面視において、その軸方向を回動アーム47の長手方向に対して垂直方向とする。
支持プレート48の調整ボルト49の貫通部には、調整ボルト49と螺合するナット部49aが、支持プレート48の前側の板面において支持プレート48と一体的に設けられている。つまり、調整ボルト49は、支持プレート48を貫通するとともに支持プレート48に固定されたナット部49aに螺挿された状態で支持される。したがって、調整ボルト49が回動することにより、調整ボルト49の長手方向の支持プレート48に対する相対的な位置、つまり調整ボルト49の支持プレート48から後側への突出量が変化する。調整ボルト49の後端、つまり支持プレート48からの後側への突出部分の先端は、ボルト受部50に当接する。
ボルト受部50は、基部41の前面41bから突出する直方体形状の突起部分であり、その突出側の端面を、調整ボルト49の先端部の当接を受ける当接面50aとする。一方、調整ボルト49の支持プレート48よりも前側の端部には、調整ボルト49を回動させるためのボルト頭部49bが存在する。
以上のような調整機構においては、調整ボルト49の回動量、つまり調整ボルト49の締付け度合いの調整により、ローラ押圧力が調整される。具体的には、調整ボルト49を締め付ける方向に回動させることにより、調整ボルト49の先端側の回動アーム47からの突出量が多くなるため、先端を当接面50aに当接させた状態の調整ボルト49に対して、支持プレート48が相対的にボルト頭部49b側に移動する。これにともない、回動アーム47が、アーム支持部47aを中心にテンションローラ45をガイドロッド12に押し付ける方向に回動し、ローラ押圧力が大きくなる。一方、調整ボルト49を緩める方向に回動させることで、調整ボルト49の先端側の回動アーム47からの突出量が少なくなるため、先端を当接面50aに当接させた状態の調整ボルト49に対して、支持プレート48が相対的にボルト頭部49b側と反対側に移動する。これにともない、回動アーム47が、アーム支持部47aを中心に調整ボルト49を締め付ける方向に回動させた場合と反対方向に回動し、ローラ押圧力が小さくなる。
このような調整機構によるテンションローラ45のガイドロッド12に対する押圧力(圧接度合い)の調整により、ガイドロッド12に沿うサブウエイト40の昇降動作にともなう抵抗(負荷)が調整される。すなわち、ローラ押圧力が大きくなると、サブウエイト40の昇降動作の抵抗が大きくなり、ローラ押圧力が小さくなると、サブウエイト40の昇降動作の抵抗が小さくなる。
以上のように、本実施形態のサブウエイト40は、ガイドロッド12に対して接触しガイドロッド12に対する圧接度合いが調整可能でありサブウエイト40の昇降にともなって回転するテンションローラ45を含む。このようなテンションローラ45によれば、ローラ押圧力の調整によって、サブウエイト40の昇降動作の移動の速度を調整することが可能となる。なお、ガイドロッド12に沿うサブウエイト40の昇降動作の抵抗を調整するための構成としては、テンションローラ45のようにサブウエイト40の昇降にともなって回転する部分ではなく固定の部分であってもよい。この場合、サブウエイト40のガイドロッド12に対する接触部分は、ガイドロッド12に対して摺動する部分となる。
また、ガイドロッド12に沿って昇降動作するサブウエイト40に対しては、サブウエイト40が下降端に達した際の衝撃を吸収するための緩衝部材17が設けられている(図3参照)。緩衝部材17は、ウレタン樹脂等からなる部材であって、円柱状ないしは円板状の外形を有する。緩衝部材17は、ガイドロッド12を貫通させた状態で、下降端のサブウエイト40に対応する所定の高さ位置に設けられる。本実施形態では、緩衝部材17は、ガイドロッド12の下端部を支持する挿入支持部15の上側に載った状態で設けられている。緩衝部材17には、サブウエイト40のテンションローラ45の下端が上側から接触することになる。
以上のような構成を備えるウエイト部8のメインウエイト20に対するサブウエイト40の結合・分離動作について説明する。
まず、メインウエイト20に対するサブウエイト40の結合動作について説明する。ウエイト部8は、分離状態から、下降端の位置で停止した状態のサブウエイト40に対してメインウエイト20が上側から下降して近接移動することにより、自動的にメインウエイト20にサブウエイト40を結合させて結合状態となる。ウエイト部8の結合状態は、メインウエイト20のアーム部22がサブウエイト40の結合案内部42に係止した状態である。
図4および図6に示すように、ウエイト部8の分離状態においては、メインウエイト20の一対のアーム部22は、スプリング25の付勢力によって内側の回動端に位置する自然状態であり、前後方向に沿って互いに平行な状態となる。かかる状態から、メインウエイト20が下降してサブウエイト40に近付くことで、図7に示すように、各アーム部22の先端側に設けられた係止プレート26の内側縁端26dが、サブウエイト40側の結合案内部42の円錐面44bに接触する。
メインウエイト20が係止プレート26の内側縁端26dを頭部44の円錐面44bに接触させた状態でさらに下降することで、係止プレート26が円錐面44bの下広がりの傾斜に沿って摺動することになる。これにより、一対のアーム部22は、頭部44および係止プレート26を介して開く方向の力の作用を受け、後端側の回動支持部22cを中心にスプリング25の付勢力に抗して開く方向に回動する(図8、矢印A2参照)。
メインウエイト20がさらに下降することで、アーム部22は、係止プレート26の円錐面44bに沿う摺動をともなって開く方向の回動量を増加させ、係止プレート26の内側縁端26dの位置が上下方向について頭部44の下端位置を過ぎることで、つまり係止プレート26が頭部44を乗り越えることで、スプリング25の付勢力による一対のアーム部22の閉じる方向の回動をともない、一対の係止プレート26が、頭部44に対して縮径する側に段差を形成する首部43の位置に嵌り込む。つまり、図5に示すように、一対の係止プレート26が、互いに対向する内側縁端26dの間に、頭部44の下側の首部43の部分を位置させた状態となる。
このようにメインウエイト20が一対のアーム部22の開閉動作によって左右両側の係止プレート26をサブウエイト40の頭部44下の首部43の部分に位置させることで、ウエイト部8が結合状態となる。すなわち、ウエイト部8の結合状態においては、先端側に係止プレート26が設けられた一対のアーム部22が、首部43および頭部44を有する結合案内部42に対して係止した状態となる。言い換えると、一対のアーム部22は、係止プレート26の部分を結合案内部42に引っ掛けた状態となる。このように、ウエイト部8においては、メインウエイト20が、一対のアーム部22により、結合案内部42の部分によってサブウエイト40をキャッチした状態となる。
このようなウエイト部8の結合状態においては、メインウエイト20がロープ6により引き上げられることにより、サブウエイト40もメインウエイト20と一体的に上昇することになる。また、結合状態のウエイト部8が下降する際にも、メインウエイト20とサブウエイト40とが一体的に下降する。ここで、サブウエイト40は、その自重による下降作用等により、頭部44の底面44aを、メインウエイト20側の係止プレート26の上面26eに接触させた状態となる。
