JP6195514B2 - 配線基板およびその製造方法 - Google Patents
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図1は、本発明の第1実施形態としての配線基板100の構成を示す概略断面図である。図1には、便宜上、配線基板100が使用される際の上下方向を示す矢印を図示してある。配線基板100は、ICパッケージ基板やインターポーザーとして利用されるビルドアップ基板であり、上面側に半導体素子等が接続され、下面側にマザーボードが接続される。
図10は、金属膜50の構成の相違による配線基板100の不良発生率を検証した実験結果を示す説明図である。図10には、金属膜50の構成が異なる配線基板100のサンプルA〜Eについて、金属膜50の構成を示す概略図と、不良率と、を表にまとめてある。サンプルA〜Eはいずれも、金属膜50の構成が異なる点以外はほぼ同じ構成を有しており、上述した図2の製造工程に則って下記の製造条件により作製された。
(1)工程1:ガラス基板の準備
・使用したガラス基板:ホウケイ酸系ガラス;日本電気硝子株式会社製OA−10G(縦横の長さ150mm,厚さ0.1mm)
(2)工程2:樹脂層の形成
・使用したシランカップリング剤:信越化学工業株式会社製KBM−903
・使用したラミネート樹脂:
サンプルB以外:日本ゼオン株式会社製ZS−100(厚さ20μm)
サンプルB:感光性樹脂
・ラミネート加工における熱プレス条件:最高0.7MPa、110℃
(3)工程3:ビアの形成
・熱硬化処理の条件:180℃、30分間
・使用したレーザー:炭酸ガスレーザー
・ビアの開口径:100μm
(4)工程4:溝の形成
・溝のサイズ:幅約300μm,深さ約20μm
・溝の形成方法:
サンプルA,C:炭酸ガスレーザー
サンプルB:フォトリソグラフィ
サンプルD,Eでは工程4は省略。
(5)工程5:配線層の形成
・シード層の形成方法:
サンプルA,C:無電解銅めっき処理
サンプルB:スパッタリングによる銅の成膜処理
・配線材料層の形成方法:電解銅めっき処理
(6)工程6:ビルドアップ工程
上記工程2,工程5と同様の条件で樹脂層、配線層を形成
(7)工程7:配線基板の切り出し
・切り出し方法:ダイサーによる切り出し
(1)サンプルA:
サンプルAの金属膜50aは、図1で説明したのと同様に、第1の部位51と、第2の部位52と、第3の部位53と、を有している。サンプルAの製造工程では、金属膜50aを形成するための溝55がレーザー加工によって形成されたため、溝55の底面ではコア基板10の表面がわずかに削られた状態になっていた。そのため、サンプルAの金属膜50aは、第1の部位51がコア基板10の表面からわずかに窪むように形成された。
(2)サンプルB:
サンプルBの金属膜50bは、サンプルAと同様に、第1の部位51と、第2の部位52と、第3の部位53と、を有している。ただし、サンプルBの製造工程では、金属膜50bを形成するための溝55はフォトリソグラフィによって形成されたため、溝55の底面におけるコア基板10の表面はほぼ平坦なままであった。そのため、サンプルBの金属膜50bでは、第1の部位51がコア基板10の表面上においてほぼ平坦に形成された。
(3)サンプルC:
サンプルCの金属膜50cは、コア基板10の一方の面側にのみ形成されている点以外は、サンプルAの金属膜50aとほぼ同じである。なお、サンプルCの製造工程では、工程7における切り出しの際に、金属膜50cが形成されていない面側からダイサーによる切削が行われた。
(4)サンプルD:
サンプルDの金属膜50dは、第1と第2の樹脂層31,32が形成される前に、ガラス基板10aの表面における配線基板100が切り出される切断線上にめっき処理によって形成された。そのため、サンプルDの金属膜50dは第2と第3の部位52,53に相当する部位を有しておらず、コア基板10の表面上においてほぼ平坦に形成された。
(5)サンプルE:
サンプルEの金属膜50eは、第1と第2の樹脂層31,32が形成された後に、溝55を形成することなく、第1と第2の樹脂層31,32の表面上にめっき処理によって形成された。サンプルEの金属膜50eは第2と第3の部位52,53に相当する部位を有しておらず、第1と第2の樹脂層31,32の表層においてほぼ平坦に形成された。また、サンプルEの金属膜50eは、配線基板100が切り出される切断線より内周側に形成された。
複数個ずつ作製したサンプルA〜Dの試験体に対して、熱衝撃試験(環境試験規格MIL−STD−883D)を実施し、デラミネーションが発生する確率(不良率)を求めた。この熱衝撃試験では、各試験体が配置される環境温度を低温(−65℃)と高温(+150℃)との間で周期的に増減させるサイクルを1000サイクル繰り返した。なお、サンプルEについては、切り出し加工の際にほとんどの試験体にデラミネーションが発生してしまっていたため、熱衝撃試験を実施しなかった。
