JP6193191B2 - 炭素材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、炭素材料の製造方法及び炭素材料に関する。
炭素材料は、耐熱性や化学的安定性に優れ、かつ電気伝導性があるため、構造部材、電子材、金属還元材等として幅広い分野で使用されている。
この炭素材料の製造においては、炭素材料の高純度化及び高密度化の観点から原料には炭素以外の不純物(いわゆる灰分)が少ないことが求められる。炭素材料の原料としては、石炭を乾留してコークスを製造する際に副生するタールから分離精製された各種のピッチや、石油精製工程で副生する重質残渣油が一般に知られている。しかし、ピッチは必ずしも安価ではなく、重質残渣油はその原料である原油に由来する硫黄や重金属等の不純物濃度が高い。このため、石炭を溶媒抽出することで石炭が含む鉱物質や不熔解性有機物を除去して得られ実質的に灰分を含まない無灰炭を炭素材料の原料として利用することが提案されている(特開2011−1240号公報参照)。
上記無灰炭を用いた炭素材料の製造方法では、無灰炭を高温加熱することにより炭素材料を製造するが、この際の炭素収率が必ずしも高くないため、無灰炭を用いた炭素材料の製造効率には改善の余地がある。
特開2011−1240号公報
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、高純度かつ高密度の炭素材料を高い炭素収率で得られる炭素材料の製造方法の提供を目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の炭素材料の製造方法は、無灰炭を酸化する工程及び酸化された上記無灰炭を炭素化する工程を備え、上記酸化工程において、酸化前の無灰炭に対する酸化後の無灰炭の質量増加率を0.5%以上とすることを特徴とする。
当該炭素材料の製造方法は、無灰炭を酸化する工程を備え、無灰炭酸化工程において酸化前の無灰炭に対する酸化後の無灰炭の質量増加率を上記下限以上とするので、無灰炭を構成する分子間に酸素架橋が形成される。このため、酸化された無灰炭を炭素化する工程において、当該炭素材料の製造方法は、無灰炭の一部が揮発し散逸することを効果的に抑制することができる。従って、当該炭素材料の製造方法は、無灰炭を用いて高純度かつ高密度の炭素材料を高い炭素収率で製造することができる。
上記酸化工程前に、上記無灰炭の質量累計90%の粒子径が1mm以下となるように無灰炭を粉砕する工程をさらに備えるとよい。このように上記無灰炭粉砕工程を備えることで、無灰炭の表面積が増加するため無灰炭の内部まで酸化が進行し易くなり、炭素収率がさらに高まる。
上記酸化工程において、酸化を空気雰囲気下で行うとよい。このように酸化を空気雰囲気下で行うことで、酸化処理を容易かつ確実に行うことができる。
上記酸化工程の酸化温度としては、100℃以上300℃以下が好ましい。このように上記酸化温度を上記範囲内とすることで、酸化反応を好適に制御できる。
本発明は、酸化された無灰炭を炭素化した炭素材料であって、酸化された上記無灰炭の質量が、その酸化前の無灰炭の質量に対し0.5%以上大きいことを特徴とする炭素材料を含む。当該炭素材料は、原料である無灰炭の質量がその酸化前の無灰炭の質量に対し上記下限以上大きい。従って上記無灰炭が含む酸素架橋により無灰炭の一部が揮発し散逸することが抑制されており、当該炭素材料は、炭素収率が高いためコストに優れる。
なお、無灰炭の「無灰炭の質量累計90%の粒子径」とは、全粒子をJIS−Z8801−1:2006に規定される金属製網篩で篩分けした際に、無灰炭全体の90質量%の粒子が篩を通過できる篩の目開きの値を意味する。
以上説明したように、本発明の炭素材料の製造方法は、高純度かつ高密度の炭素材料を高い炭素収率で得られる。
本発明の一実施形態の炭素材料の製造方法を示すフローチャートである。
以下、本発明に係る炭素材料の製造方法の実施形態について図を参照しつつ説明する。
<無灰炭>
当該炭素材料の製造方法では、炭素材料の原料として無灰炭を用いる。まず、この無灰炭について説明する。
