≪感光性樹脂組成物≫
感光性樹脂組成物は、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)酸性基含有(メタ)アクリレートモノマー、(C)光重合開始剤、及び(D)遮光剤を含有する。(D)遮光剤は、エポキシ樹脂で被覆処理されたカーボンブラック及び/又はシランカップリング剤で処理されたカーボンブラックを含む。以下、感光性樹脂組成物が含む、必須又は任意の成分について説明する。
<(A)アルカリ可溶性樹脂>
アルカリ可溶性樹脂とは、樹脂濃度20質量%の樹脂溶液(溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)により、膜厚1μmの樹脂膜を基板上に形成し、濃度0.05質量%のKOH水溶液に1分間浸漬した際に、膜厚0.01μm以上溶解するものをいう。
(A)アルカリ可溶性樹脂は、上述のアルカリ可溶性を示す樹脂であれば特に限定されず、従来公知の樹脂から適宜選択して使用できる。(A)アルカリ可溶性樹脂として好適な樹脂としては、(A1)カルド構造を有する樹脂が挙げられる。
(A1)カルド構造を有する樹脂としては、特に限定されるものではなく、従来公知の樹脂を用いることができる。その中でも、下記式(a−1)で表される樹脂が好ましい。
上記式(a−1)中、Xaは、下記式(a−2)で表される基を示す。
上記式(a−2)中、Ra1は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜6の炭化水素基、又はハロゲン原子を示し、Ra2は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Waは、単結合又は下記式(a−3)で表される基を示す。
また、上記式(a−1)中、Yaは、ジカルボン酸無水物から酸無水物基(−CO−O−CO−)を除いた残基を示す。ジカルボン酸無水物の例としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸等が挙げられる。
また、上記式(a−1)中、Zaは、テトラカルボン酸二無水物から2個の酸無水物基を除いた残基を示す。テトラカルボン酸二無水物の例としては、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
また、上記式(a−1)中、mは、0〜20の整数を示す。
(A1)カルド構造を有する樹脂の質量平均分子量(Mw:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)のポリスチレン換算による測定値。本明細書において同じ。)は、1000〜40000であることが好ましく、2000〜30000であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、良好な現像性を得ながら、十分な耐熱性、膜強度を得ることができる。
また、破壊強度や基板への密着性に優れる硬化物を形成しやすいことから、(A2)(a1)不飽和カルボン酸を少なくとも重合させた共重合体も、(A)アルカリ可溶性樹脂として好適に使用することができる。
(a1)不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸;これらジカルボン酸の無水物;等が挙げられる。これらの中でも、共重合反応性、得られる樹脂のアルカリ溶解性、入手の容易性等の点から、(メタ)アクリル酸及び無水マレイン酸が好ましい。これらの(a1)不飽和カルボン酸は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(A2)共重合体は、(a1)不飽和カルボン酸と(a2)脂環式エポキシ基含有不飽和化合物との共重合体であってもよい。(a2)脂環式エポキシ基含有不飽和化合物としては、脂環式エポキシ基を有する不飽和化合物であれば特に限定されない。脂環式エポキシ基を構成する脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。これらの(a2)脂環式エポキシ基含有不飽和化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
具体的に、(a2)脂環式エポキシ基含有不飽和化合物としては、例えば下記式(a2−1)〜(a2−16)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、現像性を適度なものするためには、下記式(a2−1)〜(a2−6)で表される化合物が好ましく、下記式(a2−1)〜(a2−4)で表される化合物がより好ましい。
上記式中、R11は水素原子又はメチル基を示し、R12は炭素原子数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、R13は炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基を示し、nは0〜10の整数を示す。R12としては、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。R13としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、フェニレン基、シクロヘキシレン基、−CH2−Ph−CH2−(Phはフェニレン基を示す)が好ましい。
(A2)共重合体は、上記(a1)不飽和カルボン酸及び(a2)上記脂環式エポキシ基含有不飽和化合物とともに、エポキシ基を有さない(a3)脂環式基含有不飽和化合物を共重合させたものであってもよい。
(a3)脂環式基含有不飽和化合物としては、脂環式基を有する不飽和化合物であれば特に限定されない。脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。これらの(a3)脂環式基含有不飽和化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
具体的に、(a3)脂環式基含有不飽和化合物としては、例えば下記式(a3−1)〜(a3−7)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、現像性を適度なものするためには、下記式(a3−3)〜(a3−8)で表される化合物が好ましく、下記式(a3−3),(a3−4)で表される化合物がより好ましい。
上記式中、R21は水素原子又はメチル基を示し、R22は単結合又は炭素原子数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、R23は水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を示す。R22としては、単結合、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。R23としては、例えばメチル基、エチル基が好ましい。
また、(A2)共重合体は、上記(a1)不飽和カルボン酸及び上記(a2)脂環式エポキシ基含有不飽和化合物、更には上記(a3)脂環式基含有不飽和化合物とともに、脂環式基を有さない(a4)エポキシ基含有不飽和化合物を重合させたものであってもよい。
(a4)エポキシ基含有不飽和化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エポキシアルキルエステル類;α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸6,7−エポキシヘプチル等のα−アルキルアクリル酸エポキシアルキルエステル類;等が挙げられる。これらの中でも、共重合反応性、硬化後の樹脂の強度等の点から、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、及び6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレートが好ましい。これらの(a4)エポキシ基含有不飽和化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
また、(A2)共重合体は、上記以外の他の化合物を更に重合させたものであってもよい。このような他の化合物としては、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類等が挙げられる。これらの化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(メタ)アクリル酸エステル類としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリレート等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル(メタ)アクリレート;クロロエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N−アリール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−アリール(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
アリル化合物としては、酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル等のアリルエステル類;アリルオキシエタノール;等が挙げられる。
ビニルエーテル類としては、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロロフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロロフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテル等のビニルアリールエーテル;等が挙げられる。
ビニルエステル類としては、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビニルジクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフエニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ安息香酸ビニル、テトラクロロ安息香酸ビニル、ナフトエ酸ビニル等が挙げられる。
スチレン類としては、スチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン等のアルキルスチレン;メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレン等のアルコキシスチレン;クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、テトラクロロスチレン、ペンタクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、2−ブロモ−4−トリフルオロメチルスチレン、4−フルオロ−3−トリフルオロメチルスチレン等のハロスチレン;等が挙げられる。
(A2)共重合体に占める上記(a1)不飽和カルボン酸由来の構成単位の割合は、1〜50質量%であることが好ましく、5〜45質量%であることがより好ましい。
また、(A2)共重合体が、上記(a2)脂環式エポキシ基含有不飽和化合物由来の構成単位と上記(a4)エポキシ基含有不飽和化合物由来の構成単位とを含有する場合、(A2)共重合体に占める(a2)脂環式エポキシ基含有不飽和化合物由来の構成単位の割合と上記(a4)エポキシ基含有不飽和化合物由来の構成単位の割合との合計は、71質量%以上であることが好ましく、71〜95質量%であることがより好ましく、75〜90質量%であることが更に好ましい。特に、(A2)共重合体に占める上記(a2)脂環式エポキシ基含有不飽和化合物由来の構成単位の割合が単独で71質量%以上であることが好ましく、71〜80質量%であることがより好ましい。上記(a2)脂環式エポキシ基含有不飽和化合物由来の構成単位の割合を上記の範囲にすることにより、感光性樹脂組成物の経時安定性をより向上させることができる。
また、(A2)共重合体が、(a3)脂環式基含有不飽和化合物由来の構成単位を含有する場合、(A2)共重合体に占める上記(a3)脂環式基含有不飽和化合物由来の構成単位の割合は、1〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
(A2)共重合体の質量平均分子量は、2000〜200000であることが好ましく、3000〜30000であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感光性樹脂組成物の膜形成能、露光後の現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
また、(A)アルカリ可溶性樹脂としては、(A3)上記(a1)不飽和カルボン酸に由来する構成単位と、後述する(B)酸性基含有(メタ)アクリレートモノマーとの重合可能部位を有する構成単位とを少なくとも有する共重合体、又は(A4)上記(a1)不飽和カルボン酸に由来する構成単位と、上記(a2)脂環式エポキシ基含有不飽和化合物及び/又は(a4)エポキシ基含有不飽和化合物に由来する構成単位と、後述する光重合性モノマー(B)との重合可能部位を有する構成単位とを少なくとも有する共重合体を含む樹脂も好適に使用できる。(A)アルカリ可溶性樹脂が(A3)共重合体、又は(A4)共重合体を含む場合、感光性樹脂組成物の基板への密着性、感光性樹脂組成物の硬化後の破壊強度を高めることができる。
(A3)共重合体、及び(A4)共重合体は、(A2)共重合体について他の化合物として記載される、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類等を更に共重合させたものであってもよい。
(B)酸性基含有(メタ)アクリレートモノマーとの重合可能部位を有する構成単位は、(B)酸性基含有(メタ)アクリレートモノマーとの重合可能部位としてエチレン性不飽和基を有するものが好ましい。このような構成単位を有する共重合体は、(A3)共重合体については、上記(a1)不飽和カルボン酸に由来する構成単位を含む重合体に含まれるカルボキシル基の少なくとも一部と、上記(a2)脂環式エポキシ基含有不飽和化合物及び/又は(a4)エポキシ基含有不飽和化合物とを反応させることにより調製することができる。また、(A4)共重合体は、上記(a1)不飽和カルボン酸に由来する構成単位と、(a2)脂環式エポキシ基含有不飽和化合物及び/又は(a4)エポキシ基含有不飽和化合物に由来する構成単位とを有する共重合体におけるエポキシ基の少なくとも一部と、(a1)不飽和カルボン酸とを反応させることにより、調製することができる。