以上のようなメインウエイト20とサブウエイト40との結合構成において、サブウエイト40側に設けられる結合案内部42は、メインウエイト20に対する上下方向の相対的な近接移動により、一対のアーム部22を閉じる方向のスプリング25による付勢力に抗して一対のアーム部22を一旦開き、その後スプリング25の付勢力により閉じた一対のアーム部22の係止を受ける部分となる。そして、ウエイト部8は、一対のアーム部22を結合案内部42に係止させることで、メインウエイト20にサブウエイト40を結合させる。
次に、メインウエイト20からのサブウエイト40の分離について、図9〜図11を用いて説明する。ウエイト部8は、結合状態にある下降端の位置から、載荷状態の搬送リフター部7の下降にともなう上昇の過程における所定のタイミングで、メインウエイト20からサブウエイト40を切り離して分離状態となる。ウエイト部8においては、メインウエイト20の一対のアーム部22が、一対の係止プレート26の内側縁端26d間の間隔の大きさが頭部44の底面44aよりも大きくなるまで開くことで、サブウエイト40の自重による下降作用によって係止プレート26の結合案内部42に対する係止状態が解除され、サブウエイト40がメインウエイト20から切り離されることになる。そこで、結合状態のウエイト部8の上昇の過程で、係止プレート26の結合案内部42に対する係止状態を解除するために一対のアーム部22を開かせるために、昇降装置1においては、分離用プレート60が設けられている。
図10に示すように、分離用プレート60は、四隅が面取りされた略菱形形状の板状の部材である。分離用プレート60は、支柱11とガイドロッド12との間に設けられたプレート支持柱13に固定されることで、所定の高さ位置に支持された状態で設けられる。プレート支持柱13は、横断面が略矩形状の直線状の角パイプであり、その横断面形状の長手方向が左右方向となる向きに設けられる。プレート支持柱13は、支柱11とガイドロッド12との間において支柱11およびガイドロッド12に対して左右方向について中心を一致させる位置に設けられる。つまり、支柱11、ガイドロッド12、およびプレート支持柱13は、正面視で重なる位置に設けられる。プレート支持柱13は、支持台14上に設けられた支持ステー14cを介して支持台14上において上下方向に立設される(図3参照)。支持ステー14cは、上述したように支持台14上に設けられるリブ部14bに対して溶接等により固定された状態で設けられる。
このように支持台14上に立設されるプレート支持柱13に対して、分離用プレート60は、略菱形形状の長い方の対角線方向が上下方向に沿う向きで、プレート支持柱13の前面13aに溶接等により固定された状態で設けられる(図8参照)。このため、分離用プレート60は、その左右両側において、上下方向の中央位置よりも下側の斜辺部である下側斜辺部60aと、上下方向の中央位置よりも上側の斜辺部である上側斜辺部60bとを有する。つまり、分離用プレート60の正面視において、左右の下側斜辺部60aは、上広がりの斜辺部であり、左右の上側斜辺部60bは、下広がりの斜辺部である。
分離用プレート60は、結合状態のウエイト部8の下降端の位置からの上昇の過程において、メインウエイト20のアーム部22に作用して、一対のアーム部22を一時的に開かせる。メインウエイト20は、こうした分離用プレート60による作用を受けるため、上述したようにアーム部22の長手方向の中途部分に分離用ローラ27を有する。したがって、分離用プレート60および分離用ローラ27は、前後方向の位置について、上下方向の相対的な移動により互いに干渉する位置関係で設けられる。
以上のようにして設けられる分離用プレート60により、結合状態のウエイト部8は、その上昇する過程で分離用ローラ27を介してアーム部22に分離用プレート60の作用を受けることで、一対のアーム部22を開く方向に回動させ、係止プレート26の結合案内部42に対する係止状態を解除し、メインウエイト20からサブウエイト40を分離させる。詳細には次のとおりである。
まず、下降端の位置から上昇することで下側から分離用プレート60に近付いた結合状態のウエイト部8は(図10参照)、図11(a)に示すように、結合状態のまま、分離用プレート60の下側斜辺部60aに対して、一対のアーム部22のそれぞれに設けられた分離用ローラ27を接触させる(矢印B1参照)。
結合状態のウエイト部8が分離用プレート60の下側斜辺部60aに対して分離用ローラ27を接触させた状態からさらに上昇することで、分離用ローラ27が分離用プレート60の下側斜辺部60aに沿って外側斜め上方に向けて移動することにともない、一対のアーム部22がスプリング25による付勢力に抗して開く方向に回動する(矢印B2参照)。
そして、分離用ローラ27が分離用プレート60の下側斜辺部60aに沿って移動する過程において、図9に示すように、アーム部22に設けられた係止プレート26の内側縁端26d間の間隔が頭部44の底面44aの大きさと同じになる状態を経て、係止プレート26の内側縁端26d間の間隔が頭部44の底面44aよりも大きくなる。これにより、図11(b)に示すように、係止プレート26の結合案内部42に対する係止状態が解除され、サブウエイト40が自重によってガイドロッド12に沿って下降し、メインウエイト20から切り離される(矢印B3参照)。これに対し、メインウエイト20はそのまま上昇を続ける(矢印B4参照)。
ウエイト部8は、メインウエイト20からサブウエイト40を切り離した後は、図11(c)に示すように、分離用ローラ27が分離用プレート60の上下方向の中央部に位置する状態であるアーム部22の最大開状態を経てから、同図(d)に示すように、一対の分離用ローラ27を分離用プレート60の上側斜辺部60bに沿わせながらスプリング25の付勢力によって一対のアーム部22を閉じる方向に回動させる(矢印B5参照)。そして、ウエイト部8は、上昇の過程で分離用プレート60を通過することで、一対のアーム部22を自然状態として、メインウエイト20のみとなって上昇する。なお、図10および図11の各図においては、便宜上、メインウエイト20については適宜構造を省略して示している。
以上のように、ウエイト部8は、その上昇の過程で、所定の高さ位置に設けられた分離用プレート60の作用を受けることで、一対のアーム部22の結合案内部42に対する係止状態を解除する。これにより、ウエイト部8は、メインウエイト20からサブウエイト40を分離させる。
なお、ウエイト部8の分離動作において、メインウエイト20からサブウエイト40が切り離されるタイミングは、例えば、ウエイト部8がその昇降範囲における略中間地点に達した時点に設定される。この例によれば、ウエイト部8の昇降範囲における略中間の位置に分離用プレート60が設けられることになる。
以上のような構成を備える本実施形態の昇降装置1の動作について、図12および図13を用いて説明する。図12(a)において二点鎖線で示すように、昇降装置1において、下降端に位置する非載荷状態の搬送リフター部7は、所定のロック機構によって支柱11に対して保持された状態となる。また、同じく図12(a)において二点鎖線で示すように、搬送リフター部7が下降端に位置する状態では、ウエイト部8は、分離状態、つまりメインウエイト20のみの状態で上昇端に位置する。一方、ウエイト部8のサブウエイト40は、下降端に位置し、下降してくるメインウエイト20に対する結合を待機した状態となる。このように非載荷状態の搬送リフター部7が下降端に位置し、メインウエイト20が上昇端に位置し、サブウエイト40が下降端に位置する状態を、昇降装置1の初期状態とする。
