JP6191528B2 - 合成イソプレン重合体ラテックスの製造方法、合成イソプレン重合体ラテックス、ディップ成形用組成物およびディップ成形体 - Google Patents

合成イソプレン重合体ラテックスの製造方法、合成イソプレン重合体ラテックス、ディップ成形用組成物およびディップ成形体 Download PDF

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Description

本発明は、合成イソプレン重合体ラテックスの製造工程における、合成イソプレン重合体の廃棄量を低減できる合成イソプレン重合体ラテックスの製造方法、および、引張強度に優れたディップ成形体を与えるディップ成形用組成物に関する。
従来、天然ゴムのラテックスを含有するディップ成形用組成物をディップ成形して、乳首、風船、手袋、バルーン、サック等の人体と接触して使用されるディップ成形体が得られることが知られている。しかしながら、天然ゴムのラテックスは、人体にアレルギー症状を引き起こすような蛋白質を含有するため、生体粘膜又は臓器と直接接触するディップ成形体としては問題がある場合があった。そのため、天然ゴムのラテックスではなく、合成イソプレン重合体ゴムのラテックスを用いる検討がされてきており、年々増加する需要に答えるべく、合成イソプレン重合体ラテックスを高収率で生産する方法が求められている。
例えば、特許文献1では、合成イソプレン重合体のシクロヘキサン溶液と、乳化剤水溶液を混合・乳化し、得られた乳化混合液からシクロヘキサンを留去して合成イソプレン重合体のラテックスを得た後、密閉ディスク型連続遠心分離機で遠心分離を行うことにより濃縮を行い、遠心分離後の軽液として、凝集物がほとんどなく、乳化剤残留量が少ない合成イソプレン重合体ラテックスを得ている。
しかしながら、上記特許文献1の製造方法においては、遠心分離工程で発生する重液(軽液を取り出した残りの液)中に残存する合成イソプレン重合体の回収・再利用については検討されておらず、廃棄される合成イソプレン重合体が非常に多いため、合成イソプレン重合体の収率が低いという問題があった。
特開2009−179680号公報
本発明は、合成イソプレン重合体ラテックスの製造工程における、合成イソプレン重合体の廃棄量を低減できる合成イソプレン重合体ラテックスの製造方法、および、引張強度に優れたディップ成形体を与えるディップ成形用組成物に関し、より詳細には、合成イソプレン重合体ラテックスの製造において、遠心分離工程で発生する重液から合成イソプレン重合体を回収することで高い収率を達成し得る製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、
(i)合成イソプレン重合体を含む廃液(遠心分離後の重液等)に、凝固剤を添加して凝固させることにより、合成イソプレン重合体を回収・再利用しても、回収された合成イソプレン重合体に凝固剤が残留し、該合成イソプレン重合体の有機溶剤溶液を乳化して得られる乳化混合液から有機溶剤を除去して合成イソプレン重合体ラテックスを得る際に、多量の凝集物が発生すること(再利用に適さない合成イソプレン重合体になってしまうこと)、
(ii)遠心分離による濃縮で発生する重液(合成イソプレン重合体および界面活性剤を含有している)を、そのままディップ成形用組成物にしても、固形分濃度が低すぎてディップ成形時にラテックスが凝固せず、ディップ成形体が得られないこと、
(iii)遠心分離による濃縮で発生する重液(合成イソプレン重合体および界面活性剤を含有している)の固形分濃度を上げるために水を留去して濃縮した後、ディップ成形用組成物にしても、ディップ成形時にラテックスが凝固せず、ディップ成形体が得られないこと、
および、
(iV)遠心分離による濃縮で発生する重液(合成イソプレン重合体および界面活性剤を含有している)から水のみならず界面活性剤も除去して特定の含有量にすることにより上記課題が達成されること、
を見出し、上記(iV)の知見にもとづいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、
合成イソプレン重合体の有機溶剤溶液(A)と、界面活性剤の水溶液(B)とを、混合および乳化して乳化混合液(C)を得た後、該乳化混合液(C)から有機溶剤を除去して合成イソプレン重合体ラテックス(D)を得る工程、
得られた合成イソプレン重合体ラテックス(D)を遠心分離して、軽液として合成イソプレン重合体ラテックス(E)を得、重液として合成イソプレン重合体と界面活性剤を含有し、固形分濃度が1〜30重量%の廃液(F)を得る工程、および
得られた廃液(F)から界面活性剤および水を除去して、固形分濃度35〜70重量%、かつ、合成イソプレン重合体100重量部に対し界面活性剤を1〜10重量部含有する合成イソプレン重合体ラテックス(G)を得る工程を含むことを特徴とする合成イソプレン重合体ラテックス(G)の製造方法が提供される。
また、本発明においては、上記廃液(F)から遠心分離により、界面活性剤および水を除去することが好ましい。
そして、本発明においては、上記廃液(F)を限外濾過して界面活性剤および水を除去することが好ましい。
なお、本発明においては、上記合成イソプレン重合体ラテックス(E)中における界面活性剤の含有量が合成イソプレン重合体100重量部に対して0.5〜3重量部であり、上記合成イソプレン重合体ラテックス(G)中の界面活性剤の含有量が合成イソプレン重合体100重量部に対して4〜8重量部であることが好ましい。
また、本発明によれば、上記の製造方法で得られた合成イソプレン重合体ラテックス(G)が提供される。
さらに、本発明によれば、上記の製造方法で得られた合成イソプレン重合体ラテックス(G)、硫黄系加硫剤および加硫促進剤を含有してなるディップ成形用組成物、および該ディップ成形用組成物を、ディップ成形してなるディップ成形体が提供される。
本発明によれば、合成イソプレン重合体ラテックスの製造工程における、合成イソプレン重合体の廃棄量を低減できる合成イソプレン重合体ラテックスの製造方法、および、引張強度に優れたディップ成形体を与えるディップ成形用組成物を提供することができる。
図1は、セラミック製濾過材を設置した限外濾過装置の概略図である。
本発明の合成イソプレン重合体ラテックス(G)の製造方法は、合成イソプレン重合体の有機溶剤溶液(A)と、界面活性剤の水溶液(B)とを、混合および乳化して乳化混合液(C)を得た後、該乳化混合液(C)から有機溶剤を除去して合成イソプレン重合体ラテックス(D)を得る工程、
得られた合成イソプレン重合体ラテックス(D)を遠心分離して、軽液として合成イソプレン重合体ラテックス(E)を得、重液として合成イソプレン重合体と界面活性剤を含有し、固形分濃度が1〜30重量%の廃液(F)を得る工程、および
得られた廃液(F)から界面活性剤および水を除去して、固形分濃度35〜70重量%、かつ、合成イソプレン重合体100重量部に対し界面活性剤を1〜10重量部含有する合成イソプレン重合体ラテックス(G)を得る工程を含むことを特徴とする。
合成イソプレン重合体
本発明で用いる合成イソプレン重合体は、イソプレンを重合して得られる合成イソプレン重合体である。
合成イソプレン重合体は、イソプレンと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体を共重合したものであってもよい。合成イソプレン重合体のイソプレン単位の含有量は、柔軟で、引張強度に優れるディップ成形体が得られ易いことから、全単量体単位に対して、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上、特に好ましくは100重量%(イソプレンの単独重合体)である。