(A3)共重合体における、(a1)不飽和カルボン酸に由来する構成単位の占める割合は、1〜50質量%が好ましく、5〜45質量%がより好ましい。(A3)共重合体における、(B)酸性基含有(メタ)アクリレートモノマーとの重合可能部位を有する構成単位の占める割合は、1〜45質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。(A3)共重合体がこのような比率で各構成単位を含む場合、基板との密着性に優れる硬化物を形成可能な感光性樹脂組成物を得やすい。
(A4)共重合体における、(a1)不飽和カルボン酸に由来する構成単位の占める割合は、1〜50質量%が好ましく、5〜45質量%がより好ましい。(A4)共重合体における、(a2)脂環式エポキシ基含有不飽和化合物及び/又は(a4)エポキシ基含有不飽和化合物に由来する構成単位の占める割合は、55質量%以上が好ましく、71質量%以上がより好ましく、71〜80質量%が特に好ましい。
(A4)共重合体における、(B)酸性基含有(メタ)アクリレートモノマーとの重合可能部位を有する構成単位の占める割合は、1〜45質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。(A4)共重合体がこのような比率で各構成単位を含む場合、基板との密着性に優れるブラックフォトスペーサを形成可能な感光性樹脂組成物を得やすい。
(A3)共重合体、及び(A4)共重合体の質量平均分子量は、2000〜50000であることが好ましく、5000〜30000であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感光性樹脂組成物の膜形成能、露光後の現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
(A)アルカリ可溶性樹脂の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分に対して10〜60質量%であることが好ましく、15〜55質量%であることがより好ましい。(A)アルカリ可溶性樹脂をかかる範囲の量用いる場合、現像性に優れる感光性樹脂組成物を得やすい。
<(B)酸性基含有(メタ)アクリレートモノマー>
感光性樹脂組成物は、(B)酸性基含有(メタ)アクリレートモノマーを含有する。感光性樹脂組成物が(B)酸性基含有(メタ)アクリレートモノマーを含有することにより、この感光性樹脂組成物を用いて、耐熱フロー性に優れ、かつ、加熱により基板への密着性及び体積抵抗値が低下しにくいパターンを形成しやすい。(B)酸性基含有(メタ)アクリレートモノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を意味し、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの両方を意味し、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミド及びメタクリルアミドの両方を意味し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの両方を意味する。
(B)酸性基含有(メタ)アクリレートモノマーにおける酸性基としては、特に限定されず、例えば、カルボキシル基、スルホ基等が挙げられ、耐熱フロー性、加熱後の基板への密着性、及び加熱後の体積抵抗値の点から、カルボキシル基が好ましい。(B)酸性基含有(メタ)アクリレートモノマーにおける酸性基の数としては、特に限定されず、例えば、1個以上であり、耐熱フロー性、加熱後の基板への密着性、及び加熱後の体積抵抗値の点から、1〜3個が好ましく、1個が好ましい。
(B)酸性基含有(メタ)アクリレートモノマーにおける(メタ)アクリレート基の数としては、特に限定されず、例えば、1個以上であり、耐熱フロー性及び加熱後の基板への密着性の点から、2個以上が好ましく、2〜6個がより好ましい。このように、(B)酸性基含有(メタ)アクリレートモノマーとしては、1個の(メタ)アクリレート基を有する酸性基含有(メタ)アクリレートモノマー、即ち、酸性基含有単官能(メタ)アクリレートモノマー、及び、2個以上の(メタ)アクリレート基を有する酸性基含有(メタ)アクリレートモノマー、即ち、酸性基含有多官能(メタ)アクリレートモノマーが挙げられ、酸性基含有多官能(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。
(B)酸性基含有(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、
(B1)2価以上の多価アルコールと(メタ)アクリル酸との部分エステル化物である遊離水酸基含有(メタ)アクリレート類と、ジカルボン酸類及び/又は酸無水物とのエステル化物、並びに
(B2)2価以上の多価カルボン酸と、モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類との部分エステル化物
からなる群より選択される1種以上のカルボキシル基含有(メタ)アクリレートモノマーが挙げられ、より具体的には、例えば、
(B11)2価の多価アルコールと(メタ)アクリル酸との部分エステル化物である遊離水酸基含有モノ(メタ)アクリレート類と、ジカルボン酸類及び/又は酸無水物とのエステル化物、並びに
(B21)2価以上の多価カルボン酸と、モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類との部分エステル化物であるモノ(メタ)アクリレート類
からなる群より選択される1種以上のカルボキシル基含有単官能(メタ)アクリレートモノマーや、
(B12)3価以上の多価アルコールと(メタ)アクリル酸との部分エステル化物である遊離水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート類と、ジカルボン酸類及び/又は酸無水物とのエステル化物、並びに
(B22)3価以上の多価カルボン酸と、モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類との部分エステル化物であるポリ(メタ)アクリレート類
からなる群より選択される1種以上のカルボキシル基含有多官能(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。
酸性基含有単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、
2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等のモノヒドロキシモノ(メタ)アクリレート類と
マロン酸、コハク酸、グルタミン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸類及び/又はその酸無水物と
の遊離カルボキシル基含有モノエステル化物等のカルボキシル基含有単官能(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。
酸性基含有多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、
トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート等のモノヒドロキシオリゴ(メタ)アクリレート類と、
マロン酸、コハク酸、グルタミン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸類及び/又はその酸無水物と
の遊離カルボキシル基含有モノエステル化物や、
プロパン−1,2,3−トリカルボン酸(トリカルバリル酸)、ブタン−1,2,4−トリカルボン酸、ベンゼン−1,2,3−トリカルボン酸、ベンゼン−1,3,4−トリカルボン酸、ベンゼン−1,2,5−トリカルボン酸等のトリカルボン酸類と、
2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等のモノヒドロキシモノ(メタ)アクリレート類と
の遊離カルボキシル基含有オリゴエステル化物
等のカルボキシル基含有多官能(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。
酸性基含有単官能(メタ)アクリレートモノマーの具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
酸性基含有多官能(メタ)アクリレートモノマーの具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
(B)酸性基含有(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、下記式(b1)で表される化合物(b1)も挙げられる。
(上記式(b1)中、
Y
1は、置換基を有していてもよい炭化水素環基、置換基を有していてもよい複素環基又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
R
1は、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。
R
11及びR
12は、各々独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4アルキル基を表す。
R11及びR12は、互いに結合して環を形成していてもよい。
lは、1〜12の整数を、
mは、1〜3の整数を、
nは、1〜12の整数を表す。
なお、一分子中に、l、n、及び−CR11R12−が複数含まれる場合、各々、同じでもよく、また異なっていてもよい。)
(Y1について)
Y1は、置換基を有していてもよい炭化水素環基、置換基を有していてもよい複素環基又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
炭化水素環基としては、例えば、2個の遊離原子価を有する、シクロヘキサン環、シクロペンタン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環等の基が挙げられる。
なお、本明細書における遊離原子価については、「有機化学・生化学命名法 上」(南江堂、1992年5月20日発行、平山健三、平山和雄訳著、11−12頁)の記載に基づくものである。
複素環基(即ち、非芳香族複素環基)としては、単環であっても縮合環であってもよい。複素環基は、ヘテロ原子として窒素原子、硫黄原子及び酸素原子の少なくとも一つを含む非芳香族環の基である。
具体的には、2個の遊離原子価を有する、ピリジニル環、キノリニル環、イソキノリニル環、ベンゾチアゾリニル環、フタルイミドイル環、ピペリジニル環、ピロリジニル環等の基が挙げられる。
芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基が挙げられる。
芳香族炭化水素環基として、単環であっても縮合環であってもよく、環を形成する炭素数が5〜10であれば特に制限はないが、例えば、2個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環等の基が挙げられる。
芳香族複素環基としては、単環であっても縮合環であってもよく、環を形成する炭素数が3〜10であれば特に制限はないが、例えば、2個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環等の基が挙げられる。
上記の中でもR1としては、色材との相溶性が向上する点で、2個の遊離原子価を有する、ベンゼン環及びシクロヘキサン環の基であることが好ましい。
Y1における炭化水素環基、複素環基及び芳香族環基が有していてもよい置換基としては、下記(置換基群W)の項に記載のものが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(置換基群W)
フッ素原子、塩素原子、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜8のアルコキシル基、フェニル基、メシチル基、トリル基、ナフチル基、シアノ基、アセチルオキシ基、炭素数2〜9のアルキルカルボキシル基、スルホン酸アミド基、炭素数2〜9のスルホンアルキルアミド基、炭素数2〜9のアルキルカルボニル基、フェネチル基、ヒドロキシエチル基、アセチルアミド基、炭素数1〜4のアルキル基が結合してなるジアルキルアミノエチル基、トリフルオロメチル基、炭素数1〜8のトリアルキルシリル基、ニトロ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基。
(R1について)
R1は、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。架橋反応が起こり易い点で、水素原子又はメチル基であることが特に好ましい。R1におけるアルキル基が有していてもよい置換基としては、前記(置換基群W)の項で記載のものが挙げられる。
(R11及びR12について)
R11及びR12は、各々独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4アルキル基を表す。また、R11及びR12は、互いに結合して環を形成していてもよい。
なお、一分子中に複数の−CR21R22−が含まれる場合、R21及びR22は、各々、同じでもよく、また異なっていてもよいが、化合物の合成が容易である点で、複数含まれる−CR21R22−は、同じである方が好ましい。
(l及びnについて)
lは、1〜12の整数、nは、1〜12の整数を表す。
合成が容易である点で、lは、好ましくは1〜5、更に好ましくは1〜2である。
合成が容易である点で、nは、好ましくは2〜5、更に好ましくは2である。
なお、一分子中に、l及びnが複数含まれる場合、各々、同じでもよく、また異なっていてもよい。
(mについて)
m1は、1〜3の整数を表す。中でも、アルカリ現像液への溶解性、及び得られる画素の硬化性が良好である点で、m1は1又は2であることが好ましく、特に1であることが好ましい。
(分子量)
化合物(b1)の分子量は、通常400以上、好ましくは500以上、また通常2000以下、好ましくは1800以下である。上記範囲内であると、化合物(b1)の製造が容易である点で好ましい。
[化合物(b1)の具体例]
以下に、化合物(b1)の好ましい具体例を示すが、化合物(b1)はこれらに限定されるものではない。
(化合物(b1)の合成方法)
化合物(b1)は、公知の方法に従って合成することが可能である。例えば、ペンタエリスリトールに酸無水物をアミン系触媒下で反応をさせる。次いで、酸基含有不飽和結合を含む化合物を、アミン系触媒下で反応をさせる。
前記酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の三塩基以上の酸の無水物が挙げられる。
酸基含有不飽和結合を含む化合物としては、例えば、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、桂皮酸等が挙げられる。
