JP2005337425A - 直動案内ユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】 この直動案内ユニットは,軌道レールを摺動するスライダを3部材で構成し,ケーシングに対してねじ等を使用せずに,3部材を互いに固定して超小形化を可能する。【解決手段】スライダ2は,軌道溝26とリターン溝19を形成したケーシング3,ケーシング3の上面の嵌合溝28に嵌入する上蓋4,及びケーシング3の下面の嵌合溝29に嵌入する下蓋5から構成されている。上蓋4と下蓋5とは,ケーシング3の鍔部10を挟み込んで,ピン44とピン孔14との係合で互いに固着されている。
【選択図】図4

Description

この発明は,軌道溝を備えた軌道レール及び該軌道レール上を転動体を介して相対移動するスライダから成る超小型化可能な構造を持つ直動案内ユニットに関する。
近年,直動案内ユニットとしては,半導体製造装置,各種組立装置,検査装置,医療機器,測定装置等の各種装置において,往復運動を行う部品に対して高精度,超小型化,滑らかな往復運動等の性能を達成できるものが求められている。最近では,直動案内ユニットとしては,高精度や高速化等の性能向上に加えてメンテナンスフリーが重視されると共に,特に,超小型化のものが要望されるようになり,それに伴って,直動案内ユニットを構成する部材や部品が小さい構造になり,それらの部品の組立誤差,組立工数等から部品点数を減らし,一体化したものが要求され,また,小径な穴,小径なねじ孔等の加工,ねじ固着等を構成部品から無くすことが求められるようになった。即ち,直動案内ユニットは,機械装置の不可欠な重要な機械要素を構成しており,多種のサイズ,多種型式のものが使用されているが,特に,超小形でありながら,スライダが軌道レール上に軽快に摺動案内できるものが要望されている。
従来,直動案内ユニットとして,小型化に対応できるようにケーシングに取り付ける部品の部品点数を低減し,各部材を組み立てるのに嵌め込み式で固定されるものが開発されている。該直動案内ユニットについては,例えば,スライダは,上部とそれから垂下する一対の袖部とから成るケーシング,及びケーシングの両端面側に位置するエンドキャップ部と両エンドキャップ部と一体のカバー部とから成る複合部材から構成されている。複合部材は,第1複合部材と,第1複合部材の外側に係止固定された第2複合部材から構成されている。ケーシングの両端部に設けた第1係止部の凹部に第1複合部材に設けた第2係止部の凸部をそれぞれ嵌め込み式に係止し,ケーシングに複合部材を係止固定するものになっている(例えば,特許文献1参照)。
また,直動形ガイド装置として,部品点数及び組立工数を少なくしてコストを低減し,部品の製造作業を簡単にして加工コストを低減するものが知られている。該直動形ガイド装置は,直線状のガイドレールに跨がって移動する移動ブロックを第1〜第3の3つの構成部材で構成する。第1構成部材は,前後両端のエンドキャップ部分,および両エンドキャップ部分を一体に連結し,かつ移動ブロックの両脚状部分の左右方向外側の下部を形成する連結部分から形成されている。第2構成部材は,金属製であって,両エンドキャップ部分間における転動体循環路の往路および復路に対応する長さ部分にはまる本体部分,および本体部分にこれと同じ長さになるように一体に形成され,かつ移動ブロックの両脚状部分の左右方向内側の下部を形成する下方突出部分から形成されている。第3構成部材は,第1構成部材の両エンドキャップ部分と第2構成部材の前後方向の両端部との間にそれぞれはまる構造に形成されている(例えば,特許文献2参照)。
また,従来知られている線運動案内装置としては,軸線を有する案内レールと,少なくとも1つの環状転動体ユニットを介して案内レール上を軸方向に移動する少なくとも1つの案内キャリッジとを組み合わせたものがある。該線運動案内装置は,キャリッジが正しく位置決めする位置決め空間が形成されたキャリッジ用ケーシングにキャリッジ部材とそれぞれの転向板とをその位置決め空間に組み込む構造になっている(例えば,特許文献3参照)。
