JP6192639B2 - 繊維状銅微粒子の製造方法 - Google Patents

繊維状銅微粒子の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6192639B2
JP6192639B2 JP2014521329A JP2014521329A JP6192639B2 JP 6192639 B2 JP6192639 B2 JP 6192639B2 JP 2014521329 A JP2014521329 A JP 2014521329A JP 2014521329 A JP2014521329 A JP 2014521329A JP 6192639 B2 JP6192639 B2 JP 6192639B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fine particles
copper
copper fine
fibrous
fibrous copper
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2014521329A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2013187384A1 (ja
Inventor
山田 宗紀
宗紀 山田
耕 竹内
耕 竹内
睦 松下
睦 松下
朗 繁田
朗 繁田
雅弘 細田
雅弘 細田
良彰 越後
良彰 越後
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Ltd filed Critical Unitika Ltd
Priority to JP2014521329A priority Critical patent/JP6192639B2/ja
Publication of JPWO2013187384A1 publication Critical patent/JPWO2013187384A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6192639B2 publication Critical patent/JP6192639B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B22CASTING; POWDER METALLURGY
    • B22FWORKING METALLIC POWDER; MANUFACTURE OF ARTICLES FROM METALLIC POWDER; MAKING METALLIC POWDER; APPARATUS OR DEVICES SPECIALLY ADAPTED FOR METALLIC POWDER
    • B22F9/00Making metallic powder or suspensions thereof
    • B22F9/16Making metallic powder or suspensions thereof using chemical processes
    • B22F9/18Making metallic powder or suspensions thereof using chemical processes with reduction of metal compounds
    • B22F9/24Making metallic powder or suspensions thereof using chemical processes with reduction of metal compounds starting from liquid metal compounds, e.g. solutions
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B22CASTING; POWDER METALLURGY
    • B22FWORKING METALLIC POWDER; MANUFACTURE OF ARTICLES FROM METALLIC POWDER; MAKING METALLIC POWDER; APPARATUS OR DEVICES SPECIALLY ADAPTED FOR METALLIC POWDER
    • B22F1/00Metallic powder; Treatment of metallic powder, e.g. to facilitate working or to improve properties
    • B22F1/06Metallic powder characterised by the shape of the particles
    • B22F1/062Fibrous particles
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C9/00Alloys based on copper
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01BCABLES; CONDUCTORS; INSULATORS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR CONDUCTIVE, INSULATING OR DIELECTRIC PROPERTIES
    • H01B1/00Conductors or conductive bodies characterised by the conductive materials; Selection of materials as conductors
    • H01B1/02Conductors or conductive bodies characterised by the conductive materials; Selection of materials as conductors mainly consisting of metals or alloys
    • H01B1/026Alloys based on copper
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01BCABLES; CONDUCTORS; INSULATORS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR CONDUCTIVE, INSULATING OR DIELECTRIC PROPERTIES
    • H01B1/00Conductors or conductive bodies characterised by the conductive materials; Selection of materials as conductors
    • H01B1/14Conductive material dispersed in non-conductive inorganic material
    • H01B1/16Conductive material dispersed in non-conductive inorganic material the conductive material comprising metals or alloys
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10TTECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
    • Y10T428/00Stock material or miscellaneous articles
    • Y10T428/12All metal or with adjacent metals
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10TTECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
    • Y10T428/00Stock material or miscellaneous articles
    • Y10T428/25Web or sheet containing structurally defined element or component and including a second component containing structurally defined particles
    • Y10T428/256Heavy metal or aluminum or compound thereof

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nanotechnology (AREA)
  • Dispersion Chemistry (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Manufacture Of Metal Powder And Suspensions Thereof (AREA)
  • Conductive Materials (AREA)
  • Non-Insulated Conductors (AREA)

