JP6186875B2 - 酸素バリア性樹脂組成物ならびにこれらを用いた積層体および成型体 - Google Patents
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Description
<1> 炭素−炭素二重結合を有する樹脂を含有する樹脂組成物(A)と、酸素とを反応させてなる、酸素バリア性樹脂組成物。
<2> 前記樹脂組成物(A)にエネルギー線を照射した後に酸素と反応させてなる、上記<1>に記載の酸素バリア性樹脂組成物。
<3> さらに遷移金属触媒を含有する、上記<1>又は<2>に記載の酸素バリア性樹脂組成物。
<4> さらに光開始剤を含有する、上記<1>〜<3>の何れか一項に記載の酸素バリア性樹脂組成物。
<5> 前記炭素−炭素二重結合を有する樹脂が、ポリブタジエン(X)、ポリイソプレン(Y)及び下記一般式(1)の構成単位を有する樹脂(Z)
(式中、R1〜R7は、同一又は異なって、−H、−CH3、−CH2R、−CHR2、−CR3、−OR、−COOR、−SiR3、−O−SiR3、−COCl又はハロゲン原子を表し、Rは直鎖状又は環状のアルキル基、アルケン基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルケン基又はアリール基を表す。)
からなる群より選択される少なくとも1種以上である、上記<1>〜<4>の何れか一項に記載の酸素バリア性樹脂組成物。
<6> 前記樹脂(Z)が、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体及び/又はスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体である、上記<1>〜<5>の何れか一項に記載のに記載の酸素バリア性樹脂組成物。
<7> 前記炭素−炭素二重結合を有する樹脂が5〜99.9wt%含まれる、上記<1>〜<6>の何れか一項に記載の酸素バリア性樹脂組成物。
<8> 上記<1>〜<7>のいずれか一項に記載の酸素バリア性樹脂組成物を含む、酸素バリア性積層体。
<9> 上記<1>〜<7>のいずれか一項に記載の酸素バリア性樹脂組成物を含む、酸素バリア性成型体。
<10>
酸素と反応することにより酸素バリア性を発現する、炭素−炭素二重結合を有する樹脂を含有する樹脂組成物(A)。
本実施形態の酸素バリア性樹脂組成物は、炭素−炭素二重結合を有する樹脂を含有する樹脂組成物(A)と、酸素とを反応させてなるものである。
炭素−炭素二重結合を有する樹脂は特に限定されないが、酸素バリア性能からポリブタジエン(X)、ポリイソプレン(Y)、前記樹脂(Z)が好ましい。これらの樹脂は単独で、または2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
樹脂組成物(A)には、他の配合成分の分散性を向上させるため、あるいは酸素透過性を上げ酸素との反応速度を速くするために、さらに別種の熱可塑性樹脂を配合しても良い。配合する熱可塑性樹脂は特に限定されないが、樹脂との相溶性が高いものやフィルム化した際の酸素透過度が高いものが好ましい。特に、ポリエチレンが好ましい。
本実施形態において、樹脂組成物(A)に遷移金属触媒を含有させることで、炭素−炭素二重結合を有する樹脂と酸素との反応を促進させることが出来る。遷移金属触媒は炭素−炭素二重結合を有する樹脂の酸化反応の触媒として機能し得るものであれば、公知のものから適宜選択して用いることができ、特に限定されない。