(無灰炭)
無灰炭(ハイパーコール、HPC)は、溶剤を用いて石炭から灰分と非溶解性成分とを除去した改質炭であり、広義には灰分が5質量%以下のものをいう。当該炭素材料の製造方法に用いる無灰炭としては、灰分が1質量%以下のものが好ましく、0.5質量%以下のものがより好ましい。また、無灰炭は、石炭と溶剤との混合物(スラリー)の脱水を経て得られるため、水分量が0.2質量%以上3質量%以下程度と低い。なお、「灰分」とは、JIS−M8812:2004に準拠して測定される量を意味する。
(無灰炭の製造方法)
無灰炭は、各種公知の製造方法で得ることができ、例えば石炭の溶剤抽出物から溶剤を除去することによって得ることができる。無灰炭は、例えばスラリー加熱工程、分離工程、及び無灰炭回収工程を備える製造方法で得ることができる。
[スラリー加熱工程]
スラリー加熱工程では、石炭と芳香族溶剤とを混合してスラリーを調製し、加熱処理して石炭の可溶成分を芳香族溶剤に抽出する。
無灰炭の原料石炭の種類は特に限定されず、例えば瀝青炭、亜瀝青炭、褐炭、亜炭等の各種公知の石炭を使用できる。これらの中でも、経済性の観点から、亜瀝青炭、褐炭、亜炭等の低品位炭が好ましい。
上記芳香族溶剤としては、石炭を溶解する性質を有するものであれば特に限定されず、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の単環芳香族化合物や、ナフタレン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、トリメチルナフタレン等の2環芳香族化合物等を用いることができる。なお、上記2環芳香族化合物には、脂肪族鎖を有するナフタレン類や長鎖脂肪族鎖を有するビフェニル類が含まれる。上記芳香族溶剤の中でも、石炭乾留生成物から精製した石炭誘導体である2環芳香族化合物が好ましい。この石炭誘導体の2環芳香族化合物は、加熱状態でも安定しており、石炭との親和性に優れる。
スラリー中の芳香族溶剤に対する石炭の混合割合の下限としては、乾燥炭基準で、10質量%が好ましく、20質量%がより好ましい。一方、上記混合割合の上限としては、50質量%が好ましく、35質量%がより好ましい。上記混合割合が上記下限未満の場合、芳香族溶剤の量に対し抽出される石炭成分が少なくなるため経済的ではない。逆に、上記混合割合が上記上限を超える場合、スラリーの粘度が高くなり、スラリーの移動や分離工程での液体成分と固体成分との分離が困難となるおそれがある。
スラリーの加熱条件としては、特に限定されるものではないが、例えば350℃以上470℃以下の温度、1MPa以上2MPa以下の圧力で10分以上60分以下の加熱とすることができる。
[分離工程]
分離工程では、上記スラリー加熱工程で加熱処理されたスラリーを液体成分と固体成分とに分離する。スラリーの液体成分とは、芳香族溶剤に抽出された石炭成分を含む溶液部分である。スラリーの固体成分とは、芳香族溶剤に不溶な灰分と石炭成分とを含む部分である。
スラリーを液体成分と固体成分とに分離する方法としては、特に限定されず、濾過法、遠心分離法、重力沈降法等の公知の分離方法を採用できる。これらの中でも、流体の連続操作が可能であり、低コストで大量の処理にも適している重力沈降法が好ましい。重力沈降法では、重力沈降槽の上部に芳香族溶剤に抽出された石炭成分を含む液体成分である上澄液が分離され、重力沈降槽の下部に固体成分として溶剤に不溶な灰分と石炭成分とを含む固形分濃縮液が分離される。
[無灰炭回収工程]
無灰炭回収工程では、上記分離工程で得たスラリーの液体成分から芳香族溶剤を分離して灰分の極めて低い無灰炭を回収する。
スラリーの液体成分から芳香族溶剤を分離する方法は特に限定されず、一般的な蒸留法や蒸発法(例えばスプレードライ法)等を用いることができる。また、分離回収された芳香族溶剤は上述のように循環使用することができる。芳香族溶剤の分離により、上記液体成分から無灰炭が得られる。
<炭素材料の製造方法>
図1に示す炭素材料の製造方法は、粉砕工程(S1)、酸化工程(S2)及び炭素化工程(S3)を備える。
(粉砕工程)