Description

本発明は、銅粒状体の含有量が低減された繊維状銅微粒子およびその製造方法に関する。
近年、透明導電性フィルムに代表される、透明性を有する導電材料(透明導電材料)は、例えば、タッチパネルやフラットパネルディスプレイなどに、用途が急激に拡大している。しかし、上記透明導電材料に導電材として使用される無機酸化物は、高価な材料であり、また加工性に劣るものである。
一方、導電材としての銅微粒子は、導電性に優れかつ安価な材料であることから、導電性コーティング剤などの導電材料に、広く用いられている。この導電性コーティング剤は、各種印刷法を用いて製造されるプリント配線板の回路形成用材料として、また各種電気的接点部材などとして、幅広く利用されている。
そこで、導電材として銅微粒子を使用する導電性コーティング剤を用いて、導電性に優れるとともに、可視光領域での光透過性が高く透明性に優れる皮膜を形成することが要求されている。
このような要求を踏まえて、可視光領域での光透過性を有する皮膜を形成することができる銅微粒子をはじめとする金属微粒子や、その製造方法が種々検討されている。例えば、特許文献1には、繊維状銅微粒子とその製造方法が開示され、また、特許文献2には、棒状金属粒子とその製造方法が開示されている。
国際公開第2011/071885号 特開2009−215573号公報
特許文献1に記載の繊維状銅微粒子や、特許文献2に記載の棒状金属微粒子は、導電性に優れるため、導電材として有望なものである。しかしながら、両文献に記載の微粒子を導電材として含有する導電性皮膜は、透明性に劣るという問題があった。
本発明の目的は、上記問題を解決し、導電性皮膜に含有された場合に、導電性のみならず、透明性にも優れた皮膜が得られる繊維状銅微粒子を提供することである。さらに、本発明の目的は、この繊維状銅微粒子を含有する導電性コーティング剤、導電性皮膜および該導電性皮膜を基材上に有してなる導電性フィルムを提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意検討した結果、短径が1μm以下かつアスペクト比が10以上である繊維状銅微粒子であって、短径が0.3μm以上かつアスペクト比が1.5以下である銅粒状体の含有量が、繊維状銅微粒子1本あたり、0.1個以下である繊維状銅微粒子は、透明導電材料に含有された場合に、導電性および透明性のいずれにも優れる導電材となり得ることを見出し、本発明に到達した。
さらに、本発明者らは、この繊維状銅微粒子は、特定の還元性化合物を用いることにより、銅粒状体の析出を抑制しながら、水溶液から析出させて製造できることを見出した。
すなわち、本発明は、下記を要旨とするものである。
(1)短径が1μm以下かつアスペクト比が10以上である繊維状銅微粒子であって、短径が0.3μm以上かつアスペクト比が1.5以下である銅粒状体の含有量が、繊維状銅微粒子1本あたり、0.1個以下である繊維状銅微粒子を製造するための方法であって、
銅イオン、アルカリ性化合物、銅イオンと錯体を形成する含窒素化合物、および還元性化合物を含有する水溶液から、繊維状銅微粒子を析出させる工程を含み、
還元性化合物の、下記式[1]に示すアルカリ水溶液中の溶存酸素濃度残存率Aが、0.5以上であることを特徴とする繊維状銅微粒子の製造方法。
溶存酸素濃度残存率A=(還元性化合物添加10分後の溶存酸素濃度(C10))/(還元性化合物添加前の溶存酸素濃度(C)) [1]
(2)長さが1μm以上である繊維状銅微粒子を製造するための(1)の繊維状銅微粒子の製造方法。
)還元性化合物が、アスコルビン酸、エリソルビン酸およびグルコースから選ばれる1種以上であることを特徴とする(1)または(2)の繊維状銅微粒子の製造方法
本発明の繊維状銅微粒子は、短径が1μm以下かつアスペクト比が10以上である繊維状銅微粒子であって、短径が0.3μm以上かつアスペクト比が1.5以下である銅粒状体の含有量が、繊維状銅微粒子1本あたり、0.1個以下であるという特定の形状と構成とを有している。そのため、本発明の繊維状銅微粒子を用いることにより、優れた導電性と透明性とを兼ね備えた導電性コーティング剤、導電性皮膜および導電性フィルムを得ることができる。
さらに、本発明の製造方法によれば、特定の還元性化合物を使用することにより、本発明の繊維状銅微粒子を容易に製造することができる。
繊維状銅微粒子が密集しているため、繊維状銅微粒子の短径や長さおよび銅粒状体の短径や長径を適切に評価することができない状態を示す図である。 隣り合う繊維状銅微粒子が密集されておらず、繊維状銅微粒子の短径や長さおよび銅粒状体の短径や長径を測定することが可能な状態を示す図である。 各種の還元性化合物について、アルカリ水溶液中の溶存酸素との反応性を表した図である。 実施例1で得られた繊維状銅微粒子のデジタルマイクロスコープによる観察図である。 実施例1で得られた繊維状銅微粒子のデジタルマイクロスコープによる観察図である。 実施例2で得られた繊維状銅微粒子のデジタルマイクロスコープによる観察図である。 実施例3で得られた繊維状銅微粒子のデジタルマイクロスコープによる観察図である。 実施例4で得られた繊維状銅微粒子のデジタルマイクロスコープによる観察図である。 比較例1で得られた繊維状銅微粒子のデジタルマイクロスコープによる観察図である。 比較例2で得られた繊維状銅微粒子のデジタルマイクロスコープによる観察図である。 比較例3で得られた繊維状銅微粒子のデジタルマイクロスコープによる観察図である。 比較例4で得られた繊維状銅微粒子のデジタルマイクロスコープによる観察図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の繊維状銅微粒子は、短径が1μm以下かつアスペクト比が10以上である繊維状銅微粒子であって、短径が0.3μm以上かつアスペクト比が1.5以下である銅粒状体の含有量が、繊維状銅微粒子1本あたり、0.1個以下であるものである。
一般的に、繊維状銅微粒子には、その端部や側部に付着して一体化した状態で、あるいは、接触しているが一体化されてはいない状態で、銅粒状体が形成されているものが多い。銅粒状体を含有する繊維状銅微粒子を、導電材として、導電性皮膜に使用した場合に、含有される銅粒状体は、導電性皮膜の透明性を著しく低下させる。本発明は、銅粒状体の含有量を特定の範囲に制御することで、つまり銅粒状体の形成が抑制された繊維状銅微粒子を使用することで、これを導電材として透明導電材料に含有させた場合に、導電性とともに、優れた透明性を維持させ得ることを見出したものである。
本発明の繊維状銅微粒子は、短径が1μm以下であることが必要であり、0.5μm以下であることが好ましく、0.2μm以下であることがより好ましく、0.1μm以下であることがさらに好ましい。繊維状銅微粒子の短径が1μmを超えると、繊維状銅微粒子を含有する導電性皮膜は、透明性に劣ることがある。