また、アミン系触媒としては、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(東京化成工業社製)、ジメチルベンジルアミン(和光純薬社製)等が挙げられる。
<効果を奏する理由>
化合物(b1)を用いることで、得られる画素の断面形状がアンダーカットになりにくい、つまり逆テーパーになりにくいとの効果が奏される。このような効果が奏される理由は、下記の通り推測される。
化合物(b1)は、環状構造(Y1:炭化水素環基、複素環基又は芳香族環基)の置換基にカルボキシ基構造を有する。このため、アルカリ可溶性を有するとともに、色材と相溶性がよいことから、色材とともに塗膜全体に、分布をもつことなく存在しやすい。これより化合物(b1)だけが現像液に溶け出す傾向も小さい。また環状構造を有することから、現像液に対する適度な耐性をもち、また同一分子中に含まれる不飽和二重結合基とともに強固な塗膜を形成する。
更に、化合物(b1)の場合、エチレン性二重結合基が、中心炭素原子({}で括られた基が結合する炭素原子)からの距離が長く、自由度が高い。そのため、化合物(b1)を含む塗膜は、光硬化により、より強固な膜を形成しやすい。
以上から、色度濃度が高い着色樹脂組成物であっても、塗膜内部が硬化され、一方でアルカリ現像液の可溶性が高いため、断面形状が適切に形成され、つまりは、逆テーパーになりにくいとの効果を奏する。
(B)酸性基含有(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、下記式(b2)で表される化合物も挙げられる。
(式中、nは0〜4の整数を表し、−R
1は−H又は−CH
3を表し、−X−は−O−、−(OCH
2CH
2)
mO−、及び−(OCH
2CH
2CH
2)
mO−のいずれかを表し、−Y−は炭素数1〜8のアルキレン基、それぞれ置換されていてもよいフェニレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘキシレン基の一部が不飽和結合であるもののいずれかを表す。但し、mはそれぞれ独立して1〜8の整数を表す。)
(B)酸性基含有(メタ)アクリレートモノマーの含有量は、感光性樹脂組成物の固形分に対して3〜40質量%であることが好ましく、5〜35質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感度、現像性、解像性のバランスがとりやすい傾向がある。
<(C)光重合開始剤>
(C)光重合開始剤としては、特に限定されず、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。(C)光重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤として具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン(即ち、ミヒラーズケトン)、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン(即ち、エチルミヒラーズケトン)、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、「IRGACURE OXE02」、「IRGACURE OXE01」、「IRGACURE 369」、「IRGACURE 651」、「IRGACURE 907」(商品名:BASF製)、「NCI−831」(商品名:ADEKA製)等が挙げられる。
感光性樹脂組成物は、以上説明した化合物の中でもオキシムエステル化合物を(C)光重合開始剤として含有するのが好ましい。オキシムエステル化合物は、2つの有機基が=N−O−CO−で表されるオキシムエステル結合を介して結合した化合物である。感光性樹脂組成物に、(C)光重合開始剤としてオキシムエステル化合物を配合する場合、露光感度に優れる感光性樹脂組成物を得やすい。
(C)光重合開始剤として使用されるオキシムエステル化合物は特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。オキシムエステル化合物の中では、下記式(c1)で表される化合物が好ましい。
上記式(c1)中、Rc1は、置換基を有してもよい炭素原子数1〜10のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基を示す。aは、0又は1である。Rc2は、置換基を有してもよい炭素原子数1〜10のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基を示す。Rc3は、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。
Rc1が置換基を有してもよい炭素原子数1〜10のアルキル基である場合、アルキル基が有する置換基の種類は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。
炭素原子数1〜10のアルキル基が有してもよい好適な置換基の例としては、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいフェニルチオ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、アミノ基、1又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。
炭素原子数1〜10のアルキル基は直鎖であっても分岐鎖であってもよい。この場合、アルキル基の炭素原子数は、1〜8が好ましく、1〜5がより好ましい。
Rc1が、置換基を有してもよいフェニル基である場合、置換基の種類は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。フェニル基が有していてもよい置換基の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、アミノ基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rc1が、置換基を有してもよいフェニル基であり、フェニル基が複数の置換基を有する場合、複数の置換基は同一であっても異なっていてもよい。
フェニル基が有する置換基がアルキル基である場合、その炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6が更に好ましく、1〜3が特に好ましく、1が最も好ましい。また、アルキル基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。フェニル基が有する置換基がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。この場合、フェニル基が有する置換基としては、例えば、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシアルキル基が挙げられる。フェニル基が有する置換基がアルコキシアルキル基である場合、−Rc4−O−Rc5で表される基が好ましい。Rc4は、炭素原子数1〜10の直鎖でも分岐鎖であってもよいアルキレン基である。Rc5は、炭素原子数1〜10の直鎖でも分岐鎖であってもよいアルキル基である。Rc4の炭素原子数は、1〜8が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。Rc5の炭素原子数は、1〜8が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましく、1が最も好ましい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
フェニル基が有する置換基がアルコキシ基である場合、その炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、アルコキシ基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。フェニル基が有する置換基がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、2−メトキシ−1−メチルエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
フェニル基が有する置換基がシクロアルキル基、又はシクロアルコキシ基である場合、その炭素原子数は、3〜10が好ましく、3〜6がより好ましい。フェニル基が有する置換基がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。フェニル基が有する置換基がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
フェニル基が有する置換基が飽和脂肪族アシル基、又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、その炭素原子数は、2〜20が好ましく、2〜7がより好ましい。フェニル基が有する置換基が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n−ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、n−ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ウンデカノイル基、n−ドデカノイル基、n−トリデカノイル基、n−テトラデカノイル基、n−ペンタデカノイル基、及びn−ヘキサデカノイル基等が挙げられる。フェニル基が有する置換基が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、2−メチルプロパノイルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、2,2−ジメチルプロパノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、n−ノナノイルオキシ基、n−デカノイルオキシ基、n−ウンデカノイルオキシ基、n−ドデカノイルオキシ基、n−トリデカノイルオキシ基、n−テトラデカノイルオキシ基、n−ペンタデカノイルオキシ基、及びn−ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
フェニル基が有する置換基がアルコキシカルボニル基である場合、その炭素原子数は、2〜20が好ましく、2〜7がより好ましい。フェニル基が有する置換基がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec−オクチルオキシカルボニル基、tert−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
フェニル基が有する置換基がフェニルアルキル基である場合、その炭素原子数は、7〜20が好ましく、7〜10がより好ましい。またフェニル基が有する置換基がナフチルアルキル基である場合、その炭素原子数は、11〜20が好ましく、11〜14がより好ましい。フェニル基が有する置換基がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、及び4−フェニルブチル基が挙げられる。フェニル基が有する置換基がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−(α−ナフチル)エチル基、及び2−(β−ナフチル)エチル基が挙げられる。フェニル基が有する置換基がフェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、置換基は、フェニル基又はナフチル基上に更に置換基を有していてもよい。
フェニル基が有する置換基がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、及びキノキサリン等が挙げられる。フェニル基が有する置換基がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は更に置換基を有していてもよい。
フェニル基が有する置換基が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例としては、フェニル基が有する置換基について上記したものと同様のものが挙げられる。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n−ブタノイルアミノ基、n−ペンタノイルアミノ基、n−ヘキサノイルアミノ基、n−ヘプタノイルアミノ基、n−オクタノイルアミノ基、n−デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α−ナフトイルアミノ基、β−ナフトイルアミノ基、及びN−アセチル−N−アセチルオキシアミノ基等が挙げられる。
フェニル基が有する置換基に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。フェニル基が有する置換基に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。フェニル基が有する置換基に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
以上、Rc1が置換基を有してもよいフェニル基である場合の置換基について説明したが、これらの置換基の中では、アルキル基又はアルコキシアルキル基が好ましい。
Rc1が置換基を有してもよいフェニル基である場合、置換基の数と、置換基の結合位置とは、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。Rc1が、置換基を有してもよいフェニル基である場合、塩基の発生効率に優れる点で、置換基を有してもよいフェニル基は、置換基を有していてもよいo−トリル基であるのが好ましい。
Rc1が置換基を有してもよいカルバゾリル基である場合、置換基の種類は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。カルバゾリル基が炭素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいフェニルチオ基、置換基を有してもよいフェニルカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフチルカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、アミノ基、1又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。
Rc1が置換基を有してもよいカルバゾリル基である場合、カルバゾリル基が窒素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。これらの置換基の中では、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