イソプレンと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、ブタジエン、クロロプレン、1,3−ペンタジエン等のイソプレン以外の共役ジエン単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等のエチレン性不飽和ニトリル単量体;スチレン、アルキルスチレン等のビニル芳香族単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル等のエチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体;などが挙げられる。なお、これらのイソプレンと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体は、1種単独でも、複数種を併用してもよい。
合成イソプレン重合体は、従来公知の方法、例えばトリアルキルアルミニウム−四塩化チタンからなるチーグラー系重合触媒やn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムなどのアルキルリチウム重合触媒を用いて、不活性重合溶媒中で、イソプレンを溶液重合して得ることができる。そして、得られた合成イソプレン重合体の重合体溶液を、合成イソプレン重合体ラテックスの製造にそのまま用いてもよいが、該重合体溶液から固形の合成イソプレン重合体を取り出した後、その固形の合成イソプレン重合体を有機溶媒に溶解して合成イソプレン重合体ラテックスの製造に用いることもできる。
この際、合成した後に重合体溶液中に残った重合触媒の残渣などの不純物を取り除いてもよい。そして、重合中または重合後の溶液に、後述する老化防止剤を添加してもよい。
また、市販の固形の合成イソプレン重合体を、合成イソプレン重合体ラテックスの製造に用いることもできる。
合成イソプレン重合体中のイソプレン単位としては、イソプレンの結合状態により、シス結合単位、トランス結合単位、1,2−ビニル結合単位、3,4−ビニル結合単位の4種類が存在する。
そして、ディップ成形体の引張強度向上の観点から、合成イソプレン重合体に含まれるイソプレン単位中のシス結合単位の含有割合は、全イソプレン単位に対して、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上である。
合成イソプレン重合体の重量平均分子量は、ゲル・パーミーエーション・クロマトグラフィー分析による標準ポリスチレン換算で、10,000〜5,000,000、好ましくは500,000〜5,000,000、特に好ましくは800,000〜3,000,000である。合成イソプレン重合体の重量平均分子量が小さ過ぎると、ディップ成形体の引張強度が低下する傾向があり、逆に大き過ぎると、合成イソプレン重合体のラテックス(水性分散液)が製造し難くなる傾向がある。
また、合成イソプレン重合体のポリマームーニー粘度〔ML1+4、100℃〕は、好ましくは50〜80、より好ましくは60〜80、特に好ましくは70〜80である。
合成イソプレン重合体の有機溶剤溶液(A)
本発明で用いる合成イソプレン重合体の有機溶剤溶液(A)は、合成イソプレン重合体が有機溶剤に溶解しているものである。なお、合成イソプレン重合体としては、上述したものを用いることができる。
また、有機溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキセン等の脂環族炭化水素溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、二塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素溶媒;等を挙げることができる。これらのうち、脂環族炭化水素溶媒が好ましく、シクロヘキサンが特に好ましい。
なお、有機溶剤の使用量は、合成イソプレン重合体100重量部に対して、好ましくは2,000重量部以下、より好ましくは20〜1,500重量部である。
また、合成イソプレン重合体の有機溶剤溶液(A)の重合体濃度は特に限定されないが、1〜15重量%が好ましく、5〜10重量%がさらに好ましい。重合体濃度が高すぎると、粘度が高くなり過ぎるため、移送が難しくなる場合がある。また、重合体濃度が低過ぎると、生産性が低下する傾向がある。
合成イソプレン重合体の有機溶剤溶液(A)の調整方法としては、例えば、(I)溶液重合で得られた合成イソプレン重合体の重合体溶液を、合成イソプレン重合体の有機溶剤溶液(A)としてそのまま用いる方法、(II)溶液重合で得られた合成イソプレン重合体溶液から、固形の合成イソプレン重合体を取り出した後、その固形の合成イソプレン重合体を再度、有機溶剤に溶解して合成イソプレン重合体の重合体溶液とする方法、等を挙げることができるが、重合体溶液中に残った重合触媒の残渣などの不純物を取り除く観点から、(II)の方法が好ましい。なお、市販の合成イソプレン重合体を、有機溶剤に溶解して合成イソプレン重合体の重合体溶液とする場合も、上記(II)の方法に該当する。
界面活性剤の水溶液(B)
本発明で用いる界面活性剤の水溶液(B)は、界面活性剤が水に溶解しているものである。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤が好ましい。アニオン性界面活性剤の具体例としては、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、リノレン酸ナトリウム、ロジン酸ナトリウム、ロジン酸カリウム等の脂肪酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、デシルベンゼンスルホン酸カリウム、セチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、セチルベンゼンスルホン酸カリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸カリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のアルキルスルホコハク酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等のアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸カリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩;ラウリルリン酸ナトリウム、ラウリルリン酸カリウム等のモノアルキルリン酸塩;α,β−不飽和カルボン酸のスルホエステル、α,β−不飽和カルボン酸のサルフェートエステル、スルホアルキルアリールエーテル等の共重合性の界面活性剤;等が挙げられる。
しかしながら、合成イソプレン重合体由来の、微量に残留する重合触媒(特に、アルミニウムとチタニウム)がより効率的に除去でき、ディップ成形用組成物製造時の凝集物の発生が抑制されることから、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキル硫酸エステル塩およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩からなる群から選ばれる少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と、脂肪酸塩とを併用して用いることが好ましく、アルキルベンゼンスルホン酸塩と、脂肪酸塩とを併用して用いることが特に好ましい。ここで、脂肪酸塩としては、ロジン酸ナトリウムおよびロジン酸カリウムが好ましく、また、アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびドデシルベンゼンスルホン酸カリウムが好ましい。また、これらの界面活性剤は、1種単独でも2種以上を併用しても良い。