特開2002−227840号公報 特開平6−147222号公報 特許第2936166号明細書及び図面
しかしながら,上記の直動案内ユニットは,ケーシングに複合部材を取り付けるためにケーシングに係止部を形成しなければならない構造であり,ケーシングは軌道溝を形成する焼入れされた鋼材で作製されているので,焼入れする前工程から係止部を形成する必要があった。従って,上記直動案内ユニットは,構成が複雑で面倒なものになり,更に超小形な直動案内ユニットを形成するには加工,組立等がむずかしいものになっていた。
また,上記の直動形ガイド装置は,移動ブロックを構成する3つの構成部材である第l構成部材と第3構成部材とを第2構成部材にねじで取り付けるために,第2構成部材の本体部分の端面にねじ穴を形成しなければならない構造に形成されているので,構成そのものが複雑になり面倒なものになり,更に超小形な直動案内ユニットを形成するには加工,組立等がむずかしいものになっていた。
また,上記の線運動案内装置は,キャリッジ用ケーシングには,正しく位置決めする位置決め空間を設けなければならないので,構成が複雑で面倒なものになり,さらに超小形な直動案内ユニットを形成するには加工,組立等がむずかしいものになっていた。
また,その他の従来開発されている超小形な直動案内ユニットは,基本的には,軌道レール上を跨架して摺動移動するスライダは,ケーシングと,その両端に固定されたエンドキャップから成り,互いにねじで固定された構造を有している。そこで,直動案内ユニットについて,従来よりも更にコンパクトに構成して,更に簡略化し,超小形に構成しても容易に製作可能で組立可能な構造であり,しかも,高剛性,滑らかな動き,高精度などの性能を発揮できるものを如何に構成するかの課題があった。
この発明の目的は,上記の課題を解決することであり,本出願人に係る特開2002−227840号公報に開示された直動案内ユニットに比較して更に一層小型化に対応でき,極小な構造のタイプに適用して好ましいものであり,軌道レール上を摺動移動するスライダを,主としてケーシングと,エンドキャップに代わる第1部材と第2部材の3つの構成部材から構成して部品点数を減少し,第1部材と第2部材との固定をねじ等を用いずに,互いに嵌め合い型の凹凸部で構成して可及的に小型に形成することを可能にした超小形化を可能にする構造を持つ直動案内ユニットを提供することである。
この発明は,長手方向両側面に第1軌道溝を備えた軌道レール,前記軌道レールに対して相対移動し且つ前記第1軌道溝に対向する第2軌道溝を備えたスライダ,及び前記第1軌道溝と前記第2軌道溝とで形成される負荷路を転動する複数の転動体を有し,前記スライダは,前記転動体を循環させるための一端が前記負荷路の両端にそれぞれ連通する一対の方向転換路と前記一対の方向転換路の他端に連通するリターン路とを備えていることから成る直動案内ユニットにおいて,
前記スライダは,前記第2軌道溝と前記リターン路を形成する第1リターン路溝とを備えたケーシング,前記ケーシングの両端面間に渡って延びて前記第2軌道溝に連通する前記方向転換路を形成する方向転換路面を備えた第1部材,及び前記方向転換路面と共働して前記方向転換路を形成する方向転換路溝と前記第1リターン路溝と共働して前記リターン路を形成する第2リターン路溝とを備えた第2部材から成り,前記ケーシングは,一方の面が前記第1部材で且つ他方の面が前記第2部材で固定状態に挟み込まれ,前記第1部材と前記第2部材とは,互いに嵌め込みによって固着されていることを特徴とする直動案内ユニットに関する。
この直動案内ユニットは,前記第1部材と前記第2部材とは,いずれか一方に形成された凸部でなるピンと,他方に形成された凹部でなるピン孔とが互いに嵌着することによって固着されるものである。更に,前記ピンの外形形状は,円形から両側を平面状に欠円した欠円部を設けた形状に形成されている。