カルバゾリル基が有してもよい置換基の具体例について、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び1又は2の有機基で置換されたアミノ基に関しては、Rc1が置換基を有してもよいフェニル基である場合の、フェニル基が有する置換基の例と同様である。
Rc1において、カルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合の置換基の例としては、炭素原子数1〜6のアルキル基;炭素原子数1〜6のアルコキシ基;炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基;炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基;炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。カルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
Rc2は、置換基を有してもよい炭素原子数1〜10のアルキル基、又は置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基である。
Rc2が置換基を有してもよい炭素原子数1〜10のアルキル基である場合、アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であってもよい。この場合、アルキル基の炭素原子数は、1〜8が好ましく、1〜5がより好ましい。
Rc2において、アルキル基又はフェニル基が有する置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。
アルキル基が炭素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいフェニルチオ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、アミノ基、1又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。
フェニル基が炭素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、アルキル基が炭素原子上に有してもよい好適な置換基として上記で例示した基に加えて、炭素原子数1〜20のアルキル基が挙げられる。
アルキル基又はフェニル基が有してもよい置換基の具体例について、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び1又は2の有機基で置換されたアミノ基に関しては、Rc1が置換基を有してもよいフェニル基である場合の、フェニル基が有する置換基の例と同様である。
Rc2において、アルキル基又はフェニル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合の置換基の例としては、炭素原子数1〜6のアルキル基;炭素原子数1〜6のアルコキシ基;炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基;炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基;炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。アルキル基又はフェニル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
Rc2が置換基を有してもよいカルバゾリル基である場合、カルバゾリル基が有する置換基の種類は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。カルバゾリル基が有してもよい置換基の好適な例としては、Rc1が置換基を有してもよいカルバゾリル基である場合の置換基の例と同様である。
式(c1)で表される化合物の反応性の点から、R
c2としては、下記式(c2):
又は、下記式(c3):
で表される基が好ましい。
式(c2)中、Rc6及びRc7は、それぞれ1価の有機基であり、bは0又は1である。式(c3)中、Rc8は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、AはS又はOであり、cは0〜4の整数である。
式(c2)におけるRc6は、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。Rc6の好適な例としては、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。
Rc6の中では、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
式(c2)におけるRc7は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から選択できる。Rc7として好適な基の具体例としては、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。Rc7として、これらの基の中では置換基を有してもよいフェニル基、及び置換基を有してもよいナフチル基がより好ましく、2−メチルフェニル基及びナフチル基が特に好ましい。
Rc6又はRc7に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rc6又はRc7に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。Rc6又はRc7に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
式(c3)におけるRc8が有機基である場合、Rc8は、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。式(c3)においてRc8が有機基である場合の好適な例としては、炭素原子数1〜6のアルキル基;炭素原子数1〜6のアルコキシ基;炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基;炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基;炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基;2−メチルフェニルカルボニル基;4−(ピペラジン−1−イル)フェニルカルボニル基;4−(フェニル)フェニルカルボニル基が挙げられる。
Rc8の中では、ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;ニトロ基が好ましく、ベンゾイル基;ナフトイル基;2−メチルフェニルカルボニル基;4−(ピペラジン−1−イル)フェニルカルボニル基;4−(フェニル)フェニルカルボニル基がより好ましい。
また、式(c3)において、cは、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0又は1であるのが特に好ましい。cが1である場合、Rc8の結合する位置は、Rc8が結合するフェニル基が硫黄原子と結合する結合手に対して、パラ位であるのが好ましい。
Rc3は、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基である。置換基を有していてもよいフェニル基である場合、フェニル基が有していてもよい置換基は、Rc1が置換基を有していてもよいフェニル基である場合と同様である。Rc3としては、メチル基、エチル基、又はフェニル基が好ましく、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
上記式(c1)で表されるオキシムエステル化合物は、aが0である場合、例えば、以下に説明する方法により合成できる。まず、Rc2−CO−Rc1で表されるケトン化合物を、ヒドロキシルアミンによりオキシム化して、Rc2−(C=N−OH)−Rc1で表されるオキシム化合物を得る。次いで、得られたオキシム化合物を、Rc3−CO−Hal(Halはハロゲンを示す)で表される酸ハロゲン化物や、(Rc3CO)2Oで表される酸無水物によりアシルして、aが0である上記式(c1)で表されるオキシムエステル化合物が得られる。
また、上記式(c1)で表されるオキシムエステル化合物は、aが1である場合、例えば、以下に説明する方法により合成できる。まず、Rc2−CO−CH2−Rc1で表されるケトン化合物を、塩酸の存在下に亜硝酸エステルと反応させ、Rc2−CO−(C=N−OH)−Rc1で表されるオキシム化合物を得る。次いで、得られたオキシム化合物を、Rc3−CO−Hal(Halはハロゲンを示す)で表される酸ハロゲン化物や、(Rc3CO)2Oで表される酸無水物によりアシルして、aが1である上記式(c1)で表されるオキシムエステル化合物が得られる。
上記式(c1)で表される化合物としては、下記式(c4)で表される化合物が挙げられる。
上記式(c4)中、a、Rc2、及びRc3は上記の通りである。Rc9は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、dは0〜4の整数である。
上記式(c4)中、Rc9は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、有機基である場合、種々の有機基から適宜選択される。Rc9の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、アミノ基、1又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。sが2〜4の整数である場合、Rc9は同一であっても異なっていてもよい。また、置換基の炭素原子数には、置換基が更に有する置換基の炭素原子数を含まない。
Rc9がアルキル基である場合、炭素原子数1〜20が好ましく、炭素原子数1〜6がより好ましい。また、Rc99がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rc9がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rc9がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
Rc9がアルコキシ基である場合、炭素原子数1〜20が好ましく、炭素原子数1〜6がより好ましい。また、Rc9がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rc9がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、Rc9がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
Rc9がシクロアルキル基又はシクロアルコキシ基である場合、炭素原子数3〜10が好ましく、炭素原子数3〜6がより好ましい。Rc9がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。Rc9がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
Rc9が飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、炭素原子数2〜20が好ましく、炭素原子数2〜7がより好ましい。Rc9が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n−ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、n−ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ウンデカノイル基、n−ドデカノイル基、n−トリデカノイル基、n−テトラデカノイル基、n−ペンタデカノイル基、及びn−ヘキサデカノイル基等が挙げられる。Rc9が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、2−メチルプロパノイルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、2,2−ジメチルプロパノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、n−ノナノイルオキシ基、n−デカノイルオキシ基、n−ウンデカノイルオキシ基、n−ドデカノイルオキシ基、n−トリデカノイルオキシ基、n−テトラデカノイルオキシ基、n−ペンタデカノイルオキシ基、及びn−ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
Rc9がアルコキシカルボニル基である場合、炭素原子数2〜20が好ましく、炭素原子数2〜7がより好ましい。Rc9がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec−オクチルオキシカルボニル基、tert−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
Rc9がフェニルアルキル基である場合、炭素原子数7〜20が好ましく、炭素原子数7〜10がより好ましい。またRc9がナフチルアルキル基である場合、炭素原子数11〜20が好ましく、炭素原子数11〜14がより好ましい。Rc9がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、及び4−フェニルブチル基が挙げられる。Rc9がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−(α−ナフチル)エチル基、及び2−(β−ナフチル)エチル基が挙げられる。Rc9が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、Rc9は、フェニル基、又はナフチル基上に更に置換基を有していてもよい。
Rc9がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、及びキノキサリン等が挙げられる。Rc9がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は更に置換基を有していてもよい。
Rc9が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、Rc9と同様である。1又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n−ブタノイルアミノ基、n−ペンタノイルアミノ基、n−ヘキサノイルアミノ基、n−ヘプタノイルアミノ基、n−オクタノイルアミノ基、n−デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α−ナフトイルアミノ基、及びβ−ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