ここで、樹脂組成物(A)は、必要に応じて、さらに担体物質を含有していてもよい。また、遷移金属触媒を担体物質に担持或いは含浸させることで、遷移金属触媒が担体物質に担持或いは含浸された担持体(以下、「遷移金属触媒担持体」ともいう。)とすることができる。このように遷移金属触媒を担体物質に担持或いは含浸させることにより、酸素との接触面積を大きくし、酸素との反応速度を増加させることができ、また、取り扱いを簡便にすることができる。担体物質の種類は、特に限定されないが、シリカ、ゼオライト、珪藻土、ケイ酸カルシウム類などを用いることができる。特に、触媒調製時及び調製後の大きさが0.1〜200μmの凝集体が、取扱い性が良いため好ましい。特に、樹脂中に分散した際に10〜100nmである担体が、樹脂に配合した際に透明な樹脂組成物を与えるため好ましい。このような担体物質として、合成シリカが例示される。遷移金属触媒の配合割合は、酸素との反応速度、物理強度及び経済性から、樹脂組成物(A)100質量部に対し遷移金属量として0.001〜10質量部が好ましく、0.01〜1質量部が特に好ましい。
樹脂組成物(A)にエネルギー線を照射することで、炭素−炭素二重結合を有する樹脂と酸素との反応を促進させることが出来る。エネルギー線としては、紫外線、電子線、α線、β線、γ線、X線等を用いることができる。これらエネルギーの照射により、易酸化性熱可塑性樹脂の炭素−水素結合や炭素−炭素結合を切断してラジカルを生成させることにより、酸素との反応を促進させることができる。また、熱、高周波、超音波等のエネルギーを与えることにより酸素との反応を促進させることもできる。
樹脂組成物(A)に光開始剤を配合することで、炭素−炭素二重結合を有する樹脂と酸素との反応を促進させることが出来る。光開始剤は、紫外線照射または紫外線照射により励起された増感剤から移動したエネルギーによって励起され、易酸化性樹脂または反応促進材の酸化反応を開始させる起点となる物質である。本発明においては、水素引き抜き型または分子内開裂型の開始剤を用いる。水素引き抜き型の開始剤では、励起された開始剤分子が樹脂から水素を引き抜いて活性なラジカルを生じ、酸化反応を開始させる。また、分子内開裂型の開始剤では、励起された開始剤分子がα―開裂してラジカルを生じ、樹脂の二重結合部に付加して新たなラジカルを生じる。このラジカルがさらに樹脂から水素を引き抜いて活性なラジカルを生じ酸化反応が進行する。水素引き抜き型開始剤の代表例としては、ベンゾフェノン類、チアジン類、金属ポルフィリン類、アントラキノン類、キサントン類、チオキサントン類、フルオレノン類、ベンゾキノン類等があげられる。好ましくは、フルオレノン類、チオキサントン類、アントラキノン類である。分子内開裂型開始剤の代表例としては、α―ヒドロキシケトン類(イルガキュア127、イルガキュア184、イルガキュア2959等)、ベンジルケタール類(イルガキュア651等)、アシルホスフィンオキサイド類(ダロキュアTPO、イルガキュア819等)、オキシムエステル類(イルガキュアOXE01、イルガキュアOXE02等)があげられ、α―ヒドロキシケトン類、アシルホスフィンオキサイド類が好ましい。光開始剤の配合割合は、酸素吸収性樹脂組成物の総量に対して、0〜1質量%が好ましく、0〜0.1質量%がより好ましく、0〜0.01質量%が更に好ましく、0質量%が最も好ましい。光開始剤の配合割合が上記の好ましい範囲内の場合、そうでない場合に比べて、酸素吸収速度を維持しつつ、光開始剤が外部へ移行する可能性をより低くすることが出来る。
また、上記の樹脂組成物(A)は、乾燥剤、吸着剤、抗菌剤、着色剤から選んだ一種以上の添加剤と混合することにより、さらに乾燥機能などの他の機能を併せ持つ組成物にすることができる。また、酸素バリア性組成物の層と、乾燥剤、吸着剤、抗菌剤、着色剤から選んだ一種以上の添加剤を含有する層を含む多層体とすることもできる。