繊維状銅微粒子は、長さが1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることがさらに好ましい。繊維状銅微粒子の長さが1μm未満であると、本発明の繊維状銅微粒子を含有する導電性皮膜においては、良好な導電性と透明性とを両立させることが困難になることがある。一方、導電性皮膜形成用のコーティング剤のハンドリングの点から、繊維状銅微粒子の長さは、500μmを超えないことが好ましい。
繊維状銅微粒子は、アスペクト比(繊維状体の長さ/繊維状体の短径)が10以上であることが必要であり、100以上であることがより好ましく、300以上であることがさらに好ましい。繊維状銅微粒子のアスペクト比が10未満であると、繊維状銅微粒子を含有する導電性皮膜においては、透明性と導電性とを両立させることが困難になることがある。
本発明における銅粒状体とは、短径が0.3μm以上かつアスペクト比(銅粒状体の長径/銅粒状体の短径)が1.5以下の形状を有するものである。
本発明の繊維状銅微粒子は、その1本あたり、この銅粒状体の含有量が0.1個以下であることが必要であり、0.08個以下であることが好ましく、0.05個以下であることがより好ましく、全く存在しないことが最も好ましい。銅粒状体の含有量が、繊維状銅微粒子1本あたり、0.1個を超えると、繊維状銅微粒子を含有する導電性皮膜は、透明性に劣るものとなる。
特許文献1においては、粒子状の銅微粒子を繊維状に伸張させる際に、繊維状銅微粒子の端部や側部に付着した状態で、あるいは繊維状銅微粒子と接触はしているが一体化されていない状態で、銅の粒状体が多く形成されている。そして、このような銅粒状体を多く含有する繊維状銅微粒子は、導電性皮膜に含有されると、皮膜の透明性低下の要因となるものであった。
本発明においては、繊維状銅微粒子は、後述する方法により製造されるため、銅粒状体の含有量を低減することが可能である。
本発明において、繊維状銅微粒子の短径や長さ、銅粒状体の短径や長径を求める方法、また繊維状銅微粒子1本あたりの銅粒状体の個数を算出する方法の概略は下記の通りである。
まず、繊維状銅微粒子の集合体を、透過型電子顕微鏡(TEM)や走査型電子顕微鏡(SEM)などを用いて観察する。そして、該集合体から100本の繊維状銅微粒子を選択する。選択された繊維状銅微粒子と、繊維状銅微粒子に付着あるいは接触している銅粒状体とについて、それらの短径と長さまたは長径とを測定し、これらの平均値をもって、短径および長さまたは長径とする。また、長さを短径で除することにより繊維状銅微粒子アスペクト比を、また長径を短径で除することにより銅粒状体のアスペクト比をそれぞれ算出する。さらに、存在する銅粒状体の個数をカウントし、銅粒状体の個数を繊維状銅微粒子の本数(100本)で除することにより、繊維状銅微粒子1本あたりの銅粒状体の個数を算出する。
なお、繊維状銅微粒子の観察において、繊維状銅微粒子が重なり合って密集し、繊維状銅微粒子および銅粒状体の形状を正確に測定することができない場合(図1参照)は、超音波分散装置などを用い、隣り合う繊維状銅微粒子同士が密着しない程度(図2参照)になるまで、繊維状銅微粒子を解する。
次に、本発明の繊維状銅微粒子の製造方法について説明する。
本発明の繊維状銅微粒子の製造方法は、銅イオン、アルカリ性化合物、銅イオンと錯体を形成する含窒素化合物、および還元性化合物を含有する水溶液から、繊維状銅微粒子を析出させる工程を含むものであり、還元性化合物として、下記式[1]に示すアルカリ水溶液中の溶存酸素濃度残存率Aが、0.5以上であるものを使用する。
溶存酸素濃度残存率A=(還元性化合物添加10分後の溶存酸素濃度(C10))/(還元性化合物添加前の溶存酸素濃度(C)) [1]
繊維状銅微粒子の製造に用いる銅イオンとしては、水溶性の銅塩を水に溶解させることにより生成したものを使用することができる。水溶性の銅塩としては、硫酸銅、硝酸銅、塩化銅、酢酸銅などが挙げられる。なかでも、本発明の繊維状銅微粒子の形成しやすさの点では、硫酸銅、硝酸銅を好ましく用いることができる。
水溶液における銅イオンの濃度は、0.0005〜0.5質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがより好ましい。銅イオンの濃度が0.0005質量%未満であると、繊維状銅微粒子の生成効率が低く、一方、濃度が0.5質量%を超えると、銅粒状体が生成しやすくなることがある。
繊維状銅微粒子の製造に用いるアルカリ性化合物としては、特に限定されるものではなく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
水溶液におけるアルカリ性化合物の濃度は、15〜50質量%であることが好ましく、30〜50質量%であることがより好ましく、35〜45質量%であることがさらに好ましい。アルカリ性化合物の濃度が15質量%未満であると、繊維状銅微粒子が形成されにくくなることがあり、一方、濃度が50質量%を超えると、水溶液のハンドリングが困難となることがある。
水溶液におけるアルカリ性化合物の水酸化物イオンの含有量は、銅イオン1モルに対して、3000〜6000モルであることが好ましく、3000〜5000モルであることがより好ましい。アルカリ性化合物の水酸化物イオンの含有量が3000モル未満であると、銅粒状体の形成を抑制することができず、銅粒状体の含有量が、繊維状銅微粒子1本あたり、0.1個を超えることがあり、また、本発明で規定する形状の繊維状銅微粒子が得られないことがある。一方、含有量が6000モルを超えると、繊維状銅微粒子の形成効率が低下することがある。
繊維状銅微粒子の製造に用いる、銅イオンと錯体を形成する含窒素化合物としては、アンモニア、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられ、なかでも、繊維状銅微粒子が形成されやすいことから、エチレンジアミンが好ましい。
水溶液において、錯体を形成する含窒素化合物の含有量は、繊維状銅微粒子の形成効率の点から、銅イオン1モルに対して、1モル以上であることが好ましい。
繊維状銅微粒子の製造に用いる還元性化合物は、下記式[1]に示すアルカリ水溶液中の溶存酸素濃度残存率Aが、0.5以上であることが必要である。
溶存酸素濃度残存率A=(還元性化合物添加10分後の溶存酸素濃度(C10))/(還元性化合物添加前の溶存酸素濃度(C)) [1]
アルカリ水溶液中の溶存酸素濃度残存率A(以下、A値と略することがある。)は、式[1]に示すように、還元性化合物添加前の溶存酸素濃度(C)に対する、還元性化合物の添加10分後の溶存酸素濃度(C10)の比率である。したがって、A値が低い還元性化合物ほど、還元性化合物添加後の10分間において、アルカリ水溶液中の溶存酸素と反応しやすく、A値が高い還元性化合物ほど、アルカリ水溶液中の溶存酸素と反応しにくいものである。