粉砕工程(S1)では、無灰炭を粉砕する。無灰炭の粉砕には、公知の粉砕機を用いることができる。
粉砕した後の無灰炭の質量累計90%の粒子径(D90)の上限としては、1mmが好ましく、0.6mmがより好ましく、0.3mmがさらに好ましい。上記粒子径D90が上記上限を超える場合、粒子径の大きな粒子の粒子内部の酸化が困難となり、炭素収率向上効果が十分に得られないおそれがある。なお、上記粒子径D90の下限としては、特に制限されないが、例えば0.05mmとできる。上記粒子径D90が上記下限未満である場合、酸化工程(S2)において酸化による炭素のCOやCOガスとしての揮発が進み、炭素収率が下がるおそれがある。
(酸化工程)
酸化工程(S2)では、粉砕工程(S1)で粉砕した無灰炭を酸化する。
無灰炭の酸化雰囲気としては、特に限定されず、例えば酸素、オゾン、二酸化窒素、空気等の酸化性雰囲気下で行うことができる。これらの中でも上記酸化を空気雰囲気下で行うとよい。このように酸化を空気雰囲気下で行うことで、酸化処理を容易かつ確実に行うことができ、炭素材料の製造コストが低くなる。
酸化雰囲気における酸素濃度の下限としては、5体積%が好ましく、10体積%がより好ましい。また、酸化雰囲気における酸素濃度の上限としては、30体積%が好ましく、25体積%がより好ましい。酸化雰囲気における酸素濃度が上記下限未満である場合、無灰炭の酸化が不十分となり、炭素収率向上効果が十分に得られないおそれがある。一方、酸化雰囲気における酸素濃度が上記上限を超える場合、酸化による炭素のCOやCOガスとしての揮発が進み、炭素収率が下がるおそれがある。
無灰炭の酸素雰囲気下における加熱方法としては、特に限定されないが、例えばキルン(バッチ式反応機)や流動層反応機等の公知の反応機を用いて行うことができる。
無灰炭の加熱方法としてキルンを用いる場合は、粉砕した無灰炭が空気等の酸化ガス流により飛散するおそれがあるため、予め粉砕した無灰炭を直径1cm程度に凝集させてから酸化するとよい。この粉砕した無灰炭を凝集する方法としては、特に限定されず、例えばダブルロール成形機、短軸プレス成形機、ローラータイプ成形機、押出成形機等を用いて成形する方法を採用できる。
上記酸化温度の下限としては、100℃が好ましく、150℃がより好ましい。また、上記酸化温度の上限としては、300℃が好ましく、250℃がより好ましい。上記酸化温度が上記下限未満である場合、酸化速度が小さくなり、酸化に長時間を要するおそれがある。一方、上記酸化温度が上記上限を超える場合、酸化反応の制御が困難となるおそれがあり、酸化による炭素の揮発が進み、炭素収率が下がるおそれがある。
上記酸化時間の下限としては、酸化温度にもよるが、0.2時間が好ましく、1時間がより好ましい。また、上記酸化時間の上限としては、6時間が好ましく、3時間がより好ましい。上記酸化時間が上記下限未満である場合、無灰炭の酸化が不十分となり、炭素収率向上効果が十分に得られないおそれがある。一方、上記酸化時間が上記上限を超える場合、酸化による炭素のCOやCOガスとしての揮発が進み炭素収率が下がるおそれや、水素のHOとしての揮発が進み炭素化工程(S3)における無灰炭の焼結性が不十分となるおそれがある。なお、「酸化時間」とは、酸化において無灰炭を所望の温度に保持する時間を指し、その前後の昇温時間や冷却時間は含まない概念である。
酸化時の昇温速度としては、特に限定されないが、例えば1℃/分以上50℃/分以下とできる。また、酸化時の冷却速度としては、特に限定されないが、例えば室温(25℃)での自然冷却で決まる冷却速度とできる。
酸化前の無灰炭に対する酸化後の無灰炭の質量増加率の下限としては、0.5%であり、1%がより好ましく、2%がさらに好ましく、4%が特に好ましい。また、酸化前の無灰炭に対する酸化後の無灰炭の質量増加率の上限としては、8%が好ましく、5%がより好ましい。酸化前の無灰炭に対する酸化後の無灰炭の質量増加率が上記下限未満である場合、無灰炭を構成する分子間に形成される酸素架橋が少なく、後述する炭素化工程において無灰炭の一部が揮発し散逸するため炭素収率が下がるおそれがある。一方、酸化前の無灰炭に対する酸化後の無灰炭の質量増加率が上記上限を超える場合、酸化による炭素のCOやCOガスとしての揮発が進むため炭素収率が下がるおそれや、過剰に存在する酸素架橋が炭素化工程において分解するため炭素収率が下がるおそれがある。