さらに、本発明の酸素バリア性樹脂組成物は、そのまま、または適当な包装材料と積層することにより、あるいは炭素−炭素二重結合を有する樹脂を含有する樹脂組成物(A)を適当な包装材料と積層した後に酸素と反応させることにより、酸素バリア性材料として密封容器の一部もしくは全部に用いることができる。例えば、本発明の酸素バリア性樹脂組成物を有する層の一方の側に酸素透過性が高く、かつ熱融着性を兼ね備えた熱可塑性樹脂を、包装される内容物側とする隔離層(最内層)として積層し、他方の側に酸素透過性が低い樹脂、金属または金属酸化物をガスバリア層(最外層)として積層して、フィルム状またはシート状の酸素バリア性積層体とすることができる。さらに、本発明の酸素バリア性樹脂組成物をそのまま、あるいは上記のような多層構成において成形品とする事により、高いバリア性を有する脱酸素性包装材料として様々な形の成形品とする事ができる。成型方法としては射出成型、ブロー成形、真空・加圧成型等により作成する事ができる。上記の説明において、酸素バリア性樹脂組成物に代えて炭素−炭素二重結合を有する樹脂を含有する樹脂組成物(A)を用い、積層体や成型体を作製した後に酸素と反応させることにより、積層体や成型体を作製する事も出来る。
隔離層(a)は酸素バリア性樹脂組成物を有する層(b)と収納物とを隔離する役割を果たすと共に、シーラントとしての役割を果たす。また、酸素バリア性樹脂組成物を有する層(b)を構成する酸素バリア性樹脂組成物に含有される易酸化性熱可塑性樹脂による速やかな酸素吸収を妨げないように、効率的な酸素透過を行う役割を果たす。
本発明の酸素吸収性多層体を構成する臭気吸収層(c)は、熱可塑性樹脂及び臭気吸収剤を含有する臭気吸収性樹脂組成物からなる。
酸素バリア層(d)を構成する酸素バリア性物質とは、酸素透過度100cc/(m2・24h・atm)以下の物質を意味する。代表例としてシリカもしくはアルミナを、ポリエステルやポリアミド等の熱可塑性樹脂に蒸着した各種蒸着フィルム、ポリアミドMXD6、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニリデン等を含有する層が挙げられる。酸素バリア層(d)の厚さは1〜300μmが好ましく、1〜100μmがより好ましい。上記の好ましい範囲内の場合、そうでない場合に比べて、十分な酸素バリア効果が得られると共に、包装材料としてより好適な柔軟性を有するため好ましい。
オクチル酸コバルト溶液(オクチル酸コバルト:溶媒=1:1質量比、Co含有量:8質量%)と合成ケイ酸カルシウム粉末(平均粒子径2μm)とを質量比2:1で混合し、粉末状物を得た。該粉末状物と直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(以下「LLDPE」と表記する)とを、質量比2:8で2軸混練押出機を用いて170℃で溶融混練することにより、樹脂組成物(A)層マスターバッチ(OA−MB、Co含有量1質量%)を作製した。
アミン化合物である硫酸アミノグアニジン(以下、「AGS」と表記する。)の水溶液をシリカ粉末(平均粒子径4μm)に含浸させ、乾燥させることによりAGS担持体(AGS担持量1.1mmol/(g−担体))を得た。次いで、LLDPE、該AGS担持体を、質量比85:15で2軸混練押出機を用いて170℃で溶融混練することにより、臭気吸収層マスターバッチ(OD−MB)を作製した。
LLDPEと水酸化カルシウム(食品添加物グレード、平均粒子径5μm)とを、質量比85:15で2軸混練押出機を用いて170℃で溶融混練することにより、酸性ガス吸収剤マスターバッチ(CA−MB)を作製した。
(樹脂組成物(A)単層フィルムの作成)
シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン(以下、「RB」と表記する。)、OA−MB、及び光開始剤9−フルオレノン(以下、「FL」と表記する。)を170℃で溶融混練して、樹脂組成物(A1)を作製した。混合比は、樹脂組成物(A1)の組成比が、RB70質量部、LLDPE24質量部、Co原子0.1質量部、FL0.2質量部となるようにした。作製した樹脂組成物(A1)を加熱プレス機で160℃にて圧延し、50mm×60mmの大きさに切り出し、厚さ80μmの樹脂組成物(A1)の単層フィルム(A1)を作製した。