Rc9に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rc9に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が更に置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。Rc9に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
Rc9の中では、化学的に安定であることや、立体的な障害が少なく、オキシムエステル化合物の合成が容易であること等から、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、及び炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基からなる群より選択される基が好ましく、炭素原子数1〜6のアルキルがより好ましく、メチル基が特に好ましい。
Rc9がフェニル基に結合する位置は、Rc9が結合するフェニル基について、フェニル基とオキシムエステル化合物の主骨格との結合手の位置を1位とし、メチル基の位置を2位とする場合に、4位、又は5位が好ましく、5位がより好ましい。また、dは、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0又は1が特に好ましい。
上記式(c4)におけるRc3は、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基である。Rc3の具体例は、式(c1)について前述した通りである。式(c4)中のRc3としては、メチル基、エチル基、及びフェニル基が好ましく、メチル基、及びフェニル基がより好ましい。
オキシムエステル化合物のうち、式(c1)に含まれるが式(c4)に含まれない化合物の、好適例としては以下の化合物が挙げられる。
また、オキシムエステル化合物として特に好適である式(c4)で表されるオキシムエステル化合物の中でも特に好適な化合物としては、下記式の化合物が挙げられる。
(C)光重合開始剤がオキシムエステル化合物を含む場合、(C)光重合開始剤は、オキシムエステル化合物のみを含むのが好ましいが、オキシムエステル化合物の以外の化合物を含んでいてもよい。(C)光重合開始剤中の、オキシムエステル化合物以外の化合物の含有量は、(C)光重合開始剤の全質量に対して、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が特に好ましい。
(C)光重合開始剤の含有量は、感光性樹脂組成物中の固形分の質量に対して1〜15質量%であることが好ましい。上記の範囲とすることにより、良好な塗布性と硬化性とを兼ね備える感光性樹脂組成物を調製しやすい。
<(D)遮光剤>
感光性樹脂組成物は、エポキシ樹脂で被覆処理されたカーボンブラック及び/又はシランカップリング剤で処理されたカーボンブラックを含む遮光剤を含有する。感光性樹脂組成物が(D)遮光剤としてエポキシ樹脂で被覆処理されたカーボンブラック及び/又はシランカップリング剤で処理されたカーボンブラックを含有することにより、この感光性樹脂組成物を用いて、耐熱フロー性に優れ、かつ、加熱により基板への密着性及び体積抵抗値が低下しにくいパターンを形成しやすい。エポキシ樹脂で被覆処理されたカーボンブラック及びシランカップリング剤で処理されたカーボンブラックの各々は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(D)遮光剤は、本発明の目的を阻害しない範囲で、色相の調節等の目的で、カーボンブラック以外の着色剤を含んでいてもよい。(D)遮光剤、特に、カーボンブラックとしては、分散剤を用いて分散されたものを用いるのが好ましい。以下、(D)遮光剤に関して、エポキシ樹脂、シランカップリング剤、カーボンブラック、カーボンブラック以外の着色剤、エポキシ樹脂によるカーボンブラックの被覆処理、シランカップリング剤によるカーボンブラックの処理、及びカーボンブラックの分散方法について順に説明する。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。エポキシ樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。カーボンブラックに対するエポキシ樹脂の被覆量は、カーボンブラックとエポキシ樹脂との合計量に対し1〜30質量%であることが好ましい。上記下限値以上とすることにより、未処理のカーボンブラック以上の分散性、分散安定性、及び絶縁性が得られやすい。また、上記上限値以下とすることにより、分散性を良好なものとしやすい。
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。シランカップリング剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。シランカップリング剤としては、感光性樹脂組成物を用いて、耐熱フロー性に優れ、かつ、加熱により基板への密着性及び体積抵抗値が低下しにくいパターンを形成しやすい点から、下記式(1)で表されるシランカップリング剤が好ましい。
R1 pR2 (3−p)Si−R3−NH−C(O)−Y−R4−X・・・(1)
(式(1)中、R1はアルコキシ基であり、R2はアルキル基であり、pは1〜3の整数であり、R3はアルキレン基であり、Yは−NH−、−O−、又は−S−であり、R4は単結合、又はアルキレン基であり、Xは、置換基を有していてもよく単環でも多環でもよい含窒素ヘテロアリール基であり、X中の−Y−R4−と結合する環は含窒素6員芳香環であり、−Y−R4−は前記含窒素6員芳香環中の炭素原子と結合する。)
式(1)中、R1はアルコキシ基である。R1について、アルコキシ基の炭素原子数は1〜6が好ましく、1〜4がより好ましく、シランカップリング剤の反応性の観点から1又は2が特に好ましい。R1の好ましい具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、及びn−ヘキシルオキシ基が挙げられる。これらのアルコキシ基の中では、メトキシ基、及びエトキシ基が好ましい。
アルコキシ基であるR1が加水分解されて生成するシラノール基がカーボンブラックの表面に存在する水酸基、カルボキシル基等の活性水素原子を含む官能基と反応することで、シランカップリング剤がカーボンブラックの表面に結合する。このため、シランカップリング剤をカーボンブラックの表面に結合させやすい点から、pは3であるのが好ましい。
式(1)中、R2はアルキル基である。R2について、アルキル基の炭素原子数は1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、シランカップリング剤の反応性の観点から1又は2が特に好ましい。R2の好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、及びn−ドデシル基が挙げられる。
式(1)中、R3はアルキレン基である。R3について、アルキレン基の炭素原子数は1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、2〜4が特に好ましい。R3の好ましい具体例としては、メチレン基、1,2−エチレン基、1,1−エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ブタン−1,1−ジイル基、ブタン−2,2−ジイル基、ブタン−2,3−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、及びヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、及びドデカン−1,12−ジイル基が挙げられる。これらのアルキレン基の中では、1,2−エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、及びブタン−1,4−ジイル基が好ましい。
Yは−NH−、−O−、又は−S−であり、−NH−であるのが好ましい。これは、−CO−O−、又は−CO−S−で表される結合よりも、−CO−NH−で表される結合のほうが加水分解を受けにくいためである。Yが−NH−である化合物をシランカップリング剤として用いて処理されたカーボンブラックを含有する感光性樹脂組成物を用いてパターンを形成する場合、アルカリ現像液等による処理によってもシランカップリング剤の構造が変化しないため、シランカップリング剤の使用による所望する効果を得やすい。
R4は単結合、又はアルキレン基であり、単結合であるのが好ましい。R4がアルキレン基である場合の好ましい例は、R3と同様である。
Xは、置換基を有していてもよく単環でも多環でもよい含窒素ヘテロアリール基であり、X中の−Y−R4−と結合する環は含窒素6員芳香環であり、−Y−R4−は該含窒素6員芳香環中の炭素原子と結合する。理由は不明であるが、このようなXを有する化合物をシランカップリング剤として用いて処理したカーボンブラックを含む遮光剤を含有する感光性樹脂組成物を用いると、耐熱フロー性に優れ、かつ、加熱により基板への密着性及び体積抵抗値が低下しにくいパターンを形成しやすい。
Xが多環ヘテロアリール基である場合、ヘテロアリール基は、複数の単環が縮合した基であってもよく、複数の単環が単結合を介して結合した基であってもよい。Xが多環ヘテロアリール基である場合、多環ヘテロアリール基に含まれる環数は1〜3が好ましい。Xが多環ヘテロアリール基である場合、X中の含窒素6員芳香環に縮合又は結合する環は、ヘテロ原子を含んでいても含んでいなくてもよく、芳香環であっても芳香環でなくてもよい。
含窒素ヘテロアリール基であるXが有していてもよい置換基としては、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜6のアルケニル基、炭素原子数2〜6のアルケニルオキシ基、炭素原子数2〜6の脂肪族アシル基、ベンゾイル基、ニトロ基、ニトロソ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シアノ基、スルホン酸基、カルボキシル基、及びハロゲン原子等が挙げられる。Xが有する置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。Xが有する置換基の数は、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。Xが複数の置換基を有する場合、複数の置換基は同じであっても、異なっていてもよい。
上記の基の中でも、下記式の基がXとしてより好ましい。
以上説明した、式(1)で表される化合物の好適な具体例としては、以下の化合物1〜8が挙げられる。
シランカップリング剤としては、前述の式(1)で表されるシランカップリング剤以外のシランカップリング剤を用いてもよい。式(1)で表されるシランカップリング剤以外のシランカップリング剤の好適な例としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、及び3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルーブチリデン)プロピルアミンが挙げられる。
シランカップリング剤で処理されたカーボンブラックは、式(1)で表されるシランカップリング剤単独で処理されたカーボンブラックであっても、式(1)で表されるシランカップリング剤以外のシランカップリング剤単独で処理されたカーボンブラックであっても、式(1)で表されるシランカップリング剤と式(1)で表されるシランカップリング剤以外のシランカップリング剤との組み合わせで処理されたカーボンブラックであってもよい。
(カーボンブラック)
カーボンブラックは、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、公知のカーボンブラックから適宜選択して使用できる。カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック等の公知のカーボンブラックを用いることができる。
また、カーボンブラックとしては、酸性基を導入する処理を施されたカーボンブラックを用いるのが好ましい。酸性基が導入されたカーボンブラックを(D)遮光剤として含有する感光性樹脂組成物を用いる場合、絶縁性に優れるパターンを形成しやすいという利点がある反面、基板への密着性に優れる微細パターンを形成しにくい不具合がある。しかし、酸性基が導入されたカーボンブラックをエポキシ樹脂又はシランカップリング剤で処理することにより、かかるパターンの基板への密着性に関する不具合が解消されやすい。
カーボンブラックに導入される酸性基は、ブレンステッドの定義による酸性を示す官能基である。酸性基の具体例としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられる。カーボンブラックに導入された酸性基は、塩を形成していてもよい。酸性基と塩を形成するカチオンは、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。カチオンの例としては、種々の金属イオン、含窒素化合物のカチオン、アンモニウムイオン等が挙げられ、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン等のアルカリ金属イオンや、アンモニウムイオンが好ましい。
以上説明した酸性基を導入する処理を施されたカーボンブラックの中では、カルボン酸基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、及びスルホン酸塩基からなる群より選択される1種以上の官能基を有するカーボンブラックが好ましい。
カーボンブラックに酸性基を導入する方法は特に限定されない。酸性基を導入する方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
1)濃硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸等を用いる直接置換法や、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩等を用いる間接置換法により、カーボンブラックにスルホン酸基を導入する方法。
2)アミノ基と酸性基とを有する有機化合物と、カーボンブラックとをジアゾカップリングさせる方法。
3)ハロゲン原子と酸性基とを有する有機化合物と、水酸基を有するカーボンブラックとをウィリアムソンのエーテル化法により反応させる方法。