本発明においては、A値が0.5以上である還元性化合物を使用することが必要である。還元性化合物のA値が0.5未満であると、繊維状銅微粒子だけでなく銅粒状体も生成しやすい状態になり、また析出の起点となる粒子の径が、繊維状銅微粒子の径よりも大きく成長することがある。
本発明で規定するA値が0.5以上である還元性化合物を使用すると、銅は比較的ゆっくりと析出し、銅粒状体の析出を抑えて、繊維状銅微粒子が優先的に生成し、その結果、銅粒状体の含有量が少ない繊維状銅微粒子が得られる。
また、繊維状銅微粒子の製造に用いる還元性化合物は、下記式[2]に示すアルカリ水溶液中の溶存酸素濃度残存率Bが、0.9以下であることが好ましい。
溶存酸素濃度残存率B=(還元性化合物添加60分後の溶存酸素濃度(C60))/(還元性化合物添加10分後の溶存酸素濃度(C10)) [2]
アルカリ水溶液中の溶存酸素濃度残存率B(以下、B値と略することがある。)は、式[2]に示すように、還元性化合物添加10分後の溶存酸素濃度(C10)に対する、還元性化合物の添加60分後の溶存酸素濃度(C60)の比率である。したがって、B値が低い還元性化合物ほど、還元性化合物添加後の10分から60分の間においても、アルカリ水溶液中の溶存酸素と反応しやすく、B値が高い還元性化合物ほど、アルカリ水溶液中の溶存酸素と反応しにくいものである。
本発明においては、B値が0.9以下である還元性化合物を使用することが好ましい。還元性化合物のB値が0.9を超えると、繊維状銅微粒子自体の析出が遅くなり、繊維状銅微粒子の生成と銅粒状体の生成の競争により、得られる繊維状銅微粒子は、銅粒状体の含有量が多くなることがある。
本発明で規定するB値が0.9以下である還元性化合物を使用すると、時間経過とともに、繊維状銅微粒子が優先的に安定して析出するため、銅粒状体の含有量が少ない繊維状銅微粒子が効率よく得られる。
本発明において、A値が0.5以上である還元性化合物としては、アスコルビン酸(A値:0.90)、エリソルビン酸(A値:0.96)、グルコース(A値:0.97)などが挙げられる。そのうち、B値が0.90以下である還元性化合物としては、アスコルビン酸(B値:0.67)、エリソルビン酸(B値:0.73)などが挙げられる。本発明においては、これらの還元性化合物から選ばれる1種以上を用いることが好ましく、アスコルビン酸を用いることが最も好ましい。
図3は、各種の還元性化合物について、後述する条件によって測定された、アルカリ水溶液中の溶存酸素濃度(mg/L)と時間との関係を示したものである。図3に示されるように、還元性化合物として、アスコルビン酸、エリソルビン酸、グルコースが用いられると、これらが添加された10分後、60分後においても、アルカリ水溶液は、高い溶存酸素濃度が維持されている。
一方、還元性化合物として、ヒドラジンや水素化ホウ素ナトリウムが用いられると、アルカリ水溶液中の溶存酸素濃度は、急速かつ顕著に低下する。なお、ヒドラジンのA値は0.03であり、水素化ホウ素ナトリウムのA値は0.01である。
従来技術においては、一般に、還元性化合物としてヒドラジンが用いられており、ヒドラジンなどの、溶存酸素と反応しやすい還元性化合物が用いられると、銅粒状体の含有量が増加した繊維状銅微粒子しか得られないという問題があり、また繊維状銅微粒子自体を析出させることができない場合もあった。
本発明において、水溶液における還元性化合物の含有量は、銅イオン1モルに対して、0.5〜5.0モルであることが好ましく、0.75〜3.0モルであることがより好ましい。還元性化合物の含有量が0.5モル未満であると、繊維状銅微粒子の形成効率が低下することがある。一方、含有量が5.0モルを超えると、効果は飽和するので、コストなどの点から好ましくない。
上記銅イオン、アルカリ性化合物、銅イオンと錯体を形成する含窒素化合物、および還元性化合物を含有する水溶液を、加熱し、次いで、加熱を継続するか、あるいは、水溶液の液温を降下させることにより、繊維状銅微粒子を析出させることができる。特に、後者の方法、すなわち、加熱後に液温を降下させる方法が好ましい。水溶液の加熱温度は、特に限定されるものではないが、析出効率とコストとのバランスの点から、50〜100℃であることが好ましい。
また、繊維状銅微粒子は、例えばフロー型反応装置等を用いて、連続的に析出させることもできる。
本発明においては、銅イオン、アルカリ性化合物、銅イオンと錯体を形成する含窒素化合物を含有する水溶液に、還元性化合物を分割して添加することが好ましい。還元性化合物を分割して添加することにより、粒状体の生成を抑制することができる。
析出した繊維状銅微粒子は、ろ過、遠心分離、加圧浮上法などの方法により固液分離して回収することができる。さらに必要に応じて、回収された繊維状銅微粒子を洗浄したり、乾燥してもよい。
なお、繊維状銅微粒子を固液分離して回収する作業は、その表面が酸化されやすいため、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下でおこなうことが好ましい。また回収された繊維状銅微粒子は、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下で保管するか、または銅の酸化防止機能を有する有機物や還元性化合物を微量溶解させた溶液などに、再分散させて保管することが好ましい。
本発明の導電性コーティング剤は、本発明の繊維状銅微粒子を含有するものであり、繊維状銅微粒子を、バインダ成分や溶媒などに配合して分散させることによって作製することができる。
導電性コーティング剤を構成するバインダ成分としては、特に限定はないが、例えば、アクリル系樹脂(アクリルシリコン変性樹脂、フッ素変性アクリル樹脂、ウレタン変性アクリル樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂等)、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂、アミド樹脂、イミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、酢酸ビニル系樹脂;デンプン、ゼラチン、寒天等の天然高分子;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体である半合成高分子;ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸系高分子、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子等を用いることができる。
導電性コーティング剤を構成する溶媒としては、特に限定されないが、例えば、水、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アミド類、炭化水素類などの有機溶媒が挙げられる。なかでも、水やアルコール類を主成分とすることが好ましい。これらは、単独で、あるいは二種以上を組み合わせてもよい。
