JP6190026B2 - トンネルの掘削方法 - Google Patents
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Description
本発明は、前記事情に鑑み、AGF工法によってトンネルを掘進する際、保護パイプを用いずに、かつ支障なく、先受け鋼管をガイド筒に案内させて地山に打ち込み可能とすることを目的とする。
前記ガイド付きアーチ支保工の掘進後方側に隣接する後方隣接アーチ支保工と、前記ガイド付きアーチ支保工との間に吹付コンクリート(以下、本明細書において適宜「一次吹付コンクリート」と称す。)を打設する工程と、
前記閉塞材による前記ガイド筒の閉塞を解除する工程と、
先受け鋼管打設装置によって、先受け鋼管を、前記ガイド筒を通して切羽より掘進前方側の地山に打ち込む工程と、
を順次実行することを特徴とする。
本発明に係るトンネルの掘削方法の更なる特徴は、トンネルの切羽近くのガイド付きアーチ支保工に設けられたガイド部材のガイド筒を、閉塞材によって塞ぐ工程と、
前記ガイド付きアーチ支保工の掘進後方側に隣接する後方隣接アーチ支保工と、前記ガイド付きアーチ支保工との間に吹付コンクリートを打設する工程と、
前記閉塞材による前記ガイド筒の閉塞を解除する工程と、
先受け鋼管打設装置によって、先受け鋼管を、前記ガイド筒を通して切羽より掘進前方側の地山に打ち込む工程と、
を順次実行し、前記ガイド部材が、前記ガイド付きアーチ支保工のウエブの掘進後方側の面に設けられたガイド板を有し、前記ガイド板の縁から掘進後方側へ補強リブが突出され、前記ガイド筒が、前記ガイド板及び前記ウエブを貫通しており、前記補強リブの掘進後方側の端部が、前記ガイド付きアーチ支保工のフランジの掘進後方側の端部よりも前記ウエブ側に引っ込み、かつ前記ガイド筒の掘進後方側の端部が、前記補強リブの掘進後方側の端部よりも前記ウエブ側に引っ込んでおり、
前記塞ぐ工程では、前記閉塞材を、前記フランジの掘進後方側の端部よりも前記ウエブ側に引っ込ませて配置することにある。
前記打設する工程では、前記吹付コンクリートを、前記ガイド付きアーチ支保工のウエブよりも掘進後方側の上フランジの内面にも打設しておくことが好ましい。
前記閉塞材が、前記ガイド筒に被さる膜状閉塞材であってもよい。
これによって、一次吹付コンクリートがガイド筒になるべく被さらないようにでき、ガイド筒内への一次吹付コンクリートの侵入を一層確実に防止できる。加えて、一次吹付コンクリートに、先受け鋼管をガイド筒へ向けて案内する案内凹部を形成でき、先受け鋼管をガイド筒に容易に挿し入れることができる。
図1に示すように、本発明形態のトンネル1は、いわゆるAGF(All Ground Fasten)工法によって掘進されている。トンネル1の上半部には、トンネル軸線L1に沿って一定間隔置きに長尺の先受け鋼管9が設けられている。先受け鋼管9は、トンネル軸線L1に対して掘進前方側(図1において右側)へ向かうにしたがってトンネル外周側へ少し傾斜された角度で地山2へ打ち込まれている。図2に示すように、複数の先受け鋼管9が、トンネル1の上半部の周方向に間隔を置いて配列されている。
なお、図1に示すように、互いに隣接するアーチ支保工10間の地山面2aには、吹付コンクリート50が吹き付けられている。更に、図2において二点鎖線にて示すように、吹付コンクリート50及びアーチ支保工10よりもトンネル内周側には、覆工コンクリート53が打設される。
図示しない掘削機によって地山2を掘削することでトンネル1を掘進する。例えば1m掘進するたびに、切羽1eの直近にアーチ支保工10を設置する。当該切羽直近のアーチ支保工10と、その直前に設置したアーチ支保工10との間の地山面2aには、吹付コンクリート50を打設する。更に、後工程において、吹付コンクリート50の内周側に覆工コンクリート53が構築される。
<後方隣接アーチ支保工10Bの構築工程>
ガイド付きアーチ支保工10Aの1つ手前の後方隣接アーチ支保工10Bを構築する時は、トンネル1の床面に底上げピース15(図5)を設ける。底上げピース15の上に後方隣接アーチ支保工10Bを載せる。これによって、後方隣接アーチ支保工10Bが他のアーチ支保工10よりも高くなる。
<ガイド付きアーチ支保工10Aの構築工程>
後方隣接アーチ支保工10Bの次にガイド付きアーチ支保工10Aを構築する。すなわち、図1に示すように、トンネル1の掘削が例えば9m進むたびに、通常の(ガイド部材3が無い)アーチ支保工10に代えて、ガイド付きアーチ支保工10Aを切羽1eの直近に設置する。
