JP6188352B2 - 単量体、塗布液、樹脂層、及び複合材料 - Google Patents

単量体、塗布液、樹脂層、及び複合材料 Download PDF

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Description

本発明は、単量体、塗布液、樹脂層、及び複合材料に関する。
樹脂材料は様々な用途で使用されているが、表面に傷がつきやすい。そのため、樹脂材料の表面に高硬度なハードコート層を形成することが行われている。ハードコート層としては、多官能アクリレートから成るものが知られている(非特許文献1、2参照)。多官能アクリレートは重合後の架橋密度が高いため、高硬度を実現できる。
I.Azuma,N.Kosaka,G.Iwamura,Y.Marutani,H.Uemura,Progress in Organic Coatings,32,1-7(1997) J.H.Moon,H.S.Han,Y.G.Shul,S.Y.Hong,Y.S.Choi,H.T.Kim,Progress in Organic Coatings,25(4),301-312(2005)
PETフィルム等から成る基材の表面にハードコート層を形成し、その後、曲面を持つ金型で加熱圧縮し、曲面を有する複合材料を形成することが考えられる。しかしながら、従来の多官能アクリレートから成るハードコート層は架橋密度が高いために柔軟性に乏しく、上記のように曲面を形成することが困難である。本発明は以上の点に鑑みなされたものであり、上記の課題を解決できる単量体、塗布液、樹脂層、及び複合材料を提供することを目的とする。
本発明の単量体は、Diels-Alder反応部位と、少なくとも一つのアクリロイル基とを有し、前記アクリロイル基により重合可能であることを特徴とする。本発明の単量体を用いて形成した樹脂層は高温において高い伸び性(柔軟性)を有し、曲面に加工することが容易である。
本発明の単量体におけるDiels-Alder反応部位としては、例えば、マレイミド環とフラン環とが付加したものが挙げられる。本発明の単量体において、Diels-Alder反応部位でのendo体の比率は、65%以上であることが好ましい。この場合、本発明の単量体を用いて形成した樹脂層が、より低い温度で伸び性を発現する。
本発明の塗布液は、上述した単量体と、溶媒とを含むことを特徴とする。この塗布液を例えば基材上に塗布し、溶媒を揮発させることで、基材上に樹脂層を形成することができる。この樹脂層は、高温において高い伸び性(柔軟性)を有し、曲面に加工することが容易である。本発明の塗布液は、例えば、さらに、官能基を有する他の単量体を含むことができる。
本発明の樹脂層は、上述した単量体を含む重合体から成る。この樹脂層は、高温において高い伸び性(柔軟性)を有し、曲面に加工することが容易である。本発明の樹脂層は、例えば、重合体中に、官能基を有する他の単量体を含むことができる。
本発明の複合材料は、基体と、その表面に形成された上記の樹脂層とを備える。樹脂層が高温において高い伸び性を有するため、本発明の複合材料は容易に曲面形状を形成することができる。
FU−MAを合成する方法を表す説明図である。 (1)はMAを表す構造式であり、(2)はFUを表す構造式であり、(3)は2−AEを表す構造式であり、(4)はFAを表す構造式であり、(5)はAOIを表す構造式であり、(6)はIrgacure.184を表す構造式であり、(7)はMOIを表す構造式であり、(8)はFA−CHIを表す構造式であり、(9)はIPDIを表す構造式である。 FU−MAの1H−NMRスペクトルである。 FU−MIの合成方法を表す説明図である。 FU−MIの1H−NMRスペクトルである。 HEMIの合成方法を表す説明図である。 HEMIの1H−NMRスペクトルである。 DAの合成方法を表す説明図である。 DAの1H−NMRスペクトルである。 DA−AOIを表す構造式である。 DA−AOIの生成を表す赤外吸収スペクトルである。 (1)はDAのendo体を表す構造式であり、(2)はDAのexo体を表す構造式である。 複合材料5の構成を表す断面図である。 伸び率の測定結果を表すグラフである。 DAの1H−NMRスペクトルである。 DA−MOIを表す構造式である。 DA−IPDIを表す構造式である。 単量体の構成を表す模式図である。