本発明の導電性コーティング剤における、繊維状銅微粒子とバインダ成分との体積比(繊維状銅微粒子/バインダ)は、1/100〜5/1であることが好ましく、1/20〜1/1であることがより好ましい。体積比が1/100未満であると、得られる導電性皮膜などにおいて、導電性が低くなる場合がある。一方、体積比が5/1を超えると、導電性コーティング剤を基材に塗布して得られる導電性皮膜は、基材との密着性が低下することがあり、また導電性皮膜は表面平滑性や透明性に劣ることがある。
本発明の導電性コーティング剤は、上記繊維状銅微粒子、バインダの他、必要に応じて添加される添加剤などの固形分を含有するものであり、これらの固形分を合計した濃度は、導電性や取扱性などのバランスに優れることから、1〜99質量%であることが好ましく、1〜50質量%であることがより好ましい。
本発明の導電性コーティング剤は、20℃における粘度が、取扱性や基材への塗布容易性などに優れることから、0.5〜100mPa・sであることが好ましく、1〜50mPa・sであることがより好ましい。
本発明の導電性コーティング剤は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、アルデヒド系、エポキシ系、メラミン系、イソシアネート系などの架橋剤を含有してもよい。
本発明の導電性皮膜は、本発明の繊維状銅微粒子を含有するものであり、たとえば、本発明の導電性コーティング剤を製膜することにより、得ることができる。
また本発明の導電性フィルムは、導電性皮膜を基材上に有するものであり、導電性皮膜を基材上に形成することにより、得ることができる。
本発明の導電性皮膜や導電性フィルムは、透明性、導電性のいずれにも優れるものである。
導電性皮膜を形成する方法としては、液相成膜法が挙げられ、本発明の導電性コーティング剤を、プラスチックフィルムなどの基材表面上に塗布して、次いで乾燥した後、必要に応じ硬化させることにより製膜することができる。塗布方法としては、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法などの方法を用いることができる。
また、導電性皮膜は、本発明の繊維状銅微粒子をプラスチックフィルムなどの基材表面上に配置し、この配置された繊維状銅微粒子を固定するための被覆層を形成することによっても製造することができる。
導電性皮膜の膜厚みは、実用性などの点から、例えば、0.1〜10μm程度であることが好ましい。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
実施例および比較例にて使用した還元性化合物の溶存酸素濃度残存率、また得られた繊維状銅微粒子に関する評価あるいは測定方法は以下の通りである。
(1)還元性化合物の溶存酸素濃度残存率A、B
純水500gに10%水酸化ナトリウム水溶液を数滴添加し、pHを10.4に調整したアルカリ水溶液(水温25℃)を調製した。溶存酸素計(Lutron社製、DO−5509)を用いて、このアルカリ水溶液の溶存酸素濃度(還元性化合物添加前の溶存酸素濃度(C))を測定した。
このアルカリ水溶液100mLを、直径7.0cmの開放円筒型容器に入れ、次いで、アルカリ水溶液に、0.50mol/Lの濃度になる量の還元性化合物を添加し、水溶液が渦巻かない程度にマグネチックスターラーを用いて撹拌して、溶解させた。溶解後も撹拌しながら、還元性化合物の添加後から、0.5分、5分、10分、15分、30分、45分、60分後に、水溶液中の溶存酸素濃度を測定した。そして、還元性化合物の添加後から10分後の溶存酸素濃度を、上記溶存酸素計により測定し、「溶存酸素濃度(C10)」、60分後の溶存酸素濃度を「溶存酸素濃度(C60)」とした。
そして、以下の式[1]により溶存酸素濃度残存率A(A値)を、式[2]により溶存酸素濃度残存率B(B値)を求めた。
溶存酸素濃度残存率A=(溶存酸素濃度(C10))/(溶存酸素濃度(C)) [1]
溶存酸素濃度残存率B=(溶存酸素濃度(C60))/(溶存酸素濃度(C10)) [2]
また、図3に、各種の還元性化合物について、アルカリ水溶液中の溶存酸素濃度(mg/L)と時間との関係を示した。
(2)繊維状銅微粒子の短径や長さ、および銅粒状体の短径や長径
繊維状銅微粒子の集合体を準備し、該繊維状銅微粒子同士が密着しすぎないようにするため、超音波分散装置を用いて軽く解した。その後、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製、VHX−1000、VHX−D500/510)を用いて観察した。集合体の中から100本の繊維状銅微粒子を選択し、それぞれの繊維状銅微粒子の短径や長さ、および銅粒状体の短径や長径を測定し、それらの平均値を短径、長さおよび長径とした。
(3)繊維状銅微粒子および銅粒状体のアスペクト比
上記(2)にて求めた繊維状銅微粒子の長さを短径で除することにより、また、銅粒状体の長径を短径で除することにより、繊維状銅微粒子および銅粒状体のアスペクト比を算出した。
(4)繊維状銅微粒子1本あたりの銅粒状体の個数
上記(2)において選択した100本の繊維状銅微粒子における銅粒状体の個数をカウントし、銅粒状体の個数を繊維銅微粒子の本数(100本)で除することにより、繊維状銅微粒子1本あたりの銅粒状体の個数を算出した。
実施例1
300mL三口フラスコ内にて、アルカリ性化合物としての108.0gの水酸化ナトリウム(ナカライ社製、2.7mol)を、27℃の純水(27℃における溶存酸素濃度:8.7mg/L、以下、純水Aと略することがある。)180.0gに溶解した。
次いで、銅イオンを生成させるための銅塩としての0.145gの硝酸銅三水和物(ナカライ社製、0.60mmol)を6.2gの純水Aで溶解させた水溶液と、含窒素化合物としての0.81gのエチレンジアミン(ナカライ社製、13mmol)とを添加し、200rpmで撹拌をおこない、均一な青色の水溶液を調製した。
得られた水溶液において、銅イオンに対する水酸化ナトリウムの水酸化物イオンのモル比は4500であり、また銅イオンに対する含窒素化合物のモル比は22である。
この水溶液に、還元性化合物としてアスコルビン酸(ナカライ社製、A値:0.90、B値:0.67)水溶液(4.4質量%)1.2gを加え、200rpmで撹拌を継続したまま、三口フラスコを80℃の湯浴に浸漬した。液の色は青色から徐々に薄くなり、30分後にはほぼ無色透明にまで変化した。さらに30分経過後、アスコルビン酸水溶液(4.4質量%)4.8gを添加し(アスコルビン酸合計1.5mmol、銅イオンに対するモル比は2.5)、約1分間撹拌を継続した。その後、撹拌を停止し、三口フラスコを湯浴から引き上げたところ、冷却過程において繊維状銅微粒子が析出したことを目視で確認した。なお、反応中、三口フラスコ内は空気が充満された状態であった。