(炭素化工程)
炭素化工程(S3)では、酸化された上記無灰炭を炭素化する。この炭素化により炭素材料を得ることができる。
炭素化の方法及び条件としては、特に限定されず、公知の技術を用いることができ、具体的には酸化された無灰炭を不活性雰囲気下において蒸し焼き(加熱処理)することで炭素化できる。
炭素化の不活性雰囲気として用いる不活性ガスとしては、特に限定されないが、例えば窒素やアルゴンを挙げることができる。中でも安価な窒素が好ましい。
炭素化に用いる加熱処理炉の形式としては、特に限定されず、例えばポット炉、リードハンマー炉、キルン、ロータリーキルン、シャフト炉、室炉等を挙げることができる。
炭素化工程における加熱温度は炭素材料に求める特性により適宜設定すればよく、特に制限されないが、加熱温度の下限としては、500℃が好ましく、700℃がより好ましい。一方、加熱温度の上限としては、3000℃が好ましく、2800℃がより好ましい。加熱温度が上記下限未満の場合、炭素化が不十分となるおそれがある。逆に、加熱温度が上記上限を超える場合、設備の耐熱性向上や燃料消費量の観点から製造コストが上昇するおそれがある。また、昇温速度としては、0.1℃/分以上5℃/分以下とできる。
炭素化工程における加熱時間も炭素材料に求める特性により適宜設定すればよく、特に制限されないが、加熱時間としては、0.5時間以上10時間以下が好ましい。加熱温度が上記下限未満の場合、炭素化が不十分となるおそれがある。逆に、加熱時間が上記上限を超える場合、炭素材料の生産効率が低下するおそれがある。
この炭素化工程は熱間静水圧プレス装置等を用いて、加圧下で行ってもよい。また、必要に応じてアスファルトピッチやタール等のバインダー成分を添加してもよい。
酸化後の無灰炭に対する炭素化後の炭素材料の質量比は、無灰炭の原料石炭の種類や、その製造条件によって変わるが、通常60%以上90%以下の範囲である。当該炭素材料の製造方法を用いることで、この酸化後の無灰炭に対する炭素化後の炭素材料の質量比を1ポイント以上上昇させることができる。
<炭素材料>
上記炭素化工程(S3)により得られた炭素材料は、例えば非鉄金属還元用コークスの主原料として用いることができる。また、シリコンやチタン等の非鉄金属の還元に用いる還元剤、断熱材やつるぼ等の構造用炭素材、又はアルミニウム電解製造用アノードや炭素製電極等の電気材料用炭素材として用いることもできる。
<利点>
当該炭素材料の製造方法は、無灰炭を酸化する工程を備え、無灰炭酸化工程において酸化前の無灰炭に対する酸化後の無灰炭の質量増加率を一定以上とするので、無灰炭を構成する分子間に酸素架橋が形成される。このため、酸化された無灰炭を炭素化する工程において、当該炭素材料の製造方法は、無灰炭の一部が揮発し散逸することを効果的に抑制することができる。従って、当該炭素材料の製造方法は、無灰炭を用いて高純度かつ高密度の炭素材料を高い炭素収率で製造することができる。
[その他の実施形態]
当該炭素材料の製造方法は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態において、粉砕工程を備える場合を説明したが、粉砕工程は必須の工程ではなく、省略してもよい。
上記実施形態では、炭素化工程において原料として酸化された無灰炭のみを用いて炭素化する場合を説明したが、酸化された無灰炭と未酸化の無灰炭とを混合した混合無灰炭を原料として用いてもよい。酸化された無灰炭より軟化膨張性の高い未酸化の無灰炭を混合することで、炭素化する際に未酸化の無灰炭がバインダーとして働き、炭素材料が高密度化し易い。酸化された無灰炭と未酸化の無灰炭との混合方法としては、特に限定されず、均一な混合状態を得易い公知の方法を採用すればよい。このような方法としては、例えばミキサー、ニーダー、単軸の混合機、二軸の混合機等を用いる方法を挙げることができる。