Diels-Alder反応部位は、低温においてはDiels-Alder付加反応により結合し、高温においては逆Diels-Alder反応により解離する部位である。単量体におけるDiels-Alder反応部位の位置は特に限定されず、単量体の端部であってもよいし、端部以外(例えば中央部)であってもよい。単量体におけるDiels-Alder反応部位の数は特に限定されず、1つであっても複数であってもよい。
Diels-Alder反応部位は、endo体のみであってもよいし、exo体のみであってもよいし、endo体とexo体との両方を含んでいてもよい。endo体とexo体との比率を調整することにより、樹脂層が伸び性を発現する温度を変化させることができる。すなわち、endo体の比率を高くすることで、樹脂層がより低い温度で伸び性を発現する。
単量体におけるアクリロイル基の数は特に限定されず、1つであっても複数であってもよい。樹脂層は、例えば、ハードコート層として用いることができる。樹脂層は、例えば、重合体中に、官能基を有する他の単量体を含んでいてもよい。官能基を有する他の単量体としては、例えば、BA(ブチルアクリレート)、DCPA(ジシクロペンタニルアクリレート)、IBXA(イソボルニルアクリレート)等が挙げられる。
塗布液を構成する溶媒としては、例えば、MEK(メチルエチルケトン)、アセトン、TTHF(テトラヒドロフラン)等が挙げられる。また、塗布液は、適宜、単量体以外の成分を含んでいてもよい。官能基を有する他の単量体としては、例えば、BA(ブチルアクリレート)、DCPA(ジシクロペンタニルアクリレート)、IBXA(イソボルニルアクリレート)等が挙げられる。
複合材料を構成する基体の材料としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)等が挙げられる。基材の形態としては、例えば、フィルム、板状部材、筐体等が挙げられる。
<実施例1>
1.単量体の製造
(1)FU−MA(Furan-maleic anhydride adduct)の合成
GramlichらによるN-2-hydroxyethylmaleimideの合成方法(W.M.Gramlish,M.L.Robertson,M.A.Hillmyer,Macromolecules,43,2313-2321,(2010))を参考にし、図1に示す方法でFU−MAを合成した。具体的には、まず、MA(maleic anhydride)をエチルアセテートに固形分濃度50wt%となるように溶解させ、FU(huran)をMAの1.3倍モル量滴下した。次に、室温で24時間攪拌後、析出した結晶を吸引濾過により回収し、真空乾燥によりFU−MAを得た。
ここで、使用したMAはナカライテスク株式会社製のものであり、その構造式は図2(1)に示すものである。また、使用したFUは関東化学株式会社製のものであり、その構造式は図2(2)に示すものである。また、エチルアセテートは関東化学株式会社製のものである。
得られたFU−MAの確認を1H−NMRにより行った。その1H−NMRのスペクトルを図3に示す。図3のスペクトルにおいて、(a)〜(c)のピークは、それぞれ、同図の右上に示すFU−MAの構造式における(a)〜(c)の部位に対応するピークである。
1H−NMR測定において、測定装置として核磁気共鳴装置(BLUKERA AVANCE200(20MHz))を使用し、溶媒としてDMSO−d6を使用した。また、固形分濃度1.0wt%、積算回数16回にて測定を行い、化学シフト及び積分値よりピークの帰属と組成の確認を行った。
(2)FU−MI(Furan-maleimide adduct)の合成
図4に示す方法でFU−MIを合成した。具体的には、まず、前記(1)で合成したFU−MAを、固形分濃度が50wt%となるようにエタノールに溶解させ、FU−MA/EtOH溶液を調製した。一方、FU−MAと等モル量の2−AE(2-amino ethanol)を、濃度60wt%となるようにエタノールと混合し、2−AE/EtOH溶液を調製した。
次に、FU−MA/EtOH溶液に2−AE/EtOH溶液を滴下し、80℃で4時間反応させた。反応終了後、一晩冷却し、析出した結晶を吸引濾過にて回収し、真空乾燥によりFU−MIを得た。