析出した繊維状銅微粒子をスポイトで回収し、その表面が酸化されないようにするため、アルコルビン酸水溶液(10質量%)に浸漬させた。その後、スポイトで析出物を一部抜き取り、純水洗浄を3回繰り返した後、50℃に設定した乾燥機内で、純水を乾燥除去して、繊維状銅微粒子を得た。この繊維状銅微粒子の各種評価の結果を表1に示す。
実施例2
純水Aの代わりに、25℃における溶存酸素濃度が19.6mg/Lである純水B(27℃)を用いた以外は、実施例1と同様の方法にて繊維状銅微粒子を作製し、各種評価を実施した。
実施例3
還元性化合物としてアスコルビン酸の代わりに、エリソルビン酸(ナカライ社製、A値:0.96、B値:0.73)を用いる以外は、実施例1と同様の方法にて繊維状銅微粒子を作製し、各種評価を実施した。
実施例4
還元性化合物としてアスコルビン酸の代わりに、グルコース(ナカライ社製、A値:0.97、B値:0.92)を用いる以外は、実施例1と同様の方法にて繊維状銅微粒子を作製し、各種評価を実施した。
比較例1
実施例1と同様にして、水酸化ナトリウム、硝酸銅三水和物およびエチレンジアミンを含有する均一な青色の水溶液を調製した。
この水溶液に、ヒドラジン一水和物(ナカライ社製、A値:0.03)0.015gを加え、200rpmで撹拌を継続したまま、三口フラスコを80℃の湯浴に浸漬した。液の色は青色から薄くなり、5分後にはほぼ無色透明にまで変化した。さらに30分経過後、ヒドラジン一水和物0.06gを添加し(ヒドラジン一水和物合計1.5mmol、銅イオンに対するモル比は2.5)、約1分間撹拌を継続した。その後、撹拌を停止し、三口フラスコを湯浴から引き上げたところ、冷却過程において繊維状銅微粒子が析出したことを目視で確認した。なお、反応中、三口フラスコ内は空気が充満された状態であった。得られた析出物を実施例1と同様の方法で取り出した。該析出物について各種評価を実施した。
比較例2
実施例1と同様にして、水酸化ナトリウム、硝酸銅三水和物およびエチレンジアミンを含有する均一な青色の水溶液を調製した。
この溶液に、ヒドラジン一水和物0.075g(1.5mmol、銅イオンに対するモル比は2.5)を加え、200rpmで撹拌を継続したまま、三口フラスコを80℃の湯浴に浸漬した。すぐに液の色が青色から無色透明に変化し、析出物が発生した。次いで、30分後に三口フラスコを湯浴から引き上げた。なお、反応中、三口フラスコ内は空気が充満された状態であった。得られた析出物を実施例1と同様の方法で取り出した。該析出物について各種評価を実施した。
比較例3
300mL三口フラスコ内にて、108.0gの水酸化ナトリウム(2.7mol)を、27℃の純水A180.0gに溶解した。次いで、0.217gの硝酸銅三水和物(0.90mmol)を9.2gの純水Aで溶解させた水溶液と、1.2gのエチレンジアミン(20mmol)とを添加して、200rpmで撹拌をおこない、均一な青色の水溶液を調製した。得られた水溶液において、銅イオンに対する水酸化ナトリウムの水酸化物イオンのモル比は3000であり、また銅イオンに対する含窒素化合物のモル比は22である。
この水溶液に、還元性化合物としてヒドラジン一水和物0.023gを加え、200rpmで撹拌を継続したまま、三口フラスコを80℃の湯浴に浸漬した。液の色は青色から薄くなり、5分後にはほぼ無色透明にまで変化した。さらに30分経過後、ヒドラジン一水和物0.090gを添加し(ヒドラジン一水和物合計2.3mmol、銅イオンに対するモル比は2.5)、約1分間撹拌を継続した。その後、撹拌を停止し、三口フラスコを湯浴から引き上げたところ、冷却過程において繊維状銅微粒子が析出したことを目視で確認した。なお、反応中、三口フラスコ内は空気が充満された状態であった。得られた析出物を実施例1と同様の方法で取り出した。該析出物について各種評価を実施した。
比較例4
比較例3と同様にして、水酸化ナトリウム、硝酸銅三水和物およびエチレンジアミンを含有する均一な青色の水溶液を調製した。
この溶液に、ヒドラジン一水和物0.19g(3.8mmol、銅イオンに対するモル比は4.2)を加え、200rpmで撹拌を継続したまま、三口フラスコを80℃の湯浴に浸漬した。すぐに液の色が青色から無色透明に変化し、析出物が発生した。次いで、30分後に三口フラスコを湯浴から引き上げた。なお、反応中、三口フラスコ内は空気が充満された状態であった。得られた析出物を実施例1と同様の方法で取り出した。該析出物について各種評価を実施した。
比較例5
実施例1と同様にして、水酸化ナトリウム、硝酸銅三水和物およびエチレンジアミンを含有する均一な青色の水溶液を調製した。
この溶液に、還元性化合物として水素化ホウ素ナトリウム(ナカライ社製、A値:0.01)水溶液(4.4質量%)0.26gを加え、200rpmで撹拌を継続したまま、三口フラスコを80℃の湯浴に浸漬した。30分後も、液は青色のまま変化しなかったため、1.04gの水素化ホウ素ナトリウム水溶液(4.4質量%)をさらに添加して(水素化ホウ素ナトリウム合計1.5mmol、銅イオンに対するモル比は2.5)、さらに30分間加熱撹拌を継続したが、液色は青色のまま変化せず、析出物は得られなかった。なお、反応中、三口フラスコ内は空気が充満された状態であった。
実施例1〜4、比較例1〜5における繊維状銅微粒子の製造条件、得られた繊維状銅微粒子の評価結果を表1に示す。
実施例1〜4において得られた繊維状銅微粒子は、短径が1μm以下かつアスペクト比が10以上であり、短径が0.3μm以上かつアスペクト比が1.5以下である銅粒状体の含有量が、繊維状銅微粒子1本あたり、0.1個以下であった。
実施例1〜4にて得られた繊維状銅微粒子を、デジタルマイクロスコープにて観察することにより得られた観察図を図4〜8に示す。図4〜8から明らかなように、実施例1〜4にて得られた繊維状銅微粒子は、短径が0.3μm以上かつアスペクト比が1.5以下である銅粒状体の形成が抑制されていた。
比較例1〜4において得られた繊維状銅微粒子は、A値が0.5未満の還元性化合物を用いて得られたものであったため、短径が1μm以下、アスペクト比が10以上であったものの、短径が0.3μm以上でアスペクト比が1.5以下である銅粒状体を、繊維状銅微粒子1本あたり、0.1個を超えて含有するものであった。
比較例1〜4にて得られた繊維状銅微粒子を、デジタルマイクロスコープにて観察することにより得られた観察図を図9〜12に示す。図9〜12から明らかなように、比較例1〜4にて得られた繊維状銅微粒子は、短径が0.3μm以上かつアスペクト比が1.5以下である銅粒状体が、多数形成されていた。
比較例5において、A値が0.5未満である他の還元性化合物を用いたが、繊維状銅微粒子を得ることすらできなかった。

