JP6184817B2 - フラックス組成物、はんだ組成物、および、プリント配線基板の製造方法 - Google Patents
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このような問題を解決するために、ハロゲン系活性剤と、無機イオン交換体とを含むフラックスやはんだ組成物が提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2)。
すなわち、本発明のフラックス組成物は、ロジン系樹脂、溶剤、活性剤および無機イオン交換体を含有するフラックス組成物であって、前記活性剤が、ハロゲン系活性剤を含有し、前記無機イオン交換体が、ジルコニウム、マグネシウムおよびアルミニウムを含有する無機両イオン交換体であることを特徴とするものである。
本発明のフラックス組成物においては、前記ロジン系樹脂の配合量が、当該フラックス組成物100質量%に対して、1質量%以上40質量%以下であることが好ましい。
本発明のフラックス組成物においては、当該フラックス組成物が、アクリル系樹脂をさらに含有することが好ましい。
本発明のプリント配線基板の製造方法は、前記はんだ組成物を用いて電子部品をプリント配線基板に実装することを特徴とする方法である。
まず、本発明のフラックス組成物について説明する。本発明のフラックス組成物は、以下説明するロジン系樹脂、溶剤、活性剤および無機イオン交換体を含有するものである。また、このフラックス組成物は、必要に応じて、前記成分の他に、アクリル系樹脂およびチクソ剤や、その他の添加剤をさらに含有してもよい。
前記ハロゲン系活性剤の配合量としては、フラックス組成物100質量%に対して、0.5質量%以上5質量%以下であることが好ましい。配合量が前記下限未満では、はんだボールが生じやすくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、絶縁性が低下する傾向にある。
前記有機酸としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸などの他に、その他の有機酸が挙げられる。
モノカルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブチリック酸、バレリック酸、カプロン酸、エナント酸、カプリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸、グリコール酸などが挙げられる。
ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、ジグリコール酸などが挙げられる。
その他の有機酸としては、ダイマー酸、レブリン酸、乳酸、アクリル酸、安息香酸、サリチル酸、アニス酸、クエン酸、ピコリン酸などが挙げられる。
前記無機両イオン交換体の中性水溶液中での陽イオン交換容量は、0.8meq/g(80cmol/kg)以上であることが好ましく、1.0meq/g以上であることがより好ましい。
陰イオン交換容量および陽イオン交換容量は、塩化ナトリウム水溶液を用いて測定できる。すなわち、1gの検体と50mLの0.1mol/L濃度の塩化ナトリウム水溶液とを100mLのポリエチレン製の瓶に入れ、40℃で24時間振盪し、その後、上清の塩素イオン濃度およびナトリウムイオン濃度をイオンクロマトグラフィーで測定した。そして、検体を入れないで同様の操作を行って塩素イオン濃度およびナトリウムイオン濃度を測定したものをブランク値として陰イオン交換容量および陽イオン交換容量を算出できる。
次に、本発明のはんだ組成物について説明する。本発明のはんだ組成物は、前記本発明のフラックス組成物と、以下説明するはんだ粉末とを含有するものである。
無鉛のはんだ粉末の合金組成としては、具体的には、Sn/Ag、Sn/Ag/Cu、Sn/Cu、Sn/Ag/Bi、Sn/Bi、Sn/Ag/Cu/Bi、Sn/Sbや、Sn/Zn/Bi、Sn/Zn、Sn/Zn/Al、Sn/Ag/Bi/In、Sn/Ag/Cu/Bi/In/Sb、In/Agなどが挙げられる。
次に、本発明のプリント配線基板について説明する。本発明のプリント配線基板は、以上説明したはんだ組成物を用いて電子部品をプリント配線基板に実装したことを特徴とするものである。そのため、本発明のプリント配線基板は、無洗浄方式でのはんだ付けが可能であり、フラックス残さ膜を洗浄することなく、はんだ付けによりプリント配線基板に電子部品を搭載できる。
はんだ付け方法としては、リフロー炉による方法以外に、レーザー光源を用いる方法を採用してもよい。
ロジン系樹脂:商品名「KE−604」、荒川化学工業社製
アクリル系樹脂:下記調製例1で得られたアクリル系樹脂
活性剤A:スベリン酸
活性剤B:マロン酸
活性剤C:2−ブロモヘキサン酸
無機イオン交換体A:Zr、Mg、Al系無機両イオン交換体、一次粒子径500nm、商品名「IXEPLUS A1」、東亞合成社製
無機イオン交換体B:Zr、Mg、Al系無機両イオン交換体、一次粒子径200nm、商品名「IXEPLUS A2」、東亞合成社製
無機イオン交換体C:Zr、Bi系無機両イオン交換体、一次粒子径400nm、商品名「IXEPLUS B1」、東亞合成社製