ここで、使用した2−AEは東京化成工業株式会社製のものであり、その構造式は図2(3)に示すものである。また、使用したエタノールは関東化学株式会社製のものである。
得られたFU−MIの確認を1H−NMRにより行った。その1H−NMRのスペクトルを図5に示す。図5のスペクトルにおいて、(a)〜(f)のピークは、それぞれ、同図の右上に示すFU−MIの構造式における(a)〜(f)の部位に対応するピークである。
(3)HEMI(N-2-hydroxyethylmaleimide)の合成
図6に示す方法でHEMIを合成した。具体的には、まず、前記(2)で合成したFU−MIを、固形分濃度5wt%となるようにトルエン(ナカライテスク株式会社製)に溶解させ、窒素フローを行いながら、110℃で10時間反応させた。反応終了後、一晩冷却し、析出した結晶をヘキサン(関東化学株式会社製)で洗浄した。洗浄後、吸引濾過にて結晶を回収し、真空乾燥によりHEMIを得た。
得られたHEMIの確認を1H−NMRにより行った。その1H−NMRのスペクトルを図7に示す。図7のスペクトルにおいて、(a)〜(d)のピークは、それぞれ、同図の右上に示すHEMIの構造式における(a)〜(d)の部位に対応するピークである。
(4)DA(Furfuryl akcohol-HEMI Diels-Alder adduct)の合成
図8に示す方法でDAを合成した。具体的には、まず、前記(3)で合成したHEMIを、固形分濃度30wt%となるようにMEKに溶解させた。次に、HEMIと等モル量のFA(Furfuryl akcohol)を滴下し、室温で7日間攪拌し、DAのMEK溶液を得た。ここで、使用したFAは東京化成工業株式会社製のものであり、その構造式は図2(4)に示すものである。
得られたDAの確認を1H−NMRにより行った。その1H−NMRのスペクトルを図9に示す。また、この1H−NMRのスペクトルから、Diels-Alder反応率の算出、Diels-Alder化合物におけるendo体(図12(1)参照)とexo体(図12(2)参照)の割合算出を行った。
Diels-Alder反応率は、残存FAに起因する7.6ppm付近のピーク(e)とDAに起因する6.4ppm付近のピーク(c)、(d)+(c‘)、(d’)との積分比から算出した。Diels-Alder反応率の値は85%であった。
また、endo体とexo体の割合は、DAに起因する6.4ppm付近のピーク(c)、(d)+(c‘)、(d’)と、DAのexo体に起因する3.0ppm付近のピーク(a)+(b)との積分比から算出した。endo体とexo体の割合は、endo体が65%、exo体が35%であった。
(5)DA−AOIの合成
前記(4)で合成したDAのMEK溶液に、DAにおけるHEMI由来の水酸基及びFA由来の水酸基と等モル量のAOl(2-acryloyloxyethyl isocyanate)を添加し、さらに反応触媒としてDBTDL(di-n-butyl tindiaurate )を固形分に対して0.1wt%加えた。その後、室温で12時間反応を行い、DA−AOIのMEK溶液を得た。DA−AOIの構造式は図10に示すものである。
このDA−AOIは、図10に示すとおり、Diels-Alder反応部位1と、少なくとも一つのアクリロイル基とを有し、アクリロイル基により重合可能であることを特徴とする単量体の一実施形態である。また、DA−AOIにおいて、Diels-Alder反応部位1は、マレイミド環とフラン環とが付加したものである。
ここで、AOlは昭和電工株式会社製のものであり、その構造式は図2(5)に示すものである。また、DBTDLは東京化成株式会社製のものである。
DA−AOIが生成する反応の確認は、赤外吸収スペクトル(IR)測定を用い、イソシアネート基に起因する2270cm-1のピークの消失、また、ウレタン結合のN−H変角振動に起因する1540cm-1の出現によって行った。赤外吸収スペクトルを図11に示す。
赤外吸収スペクトルの測定装置として、フーリエ変換赤外分光光度計(ニコレー・ジャパン株式会社製 AVATAR320S型FT−IR)を使用した。また、測定方法は液体用KRSセルを用いる液膜法とし、積算回数64回、分解能8cm-1の条件で行った。
なお、図18に、DA−AOIの構造の模式図を示す。また、後述する実施例2、5、6、比較例1〜4で製造する単量体における構造の模式図を示す。