Claims (3)

  1. 短径が1μm以下かつアスペクト比が10以上である繊維状銅微粒子であって、短径が0.3μm以上かつアスペクト比が1.5以下である銅粒状体の含有量が、繊維状銅微粒子1本あたり、0.1個以下である繊維状銅微粒子を製造するための方法であって、
    銅イオン、アルカリ性化合物、銅イオンと錯体を形成する含窒素化合物、および還元性化合物を含有する水溶液から、繊維状銅微粒子を析出させる工程を含み、
    還元性化合物の、下記式[1]に示すアルカリ水溶液中の溶存酸素濃度残存率Aが、0.5以上であることを特徴とする繊維状銅微粒子の製造方法。
    溶存酸素濃度残存率A=(還元性化合物添加10分後の溶存酸素濃度(C10))/(還元性化合物添加前の溶存酸素濃度(C)) [1]
  2. 長さが1μm以上である繊維状銅微粒子を製造するための請求項1に記載の繊維状銅微粒子の製造方法。
  3. 還元性化合物が、アスコルビン酸、エリソルビン酸およびグルコースから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の繊維状銅微粒子の製造方法。
JP2014521329A 2012-06-11 2013-06-11 繊維状銅微粒子の製造方法 Expired - Fee Related JP6192639B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014521329A JP6192639B2 (ja) 2012-06-11 2013-06-11 繊維状銅微粒子の製造方法