4)ハロカルボニル基と保護基により保護された酸性基とを有する有機化合物と、水酸基を有するカーボンブラックとを反応させる方法。
5)ハロカルボニル基と保護基により保護された酸性基とを有する有機化合物を用いて、カーボンブラックに対してフリーデルクラフツ反応を行った後、脱保護する方法。
これらの方法の中では、酸性基の導入処理が、容易かつ安全であることから、方法2)が好ましい。方法2)で使用されるアミノ基と酸性基とを有する有機化合物としては、芳香族基にアミノ基と酸性基とが結合した化合物が好ましい。このような化合物の例としては、スルファニル酸のようなアミノベンゼンスルホン酸や、4−アミノ安息香酸のようなアミノ安息香酸が挙げられる。
カーボンブラックに導入される酸性基のモル数は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。カーボンブラックに導入される酸性基のモル数は、カーボンブラック100gに対して、1〜200mmolが好ましく、5〜100mmolがより好ましい。
カーボンブラックは、樹脂による被覆処理を施されていてもよい。樹脂により被覆されたカーボンブラックを含有する感光性樹脂組成物を用いる場合、遮光性及び絶縁性に優れ、表面反射率が低いパターンを形成しやすい。カーボンブラックの被覆に使用できる樹脂の例としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、グリプタル樹脂、エポキシ樹脂、アルキルベンゼン樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンオキサイド、ポリスルフォン、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミノビスマレイミド、ポリエーテルスルフォポリフェニレンスルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。カーボンブラックに対する樹脂の被覆量は、カーボンブラックと樹脂の合計量を100質量部とする場合、1〜30質量部が好ましい。
特に、エポキシ樹脂で被覆処理されたカーボンブラックの製造に用いられるカーボンブラックの場合、カーボンブラックの被覆処理に用いられる上記樹脂としては、エポキシ樹脂以外の、上記で例示された具体的な樹脂が挙げられ、カーボンブラックに対するエポキシ樹脂及びエポキシ樹脂以外の樹脂の合計の被覆量は、カーボンブラックとエポキシ樹脂とエポキシ樹脂以外の樹脂との合計量を100質量部とする場合、1〜30質量部が好ましい。
(カーボンブラック以外の着色剤)
(D)遮光剤は、色調の調整の目的等で、カーボンブラックとともに、カーボンブラック以外の着色剤を含んでいてもよい。カーボンブラック以外の着色剤としては、公知の顔料、染料等を特に制限なく用いることができ、例えば、カーボンブラック以外の黒色顔料や、赤、青、緑、黄、紫等の有彩色の色素が挙げられる。カーボンブラック以外の黒色顔料としては、ペリレン系顔料、銀錫合金、チタンブラック、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀等の金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属硫酸塩又は金属炭酸塩等を挙げることができる。
また、カーボンブラック以外の着色剤としては、例えば、特開昭60−237403号公報又は特開平4−310901号公報に記載の顔料を挙げることができる。具体的には、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、より具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
C.I.ピグメントイエロー1(以下、「C.I.ピグメントイエロー」は同様で番号のみ記載する。)、3、11、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、55、60、61、65、71、73、74、81、83、86、93、95、97、98、99、100、101、104、106、108、109、110、113、114、116、117、119、120、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、166、167、168、175、180、185;
C.I.ピグメントオレンジ1(以下、「C.I.ピグメントオレンジ」は同様で番号のみ記載する。)、5、13、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、55、59、61、63、64、71、73;
C.I.ピグメントバイオレット1(以下、「C.I.ピグメントバイオレット」は同様で番号のみ記載する。)、19、23、29、30、32、36、37、38、39、40、50;
C.I.ピグメントレッド1(以下、「C.I.ピグメントレッド」は同様で番号のみ記載する。)、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、53:1、57、57:1、57:2、58:2、58:4、60:1、63:1、63:2、64:1、81:1、83、88、90:1、97、101、102、104、105、106、108、112、113、114、122、123、144、146、149、150、151、155、166、168、170、171、172、174、175、176、177、178、179、180、185、187、188、190、192、193、194、202、206、207、208、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、243、245、254、255、264、265;
C.I.ピグメントブルー1(以下、「C.I.ピグメントブルー」は同様で番号のみ記載する。)、2、15、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、66;C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37;
C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラウン26、C.I.ピグメントブラウン28;C.I.ピグメントブラック1、ピグメントブラック7。
カーボンブラック以外の着色剤の使用量は、(D)遮光剤の全質量を100質量部とする場合に、15質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。
(エポキシ樹脂によるカーボンブラックの被覆処理)
カーボンブラックのエポキシ樹脂による被覆処理方法は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。典型的には、エポキシ樹脂が可溶である有機溶媒の存在下で、エポキシ樹脂によりカーボンブラックを被覆する方法が挙げられる。
なお、(D)遮光剤がカーボンブラック以外の着色剤を含む場合、カーボンブラック以外の着色剤に対しても、カーボンブラックと同様に、エポキシ樹脂による被覆処理を行ってもよい。また、カーボンブラックとカーボンブラック以外の着色剤との混合物である(D)遮光剤に対して、エポキシ樹脂による被覆処理が行われてもよい。
(シランカップリング剤によるカーボンブラックの処理)
カーボンブラックのシランカップリング剤による処理方法は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。典型的には、シランカップリング剤が可溶である有機溶媒中で、水の存在下に、カーボンブラックとシランカップリング剤とを反応させる方法が好ましい。
シランカップリング剤によるカーボンブラックの処理に好適に使用できる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、及びn−ブタノール等の1価アルカノール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ペンタメチレングリコール、トリメチレングリコール、ブチレングリコール、イソブチレングリコール、チオジグリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、及び2−ブテン−1,4−ジオール、及びグリセリン等の多価アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、及びジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル等のグリコールエーテル類;エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、4−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−エチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2−エトキシブチルアセテート、4−エトキシブチルアセテート、4−プロポキシブチルアセテート、2−メトキシペンチルアセテート、3−メトキシペンチルアセテート、4−メトキシペンチルアセテート、2−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、及び4−メチル−4−メトキシペンチルアセテート等のグリコールエーテルエステル類;アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤が挙げられる。有機溶媒の使用量は、カーボンブラックとシランカップリング剤とを含む処理液を容易に撹拌できる量であれば特に限定されない。有機溶媒の使用量は、カーボンブラックとシランカップリング剤とを含む処理液の固形分濃度が、5〜60質量%となるような量が好ましい。
シランカップリング剤の使用量は、所望する効果が得られる限り特に限定されない。シランカップリング剤の使用量は、カーボンブラック100質量部に対して、0.5〜15質量部が好ましく、3〜7質量部がより好ましい。
シランカップリング剤によるカーボンブラックの処理は、水の存在下に行われる。水は、カーボンブラックとシランカップリング剤とを含む処理液に添加されてもよいが、必ずしも、処理液に水が添加される必要はない。シランカップリング剤による処理が水分を十分に含む空気雰囲気下で行われる場合、空気中の水分により、シランカップリング剤が有するアルコキシ基が加水分解され、シラノール基が生成する。
シランカップリング剤によるカーボンブラックの処理を行う際の温度は、シランカップリング剤とカーボンブラックとの反応が良好に進行する限り特に限定されない。シランカップリング剤によるカーボンブラックの処理は、典型的には、25〜100℃で行われるのが好ましく、40〜60℃で行われるのがより好ましい。
上記の方法に従って、カーボンブラックをシランカップリング剤により処理した後、処理後に得られるカーボンブラックの懸濁液を、そのまま(D)遮光剤の分散液や、感光性樹脂組成物の調製に用いてもよい。また、処理後に得られるカーボンブラックの懸濁液を乾固させた後、得られる粉末状のカーボンブラックを、(D)遮光剤の分散液や、感光性樹脂組成物の調製に用いてもよい。
なお、(D)遮光剤がカーボンブラック以外の着色剤を含む場合、カーボンブラック以外の着色剤に対しても、カーボンブラックと同様に、シランカップリング剤による処理を行ってもよい。また、カーボンブラックとカーボンブラック以外の着色剤との混合物である(D)遮光剤に対して、シランカップリング剤による処理が行われてもよい。
(カーボンブラックの分散方法)
前述の通り、(D)遮光剤に含まれるカーボンブラックは、分散剤を用いて分散されたものであるのが好ましい。分散剤により分散されたカーボンブラックは、通常、分散媒中でカーボンブラックを分散剤により分散処理して得られる分散液の形態で用いられる。カーボンブラックの分散液の調製方法は特に限定されず、従来知られる、種々の顔料の分散液の調製方法に従って調製される。
分散液の調製方法の好適な例としては、分散媒と、カーボンブラックと、分散剤とを含む懸濁液を、公知の分散装置を用いて処理する方法が挙げられる。以下、カーボンブラック分散液の調製方法と、分散剤と、分散媒と、カーボンブラック分散液が含んでいてもよいその他の成分とについて説明する。
〔カーボンブラック分散液の調製方法〕
カーボンブラックの分散処理に使用される分散装置としては、従来、顔料の分散に使用されている種々の分散装置を使用することができる。好適な分散装置の具体例としては、ニーダー、ソルトミリングニーダー、ロールミル、プラネタリーミキサー、ペイントシェーカー、ボールミル、サンドミル、アトライター、パールミル、コボールミル、ホモミキサー、ホモジナイザー、湿式ジェットミル、 高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等を用いることができる。分散装置がメディアを使用するものである場合、当該メディアとしては、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ、磁性ビーズ、スチレンビーズ等を用いることができる。
超音波ホモジナイザーで分散処理を行う際は、予め上記のニーダー、ソルトミリングニーダー、ロールミル、プラネタリーミキサー、ホモミキサー、ホモジナイザー、湿式ジェットミル、高圧ホモジナイザー、及びビーズミル等を用いて、予備分散されたカーボンブラックを用いるのが好ましい。
〔分散剤〕
分散剤の種類は、カーボンブラックを良好に分散させることできるものであれば特に限定されず、従来から顔料分散に使用されている種々の分散剤を用いることができる。分散剤の好適な例としては、ポリエチレンイミン系高分子分散剤、ウレタン樹脂系高分子分散剤、及びアクリル樹脂系高分子分散剤等の高分子分散剤や、顔料誘導体等が挙げられる。高分子分散剤や顔料誘導体は、従来、顔料の分散処理時に使用される量と同様の量が使用される。
また、ポリアミック酸を含む分散剤を用いてカーボンブラックを分散させるのも好ましい。ポリアミック酸を含む分散剤を用いて分散されたカーボンブラックを含む(D)遮光剤を含有する感光性樹脂組成物を用いる場合、加熱による絶縁性の低下が抑制されたパターンを形成しやすい。
ポリアミック酸の分子鎖は、水素結合や、カーボンブラック表面との分子間力のような相互作用によってカーボンブラック一次粒子の表面に点で結合すると思われる。このため、カーボンブラックの一次粒子の表面で、ポリアミック酸の分子鎖がスペーサ的な作用を奏し、カーボンブラックの分散を促進させるとともに、分散を安定化させると考えられる。このため、ポリアミック酸を分散剤として用いて分散されたカーボンブラックを含む(D)遮光剤を含有する感光性樹脂組成物中ではカーボンブラックの凝集が起こりにくい。
ポリアミック酸の分子量は、質量平均分子量として、5,000〜30,000であるのが好ましく、10,000〜20,000であるのがより好ましい。ポリアミック酸の分子量がかかる範囲内であると、カーボンブラックを良好に分散させることができる。