2.塗布液の製造
前記「1.単量体の製造」で得たDA−AOIのMEK溶液に、光開始剤であるIrgacure.184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)を、固形分に対し5wt%加えて溶解させた。この溶液を以下では塗布液とする。ここで、Irgacure.184の構造式は図2(6)に示すものである。
3.樹脂層及び複合材料の製造
前記「2.塗布液の製造」で製造した塗布液を、10cm×10cm×100μmのPETフィルム(コスモシャインA4300、東洋紡績株式会社製)上に塗布し、バーコーターを用いて膜厚5μmになるように製膜した。
その後、PETフィルムを80℃オーブンに10分間入れてMEKを除去し、1分間UV(紫外線)照射すること単量体を重合させ、でPETフィルム上に樹脂層を形成した。その結果、図13に示すように、PETフィルム(基体の一実施形態)1と、その表面に形成された樹脂層3とを備える複合材料5が製造できた。この樹脂層3はハードコート層として機能する。なお、UV照射には、紫外線照射装置ハイパーLII(東邦歯科産業製)と、光源としてのメタルハライドランプ(150W)を用いた。
4.評価
(1)伸び性の評価
前記「3.樹脂層及び複合材料の製造」で製造した複合材料から、60mm×10mmの大きさの試験片を切り出し、チャック間距離40mm、引張速度2mm/minの条件で引張試験を行った。すなわち、チャックした試験片を一定速度で伸ばしてゆき、樹脂層にクラックが入った時点での伸度をチャック間距離で割り、伸び率を算出した。
上記の試験は、温度25℃、130℃、150℃、170℃の各条件においてそれぞれ行った。130℃、150℃、170℃での測定の場合は、試験片を各温度の環境に5分間静置してから測定を行った。
測定装置としては、25℃の測定においてはRTC−1250A(オリエンテック株式会社製)を用い、130℃、150℃、170℃の測定においては、UTM−4−100(東洋ボールドウィン株式会社製)を用いた。
測定結果を図14に示す。130℃、150℃での測定結果は、25℃での測定結果に比べて、伸び率が大きく向上している。これは、逆Diels-Alder反応によってDiels-Alder反応部位が解離し、架橋密度が減少したためであると推測できる。
170℃での測定結果は、130℃、150℃での測定結果に比べて、伸び率がやや低下している。これは熱によって樹脂層に含まれるアクリル樹脂が熱分解し、劣化したことで脆くなってしまったためであると推測できる。
(2)表面硬度の評価
前記「3.樹脂層及び複合材料の製造」で製造した複合材料について、樹脂層を形成した面の表面硬度を、JIS K 5600−5−4の規定に従い測定した。具体的には、まず、鉛筆の木部だけを削り、芯を5〜6mm露出させ、芯の先端を研磨紙で研磨して平らにした。次に、芯の先端を樹脂層の表面に接触させ、複合材の面に対する鉛筆の角度を45±1°に固定し、750±10gの荷重を鉛筆にかけ、0.5〜1mmの速度で、複合材の表面上で7mmの距離を押した。これを5回行い、肉眼で樹脂層の表面を観察した。
上記のプロセスを、最初は硬度の低い鉛筆を用いて行い、3mm以上の傷跡が生じなければ、より硬度の高い鉛筆を用いて同じプロセスを行う、という工程を繰り返す。3mm以上の傷跡が生じれば、そのときの鉛筆の硬度を、樹脂層の硬度とする。
上記の試験を、複合材の温度が25℃の場合、130℃の場合、及び150℃の場合にそれぞれ行った。複合材の温度を130℃、又は150℃とする方法は、所定の温度に昇温したオーブン中で複合材を30分間静置する方法である。その後、複合材をオーブンから取り出し、すぐに試験を行った。
複合材の温度が25℃の場合、130℃の場合の硬度は、それぞれ2Hであり、非常に高かった。これは、樹脂層においてDiels-Alder反応によって密に架橋されているためであると推定できる。一方、複合材の温度が150℃の場合は、基体であるPETフィルムが劣化してしまい、硬度を測定できなかった。
(3)透明度の評価
前記「3.樹脂層及び複合材料の製造」で製造した複合材料について、樹脂層の可視光透過率を測定した。測定装置として、U−3310型紫外・可視光分光光度計(日立ハイテクノロジーズ株式会社製)を使用した。測定においては、可視光領域(400〜800nm)における可視光吸収スペクトルを測定し、評価には波長600、400nmでの値を用いた。