図4に示すように、ガイド付きアーチ支保工10Aの各ガイド部材3のガイド筒30には、ブロック状閉塞材60を設ける。ブロック状閉塞材60は、ガイド筒30を着脱可能に塞ぐものである。
ブロック状閉塞材60としては、例えば発泡スチロール(発泡樹脂)を用いることができる。ブロック状閉塞材60は、ガイド筒30の内径に合わせた大きさの円柱形状であることが好ましい。発泡スチロール製のブロック状閉塞材60を入側筒部31側からガイド筒30の内部に詰める。これによって、ガイド筒30が塞がれる。
発泡スチロールは安価であるから、施工コストを低減できる。
なお、図4では、ブロック状閉塞材60の両端面は、軸線L60に対して斜めになることでガイド筒30の端面に合わせられているが、ブロック状閉塞材60の両端面が軸線L60に対して直交していてもよい。
続いて、図5に示すように、後方隣接アーチ支保工10Bとガイド付きアーチ支保工10Aとの間の地山面2aに、一次吹付コンクリート51を打設する。打設に先立ち、ガイド筒30を閉塞材60で塞いでおくことで、ガイド筒30内に一次吹付コンクリート51が入り込むのを防止でき、ガイド筒30が一次吹付コンクリート51で詰まるのを防止できる。
好ましくは、一次吹付コンクリート51の厚さを、後方隣接アーチ支保工10Bの近くでは大きくし、ガイド付きアーチ支保工10Aの近くでは小さくする。より好ましくは、一次吹付コンクリート51の厚さを、ガイド付きアーチ支保工10Aへ近づくにしたがって漸次小さくする。これによって、ガイド筒30内への一次吹付コンクリート51の侵入を確実に防止できる。ひいては、ガイド筒30の詰まりを一層確実に防止できる。
一次吹付コンクリート51には、先受け鋼管案内凹部51bが形成される。先受け鋼管案内凹部51bの掘進前方側の端部にガイド部材3が臨む。
一次吹付コンクリート51の打設後、図6に示すように、ブロック状閉塞材60をガイド筒30から撤去する。発泡スチロール製のブロック状閉塞材60は、バール等の工具を用いてガイド筒30から簡単に取り出すことができる。
これによって、ガイド筒30の閉塞状態が解除され、ガイド筒30の内部空間が、先受け鋼管案内凹部51bを通して、トンネル1の内部空間に連通される。
続いて、図1に示すように、先受け鋼管打設装置4(ドリルジャンボ)を切羽1eの掘進後方側のトンネル1内に設置する。先受け鋼管打設装置4のブーム4bの先端には、ガイドセル4cが設けられ、ガイドセル4cにロッド4dが装着されている。該ロッド4dの外周に先受け鋼管9を嵌める。ロッド4dの先端部と先受け鋼管9の先端部を互いに係止する。
そして、図7に示すように、ロッド4dひいては先受け鋼管9を、先受け鋼管案内凹部51bからガイド筒30に挿し入れる。前述したように、ガイド筒30が一次吹付コンクリート51で詰まるのを防止しておくことで、先受け鋼管9を支障なくガイド筒30に挿し入れることができる。
更に先受け鋼管打設装置4を駆動することで、先受け鋼管9の先端のロストビット4eを先導させながら、先受け鋼管9を切羽1eより掘進前方側(切羽奥側)の地山2へ打ち込む。このとき、ガイド筒30の案内によって、先受け鋼管9の軸線L9をガイド筒軸L30に沿わせることができる。すなわち、先受け鋼管9のトンネル軸線L1(図7において左右方向)に対する傾斜角度を、ガイド筒30の角度θ30(例えば4°〜10°)程度にすることができる。
後方隣接アーチ支保工10Bを底上げしておくことで、先受け鋼管打設装置4のブーム4bの先端が後方隣接アーチ支保工10Bと干渉するのを避けながら、先受け鋼管9の角度をなるべく小さくできる。好ましくは、図1に示すように、先受け鋼管9が、次に設置されるアーチ支保工10Cをすれすれに通るようにすることができる。
<注入材8の注入工程>
次に、図8に示すように、先受け鋼管9内に注入材8を注入して充填する。注入材8は、好ましくはシリカレジン系注入材を用いる。注入材8として、モルタルやセメントミルクを用いてもよい。
以上の先受け鋼管9の打ち込み工程及び注入材8の注入工程を、ガイド付きアーチ支保工10Aの複数のガイド部材3の各々について実施する。
次に、図8に示すように、二次吹付コンクリート52を、後方隣接アーチ支保工10Bとガイド付きアーチ支保工10Aとの間の一次吹付コンクリート51に重ねるように打設する。特に、先受け鋼管案内凹部51b内に二次吹付コンクリート52を打設する。これによって、ガイド部材3、及びガイド部材3より掘進後方側の先受け鋼管9が二次吹付コンクリート52中に埋まる。