なお、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキル硫酸エステル塩およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩の中から選ばれた少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と、脂肪酸塩とを併用する場合には、これらの使用割合を、「脂肪酸塩」:「アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキル硫酸エステル塩およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩の中から選ばれた少なくとも1種のアニオン性界面活性剤の合計」の重量比で、1:1〜10:1の範囲とすることが好ましく、1:1〜7:1の範囲とすることがより好ましい。アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキル硫酸エステル塩およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩の中から選ばれた少なくとも1種のアニオン性界面活性剤の使用割合が多すぎると、合成イソプレン重合体の乳化時や有機溶剤除去の際に泡立ちが激しくなるおそれがあり、これにより、長時間の静置や、消泡剤の添加などの操作が必要になり、作業性の悪化およびコストアップに繋がるおそれがある。一方、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキル硫酸エステル塩およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩の中から選ばれた少なくとも1種のアニオン性界面活性剤の使用割合が少なすぎると、乳化時や有機溶剤除去の際に多量の凝集物が発生する傾向がある。
なお、ディップ成形時に使用する凝固剤での凝固を妨げない範囲であれば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等の非イオン性界面活性剤も併用できる。
界面活性剤の水溶液(B)中の界面活性剤量は、0.1〜20重量%であり、好ましくは0.2〜10重量%、特に好ましくは0.3〜5重量%である。界面活性剤の水溶液(B)中の界面活性剤量が少な過ぎると、乳化混合液(C)から有機溶剤を除去する際に凝集物が発生しやすくなる。また、界面活性剤の水溶液(B)中の界面活性剤量が多過ぎると、粘度が増大し過ぎて、乳化時の取扱いが難しくなる。
なお、2種類以上の界面活性剤を用いる場合においては、これらの合計の含有量を上記範囲とすることが好ましい。すなわち、たとえば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキル硫酸エステル塩およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩の中から選ばれた少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と、脂肪酸塩とを併用する場合には、これらの含有量の合計を上記範囲とすることが好ましい。
界面活性剤の水溶液(B)に使用する水の種類としては、硬水、軟水、イオン交換水、蒸留水、ゼオライトウォーターなどが挙げられ、軟水、イオン交換水および蒸留水が好ましい。
なお、界面活性剤の水溶液(B)には、pH調整剤、消泡剤、防腐剤、酸素捕捉剤、老化防止剤等の添加剤を配合してもよい。
乳化混合液(C)
本発明の製造方法においては、合成イソプレン重合体の有機溶剤溶液(A)と、界面活性剤の水溶液(B)とを、混合および乳化して乳化混合液(C)を得る。
合成イソプレン重合体の有機溶剤溶液(A)と界面活性剤の水溶液(B)の混合割合は、合成イソプレン重合体の有機溶剤溶液(A)と界面活性剤の水溶液(B)の重量比(合成イソプレン重合体の有機溶剤溶液(A)の重量:界面活性剤の水溶液(B)の重量)で、(0.5:2)〜(2:0.5)が好ましく、(0.5:1.5)〜(1.5:0.5)がより好ましく、(0.8:1.2)〜(1.2:0.8)が特に好ましい。
合成イソプレン重合体の有機溶剤溶液(A)と界面活性剤の水溶液(B)を乳化するには、一般に乳化機又は分散機として市販されているものを用いれば良い。また、合成イソプレン重合体の有機溶剤溶液(A)と界面活性剤の水溶液(B)を混合した後、乳化装置又は分散機で乳化することが好ましい。
乳化装置としては、例えば、商品名「ホモジナイザー」(IKA社製)、商品名「ポリトロン」(キネマティカ社製)、商品名「TKオートホモミキサー」(特殊機化工業社製)等のバッチ式乳化機;商品名「TKパイプラインホモミキサー」(特殊機化工業社製)、商品名「コロイドミル」(神鋼パンテック社製)、商品名「スラッシャー」(日本コークス工業社製)、商品名「トリゴナル湿式微粉砕機」(三井三池化工機社製)、商品名「キャビトロン」(ユーロテック社製)、商品名「マイルダー」(太平洋機工社製)、商品名「ファインフローミル」(太平洋機工社製)等の連続式乳化機;商品名「マイクロフルイダイザー」(みずほ工業社製)、商品名「ナノマイザー」(ナノマイザー社製)、商品名「APVガウリン」(ガウリン社製)等の高圧乳化機;商品名「膜乳化機」(冷化工業社製)等の膜乳化機;商品名「バイブロミキサー」(冷化工業社製)等の振動式乳化機;商品名「超音波ホモジナイザー」(ブランソン社製)等の超音波乳化機;等が挙げられる。なお、乳化装置による乳化操作の条件は、特に限定されず、所望の分散状態になるように、処理温度、処理時間などを適宜選定すればよい。
合成イソプレン重合体ラテックス(D)
本発明の製造方法においては、上記乳化混合液(C)から有機溶剤を除去することにより、合成イソプレン重合体ラテックス(D)を得る。
乳化混合液(C)から有機溶剤を除去する方法としては、減圧蒸留、常圧蒸留、水蒸気蒸留、遠心分離等の方法を採用することができるが、有機溶剤の除去が容易なことから、減圧蒸留および常圧蒸留が好ましい。
減圧蒸留および常圧蒸留の温度は、50〜100℃が好ましい。
減圧蒸留の圧力は、−50〜−1kPa(ゲージ圧)が好ましい。
また、合成イソプレン重合体ラテックス(D)中の有機溶剤の含有量は500重量ppm以下であることが好ましい。
合成イソプレン重合体ラテックス(E)および廃液(F)
本発明の製造方法においては、上記合成イソプレン重合体ラテックス(D)を、濃縮のために遠心分離して、軽液として濃縮された合成イソプレン重合体ラテックス(E)を得、重液として合成イソプレン重合体と界面活性剤を含有し、固形分濃度が1〜30重量%の廃液(F)を得る。なお、合成イソプレン重合体ラテックス(E)は、ディップ成形用組成物に好適に用いられる。
遠心分離は、例えば、遠心分離機を用い、遠心力を好ましくは2,000〜7,000G、合成イソプレン重合体ラテックス(D)の固形分濃度を、好ましくは2〜15重量%、遠心分離機の背圧(ゲージ圧)を、好ましくは0.03〜1.6MPaとして行うことができる。
また、連続遠心分離機を用いる場合は、連続遠心分離機に送り込む流速は、500〜2000Kg/hrが好ましい。
遠心分離機としては、特に限定されず、例えば、商品名「SRG610」(アルファラバル社製)などの連続遠心分離機や、商品名「H−2000B」(コクサン社製)などの回分式遠心分離機が挙げられる。
合成イソプレン重合体ラテックス(E)の固形分濃度は、好ましくは35〜70重量%、より好ましくは40〜70重量%である。固形分濃度が低すぎると、合成イソプレン重合体ラテックス(E)を貯蔵した際に、合成イソプレン重合体粒子が分離する懸念があり、逆に固形分濃度が高すぎると、合成イソプレン重合体粒子同士が凝集して粗大凝集物が発生する場合がある。
合成イソプレン重合体ラテックス(E)中のラテックス粒子(合成イソプレン重合体粒子)の体積平均粒子径は、0.5〜10μm、好ましくは0.5〜3μm、より好ましくは0.5〜2μmである。この体積平均粒子径が小さすぎると、ラテックス粘度が高くなりすぎて取り扱い難くなる場合があり、逆に大きすぎると、合成イソプレン重合体ラテックスを貯蔵した際に、ラテックス表面に皮膜が生成する場合がある。
また、合成イソプレン重合体ラテックス(E)中の有機溶剤の含有量は、500重量ppm以下が好ましく、300重量ppm以下がより好ましく、100重量ppm以下が特に好ましい。
そして、合成イソプレン重合体ラテックス(E)中における界面活性剤の含有量(残留量)は、合成イソプレン重合体100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部がさらに好ましく、0.5〜3重量部が特に好ましい。界面活性剤の含有量(残留量)を上記範囲にすることで、合成イソプレン重合体ラテックス(E)の泡立ちを低減でき、更にディップ成形体の引張強度も向上できる。
合成イソプレン重合体ラテックス(G)
本発明の製造方法においては、遠心分離して得られた、固形分濃度が1〜30重量%の重液(廃液(F)、合成イソプレン重合体と界面活性剤を含有する)から界面活性剤および水を除去し、固形分濃度35〜70重量%で、合成イソプレン重合体100重量部に対し界面活性剤を1〜10重量部含有する合成イソプレン重合体ラテックス(G)を得る。
なお、合成イソプレン重合体ラテックス(G)は、ディップ成形用組成物に好適に用いられる。そのため、従来は廃棄せざるを得なかった合成イソプレン重合体(廃液(F))をディップ成形用組成物として用いることが出来ることから、上述した合成イソプレン重合体ラテックス(E)と合わせた合計の収率を、従来より大幅に向上させるという著効を奏する。
合成イソプレン重合体ラテックス(G)の固形分濃度は、35〜70重量%、好ましくは40〜60重量%である。固形分濃度が低すぎると、ディップ成形用途に用いた場合に凝固しなかったり、得られるディップ成形体の引張強度が低下する。逆に固形分濃度が高すぎると、合成イソプレン重合体粒子同士が凝集して粗大凝集物が発生する場合がある。
合成イソプレン重合体ラテックス(G)中のラテックス粒子(合成イソプレン重合体粒子)の体積平均粒子径は、好ましくは0.01〜2μm、より好ましくは0.02〜1μm、特に好ましくは0.05〜0.4μmである。この体積平均粒子径が小さすぎると、ラテックス粘度が高くなりすぎて取り扱い難くなる場合があり、逆に大きすぎると、合成イソプレン重合体ラテックスを貯蔵した際に、ラテックス表面に皮膜が生成する場合がある。
また、合成イソプレン重合体ラテックス(G)中における界面活性剤の含有量(残留量)は、合成イソプレン重合体100重量部に対して1〜10重量部、好ましくは2〜10重量部、さらに好ましくは4〜8重量部である。
なお、合成イソプレン重合体ラテックス(G)中の界面活性剤の含有量(残留量)は、上述の合成イソプレン重合体ラテックス(E)中における界面活性剤の含有量(残留量)より多いことが好ましく、合成イソプレン重合体ラテックス(E)中における界面活性剤の含有量(残留量)が合成イソプレン重合体100重量部に対して0.5〜3重量部で、合成イソプレン重合体ラテックス(G)中の界面活性剤の含有量(残留量)が合成イソプレン重合体100重量部に対して4〜8重量部であることが特に好ましい。
合成イソプレン重合体ラテックス(G)中の界面活性剤の含有量(残留量)が合成イソプレン重合体ラテックス(E)中における界面活性剤の含有量(残留量)より少ない場合には、合成イソプレン重合体ラテックス(G)の粘度が高くなり過ぎる傾向がある。そして、合成イソプレン重合体ラテックス(E)中における界面活性剤の含有量(残留量)および合成イソプレン重合体ラテックス(G)中の界面活性剤の含有量(残留量)が上記範囲にある場合に、本発明の効果がより一層顕著になる。
また、合成イソプレン重合体ラテックス(G)中の有機溶剤の含有量は、500重量ppm以下が好ましく、300重量ppm以下がより好ましく、100重量ppm以下が特に好ましい。
廃液(F)から界面活性剤および水を除去する方法としては、特に限定されないが、
生産性向上の観点から、(1)廃液(F)から、遠心分離により界面活性剤および水を除去する方法、および、(2)廃液(F)を限外濾過して界面活性剤および水を除去する方法、が好ましい。
ここで、(1)廃液(F)から、遠心分離により界面活性剤および水を除去する方法、においては、廃液(F)を遠心分離して、軽液として合成イソプレン重合体ラテックス(G)を得、重液として廃液(H)を得る。
遠心分離は、例えば、遠心分離機を用い、遠心力を好ましくは2,000〜8,000G、廃液(F)の固形分濃度を、好ましくは2〜15重量%、遠心分離機の背圧(ゲージ圧)を、好ましくは0.03〜1.6MPaとして行うことができる。
また、連続遠心分離機を用いる場合は、連続遠心分離機に送り込む流速は、500〜2000Kg/hrが好ましい。
遠心分離機としては、特に限定されず、例えば、商品名「SRG610」(アルファラバル社製)などの連続遠心分離機や、商品名「H−2000B」(コクサン社製)などの回分式遠心分離機が挙げられる。
また、(2)廃液(F)を限外濾過して界面活性剤および水を除去する方法、においては、上述の遠心分離と比べて、水の除去量に劣るため、限外濾過後の濾液から、水をさらに除去することが好ましい。水をさらに除去する方法としては、減圧蒸留、常圧蒸留、水蒸気蒸留、遠心分離等の方法を採用することができるが、水の除去が容易なことから、減圧蒸留および常圧蒸留が好ましい。
減圧蒸留および常圧蒸留の温度は、50〜100℃が好ましい。
減圧蒸留の圧力は、−50〜−1kPa(ゲージ圧)が好ましい。
限外濾過の方法としては、商品名「UFモジュールAP−1050」(旭化成工業(株)製)、商品名「UFモジュールSLP−1053」(旭化成工業(株)製)、商品名「SDR305CE1」(ソラリスCLフィルター、日本インテグリス(株)製)、商品名「SF−011T」(膜式回収装置、栗田工業(株)製)、商品名「ロータリーフィルターR−ファインSSDF−0.5」(寿工業(株)製)などを用いて行うことができるが、廃液(F)を、長期間連続的に限外濾過して(クリーニング頻度が少ないことを意味する。)、残留する合成イソプレン重合体および界面活性剤の量を容易に制御することができることから、商品名「ロータリーフィルターR−ファインSSDF−0.5」(寿工業(株)製)などのセラミック製濾過材を設置した限外濾過装置を使用することが好ましい。
セラミック製濾過材としては、例えば、商品名「φ0.5μmセラミック製濾材」(Novoflow社製)が挙げられる。セラミック製濾過材の孔径は、7nm〜2μmが好ましく、60nm〜0.5μmがさらに好ましい。孔径が小さ過ぎる濾過材は製造が難しく入手が困難であり、かつ濾過による処理量が小さくなり過ぎて、生産性が低下する。また、孔径が大き過ぎる場合は、合成イソプレン重合体と界面活性剤が、両方とも濾液として抜けてしまうため、上記廃液(F)の限外濾過が効果の無いものとなる。
セラミック製濾過材を設置した限外濾過装置は、濾過効率の向上と孔詰まりを防止するため、セラミック製濾過材を回転でき、且つケーキ層の形成防止機能を有するものが好ましい。濾過材表面に形成されるケーキ層形成防止機能としては、例えば、ヘラなどの掻き取り部を有するもの、あるいは空気や水などを使用して濾過液の流れ方向とは逆方向に圧力をかける機能(逆洗機能)が挙げられる。そして、逆洗機能を有するセラミック製濾過材を設置した限外濾過装置としては、例えば、商品名「ロータリーフィルターR−ファインSSDF−0.5」(寿工業(株)製)などが挙げられる。