この直動案内ユニットにおいて,前記ケーシングに形成された前記リターン路溝は,前記ケーシングの両外側面に形成されている。
この直動案内ユニットにおいて,前記軌道レールは断面略矩形状でなり,前記軌道レールの前記側面には前記長手方向に沿って所定間隔に隔置した他部品への取付用ねじ孔が形成されている。
この直動案内ユニットは,前記ケーシングには,前記軌道レールに跨架するための凹部,前記一方の面の両側で前記長手方向に沿ってそれぞれ延びる前記第1部材の第1外枠部を嵌入する第1嵌合溝,及び前記他方の面の両側で前記長手方向に沿ってそれぞれ延びる前記第2部材の第2外枠部を嵌入する第2嵌合溝が形成されており,前記リターン路溝は前記第2嵌合溝に形成され,前記第2軌道溝は前記凹部の内側面に形成されているものである。
この直動案内ユニットにおいて,前記第1部材は,前記ケーシングの両端に位置して前記方向転換路の一部を構成する前記方向転換路面を形成する一対の第1端板部,及び前記第1端板部に一体構造で前記第1端板部間に延びて前記ケーシングの前記第1嵌合溝に嵌入する一対の第1外枠部から成り,前記第1部材には前記第1端板部と前記第1外枠部とが前記ケーシングの前記一方の面から嵌入する第1嵌合窓が形成され,前記第1端板部の端面には前記第2部材に固着するための前記ピン又は前記ピン孔が形成されている。
この直動案内ユニットにおいて,前記第2部材は,前記第1端板部の両端に配設され且つ前記第1端板部の前記ピン又は前記ピン孔に対向する位置に前記第1部材と固着するための前記ピン孔又は前記ピンが形成された一対の第2端板部,及び前記第2端板部に一体構造で前記第2端板部間に延びて前記ケーシングの前記第2嵌合溝に嵌入する一対の第2外枠部から成り,前記第2外枠部は,前記第2外枠部の両端部が前記ケーシングの端面に位置し且つ前記負荷路に連通する前記方向転換路溝が形成された方向転換路部,及び前記方向転換路部間に延びて前記リターン路溝が形成され且つ前記ケーシングの前記第2嵌合溝に嵌入する外枠嵌合部を備えており,互いに対向する前記外枠嵌合部間及び互いに対向する前記方向転換路部間には,前記ケーシングの前記他方の面から嵌入する第2嵌合窓が形成されている。
この直動案内ユニットは,前記ケーシングの両側に前記第1嵌合溝と前記第2嵌合溝とを形成することによって前記ケーシングの前記両側には鍔部がそれぞれ形成され,前記スライダの幅方向の剛性を維持するため,前記鍔部を前記第1部材の前記第1外枠部と前記第2部材の前記第2外枠部とで挟み込み且つ前記第1外枠部と前記第2外枠部とが前記鍔部の側面から突出することなく配設されているものである。
この直動案内ユニットは,上記のように,スライダが軌道溝とリターン路を形成する第1リターン路溝を形成したケーシング,方向転換路の一部を形成した第1部材,及び方向転換路を形成する方向転換路溝と前記第1リターン路溝とでリターン路を形成する第2リターン路溝を形成した第2部材から構成されているので,スライダそのものが3個の部材という極めて少ない部品点数で構成されて構成そのものがシンプルであり,しかも,ケーシングを第1部材と第2部材とで挟み込んだ状態で第1部材と第2部材とを一度の組立工数で互いに嵌め合いによって固着して3個の部材を固定することによって,スライダ自体の剛性を確保した状態で組立の積算誤差も発生することなく高精度に容易に,簡単に組み立てることができる。また,この直動案内ユニットは,上記のように超小形に形成されるにもかかわらず,3個の部材の位置決め等を高精度に確実に確保できるので,軌道レールに対してスライダが滑らかな高精度な往復移動が可能になり,機器等の摺動運動に対してスムーズに高精度に対応できる。
以下,図面を参照して,この発明による直動案内ユニットの実施例を説明する。この直動案内ユニットは,本出願人の出願に係る特開2002−227840号公報に開示した直動案内ユニットを発展させて,一層簡素化,一層超小形化に構成して製作が容易にできるものであり,スライダが高剛性で,スライダがスムーズな往復移動でき,位置決め,高精度等の性能を発揮できるものである。
