<着色剤分散液>
本発明に係る着色剤分散液は、着色剤と、分散剤と、上記式(1)で表されるオキシム化合物と、溶剤とを含有する。なお、本発明に係る着色剤分散液は、光重合性モノマー等の光重合性化合物や光重合開始剤を含有しない。
[着色剤]
本発明に係る着色剤分散液は、着色剤を含有する。本発明に係る着色剤分散液は、このような着色剤を含有することにより、例えば、液晶表示ディスプレイのカラーフィルタ、塗料、ソルダーレジスト、インクジェット用インク等の形成に好ましく使用される。また、本発明に係る着色剤分散液は、着色剤として遮光剤を含むことにより、例えば、表示装置のカラーフィルタにおけるブラックマトリクス形成用途として好ましく使用される。上記着色剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明に係る着色剤分散液に含有される着色剤としては、特に限定されないが、顔料又は染料を使用することができ、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)において、ピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを用いるのが好ましい。
好適に使用できる黄色顔料の例としては、C.I.ピグメントイエロー1(以下、「C.I.ピグメントイエロー」は同様であり、番号のみを記載する。)、3、11、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、55、60、61、65、71、73,74、81、83、86、93、95、97、98、99、100、101、104、106、108、109、110、113、114、116、117、119、120、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、166、167、168、175、180、及び185が挙げられる。
好適に使用できる橙色顔料の例としては、C.I.ピグメントオレンジ1(以下、「C.I.ピグメントオレンジ」は同様であり、番号のみを記載する。)、2、5、13、14、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、40、43、46、48、49、51、55、59、61、62、63、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、78、及び79が挙げられる。
好適に使用できる紫色顔料の例としては、C.I.ピグメントバイオレット1(以下、「C.I.ピグメントバイオレット」は同様であり、番号のみを記載する。)、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、30、32、36、37、38、39、40、42、44、47、49、及び50、並びにC.I.ソルベントバイオレット(Solvent Violet)13、C.I.ソルベントバイオレット36が挙げられる。
好適に使用できる赤色顔料の例としては、C.I.ピグメントレッド1(以下、「C.I.ピグメントレッド」は同様であり、番号のみを記載する。)2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、53:1、57、57:1、57:2、58:2、58:4、60:1、63:1、63:2、64:1、81:1、83、88、90:1、97、101、102、104、105、106、108、112、113、114、122、123、144、146、149、150、151、155、166、168、170、171、172、174、175、176、177、178、179、180、185、187、188、190、192、193、194、202、206、207、208、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、243、245、254、255、264、265、270、及び272が挙げられる。
好適に使用できる青色顔料の例としては、C.I.ピグメントブルー1(以下、「C.I.ピグメントブルー」は同様であり、番号のみを記載する。)、2、15(15:1から15:6等を含み、特に、15:3、15:4、15:6を含む)、16、22、60、64、66、及び75が挙げられる。
好適に使用できる、上記の他の色相の顔料の例としては、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37、C.I.ピグメントグリーン58等の緑色顔料、C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラウン26、C.I.ピグメントブラウン28等の茶色顔料、C.I.ピグメントブラック1(以下、「C.I.ピグメントブラック」は同様であり、番号のみを記載する。)、7、30、31、32、33、34等の黒色顔料が挙げられる。
また、着色剤を遮光剤とする場合、遮光剤としては黒色顔料を用いることが好ましい。黒色顔料としては、カーボンブラック、チタンブラック、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀等の金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属硫酸塩又は金属炭酸塩等、有機物、無機物を問わず各種の顔料を挙げることができる。これらの中でも、高い遮光性を有するカーボンブラックを用いることが好ましい。
カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック等の公知のカーボンブラックを用いることができるが、遮光性に優れるチャンネルブラックを用いることが好ましい。また、樹脂被覆カーボンブラックを使用してもよい。
樹脂被覆カーボンブラックは、樹脂被覆のないカーボンブラックに比べて導電性が低いことから、液晶表示ディスプレイのような液晶表示素子のブラックマトリクスとして使用した場合に電流のリークが少なく、信頼性の高い低消費電力のディスプレイを製造できる。
また、カーボンブラックの色調を調整するために、補助顔料として上記の有機顔料を適宜添加してもよい。
無機顔料と有機顔料はそれぞれ単独又は2種以上併用してもよいが、併用する場合には、無機顔料と有機顔料との総量100質量部に対して、有機顔料を10〜80質量部の範囲で用いることが好ましく、20〜40質量部の範囲で用いることがより好ましい。
また、本発明に係る着色剤分散液に含有される着色剤は、含窒素芳香環化合物からなる顔料であってもよい。含窒素芳香環化合物からなる顔料としては、特に限定されないが、例えば、ジケトピロロピロール系顔料、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、インダンスレン系顔料等が挙げられ、ジケトピロロピロール系顔料、フタロシアニン系顔料、及び/又はペリレン系顔料を用いることが好ましい。
ジケトピロロピロール系顔料としては、特に限定されず、例えば、下記式(b−1)で表される化合物が挙げられる。
式(b−1)中、A3及びA4は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、フェニル基、N,N−ジメチルアミノ基、トリフルオロメチル基、シアノ基を表し、k及びk’はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、k及びk’がそれぞれ2以上の整数の場合、複数のA3及びA4は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。)
式(b−1)において、k及びk’はそれぞれ独立に0〜5の整数である。中でも、高コントラストを達成し、カラーフィルタ等に適した赤色を調整しやすい点から、k及びk’はそれぞれ独立に0〜3の整数であることが好ましく、k及びk’はそれぞれ独立に0又は1の整数であることがより好ましい。
ジケトピロロピロール系顔料としては、中でも、高輝度及び高コントラストなカラーフィルタ等が形成可能な点から、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド270、C.I.ピグメントレッド272、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73が好ましく、色相及び着色力の点から、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255であることがより好ましい。ジケトピロロピロール系顔料は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明に用いられるジケトピロロピロール系顔料の平均一次粒径としては、所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されない。コントラストを向上させる点から、10〜50nmの範囲内であることが好ましく、10〜30nmの範囲内であることがより好ましい。顔料の平均一次粒径が上記範囲であることにより、例えば、カラーフィルタを高コントラストで、かつ高品質なものとすることができる。なお、上記顔料の平均粒径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、個々の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、その平均をその粒子の粒径とする。次に、100個以上の粒子について、それぞれの粒子の体積(質量)を、求めた粒径の直方体と近似して求め、体積平均粒径を求めそれを平均粒径とする。なお、電子顕微鏡としては透過型(TEM)及び走査型(SEM)のいずれを用いても同じ結果を得ることができる。
本発明に用いられるジケトピロロピロール系顔料は、再結晶法、ソルベントソルトミリング法等の公知の方法にて製造することができる。また、市販のジケトピロロピロール系顔料を用いてもよい。
フタロシアニン系顔料としては、特に限定されず、例えば、下記式(b−2)で表される化合物が挙げられる。
[式中、X1〜X4はそれぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環式基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、又は置換基を有してもよいアリールチオ基を表す。Y1〜Y4はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、ニトロ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、又は置換基を有してもよいスルファモイル基を表す。Mは、銅原子、亜鉛原子等の金属原子を表す。m1、m2、m3、m4、n1、n2、n3、及びn4は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表し、m1+n1、m2+n2、m3+n3、m4+n4は、各々、0〜4の整数であり、同一でも異なってもよい。]
一般式(b−2)中、X1〜X4は、同一でも異なってもよく、その具体例としては、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環式基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基が挙げられる。上記X1〜X4が置換基を有する場合、置換基は、同一でも異なってもよく、その具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、アミノ基、水酸基、ニトロ基等の特性基の他、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基等を挙げることができる。また、これらの置換基は、複数あってもよい。