図1に、逆洗機能を有するセラミック製濾過材を設置した限外濾過装置の一例を示す。
図1の限外濾過装置は、回転可能な中空構造のシャフト(SF1)に、中空構造のディスク状のセラミック製濾過材(DS1)が、複数個連結されている。遠心分離後の重液(FE1)は、ポンプ(P)により、限外濾過装置の内部に供給される。そして、ポンプ(P)の圧力により、セラミック製濾過材(DS1)によって濾過され、界面活性剤と水がある程度除去された濃縮液(DP1)として、外部へ排出される。なお、界面活性剤は水に溶解しているため、セラミック製濾過材(DS1)によってはほとんど除去されないので、濾液(FE2)は実質的に界面活性剤と水のみを含有するものとなり易い。これにより、遠心分離後の重液を再利用した場合に、濃縮液(DP1)中の合成イソプレン重合体量および界面活性剤量を所定の範囲に制御することが可能になる。また、中空構造のシャフト(SF1)を回転させることにより、セラミック製濾過材(DS1)上のケーキ層の形成を防止(孔詰まりを防止)することができる。
なお、セラミック製濾過材(DS1)上のケーキ層の形成を防止するため、所定間隔で逆洗を行うことが好ましい。逆洗は、中空構造のシャフト(SF1)に、水または空気を供給することにより、該水または空気がセラミック製濾過材(DS1)の内側(中空構造部)から外側に向かって流れるため、セラミック製濾過材(DS1)上のケーキ層を除去することができる。
図1ような、セラミック製濾過材を設置した限外濾過装置の場合には、中空構造のシャフト(SF1)を回転させながら、限外濾過および逆洗を行うことが好ましい。
シャフトの回転数は、ディスク状のセラミック製濾過材(DS1)の先端速度(周速)が、4〜10m/sとなるようにすることが好ましい。
また、セラミック製濾過材(DS1)によって濾過される際の圧力(背圧)は、0.05〜1MPaが好ましい。
さらに、限外濾過時の温度は、5〜30℃が好ましい。
廃液(F)を、限外濾過装置に供給する際の流速(濾過膜1mあたりの体積流速)としては、15〜80リットル/hr・mが好ましく、20〜60リットル/hr・mがさらに好ましい。また、限外濾過装置が逆洗機能を有する場合の逆洗間隔としては、濾過膜上のケーキ層の形成状況に合わせて設定すればよく、通常、2分〜5分間毎に5秒〜20秒逆洗すれば良い。
廃液(F)中の合成イソプレン重合体粒子の体積平均粒子径は、0.001〜30μmが好ましく、0.01〜5μmが特に好ましい。合成イソプレン重合体粒子の体積平均粒子径が小さすぎると、合成イソプレン重合体粒子が限外濾過膜を通過してしまい(ろ液側に入ってしまう)、濃縮液(図1では、「DP1」)中の合成イソプレン重合体量および界面活性剤量を所定の範囲に制御するのが困難になり、また、ろ液の粘度が高くなるので取扱いが難しくなる。
このようにして得られる合成イソプレン重合体ラテックス(G)は、それ単独でディップ成形用組成物に用いても良いが、上述した合成イソプレン重合体ラテックス(E)と混合してディップ成形用組成物に用いても良い。しかしながら、合成イソプレン重合体ラテックス(G)と合成イソプレン重合体ラテックス(E)では、ラテックスの体積平均粒径に大きな差がある場合が多いため、混合比率によっては、含有する界面活性剤量との関係で、凝集物の発生が起こる場合がある。そのため、合成イソプレン重合体ラテックス(G)は単独でディップ成形用組成物に用いることが好ましい。
ディップ成形用組成物
本発明のディップ成形用組成物は、上記合成イソプレン重合体ラテックス(G)に加えて、硫黄系加硫剤および加硫促進剤を含有してなる。
硫黄系加硫剤としては、例えば、粉末硫黄、硫黄華、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄等の硫黄;塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリン・ジスルフィド、アルキルフェノール・ジスルフィド、N,N’−ジチオ−ビス(ヘキサヒドロ−2H−アゼピノンー2)、含りんポリスルフィド、高分子多硫化物、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール等の硫黄含有化合物が挙げられる。なかでも、硫黄が好ましく使用できる。これらの硫黄系加硫剤は、1種単独でも、2種以上を併用して用いることもできる。
硫黄系加硫剤の使用量は、特に限定されないが、合成イソプレン重合体ラテックス(G)中の合成イソプレン重合体100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.2〜3重量部である。この量が上記範囲にある場合に、ディップ成形体の引張強度がより一層向上する。
加硫促進剤としては、ディップ成形において通常用いられるものが使用でき、例えば、ジエチルジチオカルバミン酸、ジブチルジチオカルバミン酸、ジ−2−エチルヘキシルジチオカルバミン酸、ジシクロヘキシルジチオカルバミン酸、ジフェニルジチオカルバミン酸、ジベンジルジチオカルバミン酸などのジチオカルバミン酸類およびそれらの亜鉛塩;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛、2−メルカプトチアゾリン、ジベンゾチアジル・ジスルフィド、2−(2,4−ジニトロフェニルチオ)ベンゾチアゾール、2−(N,N−ジエチルチオ・カルバイルチオ)ベンゾチアゾール、2−(2,6−ジメチル−4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、2−(4′−モルホリノ・ジチオ)ベンゾチアゾール、4−モルホニリル−2−ベンゾチアジル・ジスルフィド、1,3−ビス(2−ベンゾチアジル・メルカプトメチル)ユリアなどが挙げられるが、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛が好ましい。これらの加硫促進剤は、1種単独でも、2種以上を併用して用いることもできる。
加硫促進剤の使用量は、合成イソプレン重合体ラテックス(G)中の合成イソプレン重合体100重量部に対して、好ましくは0.05〜5重量部であり、更に好ましくは0.1〜2重量部である。この量が少な過ぎるとディップ成形体の引張強度が低下する場合がある。また、この量が多過ぎると、ディップ成形体の伸び、および引張強度が低下する場合がある。
本発明のディップ成形用組成物は、さらに酸化亜鉛を含有することが好ましい。
酸化亜鉛の含有量は、特に限定されないが、合成イソプレン重合体ラテックス(G)中の合成イソプレン重合体100重量部に対して、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.2〜2重量部である。この量が少な過ぎるとディップ成形体の引張強度が低下する傾向があり、逆に多過ぎると、ディップ成形用組成物中の合成イソプレン重合体粒子の安定性が低下し、粗大な凝集物が発生する場合がある。
本発明のディップ成形用組成物には、さらに、老化防止剤;カーボンブラック、シリカ、タルク等の補強剤;炭酸カルシウム、クレー等の充填剤;紫外線吸収剤;可塑剤;等の配合剤を必要に応じて配合することができる。