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012131651 2012-06-11
JP2012131651 2012-06-11
JP2014521329A JP6192639B2 (ja) 2012-06-11 2013-06-11 繊維状銅微粒子の製造方法
PCT/JP2013/066012 WO2013187384A1 (ja) 2012-06-11 2013-06-11 繊維状銅微粒子およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2013187384A1 JPWO2013187384A1 (ja) 2016-02-04
JP6192639B2 true JP6192639B2 (ja) 2017-09-06

Family

ID=49758206

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014521329A Expired - Fee Related JP6192639B2 (ja) 2012-06-11 2013-06-11 繊維状銅微粒子の製造方法

Country Status (3)

Country Link
US (1) US20150147584A1 (ja)
JP (1) JP6192639B2 (ja)
WO (1) WO2013187384A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023033296A1 (ko) * 2021-09-03 2023-03-09 엘에스전선 주식회사 전해동박용 부정형 구리 소재 및 이의 제조방법

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015097808A1 (ja) * 2013-12-26 2015-07-02 古河電気工業株式会社 銅ナノワイヤー製造方法および銅ナノワイヤーならびにその用途
WO2017113023A1 (es) * 2015-12-29 2017-07-06 Gomez Marisol Composicion antimicrobiana para el revestimiento de superficies

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3560333B2 (ja) * 2001-03-08 2004-09-02 独立行政法人 科学技術振興機構 金属ナノワイヤー及びその製造方法
EP2454394A1 (en) * 2009-07-14 2012-05-23 Hemlock Semiconductor Corporation A method of inhibiting formation of deposits in a manufacturing system
CN102792385A (zh) * 2009-12-07 2012-11-21 杜克大学 生长铜纳米线的组合物和方法
JP2012080091A (ja) * 2010-09-07 2012-04-19 Fujifilm Corp 透明導電フィルム、その製造方法、それを用いた有機薄膜太陽電池
KR20140020286A (ko) * 2011-06-14 2014-02-18 유니띠까 가부시키가이샤 피복 섬유상 구리 미립자, 및 그 피복 섬유상 구리 미립자를 포함하는 도전성 코팅제 및 도전성 필름

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023033296A1 (ko) * 2021-09-03 2023-03-09 엘에스전선 주식회사 전해동박용 부정형 구리 소재 및 이의 제조방법

Also Published As

Publication number Publication date
US20150147584A1 (en) 2015-05-28
WO2013187384A1 (ja) 2013-12-19
JPWO2013187384A1 (ja) 2016-02-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5065607B2 (ja) 微粒銀粒子製造方法及びその製造方法で得られた微粒銀粒子
TWI508922B (zh) 生長銅奈米線之組成物及方法
JP6616287B2 (ja) 強磁性金属ナノワイヤー分散液およびその製造方法
JP5934829B2 (ja) 銀被覆銅合金粉末およびその製造方法
US20170140846A1 (en) Silver-coated copper nanowire and preparation method therefor
KR20130050906A (ko) 저온 소결성 은 나노 입자 조성물 및 상기 조성물을 이용하여 형성된 전자 물품
JP2019517625A (ja) 化学的還元法を用いたコアシェル構造の銀コーティング銅ナノワイヤの製造方法
US20170278596A1 (en) Method for producing metal nanowires having improved uniformity in length distribution
TWI399254B (zh) Nickel powder and its manufacturing method and conductive paste
JP6192639B2 (ja) 繊維状銅微粒子の製造方法
WO2017094361A1 (ja) デンドライト状銀粉
JP6718687B2 (ja) 強磁性金属ナノワイヤー
JP3766161B2 (ja) 被覆粉体、銀被覆銅粉及びその製造方法、導電性ペースト並びに導電膜
JP6181367B2 (ja) 被覆繊維状銅微粒子集合体
WO2011038309A1 (en) Silver ribbons, methods of their making and applications thereof
JP6076249B2 (ja) 被覆繊維状銅微粒子、並びに該被覆繊維状銅微粒子を含む導電性コーティング剤および導電性フィルム
WO2020090689A1 (ja) 銀ナノワイヤの集合体、銀ナノワイヤインク、透明導電膜、及びそれらの製造方法
JP6181368B2 (ja) 繊維状銀微粒子集合体
WO2014092177A1 (ja) 繊維状銅微粒子およびその製造方法
JP2014133945A (ja) 繊維状銅微粒子、及び該繊維状銅微粒子の製造方法
TWI538753B (zh) 奈米金屬線材的製作方法與奈米線材
TW202104602A (zh) 銀奈米線及該銀奈米線的製造方法、以及含有銀奈米線的反應液及銀奈米線分散液
JP2013159809A (ja) 銅微粒子の製造方法及びその製造方法による銅微粒子、並びにその銅微粒子を用いた塗料
JP2019081889A (ja) 水溶性セルロースエーテル溶液および粘度調整剤並びに銀ナノワイヤインクの製造方法
JP2014133946A (ja) 繊維状銅微粒子の集合体、及び該繊維状銅微粒子の集合体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160524

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170516

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170623

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170711

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170808

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6192639

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees