JP6186246B2 - 結晶性酸化チタンの製造方法及び脱硝触媒の再生方法 - Google Patents

結晶性酸化チタンの製造方法及び脱硝触媒の再生方法 Download PDF

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Description

本発明は、結晶性酸化チタンの製造方法及び脱硝触媒の再生方法に関する。詳細には、廃材に含まれる酸化チタンを分離回収し、それを利用して結晶性酸化チタンを製造する方法、及びそれにより製造された結晶性酸化チタンを用いる脱硝触媒の再生方法に関する。
火力発電所等においては、光化学スモッグや酸性雨等の原因物質である排煙中の窒素酸化物(NO)を無害化するために脱硝処理が行われている。現在、脱硝処理に利用されている方法は、NOを、脱硝触媒の存在下、アンモニア(NH)と反応させることによって、窒素(N)と水(HO)に変換する選択接触還元法が中心であり、脱硝触媒としては、触媒活性成分であるバナジウムや、モリブデン、タングステン等を酸化チタンに担持させた酸化チタン系触媒が用いられることが多い。一般に、この種の脱硝触媒の耐用年数は2年から10年と比較的長いものの、火力発電所等の施設当たりでは数百から数千立方メートルに及ぶ膨大な量が使用されている。そのため、耐用年数を経過した使用済み廃触媒に含まれる鉱物資源の再利用が望まれている。
特に、このような脱硝触媒の廃触媒に含まれるバナジウム、モリブデン、タングステンは、生産量が少ない希少有価金属であるとされ、超合金の材料をはじめとする多くの用途が見込まれている。また、石油焚きボイラ等における排煙処理では、石油中に含まれていたバナジウムが処理中に触媒に付着することがあるため、廃触媒からバナジウムを回収することは、資源循環の観点からも重要であると考えられている。
そこで、使用済み廃触媒から、バナジウム、モリブデン、タングステン等の有価金属を高収率で分離回収するための方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、バナジウム、タングステン、モリブデンの群から選ばれる少なくとも一種類の金属成分と酸化チタンを含有する脱硝触媒の使用済触媒から金属成分を回収する方法において、該使用済触媒にアルカリ金属水酸化物水溶液を含浸し、得られたアルカリ金属を含有する使用済触媒を焼成した後、水と接触させて金属成分を抽出し、次いで得られた抽出液から金属成分を回収することを特徴とする上記使用済触媒から金属成分を回収する方法が開示されている。
特開平4−114747号公報
特許文献1によれば、バナジウム、タングステン、モリブデンの群から選ばれる少なくとも一種類の金属成分と酸化チタンを含有する脱硝触媒の使用済触媒から高純度のバナジウム、タングステン、モリブデン等の金属成分を高収率で経済的に回収できるとされている。
しかしながら、脱硝触媒は、バナジウム、タングステン、モリブデン等の有価金属と比較して、高比率で酸化チタンを含有する組成とされるのが一般的であり、酸化チタンの含有量は、触媒当たり60質量%から80質量%程度にもなる。そのため、脱硝触媒のような廃材から大量に回収される粗雑な酸化チタンを有効に利用する技術が求められている。
したがって、本発明の課題は、廃材から回収される酸化チタンを有効に利用した結晶性酸化チタンの製造方法及び脱硝触媒の再生方法を提供することにある。
前記課題を解決するために本発明に係る結晶性酸化チタンの製造方法は、酸化チタンを含んでなる廃材と、アルカリ水酸化物、アルカリ炭酸塩、アルカリ硝酸塩からなる群より選択される少なくとも一種のアルカリ化合物とを混合及び加熱する工程、前記加熱により生成した反応生成物に含まれていた不溶性成分を酸と混合する工程、前記酸との混合で得られた不溶性成分を焼成して結晶性酸化チタンを生成する工程を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る脱硝触媒の再生方法は、酸化チタン、並びに、タングステン、モリブデン及びバナジウムからなる群より選択される少なくとも一種の金属の酸化物を含んでなる使用済みの脱硝触媒と、アルカリ水酸化物、アルカリ炭酸塩及びアルカリ硝酸塩からなる群より選択される少なくとも一種のアルカリ化合物とを混合及び加熱する工程、前記加熱により生成した反応生成物に水を添加して、タングステン、モリブデン及びバナジウムからなる群より選択される少なくとも一種の金属のアルカリ塩を含んでなる可溶性成分を、前記反応生成物に含まれていた不溶性成分から分離する工程、前記可溶性成分が分離された不溶性成分を酸と混合する工程、前記酸との混合で得られた不溶性成分を焼成して結晶性酸化チタンを生成する工程、生成した前記結晶性酸化チタンと前記金属からなる金属化合物とを混合し、焼成して脱硝触媒を製造する工程を含むことを特徴とする。
本発明によれば、廃材から回収される酸化チタンを有効に利用した結晶性酸化チタンの製造方法及び脱硝触媒の再生方法を提供することができる。
酸化チタンを含んでなる廃材の一例である廃触媒の構成を示す模式図である。 機械選別工程、溶融工程及び分離工程の概略を示す工程図である。 酸処理工程、焼成工程の概略を示す工程図である。 触媒製造工程の概略を示す工程図である。 分離回収工程の概略を示す工程図である。 酸処理工程における酸濃度とアルカリ残存量との関係を示す図である。 分離工程で回収された水不溶性成分のX線回折スペクトルの一例を示す図である。 酸処理工程で回収された酸不溶性成分のX線回折スペクトルの一例を示す図である。 焼成工程で回収された酸化チタンのX線回折スペクトルの一例を示す図である。
以下に本発明の一実施形態に係る結晶性酸化チタンの製造方法及び脱硝触媒の再生方法について詳細に説明する。
本実施形態に係る結晶性酸化チタンの製造方法は、酸化チタン(二酸化チタン;TiO)を含んでなる廃材から酸化チタンを分離回収し、回収された酸化チタンを結晶化することによって結晶性酸化チタンを製造する方法である。この方法は、結晶性酸化チタンの製造に付随して、廃材に含まれている他の有価金属を酸化チタンから分離する側面を有している。そのため、廃材に含まれる酸化チタンを高い純度で回収して再利用することを可能とし、資源循環の上で有効な製造方法である。
酸化チタンを含んでなる廃材としては、使用済みの各種成型品等を起源とする廃棄されるべき金属質材料や、複数種の金属質材料及びその他の材料が混合した廃棄物片の集合等が利用される。金属質材料は、例えば、セラミックス等の金属元素含有化合物、純金属、合金又はこれらの組合せからなる材料である。
酸化チタンを含んでなる廃材は、酸化チタンを主組成成分とする廃材に限られず、酸化チタンの含有量が、廃材の質量あたり50質量%未満のものであってもよい。特に、酸化チタンと共に、タングステン、モリブデン及びバナジウムからなる群より選択される少なくとも一種の金属又はその酸化物を含んでなる廃材は、結晶性酸化チタンの製造と並行して有効に有価金属の分離回収を行える点で好適である。