この直動案内ユニットは,概して,長手方向の両側面25に軌道溝12(第1軌道溝)を備えた軌道レール1,軌道レール1に対して相対移動し且つ軌道溝12に対向する軌道溝26(第2軌道溝)を備えたスライダ2,及び軌道溝12と軌道溝26とで形成される軌道路である負荷路15を転動する複数の転動体であるボール11を有している。スライダ2は,転動体11が循環転走するように,一端が負荷路15の両端にそれぞれ連通する一対の方向転換路35と方向転換路35の他端に連通するリターン路20とを備えている。言い換えれば,スライダ2には,ボール11が負荷路15,一方の方向転換路35,リターン路20及び他方の方向転換路35から成る無限循環路を転走するように組み込まれている。
この直動案内ユニットでは,軌道レール1は,例えば,幅が1mm,高さが2.5mmのサイズの超小形の形状に形成されるものである。軌道レール1は,サイズが超小形に形成される場合には,小さ過ぎてベース等に固定するための取付用孔等を形成することができないタイプに形成されている。従って,軌道レール1は,ベース等の他の部品に固定される場合には,有効ストロークでない部分を利用して固定したり,或いは接着剤,溶着等で他の部品に固定することができる。軌道レール1には,相手ベース等に取り付けるための下面基準面9及び側面基準面8が設けられており,また,スライダ2には,相手ワーク等の部材に取り付けるため,上面基準面6と側面基準面7が設けられている。スライダ2の上面基準面6及び側面基準面7は,後述の上蓋4と下蓋5との上面や側面から僅かに突出した上面49及び側面17に形成されている。
この直動案内ユニットは,特に,スライダ2を超小形に且つ部品点数を低減した構造に構成したことに特徴を有するものである。スライダ2は,ケーシング3,第1部材である上蓋4及び第2部材である下蓋5との3個の部品から構成され,3個の部品を固定するため,ケーシング3を上蓋4と下蓋5とで挟み込んで,ケーシング3に固着ねじ,ねじ穴,ピン穴,ピン等を用いることなく,上蓋4と下蓋5とを互いに嵌め合いによって固着したものである。即ち,スライダ2を組み立てるため,ケーシング3に上蓋4と下蓋5とを固着するのに,ケーシング3の両端面18は,構成部材の上蓋4と下蓋5とを固着するための従来のようなねじ穴,凹凸等の係着部を設けることを不要にし,ストレートでシンプルな形状の平らな端面18に形成されている。ここで,第1部材を上蓋4とし,第2部材を下蓋5として説明しているが,上蓋4と下蓋5とは互いに上下関係を意図したものでなく,説明をし易くするため図面に対応して称呼したものである。
スライダ2は,具体的には,軌道溝26及びリターン路20を形成するリターン路溝19(第1リターン路溝)が形成されたケーシング3,ケーシング3の上面49(一方の面)に位置して方向転換路35の一部分を形成する方向転換路面23が形成された上蓋4,及びケーシング3の下面50(他方の面)に位置して方向転換路面23と共働して方向転換路35を形成する方向転換路溝34とリターン路溝19と共働してリターン路20を形成するリターン路溝36(第2リターン路溝)が形成された下蓋5から構成されている。上蓋4は,ケーシング3の両端面18間に渡って延びており,詳しくは,ケーシング3の長手方向の長さに対応する長さの外枠部42と,その両端とそれぞれ一体構造の方向転換路面23を備えた端板部41とから構成されている。上蓋4の方向転換路面23は,ケーシング3の軌道溝26の両端に連通するように形成されている。この直動案内ユニットでは,上蓋4と下蓋5とは,いずれか一方に形成された凸状の嵌着突出部でなるピン44と,他方に形成された凹状の嵌着部でなるピン孔14とが互いに嵌着即ち嵌め合いすることによって固着される。実施例では,上蓋4にピン44が形成され,下蓋5にピン孔14が形成されている。