置換基を有してもよいアルキル基の「アルキル基」としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、n−オクチル基、ステアリル基、2−エチルへキシル基等の直鎖又は分岐アルキル基が挙げられ、「置換基を有するアルキル基」としては、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2−ジブロモエチル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、2−エトキシエチル基、2−ブトキシエチル基、2−ニトロプロピル基、ベンジル基、4−メチルベンジル基、4−tert−プチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−ニトロベンジル基、2,4−ジクロロベンジル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアリール基の「アリール基」としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基等が挙げられ、「置換基を有するアリール基」としては、p−メチルフェニル基、p−ブロモフェニル基、p−ニトロフェニル基、p−メトキシフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2−アミノフェニル基、2−メチル−4−クロロフェニル基、4−ヒドロキシ−1−ナフチル基、6−メチル−2−ナフチル基、4,5,8−トリクロロ−2−ナフチル基、アントラキノニル基、2−アミノアントラキノニル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいシクロアルキル基の「シクロアルキル基」としては、シクロペンチル基、シクロへキシル基、アダマンチル基等が挙げられ、「置換基を有するシクロアルキル基」としては、2,5−ジメチルシクロペンチル基、4−tert−プチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
置換基を有してもよい複素環式基の「複素環式基」としては、ピリジル基、ピラジル基、ピペリジノ基、ピラニル基、モルホリノ基、アクリジニル基等が挙げられ、「置換基を有する複素環式基」としては、3−メチルピリジル基、N−メチルピペリジル基、N−メチルピロリル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアルコキシル基の「アルコキシル基」としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3−ジメチル−3−ペンチルオキシ、n−へキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、ステアリルオキシ基、2−エチルへキシルオキシ基等の直鎖又は分岐アルコキシル基が挙げられ、「置換基を有するアルコキシル基」としては、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ基、2,2−ジトリフルオロメチルプロポキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−ブトキシエトキシ基、2−ニトロプロポキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアリールオキシ基の「アリールオキシ基」としては、フェノキシ基、ナフトキシ基、アンスリルオキシ基等が挙げられ、「置換基を有するアリールオキシ基」としては、p−メチルフェノキシ基、p−ニトロフェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基、2,4−ジクロロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、2−メチル−4−クロロフェノキシ基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアルキルチオ基の「アルキルチオ基」としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、ドデシルチオ基、オクタデシルチオ基等が挙げられ、「置換基を有するアルキルチオ基」としては、メトキシエチルチオ基、アミノエチルチオ基、ベンジルアミノエチルチオ基、メチルカルボニルアミノエチルチオ基、フェニルカルボニルアミノエチルチオ基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアリールチオ基の「アリールチオ基」としては、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、9−アンスリルチオ基等が挙げられ、「置換基を有するアリールチオ基」としては、クロロフェニルチオ基、トリフルオロメチルフェニルチオ基、シアノフェニルチオ基、ニトロフェニルチオ基、2−アミノフェニルチオ基、2−ヒドロキシフェニルチオ基等が挙げられる。
次に、Y1〜Y4の具体例としては、ハロゲン原子、ニトロ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基(C6H4(CO)2N−CH2−)、スルファモイル基(H2NSO2−)が挙げられる。また、置換基を有するフタルイミドメチル基とは、フタルイミドメチル基中の水素原子が置換基により置換された構造を表し、置換基を有するスルファモイル基とは、スルファモイル基中の水素原子が置換基により置換された構造を表す。好ましいY1〜Y4は、ハロゲン原子及びスルファモイル基である。m1〜m4が0である(つまり、Y1〜Y4がない)フタロシアニン化合物も好適に使用できる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、及び、置換基を有してもよいスルファモイル基の「置換基」としては、X1〜X4の置換基と同義である。
フタロシアニン系顔料としては、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー75、及びC.I.ピグメントブルー15(15:1から15:6等を含む)等が好ましく、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントブルー15:1〜15:6がより好ましい。フタロシアニン系顔料は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明に用いられるフタロシアニン系顔料は、公知の方法にて製造することができる。また、市販のフタロシアニン系顔料を用いてもよい。
ペリレン系顔料としては、下記式(e−1)で表されるペリレン系顔料、下記式(e−2)で表されるペリレン系顔料、及び下記式(e−3)で表されるペリレン系顔料が挙げられる。市販品では、BASF社製の製品名K0084、及びK0086や、C.I.ピグメントブラック21(以下、「C.I.ピグメントブラック」は同様であり、番号のみを記載する。)、30、31、32、33、及び34等を、ペリレン系顔料として好ましく用いることができる。
式(e−1)中、R
e1及びR
e2は、それぞれ独立に炭素原子数1〜3のアルキレン基を表し、R
e3及びR
e4は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、メトキシ基、又はアセチル基を表す。
式(e−2)中、R
e5及びR
e6は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜7のアルキレン基を表す。
式(e−3)中、R
e7及びR
e8は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜22のアルキル基であり、N,O、S、又はPのヘテロ原子を含んでいてもよい。R
e7及びR
e8がアルキル基である場合、当該アルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
上記の式(e−1)で表される化合物、式(e−2)で表される化合物、及び式(e−3)で表される化合物は、例えば、特開昭62−1753号公報、特公昭63−26784号公報等に記載の方法を用いて合成することができる。即ち、ペリレン−3,5,9,10−テトラカルボン酸又はその二無水物とアミン類とを原料とし、水又は有機溶媒中で加熱反応を行う。そして、得られた粗製物を硫酸中で再沈殿させるか、又は、水、有機溶媒若しくはこれらの混合溶媒中で再結晶させることによって目的物を得ることができる。
ペリレン系顔料を良好に分散させるためには、ペリレン系顔料の平均粒子径は10〜1000nmであるのが好ましい。
着色剤の含有量は、本発明に係る着色剤分散液の固形分に対して、5〜95質量%が好ましく、25〜90質量%がより好ましい。
[分散剤]
本発明に係る着色剤分散液は、分散剤を含有する。上記着色剤分散液が分散剤を含有すると、上記着色剤分散液において、着色剤が均一に分散しやすくなる。分散剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
分散剤としては、公知のものが挙げられ、ポリエチレンイミン系高分子分散剤、ウレタン樹脂系高分子分散剤、アクリル樹脂系高分子分散剤を用いることが好ましい。
本発明に係る着色剤分散液において、分散剤の含有量は、着色剤100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがより好ましく、1〜15質量部であることが更に好ましい。分散剤の含有量が上記の範囲であると、本発明に係る着色剤分散液における着色剤の均一な分散が更に容易になる。また、上限が小さいほど、後述の感光性樹脂組成物において、各成分のバランスが良好となりやすく、当該感光性樹脂組成物における他成分の配合量を相対的に増加させることができるため、感度等の他の特性を向上させやすくなる。感度特性について、特に感光波長を吸収してしまう青色系の顔料を用いた際の効果が良好となる。
[オキシム化合物]
本発明に係る着色剤分散液は、下記式(1)で表されるオキシム化合物を含有する。このオキシム化合物は、光重合開始剤としての機能と分散助剤としての機能とを兼ね備える。そのため、着色剤を含有する着色剤分散液は、上記オキシム化合物を含有すると、分散剤の含有量を減らしても着色剤の分散安定性が良好となりやすい。即ち、上記オキシム化合物を用いることで、着色剤の分散安定性を損なわずに、着色剤分散液中の分散剤の含有量を減らすことが容易となる。結果として、分散剤の一部を上記オキシム化合物で置き換えたこととなる。上記オキシム化合物は、光重合開始剤としても機能するため、上記の置き換えは、分散剤の含有量を減らし、光重合開始剤の含有量を増やしたことに該当する。よって、上記オキシム化合物を含有する着色剤分散液から得られる感光性樹脂組成物において、光重合開始剤の含有量を増やすことができ、この感光性樹脂組成物から低露光量で高密着性の微小パターンを形成することが容易となる。上記オキシム化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(R
1は水素原子、ニトロ基又は1価の有機基であり、R
2及びR
3は、それぞれ、鎖状アルキル基、環状炭化水素基、又はヘテロアリール基であり、R
2とR
3とは相互に結合してスピロ環を形成してもよく、R
4は1価の有機基であり、R
5は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜11のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、mは0又は1である。)