酸化チタンを含んでなる廃材としては、具体的には、例えば、脱硝触媒、脱硫触媒、光触媒等の使用済みの廃触媒が挙げられる。一般に、脱硝触媒は、触媒担体である酸化チタンに、触媒活性成分である酸化バナジウムを担持させた触媒が主流である。脱硝触媒には、触媒活性成分として、酸化バナジウムの他に酸化タングステン、酸化モリブデン等が用いられることが多い。また、脱硫触媒においては、シリカ、アルミナと共に、酸化チタンによる触媒担体が用いられることがある。脱硫触媒には、触媒活性成分として、酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化コバルト等が使用されている。また、光触媒においては、触媒活性成分である酸化チタンが、ガラス、石英、金属等の担体に担持されることが多い。光触媒には、光応答特性等の改変を目的として、モリブデン、バナジウム等が併用されることがある。
本実施形態に係る結晶性酸化チタンの製造方法は、酸化チタンを含んでなる廃材をアルカリ溶融させて、その残渣として回収された酸化チタンを結晶化して結晶性酸化チタンを製造するものである。そのため、特に、酸化チタンの含有率が高く、且つ、水溶性アルカリ金属塩を形成する有価金属を含有している廃材を利用することが好ましい。
そこで、以下、酸化チタン、酸化タングステン、酸化モリブデン及び酸化バナジウムを含んでなる脱硝触媒の廃触媒から結晶性酸化チタンを製造する方法を例にとって、結晶性酸化チタンの製造方法について説明する。
図1は、酸化チタンを含んでなる廃材の一例である廃触媒の構成を示す模式図である。
図1に示す廃触媒1は、酸化チタン系の脱硝触媒であり、触媒支持基材2と、酸化チタン3と、酸化タングステン4と、酸化モリブデン5と、酸化バナジウム6とを含んでなる。廃触媒1において、触媒活性成分である酸化タングステン4、酸化モリブデン5、酸化バナジウム6の各粒子は、触媒担体である酸化チタン3の粒子に担持された状態で触媒支持基材2に固定化されている。
廃触媒1は、これら触媒活性成分や触媒担体と共に、さらに石英ゾル7や無機繊維8を含有していることがある。酸化チタン3等の粒子が、石英ゾル7や無機繊維8と混合されて触媒支持基材2に結着されると、焼結性が向上して堅固に成型されるためである。また、触媒支持基材2は、通常、金属、ガラス、セラミックス等を材質としている。したがって、廃触媒1は、これらの材料に由来するケイ素酸化物やアルミニウム酸化物等も含有していることが多い。また、脱硝触媒としては、比表面積が大きいアナターゼ型の結晶構造を有する酸化チタンが一般に用いられているが、図1に示されるような使用済みの廃触媒1では、アナターゼ型の酸化チタンが、比表面積が小さいルチル型の結晶構造に変態していることがある。また、廃触媒1の表面には、排煙に由来する煤塵9や硫黄酸化物等の吸着がみられ、廃触媒1に不純物として含まれる元素は多岐に渡る。そのため、廃触媒1に含まれる酸化チタンは、結晶性、純度等の点で極めて粗雑な状態となっている。
本実施形態に係る結晶性酸化チタンの製造方法では、以上の廃触媒を例とする酸化チタンを含んでなる廃材を利用して、機械選別工程S10、溶融工程S20、分離工程S30、酸処理工程S40、焼成工程S50等を経て、結晶性酸化チタンの製造と有価金属の分離とを行う。但し、結晶性酸化チタンの製造に際しては、機械選別工程S10及び分離工程S30の実施は必ずしも必須ではなく、目的に応じてこれらの工程の一つ以上を省略したり、同等の目的を有する他の公知の工程に置換したりすることができる。
図2は、機械選別工程、溶融工程及び分離工程の概略を示す工程図である。
機械選別工程S10では、廃棄される使用済みの各種成型品等から、酸化チタンを含む金属質材料を機械的に分別する。すなわち、脱硝触媒の廃触媒を破砕して微粒子化した後、酸化チタン、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化バナジウム等の触媒成分の粒子と基材(触媒支持基材)の成分の粒子とに分別することによって、酸化チタンや他の有価金属以外の成分を廃材から適宜除去する。微粒子化は、各種成型品等を、ショットブラスト型、せん断型、衝撃型等の破砕機を用いて破砕することによって、触媒活性成分や触媒担体等の触媒成分を粉末状、薄片状、粒状等の微粒子として回収する方法により行えばよい。また、破砕した微粒子の分別は、比重や粒径等に基づいた篩によって触媒成分を選別することで行えばよい。
このような機械選別工程S10を行うことによって、酸化チタンや他の有価金属を含む触媒成分のみを廃材として後工程に供することができるため、後工程の効率や結晶性酸化チタンの製造に利用する酸化チタンの純度を向上させることができる。
なお、機械選別工程S10は、使用済みの各種成型品等に由来する廃材を直接後工程で処理する場合には必ずしも行う必要はない。例えば、触媒成分が触媒支持基材等に成型されてなく独立して存在するような場合や、触媒成分が微細な粉末状となって触媒支持基材上に成型されている場合には、廃触媒を後工程に直接供することができるため、機械選別工程S10を省略することができる。
溶融工程S20では、酸化チタンを含んでなる廃材とアルカリ化合物とを混合及び加熱する。
酸化チタン、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化バナジウム等の触媒成分を含む微粒子状の廃材をアルカリ化合物と混合して均質化し、アルカリ化合物を加熱して溶融塩とすると、触媒成分とアルカリ化合物とがアルカリ溶融反応することによって、タングステン、モリブデン、バナジウム等の有価金属の酸素酸アルカリ塩が生成する。そのため、アルカリ溶融反応では、これら有価金属の酸素酸アルカリ塩と、未反応のまま残留していた酸化チタン等とを含んでなる反応生成物が得られる。
溶融工程S20で用いるアルカリ化合物は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属硝酸塩、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ金属塩化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属硝酸塩、アルカリ土類金属硫酸塩及びアルカリ土類金属塩化物からなる群より選択される少なくとも一種である。
アルカリ水酸化物やアルカリ硝酸塩は、アルカリ炭酸塩等と比較して融点が低い特徴を有するため、溶融塩を生成するための加熱温度を引き下げることができる。また、アルカリ水酸化物は、アルカリ硝酸塩と比較して、アルカリ溶融反応の効率に優れているため、有価金属のアルカリ塩を生成させるのに適している。よって、アルカリ化合物としては、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物からなる群より選択される少なくとも一種が好ましく、アルカリ金属水酸化物がより好ましい。
なお、アルカリ硝酸塩やアルカリ硫酸塩は、有価金属を廃材から効率的に溶出させるための酸化剤として用いてもよい。すなわち、アルカリ化合物としては、アルカリ過硫酸塩、アルカリ亜硝酸塩等の形態のアルカリ塩を用いることも可能である。
アルカリ化合物をなすアルカリ金属は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等から選択することができる。アルカリ金属としては、取り扱いや入手容易性等の観点から、リチウム、ナトリウム及びカリウムからなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。