この直動案内ユニットにおいて,図4〜図7に示すように,ケーシング3には,移動方向即ち長手方向に沿って延びる軌道レール1に跨架するための幅方向の中央部に凹部27が形成され,一方の面である上面49の両側で長手方向に沿ってそれぞれ延びる上蓋4の外枠部42を嵌入する嵌合溝28(第1嵌合溝),及び他方の面である下面50の両側で長手方向に沿ってそれぞれ延びる下蓋5の外枠部32を嵌入する嵌合溝29(第2嵌合溝)が形成されている。ケーシング3のリターン路溝19は嵌合溝29に形成され,また,軌道溝26は凹部27の内側面に形成されている。即ち,ケーシング3に形成されたリターン路溝19は,ケーシング3の嵌合溝29である両外側面に形成されている。リターン路溝19は,下側の嵌合溝29に続きリターン路20を形成するため半円状に形成されており,転動体11をスムーズに案内することができ,また,下蓋5の製作がし易い形状に形成されている。ケーシング3の上面49は,ワーク等の他の部材を取り付ける取付面16であって上面基準面6が形成されており,ワーク等を取り付けるための取付用ねじ孔13が形成されている。また,ケーシング3は,上側の嵌合溝28と下側の嵌合溝29との間には,両側面17が幅方向に延びる鍔部10に形成され,鍔部10の側面17のいずれか一方が側面基準面7に形成されている。ケーシング3の両端面18には,平面状でなり,ねじ穴,ピン穴,凹部,凸部等の固着手段は全く形成されておらず,上蓋4の内側端面51が密接して配置される。
また,図12〜図16に示すように,第1部材である上蓋4は,ケーシング3の両端に位置する一対の端板部41(第1端板部),及び端板部41に一体構造で,互いに対向する端板部41間に延びている一対の外枠部42(第1外枠部)から構成されている。端板部41には,方向転換路35の一部を構成する方向転換路面23が形成されている。外枠部42は,ケーシング3の上側の嵌合溝28に嵌入してケーシング3に上蓋4が配設される。また,上蓋4には,端板部41と外枠部42とがケーシング3の一方の面である上面49から上蓋4を嵌入する嵌合窓47(第1嵌合窓)が形成され,端板部41の外側の端面24には,下蓋5に固着するための凸部又は凹部,図では凸部であるピン44が形成されている。端板部41の方向転換路面23は,後述の下蓋5の方向転換路溝34と共働して方向転換路35を形成している。
また,図12に示すように,正面から見ると,端板部41と外枠部42とで嵌合凹部43が形成され,ケーシング3の鍔部10を包み込む即ち嵌入する状態に形成されている。更に,図13に示すように,平面から見ると,端板部41と外枠部42とでケーシング3の上面49からケーシング3を嵌入する嵌合窓47が形成されている。端板部41の下面である合わせ面40を下蓋5の合わせ面30に蓋をする状態に,上蓋4の嵌合窓47をケーシング3の鍔部10を挟み込むように嵌合し,上蓋4の端板部41の下面に形成された方向転換路面23と,下蓋5の外枠部32の方向転換路部33に形成された方向転換路溝34とが共働して方向転換路35が構成されるようになっている。端板部41の外側の端面24には,上蓋4を下蓋5に固着するため,実施例では嵌着突出部でなるピン44が形成されている。ピン44は,上蓋4の幅方向の両側に一対形成され,上蓋4と下蓋5との固着を強固な固着を可能にしている。また,ピン44の外形形状は,実施例では,具体的に,図14や図16に示すように,両側が平面状に欠円された欠円部即ち平坦部46に形成されており,樹脂成形時に形成し易い形状に形成されている。また,上蓋4の端板部41には,その下面中央に,ケーシング3の凹部27に対応して軌道レール1に跨架するための凹部45が形成されている。
