JP6186762B2 - 直動案内装置 - Google Patents
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Description
このような直動案内装置として、スライダ本体の脚部の幅方向外側に切欠き部を有し、前記切欠き部の外側に、スライダ本体とは別体の戻し通路形成部材が配置されているものが提案されている(特許文献1〜4参照)。
特許文献2に記載された戻し通路形成部材は、戻し通路と方向転換路が一体化されたJ字状のチューブである。このチューブが、スライダ本体に対して、ゴムを焼き付けたカバ−を介して、ボルトにより固定されている。また、このチューブを二つ割りにすることにより、プレス成形を容易にし、ボールの組込みを容易にできることが記載されている。
特許文献5には、スライダ本体の脚部の幅方向外側に、スライダ本体とは別体の戻し通路形成部材が配置された直動案内装置が記載されている。この直動案内装置はスライダ本体の脚部の幅方向外側に切欠き部を有さない。この戻し通路形成部材は、特許文献2に記載された戻し通路形成部材と同様に、戻し通路と方向転換路が一体化されたJ字状のチューブである。
一方、特許文献6には、直動案内装置を構成する案内レールを弾性変形可能な柔構造とすることにより、取付け誤差を吸収して高負荷容量とすることが提案されている。
つまり、戻し通路形成部材が一部品で形成されていると戻し通路形成部材の製造コストが高くなる。また、スライダ本体の切欠き面に、戻し通路の内側案内面や位置合わせ部が形成されていると、スライダ本体の製造コストが高くなる。
(A)案内レールとスライダと複数個の転動体とを備え、案内レールおよびスライダは、互いに対向配置されて転動体の転動通路を形成する転動面を有し、スライダは、さらに、転動体の戻し通路と、前記戻し通路と前記転動通路とを連通させる方向転換路を有し、前記転動通路、戻し通路、および方向転換路で転動体の循環経路が構成され、この循環経路内を転動体が循環することにより、案内レールおよびスライダの一方が他方に対して相対的に直動する装置である。
(D)前記戻し通路形成部材は、前記戻し通路の長手方向に延び、前記戻し通路を前記脚部の幅方向で分割する一対の分割体からなる。前記一対の分割体の一方は前記戻し通路の内側案内面を有し、他方は前記戻し通路の外側案内面を有する。
(F)前記戻し通路と前記方向転換路との位置合わせが、前記戻し通路形成部材の長手方向両端および前記エンドキャップの一方に形成された凹部と、他方に形成された凸部との嵌め合いでなされている。
(H)前記戻し通路形成部材が前記切欠き部の側面に向けて反る湾曲部を有し、前記湾曲部が前記側面に接触して前記側面を押す力が作用している。
また、前記戻し通路形成部材が、前記戻し通路の長手方向に延び、前記戻し通路を前記脚部の幅方向で分割する一対の分割体からなるため、一体に形成されている戻し通路形成部材と比較して、製造コストを低減できる。
また、前記各分割体が、長手方向に延びて互いに接触する分割面を有するものであり、各分割体の分割面から突出する凸部とこれを嵌める凹部との嵌め合いで両分割体が一体化されているため、分割体同士の境界面(両分割体の分割面間)からの潤滑剤漏れや異物侵入が防止される。
また、前記戻し通路と前記方向転換路との位置合わせが、前記戻し通路形成部材の長手方向両端および前記エンドキャップの一方に形成された凹部と、他方に形成された凸部との嵌め合いでなされているため、このような位置合わせ構造を有さないものと比較して、前記戻し通路内からの潤滑剤の漏れや外部から前記戻し通路内への異物侵入が生じにくいものとなる。
この態様の直動案内装置は、下記の構成(G)(I)(J)を有することが好ましい。
(G)前記一対の分割体の一方は、前記分割面から前記戻し通路の内側案内面または外側案内面に連続するように突出する凸部を有し、他方は前記凸部を嵌める凹部を有し、これら凹凸の嵌め合いで両分割体により前記戻し通路が形成されている。
この態様の直動案内装置が前記構成(G)を有することにより、前記構成(G)を満たす嵌め合いを有さない直動案内装置と比較して、使用時に戻し通路から潤滑剤が漏れにくくなる。
この態様の直動案内装置が前記構成(I)を有することにより、前記構成(I)を有さない直動案内装置と比較して、戻し通路形成部材が軽量化される。
この態様の直動案内装置が前記構成(J)を有することにより、前記構成(J)を有さない直動案内装置と比較して、戻し通路からの潤滑剤の漏れおよび戻し通路への異物侵入がより一層生じにくくなる。
この態様の直動案内装置は、下記の構成(K)を満たすスライダ本体を有する直動案内装置にも適用できる。
(K)前記スライダ本体は、前記転動体と前記転動面との接触部の剛性よりも前記脚部の剛性の方が小さく、前記脚部の基端部の厚さが前記転動体の直径より大きい。
[第1実施形態]
図1〜5を用いて、第1実施形態の直動案内装置を説明する。
図1に示すように、この実施形態の直動案内装置は、案内レール1とスライダ2と複数個のボール(転動体)3とで構成されている。案内レール1およびスライダ2は、互いに対向配置されてボール3の転動通路を形成する転動溝(転動面)11,21を有する。スライダ2は、ボール3の戻し通路22と、戻し通路22と転動通路とを連通させる方向転換路24(図2参照)を有する。図1において、戻し通路22内のボール3は省略されている。
スライダ本体210は、案内レール1の幅方向両側に配置される脚部211と、両脚部211を連結する胴部212と、からなる。スライダ本体210の脚部211の幅方向内側に転動面21が形成され、脚部211の幅方向外側に切欠き部211aが形成されている。切欠き部211aの外形面は曲面状となっている。
案内レール1の転動面11とスライダ2の転動面21からなる転動通路、戻し通路22、および方向転換路24で、ボール3の循環経路が構成されている。この循環経路内をボール3が循環することにより、案内レール1およびスライダ2の一方が他方に対して相対的に直線運動する。
図1および図3に示すように、戻し通路形成部材250は、戻し通路22を脚部211の幅方向で分割して、戻し通路22の長手方向に延びる一対の分割体251,252からなる。一方の分割体251は戻し通路22の内側案内面22aを有する内側部材であり、他方の分割体252は戻し通路22の外側案内面22bを有する外側部材である。
先ず、内側部材251の内側案内面22aと外側部材252の外側案内面22bを向かい合わせて、内側部材251の各係止板251cの突出端面を、外側部材252の各凹部252cに形成された突起252dの斜面に接触させる。この状態で、係止板251cを突起252dの斜面に対して押し付ける力を加えると、係止板251cの開口部251dが開くように弾性変形し、各係止板251cの突出端部が突起252dを乗り越えて凹部252cの奥に移動する。
このようにして一体化された戻し通路形成部材250は、円筒状凹部250cをエンドキャップ220の円筒状突起(凸部)220cに嵌めることで、エンドキャップ220に位置決めされて固定され、下側の方向転換路24と戻し通路22が接続される。
また、下側の戻し通路22と方向転換路24との位置合わせが、戻し通路形成部材250の長手方向両端に形成された凹部250cとエンドキャップ220に形成された凹部220cに形成された円筒状突起(凸部)220cとの嵌め合いでなされているため、戻し通路22内からの潤滑剤の漏れや外部から戻し通路22内への異物侵入が生じにくいものとなっている。
また、戻し通路形成部材250の第二係合面(湾曲部)250bが切欠き部221aの側面に接触して、切欠き部221aの側面を押す力が作用しているため、使用時にボール3が下側の戻し通路22を通過する際に戻し通路形成部材250に振動や騒音が生じることが抑制される。
具体的には、スライダ本体210の組み付け時における左右の脚部211の弾性変形量が、ボール3と転動面21との接触部での弾性変形量の約2倍(FEM解析に基づく結果より)になっている。また、胴部212の厚さKをボール3の直径の約1.5倍にしてある。
この実施形態の直動案内装置によれば、取付面や組み付け面の精度が十分確保できない場合に、脚部211がボール3と転動面21との接触部よりも大きく変形して誤差を吸収することができる。また、脚部211の最薄肉部に極端な応力集中が生じることが防止され、極力、脚部211全体で負荷を受けることができる。
また、スライダ本体210の脚部211の厚さを薄くすればするほど、脚部211の剛性が低下し、取付け誤差吸収等の調芯性が増すという点では有利であるが、荷重負荷時の応力が増して脚部211の強度が低下するという点で不利になる。この強度低下が著しいと、ボール3と転動溝11,21とで決まる負荷容量以下の範囲でしか使用できず、高負荷容量が実現できなくなる。すなわち、直動案内装置の高負荷容量化が、低剛性とした脚部211の強度確保に制約される。
したがって、この実施形態の直動案内装置によれば、取付け誤差吸収等の調芯性を有すると共に、低剛性とした脚部211の強度確保のための負荷容量の制約を受けることなく、高負荷容量を実現することができる。
図6、7を用いて、第2実施形態の直動案内装置を説明する。
図6に示すように、この実施形態の直動案内装置は、案内レール1とスライダ2と複数個のボール(転動体)3とで構成されている。スライダ本体210の脚部211の幅方向外側に切欠き部211aが形成され、上下の戻し通路22の両方が、切欠き部211aの外側に配置された、スライダ本体210とは別体の戻し通路形成部材250Aにより形成されている。これ以外の点は第1実施形態の直動案内装置と概ね同じである。
内側部材251Aの分割面251aおよび外側部材252Aの分割面252aは、一点鎖線Cに沿った面であり、2箇所だけでなく、上下の戻し通路22の間にも存在する。第一係合面250aは内側部材251Aに形成されている。外側部材252Aの上端面は平坦である。
図7の左側の脚部221は、エンドキャップ220Aにリターンガイド231Aと戻し通路形成部材250Aが取り付けられた後の状態を、右側の脚部221は、リターンガイド231Aが取り付けられた後で、戻し通路形成部材250Aが取り付けられる前の状態を示している。