老化防止剤としては、2,6−ジ−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、スチレン化フェノール、2,2’−メチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、アルキル化ビスフェノール、p−クレゾールとジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物、などの硫黄原子を含有しないフェノール系老化防止剤;2,2’−チオビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(6−t−ブチル−o−クレゾール)、2,6−ジ−t−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノールなどのチオビスフェノール系老化防止剤;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコール・ジホスファイトなどの亜燐酸エステル系老化防止剤;チオジプロピオン酸ジラウリルなどの硫黄エステル系老化防止剤;フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、p−(p−トルエンスルホニルアミド)−ジフェニルアミン、4,4’―(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物などのアミン系老化防止剤;6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンなどのキノリン系老化防止剤;2,5−ジ−(t−アミル)ハイドロキノンなどのハイドロキノン系老化防止剤;などが挙げられる。これらの老化防止剤は、1種単独で、または2種以上を併用することができる。
老化防止剤の使用量は、合成イソプレン重合体ラテックス(G)中の合成イソプレン重合体100重量部に対して、好ましくは0.05〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。
この量が少な過ぎると、合成イソプレン重合体が劣化する場合がある。また、この量が多過ぎると、ディップ成形体の引張強度が低下する場合がある。
ディップ成形用組成物の調製方法は、特に限定されない。当該調整方法としては、ボールミル、ニーダー、ディスパー等の分散機を用いて、合成イソプレン重合体ラテックス(G)に、硫黄系加硫剤、加硫促進剤、酸化亜鉛および必要に応じて配合される老化防止剤などのその他の配合剤を混合する方法や、予め上記の分散機を用いて、合成イソプレン重合体ラテックス(G)以外の所望の配合成分の水性分散液を調製した後、該水性分散液を合成イソプレン重合体ラテックス(G)に混合する方法などが挙げられる。
ディップ成形用組成物のpHは、7以上であることが好ましく、pH8〜12の範囲であることがより好ましい。また、ディップ成形用組成物の固形分濃度は、15〜65重量%の範囲にあることが好ましい。
本発明のディップ成形用組成物は、ディップ成形に供する前に、熟成(前加硫ともいう。)させることが好ましい。前加硫する時間は、特に限定されず、前加硫温度にも依存するが、好ましくは1〜14日間であり、更に好ましくは1〜7日間である。この時間が短すぎても長すぎても得られるディップ成形体の引張強度が低下する場合がある。なお、前加硫温度は、好ましくは20〜40℃である。
そして、前加硫した後、ディップ成形に供されるまで、好ましくは10〜30℃の温度で貯蔵することが好ましい。高温のまま貯蔵すると、得られるディップ成形体の引張強度が低下する場合がある。
ディップ成形体
本発明のディップ成形体は、本発明のディップ成形用組成物をディップ成形して得られる。ディップ成形は、ディップ成形用組成物に型を浸漬し、型の表面に当該組成物を沈着させ、次に型を当該組成物から引き上げ、その後、型の表面に沈着した当該組成物を乾燥させる方法である。なお、ディップ成形用組成物に浸漬される前の型は予熱しておいてもよい。また、型をディップ成形用組成物に浸漬する前、または、型をディップ成形用組成物から引き上げた後、必要に応じて凝固剤を使用できる。
凝固剤の使用方法の具体例としては、ディップ成形用組成物に浸漬する前の型を凝固剤の溶液に浸漬して型に凝固剤を付着させる方法(アノード凝着浸漬法)、ディップ成形用組成物を沈着させた型を凝固剤溶液に浸漬する方法(ティーグ凝着浸漬法)などがあるが、厚みムラの少ないディップ成形体が得られる点で、アノード凝着浸漬法が好ましい。
凝固剤の具体例としては、塩化バリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウムなどのハロゲン化金属;硝酸バリウム、硝酸カルシウム、硝酸亜鉛などの硝酸塩;酢酸バリウム、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛など酢酸塩;硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウムなどの硫酸塩;などの水溶性多価金属塩である。なかでも、カルシウム塩が好ましく、硝酸カルシウムがより好ましい。
これらの水溶性多価金属塩は、1種単独で、または2種以上を併用することができる。
凝固剤は、好ましくは水溶液の状態で使用する。この水溶液は、さらにメタノール、エタノール、イソプロパノールなどの水溶性有機溶媒やノニオン性界面活性剤を含有していてもよい。凝固剤の濃度は、水溶性多価金属塩の種類によっても異なるが、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜30重量%である。
型をディップ成形用組成物から引き上げた後、通常、加熱して型上に形成された沈着物を乾燥させる。乾燥条件は適宜選択すればよい。
次いで、加熱して、型上に形成された沈着物を加硫する。
加硫時の加熱条件は、特に限定されないが、好ましくは60〜150℃、より好ましくは100〜130℃の加熱温度で、好ましくは10〜120分の加熱時間である。
加熱の方法は、特に限定されないが、オーブンの中で温風で加熱する方法、赤外線を照射して加熱する方法などがある。
また、ディップ成形用組成物を沈着させた型を加熱する前あるいは加熱した後に、水溶性不純物(例えば、余剰の界面活性剤や凝固剤)を除去するために、型を水または温水で洗浄することが好ましい。用いる温水としては好ましくは40℃〜80℃であり、より好ましくは50℃〜70℃である。
加硫後のディップ成形体は、型から脱着される。脱着方法の具体例は、手で型から剥がす方法、水圧又は圧縮空気圧力により剥がす方法、などがある。加硫途中のディップ成形体が脱着に対する十分な強度を有していれば、加硫途中で脱着し、引き続き、その後の加硫を継続してもよい。
本発明のディップ成形体は、引張強度に優れているため、手袋に用いることが好ましい。ディップ成形体が手袋である場合、ディップ成形体同士の接触面における密着を防止し、着脱の際の滑りをよくするために、タルク、炭酸カルシウムなどの無機微粒子または澱粉粒子などの有機微粒子を手袋表面に散布したり、微粒子を含有するエラストマー層を手袋表面に形成したり、手袋の表面層を塩素化したりしてもよい。
本発明のディップ成形体は、上記手袋の他にも、哺乳瓶用乳首、スポイト、チューブ、水枕、バルーンサック、カテーテル、コンドームなどの医療用品;風船、人形、ボールなどの玩具;加圧成形用バック、ガス貯蔵用バックなどの工業用品;指サックなどにも用いることができる。
以下、実施例により本発明が詳細に説明されるが、本発明はこれらの実施例に限定されない。なお、以下の「部」は、特に断りのない限り、重量基準である。
体積平均粒子径
レーザ回折式粒度分布測定装置(商品名「SALD2200」、島津製作所製)を用いて、体積平均粒子径を求めた。
界面活性剤の含有量
試料を0.15g精秤して超純水2mlに添加した後、アセトニトリルを添加することで、溶液を10mlに調整した。次いで、上澄み液を0.2μmのディスクフィルターでろ過した後、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて下記の条件で測定した。
カラム:商品名「ZORBOX XDB−C18 1.8μ」(アジレント・テクノロジー社製)
カラム温度:40℃
流速:0.75 ml/min.