また、アルカリ化合物をなすアルカリ土類金属は、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等から選択することができる。アルカリ土類金属としては、取り扱いや入手容易性等の観点から、マグネシウム及びカルシウムからなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。
混合された廃材とアルカリ化合物との加熱は、加熱温度をアルカリ化合物の融点付近に設定して行うことが好ましく、具体的には、加熱温度が、150℃以上350℃以下であることが好ましい。
加熱温度が150℃以上であれば、アルカリ化合物種を適切に選択することによって、酸化チタンを含んでなる廃材とアルカリ化合物とを十分に反応させることができる。他方、加熱温度を350℃程度以下の低温とすることによって、溶融工程S20における加熱コストを低減することができる。また、加熱温度が350℃程度以下の低温であれば、酸化チタンに対して意図しない熱履歴を与えなくて済むため、結晶性酸化チタンの製造に好適である。
廃材とアルカリ化合物との加熱時間は、混合したアルカリ化合物が溶融する程度の時間であればよく、通常、30分以上3時間以下程度とすればよい。
加熱温度は、アルカリ化合物の融点付近であれば必ずしも融点を上回っていることまでは要しないが、アルカリ化合物の融点を20℃から50℃程度上回る温度に設定することが好ましい。
したがって、溶融工程S20における加熱温度を抑える観点からは、アルカリ化合物は、低温で溶融することが好ましい。アルカリ化合物を低温で溶融させる方法としては、融点が低温であるアルカリ化合物を単独で使用する方法や、複数種のアルカリ化合物を組み合わせて使用することによって凝固点(融点)降下させる方法を用いることできる。例えば、水酸化リチウム(融点;約460℃)を単独で使用する場合は、加熱温度を500℃程度とすればよく、水酸化カリウム(融点;約380℃)を単独で使用する場合は、加熱温度を420℃程度とすればよい。一方で、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの等モル混合物(融点;約170℃)を使用する場合は、加熱温度を200℃程度とすればよい。
アルカリ化合物の添加量は、触媒成分として含まれる金属の総質量の0.6倍以上10倍以下の質量とすることが好ましく、5倍以上10倍以下の質量とすることがより好ましい。
アルカリ化合物の添加量が触媒成分として含まれる金属の総質量の5倍以上10倍以下の質量であると、アルカリ溶融反応が良好な効率で進行するため、タングステン、モリブデン、バナジウム等の有価金属の分離回収を高収率で行うことができる。また、結晶性酸化チタンの製造に利用する酸化チタンの純度を向上させることができる。なお、アルカリ化合物の添加量は、触媒成分やアルカリ化合物の元素組成やその他の条件にも左右されるが、触媒成分として含まれる金属の総質量の10倍を超える量としても反応効率は大きくは向上しない傾向がある。
アルカリ溶融反応では、例えば、触媒成分として含まれる酸化タングステン(WO)とアルカリ金属水酸化物(ROH)とが反応した場合には、次の反応式1に示すようにタングステン酸アルカリ金属塩(RWO)が生成される。
WO+2ROH→RWO+HO・・・(反応式1)
アルカリ溶融反応の反応生成物には、このような反応に準じて生成するタングステン酸アルカリ塩、モリブデン酸アルカリ塩、バナジン酸アルカリ塩等をはじめとする有価金属の酸素酸アルカリ塩が可溶性成分(水可溶性成分)となって含まれている。その一方で、難反応性である酸化チタンは、一部がアルカリ化合物と反応してNaTi(OH)等の難水溶性のチタン酸アルカリ塩を生成し、残部が未反応のまま酸化チタンとして残留している。また、廃触媒に含まれていたケイ素酸化物やアルミニウム酸化物等は、一部がアルカリ化合物と反応してKAlSiOやNaAlSi20・9HO等の難水溶性のケイ酸アルミン酸アルカリ塩を生成している。これら酸化チタンや難水溶性のアルカリ塩は、不溶性成分(水不溶性成分)として、有価金属の水溶性アルカリ塩と共に反応生成物に含まれている。
そこで、溶融工程S20で得られた反応生成物を、続く分離工程S30に供することによって、水溶性の相違を利用した固液分離を行う。
分離工程S30では、溶融工程S20で得られる反応生成物に水を添加して、タングステン酸アルカリ塩、モリブデン酸アルカリ塩、バナジン酸アルカリ塩といった有価金属のアルカリ塩を含んでなる水可溶性成分を、反応生成物に含まれていた酸化チタン等の水不溶性成分から分離する。水不溶性成分と水可溶性成分との分離は、反応生成物と水とを混合して反応生成物に含まれる水可溶性成分を水相に抽出した後、反応生成物に含まれていた水不溶性成分を濾過や遠心分離を利用して、水相から回収することにより行えばよい。
なお、分離工程S30は、水可溶性成分として分離されることが見込まれる有価金属やその他の不純物の量が少ない場合には、省略したり、簡易な水洗を行う工程等に置換したりすることができる。
回収された水不溶性成分は、続く酸処理工程S40に供される。一方、タングステン、モリブデン、バナジウム等の有価金属を含む水可溶性成分は、必要に応じて更に分離回収工程S70に供することができる。
図3は、酸処理工程、焼成工程の概略を示す工程図である。
酸処理工程S40では、反応生成物に含まれていた水不溶性成分を酸と混合する。
反応生成物に含まれていた水不溶性成分と酸とを混合して反応させることによって、アルカリ溶融反応で生成した水難溶性アルカリ成分が溶解して液相に分配されることになる。そのため、不溶性成分(酸不溶性成分)である酸化チタンと可溶性成分(酸可溶性成分)であるチタン酸アルカリ塩、ケイ酸アルミン酸アルカリ塩等とを分離することが可能となる。
混合する酸は、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、ホウ酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸等の無機酸の水溶液から選択することができる。酸としては、アルカリ成分の溶解性に優れる点で、塩酸、硫酸及び硝酸からなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。塩酸、硫酸及び硝酸は、希薄溶液を用いることができるが、酸可溶性成分を確実に溶解させるために、例えば塩酸については5質量%以上の濃度とすることが好ましく、5質量%以上10質量%以下の濃度とすることがより好ましい。
酸と混合する酸処理時間や酸処理温度は、水難溶性アルカリ成分を可溶化できる限り特に制限されるものではなく、例えば、酸処理時間については2時間から24時間、酸処理温度については常温として行うことができる。
酸処理によって、水難溶性アルカリ成分を酸と反応させて可溶化した後、酸処理された反応生成物に含まれる酸化チタン等の酸不溶性成分を酸可溶性成分から分離する。酸不溶性成分と酸可溶性成分との分離は、可溶化した酸可溶性成分を液相に分配させた後、濾過や遠心分離を利用して、酸不溶性成分を液相から回収することにより行えばよい。
回収された酸不溶性成分は、続く焼成工程S50に供される。なお、焼成工程S50に供する酸不溶性成分は、未分離の酸可溶性成分や酸を除去するために、水等により洗浄した後、乾燥させておくことが好ましい。このときの乾燥温度としては、80℃以上100℃以下の範囲が好ましい。