無機イオン交換体D:Bi系無機陰イオン交換体、商品名「IXE−530」、東亞合成社製
酸化防止剤:商品名「イルガノックス245」、チバ・ジャパン社製
チクソ剤:商品名「スリパックスZHH」、日本化成社製
溶剤:ヘキシルジグリコール
メタクリル酸4.6重量%、下記構造式(1)で表される化合物35.4重量%、および下記構造式(2)で表される化合物60重量%を混合した溶液(合計300g)を作製した。
撹拌機、還流管と窒素導入管を備えた500mLの4つ口フラスコにジエチルヘキシルグリコールを200g仕込み、これを110℃に加熱した。その後、上記溶液(合計300g)に、アゾ系ラジカル開始剤(ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、商品名:V−601、和光純薬社製)を0.2重量%〜5重量%の範囲で加えて溶解させた。この溶液を1.5時間かけて滴下し、滴下後110℃で1時間撹拌後、反応を終了してアクリル系樹脂を得た。アクリル樹脂の重量平均分子量は15,000であり、酸価は0mgKOH/gであった。
ロジン系樹脂10質量%、アクリル系樹脂43質量%、および溶剤33.5質量%を容器に投入し、撹拌しながら160℃まで加熱して、樹脂溶液を作製した。この樹脂溶液の温度を保ちながら、活性剤A3.4質量%、活性剤B0.31質量%、活性剤C2質量%、酸化防止剤1.3質量%およびチクソ剤6質量%を容器に投入し、密封状態で冷却した後に、無機イオン交換体A0.5質量%を投入し、回転速度1200rpmにて40秒間撹拌し混合してフラックス組成物を得た。
その後、得られたフラックス組成物11質量%、およびはんだ粉末(合金組成:Sn−3.0Ag−0.5Cu、粒径分布:14〜27μm、はんだ融点:217〜220℃)89質量%を容器に投入し、混練機(回転速度:32rpm)にて1時間混合することではんだ組成物を得た。
表1に示す組成に従い各材料を配合した以外は実施例1と同様にして、フラックス組成物およびはんだ組成物を得た。
はんだ組成物の特性(絶縁性)を以下のような方法で評価した。得られた結果を表1に示す。
(1)絶縁性
JIS Z 3197 絶縁抵抗試験 ソルダーペーストに準拠した方法により、絶縁性を評価した。すなわち、串形電極基板(導体幅:0.318mm、導体間隔:0.318mm、大きさ:30mm×30mm)に、メタルマスク(串形電極パターンに合わせてスリット状に加工したもの、厚み:150μm)を用いてはんだ組成物を印刷して印刷基板を得た。この印刷基板を、リフロー炉(商品名「TNP40−577PH」、タムラ製作所社製)に投入し、はんだを溶融させて試験片を得た。なお、このときの炉内の酸素濃度は4000ppmであり、温度条件は図1に示す通りであった。
この試験片を、温度85℃、相対湿度95%に設定した高温高湿試験機(商品名「小型環境試験機SH−641」、エスペック社製)に投入し、所定時間経過する毎に、絶縁抵抗値を測定した。なお、絶縁抵抗値は、測定電圧10V、測定秒数60秒、測定温度10〜30℃、測定湿度40〜80%の条件下にて測定する。測定は、投入前(初期)、並びに、100時間、200時間、300時間、400時間および500時間の経過後に行い、初期の絶縁抵抗値と、所定時間経過後の絶縁抵抗値のうちの最小値とを、下記の基準に従って評価した。
○:絶縁抵抗値が3×109Ω以上である。
△:絶縁抵抗値が1×109Ω以上3×109Ω未満である。
×:絶縁抵抗値が1×109Ω未満である。
これに対し、ジルコニウム、マグネシウムおよびアルミニウムを含有する無機両イオン交換体を含有していないはんだ組成物を用いた場合(比較例1〜3)には、無洗浄方式ではんだ付けする場合の絶縁性が劣ることが分かった。
Claims (6)
- ロジン系樹脂、溶剤、活性剤および無機イオン交換体を含有するフラックス組成物であって、
前記活性剤が、ハロゲン系活性剤を含有し、
前記無機イオン交換体が、ジルコニウム、マグネシウムおよびアルミニウムを含有する無機両イオン交換体である
ことを特徴とするフラックス組成物。 - 請求項1に記載のフラックス組成物において、
前記無機両イオン交換体の配合量が、当該フラックス組成物100質量%に対して、0.01質量%以上5質量%以下である
ことを特徴とするフラックス組成物。 - 請求項1または請求項2に記載のフラックス組成物において、
前記ロジン系樹脂の配合量が、当該フラックス組成物100質量%に対して、1質量%以上40質量%以下である
ことを特徴とするフラックス組成物。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のフラックス組成物において、
当該フラックス組成物が、アクリル系樹脂をさらに含有する
ことを特徴とするフラックス組成物。 - 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のフラックス組成物と、はんだ粉末とを含有することを特徴とするはんだ組成物。
- 請求項5に記載のはんだ組成物を用いて電子部品をプリント配線基板に実装することを特徴とするプリント配線基板の製造方法。
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