波長600nmでの可視光透過率は90.5%であり、波長400nmでの可視光透過率は87.1%であって、透明性が非常に高かった。
評価結果をまとめて表1に示す。なお、表1には、後述する実施例2、5、6、比較例1〜4の評価結果も併せて示す。
<実施例2>
1.単量体の製造
基本的には前記実施例1と同様にして、単量体を製造した。ただし、HEMIとFAを用いてDAを合成する工程は、以下のとおりとした。
まず、HEMIを、固形分濃度10wt%となるようにMEKに溶解させた。次に、HEMIと等モル量のFAを滴下し、80℃で12時間還流した。その後、再結晶により生成物を回収し、ジエチルエーテルで洗浄、乾燥を行い、DAを得た。
得られたDAの確認を1H−NMRにより行った。その1H−NMRのスペクトルを図15に示す。また、この1H−NMRのスペクトルから、前記実施例1と同様にして、Diels-Alder化合物におけるendo体とexo体の割合算出を行った。endo体とexo体の割合は、endo体が80%、exo体が20%であった。
また、DAを合成するときの溶媒として、MEKの代わりにベンゼンを用いても、略同様の結果が得られた。なお、以下では、前記実施例1で合成したDAをDA65と表記し、実施例2で合成したDAをDA80と表記することがある。
2.評価
前記「1.単量体の製造」で製造した単量体を用いて、前記実施例1と同様に塗布液を製造し、その塗布液を用いて樹脂層及び複合材料を製造した。そして、その複合材料について、前記実施例1と同様に評価を行った。評価結果を上記表1に示す。本実施例でも、前記実施例1と略同様の結果が得られた。
<実施例3>
1.塗布液の製造
DA65を用いて合成されたDA−AOIのMEK溶液(DA−AOIの濃度は30wt%)にBA(ブチルアクリレート)を、BAの固形分濃度が0、10、15、20、25wt%となるように添加した。その後、開始剤としてIrgacure.184を固形分に対して5wt%添加して、塗布液とした。
また、 DA80を用いて合成されたDA−AOIのMEK溶液(DA−AOIの濃度は30wt%)にBAを、BAの固形分濃度が0、10、15、20、25wt%となるように添加した。その後、開始剤としてIrgacure.184を固形分に対して5wt%添加して、塗布液とした。なお、BAは、官能基を有する他の単量体の一実施形態である。
2.樹脂層の製造
前記「1.塗布液の製造」で製造した各塗布液を、10cm×10cm×100μmのPETフィルム(コスモシャインA4300、東洋紡績株式会社製)上に塗布し、バーコーターを用いて膜厚4μmになるように製膜した。その後、PETフィルムを80℃オーブンに10分間入れてMEKを除去し、1分間UV(紫外線)照射すること単量体を重合させ、PETフィルム上に樹脂層を形成した。
3.評価
前記「2.樹脂層の製造」で製造した各樹脂層のそれぞれについて、伸び性の評価(引張試験)と、表面硬度の評価(鉛筆硬度試験)を行った。評価方法は前記実施例1と同様である。評価結果を表2に示す。表2において「BA−X」は、塗布液におけるBAの固形分濃度がXwt%であることを表す。
表2に示されるとおり、塗布液にBAを添加すると、25℃における伸び性が一層向上した。また、BAの固形分濃度が0〜15wt%の範囲では、表面硬度2Hを維持した。
<実施例4>
1.塗布液の製造
DA65を用いて合成されたDA−AOIのMEK溶液(DA−AOIの濃度は30wt%)にDCPA(ジシクロペンタニルアクリレート)を、DCPAの固形分濃度が0、10、15、20、25wt%となるように添加した。その後、開始剤としてIrgacure.184を固形分に対して5wt%添加して、塗布液とした。なお、DCPAは、官能基を有する他の単量体の一実施形態である。
2.樹脂層の製造
前記「1.塗布液の製造」で製造した各塗布液を、10cm×10cm×100μmのPETフィルム(コスモシャインA4300、東洋紡績株式会社製)上に塗布し、バーコーターを用いて膜厚4μmになるように製膜した。その後、PETフィルムを80℃オーブンに10分間入れてMEKを除去し、1分間UV(紫外線)照射すること単量体を重合させ、PETフィルム上に樹脂層を形成した。