昇降装置1の初期状態から、搬送リフター部7のロック機構によるロックが作業者等により解除されることで、非載荷状態の搬送リフター部7(15kg)よりもメインウエイト20(16kg)の方が重いことから、図12(a)および図13(a)に示すように、滑車5およびロープ6によって、メインウエイト20(分離状態のウエイト部8)は下降し(矢印C1参照)、搬送リフター部7はロープ6により引っ張られて上昇する(矢印C2参照)。
図12(b)に示すように、上昇した搬送リフター部7は、上昇端に達することで、ワーク3の搬入を待機する待機状態となる。一方、図12(b)および図13(b)に示すように、下降するメインウエイト20は、下降端に達することで、上述したような結合動作によってサブウエイト40に自動的に結合される。つまり、メインウエイト20が下降端に位置するサブウエイト40をキャッチし、ウエイト部8が結合状態となる。
図12(b)に示すように、待機状態の搬送リフター部7にワーク3が搬入されることで、搬送リフター部7は載荷状態となる。これにより、図12(c)および図13(c)に示すように、結合状態のウエイト部8(16+8=24kg)よりも載荷状態の搬送リフター部7(15+10=25kg)の方が重いことから、搬送リフター部7は下降し(矢印C3参照)、結合状態のウエイト部8はロープ6により引っ張られて上昇する(矢印C4、C5参照)。ここで、結合状態のウエイト部8と載荷状態の搬送リフター部7との重量の差は1kgであることから、搬送リフター部7の下降速度およびウエイト部8の上昇速度は比較的遅くなり、これらは比較的ゆっくりと動作する。
そして、図12(d)および図13(d)に示すように、載荷状態の搬送リフター部7の下降の過程(矢印C3参照)、つまり結合状態のウエイト部8の上昇の過程(矢印C4、C5参照)において、結合状態のウエイト部8は、所定の高さ位置で分離用プレート60の作用を受ける。つまり、メインウエイト20の一対のアーム部22が分離用ローラ27を介して分離用プレート60に接触することで、一対のアーム部22が開かれる。
これにより、図12(e)および図13(e)に示すように、ウエイト部8は、メインウエイト20からサブウエイト40を自動的に切り離す。つまり、メインウエイト20によるサブウエイト40をキャッチした状態が解除され、ウエイト部8が分離状態となる。
図12(e)および図13(e)に示すように、メインウエイト20からサブウエイト40が切り離された後は、載荷状態の搬送リフター部7は引き続き下降するとともに(矢印C3参照)、ウエイト部8側においてはメインウエイト20のみがロープ6に引っ張られて上昇し(矢印C6参照)、切り離されたサブウエイト40は自重によりガイドロッド12に沿って下降する(矢印C7参照)。ここで、ウエイト部8においてサブウエイト40が切り離され、ウエイト部8側の重量が軽くなることから、搬送リフター部7の下降速度およびウエイト部8(メインウエイト20)の上昇速度は、サブウエイト40が切り離される前の状態よりも上昇することになる。具体的には、搬送リフター部7側とウエイト部8側との重量の差について、サブウエイト40の分離前の状態では1kg(25kg−24kg)であった重量の差が、サブウエイト40の分離後の状態では9kg(25kg−16kg)となる。
その後、図12(f)および図13(f)に示すように、載荷状態の搬送リフター部7が下降端に達するとともに、メインウエイト20が上昇端に達し、サブウエイト40が下降端に達する。そして、載荷状態の搬送リフター部7から作業者によってワーク3が搬出されることで、昇降装置1は、上述したような初期状態に戻る。
以上のような構成を備える本実施形態の昇降装置1によれば、外部の動力や電気制御を必要とせず、シンプルでコンパクトな構成を実現することができ、コストの低減を図ることができ、しかも高い安全性を得ることができる。
本実施形態に係る昇降装置1は、重力を利用し、搬送リフター部7に対するワーク3の搬入・搬出による搬送リフター部7側の重量の変化によって搬送リフター部7を昇降させてワーク3を搬送するものである。このため、電気やエア等の外部動力や電気制御等を用いずに動作することが可能となり、モータや制御盤等の構成を設ける必要がなくなる。したがって、外部動力、モータや制御盤等の構成、およびこれらの構成に必要な配線工事が不要となり、その分、装置構成をシンプルかつコンパクトにすることが可能となる。これにより、装置の設置に必要なスペースの省略、エネルギー費用の低減を図ることができるとともに、投資費用等のコストを大幅に削減することが可能となる。
また、本実施形態に係る昇降装置1によれば、搬送リフター部7によってワーク3を下降搬送する過程で、ウエイト部8の部分的な切離しが行われる。このため、ウエイト部8の部分的な切離しを行うタイミングや切り離すウエイト部分の重量の調整により、載荷状態の搬送リフター部7の下降速度を調整することが可能となり、低推力の昇降装置を実現することが可能となる。これにより、安全性の向上を図ることができるとともに、ワーク3の不良の原因となり得るワーク3に対する衝撃を和らげることができる。
仮に載荷状態の搬送リフター部7が上昇端から下降端まで下降する過程において、ウエイト部8側の重量が一定である場合、搬送リフター部7の下降速度は一定の値で増加し続けることになる。この場合、搬送リフター部7の下降端付近では搬送リフター部7の下降速度が非常に速くなり、安全性の確保やワーク3保護の観点から好ましくない状況が生じやすい。
そこで、本実施形態の昇降装置1のように、搬送リフター部7によってワーク3を下降搬送する過程の途中でウエイト部8の部分的な切離しを行うことで、ウエイト部8の部分的な切離しを行うまでは、載荷状態の搬送リフター部7の下降速度を比較的遅くすることができ、搬送リフター部7の下降速度の過度の上昇を可及的に抑えることができる。これにより、載荷状態の搬送リフター部7の下降の勢いを抑えることができるので、搬送リフター部7からワーク3の搬出を行う作業者等に対する安全性を向上することができ、ワーク3の下降搬送による下降端の位置での衝撃を和らげることができる。
また、搬送リフター部7によるワーク3の下降搬送の過程の途中でウエイト部8の部分的な切離しを行うことで、その切離しの時点から搬送リフター部7の下降移動およびウエイト部8の上昇移動の加速度が上昇するので、ワーク3の下降搬送についての搬送動作を途中から速くすることができる。したがって、本実施形態の昇降装置1によれば、載荷状態の搬送リフター部7の下降速度の過度の上昇を抑えることで高い安全性を得ることができるとともに、搬送リフター部7の下降の途中からの速度の上昇によってワーク搬送の迅速性を確保することができる。つまり、ワーク3の下降搬送に関し、安全性と搬送効率を両立させることが可能となる。