また,図8〜図11に示すように,第2部材である下蓋5は,互いに対向する一対の端板部31(第2端板部),及び端板部31に一体構造で互いに対向する端板部31間に延びている互いに対向する一対の外枠部32(第2外枠部)から構成されている。下蓋5の端板部31は,その内側端面21が上蓋4の端板部41の外側端面24に接して配設され,端板部31には,凸状の嵌着突出部又は凹状の嵌着部,図では上蓋4に形成されたピン44に対向する位置に上蓋4に固着するための嵌着部でなるピン孔14が形成されている。また,下蓋5の外枠部32は,ケーシング3の下面50側に形成された嵌合溝29に嵌入して配設される。外枠部32には,その両端部がケーシング3の端面18に位置し且つ負荷路15に連通する方向転換路溝34が形成された方向転換路部33,及び両端に隔置した方向転換路部33間に延びてリターン路溝36が形成され且つケーシング3の嵌合溝29に嵌入する外枠嵌合部37を備えている。また,下蓋5には,互いに対向する外枠嵌合部37間及び互いに対向する方向転換路部33間には,ケーシング3の他方の面である下面50から下蓋5を嵌入する嵌合窓38(第2嵌合窓)が形成されている。
この直動案内ユニットは,下蓋5の端板部31に続く外枠部32に形成された合わせ面30が上蓋4の端板部41の下面の合わせ面40に合わさると共に,ケーシング3の鍔部10が上蓋4の嵌合凹部43と下蓋5の外枠部32との間で挟み込む状態になって,ケーシング3,上蓋4及び下蓋5が互いに固定されることになる。また,下蓋5の外枠部32には,上蓋4と合わさって方向転換路35を形成する方向転換路部33が両端に形成され,外枠部32の両端の方向転換路部33を連結する外枠嵌合部37が方向転換路部33と一体に形成されている。この実施例では,方向転換路部33には,転動体のボール11の大きさより僅かに大きい幅と深さでなる方向転換路溝34が略半円状に形成されている。また,下蓋5には,軌道レール1側には,軌道レール1の軌道溝12に嵌入するすくい爪39が形成されている。外枠部32の外枠嵌合部37にはリターン路溝36が形成されている。この実施例では,リターン路溝36が1/4円状から切り上がった形状(図4参照)に形成されている。また,端板部31に形成されたピン孔14の形状は,上蓋4のピン44の外形形状を考慮して円形の孔形状に形成されてもよいものである。下蓋5の外枠部32には,下蓋5を図9の平面から見ると,外枠部32における互いに対向する外枠嵌合部32間及び方向転換路部33間には,ケーシング3を下面50から下蓋5を嵌入する嵌合窓38が形成されている。また,下蓋5の図10の側面から見ると,端板部31と方向転換路部33間とには,ケーシング3の凹部27に対応して軌道レール1に跨架するための凹部22が形成されている。
この直動案内ユニットは,上記のように,ケーシング3の両側に嵌合溝28と嵌合溝29とを形成することによって,ケーシング3の両側には鍔部10がそれぞれ形成されている。ケーシング3の鍔部10は剛性に富んだ金属製であり,上蓋4と下蓋5とは樹脂製である。この直動案内ユニットは,鍔部10を上蓋4の外枠部42と下蓋5の外枠部32とで挟み込み,外枠部42と外枠部32とが鍔部10の側面から突出することなく配設されているので,スライダ2の幅方向の剛性が維持されている。また,スライダ2は,軌道レール1に跨架するため,ケーシング3の凹部27,上蓋4の凹部45,及び下蓋5の凹部22は整合するように位置決めされていることは勿論である。
この発明による直動案内ユニットは,上記のように構成されているので,スライダ2を超小形に形成することができる。即ち,この直動案内ユニットは,ケーシング3を挟み込んだ第1部材である上蓋4と第2部材である下蓋5とを,ケーシング3に固定ねじ等を用いずに,ピン44とピン孔14とを互いに嵌め合いによって一度の組立工数で固着できるので,スライダ2そのものが極めてシンプルで構造が簡単であり,3部品の組立による累積誤差が発生せずに高精度に3部材を組み立てることができ,しかも,他の部品を取り付ける部分が幅方向全域に延びる金属製ケーシング3が支配しているので,スライダ2の所定の剛性が確保でき,スライダ2そのものを超小形に形成することができる。また,スライダ2は,例えば,長さを6.5mm,幅を4mm,高さを2.5mmの超小形に形成することができ,それに伴って軌道レール1を超小形,例えば,幅を1mm,高さを1.4mmの超小形に形成でき,それによって,直動案内ユニット自体を超小形,例えば,総高さを2.5mmの超小形に形成することができる。