焼成工程S50では、酸との混合で得られた不溶性成分を焼成して結晶性酸化チタンを生成する。
酸処理工程S40で得られた酸不溶性成分は、有価金属やケイ素やアルミニウムが分離されることによって、廃触媒に含まれていた酸化チタンを主成分とする組成になっている。一般に使用前の触媒に含まれる酸化チタンは、アナターゼ型の結晶性酸化チタンであるのに対し、使用後の廃触媒では、その大部分がルチル型に変態している。しかしながら、これら結晶性酸化チタンは、溶融工程S20においてアルカリ化合物と混合されることによって結晶性を失って、非晶質に変化していることが多い。
そこで、この焼成工程S50において、酸不溶性成分を加熱処理することによって、酸不溶性成分をなす非晶質の酸化チタンを焼成して結晶性酸化チタンとする。
焼成における加熱温度は、400℃以上であることが好ましく、400℃以上700℃以下であることがより好ましく、500℃以上700℃以下であることがさらに好ましい。
加熱温度を400℃以上、好ましくは500℃以上とすることによって、酸不溶性成分をなす非晶質酸化チタンの結晶化が進むため、結晶性が良好な酸化チタンを製造することができる。その一方で、加熱温度を700℃以下とすれば、結晶化に要する加熱コストを低減することができる。
焼成における加熱温度は、製造しようとする結晶性酸化チタンの構造に応じて、さらに温度範囲を限定してもよい。
例えば、焼成における加熱温度を650℃以上の範囲(図3の加熱(1))とした場合には、ルチル型の結晶性酸化チタンを製造することができる。また、焼成における加熱温度を400℃以上600℃以下の範囲(図3の加熱(2))とした場合には、アナターゼ型の結晶性酸化チタンを製造することができる。
以上の本実施形態に係る結晶性酸化チタンの製造方法によれば、酸化チタンを含んでなる廃材から効率よく回収された高純度の酸化チタンを利用して、結晶性酸化チタンを製造することができる。また、分離工程S30を経ることによって、結晶性酸化チタンの製造と並行して、廃材に含まれる有価金属の分離を一体的に行うことができる。そのため、廃材に含まれる酸化チタンやその他の有価金属を、資源循環適合的に有効利用することができる。さらには、製造と分離の一体化によって、工程全体のコストを抑えることが可能である。
また、このような方法を用いて製造された結晶性酸化チタンは、工程中において有価金属と分離された後に焼成されるため、製造コストが低廉でありながら、純度が良好である。また、熱履歴の影響が小さい工程を辿り、非晶質の状態を経て焼成されるため、廃材に含まれる酸化チタンの性状に依らず、より単相に近い結晶性酸化チタンとして製造され得る。例えば、ルチル型の結晶性酸化チタンは、着色料、塗料、顔料等としての用途があり、アナターゼ型の結晶性酸化チタンは、脱硝触媒等の触媒材料として有用である。製造された結晶性酸化チタンを利用して、酸化チタンを含んでなる触媒の再製造も行うことができる。
次に、本実施形態に係る脱硝触媒の再生方法について説明する。
本実施形態に係る脱硝触媒の再生方法は、廃材として脱硝触媒の廃触媒を使用した前記の結晶性酸化チタンの製造方法を利用して行われる。すなわち、本実施形態に係る脱硝触媒の再生方法では、結晶性酸化チタンの製造方法において実施される機械選別工程S10、溶融工程S20、分離工程S30、酸処理工程S40、焼成工程S50等に加えて、さらに触媒製造工程S60を経ることによって脱硝触媒を再生する。なお、この再生方法は、脱硝触媒の廃触媒から製造された結晶性酸化チタンを触媒の原料として使用する方法であって、実質的には、脱硝触媒の製造方法に相当するものである。
図4は、触媒製造工程の概略を示す工程図である。
触媒製造工程S60では、焼成工程S50で生成した結晶性酸化チタンと、タングステン、モリブデン及びバナジウムからなる群より選択される少なくとも一種の金属からなる金属化合物とを混合し、焼成して脱硝触媒を製造する。なお、結晶性酸化チタンは、脱硝触媒の触媒担体の原料、タングステンやモリブデンやバナジウムの金属化合物は触媒活性成分の原料としてそれぞれ用いられるが、触媒製造工程S60においては、触媒原料の選択を除いて、従来から知られている一般的な脱硝触媒の製造方法を採用することが可能である。
脱硝触媒の触媒活性成分を担持する触媒担体の原料としては、焼成工程S50で加熱温度を400℃以上600℃以下の範囲とすることにより生成するアナターゼ型の結晶性酸化チタンを用いることが好ましい。比表面積が比較的大きいアナターゼ型の結晶性酸化チタンを触媒担体とすることによって高い触媒活性を得ることができる。
一方で、触媒活性成分としては、酸化バナジウム、好ましくはさらに酸化タングステン及び酸化モリブデンの少なくとも一方を、結晶性酸化チタンに担持させることが好ましい。そこで、触媒活性成分の原料としては、タングステン、モリブデン又はバナジウムを含んでなる金属化合物が用いられる。このような金属化合物としては、触媒活性成分となる金属酸化物自体、又は、加熱酸化によりこれら金属酸化物に変換される加熱分解性の金属化合物が挙げられる。具体的には、酸化バナジウムの原料の金属化合物としては、五酸化二バナジウム、メタバナジン酸アンモニウム、シュウ酸バナジウム、硫酸バナジウム等が挙げられる。また、酸化タングステンの原料の金属化合物としては、三酸化タングステン、タングステン酸、メタタングステン酸アンモニウム、パラタングステン酸アンモニウム等が挙げられる。また、酸化モリブデンの原料の金属化合物としては、三酸化モリブデン、モリブデン酸、パラモリブデン酸アンモニウム等が挙げられる。これらの金属化合物は、後記する分離回収工程S70で回収された有価金属で組成される金属化合物であってよく、あるいは新規原料として調達されたものであってもよい。
脱硝触媒の製造では、例えば、触媒担体となる結晶性酸化チタンと触媒活性成分となる金属化合物とを水等の分散媒と共に混合し、必要に応じて石英ゾルや無機繊維等の添加剤を加え、混練してペースト状とする。そして、このペーストをラス状、ハニカム状等の形状を有する触媒支持基材上に成型し、乾燥、焼成することによって脱硝触媒の成型品が製造される。焼成は、酸化ガス雰囲気の下で行うことが好ましく、焼成温度は、例えば、300℃以上600℃以下の範囲が好適である。
以上の本実施形態に係る脱硝触媒の再生方法によれば、酸化チタンを含んでなる廃材から回収された酸化チタンを有効に利用して脱硝触媒を再製造することができる。特に、溶融工程S20における加熱温度を150℃以上350℃以下とすれば、低加熱コストで、純度が高く結晶状態の良好な酸化チタンを用いて脱硝触媒を再生することができる。また、焼成工程S50における加熱温度を500℃以上600℃以下とした場合には、触媒担体の原料となる酸化チタンの表面積がより増大するため、再生される脱硝触媒の触媒活性を向上させることができる。そのため、灰分等の吸着による被毒を洗浄等で解消する触媒再生方法と比較して、資源廃棄量の低減と高触媒活性の回復とを両立した方法となる。
本実施形態に係る結晶性酸化チタンの製造方法及び脱硝触媒の再生方法は、さらに、分離回収工程S70を備える構成とすることができる。分離回収工程S70は、分離工程S30の後に行われる工程であり、分離工程S30で酸化チタンと分離された有価金属をさらに分離して回収する工程である。脱硝触媒の再生方法にあっては、分離工程S30の後且つ触媒製造工程S60の前に行われるものとし、回収される金属化合物を触媒原料として触媒製造工程S60に供するように行う。