3.評価
前記「2.樹脂層の製造」で製造した各樹脂層のそれぞれについて、伸び性の評価(引張試験)と、表面硬度の評価(鉛筆硬度試験)を行った。評価方法は前記実施例1と同様である。評価結果を表3に示す。表3において「DCPA−X」は、塗布液におけるDCPAの固形分濃度がXwt%であることを表す。
表3に示されるとおり、塗布液にDCPAを添加すると、25℃における伸び性が一層向上した。また、DCPAの固形分濃度が0〜15wt%の範囲では、表面硬度2Hを維持した。
<実施例5>
1.単量体の製造
前記実施例1と同様にして、DAを合成した。次に、前記実施例1における1.(5)の工程の代わりに、以下の工程を行い、単量体を製造した。
前記実施例1における1.(4)で合成したDAのMEK溶液に、DAにおけるHEMI由来の水酸基及びFA由来の水酸基と等モル量のMOI(2-methacryloxyethyl isocyanate)を添加し、さらに反応触媒としてDBTDLを固形分に対して0.1wt%加えた。その後、室温で12時間反応を行い、単量体を製造した。
なお、以下では本実施例で合成した単量体をDA−MOIと表記することがある。DA−MOIの構造式は図16に示すものである。このDA−MOIは、図16に示すとおり、Diels-Alder反応部位1と、少なくとも一つのメタクリロイル基とを有し、メタクリロイル基により重合可能であることを特徴とする単量体の一実施形態である。また、DA−MOIにおいて、Diels-Alder反応部位1は、マレイミド環とフラン環とが付加したものである。ここで、MOIは昭和電工株式会社製のものであり、その構造は図2(7)に示すものである。
DA−MOIが生成する反応の確認には、前記実施例1同様に赤外吸収スペクトル(IR)測定を用い、イソシアネート基に由来する2270cm-1のピークの消失、また、ウレタン結合のN−H変角振動に起因する1540cm-1の出現によって反応の確認を行った。
2.評価
前記「1.単量体の製造」で製造した単量体を用いて、前記実施例1と同様に塗布液を製造し、その塗布液を用いて樹脂層及び複合材料を製造した。そして、その複合材料について、前記実施例1と同様に評価を行った。評価結果を上記表1に示す。本実施例でも、前記実施例1と略同様の結果が得られた。
<実施例6>
1.単量体の製造
基本的には前記実施例1と同様にして、単量体を製造した。ただし、HEMIとFAを用いてDAを合成する工程は、以下のとおりとした。
まず、HEMIを固形分濃度30wt%となるようにMEKに溶解させた。次に、HEMIと等モル量のFA−CHIを滴下し、室温で7日間攪拌し、DAのMEK溶液を得た。
ここで、使用したFA−CHIはFAとCHI(cyclohexyl isocyanate)を反応させたものであり、その構造式は図2(8)に示すものである。なお、以下では本実施例で合成したDAをDA−CHIと表記することがある。
2.評価
前記「1.単量体の製造」で製造した単量体を用いて、前記実施例1と同様に塗布液を製造し、その塗布液を用いて樹脂層及び複合材料を製造した。そして、その複合材料について、前記実施例1と同様に評価を行った。評価結果を上記表1に示す。本実施例でも、前記実施例1と略同様の結果が得られた。
<比較例1>
前記実施例1と同様にして、DAのMEK溶液を製造した。そのDAのMEK溶液に、DAにおけるHEMI由来の水酸基及びFA由来の水酸基と等モル量のIPDI(isophorone diisocyanate)を添加し、さらに反応触媒としてDBTDLを固形分に対して0.1wt%加えた。その後、室温で12時間反応を行い、単量体を製造した。なお、以下では比較例1で合成した単量体をDA−IPDIと表記することがある。
ここで、使用したIPDIはAldrich社製のものであり、その構造式は図2(9)に示すものである。DA−IPDIの構造式は図17に示すものである。
DA−IPDIが生成する反応の確認には赤外吸収スペクトル(IR)測定を用い、イソシアネート基に起因する2270cm-1のピークの消失、また、ウレタン結合のN−H変角振動に起因する1540cm-1の出現によって反応の確認を行った。赤外吸収スペクトルの測定方法はATR法とし、積算回数64回、分解能8cm-1の条件で行った。