次に,図17を参照して,この発明による直動案内ユニットの別の実施例を説明する。この実施例では,軌道レール1Aは,断面略矩形状であって高さが高く,例えば,3.1mmのサイズに形成されているので,軌道レール1Aの側面25に長手方向に沿って所定間隔に隔置した他部品への取付用ねじ孔48を形成することができる。この実施例は,スライダ2は上記実施例と同一のものを適用できるので,同一部材については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
この発明による直動案内ユニットは,半導体製造装置,各種組立装置,精密機械,測定装置,医療機器,マイクロマシーン,各種ロボット等の各種装置の摺動部に組み込んで利用され,超小形化,高剛性,滑らかな動き,高精度等の性能を発揮できる。
この発明による直動案内ユニットの一実施例を示す正面図である。 図1の直動案内ユニットを示す平面図である。 図1の直動案内ユニットを示す側面図である。 図1の直動案内ユニットのA−A断面を示す断面図である。 図1の直動案内ユニットにおけるケーシングを示す正面図である。 図5のケーシングを示す側面図である。 図5のケーシングを示す下面図である。 図1の直動案内ユニットにおける下蓋を示す正面図である。 図8の下蓋を示す平面図である。 図9の下蓋を示す側面図である。 図9の下蓋のB−B断面を示す断面図である。 図1の直動案内ユニットにおける上蓋を示す正面図である。 図12の上蓋を示す下面図である。 図13の上蓋を示す側面図である。 図13の上蓋のC−C断面を示す断面図である。 図14の上蓋のE部を拡大した側面図である。 この発明による直動案内ユニットの別の実施例を示す正面図である。
符号の説明
1 軌道レール
2 スライダ
3 ケーシング
4 上蓋(第1部材)
5 下蓋(第2部材)
10 鍔部
11 転動体
12,26 軌道溝
13 取付用ねじ孔
14 ピン孔
15 負荷路
19 リターン路溝(第1リターン路溝)
20 リターン路
21 内側端面
23 方向転換路面
24 外側端面
25 側面
27 凹部
28 嵌合溝(第1嵌合溝)
29 嵌合溝(第2嵌合溝)
31 端板部(第2端板部)
32 外枠部(第2外枠部)
33 方向転換路部
34 方向転換路溝
35 方向転換路
36 リターン路溝(第2リターン路溝)
37 外枠嵌合部
38 嵌合窓(第2嵌合窓)
41 端板部(第1端板部)
42 外枠部(第1外枠部)
44 ピン
47 嵌合窓(第1嵌合窓)
48 取付用ねじ孔
49 上面
50 下面
51 内側端面

Claims (9)

  1. 長手方向両側面に第1軌道溝を備えた軌道レール,前記軌道レールに対して相対移動し且つ前記第1軌道溝に対向する第2軌道溝を備えたスライダ,及び前記第1軌道溝と前記第2軌道溝とで形成される負荷路を転動する複数の転動体を有し,
    前記スライダは,前記転動体を循環させるための一端が前記負荷路の両端にそれぞれ連通する一対の方向転換路と前記一対の方向転換路の他端に連通するリターン路とを備えていることから成る直動案内ユニットにおいて,
    前記スライダは,前記第2軌道溝と前記リターン路を形成する第1リターン路溝とを備えたケーシング,前記ケーシングの両端面間に渡って延びて前記第2軌道溝の両端にそれぞれ連通する前記方向転換路を形成する方向転換路面を備えた第1部材,及び前記方向転換路面と共働して前記方向転換路を形成する方向転換路溝と前記第1リターン路溝と共働して前記リターン路を形成する第2リターン路溝とを備えた第2部材から成り,