混合無灰炭を用いる場合、混合無灰炭に対する未酸化の無灰炭の含有量の下限としては、5質量%が好ましく、10質量%がより好ましい。また、混合無灰炭に対する未酸化の無灰炭の含有量の上限としては、20質量%が好ましく、15質量%がより好ましい。混合無灰炭に対する未酸化の無灰炭の含有量が上記下限未満である場合、この混合無灰炭を用いて製造する炭素材料の高密度化効果が不十分となるおそれがある。一方、混合無灰炭に対する未酸化の無灰炭の含有量が上記上限を超える場合、酸化無灰炭を用いることによる炭素材料の炭素収率向上効果が不十分となるおそれがある。
また、酸化工程の後かつ炭素化工程の前に炭素材料の原料(無灰炭)を所望の形状に成形してもよい。この成形は室温前後で行う冷間成形でもよいが、加熱して行う熱間成形が好ましい。熱間成形を行うことで、無灰炭が塑性変形し空隙を充填するので、熱間成形により得られた成形体から密度の高い炭素材料を製造することができる。この熱間成形温度の下限としては、100℃が好ましく、200℃がより好ましい。また、熱間成形温度の上限としては、450℃が好ましく、300℃がより好ましい。熱間成形温度が上記下限未満である場合は、炭素材料の高密度化効果が不十分となるおそれがある。一方、熱間成形温度が上記上限を超える場合、無灰炭の軟化膨張により炭素材料の高密度化効果が阻害されるおそれがある。成形圧力としては、特に限定されず、例えば0.5ton/cm以上3ton/cm以下とできる。なお、この成形は炭素化工程の後に炭素材料に対して行ってもよい。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
ハイパーコール連続製造設備(Bench Scale Unit)を用い、以下の方法により無灰炭を製造した。まず、オーストラリア産瀝青炭を無灰炭の原料石炭とし、この原料石炭5kg(乾燥炭換算質量)と、溶剤としての4倍量(20kg)の1−メチルナフタレン(新日鉄化学社製)とを混合して、スラリーを調製した。このスラリーを内容積30Lのバッチ式オートクレーブ中に入れ窒素を導入して1.2MPaに加圧し、370℃で1時間加熱した。このスラリーを上述の温度及び圧力を維持した重力沈降槽内で上澄液と固形分濃縮液とに分離し、上澄液から蒸留法で溶剤を分離及び回収して、2.7kgの無灰炭を得た。
<実施例1>
上述のように製造した無灰炭を用いて、以下の手順で実施例1の炭素材料を製造した。
(粉砕工程)
無灰炭を目開き0.25mmの篩を通過する無灰炭の割合が92質量%、よって粒子径D90が0.25mm未満となるように粉砕し、粉砕無灰炭を得た。
(酸化工程)
上記粉砕無灰炭を空気循環型の乾燥機を用いて酸化した。具体的には、空気雰囲気下において室温から250℃まで5℃/分の速度で昇温した後、250℃で15分間(0.25時間)の酸化を行い、室温まで自然冷却し、酸化無灰炭を得た。
(炭素化工程)
上記酸化無灰炭を加熱炉を用いて炭素化した。具体的には、窒素雰囲気下において室温から1000℃まで3℃/分の速度で昇温した後、1000℃で5時間の炭素化を行い、室温まで自然冷却し、炭素材料を得た。
<実施例2〜10>
粉砕工程における粉砕無灰炭の粒子径D90及び酸化工程における酸化時間を表1のように変化させた以外は、実施例1と同様にして炭素材料を得た。
<比較例1>
製造した無灰炭に対して、粉砕工程及び酸化工程を行わず実施例1と同様の炭素化を行い、炭素材料を得た。
<比較例2>
酸化工程における酸化時間を0とした以外は、実施例1と同様にして炭素材料を得た。なお、「酸化時間が0である」とは、無灰炭を空気雰囲気下において室温から250℃まで昇温を行った後、即座に冷却することを意味する。
<測定方法>
上記実施例1〜10及び比較例1、2について、以下の酸化無灰炭の元素分析、無灰炭の酸化後並びに炭素化後の質量変化、及び炭素収率を測定した。結果を表1に示す。
(元素分析)
元素分析は、JIS−M−8813:2006に準拠して行い、炭素、水素、窒素、硫黄、及び酸素の含有量(質量%)と、水素及び酸素の炭素に対する原子数比を算出した。