図5は、分離回収工程の概略を示す工程図である。
分離回収工程S70では、分離工程S30において水相に抽出されたタングステン、モリブデン、バナジウム等の有価金属のアルカリ塩を含んでなる水可溶性成分から、これらの有価金属を固体として分離回収する。なお、分離回収は、必ずしも金属元素種別に完全に行うことを要するものでなく、例えばバナジウムのように比較的多量に含まれる金属元素のみを分離対象として行うものでもよい。
分離回収の方法は、一般的な化学的又は物理的分離方法によることができるが、沈殿分離によるのが好適である。例えば、水可溶性成分を含む濾液や上清等の水相をpH6以上8以下に調整すると、塩化アンモニウム等のアンモニウム塩の添加によって、メタバナジン酸アンモニウムの沈殿が生成する。この沈殿を分離回収することによって、バナジウムをタングステン及びモリブデンから分別することができる。
バナジン酸塩の沈殿を回収した液相は、タングステンとモリブデンとを回収するための、更なる沈殿分離に供することができる。例えば、メタバナジン酸アンモニウム沈殿を回収した液相に、塩化カルシウムを添加し、適宜pHを調整することによって、タングステン酸カルシウム及びモリブデン酸カルシウムの沈殿が生成する。この沈殿を固液分離することによって、タングステン及びモリブデンを回収することができる。あるいは、メタバナジン酸アンモニウム沈殿を回収した液相について、pH8以上10以下程度に調整し、硫化水素ナトリウム等を添加してチオモリブデン酸塩を生成させた後に、pH2以上3以下程度となるように酸処理すると三硫化モリブデンの沈殿が生成する。この沈殿を分離回収することによって、さらにタングステンとモリブデンとを分別することができる。
分離回収工程S70においては、水可溶性成分として含まれているタングステン、モリブデン、バナジウム等の有価金属は、所望の金属化合物に変換した上で回収することができる。例えば、沈殿として回収されたメタバナジン酸アンモニウムは、触媒製造工程S60における原料の金属化合物として直接使用できる点で好適であるが、熱分解させることによって五酸化二バナジウムに変換してもよい。また、タングステン酸カルシウム、モリブデン酸カルシウム等は、熱濃硝酸等で煮沸洗浄することによってモリブデン酸やタングステン酸等に変換してもよい。さらに、これらモリブデン酸、タングステン酸、三硫化モリブデン等は、加熱酸化させることによって酸化モリブデンや酸化タングステンに変換してもよい。
以上の分離回収工程S70を備える結晶性酸化チタンの製造方法によれば、結晶性酸化チタンの製造と並行して、廃材に含まれる有価金属の分離回収を一体的に行うことができる。そのため、廃材に含まれる有価金属を資源循環適合的に有効利用することができ、さらには、製造と分離回収の一体化によって、工程全体のコストを抑えることが可能である。分離回収される有価金属は、超硬工具等の素材となる超合金の材料等としても使用することができる。
また、以上の分離回収工程S70を備える脱硝触媒の再生方法によれば、脱硝触媒の廃触媒から分離回収された有価金属に由来するタングステンやモリブデンやバナジウムの金属化合物を、触媒活性成分の原料として触媒製造工程S60において使用することができる。そのため、廃触媒に含まれる有価金属を資源循環適合的に利用して脱硝触媒を再製造することが可能となる。
以下、本発明の実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれに限定されるものではない。
本発明に係る結晶性酸化チタンの製造方法を用いて、酸化チタンを含んでなる廃材から結晶性酸化チタンを製造すると共に、廃材に含まれる有価金属の回収を行った。
酸化チタンを含んでなる廃材としては、酸化チタン(TiO)を80質量%、酸化タングステン(WO)を8質量%、酸化モリブデン(MoO)を0.5質量%、五酸化二バナジウム(V)を1.5質量%、酸化アルミニウム(Al)を4質量%、二酸化ケイ素(SiO)を6質量%含む組成である脱硝触媒の廃触媒を用いた。この脱硝触媒は、ステンレス製の触媒支持基材上に塗布された後に焼結されており、板状触媒の形態に成型された成型品である。
はじめに、廃触媒を機械選別工程S10に供した。廃触媒は、ショットブラストによって触媒支持基材から機械的に分離することによって、粉末状の廃材として回収した。続いて、得られた粉末状の廃材を溶融工程S20に供した。廃材とアルカリ化合物とは、使用するアルカリ化合物の組成及び添加量、並びに加熱温度を変えた次の実施例1〜15を各別に実施してそれぞれアルカリ溶融反応させた。
[実施例1]
実施例1では、アルカリ化合物として、水酸化リチウム(LiOH)と水酸化ナトリウム(NaOH)とを質量比で0.2:0.8となるように用いた。この質量比は、モル比に換算すると約5:12に相当している。
アルカリ化合物は、総添加量が1kgとなるようにあらかじめ濃度を調整してアルカリ化合物水溶液とし、このアルカリ化合物水溶液8kgを1kgの廃材に加え、2時間に亘って撹拌することによって均質化した。続いて、得られた混合物をアルミナ製蒸発皿に投入して、80℃〜100℃で15時間乾燥させた。そして、乾燥した混合物を擂潰機を用いて混合し、大気中において、加熱温度250℃で5時間に亘って加熱することによって、アルカリ溶融反応の反応生成物を得た。
得られた反応生成物は、分離工程S30に供した。反応生成物に20Lの水を添加した後、3時間に亘って撹拌し、反応生成物に含まれる水可溶性成分を水相に抽出した。続いて、濾過を行うことによって、反応生成物に含まれていた水可溶性成分と水不溶性成分とを固液分離し、濾液と残渣のそれぞれを回収した。
アルカリ溶融反応の反応生成物に含まれていた水可溶性成分が抽出された濾液は、分離回収工程S70に供した。pH調整剤を添加することによって濾液をpH7に調整したところ、ケイ素、アルミニウム、チタン、アルカリ等を含有する複合酸化物の沈殿が生じたため、濾過を行うことによってこの複合酸化物の沈殿を除去した。続いて、250gの塩化アンモニウム(NHCl)を添加して30分間撹拌を行い、メタバナジン酸アンモニウムの沈殿を生成させた。そして、この沈殿を濾別し、50mLの2wt%塩化アンモニウム水溶液と、50mLの水とをそれぞれ用いて洗浄して、バナジン酸塩を回収した。
一方、沈殿が濾別されて残った濾液については、80gの塩化カルシウム(CaCl)を添加して10分間撹拌を行い、タングステン酸カルシウム及びモリブデン酸カルシウムの沈殿を生成させた。そして、この沈殿を濾別し、1Lの熱濃硝酸中において30分間煮沸した後、塩化アンモニウム水溶液と水とをそれぞれ用いて洗浄して、100℃で乾燥し、モリブデン酸塩とタングステン酸塩の混合物を回収した。
回収されたバナジン酸塩、モリブデン酸塩、タングステン酸塩のそれぞれは、蛍光X線分析(X-ray Fluorescence Analysis;XRF)に供して組成を確認し、抽出されたバナジウム、モリブデン及びタングステンの各元素の質量を求めた。また、濾液については、誘導結合プラズマ発光分析(Inductively Coupled Plasma−Atomic Emission Spectrometry;ICP−AES)に供して組成を確認した。そして、有価金属として回収された各元素について、廃材に含まれていた質量に対する抽出率(質量%)を算出した。