    前記ケーシングは,一方の面が前記第1部材で且つ他方の面が前記第2部材で固定状態に挟み込まれ,前記第1部材と前記第2部材とは,互いに嵌め込みによって固着されていることを特徴とする直動案内ユニット。
  2. 前記第1部材と前記第2部材とは,いずれか一方に形成された嵌着突出部でなるピンと,他方に形成された嵌着部でなるピン孔とが互いに嵌着することによって固着されることを特徴とする請求項1に記載の直動案内ユニット。
  3. 前記ピンの外形形状は,円形から両側を平面状に欠円した欠円部を設けた形状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の直動案内ユニット。
  4. 前記ケーシングに形成された前記第1リターン路溝は,前記ケーシングの両外側面に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
  5. 前記軌道レールは断面略矩形状でなり,前記軌道レールの前記側面には前記長手方向に沿って所定間隔に隔置した他部品への取付用ねじ孔が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
  6. 前記ケーシングには,前記一方の面の両側で前記長手方向に沿ってそれぞれ延びる前記第1部材の第1外枠部を嵌入する第1嵌合溝,及び前記他方の面の両側で前記長手方向に沿ってそれぞれ延びる前記第2部材の第2外枠部を嵌入する第2嵌合溝が形成されており,前記第1リターン路溝は前記第2嵌合溝に形成され,前記第2軌道溝は前記軌道レールに跨架するための凹部の内側面に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
  7. 前記第1部材は,前記ケーシングの両端に位置して前記方向転換路の一部を構成する前記方向転換路面を形成する一対の第1端板部,及び前記第1端板部に一体構造で前記第1端板部間に延びて前記ケーシングの前記第1嵌合溝に嵌入する一対の第1外枠部から成り,前記第1部材には前記第1端板部と前記第1外枠部とが前記ケーシングの前記一方の面から嵌入する第1嵌合窓が形成され,前記第1端板部の端面には前記第2部材に固着するための前記ピン又は前記ピン孔が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の直動案内ユニット。
  8. 前記第2部材は,前記第1端板部の両端に配設され且つ前記第1端板部の前記ピン又は前記ピン孔に対向する位置に前記第1部材と固着するための前記ピン孔又は前記ピンが形成された一対の第2端板部,及び前記第2端板部に一体構造で前記第2端板部間に延びて前記ケーシングの前記第2嵌合溝に嵌入する一対の第2外枠部から成り,前記第2外枠部は,前記第2外枠部の両端部が前記ケーシングの端面に位置し且つ前記負荷路に連通する前記方向転換路溝が形成された方向転換路部,及び前記方向転換路部間に延びて前記第2リターン路溝が形成され且つ前記ケーシングの前記第2嵌合溝に嵌入する外枠嵌合部を備えており,互いに対向する前記外枠嵌合部間及び互いに対向する前記方向転換路部間には,前記ケーシングの前記他方の面から嵌入する第2嵌合窓が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の直動案内ユニット。
  9. 前記ケーシングの両側に前記第1嵌合溝と前記第2嵌合溝とを形成することによって前記ケーシングの前記両側には鍔部がそれぞれ形成され,前記スライダの幅方向の剛性を維持するため,前記鍔部を前記第1部材の前記第1外枠部と前記第2部材の前記第2外枠部とで挟み込み且つ前記第1外枠部と前記第2外枠部とが前記鍔部の側面から突出することなく配設されていることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
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