ポリアミック酸の使用量は、カーボンブラックが良好に分散される限り特に限定されない。カーボンブラックの分散の容易さの点からは、ポリアミック酸は、カーボンブラック100質量部に対して、20〜80質量部使用されるのが好ましく、30〜70質量部使用されるのがより好ましい。
好適なポリアミック酸としては、例えば、下式(D1)で表される構成単位からなるポリアミック酸が挙げられる。
(式(D1)中、R
d1は4価の有機基であり、R
d2は2価の有機基であり、nは式(D1)で表される構成単位の繰り返し数である。)
式(D1)中、Rd1及びRd2は、それぞれ、4価の有機基であり、その炭素数は2〜50が好ましく、2〜30がより好ましい。Rd1及びRd2は、それぞれ、脂肪族基であっても、芳香族基であっても、これらの構造を組み合わせた基であってもよい。Rd1及びRd2は、炭素原子、及び水素原子の他に、ハロゲン原子、酸素原子、及び硫黄原子を含んでいてもよい。Rd1及びRd2が酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子を含む場合、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子は、含窒素複素環基、−CONH−、−NH−、−N=N−、−CH=N−、−COO−、−O−、−CO−、−SO−、−SO2−、−S−、及び−S−S−から選択される基として、Rd1及びRd2に含まれてもよく、−O−、−CO−、−SO−、−SO2−、−S−、及び−S−S−から選択される基として、Rd1及びRd2に含まれるのがより好ましい。
ポリアミック酸は、通常、テトラカルボン酸二無水物成分と、ジアミン成分とを反応させることにより調製される。以下、ポリアミック酸の調製に用いられる、テトラカルボン酸二無水物成分、ジアミン成分、及びポリアミック酸の製造方法について説明する。
・テトラカルボン酸二無水物成分
ポリアミック酸の合成原料となるテトラカルボン酸二無水物成分は、ジアミン成分と反応することによりポリアミック酸を形成可能なものであれば特に限定されない。テトラカルボン酸二無水物成分は、従来からポリアミック酸の合成原料として使用されているテトラカルボン酸二無水物から適宜選択することができる。テトラカルボン酸二無水物成分は、芳香族テトラカルボン酸二無水物であっても、脂肪族テトラカルボン酸二無水物であってもよいが、芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましい。テトラカルボン酸二無水物成分は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
芳香族テトラカルボン酸二無水物の好適な具体例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、及び3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらの中では、価格、入手容易性等から、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、及びピロメリット酸二無水物が好ましい。
・ジアミン成分
ポリアミック酸の合成原料となるジアミン成分は、テトラカルボン酸二無水物成分と反応することによりポリアミック酸を形成可能なものであれば特に限定されない。ジアミン成分は、従来からポリアミック酸の合成原料として使用されているジアミンから適宜選択することができる。ジアミン成分は、芳香族ジアミンであっても、脂肪族ジアミンであってもよいが、芳香族ジアミンが好ましい。ジアミン成分は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
芳香族ジアミンの好適な具体例としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、及び2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。これらの中では、価格、入手容易性等から、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが好ましい。
・ポリアミック酸の製造方法
以上説明した、テトラカルボン酸二無水物成分と、ジアミン成分とを、両者を溶解させることができる溶媒中で反応させることにより、ポリアミック酸が得られる。ポリアミック酸を合成する際の、テトラカルボン酸二無水物成分及びジアミン成分の使用量は特に限定されないが、テトラカルボン酸二無水物成分1モルに対して、ジアミン成分を0.50〜1.50モル用いるのが好ましく、0.60〜1.30モル用いるのがより好ましく、0.70〜1.20モル用いるのが特に好ましい。
ポリアミック酸の合成に用いることができる溶媒としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラメチルウレア、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、及びγ−ブチロラクトン等の非プロトン性極性有機溶媒や、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、及びプロピレングリコールモノアルキルエーテルプロピオネート等のグリコールエーテル類が挙げられる。これらの溶媒は、2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中では、N,N,N’,N’−テトラメチルウレアを用いるのが好ましい。
ポリアミック酸を合成する際の溶媒の使用量は、所望の分子量のポリアミック酸を合成できれば特に限定されない。典型的には、溶媒の使用量は、テトラカルボン酸二無水物成分の量とジアミン成分の量との合計100質量部に対して、100〜4000質量部が好ましく、150〜2000質量部がより好ましい。
テトラカルボン酸二無水物成分と、ジアミン成分とを反応させる際の温度は、反応が良好に進行する限り特に限定されない。典型的には、テトラカルボン酸二無水物成分と、ジアミン成分との反応温度は、−5〜150℃が好ましく、0〜120℃がより好ましく、0〜70℃が特に好ましい。また、テトラカルボン酸二無水物成分と、ジアミン成分とを反応させる時間は、反応温度によっても異なるが、典型的には、1〜50時間が好ましく、2〜40時間がより好ましく、5〜30時間が特に好ましい。
〔分散媒〕
カーボンブラックを分散させる際の分散媒は、カーボンブラックを良好に分散させることができれば特に限定されない。分散媒は、従来から、カーボンブラックを分散させる際の分散媒として使用されている液状の媒体であって、分散剤が可溶な媒体から適宜選択できる。典型的には、極性の有機溶媒が分散媒として好ましい。分散媒は、分散剤が可溶である範囲内において水を含んでいてもよい。
分散媒の好適な具体例としては、水;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ペンタメチレングリコール、トリメチレングリコール、ブチレングリコール、イソブチレングリコール、チオジグリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、及び2−ブテン−1,4−ジオール、グリセリン等の多価アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、及びジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル等の多価アルコールエーテル類;アセトニルアセトン等のケトン類;γ−ブチロラクトン、ジアセチン、リン酸トリエチル等のエステル類;2−メトキシエタノール、及び2−エトキシエタノール等の低級アルコキシアルコール類;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、及びペンタメチルジエチレントリアミン等のアミン類;ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、及びN,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;N,N,N’,N’−テトラメチルウレア、及びN,N,N’,N’−テトラエチルウレア等のウレア類;2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、モルホリン、N−エチルモルホリン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、イミダゾール、メチルイミダゾール、ヒドロキシイミダゾール、ジメチルアミノピリジン、1,3−プロパンスルトン、ヒドロキシエチルピペラジン、及びピペラジン等の複素環化合物類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;スルホラン等のスルホン類が挙げられる。以上説明した、N,N,N’,N’−テトラメチルウレア以外の溶媒は、2種以上組み合わせて、N,N,N’,N’−テトラメチルウレアを含有する溶媒中に含まれていてもよい。
以上説明した分散媒の中では、N,N,N’,N’−テトラメチルウレアを含有する有機溶媒が好ましい。N,N,N’,N’−テトラメチルウレアを含有する有機溶媒中で、ポリアミック酸を分散剤としてカーボンブラックを分散させることによって、カーボンブラックを速やかかつ良好に分散させることができる。
N,N,N’,N’−テトラメチルウレアを含有する有機溶媒中の、N,N,N’,N’−テトラメチルウレアの含有量は、カーボンブラックの分散状態を良好に保てる範囲で特に限定されない。典型的には、N,N,N’,N’−テトラメチルウレアを含有する有機溶媒中の、N,N,N’,N’−テトラメチルウレアの含有量は、50質量%以上であるのが好ましく、70質量%以上であるのがより好ましく、90質量%以上であるのが特に好ましく、100質量%であるのが最も好ましい。
カーボンブラック分散液中の、分散媒の含有量は、カーボンブラックの分散状態を良好に保てる限り特に限定されない。カーボンブラック分散液は、通常、カーボンブラック分散液の固形分濃度が、5〜60質量%、好ましくは20〜40質量%となるような量で、分散媒を含む。
〔その他の成分〕
カーボンブラック分散液は、従来、カーボンブラック分散液に配合されている種々の添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、粘度調整剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、及び消泡剤等が挙げられる。これらの添加剤は、カーボンブラック分散液の性質に悪影響を与えない範囲で、従来、カーボンブラック分散液に配合される量と同様の量用いられる。
感光性樹脂組成物における(D)遮光剤の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で適宜選択でき、典型的には、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、25〜70質量%が好ましく、30〜65質量%がより好ましく、35〜60質量%が特に好ましい。かかる範囲の量の遮光剤を用いることにより、感光性樹脂組成物を用いて形成されるブラックマトリクスやブラックフォトスペーサの遮光性を良好なものとしつつ、感光性樹脂組成物を露光する際の露光不良や硬化不良を抑制しやすい。
着色剤(D)におけるエポキシ樹脂で被覆処理されたカーボンブラック及び/又はシランカップリング剤で処理されたカーボンブラックの割合は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95〜100質量%であることが更により好ましい。上記範囲とすることで、得られる感光性樹脂組成物は感度が良好となりやすく、得られる硬化物は、耐熱性及び耐薬品性が良好となりやすく、ブラックマトリクスやブラックフォトスペーサとしての機能を維持しやすい。
<(E)光吸収剤>
感光性樹脂組成物は、光吸収剤を含有していてもよい。光吸収剤としては、特に限定されず、露光光を吸収することができるものを用いることができるが、特に、200〜450nmの波長領域の光を吸収するものが好ましい。例えば、ナフタレン化合物、ジナフタレン化合物、アントラセン化合物、フェナントロリン化合物、染料等が挙げられる。
具体的には、桂皮酸2−エチルヘキシル、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、メトキシケイ皮酸イソプロピル、メトキシケイ皮酸イソアミル等の桂皮酸誘導体;α−ナフトール、β−ナフトール、α−ナフトールメチルエーテル、α−ナフトールエチルエーテル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のナフタレン誘導体;アントラセン、9,10−ジヒドロキシアントラセン等のアントラセン及びその誘導体;アゾ系染料、ベンゾフェノン系染料、アミノケトン系染料、キノリン系染料、アントラキノン系染料、ジフェニルシアノアクリレート系染料、トリアジン系染料、p−アミノ安息香酸系染料等の染料;等が挙げられる。これらの中でも、桂皮酸誘導体、ナフタレン誘導体を用いることが好ましく、桂皮酸誘導体を用いることが特に好ましい。(E)光吸収剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(E)光吸収剤の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分100質量部に対して0.5〜20質量部であることが好ましい。上記の範囲とすることにより、硬化後の破壊強度を良好に保ちながら、露光量を変化させたときの膜厚変化の割合を大きくすることができる。
<(F)(B)酸性基含有(メタ)アクリレートモノマー以外の光重合性モノマー>
感光性樹脂組成物は、(B)酸性基含有(メタ)アクリレートモノマー以外の光重合性モノマー(以下、「他の光重合性モノマー」ともいう。)を含有していてもよい。(F)他の光重合性モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。(F)他の光重合性モノマーには、単官能モノマーと多官能モノマーとがある。
単官能モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。単官能モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