(1)サンプルA,B,Dについて
サンプルAの不良率は0%であり、サンプルBの不良率は10%であった。これに対して、サンプルDの不良率は35%であった。この結果から、金属膜50は、3つの部位51〜53を有する方が、第1の部位51に相当する部位のみを有する場合よりもデラミネーションの発生を抑制できることがわかる。また、サンプルA,Bの結果から、レーザーで溝加工を行った方が、フォトリソグラフィによって溝加工を行った場合よりデラミネーションの発生を抑制できることがわかる。これは、レーザー加工を行った場合には、金属膜50の下地となるコア基板10の表面が粗くなり、金属膜50のコア基板10に対する密着性が高められるためであると推察される。
(2)サンプルCについて
サンプルCでは、切り出し工程においてデラミネーションが約65%の確率で発生した。切り出し工程においてデラミネーションが発生していなかったものについて熱衝撃試験を行ったところ、ほとんどの試験体でデラミネーションの発生は見られなかった。この結果から、金属膜50がコア基板10の片面にのみ形成されていたとしても環境温度に起因するデラミネーションの発生が抑制されることがわかる。
(3)サンプルEについて
上記のように、サンプルEについては、工程7の切り出しの際にほとんどの試験体にデラミネーションが発生してしまった。
図11は、本発明の第2実施形態としての配線基板100Aの構成を示す概略断面図である。第2実施形態の配線基板100Aは、金属膜50Aの構成が異なる点以外は、第1実施形態の配線基板100(図1)とほぼ同じ構成である。
C1.変形例1:
上記各実施形態の金属膜50,50Aは、配線基板100,100Aの外周全体にわたって形成されている。これに対して、金属膜50,50Aは、配線基板100,100Aの外周の一部にのみ形成されていても良い。金属膜50,50Aは、配線基板100,100Aの外周上において複数箇所に分散して形成されていても良い。金属膜50,50Aは、例えば、配線基板の対向しあう2辺にのみ形成されても良いし、各辺の中央部にのみ形成されていても良い。金属膜50,50Aは、配線基板100,100Aの外周端部において周方向に帯状または線状に延びるように形成されていれば良い。ここで、「線状または帯状」とは、少なくとも延伸方向における長さが、延伸方向に垂直な方向の幅よりも大きくなっている形状を意味する。金属膜50,50Aの幅は、第1または第2の樹脂層31,32の厚みと同じでなくても良い。金属膜50,50Aの幅はその延伸方向に一定でなくても良く、延伸方向に変化しても良い。この場合において、「線状または帯状」とは、延伸方向における長さが、延伸方向全体における幅の平均値よりも大きくなっている形状を意味する。
上記の各実施形態の金属膜50,50Aはコア基板10の両面に設けられている。これに対して、金属膜50,50Aは、上記第1実施形態の実施例で説明したサンプルC(図10)のようにコア基板10の上面または下面の片面のみに設けられていても良い。
上記の各実施形態のコア基板10はガラス材料によって構成されている。これに対して、コア基板10はガラス材料以外の材料で構成されても良い。コア基板10は、ガラス材料と、セラミックス材料と、ガラスセラミックス材料と、のうちの少なくともいずれか一つによって形成されていれば良い。これらの材料であれば、金属との密着性が高いため、コア基板10と金属膜50,50Aとの間の高い密着性を確保することができる。また、コア基板10は、単層の板状部材でなくても良い。コア基板10は、低温焼成セラミックス多層基板などの多層構造のセラミックス基板であっても良い。
上記の各実施形態の金属膜50,50Aは、第1と第2の配線層41,42とともにめっき処理によって形成されている。これに対して、金属膜50,50Aは、第1と第2の配線層41,42を形成する工程とは別の工程において形成されても良い。この場合には、金属膜50,50Aは、第1と第2の配線層41,42を構成する配線材料とは異なる金属材料によって形成されても良いし、めっき処理によって形成されなくても良い。金属膜50,50Aは、予め準備された金属製の延伸膜状部材を第1と第2の樹脂層31,32の外周端部に配置することによって形成されても良い。
上記の各実施形態の金属膜50,50Aは、電源配線および信号配線から電気的に独立しているダミー電極として形成されている。これに対して、金属膜50,50Aは、第1と第2の配線層41,42と電気的に接続されて、電源配線および信号配線として機能するように構成されても良い。また、金属膜50,50Aは、接地配線として機能するように構成されても良い。
上記の各実施形態の配線基板100,100Aは4つのビルドアップ層21〜24を備えている。これに対して、配線基板100,100Aでは、第3と第4のビルドアップ層23,24が省略され、第1と第2のビルドアップ層21,22の表層にソルダーレジスト層81,82および半田バンプ85が形成されていても良い。また、配線基板100,100Aでは、コア基板10の片面側のビルドアップ層が省略されても良い。また、配線基板100,100Aでは、コア基板10の上に3層以上のビルドアップ層が積層されても良い。