その結果、有価金属の抽出率は、タングステンについては94.9%、モリブデンについては95.0%、バナジウムについては90.1%であった。
[実施例2]
実施例2では、アルカリ化合物として、水酸化ナトリウム(NaOH)と水酸化カリウム(KOH)とを質量比で0.42:0.58となるように用いた。この質量比は、モル比に換算すると約1:1に相当している。
実施例2は、溶融工程における加熱温度を200℃とし、その他の条件については実施例1と同様にして行った。
その結果、有価金属の抽出率は、タングステンについては99.9%、モリブデンについては96.3%、バナジウムについては97.3%であった。
[実施例3]
実施例3では、アルカリ化合物として、水酸化ナトリウム(NaOH)と水酸化カリウム(KOH)とを質量比で0.74:0.26となるように用いた。この質量比は、モル比に換算すると約4:1に相当している。
実施例3は、溶融工程における加熱温度を250℃とし、その他の条件については実施例2と同様にして行った。
その結果、有価金属の抽出率は、タングステンについては96.5%、モリブデンについては94.5%、バナジウムについては93.9%であった。
[実施例4]
実施例4では、アルカリ化合物として、水酸化ナトリウム(NaOH)と水酸化カリウム(KOH)とを質量比で0.42:0.58となるように用いた。
実施例4は、1kgの廃材に、アルカリ化合物の総添加量が0.8kgとなるように濃度を調製したアルカリ化合物を加えてアルカリ溶融反応させ、その他の条件については実施例2と同様にして行った。
その結果、有価金属の抽出率は、タングステンについては99.4%、モリブデンについては92.5%、バナジウムについては97.7%であった。
[実施例5]
実施例5では、アルカリ化合物として、水酸化ナトリウム(NaOH)と水酸化カリウム(KOH)とを質量比で0.42:0.58となるように用いた。
実施例5は、1kgの廃材に、アルカリ化合物の総添加量が0.6kgとなるように濃度を調製したアルカリ化合物を加えてアルカリ溶融反応させ、その他の条件については実施例2と同様にして行った。
その結果、有価金属の抽出率は、タングステンについては98.0%、モリブデンについては90.3%、バナジウムについては95.3%であった。
[実施例6]
実施例6では、アルカリ化合物として、水酸化ナトリウム(NaOH)と水酸化カリウム(KOH)とを質量比で0.42:0.58となるように用いた。
実施例6は、溶融工程における加熱温度を170℃とし、その他の条件については実施例2と同様にして行った。
その結果、有価金属の抽出率は、タングステンについては98.5%、モリブデンについては95.0%、バナジウムについては97.1%であった。
[実施例7]
実施例7では、アルカリ化合物として、水酸化ナトリウム(NaOH)と水酸化カリウム(KOH)とを質量比で0.42:0.58となるように用いた。
実施例7は、溶融工程における加熱温度を150℃とし、その他の条件については実施例2と同様にして行った。
その結果、有価金属の抽出率は、タングステンについては99.0%、モリブデンについては90.0%、バナジウムについては96.4%であった。
[実施例8]
実施例8では、アルカリ化合物として、水酸化ナトリウム(NaOH)と水酸化カリウム(KOH)と水酸化リチウム(LiOH)とを質量比で0.34:0.46:0.20となるように用いた。この質量比は、モル比に換算すると約1:1:1に相当している。
実施例8は、1kgの廃材に、アルカリ化合物の総添加量が1kgとなるように濃度を調製したアルカリ化合物を加えてアルカリ溶融反応させ、溶融工程における加熱温度を170℃とし、その他の条件については実施例2と同様にして行った。
その結果、有価金属の抽出率は、タングステンについては99.7%、モリブデンについては90.8%、バナジウムについては95.9%であった。
[実施例9]
実施例9では、アルカリ化合物として、水酸化ナトリウム(NaOH)と水酸化カリウム(KOH)と硝酸ナトリウム(NaNO)とを質量比で0.34:0.46:0.20となるように用いた。この質量比は、モル比に換算すると約4:4:1に相当している。
実施例9は、1kgの廃材に、アルカリ化合物の総添加量が1kgとなるように濃度を調製したアルカリ化合物を加えてアルカリ溶融反応させ、溶融工程における加熱温度を150℃とし、その他の条件については実施例2と同様にして行った。
その結果、有価金属の抽出率は、タングステンについては99.4%、モリブデンについては93.3%、バナジウムについては98.0%であった。
[実施例10]
実施例10では、アルカリ化合物として、水酸化ナトリウム(NaOH)と水酸化カリウム(KOH)と水酸化カルシウム(Ca(OH))とを質量比で0.34:0.46:0.20となるように用いた。この質量比は、モル比に換算すると約1:1:3に相当している。
実施例10は、1kgの廃材に、アルカリ化合物の総添加量が1kgとなるように濃度を調製したアルカリ化合物を加えてアルカリ溶融反応させ、溶融工程における加熱温度を150℃とし、その他の条件については実施例2と同様にして行った。
その結果、有価金属の抽出率は、タングステンについては98.8%、モリブデンについては92.8%、バナジウムについては97.6%であった。
[実施例11]
実施例11では、アルカリ化合物として、水酸化マグネシウム(Mg(OH))と炭酸カルシウム(CaCO)とを質量比で0.8:0.2となるように用いた。この質量比は、モル比に換算すると約7:1に相当している。
実施例11は、1kgの廃材に、アルカリ化合物の総添加量が1kgとなるように濃度を調製したアルカリ化合物を加えてアルカリ溶融反応させ、溶融工程における加熱温度を250℃とし、その他の条件については実施例2と同様にして行った。
その結果、有価金属の抽出率は、タングステンについては94.5%、モリブデンについては95.0%、バナジウムについては93.6%であった。
[実施例12]
実施例12では、アルカリ化合物として、水酸化ナトリウム(NaOH)と硫酸ナトリウム(NaSO)とを質量比で0.95:0.05となるように用いた。
実施例12は、1kgの廃材に、アルカリ化合物の総添加量が1kgとなるように濃度を調製したアルカリ化合物を加えてアルカリ溶融反応させ、溶融工程における加熱温度を300℃とし、その他の条件については実施例1と同様にして行った。
その結果、有価金属の抽出率は、タングステンについては98.1%、モリブデンについては96.6%、バナジウムについては97.2%であった。
[実施例13]
実施例13では、アルカリ化合物として、水酸化ナトリウム(NaOH)を単独で用いた。
実施例13は、1kgの廃材に、アルカリ化合物の総添加量が1kgとなるように濃度を調製したアルカリ化合物を加え、溶融工程における加熱温度を350℃とし、その他の条件については実施例1と同様にして行った。
その結果、有価金属の抽出率は、タングステンについては97.2%、モリブデンについては95.3%、バナジウムについては93.5%であった。
[実施例14]
実施例14では、アルカリ化合物として、炭酸ナトリウム(NaCO)と炭酸リチウム(LiCO)とを質量比で0.65:0.35となるように用いた。この質量比は、モル比に換算すると約4:3に相当している。