(無灰炭の質量変化)
無灰炭の質量変化について、無灰炭の酸化前、酸化後並びに炭素化後の質量を測定し、無灰炭の酸化前の質量に対する酸化後の質量増加量の比及び無灰炭の酸化後の質量に対する炭素化後の質量の比を算出した。
(炭素収率)
炭素収率は、酸化前の無灰炭の炭素質量及びこの無灰炭から得た炭素材料の炭素質量を測定し、炭素材料の炭素質量を酸化前の無灰炭の炭素質量で除して100倍することで算出した。なお、炭素質量の測定は、JIS−M−8813:2006に準拠した。
Figure 0006193191
表1において、酸化処理後の元素分析の「diff.O」は、酸素の含有量をJIS−M−8813:2006の附属書5に従い、100からC、H、N、Sの含有量を減じて求めた値を意味する。比較例1の酸化時間の「−」は酸化を行っていないことを意味する。また、比較例1の酸化後の質量増加率の「−」は比較例1では酸化工程が行われないため質量増加率が定義されないことを意味する。
表1より、酸化前の無灰炭に対する酸化後の無灰炭の質量増加率が0.5%以上である実施例1〜10は、上記質量増加率が0.5%未満である比較例1、2に比べて炭素収率が2ポイント以上高いことが分かる。従って、当該炭素材料の製造方法は、無灰炭を用いて高純度かつ高密度の炭素材料を高い炭素収率で製造できることが分かる。
さらに詳しく見ると、炭素収率の高い実施例1〜10は、元素分析の結果から酸化無灰炭の酸素(O)の含有量が増加しており、無灰炭を構成する分子間に酸素架橋が形成されていると考えられる。つまり、炭素化工程において、この酸素架橋により無灰炭の一部が揮発し散逸することを効果的に抑制することができていると考えられる。これに対し、炭素収率の低い比較例1、2では酸素架橋の形成が不十分で炭素化処理後の質量減少率が大きく、炭素化工程において無灰炭の一部が揮発し散逸していると考えられる。
また、表1において実施例5、実施例7及び実施例9を比較すると、粉砕無灰炭の粒子径D90が0.25mm未満である実施例5の方が酸素含有量及び炭素収率が高い。このことから、無灰炭を0.3mm以下に粉砕することで、無灰炭の内部まで酸化が進行し易くなり、炭素収率がさらに高まることが分かる。
さらに、表1において実施例1〜6を比較すると、酸化前の無灰炭に対する酸化後の無灰炭の質量増加率が4%以上となる実施例3及び実施例4の炭素収率が70%以上と特に高い。実施例3及び実施例4を実施例1及び実施例2と比較すると、実施例3及び実施例4の方が酸化時間が長く、酸化後の質量増加が大きい。従って、実施例3及び実施例4は、十分な酸化により酸素架橋が進行し無灰炭の酸素含有量が増えた結果、酸化後の質量増加が大きくなったと考えられる。一方、実施例3及び実施例4を実施例5及び実施例6と比較すると、実施例5及び実施例6の方が酸化時間が長いにもかかわらず、酸化後の質量増加が小さい。従って、実施例5及び実施例6は、過剰な酸化により炭素のCOやCOガスとしての揮発量が増え、質量増加が小さくなったと考えられる。
以上説明したように、本発明の炭素材料の製造方法は、高純度かつ高密度の炭素材料を高い炭素収率で得られる。
S1 粉砕工程
S2 酸化工程
S3 炭素化工程

Claims (4)

  1. 無灰炭を酸化する工程及び酸化された上記無灰炭を炭素化する工程を備え、
    上記酸化工程において、酸化前の無灰炭に対する酸化後の無灰炭の質量増加率を1%以上とすることを特徴とする炭素材料の製造方法。
  2. 上記酸化工程前に、上記無灰炭の質量累計90%の粒子径が1mm以下となるように無灰炭を粉砕する工程をさらに備える請求項1に記載の炭素材料の製造方法。
  3. 上記酸化工程において、酸化を空気雰囲気下で行う請求項1又は請求項2に記載の炭素材料の製造方法。
  4. 上記酸化工程の酸化温度が100℃以上300℃以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の炭素材料の製造方法。
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