なお、先受け鋼管9の掘進後方側の端部は、二次吹付コンクリート52から突出させ、覆工コンクリート53(図2)に埋設されるようにしてもよい。
二次吹付コンクリート52の打設後、注入材8の注入を行なってもよい。
その後、トンネル1の掘削を進める。先受け鋼管9によって切羽1eの上半部から掘進前方側の地山2を補強しておくことで、掘削に伴う地山2の緩みを抑えることができる。
図10は、本発明の第2実施形態を示したものである。第2実施形態の閉塞材は、膜状閉塞材62によって構成されている。膜状閉塞材62は、袋状に成形されている。膜状閉塞材62の材質は、樹脂シートでもよく、不織布でもよく、織布でもよい。
図10において二点鎖線にて示す一次吹付コンクリート51の打設前に、膜状閉塞材62をガイド筒30の入側筒部31の開口に被せる。膜状閉塞材62の周縁部を入側筒部31の外周面にバンド等の縛着材63で縛り付ける。膜状閉塞材62を口紐付きの巾着袋状に形成し、口紐が縛着材63となっていてもよい。
一次吹付コンクリート51の打設後、膜状閉塞材62を撤去する。
或いは、膜状閉塞材62を工具類で切り裂いたり破ったりすることで破壊してもよい。先受け鋼管打設装置4や先受け鋼管9で膜状閉塞材62を破壊してもよい。
膜状閉塞材62の撤去又は破壊によって、ガイド筒30の閉塞を解除して開口させることができ、先受け鋼管9をガイド筒30内に挿入できる。
例えば、ブロック状閉塞材60は、発泡スチロール以外の発泡樹脂ブロックであってもよく、発泡樹脂以外のブロックであってもよい。
閉塞解除工程において、ブロック状閉塞材60を先受け鋼管打設装置4等で破壊してもよい。
膜状閉塞材62は、袋状に限られずシート状等であってもよい。
更に閉塞材は、ガイド筒30を閉塞可能かつ一次吹付コンクリート51の打設の邪魔にならないものであれば、ブロック状閉塞材60や膜状閉塞材62に限られず、新聞紙等であってもよい。新聞紙をガイド筒30に詰めてもよい。
1e 切羽
2 地山
3 ガイド部材
9 先受け鋼管
10 アーチ支保工
10A ガイド付きアーチ支保工
30 ガイド筒
31 入側筒部
32 出側筒部
50 吹付コンクリート
51 一次吹付コンクリート(吹付コンクリート)
51b 先受け鋼管案内凹部
52 二次吹付コンクリート
53 覆工コンクリート
60 ブロック状閉塞材(閉塞材)
62 膜状閉塞材(閉塞材)
63 縛着材
Claims (5)
- トンネルの切羽近くのガイド付きアーチ支保工に設けられたガイド部材のガイド筒を、閉塞材によって塞ぐ工程と、
前記ガイド付きアーチ支保工の掘進後方側に隣接する後方隣接アーチ支保工と、前記ガイド付きアーチ支保工との間に吹付コンクリートを打設する工程と、
前記閉塞材による前記ガイド筒の閉塞を解除する工程と、
先受け鋼管打設装置によって、先受け鋼管を、前記ガイド筒を通して切羽より掘進前方側の地山に打ち込む工程と、
を順次実行し、前記ガイド部材が、前記ガイド付きアーチ支保工のウエブの掘進後方側の面に設けられたガイド板を有し、前記ガイド板の縁から掘進後方側へ補強リブが突出され、前記ガイド筒が、前記ガイド板及び前記ウエブを貫通しており、前記補強リブの掘進後方側の端部が、前記ガイド付きアーチ支保工のフランジの掘進後方側の端部よりも前記ウエブ側に引っ込み、かつ前記ガイド筒の掘進後方側の端部が、前記補強リブの掘進後方側の端部よりも前記ウエブ側に引っ込んでおり、
前記塞ぐ工程では、前記閉塞材を、前記フランジの掘進後方側の端部よりも前記ウエブ側に引っ込ませて配置することを特徴とするトンネルの掘削方法。 - 前記閉塞材が、前記ガイド筒に詰められるブロック状閉塞材であることを特徴とする請求項1に記載のトンネルの掘削方法。
- 前記閉塞材が、前記ガイド筒に被さる膜状閉塞材であることを特徴とする請求項1に記載のトンネルの掘削方法。
- 前記吹付コンクリートの厚さを、前記後方隣接アーチ支保工の近くでは相対的に大きく、前記ガイド付きアーチ支保工の近くでは相対的に小さくすることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のトンネルの掘削方法。
- 前記打設する工程では、前記吹付コンクリートを、前記ガイド付きアーチ支保工のウエブよりも掘進後方側の上フランジの内面にも打設しておくことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のトンネルの掘削方法。
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