また、本実施形態の昇降装置1は、ウエイト部8を構成するメインウエイト20とサブウエイト40とを互いに結合・分離させるための構成として、メインウエイト20が有する一対のアーム部22と、サブウエイト40の結合案内部42とにより、ウエイト部8の昇降動作にともなってサブウエイト40を自動的にキャッチ・リリースする構成を採用する。このような構成によれば、メインウエイト20とサブウエイト40とを互いに結合・分離させるための構成を、シンプルで安価なものとすることができる
また、本実施形態の昇降装置1は、ウエイト部8を構成するサブウエイト40において、サブウエイト40の昇降動作をガイドするガイドロッド12に対する押圧力(圧接度合い)が調整可能なテンションローラ45を有する。このような構成によれば、テンションローラ45の押圧力の調整により、サブウエイト40の昇降動作の抵抗(負荷)を調整することができるので、サブウエイト40および結合状態のウエイト部8の昇降速度を調整することが可能となる。これにより、搬送リフター部7の下降速度に関して細かい速度調整を行うことが可能となり、安全性をさらに向上することができる。つまり、載荷状態の搬送リフター部7の下降速度の面から安全性の向上を図る観点からは、サブウエイト40がテンションローラ45を有する構成は好ましい構成である。また、テンションローラ45によって搬送リフター部7の下降速度の細かい調整を行うことが可能となることから、例えば車種の違い等により重量が異なるワーク3が共通の搬送ラインで搬送される場合においても、ウエイト部8の重量を変えることなく、調整ボルト49の操作等の簡単な操作によって、ワーク3の重量が変わることによる搬送リフター部7の下降速度のばらつきを抑えることが可能となる。このような面からも、サブウエイト40においてテンションローラ45を含む構成は、安全性の向上に寄与する。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、本発明に係る昇降装置を、自動車の製造工場等でワークの搬送に用いられる搬送システムに適用した例である。なお、第1実施形態と共通する内容や構成等については同一の符号を付す等して適宜説明を省略する。
図14に示すように、本実施形態に係る搬送システム100は、ワーク3を昇降動作によって搬送する昇降装置101と、上昇端に位置しワーク3の搬入を待機する待機状態の搬送リフター部7に対してワーク3を搬入する搬入装置としての搬送コンベア102と、搬送コンベア102を所定の高さ位置に支持する支持部としてのブリッジ103とを備える。
図14に示すように、搬送コンベア102は、複数のローラ102aと、これらのローラ102aを支持するローラフレーム102bと、ローラフレーム102bに支持された複数のローラ102aの周りに巻回されるコンベアベルト102cとを有する。搬送コンベア102としては、一般的な搬送コンベアを用いることができる。搬送コンベア102は、ワーク3の搬送方向に複数連設され、所定の搬送経路でワーク3を順次搬送する。
ブリッジ103は、搬送コンベア102によるワーク3の上空搬送を行うため、搬送コンベア102を所定の高さ位置に支持する構成である。ブリッジ103は、設置面2上に立設される脚部103aと、脚部103a上に架設される支持台部103bとを有する。ブリッジ103の各部は、例えば複数のフレーム部材により枠組み構成される。ブリッジ103は、昇降装置101において上昇端に位置する待機状態の搬送リフター部7に対して搬送コンベア102によって搬送されるワーク3が受け渡されるような高さ位置に、搬送コンベア102を支持する。つまり、ブリッジ103による搬送コンベア102の支持高さの位置は、昇降装置101における待機状態の搬送リフター部7の高さに対応した高さ位置となる。
このようにブリッジ103により搬送コンベア102を所定の高さ位置に支持しワーク3の上空搬送を行う構成は、例えば、自動車の製造工場等において緊急車両用の通路を確保するために採用される。この例の場合、ブリッジ103は、緊急車両用の通路を横切るように上空に架け渡され、その上に搬送コンベア102が配設される。以上のようにワーク3の上空搬送を行うための搬送コンベア102およびブリッジ103を含む構成により、昇降装置101において上昇端に位置する待機状態の搬送リフター部7に対してワーク3が搬入される。
図14および図15に示すように、本実施形態の昇降装置101は、上述したような第1実施形態の昇降装置1が備える構成に加え、搬送リフター部7の昇降位置に対する作業者110の侵入を制限する安全シャッター70を備える。安全シャッター70は、搬送リフター部7の昇降位置に対して、下降端の搬出位置にある搬送リフター部7からワーク3を搬出する作業者110が位置する側に設けられる。つまり、安全シャッター70は、搬送リフター部7の昇降位置に対して、支柱11側位置する側と反対側(図14において右側)に設けられる。安全シャッター70は、設置面2から人間の身長と同程度あるいはそれよりも若干高いまでの高さ範囲で設けられる。
図14および図15に示すように、安全シャッター70は、遮蔽部としてのシャッター本体71と、シャッター本体71を付勢支持する一対のバランサ72とを有する。
シャッター本体71は、上下方向に伸縮可能であり伸長する方向に付勢された状態で設けられる。本実施形態では、シャッター本体71は、板状の部材が蛇腹状に折り曲げ形成されたものであり、上下方向に伸縮するように設けられる。シャッター本体71の伸縮により、安全シャッター70が開閉する。シャッター本体71を構成する板状の部材としては、例えば、市販のダンプラシート(プラスチックダンボールシート)を用いることができる。ダンプラシートは、軽量で安価であり、耐圧性・耐衝撃性に優れていること等から、シャッター本体71を構成する部材として好適に用いられる。
シャッター本体71は、その上方に設けられたバランサ72により、吊り下げられるとともに伸長する方向に付勢された状態で設けられる。すなわち、シャッター本体71の下端は、所定の部材を介する等して設置面2側に固定され、シャッター本体71の上端は、バランサ72に係止された状態となる。シャッター本体71は、左右両側の2箇所に設けられたバランサ72によって支持されている(図15参照)。
バランサ72は、いわゆるスプリングバランサであり、シャッター本体71を吊り下げるためのワイヤ72aと、このワイヤが巻き付けられた回転ドラムと、ワイヤ72aを回転ドラムに巻き付けるための力、つまりワイヤ72aを巻き取る方向のトルクを回転ドラムに付与するためのスプリングとがケースに内蔵された構成を備える。
バランサ72は、ケースから伸び出すワイヤ72aの端部にフック状の部材等からなる係止部を有し、この係止部にシャッター本体71の上端部を係止させ、シャッター本体71を吊るした状態で支持する。そして、バランサ72は、スプリングによるワイヤ72aの巻き取り方向の付勢力により、シャッター本体71が伸長する方向、つまり安全シャッター70が閉じる方向に、シャッター本体71を付勢する。バランサ72は、鋼材等からなる所定の支持部材73により、所定の高さ位置に支持される。