検出器:DAD(ダイオードアレイ検出器)
注入量:2μL
固形分濃度
アルミ皿(重量:X1)に試料2gを精秤し(重量:X2)、これを105℃の熱風乾燥器内で2時間乾燥させた。デシケーター内で冷却した後、アルミ皿ごと重量を測定し(重量:X3)、下記の計算式で計算を実施した。
固形分濃度(重量%)=(X3−X1)×100/X2
合成イソプレン重合体の含有量
ラテックス中の固形分濃度(重量%)を上記の方法で求め、該固形分濃度から、上記の方法で求めたラテックス中の界面活性剤の含有量を計算で除き、合成イソプレンの重合体の含有量とした。
固形分換算の収率
使用した合成イソプレン重合体の重量(Y1)、合成イソプレン重合体ラテックス(e1)中の固形分の重量(Y2)、重液(廃液(f1))から回収した合成イソプレン重合体ラテックス中の固形分の重量(Y3)から、下記の式で計算した。
なお、重液(廃液(f1))から回収した合成イソプレン重合体ラテックスから、ディップ成形体が得られなかった場合には、Y3=0として計算した。
収率(重量%)=(Y2+Y3)×100/Y1
ディップ成形体の引張強度、伸び
ディップ成形体の引張強度は、ASTM D412に基づいて測定した。
フィルム状のディップ成形体を、ダンベル(商品名「スーパーダンベル(型式:SDMK−100C)」、(株)ダンベル社製)で打ち抜き、引張強度測定用試験片を作製した。当該試験片をテンシロン万能試験機(商品名「RTG−1210」、(株)オリエンテック製)で引張速度500mm/minで引っ張り、破断直前の引張強度(単位:MPa)、破断直前の伸び(単位:%)を測定した。
実施例1
重量平均分子量が1,300,000の合成イソプレン重合体(商品名「IR2200L」、日本ゼオン(株)製、イソプレンの単独重合体、シス結合単位量98%)100部を、シクロヘキサン(和光純薬工業(株)製)1150部に溶解し、合成イソプレン重合体のシクロヘキサン溶液(a1)を得た。次に、ロジン酸ナトリウム(商品名「ロンジスN−18」、荒川化学(株)社製)1重量%およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(商品名「ネオペレックスG−15」、花王(株)製)0.5重量%を含有してなる、合成イソプレン重合体を含まない界面活性剤水溶液(b1)1245部を調整した。
そして、上記合成イソプレン重合体のシクロヘキサン溶液(a1)の全量、および、上記界面活性剤水溶液(b1)の全量を、SUS304製の容器に入れて攪拌混合し、続いてホモジナイザー(商品名「マイルダーMDN−303V」、太平洋機工(株)製)によって乳化分散処理を施し、乳化混合液(c1)を得た。
次に、ロータリーエバポレーター(商品名「RE600」、ヤマト科学社製)を用い、78℃、−20kPa(ゲージ圧)の条件下で、上記乳化混合液(c1)から、シクロヘキサンを留去して、合成イソプレン重合体ラテックス(d1)を得た。
そして、200メッシュステンレス製金網を用い、合成イソプレン重合体ラテックス(d1)中の凝集物を除去した。
次に、凝集物を除去後の合成イソプレン重合体ラテックス(d1)に対し、遠心分離機(商品名「H−2000B」、コクサン社製)を使用して、5,000G、40分間、20℃の条件で遠心分離を実施し、軽液として固形分濃度56重量%(合成イソプレン重合体100部に対し界面活性剤を2.9部含有)の合成イソプレン重合体ラテックス(e1)(固形分83部)と、重液として固形分濃度9.5重量%(合成イソプレン重合体100部に対し界面活性剤を30.1部含有)の廃液(f1)を得た。
次に、廃液(f1)を、セラミック製濾過材を設置した限外濾過装置(商品名「ロータリーフィルターR−ファインSSDF−0.5」、寿工業(株)製、φ0.2μmのセラミック製濾過材(Novoflow社製)を使用)を用いて、濾過圧180kPa、逆洗圧160kPa(濾過2分間毎に逆洗を5秒間行う)で処理し、限外濾過後の廃液(fs1)を得た。次に、限外濾過後の廃液(fs1)から、ロータリーエバポレーター(商品名「RE600」、ヤマト科学社製)にて水を加熱留去し、合成イソプレン重合体ラテックス(g1)(固形分15部)を得た。合成イソプレン重合体ラテックス(g1)の固形分濃度は49.3重量%であり、合成イソプレン重合体100部に対し、界面活性剤を5.8部含有していた。
また、合成イソプレン重合体ラテックス(e1)と合成イソプレン重合体ラテックス(g1)の固形分から求めた固形分換算の収率は、98重量%であった。
(ディップ成形用組成物)
先ず、スチレン−マレイン酸モノ−sec−ブチルエステル−マレイン酸モノメチルエステル重合体(商品名「Scripset550」、Hercules社製)を、水酸化ナトリウムを用い、重合体中のカルボキシル基を100%中和して、分散剤(p)としてのナトリウム塩水溶液(濃度10重量%)を調整した。そして、この分散剤(p)を、上記の合成イソプレン重合体100部に対して、固形分換算で0.8部になるようにして、合成イソプレン重合体ラテックス(g1)に添加した。
そして、得られた混合物を攪拌しながら、混合物中の合成イソプレン重合体100部に対して、固形分換算で、酸化亜鉛1.5部、硫黄1.5部、老化防止剤(商品名「Wingstay L」、グッドイヤー社製)2部、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛0.3部、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛0.5部、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩0.7部となるように、各配合剤の水分散液を添加した後、水酸化カリウム水溶液を添加して、pHを10.5に調整したディップ成形用組成物を得た。その後、得られたディップ成形用組成物を、25℃の恒温槽で48時間熟成した。
(ディップ成形体)
表面がすり加工されたガラス型(直径約5cm、すり部長さ約15cm)を洗浄し、70℃のオーブン内で予備加熱した後、18重量%の硝酸カルシウムおよび0.05重量%のポリオキシエチレンラウリルエーテル(商品名「エマルゲン109P」、花王(株)製)からなる凝固剤水溶液に5秒間浸漬し、取り出した。
次いで、凝固剤で被覆されたガラス型を70℃のオーブン内で乾燥した。その後、凝固剤で被覆されたガラス型をオーブンから取り出し、25℃の上記ディップ成形用組成物に10秒間浸漬してから取り出し、室温で60分間乾燥してフィルムで被覆されたガラス型を得た。そして、このフィルムで被覆されたガラス型を60℃の温水中に2分間浸漬した後、室温で30分間風乾した。その後、このフィルムで被覆されたガラス型を120℃のオーブン内に置き20分間加硫を行った。加硫されたフィルムで被覆されたガラス型を室温まで冷却し、タルクを散布した後、当該フィルムをガラス型から剥離した。得られたフィルム(ディップ成形体)の引張強度および伸びの測定結果を表1に示す。
実施例2
実施例1と同様にして、固形分濃度9.5重量%、合成イソプレン重合体100部に対し界面活性剤を30.1部含有する廃液(f1)を得た。
次に、遠心分離機(商品名「H−2000B」、コクサン社製)を使用して、7,000G、60分間、20℃の条件で遠心分離を実施し、軽液として、合成イソプレン重合体ラテックス(g2)(固形分11部)を得た。合成イソプレン重合体ラテックス(g2)の固形分濃度は52.5重量%であり、合成イソプレン重合体100部に対し、界面活性剤を4.2部含有していた。
また、合成イソプレン重合体ラテックス(e1)と合成イソプレン重合体ラテックス(g2)の固形分から求めた固形分換算の収率は、94重量%であった。