したがって、この実施形態の直動案内装置によれば、第1実施形態の直動案内装置と同様の効果が得られるとともに、第1実施形態の直動案内装置と比較して、スライダ本体210に上側の戻し通路22を形成しない(穴加工を行わない)分だけ、製造コストが低減できるが、脚部211の厚さが薄くなるため強度の面では不利になる。
2 スライダ
3 ボール(転動体)
11,21 転動面
22 戻し通路
22a 戻し通路の内側案内面
22b 戻し通路の外側案内面
24 方向転換路
210 スライダ本体
211 スライダ本体の脚部
211a 切欠き部
212 スライダ本体の胴部
212a 円筒状突起222bが嵌まる凹部
220 エンドキャップ
220A エンドキャップ
220c 円筒状凹部250cに嵌まる円筒状突起
221 エンドキャップの脚部
222 エンドキャップの胴部
221a エンドキャップの凹部
222a 給油口
222b 円筒状突起
223 給油溝
231 リターンガイド
231A リターンガイド
250 戻し通路形成部材
250A 戻し通路形成部材
250a 戻し通路形成部材の第一係合面
250b 戻し通路形成部材の第二係合面
250c 戻し通路形成部材の円筒状凹部
250e 円筒状凹部の内壁面
250f 円筒状凹部の底面
251 内側部材(戻し通路形成部材の分割体)
252 外側部材(戻し通路形成部材の分割体)
251a 内側部材の分割面
252a 外側部材の分割面
251b 内側部材の凹部
252b 外側部材の分割面から突出する凸部
251c 内側部材の係止板(嵌め合い部が形成された凸部)
252c 係止板が入る外側部材の凹部(嵌め合い部が形成された凹部)
251d 係止板の開口部(弾性変形を利用した嵌め合い部)
252d 外側部材の突起(弾性変形を利用した嵌め合い部)
251e 内側部材の内壁分割面
252e 外側部材の内壁分割面
251f 内側部材の底部分割面
252f 外側部材の底部分割面
Claims (5)
- 案内レールとスライダと複数個の転動体とを備え、
前記案内レールおよび前記スライダは、互いに対向配置されて転動体の転動通路を形成する転動面を有し、
前記スライダは、さらに、転動体の戻し通路と、前記戻し通路と前記転動通路とを連通させる方向転換路を有し、前記転動通路、戻し通路、および方向転換路で転動体の循環経路が構成され、この循環経路内を転動体が循環することにより、前記案内レールおよび前記スライダの一方が他方に対して相対的に直動し、
前記スライダは、(1) 前記案内レールの幅方向両側に配置される脚部と、前記両脚部を連結する胴部と、からなり、前記脚部の幅方向内側に転動面が形成され、前記脚部の幅方向外側に切欠き部を有するスライダ本体、(2) 前記スライダ本体の直動方向両端に固定され、前記方向転換路を形成する外側案内面を有するエンドキャップ、および(3) 前記方向転換路を形成する内側案内面を有するリターンガイドを備え、
前記戻し通路は、前記脚部の切欠き部の外側に配置された、前記スライダ本体とは別体の戻し通路形成部材により構成され、
前記戻し通路形成部材は、前記戻し通路の長手方向に延び、前記戻し通路を前記脚部の幅方向で分割する一対の分割体からなり、前記一対の分割体の一方は前記戻し通路の内側案内面を有し、他方は前記戻し通路の外側案内面を有し、
前記戻し通路形成部材は、前記切欠き部の側面に向けて反る湾曲部を有し、前記湾曲部が前記側面に接触して前記側面を押す力が作用し、
前記各分割体は長手方向に延びて互いに接触する分割面を有し、前記一対の分割体の一方は前記分割面から突出する凸部を有し、他方は前記凸部を嵌める凹部を有し、前記凸部および前記凹部に弾性変形を利用した嵌め合い部が形成され、前記嵌め合い部により両分割体が一体化され、
前記戻し通路と前記方向転換路との位置合わせが、前記戻し通路形成部材の長手方向両端および前記エンドキャップの一方に形成された凹部と、他方に形成された凸部との嵌め合いでなされていることを特徴とする直動案内装置。 - 前記一対の分割体の一方は、前記分割面から前記戻し通路の内側案内面または外側案内面に連続するように突出する凸部を有し、他方は前記凸部を嵌める凹部を有し、これら凹凸の嵌め合いで両分割体により前記戻し通路が形成されている請求項1記載の直動案内装置。
- 前記スライダ本体は金属製で、前記戻し通路形成部材は合成樹脂製である請求項1または2記載の直動案内装置。
- 前記分割体同士が接着剤で固定されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の直動案内装置。
- 前記スライダ本体は、前記転動体と前記転動面との接触部の剛性よりも前記脚部の剛性の方が小さく、
前記胴部の厚さが前記転動体の直径より大きい請求項1〜4のいずれか1項に記載の直動案内装置。
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