このように、本実施形態の昇降装置101は、蛇腹状のダンプラシートからなるシャッター本体71の伸縮により開閉する安全シャッター70を備える。そして、昇降装置101は、載荷状態の搬送リフター部7の下降動作を用いて、安全シャッター70を開く。つまり、安全シャッター70は、バランサ72の付勢力によってシャッター本体71が伸長して閉じた状態から、載荷状態の搬送リフター部7の下降動作を受けることで、シャッター本体71が押し下げられて開いた状態となる。このため、搬送リフター部7には、その下降動作にともなってシャッター本体71を押し下げるための構成が設けられている。かかる構成については後述する。また、図15に示すように、昇降装置101に対しては、安全シャッター70側以外の部分の周囲に、所定のフレーム構造に透明な樹脂製のシートを張設した構成の防護壁75が設けられている。
続いて、本実施形態に係る昇降装置101が備える搬送リフター部7の構成について、図16および図17を用いて説明する。なお、搬送リフター部7の説明においては、搬送リフター部7に対して支柱11が位置する側(図16において左側)を後側とし、搬送リフター部7に対して安全シャッター70が設けられる側(図16において右側)を前側として前後方向を規定し、安全シャッター70の前に立つ作業者110(図15参照)から見た左右方向を左右方向とする。
搬送リフター部7は、H型鋼である支柱11に係合する部分である基部81と、ワーク3を支持する搬送リフター部7の本体部となる搬送治具としてのリフター本体82とを有する。搬送リフター部7は、リフター本体82においてワーク3の搬入を受けてワーク3を所定の位置・姿勢で載せた状態で支持する。
基部81は、ウエイト部8のメインウエイト20の基部21と同様の構成を有する。すなわち、基部81は、略直方体状に沿う外形を有するとともに、前面部と左右両側の側面部とによって平面視で略コ字状ないしは略U字状をなし、後側を開放側とする向きで設けられる(図8参照)。
また、搬送リフター部7は、基部81による支柱11に対する支持構成についても、メインウエイト20と同様の構成を有する。すなわち、搬送リフター部7は、H型鋼である支柱11の前側(図16において右側)のフランジ部11aを、基部81の内部に設けられ左右方向を回転軸方向とする4組(計8個)のガイドローラ83により前後から挟むことで、基部81の部分を支柱11に係合させた状態で設けられる。これにより、搬送リフター部7は、支柱11によってガイドされ、基部81の姿勢を維持した状態でガイドローラ83の回転をともなって上下方向に移動可能に設けられる。
また、搬送リフター部7は、ロープ6の連結を受けるための構成についても、メインウエイト20と同様の構成を有する。すなわち、搬送リフター部7は、ロープ6の一端側の連結を受ける部分として、基部81の左右の側面部上に支持台部89を介して立設される連結部88を有する。連結部88は、支持台部29の水平部上に立設された棒状の基部を介して設けられた円環状の繋止部88aを有する。繋止部88aに対してロープ6の端部が結び付けられることにより、ロープ6の他端側の端部の連結を受ける。
リフター本体82は、基部81に対して、支持フレーム部86により回動可能に支持される。リフター本体82は、リフター本体82の主な部分を構成するメインフレーム部84と、メインフレーム部84の裏側(ワーク3が載る側と反対側)に設けられメインフレーム部84を支持フレーム部86に支持する部分となるサブフレーム部85とを有する。リフター本体82により支持されるワーク3としてのダッシュパネルは、全体として所定の凹凸形状を有する略矩形板状の外形を有する部品である。リフター本体82は、メインフレーム部84およびサブフレーム部85を含む複数のフレーム部材がワーク3の形状に対応して組まれた概略格子状の構成を有し、ワーク3の略矩形状の外形における長手方向が左右方向となる向きでワーク3を支持する。
リフター本体82は、図16に示すような側面視で略直線的な形状をなす。つまり、リフター本体82は、全体として側面視で略直線状に沿う態様を有する。詳細には次のとおりである。リフター本体82を構成するメインフレーム部84は、その大部分を構成する部分であって側面視で直線状となる直線部84aと、直線部84aの一側端部に設けられる折返部84bと、直線部84aの他側端部に設けられる案内部84cとを有する。折返部84bは、昇降動作中の搬送リフター部7においてメインフレーム部84の下端部となり、案内部84cは、昇降動作中の搬送リフター部7においてメインフレーム部84の上端部となる。
メインフレーム部84の直線部84aは、全体として略矩形板状の外形を有するワーク3を、その板面を沿わせる態様で支持する部分である。リフター本体82は、昇降動作中の搬送リフター部7において、側面視でメインフレーム部84の直線部84aの直線方向が上側から下側にかけて後側(支柱11側)から前側(安全シャッター70側)に向かうように例えば鉛直方向に対して10〜30°程度傾いた姿勢で保持される。
メインフレーム部84の折返部84bは、直線部84aの下端部から直線部84aの下端部とともに側面視で略V字状をなすように鋭角状に折り返された部分である。メインフレーム部84に対しては、この側面視で略V字状となる下端部分にワーク3の左右方向における所定の部分の下端部が係止される態様となる。
メインフレーム部84の案内部84cは、直線部84aの上端部から折返部84bと反対側に直線部84aに対して側面視で鈍角をなすように折り曲げ形成された部分である。案内部84cは、待機状態の搬送リフター部7において、リフター本体82に対して搬入されるワーク3を案内する部分となる。
また、リフター本体82を構成するサブフレーム部85は、その大部分を構成する部分であって側面視で直線状となる直線部85aと、直線部85aの一側端部に設けられる折返部85bとを有する。折返部85bは、昇降動作中の搬送リフター部7においてサブフレーム部85の下端部となる。
サブフレーム部85の直線部85aは、メインフレーム部84の直線部84aと同様にワーク3をその板面を沿わせる態様で支持する部分である。直線部85aは、側面視でその直線の方向を、メインフレーム部84の直線部84aの直線の方向に対して略平行とする。
サブフレーム部85の折返部85bは、直線部85aの下端部から直線部85aの下端部とともに側面視で略V字状をなすように鋭角状に折り返された部分である。サブフレーム部85に対しては、この側面視で略V字状となる下端部分にワーク3の左右方向における所定の部分の下端部が係止される態様となる。
このように、リフター本体82を構成するメインフレーム部84およびサブフレーム部85は、それぞれの大部分を構成する直線部84aおよび直線部85aの直線方向を側面視で互いに略平行とする。そして、このメインフレーム部84およびサブフレーム部85それぞれの直線部84a、85aが沿う直線方向が、側面視で略直線的な形状をなすリフター本体82が全体として沿う直線方向となる。
以上のように側面視で略直線的な形状をなすリフター本体82は、昇降動作中の搬送リフター部7においてその直線方向が上側から下側にかけて後側(支柱11側)から前側(安全シャッター70側)に向かうように傾いた姿勢で保持される。このように側面視で鉛直方向に対して傾いた姿勢のリフター本体82上に、ワーク3がその板面方向をリフター本体82の直線部84a、85aの傾斜に沿わせるとともに折返部84b、85bにより下側から保持され状態で位置決め支持される。したがって、リフター本体82上のワーク3は、重力の作用によりリフター本体82に対してよりかかり安定した状態で支持される。
以上のような構成を備えるリフター本体82は、基部81に設けられた支持フレーム部86によって回動可能に支持される。支持フレーム部86は、リフター本体82の背面側に位置する回動支持部87により、リフター本体82を回動可能に支持する。回動支持部87は、左右方向を回動軸方向としてリフター本体82を支持する。つまり、回動支持部87は、昇降装置101が備える滑車5の回転軸と平行な方向をリフター本体82の回動軸方向とする。回動支持部87によるリフター本体82の回動軸の軸方向視は、図16および図17に示すような側面視に相当する。
図16に示すように、リフター本体82を支持する支持フレーム部86は、基部81の前面から前側に向けて略水平方向に突出する水平部86aと、水平部86aの前端から上方に向けて延びる垂直部86bとを有し、側面視で略L字状をなす。支持フレーム部86の垂直部86bの上端部に、回動支持部87が設けられる。回動支持部87においては、リフター本体82を構成するサブフレーム部85の直線部85aの中途部が支持される。なお、図示は省略するが、支持フレーム部86は、左右方向(図16において紙面に対して垂直方向)の中央部において、左右方向に所定の間隔を隔てて2箇所に設けられている。そして、回動支持部87は、2つの支持フレーム部86間において架設された状態で設けられる。
以上のように、搬送リフター部7が有するリフター本体82は、滑車5の回転軸5aと平行な回動軸を中心に回動可能に設けられ、回動軸の軸方向視(以下「回動軸方向視」という。)で略直線的な形状をなす。このようなリフター本体82は、回動支持部87による回動軸を中心にシーソーのごとく回動する(図16、矢印D1参照)。そして、搬送リフター部7は、このリフター本体82の回動動作により、待機状態と昇降動作中の状態(以下「昇降状態」という。)とで姿勢(回動角度)を変化させる。具体的には次のとおりである。
まず、搬送リフター部7は、上昇端に位置しワーク3の搬入を待機する待機状態では、回動軸方向視でリフター本体82の長手方向、つまり上述したような略直線的な形状における直線方向を略水平方向に沿わせた横向きの姿勢で、水平方向の一側(図17において左側)から搬入されるワーク3を待機する。搬送リフター部7についての横向きの姿勢は、回動軸方向視におけるリフター本体82の長手方向を鉛直方向よりも水平方向に近い向きとする姿勢となる。
詳細には、図17において二点鎖線で示すように、搬送リフター部7の待機状態におけるリフター本体82の横向きの姿勢は、その略直線的な形状における直線方向を、後側(図17において左側)から前側(同右側)にかけて下るように傾斜させた姿勢となる。この横向きの姿勢のリフター本体82においては、ワーク3搬入の上流側(後側)の端部となるメインフレーム部84の案内部84cは回動軸方向視でワーク3の下流側(前側)から上流側にかけて下るように傾斜した状態となり、リフター本体82に搬入されるワーク3をガイドする部分として機能する。
また、搬送リフター部7は、待機状態でワーク3の搬入を受けることで、ワーク3の重みにより、リフター本体82の回動軸を下降させながらリフター本体82をその回動軸を中心として回動させ、上述したような横向きの姿勢から、回動軸方向視でリフター本体82の長手方向を略鉛直方向に沿わせた縦向きの姿勢となり下降する。搬送リフター部7について縦向きの姿勢は、回動軸方向視におけるリフター本体82の長手方向を水平方向よりも鉛直方向に近い向きとする姿勢となる。この搬送リフター部7の昇降状態におけるリフター本体82の縦向きの姿勢は、上述したようにその略直線的な形状における直線方向を、上側から下側にかけて後側(図17において左側)から前側(同右側)に向かうように傾斜させた姿勢となる。
搬送リフター部7について、ワーク3の搬入を待機する待機状態における横向きの姿勢は、搬送リフター部7側に設けられた支持ローラ90と、支柱11側に設けられたガイド板91とによって支持される。支持ローラ90は、搬送リフター部7において、メインフレーム部84の背面側にステー90aを介して左右方向を回転軸方向として回転自在に支持されている。ガイド板91は、支柱11の上端部において、支柱11に対して搬送コンベア102が設けられる側に延設される板状の部分である。図17に示す例では、支柱11の前側(図17において右側)のフランジ部11aの上端が後側に向けて略水平方向に延出された部分であって、後側から前側にかけて若干下る斜面を形成する部分として、ガイド板91が設けられている。
搬送リフター部7は、図17において二点鎖線で示すような待機状態から、搬送コンベア102により搬送されるワーク3の搬入を受けることで、ワーク3の搬送の勢いやワーク3の重さ等により、回動支持部87による回動によってリフター本体82を横向きの姿勢から縦向きの姿勢に変化させて昇降状態となる。また、下降端の搬出位置においてワーク3が搬出された後に上昇して上昇端に戻った非載荷状態の搬送リフター部7は、自重等により、回動支持部87による回動によってリフター本体82を縦向きの姿勢から横向きの姿勢に変化させて待機状態となる。こうした待機状態と昇降状態との間における搬送リフター部7のリフター本体82の姿勢の変化の過程では、ガイド板91上を支持ローラ90が転がることになる。
また、搬送リフター部7には、その下降動作にともなってシャッター本体71を押し下げるための構成として、シャッター押下部92が設けられている。シャッター押下部92は、基部81から前側(図16において右側)に向けて水平方向に突出する棒状の部分である。シャッター押下部92の先端部には、シャッター本体71に上側から接触する部分となる押圧部92aが設けられている。
以上のように、搬送リフター部7は、待機状態でワーク3の搬入を受けることで自動的に下降してワーク3を下降搬送し、下降端に位置する状態をワーク3が搬出される搬出状態とし、ワーク3が搬出された後に上昇して待機状態に戻るように構成されている。このような搬送リフター部7を備える昇降装置101は、搬送リフター部7が下降端に達することで搬送リフター部7を自動的に搬出状態で保持するとともに所定の操作を受けることで搬出状態の保持を解除する保持機構である下ロック機構93を備える。
図16に示すように、下ロック機構93は、搬送リフター部7を下降端の位置で保持する機構である。下ロック機構93は、支柱11の前側においてフランジ部11aに対してバネ93aにより付勢されるとともに回動軸部93bによって回動可能に設けられる係止部93cと、搬送リフター部7の基部81の下端部に設けられた被係止部93dとを有する。係止部93cは、支柱11の前側のフランジ部11aの前側に突設された支持ステー93e上において回動軸部93bによって回動可能に支持される。係止部93cは、突起部やフック状等の係止部分を有し、被係止部93dに対して前側から係止する。被係止部93dは、係止部93cの係止を受ける部分であって、係止部93cの係止部分が嵌る孔部あるいは切欠部を形成する板状あるいは環状の部分である。バネ93aは、一端側が支柱11側に連結されるとともに、他端側が係止部93cに連結され、前後方向が伸縮方向となるように設けられ、係止部93cを、被係止部93dに係止する側に回動する方向に付勢する。
下ロック機構93は、支柱11側に設けられた係止部93cを搬送リフター部7側設けられた被係止部93dに係止させることで、搬送リフター部7を下降端の位置で保持する。係止部93cは、下降する搬送リフター部7の被係止部93dにより上側から押されることで、バネ93aによる付勢力に抗してロックを解除する方向に回動するための斜面部93fを有する。つまり、係止部93cは、その斜面部93fが被係止部93dにより上側から押されることで、ロックを解除する方向に一旦回動し(矢印E1参照)、その後、バネ93aの付勢力によって係止部93cの斜面部93fを乗り越えた被係止部93dに対して前側から係止する。
また、下ロック機構93に対しては、係止部93cにロープ等を介して所定の操作部が連結され、この操作部の操作によって係止部93cがロックを解除する方向(矢印E1参照)に回動操作され、ロックが解除される。このため、係止部93cには、ロープ等の端部が連結される係止部93gが設けられている。
このように、搬送リフター部7は、下降端に達することで、下ロック機構93によって自動的にロックされる。このような搬送リフター部7に対しては、搬送リフター部7が下降端に達した際の衝撃を吸収するための緩衝機構(図示せず)が設けられている。この緩衝機構は、例えば、ウレタン樹脂等からなる緩衝部材やバネ等の弾性部材等により構成され、下降端の搬送リフター部7に対応する所定の高さ位置において、下降する搬送リフター部7の所定の部分に接触するように設けられる。
また、本実施形態の昇降装置101は、搬送リフター部7が上昇端に達することで搬送リフター部7を自動的に保持するとともにワーク3の搬入を受けることでその保持を自動的に解除する上ロック機構94を備える。
図16および図17に示すように、上ロック機構94は、搬送リフター部7の基部81の上側において回動軸部94aにより回動可能な状態で立設された係止部94bと、支柱11の前側のフランジ部11aの前側に設けられた被係止部94cとを有する。被係止部94cは、支柱11のフランジ部11aから前側に突出する部分であり、上側を向く被係止面を形成する。係止部94bは、その上端部に、被係止部94cの係止面に対して上側から接触する係止面を形成する係止部分を有する。
係止部94bの回動軸部94aよりも下側の部分からは、前側に向けて押圧アーム94dが延出されている。押圧アーム94dの先端部には、押圧ローラ94eが左右方向を回転軸方向として回転自在に設けられている。係止部94bと押圧アーム94dとは、回動軸部94aを中心に一体的に回動する。押圧アーム94dは、側面視において、リフター本体82を基部81に対して支持する支持フレーム部86の垂直部86bと交差するように設けられている。そして、押圧アーム94dと支持フレーム部86の垂直部86bとの間には、バネ94fが架設されている。バネ94fは、押圧アーム94dを介して、係止部94bを、被係止部94cに係止する向きに回動する方向に付勢する。また、押圧アーム94dは、その先端の押圧ローラ94eが、リフター本体82を構成するサブフレーム部85の直線部85aのうち、回動支持部87よりも下側の部分に後側から当接するように設けられている。
係止部94bは、搬送リフター部7の上昇によって被係止部94cに対して下側から当接した相対的に上側から押されることで、バネ94fによる付勢力に抗してロックを解除する方向に回動するための斜面部94gを有する。つまり、係止部94bは、その斜面部94gが被係止部94cにより相対的に上側から押されることで、ロックを解除する方向に一旦回動し(矢印F1参照)、その後、バネ94fの付勢力によって係止部94bの斜面部94gを乗り越えた被係止部94cに対して前側から係止する。このように、上ロック機構94は、搬送リフター部7が上昇端に達することで、自動的に搬送リフター部7を上昇端の位置で保持する。
また、上ロック機構94においては、搬送リフター部7にワーク3が搬入され、リフター本体82が横向きの姿勢から縦向きの姿勢に変わることにより、サブフレーム部85によって押圧ローラ94eを介して押圧アーム94dが前側から押される(矢印F2参照)。これにより、押圧アーム94dと一体的に回動する係止部94bが、回動軸部94aを中心に、ロックを解除する方向に回動する(矢印F1参照)。このように、上ロック機構94は、搬送リフター部7がワーク3の搬入を受けることで、自動的にロックを解除する。
以上のような構成を備える本実施形態の搬送システム100の動作について説明する。まず、搬送コンベア102からワーク3の搬入を受けて下降する搬送リフター部7の動作について、図18を用いて説明する。
図18(a)に示すように、上昇端に位置しワーク3の搬入を待機する待機状態であり、リフター本体82を横向きの姿勢とする搬送リフター部7に対して、搬送コンベア102により搬送されてきたワーク3が搬入される(矢印G1参照)。搬送リフター部7は、その待機状態において、上述したような上ロック機構94により、基部81を含む部分が支柱11に対して保持された状態となる。
図18(b)に示すように、搬送リフター部7にワーク3が搬入されることにより、ワーク3の重みにより、搬送リフター部7のリフター本体82が回動支持部87の回動軸を中心に立つ方向に回動する(矢印G2参照)。
図18(c)に示すように、ワーク3の搬入によりリフター本体82を回動させ始めた搬送リフター部7は、リフター本体82を回動させながら(矢印G3参照)、下降動作を開始する(矢印G4参照)。ここで、搬送リフター部7は、リフター本体82を横向きの姿勢から縦向きの姿勢となる過程で、上述したように上ロック機構94によるロックが自動的に解除される。
そして、図18(d)に示すように、載荷状態の搬送リフター部7は、リフター本体82を縦向きの姿勢とする昇降状態となり、下降する(矢印G5参照)。
次に、安全シャッター70の開閉動作をともなう昇降装置101の昇降動作について、図19を用いて説明する。
図19(a)に示すように、搬送リフター部7が待機状態にあるときは、ウエイト部8は下降端において結合状態にある。かかる状態から、搬送リフター部7にワーク3が搬入されたることで、搬送リフター部7は、ワーク3の重みによってリフター本体82を横向きの姿勢から縦向きの姿勢に回転させて、待機状態から昇降状態となり、下降を開始する(矢印H1参照)。これにともない、結合状態のウエイト部8は、載荷状態の搬送リフター部7に引っ張られて上昇を開始する(矢印H2参照)。
図19(b)に示すように、上昇する結合状態のウエイト部8が分離用プレート60に達することで(矢印H3参照)、メインウエイト20からサブウエイト40が切り離される。これにより、載荷状態の搬送リフター部7の下降する力が増大する(矢印H4参照)。すなわち、ウエイト部8が分離前の状態においては比較的ゆっくりと下降していたウエイト部8が、サブウエイト40が分離されることで、下降速度を速めることになる。
図19(c)に示すように、サブウエイト40の切離しにより下降する力を増した搬送リフター部7により、シャッター押下部92によって安全シャッター70のシャッター本体71がバランサ72の付勢力に抗して押し下げられる(矢印H5参照)。つまり、シャッター本体71によってバランサ72からワイヤ72aが引き出され、シャッター本体71が縮んだ状態となる。ここで、ウエイト部8としてはメインウエイト20のみがロープ6により引っ張られて上昇し(矢印H6参照)、切り離されたサブウエイト40は自重により下降する(矢印H7参照)。
そして、図19(d)に示すように、搬送リフター部7が下降端まで下降した状態で、シャッター本体71が押し下げられて安全シャッター70が開いた状態となり、搬送リフター部7からワーク3を搬出することが可能な状態となる。かかる状態で、作業者110により搬送リフター部7からワーク3が搬出される。ここで、下降端に達した搬送リフター部7は、下ロック機構93によって自動的に保持された状態となる。
搬送リフター部7からワーク3が搬出された後は、昇降装置101が初期状態となる。この初期状態から、下ロック機構93について、作業者110によって所定の操作部が操作されることで、ロープ等を介して係止部93cが回動させられ、上ロック機構94による搬送リフター部7のロック状態が解除される。これにより、滑車5およびロープ6によって、メインウエイト20(分離状態のウエイト部8)が下降を開始し、非載荷状態の搬送リフター部7はロープ6により引っ張られて上昇を開始する(図12(a)および図13(a)参照)。搬送リフター部7が上昇することで、安全シャッター70においては、バランサ72の付勢力によってシャッター本体71が自動的に閉じ、安全シャッター70が閉じた状態となる。
そして、上昇した搬送リフター部7は、上昇端に達することでワーク3の搬入を待機する待機状態となる一方、下降するメインウエイト20は、下降端に達することで、サブウエイト40に自動的に結合され、ウエイト部8が結合状態となる(図19(a)参照)。
以上のような一連の昇降装置101の昇降動作において、載荷状態の搬送リフター部7の下降にともなって上昇するウエイト部8が分離状態となる所定のタイミング、つまりメインウエイト20からサブウエイト40を切り離すタイミングは、例えば、搬送リフター部7のシャッター押下部92が安全シャッター70のシャッター本体71に達する時点と略同じ、あるいはこの時点よりも若干早いタイミングに設定される。このようなタイミングに設定することで、ウエイト部8が分離するまでは載荷状態の搬送リフター部7の下降速度を比較的ゆっくりとして安全性を高めることができるとともに、途中でウエイト部8を分離させることで、搬送リフター部7の下降動作について安全シャッター70を開くために十分な力を容易に得ることが可能となり、安全シャッター70の確実な開く動作を行うことができる。すなわち、搬送リフター部7の下降しようとする力を利用して安全シャッター70を開くためには、バランサ72のワイヤ72aを巻き取る力以上の力が必要となるところ、ウエイト部8からサブウエイト40を途中で切り離すことで、搬送リフター部7の下降の勢いを増加させ、確実に安全シャッター70を開くことが可能となる。つまりは、本実施形態の昇降装置101において、ウエイト部8からサブウエイト40を切り離すことは、載荷状態の搬送リフター部7の下降の勢いを増加させ、安全シャッター70を確実に開くことを目的とするものである。
以上のような構成を備える本実施形態の搬送システム100および昇降装置101によれば、第1実施形態の昇降装置1によって得られる作用・効果に加え、搬送リフター部7の下降動作を用いて安全シャッター70を開くことができるので、無動力でより高い安全性を得ることが可能となる。すなわち、搬送リフター部7が昇降する位置に対する作業者110の侵入を規制する安全シャッター70を備えることで、昇降装置101における安全性を高めることができる。しかも、その安全シャッター70を、搬送リフター部7の下降動作を利用して自動的に開く構成を採用することで、安全シャッター70を開閉させるために動力源や制御盤等を設ける必要がなくなるので、装置構成をシンプルかつコンパクトにすることが可能となり、省エネ化・省スペース化を図ることができるとともに、投資費用等のコストを大幅に削減することが可能となる。
また、本実施形態の昇降装置101は、搬送リフター部7について、ワーク3の搬入を待機する待機状態では、リフター本体82のワーク荷姿を横向きの姿勢とし、ワーク3の搬入を受けることで、リフター本体82のワーク荷姿を横向きの姿勢から縦向きの姿勢に変換する構成を採用する。かかる構成によれば、搬送リフター部7の搬出位置において作業者110がワーク3を搬出する際、作業者110は直立した状態のまま搬送リフター部7からワーク3を取り出すことが可能となる。これにより、作業者110によるワーク3の搬出作業の作業負担を大幅に低減することができる。すなわち、仮に、搬出位置にある搬送リフター部7において、リフター本体82が横向きの姿勢のままの場合、作業者110は、搬送リフター部7からワーク3を搬出する際に前傾姿勢となる必要があり、作業負担が大きくなるが、本実施形態のように横向きの姿勢のリフター本体82上に支持されたワーク3を搬出する作業によれば、その作業負担を軽減することが可能となる。さらに、リフター本体82のワーク荷姿を横向きの姿勢から縦向きの姿勢に変換する構成によれば、ワーク荷姿が縦向きの姿勢でワーク3が下降搬送される構成との比較において、昇降装置101の設置スペースおよび作業者110による作業スペースを大幅に削減することが可能となる。
また、本実施形態に係る搬送システム100によれば、例えば上述したような緊急車両用の通路等の通路を挟んで両側に設けられる所定の2つの工程間におけるワーク3の搬送を効率良く行うことが可能となる。具体的には次のとおりである。通路を挟んで両側に設けられる所定の2つの工程間でワーク3の搬送が行われる場合、例えば、一方の工程において作業者によってワーク3が搬送パレットに積み込まれてから、その搬送パレットによって通路を渡り、反対側の工程において搬送パレットからのワーク3の積み下ろしが行われた後、空の搬送パレットを元の工程の方に戻すという作業が必要となる。この点、本実施形態の搬送システム100によれば、ブリッジ103によって通路上に設けられた搬送コンベア102によってワーク3が自動で上空搬送されるとともに、昇降装置101によって無動力で下降搬送されることから、必要な作業者の人数や作業の手間を大幅に削減することができ、効率的なワーク3の搬送を行うことが可能となる。
以上説明した本発明の実施形態の昇降装置および搬送システムが備える各構成については、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、本実施形態の昇降装置1が備える滑車5とロープ6の組合せの代わりに、プーリとベルトの組合せ、あるいはスプロケットとチェーンの組合せ等が採用されてもよい。
また、滑車5を支持する支柱11に関し、本実施形態では支柱11としてH型鋼が採用されているが、これに限定されず、支柱11としては角柱状や円柱状のものであってもよい。ただし、支柱11としてH型鋼を採用することで、本実施形態のように支柱11のH形状を搬送リフター部7およびウエイト部8(メインウエイト20)のガイドレールとして利用することができるので、昇降装置1の部品点数を少なくすることができ、コストを抑えることができるとともに、装置構成をコンパクトにすることができる。なお、H型鋼の代わりにI型鋼を採用することによっても、上記のような作用・効果を得ることができる。すなわち、支柱11としては、互いに平行な一対の帯板状の部分と、これらの帯板状の部分を繋ぐ帯板状の部分とを有し、横断面形状において互いに平行となる2本の直線に相当する部分とこれらの中央部間に架設される1本の直線に相当する部分とを有する形状の部材であれば、上記のような作用・効果を得ることができる。