上記のように製造したDA−IPDIのMEK溶液を10cm×10cm×100μmのPETフィルム(コスモシャインA4300、東洋紡績株式会社製)上に塗布し、バーコーターを用いて膜厚5μmになるように製膜した。
その後、PETフィルムを80℃のオーブンに36時間入れてMEKを除去し、加熱硬化を行い、PETフィルム上に樹脂層を形成した。その樹脂層について、前記実施例1と同様に評価を行った。評価結果を上記表1に示す。
<比較例2>
MEK溶媒中に、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)と、2倍モル当量の2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)を仕込み、さらに反応触媒としてDBTDL(di-n-butyltindilaurate)を固形分に対して0.1wt%加えた。
その後、室温で1時間反応を行い、目的のウレタンアクリレートモノマー溶液を得た。反応の確認には赤外吸収スペクトル(IR)測定を行い、イソシアネート基に起因する2270cm-1のピークの消失、また、ウレタン結合のN−H変角振動に起因する1540cm-1の出現によって反応の確認を行った。
上記のように製造した単量体を用いて、前記実施例1と同様に塗布液を製造し、その塗布液を用いて樹脂層及び複合材料を製造した。そして、その複合材料について、前記実施例1と同様に評価を行った。評価結果を上記表1に示す。
<比較例3>
MEK溶媒中に、イソシアヌレート3量体(商品名;コロネートHX、日本ポリウレタン工業株式会社製)と、3倍モル当量の2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)とを仕込み、さらに反応触媒としてDBTDL(di-n-butyltindilaurate)を固形分に対して0.1wt%加えた。その後、室温で1時間反応を行い、目的のウレタンアクリレートモノマー溶液を得た。
反応の確認には赤外吸収スペクトル(IR)測定を行い、イソシアネート基に起因する2270cm-1のピークの消失、また、ウレタン結合のN−H変角振動に起因する1540cm-1の出現によって反応を確認した。
上記のように製造した単量体を用いて、前記実施例1と同様に塗布液を製造し、その塗布液を用いて樹脂層及び複合材料を製造した。そして、その複合材料について、前記実施例1と同様に評価を行った。評価結果を上記表1に示す。
<比較例4>
4官能アクリレート(商品名;A−TMMT、新中村化学工業株式会社製)のMEK溶液に、光開始剤であるIrgacure.184(BASFジャパン株式会社製)を固形分に対し5wt%加えて溶解させ、塗布液を製造した。そして、その塗布液を用いて、前記実施例1と同様の方法で複合材料を作製し、その複合材料について、前記実施例1と同様に評価を行った。評価結果を上記表1に示す。
1・・・Diels-Alder反応部位

Claims (6)

  1. 単量体と、溶媒とを含む塗布液であって、
    前記単量体は、Diels-Alder反応部位と、少なくとも一つのアクリロイル基とを有し、前記アクリロイル基により重合可能であり、
    前記Diels-Alder反応部位は、マレイミド環とフラン環とが付加したものであることを特徴とする塗布液
  2. 前記Diels-Alder反応部位におけるendo体の比率が65%以上であることを特徴とする請求項に記載の塗布液
  3. さらに、官能基を有する他の単量体を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布液。
  4. 単量体を含む重合体から成る樹脂層であって、
    前記単量体は、Diels-Alder反応部位と、少なくとも一つのアクリロイル基とを有し、前記アクリロイル基により重合可能であり、
    前記Diels-Alder反応部位は、マレイミド環とフラン環とが付加したものであることを特徴とする樹脂層。
  5. 前記重合体中に、官能基を有する他の単量体を含むことを特徴とする請求項に記載の樹脂層。
  6. 基体と、その表面に形成された請求項4又は5に記載の樹脂層とを備える複合材料。
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