そして、合成イソプレン重合体ラテックス(g1)に代えて、合成イソプレン重合体ラテックス(g2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、フィルム(ディップ成形体)を得た。該フィルム(ディップ成形体)の引張強度および伸びの測定結果を表1に示す。
比較例1
実施例1と同様にして、固形分濃度9.5重量%、合成イソプレン重合体100部に対し界面活性剤を30.1部含有する廃液(f1)を得た。
そして、合成イソプレン重合体ラテックス(g1)に代えて、廃液(f1)を用いた以外は、実施例1と同様にしてディップ成形用組成物を調製し、フィルム(ディップ成形体)を得ようとしたが、ディップ成形時に凝固せず、フィルム(ディップ成形体)を得ることができなかった。
結局、比較例1においては、廃液(f1)からディップ成形に適した合成イソプレン重合体ラテックスを回収することができなかったため、固形分換算の収率は、合成イソプレン重合体ラテックス(e1)のみの83重量%であった。
比較例2
実施例1と同様にして、固形分濃度9.5重量%、合成イソプレン重合体100部に対し界面活性剤を30.1部含有する廃液(f1)を得た。
次に、廃液(f1)を、セラミック製濾過材を設置した限外濾過装置(商品名「ロータリーフィルターR−ファインSSDF−0.5」、寿工業(株)製、φ0.2μmのセラミック製濾過材(Novoflow社製)を使用)を用いて、濾過圧180kPa、逆洗圧160kPa(濾過2分間毎に逆洗を5秒間行う)で処理し、限外濾過後の廃液(fs1)(固形分15部)を得た。なお、廃液(fs1)の固形分濃度は29.4重量%であり、合成イソプレン重合体100部に対し、界面活性剤を6.2部含有していた。
そして、合成イソプレン重合体ラテックス(g1)に代えて、限外濾過後の廃液(fs1)を用いた以外は、実施例1と同様にして、フィルム(ディップ成形体)を得た。該フィルム(ディップ成形体)の引張強度および伸びの測定結果を表1に示す。
なお、比較例2においては、限外濾過後の廃液(fs1)から、ディップ成形は可能な合成イソプレン重合体ラテックスを回収することはできていたため、合成イソプレン重合体ラテックス(e1)と廃液(fs1)の固形分から求めた固形分換算の収率は、98重量%であった。
比較例3
実施例1と同様にして、固形分濃度9.5重量%、合成イソプレン重合体100部に対し界面活性剤を30.1部含有する廃液(f1)を得た。
次に、廃液(f1)から、ロータリーエバポレーター(商品名「RE600」、ヤマト科学社製)にて水を加熱留去し、合成イソプレン重合体ラテックス(h)を得た。
合成イソプレン重合体ラテックス(h)の固形分濃度は44.3重量%であり、合成イソプレン重合体100部に対し、界面活性剤を15.4部含有していた。
そして、合成イソプレン重合体ラテックス(g1)に代えて、合成イソプレン重合体ラテックス(h)を用いた以外は、実施例1と同様にしてディップ成形用組成物を調製し、フィルム(ディップ成形体)を得ようとしたが、ディップ成形時に凝固せず、フィルム(ディップ成形体)を得ることができなかった。
結局、比較例3においては、合成イソプレン重合体ラテックス(h)からディップ成形に適した合成イソプレン重合体ラテックスを回収することができなかったため、固形分換算の収率は、合成イソプレン重合体ラテックス(e1)のみの83重量%であった。
Figure 0006191528
表1より、本発明の要件を満たす合成イソプレン重合体ラテックス(g1)および(g2)を用いた場合には、廃液から回収されたラテックスを用いたにもかかわらず、引張強度および伸びに優れたディップ成形体が得られていた。そのため、従来からディップ成形に用いられていた合成イソプレン重合体ラテックス(e1)との合計収率も高く、合成イソプレン重合体ラテックスの製造工程における、合成イソプレン重合体の廃棄量を低減できるものであった(実施例1および2)。
一方、固形分濃度が低すぎ、かつ、合成イソプレン重合体100重量部に対する界面活性剤の含有量が多すぎる廃液(f1)を用いた場合には、ディップ成形時に凝固せず、フィルム(ディップ成形体)を得られなかった。そのため、廃液(f1)中の合成イソプレン重合体を廃棄せざるを得ず、合成イソプレン重合体ラテックスの製造工程における、合成イソプレン重合体の廃棄量を低減できるものではなかった(比較例1)
また、合成イソプレン重合体100重量部に対する界面活性剤の含有量は本発明で規定する範囲内であるが、固形分濃度が低すぎる限外濾過後の廃液(fs1)を用いた場合には、フィルム(ディップ成形体)を得ることはできるため、従来からディップ成形に用いられていた合成イソプレン重合体ラテックス(e1)との合計収率は高かった。しかしながら、得られるフィルム(ディップ成形体)は、引張強度が大幅に劣っていた(比較例2)。
さらに、固形分濃度は本発明で規定する範囲内であるが、合成イソプレン重合体100重量部に対する界面活性剤の含有量が多すぎる合成イソプレン重合体ラテックス(h)を用いた場合には、ディップ成形時に凝固せず、フィルム(ディップ成形体)を得られなかった。そのため、合成イソプレン重合体ラテックス(h)中の合成イソプレン重合体を廃棄せざるを得ず、合成イソプレン重合体ラテックスの製造工程における、合成イソプレン重合体の廃棄量を低減できるものではなかった(比較例3)。
SF1 中空構造のシャフト
DS1 セラミック製濾過材
FE1 重液(廃液(F))
FE2 限外濾過後の濾液
DP1 限外濾過後の濃縮液
P ポンプ
AR1 ガス抜きライン

Claims (6)

  1. 合成イソプレン重合体の有機溶剤溶液(A)と、界面活性剤の水溶液(B)とを、混合および乳化して乳化混合液(C)を得た後、該乳化混合液(C)から有機溶剤を除去して合成イソプレン重合体ラテックス(D)を得る工程、
    得られた合成イソプレン重合体ラテックス(D)を遠心分離して、軽液として合成イソプレン重合体ラテックス(E)を得、重液として合成イソプレン重合体と界面活性剤を含有し、固形分濃度が1〜30重量%の廃液(F)を得る工程、および
    得られた廃液(F)から界面活性剤および水を除去して、固形分濃度35〜70重量%、かつ、合成イソプレン重合体100重量部に対し界面活性剤を1〜10重量部含有する合成イソプレン重合体ラテックス(G)を得る工程を含むことを特徴とする合成イソプレン重合体ラテックス(G)の製造方法。
  2. 前記廃液(F)から、遠心分離により、界面活性剤および水を除去することを特徴とする請求項1に記載の合成イソプレン重合体ラテックス(G)の製造方法。
  3. 前記廃液(F)を限外濾過して界面活性剤および水を除去することを特徴とする請求項1に記載の合成イソプレン重合体ラテックス(G)の製造方法。
  4. 前記合成イソプレン重合体ラテックス(E)中における界面活性剤の含有量が合成イソプレン重合体100重量部に対して0.5〜3重量部であり、前記合成イソプレン重合体ラテックス(G)中の界面活性剤の含有量が合成イソプレン重合体100重量部に対して4〜8重量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の合成イソプレン重合体ラテックス(G)の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法で得られる合成イソプレン重合体ラテックス(G)、硫黄系加硫剤および加硫促進剤を配合するディップ成形用組成物の製造方法
  6. 請求項に記載の製造方法で得られるディップ成形用組成物を、ディップ成形するディップ成形体の製造方法
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