上記オキシム化合物と着色剤との間で相互作用が生じて、上記オキシム化合物は、着色剤の分散安定性を向上させることができるものと考えられる。特に、着色剤が含窒素芳香環化合物からなる顔料である場合には、以下の通りに考えられる。含窒素芳香環化合物からなる顔料において、π電子系は、分子中に含まれる窒素原子の影響により、窒素原子を含まない場合と比較して、不安定な状態となっている。そのため、含窒素芳香環化合物からなる顔料は、分散安定性が良好となりにくい。本発明に係る顔料分散液で用いられる上記オキシム化合物は、オキシム基及びカルボニル基を含み、更に、これらの基に芳香環が結合しているため、安定なπ電子系を形成している。上記オキシム化合物と含窒素芳香環化合物からなる顔料との間では、π−π相互作用が生じ、互いの分子がスタッキングして、上記顔料のπ電子系は安定化されると推測される。その結果として、上記オキシム化合物は、含窒素芳香環化合物からなる顔料の分散安定性を向上させることができるものと考えられる。
上記オキシム化合物は、分散助剤として、特に、着色剤を分散するために分散助剤として、好適に用いることができる。
式(1)中、R1は、水素原子、ニトロ基又は1価の有機基である。R1は、式(1)中のフルオレン環上で、−(CO)m−で表される基に結合する6員芳香環とは、異なる6員芳香環に結合する。式(1)中、R1のフルオレン環に対する結合位置は特に限定されない。R1のフルオレン環に対する結合位置は、式(1)で表される化合物の合成が容易であること等から、フルオレン環中の2位であるのが好ましい。
R1が有機基である場合、R1は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から適宜選択される。R1が有機基である場合の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基等が挙げられる。
R1がアルキル基である場合、アルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、R1がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。R1がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、R1がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
R1がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、R1がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。R1がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチオキシル基、tert−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、R1がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
R1がシクロアルキル基又はシクロアルコキシ基である場合、シクロアルキル基又はシクロアルコキシ基の炭素原子数は、3〜10が好ましく、3〜6がより好ましい。R1がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。R1がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
R1が飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、2〜21が好ましく、2〜7がより好ましい。R1が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n−ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、n−ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ウンデカノイル基、n−ドデカノイル基、n−トリデカノイル基、n−テトラデカノイル基、n−ペンタデカノイル基、及びn−ヘキサデカノイル基等が挙げられる。R1が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、2−メチルプロパノイルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、2,2−ジメチルプロパノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、n−ノナノイルオキシ基、n−デカノイルオキシ基、n−ウンデカノイルオキシ基、n−ドデカノイルオキシ基、n−トリデカノイルオキシ基、n−テトラデカノイルオキシ基、n−ペンタデカノイルオキシ基、及びn−ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
R1がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜20が好ましく、2〜7がより好ましい。R1がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec−オクチオキシルカルボニル基、tert−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
R1がフェニルアルキル基である場合、フェニルアルキル基の炭素原子数は、7〜20が好ましく、7〜10がより好ましい。また、R1がナフチルアルキル基である場合、ナフチルアルキル基の炭素原子数は、11〜20が好ましく、11〜14がより好ましい。R1がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、及び4−フェニルブチル基が挙げられる。R1がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−(α−ナフチル)エチル基、及び2−(β−ナフチル)エチル基が挙げられる。R1が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、R1は、フェニル基、又はナフチル基上に更に置換基を有していてもよい。
R1がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、及びキノキサリン等が挙げられる。R1がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は更に置換基を有していてもよい。
R1がヘテロシクリルカルボニル基である場合、ヘテロシクリルカルボニル基に含まれるヘテロシクリル基は、R1がヘテロシクリル基である場合と同様である。
R1が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜21の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、R1と同様である。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n−ブタノイルアミノ基、n−ペンタノイルアミノ基、n−ヘキサノイルアミノ基、n−ヘプタノイルアミノ基、n−オクタノイルアミノ基、n−デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α−ナフトイルアミノ基、及びβ−ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
R1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。R1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。R1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
以上説明した基の中でも、R1としては、ニトロ基、又はR a −CO−で表される基であると、感度が向上する傾向があり好ましい。R a は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から選択できる。R a として好適な基の例としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。R a として、これらの基の中では、2−メチルフェニル基、チオフェン−2−イル基、及びα−ナフチル基が特に好ましい。
また、R1が水素原子であると、透明性が良好となる傾向があり好ましい。なお、R1が水素原子であり、かつ、R4が後述の(R4−2)であると透明性はより良好となる傾向がある。
式(1)中、R2及びR3は、それぞれ、鎖状アルキル基、環状炭化水素基、又はヘテロアリール基である。これらの基の中では、R2及びR3として、鎖状アルキル基が好ましい。
R2及びR3が鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基は直鎖アルキル基でも分岐鎖アルキル基でもよい。R2及びR3が鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、R1がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。R1がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、R1がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
R2及びR3が環状炭化水素基である場合、環状炭化水素基は、脂肪族環状炭化水素基であっても、芳香族環状炭化水素基であってもよい。
R2及びR3が芳香族環状炭化水素基である場合、芳香族環状炭化水素基は、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が炭素−炭素結合を介して結合して形成される基であるか、複数のベンゼン環が縮合して形成される基であるのが好ましい。芳香族環状炭化水素基が、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が結合又は縮合して形成される基である場合、芳香族環状炭化水素基に含まれるベンゼン環の環数は特に限定されず、3以下が好ましく、2以下がより好ましく、1が特に好ましい。芳香族環状炭化水素基の好ましい具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。
R2及びR3が脂肪族環状炭化水素基である場合、脂肪族環状炭化水素基は、単環式であっても多環式であってもよい。脂肪族環状炭化水素基の炭素原子数は特に限定されないが、3〜20が好ましく、3〜10がより好ましい。単環式の環状炭化水素基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基、及びアダマンチル基等が挙げられる。
R2及びR3がヘテロアリール基である場合、ヘテロアリール基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロアリール基である。ヘテロアリール基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。かかるヘテロアリール基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、及びキノキサリン等が挙げられる。
R2とR3とは相互に結合してスピロ環を形成してもよい。R2とR3とが形成するスピロ環からなる基は、シクロアルキリデン基であるのが好ましい。R2とR3とが結合してシクロアルキリデン基を形成する場合、シクロアルキリデン基を構成するスピロ環は、5員環〜6員環であるのが好ましく、5員環であるのがより好ましい。
R2とR3とが結合して形成する基がシクロアルキリデン基である場合、シクロアルキリデン基は、1以上の他の環と縮合していてもよい。シクロアルキリデン基と縮合していてもよい環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、及びピリミジン環等が挙げられる。
R4の好適な有機基の例としては、R1と同様に、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基等が挙げられる。これらの基の具体例は、R1について説明したものと同様である。また、R4としてはシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェノキシアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基、も好ましい。フェノキシアルキル基、及びフェニルチオアルキル基が有していてもよい置換基は、R1に含まれるフェニル基が有していてもよい置換基と同様である。
有機基の中でも、R4としては、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又はシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基が好ましい。アルキル基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1〜4のアルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。置換基を有していてもよいフェニル基の中では、メチルフェニル基が好ましく、2−メチルフェニル基がより好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるシクロアルキル基の炭素原子数は、5〜10が好ましく、5〜8がより好ましく、5又は6が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1〜8が好ましく、1〜4がより好ましく、2が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基の中では、シクロペンチルエチル基が好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1〜8が好ましく、1〜4がより好ましく、2が特に好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基の中では、2−(4−クロロフェニルチオ)エチル基が好ましい。
以上、R
4について説明したが、R
4としては、下記式(R4−1)又は(R4−2)で表される基が好ましい。
(式(R4−1)及び(R4−2)中、R
6及びR
7はそれぞれ有機基であり、pは0〜4の整数であり、R
6及びR
7がベンゼン環上の隣接する位置に存在する場合、R
6とR
7とが互いに結合して環を形成してもよく、qは1〜8の整数であり、rは1〜5の整数であり、sは0〜(r+3)の整数であり、R
8はアルキル基である。)
式(R4−1)中のR6及びR7についての有機基の例は、R1と同様である。R6としては、アルキル基又はフェニル基が好ましい。R6がアルキル基である場合、その炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましく、1が最も好ましい。つまり、R6はメチル基であるのが最も好ましい。R6とR7とが結合して環を形成する場合、当該環は、芳香族環でもよく、脂肪族環でもよい。式(R4−1)で表される基であって、R6とR7とが環を形成している基の好適な例としては、ナフタレン−1−イル基や、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−5−イル基等が挙げられる。上記式(R4−1)中、pは0〜4の整数であり、0又は1であるのが好ましく、0であるのがより好ましい。
上記式(R4−2)中、R8はアルキル基である。アルキル基の炭素原子数は1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。R8としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基であることがより好ましい。
上記式(R4−2)中、rは1〜5の整数であり、1〜3の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。上記式(R4−2)中、sは0〜(r+3)であり、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0が特に好ましい。上記式(R4−2)中、qは1〜8の整数であり、1〜5の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1又は2が特に好ましい。
式(1)中、R5は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜11のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基である。R5がアルキル基である場合に有してもよい置換基としては、フェニル基、ナフチル基等が好ましく例示される。また、R1がアリール基である場合に有してもよい置換基としては、炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が好ましく例示される。
式(1)中、R5としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、ナフチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、mが0である場合、例えば、下記スキーム1に従って合成することができる。スキーム1では、下記式(1−1)で表されるフルオレン誘導体を原料として用いる。R1がニトロ基又は1価の有機基である場合、式(1−1)で表されるフルオレン誘導体は、9位をR2及びR3で置換されたフルオレン誘導体に、周知の方法によって、置換基R1を導入して得ることができる。9位をR2及びR3で置換されたフルオレン誘導体は、例えば、R2及びR3がアルキル基である場合、特開平06−234668号公報に記載されるように、アルカリ金属水酸化物の存在下に、非プロトン性極性有機溶媒中で、フルオレンとアルキル化剤とを反応させて得ることができる。また、フルオレンの有機溶媒溶液中に、ハロゲン化アルキルのようなアルキル化剤と、アルカリ金属水酸化物の水溶液と、ヨウ化テトラブチルアンモニウムやカリウムtert−ブトキシドのような相間移動触媒とを添加してアルキル化反応を行うことで、9,9−アルキル置換フルオレンを得ることができる。
式(1−1)で表されるフルオレン誘導体を、式(1−2)で表されるハロカルボニル化合物を用いて、フリーデルクラフツ反応によりアシル化して、式(1−3)で表されるフルオレン誘導体が得られる。式(1−2)中、Halはハロゲン原子である。フルオレン環上の式(1−2)で表される化合物によりアシル化される位置は、フリーデルクラフツ反応の条件を適宜変更したり、フルオレン環上の式(1−2)で表される化合物によりアシル化される位置の他の位置に保護及び脱保護を施したりする方法で、選択することができる。
次いで、得られる式(1−3)で表されるフルオレン誘導体を、ヒドロキシルアミンによりオキシム化して下記式(1−4)で表されるオキシム化合物を得る。式(1−4)のオキシム化合物と、下式(1−5)で表される酸無水物((R5CO)2O)、又は下記一般式(1−6)で表される酸ハライド(R5COHal、Halはハロゲン原子。)とを反応させて、下記式(1−7)で表される化合物を得ることができる。
なお、式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)、(1−5)、(1−6)、及び(1−7)において、R1、R2、R3、R4、及びR5は、式(1)と同様である。
式(1)で表される化合物は、mが1である場合、例えば、下記スキーム2に従って合成することができる。スキーム2では、下記式(2−1)で表されるフルオレン誘導体を原料として用いる。式(2−1)で表されるフルオレン誘導体は、スキーム1と同様の方法によって、式(1−1)で表される化合物をフリーデルクラフツ反応によってアシル化して得られる。式(2−1)で表されるフルオレン誘導体に、塩酸の存在下に下記一般式(2−2)で表される亜硝酸エステル(RONO、Rは炭素数1〜6のアルキル基。)を反応させて、下記式(2−3)で表されるケトオキシム化合物を得る。次いで、下記式(2−3)で表されるケトオキシム化合物と、下記式(2−4)で表される酸無水物((R5CO)2O)、又は下記一般式(2−5)で表される酸ハライド(R5COHal、Halはハロゲン原子。)とを反応させて、下記式(2−6)で表される化合物を得ることができる。なお、下記式(2−1)、(2−3)、(2−4)、(2−5)、及び(2−6)において、R1、R2、R3、R4、及びR5は、一般式(1)と同様である。
mが1である場合、式(1)で表される化合物を含有する感光性組成物を用いて形成されるパターン中での異物の発生をより低減できる傾向がある。
式(1)で表される化合物の好適な具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
本発明に係る着色剤分散液において、上記オキシム化合物の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。上記オキシム化合物の含有量は、典型的には、着色剤100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。上記オキシム化合物の含有量をかかる範囲とすることにより、得られる着色剤分散液において、着色剤の分散安定性が良好となりやすい。また、上記オキシム化合物の含有量が上記の範囲である着色剤分散液は、低露光量で高密着性の微小パターンを形成することができる感光性樹脂組成物を調製するのに好適に用いることができる。
また、本発明に係る着色剤分散液において、分散剤と上記オキシム化合物との合計の含有量が、着色剤100質量部に対して、1〜60質量部であることが好ましく、1〜55質量部であることがより好ましく、1〜20質量部であることが更に好ましい。上記合計の含有量が上記の範囲であると、本発明に係る着色剤分散液における着色剤の均一な分散や上記オキシム化合物による効果を確保しつつ、上記着色剤分散液及びこの着色剤分散液から得られる感光性樹脂組成物において、各成分のバランスが良好となりやすい。また上限が小さいほど、当該感光性樹脂組成物における他成分の配合量を相対的に増加させることができるため、感度等の他の特性を向上させやすくなる。
[溶剤]
本発明に係る着色剤分散液における溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル部炭酸メチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、蟻酸n−ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。溶剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記溶剤の中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、3−メトキシブチルアセテートは、後述のアルカリ可溶性樹脂、光重合性モノマー、及び光重合開始剤、並びに上記式(1)で表される化合物に対して優れた溶解性を示すとともに、上記着色剤の分散性を良好にすることができるため好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテートを用いることが特に好ましい。
溶剤の含有量は、本発明に係る着色剤分散液の固形分濃度が1〜50質量%となる量が好ましく、5〜30質量%となる量がより好ましい。
[オキシム化合物以外の分散助剤]
本発明に係る着色剤分散液は、任意成分として、上記オキシム化合物以外の分散助剤を含んでいてもよい。上記オキシム化合物以外の分散助剤は、スタッキング性の点で含窒素芳香環を有する分散助剤であることが好ましく、例えば、後述の感光性樹脂組成物を用いて、基板への密着性と、耐水性とが良好なパターンを形成することができる点で、含窒素芳香環を有するシランカップリング剤であることが好ましい。含窒素芳香環を有するシランカップリング剤として、具体的には、下記式(11)で表されるものが好ましい。
R11 pR12 (3−p)Si−R13−NH−C(O)−Y−R14−X・・・(11)
(式(11)中、R11はアルコキシ基であり、R12はアルキル基であり、pは1〜3の整数であり、R13はアルキレン基であり、Yは−NH−、−O−、又は−S−であり、R14は単結合、又はアルキレン基であり、Xは、置換基を有していてもよく単環でも多環でもよい含窒素ヘテロアリール基であり、X中の−Y−R14−と結合する環は含窒素6員芳香環であり、−Y−R14−は前記含窒素6員芳香環中の炭素原子と結合する。)
式(11)中、R11はアルコキシ基である。R11について、アルコキシ基の炭素原子数は1〜6が好ましく、1〜4がより好ましく、シランカップリング剤の反応性の観点から1又は2が特に好ましい。R11の好ましい具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、及びn−ヘキシルオキシ基が挙げられる。これらのアルコキシ基の中では、メトキシ基、及びエトキシ基が好ましい。
アルコキシ基であるR11が加水分解されて生成するシラノール基が基板の表面等と反応することで、後述の感光性樹脂組成物を用いて形成されるパターンの基板表面への密着性が向上する。このため、パターンの基板表面への密着性を向上させやすい点から、pは3であるのが好ましい。
式(11)中、R12はアルキル基である。R12について、アルキル基の炭素原子数は1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、シランカップリング剤の反応性の観点から1又は2が特に好ましい。R12の好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、及びn−ドデシル基が挙げられる。
式(11)中、R13はアルキレン基である。R13について、アルキレン基の炭素原子数は1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、2〜4が特に好ましい。R13の好ましい具体例としては、メチレン基、1,2−エチレン基、1,1−エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ブタン−1,1−ジイル基、ブタン−2,2−ジイル基、ブタン−2,3−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、及びヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、及びドデカン−1,12−ジイル基が挙げられる。これらのアルキレン基の中では、1,2−エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、及びブタン−1,4−ジイル基が好ましい。
Yは−NH−、−O−、又は−S−であり、−NH−であるのが好ましい。−CO−O−、又は−CO−S−で表される結合よりも、−CO−NH−で表される結合のほうが加水分解を受けにくいため、後述の感光性樹脂組成物においてYが−NH−であるシランカップリング剤を用いると、耐水性に優れるパターンを形成しやすい。
R14は単結合、又はアルキレン基であり、単結合であるのが好ましい。R14がアルキレン基である場合の好ましい例は、R13と同様である。
Xは、置換基を有していてもよく単環でも多環でもよい含窒素ヘテロアリール基であり、X中の−Y−R14−と結合する環は含窒素6員芳香環であり、−Y−R14−は該含窒素6員芳香環中の炭素原子と結合する。理由は不明であるが、後述の感光性樹脂組成物においてこのようなXを有するシランカップリング剤を用いると、基板への密着性と、耐水性とに優れるパターンを形成できる。
Xが多環ヘテロアリール基である場合、ヘテロアリール基は、複数の単環が縮合した基であってもよく、複数の単環が単結合を介して結合した基であってもよい。Xが多環ヘテロアリール基である場合、多環ヘテロアリール基に含まれる環数は1〜3が好ましい。Xが多環ヘテロアリール基である場合、X中の含窒素6員芳香環に縮合又は結合する環は、ヘテロ原子を含んでいても含んでいなくてもよく、芳香環であっても芳香環でなくてもよい。
含窒素ヘテロアリール基であるXが有していてもよい置換基としては、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜6のアルケニル基、炭素原子数2〜6のアルケニルオキシ基、炭素原子数2〜6の脂肪族アシル基、ベンゾイル基、ニトロ基、ニトロソ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シアノ基、スルホン酸基、カルボキシル基、及びハロゲン原子等が挙げられる。Xが有する置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。Xが有する置換基の数は、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。Xが複数の置換基を有する場合、複数の置換基は同じであっても、異なっていてもよい。
上記の基の中でも、下記式の基がXとしてより好ましい。
以上説明した、式(11)で表される化合物の好適な具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
上記オキシム化合物以外の分散助剤の含有量は、本発明に係る着色剤分散液において、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。
[着色剤分散液の調製方法]
本発明に係る着色剤分散液は、着色剤と、分散剤と、上記オキシム化合物と、溶剤とを3本ロールミル、ボールミル、サンドミル等の撹拌機で混合(分散・混練)し、必要に応じて5μmメンブランフィルタ等のフィルタで濾過して調製することができる。着色剤分散液の調製で、着色剤と、(分散助剤としての)上記オキシム化合物とを、ともに撹拌機で混合(分散・混練)しておくことで、着色剤と上記オキシム化合物との間で、相互作用が生じ、本発明の効果が得られるものと考えられる。特に、着色剤が含窒素芳香環化合物からなる顔料である場合には、着色剤分散液の調製で、含窒素芳香環化合物からなる顔料と、(分散助剤としての)上記オキシム化合物とを、ともに撹拌機で混合(分散・混練)しておくことで、含窒素芳香環化合物からなる顔料と上記オキシム化合物との間で、π−π相互作用が生じ、本発明の効果が得られるものと考えられる。
<感光性樹脂組成物>
本発明に係る感光性樹脂組成物は、基材樹脂と、光重合開始剤と、本発明に係る着色剤分散液とを少なくとも含有する。
[基材樹脂]
基材樹脂としては、特に限定されず、感光性樹脂組成物において一般的に用いられている公知の樹脂が挙げられる。基材樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
基材樹脂としては、例えば、重合性基含有樹脂等の重合性樹脂が挙げられる。このような重合性樹脂としては、後述するアルカリ可溶性樹脂のうち、エチレン性不飽和基を有するものが挙げられる。
また、基材樹脂としては、アルカリ可溶性樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂とは、樹脂濃度20質量%の樹脂溶液(溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)により、膜厚1μmの樹脂膜を基板上に形成し、濃度0.05質量%のKOH水溶液に1分間浸漬した際に、膜厚0.01μm以上溶解するものをいう。
アルカリ可溶性樹脂としては、上述のアルカリ可溶性を示す樹脂であれば特に限定されず、従来公知のアルカリ可溶性樹脂を用いることができる。アルカリ可溶性樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
好適なアルカリ可溶性樹脂の一例としては、(A1)カルド構造を有する樹脂が挙げられる。(A1)カルド構造を有する樹脂としては、特に限定されるものではなく、従来公知の樹脂を用いることができる。その中でも、下記式(a−1)で表される樹脂が好ましい。
上記式(a−1)中、Xaは、下記式(a−2)で表される基を示す。
上記式(a−2)中、Ra1は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又はハロゲン原子を示し、Ra2は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Waは、単結合又は下記式(a−3)で表される基を示す。
また、上記式(a−1)中、Yaは、ジカルボン酸無水物から酸無水物基(−CO−O−CO−)を除いた残基を示す。ジカルボン酸無水物の例としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸等が挙げられる。
また、上記式(a−1)中、Zaは、テトラカルボン酸二無水物から2個の酸無水物基を除いた残基を示す。テトラカルボン酸二無水物の例としては、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
また、上記式(a−1)中、mは、0〜20の整数を示す。
(A1)カルド構造を有する樹脂の質量平均分子量は、1000〜40000であることが好ましく、2000〜30000であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、良好な現像性を得ながら、十分な耐熱性、膜強度を得ることができる。
また、好適なアルカリ可溶性樹脂の他の例としては、(A2)エポキシ樹脂が挙げられる。(A2)エポキシ樹脂としては、特に限定されるものではなく、従来公知のエポキシ樹脂を用いることができ、エチレン性不飽和基を有さないものであっても、エチレン性不飽和基を有するものであってもよい。
エチレン性不飽和基を有さないエポキシ樹脂としては、例えば、不飽和カルボン酸とエポキシ基含有不飽和化合物とを少なくとも共重合させて得られる樹脂(A2−1)を用いることができる。
不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸;これらジカルボン酸の無水物;等が挙げられる。これらの中でも、共重合反応性、得られる樹脂のアルカリ溶解性、入手の容易性等の点から、(メタ)アクリル酸及び無水マレイン酸が好ましい。これらの不飽和カルボン酸は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸とメタクリル酸との両方を意味する。
上記樹脂(A2−1)に占める不飽和カルボン酸由来の構成単位(カルボキシル基を有する構成単位)の割合は、5〜29質量%であることが好ましく、10〜25質量%であることがより好ましい。上記範囲とすることにより、感光性樹脂組成物の現像性を適度なものとすることができる。
エポキシ基含有不飽和化合物は、脂環式エポキシ基を有さないものであっても、脂環式エポキシ基を有するものであってもよいが、脂環式エポキシ基を有するものがより好ましい。
脂環式エポキシ基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エポキシアルキルエステル類;α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸6,7−エポキシヘプチル等のα−アルキルアクリル酸エポキシアルキルエステル類;o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類;等が挙げられる。これらの中でも、共重合反応性、硬化後の樹脂の強度等の点から、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、及びp−ビニルベンジルグリシジルエーテルが好ましい。
脂環式エポキシ基を有するエポキシ基含有不飽和化合物の脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。
具体的に、脂環式エポキシ基を有するエポキシ基含有不飽和化合物としては、例えば下記式(a4−1)〜(a4−16)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、感光性樹脂組成物の現像性を適度なものとするためには、下記式(a4−1)〜(a4−6)で表される化合物が好ましく、下記式(a4−1)〜(a4−4)で表される化合物がより好ましい。
上記式中、Ra3は水素原子又はメチル基を示し、Ra4は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、Ra5は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を示し、nは0〜10の整数を示す。Ra4としては、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。Ra5としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、フェニレン基、シクロヘキシレン基、−CH2−Ph−CH2−(Phはフェニレン基を示す)が好ましい。
これらのエポキシ基含有不飽和化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記樹脂(A2−1)に占めるエポキシ基含有不飽和化合物由来の構成単位(エポキシ基を有する構成単位)の割合は、5〜90質量%であることが好ましく、15〜75質量%であることがより好ましい。上記範囲とすることにより、良好な形状のカラーフィルタ等を形成しやすくなる。
上記樹脂(A2−1)は、脂環式基含有不飽和化合物を更に共重合させたものであることが好ましい。
脂環式基含有不飽和化合物の脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。
具体的に、脂環式基含有不飽和化合物としては、例えば下記式(a5−1)〜(a5−8)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、感光性樹脂組成物の現像性を適度なものとするためには、下記式(a5−3)〜(a5−8)で表される化合物が好ましく、下記式(a5−3)、(a5−4)で表される化合物がより好ましい。
上記式中、Ra6は水素原子又はメチル基を示し、Ra7は単結合又は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、Ra8は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。Ra7としては、単結合、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。Ra8としては、例えばメチル基、エチル基が好ましい。
上記樹脂(A2−1)に占める脂環式基含有不飽和化合物由来の構成単位の割合は、1〜40質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましい。
また、上記樹脂(A2−1)は、上記以外の他の化合物を更に共重合させたものであってもよい。このような他の化合物としては、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類等が挙げられる。これらの化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(メタ)アクリル酸エステル類としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリレート等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル(メタ)アクリレート;クロロエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N−アリール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−アリール(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
アリル化合物としては、酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル等のアリルエステル類;アリルオキシエタノール;等が挙げられる。
ビニルエーテル類としては、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロルフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロルフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテル等のビニルアリールエーテル;等が挙げられる。
ビニルエステル類としては、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフエニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロル安息香酸ビニル、テトラクロル安息香酸ビニル、ナフトエ酸ビニル等が挙げられる。
スチレン類としては、スチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロルメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン等のアルキルスチレン;メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレン等のアルコキシスチレン;クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、テトラクロロスチレン、ペンタクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、2−ブロモ−4−トリフルオロメチルスチレン、4−フルオロ−3−トリフルオロメチルスチレン等のハロスチレン;等が挙げられる。
樹脂(A2−1)の質量平均分子量は、2000〜50000であることが好ましく、5000〜30000であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感光性樹脂組成物の膜形成能、現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
一方、エチレン性不飽和基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、不飽和カルボン酸とエポキシ基含有不飽和化合物とを少なくとも重合させて得られる樹脂のカルボキシル基と、エポキシ基含有不飽和化合物のエポキシ基とを反応させて得られる樹脂(A2−2)、あるいは、不飽和カルボン酸とエポキシ基含有不飽和化合物とを少なくとも重合させて得られる樹脂のエポキシ基と、不飽和カルボン酸のカルボキシル基とを反応させて得られる樹脂(A2−3)を用いることができる。
不飽和カルボン酸、エポキシ基含有不飽和化合物としては、上記樹脂(A2−1)で例示した化合物が挙げられる。したがって、不飽和カルボン酸とエポキシ基含有不飽和化合物とを少なくとも重合させて得られる樹脂としては、上記樹脂(A2−1)が例示される。
上記樹脂(A2−2)、(A2−3)に占める不飽和カルボン酸由来の構成単位(カルボキシル基を有する構成単位)の割合は、5〜60質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。上記範囲とすることにより、感光性樹脂組成物の現像性を適度なものとすることができる。
また、上記樹脂(A2−2)、(A2−3)に占めるエポキシ基含有不飽和化合物由来の構成単位(エポキシ基を有する構成単位)の割合は、5〜90質量%であることが好ましく、15〜75質量%であることがより好ましい。上記範囲とすることにより、良好な形状のカラーフィルタ等を形成しやすくなる。
樹脂(A2−2)、(A2−3)の質量平均分子量は、2000〜50000であることが好ましく、5000〜30000であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感光性樹脂組成物の膜形成能、現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
上記のほか、(A2)エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノール又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾール型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエステル、アミンエポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂のエポキシ基と、(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等を用いることもできる。
基材樹脂の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分に対して40〜85質量%であることが好ましく、45〜75質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、現像性のバランスをとりやすい傾向がある。
[光重合開始剤]
光重合開始剤としては、特に限定されず、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。光重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤として具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン(即ち、ミヒラーズケトン)、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン(即ち、エチルミヒラーズケトン)、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、「NCI−831」(商品名:ADEKA製)等が挙げられる。また、本発明で用いられるオキシム化合物も、光重合開始剤として用いることができる。つまり、本発明に係る感光性樹脂組成物において、上記オキシム化合物は、分散助剤として含まれる(上記着色剤分散液中に分散助剤として含まれる)が、更に、光重合開始剤として含まれていてもよい。この場合、光重合開始剤としてのオキシム化合物は、着色剤との間で、相互作用が生じていないと考えられる。特に、着色剤が含窒素芳香環化合物からなる顔料である場合、光重合開始剤としてのオキシム化合物は、含窒素芳香環化合物からなる顔料との間で、π−π相互作用が生じていないと考えられる。光重合開始剤としてのオキシム化合物については上記と同様であり、上記式(1)で表される化合物が好ましい。
光重合開始剤の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分に対して0.5〜20質量%であることが好ましい。上記の範囲とすることにより、十分な耐熱性、耐薬品性を得ることができ、また塗膜形成能を向上させ、硬化不良を抑制することができる。
また、感光性樹脂組成物が光重合開始剤として上記オキシム化合物を含む場合、上記オキシム化合物の割合は、光重合開始剤の総量に対し、1〜100質量%であることが好ましく、20〜100質量%であることがより好ましく、50〜100質量%であることが更に好ましく、80〜100質量%であることが特に好ましい。上記範囲とすることで、感光性樹脂組成物の感度や細線密着性を向上させることができる。
[着色剤分散液]
本発明に係る着色剤分散液の含有量は、感光性樹脂組成物の用途に応じて適宜決定すればよいが、一例として、感光性樹脂組成物における着色剤の含有量が感光性樹脂組成物の固形分に対して、5〜70質量%となる量が好ましく、25〜60質量%となる量がより好ましい。
更に、後述の光重合性モノマーを用いる場合、本発明に係る着色剤分散液の含有量は、感光性樹脂組成物における上記オキシム化合物の含有量が、基材樹脂と光重合性モノマーとの合計量100質量部に対して、0.01〜2.5質量部となる量が好ましく、0.01〜0.5質量部となる量がより好ましい。感光性樹脂組成物における上記オキシム化合物の含有量がかかる範囲となるように、本発明に係る着色剤分散液の含有量を調整することにより、基板に対する密着性に優れる微小パターンを形成しやすくなる。
[光重合性モノマー]
本発明に係る感光性樹脂組成物は、光重合性モノマーを含有してもよい。光重合性モノマーとしては、特に限定されず、従来公知の単官能モノマー、多官能モノマーを用いることができる。光重合性モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
単官能モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
一方、多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(即ち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN−メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等の多官能モノマーや、トリアクリルホルマール等が挙げられる。これらの多官能モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
光重合性モノマーの含有量は、感光性樹脂組成物の固形分に対して1〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感度、現像性、解像性のバランスがとりやすい傾向がある。
[その他の成分]
上記感光性樹脂組成物は、必要に応じて、各種の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、増感剤、硬化促進剤、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、凝集防止剤、熱重合禁止剤、消泡剤、界面活性剤等が挙げられる。
<感光性樹脂組成物の製造方法>
本発明に係る感光性樹脂組成物の製造方法は、基材樹脂と、光重合開始剤と、本発明にかかる着色剤分散液とを混合する工程を少なくとも含む。この工程において、上記成分に加えて、光重合性モノマー及び/又はその他の成分を混合してもよい。これらの成分は、例えば、3本ロールミル、ボールミル、サンドミル等の撹拌機で混合することができる。なお、製造された感光性樹脂組成物が均一なものとなるよう、5μmメンブランフィルタ等のフィルタを用いて濾過してもよい。
本発明に係る感光性樹脂組成物の製造方法では、着色剤と、分散剤と、上記オキシム化合物と、溶剤とを予め混ぜて着色剤分散液を調製し、この着色剤分散液を基材樹脂等の他の成分と混合する。このような工程を経ることにより、低露光量でも高密着性の微小パターンを形成することができる感光性樹脂組成物が得られる。
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例では、下記の化合物1〜3並びに比較化合物1及び2をオキシム化合物として用いた。
<オキシム化合物の合成>
以下、化合物1〜3の合成について、合成例1〜4により説明する。
〔合成例1〕
(9,9−ジ−n−プロピルフルオレンの合成)
フルオレン6.64g(40mmol)を27mLのTHFに溶解させた。得られた溶液に、カリウムtert−ブトキシド0.12g(1.1mmol)、1−ブロモプロパン12.30g(100mmol)、及び濃度50質量%の水酸化ナトリウム水溶液27mLを、窒素雰囲気下で徐々に添加した。得られた混合物を、80℃で3時間撹拌して反応を行った。反応後の混合物に、酢酸エチル33g及び水33gを加えた後、有機層と水層とに分液した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水した後、ロータリーエバポレーターを用いて有機層から溶媒を除去して、9,9−ジ−n−プロピルフルオレン8.32g(収率83%)を得た。
〔合成例2〕
(2−ニトロ−9,9−ジ−n−プロピルニトロフルオレンの合成)
酢酸131mLと無水酢酸262mLからなる混合溶媒に、二硝酸銅(II)三水和物9.18g(40mmol)を加えた後、混合溶媒を10分間撹拌した。その後、合成例1の方法で得た、9,9−ジ−n−プロピルフルオレン10.02g(40mmol)を酢酸131mLに溶解させた溶液を、混合溶媒中に数回に分けてゆっくり添加した。次いで、9,9−ジ−n−プロピルフルオレンを含む混合溶媒を3時間撹拌してニトロ化反応を行った。反応後、反応混合物を氷水の入ったビーカーに注いだ。析出した沈殿物をろ過して回収した後、沈殿物を水洗及び乾燥して、2−ニトロ−9,9−ジ−n−プロピルフルオレン10.76g(収率91%)を得た。
〔合成例3〕
(化合物1の合成)
9,9−ジ−n−プロピルフルオレン4.10g(16.37mmol)と、(2−メチルフェニル)酢酸塩化物3.04g(18.00mmol)とを、塩化アルミニウム2.62gの存在下に、ジクロロメタン溶媒、50ml中で、氷冷下で1時間反応させた。反応混合物を氷水にあけ、有機層を分液した。回収した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレートした。残渣を酢酸エチル/ヘキサン=1/2の溶離液でシリカゲルカラム精製して、2−(2−メチルフェニル)アセチル−9,9−ジ−n−プロピルカルバゾール5.95g(15.55mmol)を得た。2−(2−メチルフェニル)アセチル−9,9−ジ−n−プロピルカルバゾール5.95g(15.55mmol)と、濃塩酸1.60g(15.55mmol)とを、亜硝酸イソブチル2.42g(23.33mmol)の存在下に、ジメチルホルムアミド溶媒25ml中で、氷冷下で3時間反応させた。反応液をエバポレートし、残渣に酢酸エチルを加え、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレートして、2−[2−メチルフェニル(ヒドロキシイミノ)アセチル]−9,9−ジ−n−プロピルカルバゾール4.80g(11.67mmol)を得た。2−[2−メチルフェニル(ヒドロキシイミノ)アセチル]−9,9−ジ−n−プロピルカルバゾール4.80g(11.67mmol)と、無水酢酸1.43g(13.42mmol)と、トリエチルアミン1.36g(13.42mmol)と、ジメチルホルムアミド溶媒45.00mlとを混合し、35℃で3時間撹拌した。室温まで冷却後、反応液に酢酸エチルを加え、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレートした。残渣を酢酸エチル/ヘキサン=2/1の溶離液でシリカゲルカラム精製して、化合物1、4.76g(10.50mmol、収率72%)を得た。化合物1の1H−NMRの測定結果は以下の通りであった。
1H−NMR(600MHz,CDCl3,ppm):8.25(d,1H),8.22(s,1H),7.83(d,1H),7.81(dd,1H),7.33−7.40(m,3H),7.26−7.33(m,4H),2.35(s,3H),2.14(s,3H),1.95−2.07(m,4H),0.63−0.66(m,10H).
〔合成例4〕
(化合物2の合成)
合成例2の方法で得た2−ニトロ−9,9−ジプロピルフルオレン11.82g(40mmol)、及び塩化アルミニウム5.8g(44mmol)を、ジクロロメタン40mLに溶解させた。ジクロロメタン溶液を氷浴で冷却しながら、5℃以下の温度で、アセチルクロライド3.45g(44mmol)をジクロロメタン溶液中に滴下した。滴下後、反応液を撹拌しながら、反応液の温度を1時間かけて室温まで上げ、次いで、室温下で3時間反応を継続した。
得られた反応液を氷水300mLが入ったビーカーに滴下した。ビーカー中の混合物を分液ロートに移した後、分液ロートに酢酸エチル200mLを加え、生成物を有機層に抽出した。有機層を分離した後、更に水層中の生成物を酢酸エチル100mLで抽出した。2回の抽出で得られた有機層を、10%炭酸ナトリウム水溶液300mLで洗浄した後、水300mLで洗浄した。洗浄後の有機層を、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、ロータリーエバポレーターを用いて有機層から溶媒を溜去してオイル状物質を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒、酢酸エチル:n−ヘキサン=1:1(質量比))にてオイル状物質を精製して、淡黄色固体(2−(2−メチルベンゾイル)−7−ニトロ−9,9−ジ−n−プロピルフルオレン)16.11g(収率94%)を得た。
得られた淡黄色固体8.56g(20mmol)と塩酸ヒドロキシルアミン1.5g(21mmol)とをエタノール100mLに溶解せた後、エタノール溶液を2時間還流させた。還流後の反応液からエタノールを溜去した後、残渣を水洗した。洗浄された残渣を酢酸エチルに溶解させた後、酢酸エチル溶液を硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥後の酢酸エチル溶液から、ロータリーエバポレーターを用いて酢酸エチルを除去して、オキシム体(2−メチルフェニル(7−ニトロ−9,9−ジ−n−プロピルフルオレン−2−イル)ケトンオキシム)を残渣として得た。得られたオキシム体をTHF60mLに溶解させた後、THF中にアセチルクロライド(3.45g、44mmol)を加え、撹拌下に反応を行った。反応後、トリエチルアミン(4.7g、46mmol)を反応液に室温で滴下した。滴下とともに塩の沈降が確認された。トリエチルアミンを加えられた反応液を2時間撹拌した後、反応液に水40mlを添加した。次いで、反応液中の生成物を酢酸エチル40mLで抽出した。有機層を水40mLで2回洗浄し、続いて飽和炭酸カリウム水溶液40mLで2回洗浄した。洗浄後の有機層を、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、ロータリーエバポレーターを用いて有機層から溶媒を除去して残渣を得た。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒、酢酸エチル:n−ヘキサン=1:1(質量比))にて精製して、化合物2、6.63g(16.81mmol、収率84%)を得た。化合物2の1H−NMRの測定結果は以下の通りであった。
1H−NMR(600MHz,CDCl3,ppm):8.2(d,1H),8.23(s,1H),7.79−7.83(m,4H),2.48(s,3H),2.27(s,3H),2.06−2.12(m,4H),0.51−0.68(m,10H).
〔合成例5〕
(化合物3の合成)
(2−メチルフェニル)酢酸塩化物3.04g(18.00mmol)を3−シクロペンチルプロピオン酸塩化物2.89g(18.00mmol)に変えることの他は、合成例3と同様にして、化合物3、4.46g(10.02mmol、収率72%)を得た。化合物3の1H−NMRの測定結果は以下の通りであった。
1H−NMR(600MHz,CDCl3,ppm):8.06−8.12(m,2H),7.71−7.78(m,2H),7.31−7.40(m,3H),2.52(d,2H),2.27(s,3H),1.89−2.19(m,5H),1.48−1.80(m,6H),1.19−1.26(m,2H),0.61−0.77(m,10H).