一方、多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(即ち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN−メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等の多官能モノマーや、トリアクリルホルマール等が挙げられる。多官能モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(F)他の光重合性モノマーの含有量は、感光性樹脂組成物の固形分に対して3〜15質量%であることが好ましく、5〜12質量%であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感度、現像性、解像性のバランスがとりやすい傾向がある。
<(S)有機溶剤>
感光性樹脂組成物は、希釈のための有機溶剤を含有することが好ましい。有機溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、蟻酸n−ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。
これらの中でも、アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ケトン類、上述した他のエーテル類、乳酸アルキルエステル類、上述した他のエステル類が好ましく、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ケトン類、上述した他のエーテル類、上述した他のエステル類がより好ましい。(S)有機溶剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(S)有機溶剤の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分濃度が1〜50質量%となる量が好ましく、5〜30質量%となる量がより好ましい。
<その他の成分>
本発明に係る感光性樹脂組成物は、必要に応じて、各種の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、増感剤、硬化促進剤、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、凝集防止剤、熱重合禁止剤、消泡剤、界面活性剤等が挙げられる。
密着促進剤としては、シランカップリング剤が好ましい。感光性樹脂組成物に対して、カーボンブラックの処理に用いられたシランカップリング剤とは別に、シランカップリング剤を配合することによって、基板への密着性に極めて優れるパターンを形成可能な感光性樹脂組成物が得られやすい。
密着促進剤として使用されるシランカップリング剤は、前述の式(1)で表されるシランカップリング剤でもよく、式(1)で表されるシランカップリング剤以外のシランカップリング剤であってもよい。
≪パターン化された硬化物の製造方法≫
本発明に係るパターン化された硬化物の製造方法は、前述の感光性樹脂組成物を用いて感光性樹脂組成物膜を形成する工程と、形成された感光性樹脂組成物膜をパターンの形状に合わせて位置選択的に露光する工程と、露光された感光性樹脂組成物膜を現像する工程と、を含む。
まず、感光性樹脂組成物膜を形成する工程では、例えば、感光性樹脂組成物を基板上に塗布して感光性樹脂組成物膜を形成することができる。より具体的には、パターン化された硬化物が形成されるべき基板上に、ロールコーター、リバースコーター、バーコーター等の接触転写型塗布装置やスピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコーター等の非接触型塗布装置を用いて感光性樹脂組成物が塗布される。塗布後、必要に応じて、乾燥により溶媒を除去して、感光性樹脂組成物膜が形成される。
次いで、ネガ型のマスクを介して、感光性樹脂組成物膜に紫外線、エキシマレーザー光等の活性エネルギー線を照射し、感光性樹脂組成物膜をパターンの形状に応じて部分的に露光する。露光には、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、カーボンアーク灯等の紫外線を発する光源を用いることができる。露光量は感光性樹脂組成物の組成によっても異なるが、例えば10〜600mJ/cm2程度が好ましい。
なお、TFT基板等の、その表面に素子を備える基板上に、硬化物としてブラックフォトスペーサを形成する場合、素子上に、又は、素子が形成された基板と対になる基板の素子と対向する箇所に、ブラックフォトスペーサを形成する必要がある場合がある。かかる場合、素子の高さを考慮して、素子が形成された箇所と、その他の箇所とで、ブラックフォトスペーサの高さを変える必要がある。そこで、このような場合には、ハーフトーンマスクを介して露光を行うのが好ましい。
次いで、位置選択的に露光された感光性樹脂組成物膜を現像液で現像することにより、硬化物が形成される。現像方法は特に限定されず、浸漬法、スプレー法等を用いることができる。現像液の具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機系のものや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等の水溶液が挙げられる。
その後、必要に応じて、現像後の感光性樹脂組成物膜の不溶部分にポストベークを施して、パターン化された硬化物が形成される。ポストベークは、150〜250℃で15〜60分間が好ましい。
このようにして製造されるパターン化された硬化物は、耐熱フロー性に優れ、加熱による基板への密着性及び体積抵抗値の低下が抑制されているため、種々の表示装置におけるブラックマトリクスやブラックフォトスペーサとして好適に使用される。
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜17、及び比較例1〜9]
表1に示す通り、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)酸性基含有(メタ)アクリレートモノマー、(C)光重合開始剤、(D)遮光剤、及び(F)(B)酸性基含有(メタ)アクリレートモノマー以外の光重合性モノマーを有機溶剤中で均一に混合した後、有機溶剤で固形分濃度15質量%に希釈して感光性樹脂組成物を得た。表1中の括弧内の数値は各成分の配合量(単位:質量部)を表す。
希釈用の有機溶剤としては、3−メトキシブチルアセテート(MA)と、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PM)と、シクロヘキサノン(AN)との混合溶媒(混合比(質量比):MA/PM/AN=60/20/20)を用いた。
(A)アルカリ可溶性樹脂
樹脂A−1:下記方法により得られた樹脂(固形分55質量%、溶剤:3−メトキシブチルアセテート、表1中の配合量は固形分換算)
〔アルカリ可溶性樹脂合成例〕
まず、500ml四つ口フラスコ中に、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量235)235g、テトラメチルアンモニウムクロライド110mg、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール100mg、及びアクリル酸72.0gを仕込み、これに25ml/分の速度で空気を吹き込みながら90〜100℃で加熱溶解した。次に、溶液が白濁した状態のまま徐々に昇温し、120℃に加熱して完全溶解させた。この際、溶液は次第に透明粘稠になったが、そのまま撹拌を継続した。この間、酸価を測定し、1.0mgKOH/g未満になるまで加熱撹拌を続けた。酸価が目標値に達するまで12時間を要した。そして室温まで冷却し、無色透明で固体状の下記式(a−4)で表されるビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレートを得た。
次いで、このようにして得られた上記のビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレート307.0gに3−メトキシブチルアセテート600gを加えて溶解した後、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物80.5g及び臭化テトラエチルアンモニウム1gを混合し、徐々に昇温して110〜115℃で4時間反応させた。酸無水物基の消失を確認した後、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸38.0gを混合し、90℃で6時間反応させ、樹脂A−1を得た。酸無水物基の消失はIRスペクトルにより確認した。
なお、この樹脂A−1は、上記式(a−1)で表される樹脂に相当する。
樹脂A−2:下記構成単位からなる不飽和結合を有するアクリル系樹脂(各構成単位の添え字は、アクリル系樹脂を構成する全構成単位における、各構成単位のモル比率であり、xは0〜15の数である。質量平均分子量:8000)
なお、樹脂A−2は、下記化合物A−21と下記化合物A−22とをモル比55:45で重合させて共重合体を得た後、この共重合体中のカルボキシル基(下記化合物A−22由来のもの)と下記化合物A−23中のエポキシ基とを反応させることで得た。
(B)酸性基含有(メタ)アクリレートモノマー
B−1:下記式で表される化合物
(C)光重合開始剤
OXE02:エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル],1−(O−アセチルオキシム)(BASF製「IRGACURE OXE02」)
(D)遮光剤
D−1:エポキシ樹脂で被覆処理されたカーボンブラック
D−2:下記シランカップリング剤SC−Aで処理されたカーボンブラック
D−3:下記シランカップリング剤SC−Bで処理されたカーボンブラック
D−4:下記シランカップリング剤SC−Cで処理されたカーボンブラック
D−5:未処理のカーボンブラック(Regal 250R、Cabot社製)
シランカップリング剤で処理されたカーボンブラックを以下の方法で得た。
未処理のカーボンブラック(Regal 250R、Cabot社製)50gと、下記シランカップリング剤SC−A、SC−B、又はSC−Cを濃度1質量%で含む、シランカップリング剤のイソプロピルアルコール溶液200gとを混合し、60℃、3時間撹拌した。撹拌後のカーボンブラックを含む懸濁液を100℃に加熱して、イソプロピルアルコールと、副生メタノールとを揮発させ、シランカップリング剤で処理されたカーボンブラックの粉体を得た。
(F)(B)酸性基含有(メタ)アクリレートモノマー以外の光重合性モノマー
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
得られた感光性樹脂組成物について、下記方法に従って、OD値、現像後パターニング特性、耐熱性(耐熱フロー性)、密着性、及び体積抵抗値を評価した。これらの評価結果を表2に記す。
〔OD値の評価〕
6インチのガラス基板(ダウ・コーニング製、1737ガラス)上に、感光性樹脂組成物を塗布した後、90℃で60秒間乾燥して感光性樹脂組成物層を形成した。次いで、この感光性樹脂組成物層に60mJ/cm2の露光量でghi線を照射した。そして、230℃で20分間、ホットプレート上でポストベークを行った。形成された遮光膜の膜厚は0.8μm、1.0μm、1.2μmの3水準であった。この遮光膜について、D200−II(Macbeth製)を用いて各膜厚におけるOD値を測定し、近似曲線にて1μmあたりのOD値を算出した。
〔現像後パターニング特性の評価〕
感光性樹脂組成物を、ガラス基板(100mm×100mm)上にスピンコーターを用いて塗布した後、90℃で120秒間プリベークを行い、膜厚1.0μmの感光性樹脂組成物膜を形成した。次いで、ミラープロジェクションアライナー(製品名:TME−150RTO、株式会社トプコン製)を使用し、露光ギャップを50μmとして、10μmのラインを備えるラインアンドスペースパターンが形成されるように設計されたネガマスクを介して、感光性樹脂組成物膜に紫外線を露光量100mJ/cm2で照射した。露光後の感光性樹脂組成物膜を、26℃の0.04質量%KOH水溶液で50秒間現像して、ラインアンドスペースパターンを形成した。
形成されたラインアンドスペースパターンを光学顕微鏡により観察し、ラインの直線性及びラインの剥離の有無を評価した。
〔耐熱性(耐熱フロー性)の評価〕
上記ラインアンドスペースパターンに対して、230℃にて30分間ポストベークを行った後、断面形状を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。上記パターンの側面と上記ガラス基板との間の角度を測定し、以下の基準に従って耐熱性(耐熱フロー性)を評価した。
◎(極めて良好):上記角度が80°以上90°以下であった。
○(良好):上記角度が60°以上80°未満であった。
△(不良):上記角度が40°以上60°未満であった。
×(極めて不良):上記角度が40°未満であった。
〔密着性の評価〕
上記OD値の評価と同様にして膜厚1.0μmの遮光膜を形成した。この遮光膜に対して垂直にエポキシ接着剤付きスタッドピンを取り付け、220℃で5分間、加熱乾燥させて、上記スタッドピンを固定した。島津小型卓上試験機EZ test(商品名、島津製作所製)を用いて0.5mm/minの速度で上記遮光膜に対して垂直に上記スタッドピンを引張り、引張り強度として密着強度を測定した。以下の基準に従って密着性を評価した。
◎(極めて良好):上記密着強度が300N以上330N以下であった。
○(良好):上記密着強度が270N以上300N未満であった。
△(不良):上記密着強度が240N以上270N未満であった。
×(極めて不良):上記密着強度が240N未満であった。
〔体積抵抗値の評価〕
上記OD値の評価と同様にして膜厚1.0μmの遮光膜を形成した。この遮光膜について、Hiresta MCP HT−450(商品名、三菱化学製)を用いて体積抵抗値(Ω・cm)を測定した。
表2から分かるように、実施例では、アルカリ可溶性樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、及び遮光剤を含有する感光性樹脂組成物に、光重合性モノマーとして、酸性基含有(メタ)アクリレートモノマーを配合し、遮光剤として、エポキシ樹脂で被覆処理されたカーボンブラック及び/又はシランカップリング剤で処理されたカーボンブラックを含む遮光剤を配合することにより、耐熱フロー性に優れ、かつ、加熱により基板への密着性及び体積抵抗値が低下しにくい黒色のパターンを製造可能な感光性樹脂組成物が得られることが確認された。
一方、比較例では、アルカリ可溶性樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、及び遮光剤を含有する感光性樹脂組成物に、光重合性モノマーとして、酸性基含有(メタ)アクリレートモノマーを配合しなかった結果、及び/又は、遮光剤として、エポキシ樹脂で被覆処理されたカーボンブラックもシランカップリング剤で処理されたカーボンブラックを含む遮光剤も配合しなかった結果、得られた感光性樹脂組成物について、耐熱フロー性、加熱後の基板への密着性、及び加熱後の体積抵抗値の少なくとも2つに劣ることが確認された。