実施例14は、1kgの廃材に、アルカリ化合物の総添加量が1kgとなるように濃度を調製したアルカリ化合物を加えてアルカリ溶融反応させ、溶融工程における加熱温度を550℃とし、その他の条件については実施例1と同様にして行った。
その結果、有価金属の抽出率は、タングステンについては62.6%、モリブデンについては54.1%、バナジウムについては57.8%であった。
[実施例15]
実施例15では、アルカリ化合物として、硝酸リチウム(LiNO)と硝酸カリウム(KNO)とを質量比で0.2:0.8となるように用いた。この質量比は、モル比に換算すると約2:5に相当している。
実施例15は、1kgの廃材に、アルカリ化合物の総添加量が1kgとなるように濃度を調製したアルカリ化合物を加えてアルカリ溶融反応させ、溶融工程における加熱温度を150℃とし、その他の条件については実施例1と同様にして行った。
その結果、有価金属の抽出率は、タングステンについては6.5%、モリブデンについては0.8%、バナジウムについては0.1%であった。
以上の実施例1〜15における、アルカリ化合物の組成及び添加量、並びに加熱温度を、有価金属の抽出率(%)と共に次の表1に示す。
Figure 0006186246
表1に示すように、低温で溶融するアルカリ化合物を単独で用いた実施例13、複数種のアルカリ化合物を組み合わせて使用した実施例1〜12では、溶融工程S20における加熱温度を低温としたにもかかわらず、有価金属の抽出率が十分に確保されることが確認された。よって、実施例1〜13に示されるような条件によれば、溶融工程S20における加熱コストを低減することができることになる。また、結晶性酸化チタンの製造に使用する酸化チタンを、高温に晒すことなく、他の有価金属から高純度で分離することが可能である。
溶融工程S20におけるアルカリ化合物の添加量に関しては、アルカリ化合物の添加量の質量比が0.6である実施例5においても、有価金属の抽出率は90%以上となった。よって、アルカリ化合物の添加量が触媒成分として含まれる金属の総質量の0.6倍以上程度あれば、有価金属の抽出率を十分に確保できることが確認された。なお、アルカリ化合物の添加量をより増加させた場合には、有価金属の抽出率は更に増大した。
一方で、アルカリ炭酸塩を用いた実施例14や、アルカリ硝酸塩を用いた実施例15においては、有価金属の抽出率は低調であった。
次に、アルカリ溶融反応の反応生成物に含まれていた水不溶性成分を、酸処理工程S40に供した。酸処理工程S40において水不溶性成分と混合する酸については、その濃度条件を予め別途検討した。
図6は、酸処理工程における酸濃度とアルカリ残存量との関係を示す図である。
図6の横軸は、酸処理工程S40において水不溶性成分に加えた塩酸濃度(wt%)、縦軸は、酸処理工程S40の後、残渣中に残存していたアルカリ残存量(%)を表わしている。アルカリ残存量(%)は、各アルカリ元素毎の元素質量の分率を算出したものである。
図6に示す実施例4に係る残渣では、元素分析の結果確認されたカリウム及びナトリウムの総質量は、水不溶性成分の残渣全質量あたりそれぞれ20質量%、4質量%程度であったところ、ナトリウムについては、塩酸濃度が2.5%以上、カリウムについては、塩酸濃度が5%以上のときに、アルカリ残存量がそれぞれ0.4%程度以下にまで低減された。
したがって、以上の結果から、酸処理工程S40における酸濃度は、5%塩酸相当以上とすることが好ましいことが分かる。10%塩酸では、アルカリ残存量は略0%となり、アルカリ塩の残存は確認されなかった。
そこで、分離工程S30で回収された水不溶性成分からなる残渣を水洗し、乾燥させて粉末状とした後、10%塩酸と混合して15時間に亘って酸処理して、アルカリ塩を十分に溶解させた。そして、酸処理後、濾過を行うことによって、酸不溶性成分からなる残渣を回収し、水洗して乾燥させることで粉末状にした。
こうして回収された酸処理前の水不溶性成分の残渣粉末と、酸処理後の酸不溶性成分の残渣粉末とを、それぞれ粉末X線回折測定に供した。
図7は、分離工程で回収された水不溶性成分のX線回折スペクトルの一例を示す図である。
分離工程S30で回収された水不溶性成分の残渣は、図7に示す実施例4に係る残渣が示すように、2θ=10°〜15°付近、2θ=25°〜40°付近、及び2θ=55°〜70°付近を中心にハローパターンを呈した。また、KAlSiO(図中、▲で表わす。)、NaAlSi20・9HO(図中、◆で表わす。)等のケイ酸アルミン酸アルカリ塩やNaTi(OH)(図中、■で表わす。)等のチタン酸アルカリ塩や、その他の複合酸化物アルカリ塩に相当するピークを示すと共に、ルチル型の酸化チタン(図中、●で表わす。)に相当するピークを微弱ながら示した。
図8は、酸処理工程で回収された酸不溶性成分のX線回折スペクトルの一例を示す図である。
酸処理工程S40で回収された酸不溶性成分の残渣は、図8に示す実施例4に係る残渣が示すように、2θ=20°〜40°付近を中心にハローパターンを示すと共に、ルチル型の酸化チタン(図中、●で表わす。)に相当するピークを示した。その一方で、各種アルカリ塩に相当するピークは消失していた。実施例4に係る残渣では、カリウム及びナトリウムの元素含有率は、残渣全質量あたり24質量%程度であったものが、0.4質量%程度にまで減少し、不純物として残存していたケイ素、アルミニウム、マグネシウム、鉄、炭素等の元素含有率についても同様に減少していた。これに対して、チタンの元素含有率は、残渣全質量あたり82質量%程度となっており、チタンの純度は向上していた。
これらの解析の結果から、酸処理工程S40で回収された酸不溶性成分の残渣は、主に非晶質の酸化チタンからなるものであり、非晶質の酸化チタンに少量のルチル型の酸化チタンが混在した組成であるものと判断された。
次に、酸処理工程S40で回収された酸不溶性成分の残渣を焼成して結晶性酸化チタンを生成した。
焼成は、加熱時間を4時間として、加熱温度が300℃から650℃の範囲に含まれる複数の温度条件の下で行った。そして、回収された酸化チタン粉末を粉末X線回折測定に供した。
図9は、焼成工程で回収された酸化チタンのX線回折スペクトルの一例を示す図である。
加熱温度を500℃に設定して焼成した酸化チタンは、図9に示すように、アナターゼ型の酸化チタン(図中、○で表わす。)に相当する強いピークを示した。図8に示すような焼成前のX線回折スペクトルと比較すると、ルチル型の酸化チタン(図中、●で表わす。)に相当するピークは僅かに残存していたものの、非晶質の酸化チタンを示すハローパターンは減少していた。加熱温度500℃では、アナターゼ型の結晶構造を示すピークの積分強度(I)とルチル型の結晶構造を示すピークの積分強度(I)との積分強度比(I/I)は、48.1であった。また、加熱温度を400℃に設定して焼成した酸化チタンにおいても、500℃においてと同様に、アナターゼ型の結晶構造を示すピークが確認され、非晶質の酸化チタンを示すハローパターンが減少していた。加熱温度400℃では、積分強度比(I/I)は、24.0であった。
図9に示すようなアナターゼ型の結晶構造を示すピークは、加熱温度が400℃から600℃の範囲に含まれる条件で焼成した酸化チタンにおいて認められた。よって、焼成工程における加熱温度を400℃以上600℃以下とすることによって、アナターゼ型の結晶構造を主相とした結晶性酸化チタンを製造することができることが確認された。