<着色剤分散液の調製>
[実施例1〜30、比較例1〜8]
表1に示す着色剤、分散剤、及びオキシム化合物を混合し、表1に示す溶剤に溶解して、固形分濃度17〜23質量%の着色剤分散液を調製した。なお、各成分の使用量は、表1に示す通りである。また、着色剤、分散剤、及び溶剤の詳細は、下記の通りである。実施例10の混合物1は、上記で合成した化合物1(オキシム化合物)と下記式で表される含窒素芳香環を有するシランカップリング剤との混合物(質量比1:1)である。また、実施例20の混合物2は、上記で合成した化合物2(オキシム化合物)と下記式で表される含窒素芳香環を有するシランカップリング剤との混合物(質量比1:1)である。更に、実施例30の混合物3は、上記で合成した化合物3(オキシム化合物)と下記式で表される含窒素芳香環を有するシランカップリング剤との混合物(質量比1:1)である。
・着色剤
R254(C.I.ピグメントレッド254、下記の一番左の式で表されるジケトピロロピロール系顔料)
B15:6(C.I.ピグメントブルー15:6、下記の真ん中の式で表されるフタロシアニン系顔料)
G58(C.I.ピグメントグリーン58、下記の一番右の式で表されるフタロシアニン系顔料)
Perylene(3,4,9,10−ペリレンテトラカルボンジアミド:上記式(e−3)において、R
e7及びR
e8が水素原子のもの)
・分散剤
アクリル樹脂系高分子分散剤(商品名:DisperBYK2001、ビックケミー社製)
・溶剤
3−メトキシブチルアセテート/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート=60/40(質量比)の混合溶剤
[粘度の評価]
E型粘度計(東京計器製)を用いて、調製直後の着色剤分散液の粘度を測定した。また、着色剤分散液を遮光ガラス容器に充填し、密閉状態で40℃にて7日間静置した後、E型粘度計を用いて、再度、着色剤分散液の粘度を測定した。調製直後の粘度の値と40℃にて7日間静置した後の粘度の値との差が0.3mPa・s以下であった場合、着色剤分散液の分散安定性が良好(○)であると判定し、上記の差が0.3mPa・s超であった場合、着色剤分散液の分散安定性が不良(×)であると判定した。結果を表1に示す。
表1に示す通り、実施例1、2、4〜10、11、12、14〜20、21、22、及び24〜30では、化合物1、2、又は3を添加することで、分散剤の含有量を減らしても、着色剤の分散安定性が良好であった。一方、化合物1〜3のいずれも用いなかった比較例1〜8では、実施例1、2、4〜10、11、12、14〜20、21、22、及び24〜30よりも多い量の分散剤を用いた場合に、着色剤の分散安定性が良好となるか、又は、実施例1、2、4〜10、11、12、14〜20、21、22、及び24〜30よりも多い量の分散剤を用いても、着色剤の分散安定性が不良であった。以上から、本発明に係る着色剤分散液は、分散剤の含有量を減らしても着色剤の分散安定性が良好であることが分かる。
<感光性樹脂組成物の調製>
[実施例31〜66及び比較例9〜19]
表2又は3に記載の光重合開始剤20質量部、樹脂A(固形分55質量%、溶剤:3−メトキシブチルアセテート)30質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート30質量部、及び表2又は3に記載の着色剤分散液(各着色剤分散液の固形分濃度は17〜23質量%であり、着色剤の含有量は15質量%である。)100質量部と、3−メトキシブチルアセテート(60質量%)とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(40質量%)とからなる混合溶剤とを混合した後、孔径5μmのメンブレンフィルターにより濾過して、感光性樹脂組成物を調製した。なお、混合溶剤の量を調整して、感光性樹脂組成物中の固形分濃度を15質量%に調整した。
また、表2又は3に示す光重合開始剤のうち、「OXE01」、「化合物1+OXE01」、及び「化合物2+OXE01」の詳細は、下記の通りである。
OXE01:BASF社製の光重合開始剤(商品名:IRGACURE OXE 01:1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)])
化合物1+OXE01:化合物1とOXE01との混合物(質量比1:1)
化合物2+OXE01:化合物2とOXE01との混合物(質量比1:1)
また、感光性樹脂組成物の調製で使用した樹脂Aは、以下の処方に従って合成したものを用いた。
まず、500ml四つ口フラスコ中に、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量235)235g、テトラメチルアンモニウムクロライド110mg、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール100mg、及びアクリル酸72.0gを仕込み、これに25ml/分の速度で空気を吹き込みながら90〜100℃で加熱溶解した。次に、溶液が白濁した状態のまま徐々に昇温し、120℃に加熱して完全溶解させた。この際、溶液は次第に透明粘稠になったが、そのまま撹拌を継続した。この間、酸価を測定し、1.0mgKOH/g未満になるまで加熱撹拌を続けた。酸価が目標値に達するまで12時間を要した。そして室温まで冷却し、無色透明で固体状の下記構造式(a−4)で表されるビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレートを得た。
次いで、このようにして得られた上記のビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレート307.0gに3−メトキシブチルアセテート600gを加えて溶解した後、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物80.5g及び臭化テトラエチルアンモニウム1gを混合し、徐々に昇温して110〜115℃で4時間反応させた。酸無水物基の消失を確認した後、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸38.0gを混合し、90℃で6時間反応させ、樹脂Aを得た。酸無水物基の消失はIRスペクトルにより確認した。この樹脂Aは、前述の一般式(a−1)で表される化合物に相当する。
実施例31〜66及び比較例9〜19の感光性樹脂組成物の各々について、以下の方法に従って、ポストベークによる着色の評価、及び細線密着性の評価を行った。結果を表2及び3に記す。
[着色評価]
実施例31〜66及び比較例9〜19の感光性樹脂組成物の各々について、以下の手順にて、着色評価を行った。
まず、感光性樹脂組成物をガラス基板(10cm×10cm)にスピン塗布し、90℃にて120秒間加熱することにより、ガラス基板の表面に1.0μmの塗布膜を形成させた。その後、ミラープロジェクションアライナー(製品名:TME−150RTO、株式会社トプコン製)を使用し、露光量を20、50、100、又は200mJ/cm2とし、露光ギャップを200μmとして、塗膜を露光した。露光後の膜を、26℃の0.04質量%KOH水溶液で30〜50秒間現像後、230℃で30分間、ポストベークを行った。ポストベーク前後の塗布膜について、瞬間マルチ測光システム(MCPD−3000:大塚電子株式会社製)を用いて、380nm〜780nm波長域の透過率の差をΔYとして測定した。ΔYの値を表2及び3に記載する。ΔYの絶対値が小さいほど、着色されていないことを意味する。
[細線密着性の評価]
実施例31〜66及び比較例9〜19の感光性樹脂組成物を、ガラス基板(100mm×100mm)上にスピンコーターを用いて塗布し、90℃で120秒間プリベークを行い、膜厚1.0μmの塗膜を形成した。次いで、ミラープロジェクションアライナー(製品名:TME−150RTO、株式会社トプコン製)を使用し、露光ギャップを50μmとして、5μmのラインパターンの形成されたネガマスクを介して、塗膜に紫外線を照射した。露光量は、20、50、100、及び200mJ/cm2の4段階とした。露光後の塗膜を、26℃の0.04質量%KOH水溶液で40秒間現像後、230℃にて30分間ポストベークを行うことにより、ラインパターンを形成した。
形成されたラインパターンを光学顕微鏡により観察し、細線密着性を評価した。細線密着性は、基板から剥がれずラインパターンが形成されたものを「良好」、基板から剥がれてラインパターンが形成されなかったものを「不良」として評価した。結果を表2及び3に示す。
表2及び3から分かるように、実施例31〜66では、ポストベーク時の加熱による着色を抑制することができ、また、50mJ/cm2という露光量で、5μmのラインパターンが基板に密着した。特に、実施例32〜66では、20mJ/cm2という低露光量であっても、5μmのラインパターンが基板に密着した。
これに対して、比較例9、14、15、及び17では、ポストベーク時の加熱による着色を抑制することができたものの、50mJ/cm2という露光量では、5μmのラインパターンが基板に密着せず、実施例31〜66と比較して、細線密着性に劣っていた。
また、比較例10〜13、18、及び19では、50mJ/cm2という露光量で、5μmのラインパターンが基板に密着し、特に、比較例10、18、及び19では、20mJ/cm2という低露光量であっても、5μmのラインパターンが基板に密着した。しかし、比較例10〜13、18、及び19では、ポストベーク時の加熱による着色を抑制することができなかった。比較例11や13の感光性樹脂組成物は光重合開始剤としての化合物1を含むが、着色を抑制できていないことから、化合物1と着色剤との間で、相互作用が生じていないと考えられ、より具体的には、上記着色剤が含窒素芳香環化合物からなる顔料である点を考慮すると、化合物1と含窒素芳香環化合物からなる顔料との間で、π−π相互作用が生じていないと考えられる。
更に、比較例16では、ポストベーク時の加熱による着色を抑制することができず、また、50mJ/cm2という露光量では、5μmのラインパターンが基板に密着せず、実施例31〜66と比較して、細線密着性に劣っていた。