上記の各実施形態の配線基板100,100Aの各配線層41,42,71,72は、めっき処理によって形成されていた。これに対して、各配線層41,42,71,72は、めっき処理以外の方法によって形成されても良い。各配線層41,42,71,72は例えばスクリーン印刷など、導電性ペーストの印刷によって形成されても良い。また、上記の各実施形態の配線基板100,100Aは、多数個取り基板10cから溝55の底面上の切断線によって切り出されている。これに対して、各実施形態の配線基板100,100Aは、溝55の外周における切断線によって多数個取り基板10cから切り出されても良い。上記の各実施形態の配線基板100,100Aは多数個取り基板10cから切り出されて作製されている。これに対して、配線基板100,100Aはそれぞれ別個に作製されても良い。
10a…ガラス基板
10b…樹脂ラミネート基板
10c…多数個取り基板
21〜24…第1〜第4のビルドアップ層
31,32…第1と第2の樹脂層
41,42…第1と第2の配線層
45…配線材料層
45s…シード層
50,50a〜50c,50A…金属膜
51〜53…第1〜第3の部位
55…溝
61,62…第3と第4の樹脂層
71,72…第3と第4の配線層
73…電極パッド
81,82…ソルダーレジスト層
83…貫通孔
85…半田バンプ
91,92…ビア電極
91h…貫通孔
Claims (11)
- コア基板と、
前記コア基板の少なくとも一方の面に積層される樹脂層と、
少なくとも前記樹脂層の表面に配置される配線層と、
を備える配線基板において、
前記配線層よりも外周側に設けられている金属膜であって、前記コア基板の外周縁部の表面に面接触する部位と、前記樹脂層の厚み方向に延びる部位と、を有し、前記樹脂層の外周に沿って線状または帯状に延びている金属膜を備える、配線基板。 - 請求項1記載の配線基板であって、
前記金属膜は前記樹脂層の全周にわたって形成されている、配線基板。 - 請求項1または請求項2記載の配線基板であって、
前記樹脂層と、前記配線層と、前記金属膜と、はそれぞれ、前記コア基板の両面側に配置されている、配線基板。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の配線基板であって、
前記コア基板は、ガラス材料と、セラミックス材料と、ガラスセラミックス材料と、のうちの少なくともいずれか一つによって形成されている、配線基板。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の配線基板であって、
前記金属膜は、前記配線層と同じ金属材料によって形成されている、配線基板。 - 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の配線基板であって、
前記配線層は、前記配線基板に接続される素子に対する電力供給のための電源配線と、前記素子への信号伝達のための信号配線と、を含み、
前記金属膜は、少なくとも前記電源配線および前記信号配線から電気的に独立している、配線基板。 - 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の配線基板であって、
前記金属膜は、前記樹脂層の厚み方向において延びている部位から前記樹脂層の表面に延出している部位を有する、配線基板。 - 配線基板の製造方法であって、
コア基板の少なくとも一方の面に樹脂層を積層する工程と、
前記樹脂層に前記樹脂層から前記コア基板の表面が露出する溝部を形成する溝部形成工程と、
前記樹脂層の配線形成領域に配線材料を配置して配線層を形成するとともに、前記配線材料を少なくとも前記溝部の側壁面および底面に配置して、前記溝部の側壁面および底面を一体的に被覆する金属膜を形成する配線形成工程と、
前記溝部に沿って前記コア基板を切断する切断工程と、
を備える、製造方法。 - 請求項8記載の製造方法であって、
前記配線形成工程は、めっき処理によって、前記配線材料を前記配線形成領域と、前記溝部の側壁面および底面と、に配置する工程である、製造方法。 - 請求項8または請求項9記載の製造方法であって、
前記コア基板は、ガラス材料によって構成されており、
前記溝部形成工程は、レーザーによって前記溝部を形成する工程である、製造方法。 - 請求項8から請求項10のいずれか一項に記載の製造方法であって、
前記切断工程は、複数の配線基板を切り出す工程であり、
前記溝部形成工程は、前記切断工程において切り出される前記配線基板の外周輪郭線上に前記溝部の底面が位置するように前記溝部を形成する工程を含む、製造方法。
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