その一方で、加熱温度を300℃に設定して焼成した酸化チタンでは、非晶質の酸化チタンを示すハローパターンが残存し、アナターゼ型の結晶構造を示すピークは確認されなかった。
他方、加熱温度を650℃以上に設定して焼成した酸化チタンでは、ルチル型の結晶構造を示すピークが中心となり、アナターゼ型の結晶構造を示すピークは少なく、非晶質の酸化チタンを示すハローパターンは確認されなかった。よって、焼成工程における加熱温度を650℃以上とすることによって、ルチル型の結晶構造を主相とした結晶性酸化チタンを製造することができることが確認された。
次に、脱硝触媒に含まれていた酸化チタン及び製造された結晶性酸化チタンのBET比表面積を測定した。
BET比表面積は、表面積分析機「NOVA−1200」(Quantachrome社製)を用いて、窒素ガスを吸着ガスとした定容法に基づいて計測した。
BET比表面積の測定の結果、使用前の脱硝触媒におけるBET比表面積は100m/gであり、使用済み脱硝触媒におけるBET比表面積は22m/gであった。また、酸処理工程で回収された酸化チタンにおけるBET比表面積は更に17.5m/gに低下していた。
これに対して、焼成工程において加熱温度を500℃に設定して焼成した酸化チタンにおけるBET比表面積は46m/gに増大していた。また、加熱温度を400℃に設定して焼成した酸化チタンにおけるBET比表面積は40m/gに増大していた。
よって、アルカリ化合物と混合されることによって非晶質となって、BET比表面積が大幅に低下した酸化チタンが、400℃以上、好ましくは500℃以上の加熱温度による焼成工程を経ることで、比表面積が回復した結晶性酸化チタンに再生されることが分かる。
S10 機械選別工程
S20 溶融工程
S30 分離工程
S40 酸処理工程
S50 焼成工程
S60 触媒製造工程
S70 分離回収工程
1 廃触媒(廃材)
2 触媒支持基材
3 酸化チタン
4 酸化タングステン
5 酸化モリブデン
6 酸化バナジウム
7 石英ゾル
8 無機繊維
9 煤塵

Claims (14)

  1. 酸化チタンを含んでなる廃材と、アルカリ水酸化物、アルカリ炭酸塩、アルカリ硝酸塩からなる群より選択される少なくとも一種のアルカリ化合物とを混合及び加熱する工程、
    前記加熱により生成した反応生成物に含まれていた不溶性成分を酸と混合する工程、
    前記酸との混合で得られた不溶性成分を焼成して結晶性酸化チタンを生成する工程、
    を含むことを特徴とする結晶性酸化チタンの製造方法。
  2. 酸化チタン、並びに、タングステン、モリブデン及びバナジウムからなる群より選択される少なくとも一種の金属の酸化物を含んでなる廃材と、アルカリ水酸化物、アルカリ炭酸塩及びアルカリ硝酸塩からなる群より選択される少なくとも一種のアルカリ化合物とを混合及び加熱する工程、
    前記加熱により生成した反応生成物に水を添加して、タングステン、モリブデン及びバナジウムからなる群より選択される少なくとも一種の金属のアルカリ塩を含んでなる可溶性成分を、前記反応生成物に含まれていた不溶性成分から分離する工程、
    前記可溶性成分が分離された不溶性成分を酸と混合する工程、
    前記酸との混合で得られた不溶性成分を焼成して結晶性酸化チタンを生成する工程、
    を含むことを特徴とする結晶性酸化チタンの製造方法。
  3. 前記焼成における加熱温度が、400℃以上600℃以下であり、
    生成される前記結晶性酸化チタンが、アナターゼ型である
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の結晶性酸化チタンの製造方法。
  4. 前記焼成における加熱温度が、650℃以上であり、
    生成される前記結晶性酸化チタンが、ルチル型である
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の結晶性酸化チタンの製造方法。
  5. 前記アルカリ化合物が、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物からなる群より選択される少なくとも一種である
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の結晶性酸化チタンの製造方法。
  6. 前記アルカリ化合物が、リチウム、ナトリウム及びカリウムからなる群より選択される少なくとも一種のアルカリ金属を含んでなる
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の結晶性酸化チタンの製造方法。
  7. 前記混合される酸が、塩酸、硫酸及び硝酸からなる群より選択される少なくとも一種である
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の結晶性酸化チタンの製造方法。
  8. 前記混合及び加熱する工程における加熱温度が、150℃以上350℃以下である
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の結晶性酸化チタンの製造方法。
  9. 前記廃材が、使用済みの脱硝触媒である
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の結晶性酸化チタンの製造方法。
  10. 前記混合及び加熱する工程に先立って、前記使用済みの脱硝触媒を触媒支持基材から分離する工程
    を含むことを特徴とする請求項9に記載の結晶性酸化チタンの製造方法。
  11. 酸化チタン、並びに、タングステン、モリブデン及びバナジウムからなる群より選択される少なくとも一種の金属の酸化物を含んでなる使用済みの脱硝触媒と、アルカリ水酸化物、アルカリ炭酸塩及びアルカリ硝酸塩からなる群より選択される少なくとも一種のアルカリ化合物とを混合及び加熱する工程、
    前記加熱により生成した反応生成物に水を添加して、タングステン、モリブデン及びバナジウムからなる群より選択される少なくとも一種の金属のアルカリ塩を含んでなる可溶性成分を、前記反応生成物に含まれていた不溶性成分から分離する工程、
    前記可溶性成分が分離された不溶性成分を酸と混合する工程、
    前記酸との混合で得られた不溶性成分を焼成して結晶性酸化チタンを生成する工程、
    生成した前記結晶性酸化チタンと前記金属からなる金属化合物とを混合し、焼成して脱硝触媒を製造する工程、
    を含むことを特徴とする脱硝触媒の再生方法。
  12. さらに、
    前記金属のアルカリ塩を含んでなる可溶性成分から前記金属を分離回収する工程
    を含み、
    生成した前記結晶性酸化チタンと分離回収された前記金属からなる金属化合物とを混合し、焼成して脱硝触媒を製造する
    ことを特徴とする請求項11に記載の脱硝触媒の再生方法。
  13. 前記焼成における加熱温度が、400℃以上600℃以下であり、
    生成される前記結晶性酸化チタンが、アナターゼ型である
    ことを特徴とする請求項11に記載の脱硝触媒の再生方法。
  14. 前記混合及び加熱する工程における加熱温度が、150℃以上350℃以下である
    ことを特徴とする請求項11に記載の脱硝触媒の再生方法。
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