単層フィルム(A1)に1kW高圧水銀灯を光源とする照度9.8mW/cm2の紫外光を90秒間(照射量880mJ/cm2)照射した後に、該単層フィルムを、シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレートを酸素バリア層とする袋(以下、酸素バリア袋)に空気240mLと共に封入し密封して、該袋を25℃、60%RHの条件下に放置した。1日後、2日後、及び14日後に袋内酸素濃度を測定し、組成物1g当たりの酸素吸収量を算出した。結果を表1に示す。
単層フィルム(A1)に1kW高圧水銀灯を光源とする照度9.8mW/cm2の紫外光を90秒間(照射量880mJ/cm2)照射し、40℃で大気下に30日間放置することで、単層フィルム(A1)と酸素とを反応させた酸素バリア性単層フィルムを作製した。
単層フィルム(A1)と、酸素バリア性単層フィルムを用い、25℃、60%RHにおける酸素透過度測定を実施した。結果を表2に示す。なお、酸素透過度の測定は、酸素透過度測定装置(MOCON社製、商品名:OX-TRAN 2/21)を使用して行った。
[実施例2]
(樹脂組成物(A)を有する3層フィルムの作製)
臭気吸収層用樹脂としてLLDPEと上記OD−MBの混合樹脂を用い、樹脂組成物(A2)層用樹脂としてRB及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(以下、「SIS」と表記する。)と上記OA−MBの混合樹脂を用い、酸性ガス吸収層用樹脂としてLLDPEと上記CA−MBの混合樹脂を用いた。各層の組成比は、各層中の組成比が下記になるようにした。
臭気吸収層:
LLDPE97質量部、AGS担持体3質量部
樹脂組成物(A2)層:
RB60質量部、SIS10質量部、LLDPE24質量部、Co原子0.3質量部
隔離層 :
LLDPE98質量部、消石灰1.5質量部
作製した3層フィルムの臭気吸収層側に、延伸ナイロンフィルム(厚さ15μm)とシリカ蒸着PETフィルム(厚さ12μm)をこの順序でドライラミネーションによって貼り合わせ、40℃で4日間エージングすることで、樹脂組成物(A)層を有する5層フィルムを得た。
該5層フィルムに1kW高圧水銀灯を光源とする照度9.8mW/cm2の紫外光を90秒間(照射量880mJ/cm2)照射し、25℃下で0.1mL/cm2の酸素を吸収させることで、該5層フィルムと酸素とを反応させた酸素バリア性多層体を作製した。
シリカ蒸着PETフィルムの代わりに、PVDCコートOPフィルム(厚さ20μm)を用いたこと以外は、実施例2と同様に5層フィルム及び酸素バリア性多層体を作製し、両者の酸素透過度を測定した。結果を表2に示す。
Claims (7)
- 炭素−炭素二重結合を有する樹脂としてスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を含有する組成物(A)と、酸素とを反応させてなる、酸素バリア性樹脂組成物。
- 前記樹脂組成物(A)にエネルギー線を照射した後に酸素と反応させてなる、請求項1に記載の酸素バリア性樹脂組成物。
- さらに遷移金属触媒を含有する、請求項1又は2に記載の酸素バリア性樹脂組成物。
- さらに光開始剤を含有する、請求項1〜3の何れか一項に記載の酸素バリア性樹脂組成物。
- 前記炭素−炭素二重結合を有する樹脂が5〜99.9wt%含まれる、請求項1〜4の何れか一項に記載の酸素バリア性樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の酸素バリア性樹脂組成物を含む、酸素バリア性積層体。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の酸素バリア性樹脂組成物を含む、酸素バリア性成型体。
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