JP2016150344A - ハンダペースト用水溶性フラックス及びハンダペースト - Google Patents
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Abstract
【課題】印刷性及び溶融性に優れるとともに、リフロー後、アルカリイオン水のみで洗浄可能なペーストであって、しかも粘度の経時安定性に優れたペーストを調製できるハンダペースト用水溶性フラックス及び該フラックスを用いて調製されたハンダペーストを提供する。【解決手段】カルボキシル基を有するアクリル系樹脂とチキソ剤と溶剤と活性剤とを含み、上記アクリル系樹脂は、SP値が9.4〜12の(メタ)アクリル酸エステル単量体と、(メタ)アクリル酸単量体と、(メタ)アクリル酸エステル単量体及び(メタ)アクリル酸単量体と共重合可能な他のビニル基を有する単量体を含有し、上記アクリル系樹脂の酸価値が50〜250mgKOH/g、質量平均分子量が1000〜20000である。【選択図】なし
Description
本発明は、ハンダペーストの調製に用いられる水溶性フラックス及び該フラックスを用いて調製されたハンダペーストに関する。更に詳しくは、印刷性及び溶融性に優れるとともに、リフロー後、アルカリイオン水のみで洗浄可能なペーストであって、しかも粘度の経時安定性に優れたペーストを調製できるハンダペースト用水溶性フラックス及び該フラックスを用いて調製されたハンダペーストに関するものである。
ハンダペーストは、携帯電話やパソコン等の情報電子機器や車載等の製造に際し、電子部品の実装、その他部品の接合等に広く使用されている。ハンダペーストに求められる特性は、製造する機器の用途、使用環境等に応じて様々である。例えば、携帯電話等の情報電子機器では携帯性を重視させた薄型化、軽量化が要求されることから、実装部品の小型化とともに、実装に用いられるハンダペーストについても、接合部品のファインピッチ(狭ピッチ)化や高密度実装に適した特性等が求められる。一方、車載用途等では、実装部品が比較的高温下に晒されることから、実装後のハンダが高温雰囲気で再溶融し、接合強度が低下するのを防止する必要がある。そのため、使用されるハンダペーストには、リフロー(溶融)後のハンダに対して高い耐熱性等を付与する特性が求められる。
このような電子部品の実装等に用いられるハンダペーストは、ハンダ粉末とフラックスを混合することによってペースト状に調製される。フラックスには、一般に樹脂成分や溶剤成分の他、活性剤やその他の成分が含まれ、樹脂成分には、電気絶縁性や耐湿性、溶融時のハンダ付性能等に優れたロジンが一般的に広く使用されている。ハンダペーストを用いた実装では、ハンダ表面の酸化膜を除去する目的でフラックス中に含まれる活性成分が腐食性を示すため、通常、リフロー後のハンダ表面に付着するフラックス残渣を除去するための洗浄を行っている。しかし、ロジンを主成分として含むフラックスを用いて調製されたハンダペーストの場合、この洗浄を水だけで行うことはできず、有機溶剤による洗浄が必要となる。有機溶剤を用いて洗浄を行うと、有機溶剤が大気中に揮発することで火災を引き起こしたり、大気や排水を汚染する原因となることから、実装中の安全衛生面や環境面等で問題があった。
このような問題を解消するため、回路基板に電子部品をハンダ付するのに用いられるフラックスであって、樹脂成分と溶剤成分を少なくとも含有し、樹脂成分として、該フラックスの残さ膜を水により洗浄できる水洗浄性樹脂を含有する回路基板ハンダ付用フラックスが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。このフラックスでは、樹脂成分としてロジンの代わりに非イオン性の樹脂が用いられており、非イオン性の樹脂には、ポリグリセリンエステル化合物、及びポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとをそれぞれ交互に少なくとも1つ繰り返すブロックポリマーであってその分子の少なくとも一方の末端にアセチル基を有するアセチル化EO・POブロックポリマーの少なくとも1種が使用される。これにより、リフロー後の残さ膜を水で洗浄でき、その洗浄をした後のその回路基板の回路パターンの導電体間の絶縁性を損なわず、電子部品をハンダ付した回路基板の長期信頼性を高めることができるとされている。
しかし、上記従来の特許文献1に示されるフラックスは、主として、電子部品の回路基板等への実装を、いわゆるSMT(Surface mount technology、表面実装技術)により行うハンダペースト向けに利用されている。
SMT用途のハンダペーストは、比較的広い面積に印刷されることから、このフラックスを用いたハンダペーストでバンプ形成や狭ピッチ印刷等を行うと、ペーストのレオロジー特性が最適化されていないため、隣接したバンプや印刷パターンが印刷後にダレて、お互いが接触してしまう、いわゆるブリッジ等の不具合が生じることがある。このため、上記特許文献1に示されるフラックスは、SMT用途での使用や環境面等では非常に優れるものの、例えばFC(Flip-Chip)ボンディング技術のようにバンプ形成や狭ピッチ印刷等が必要な実装技術で用いられるハンダペースト向けには十分に適しているとはいえない。
また、上記特許文献1に示されるフラックスでは、ハンダペーストの保存安定性(ペースト粘度の経時安定性等)について、ほとんど考慮されていない。そのため、このフラックスを用いたハンダペーストでは、保管中にペースト粘度の経時的変化が起こりやすく、増粘することで良好な印刷性が安定して得られない場合がある。このため、作業中の取扱い性が良いとはいえず、また品質保証の面や経済的な面等からも十分に優れているとはいえない。
本発明の目的は、印刷性及び溶融性に優れるとともに、リフロー後、アルカリイオン水のみで洗浄可能なペーストであって、しかも粘度の経時安定性に優れたペーストを調製できるハンダペースト用水溶性フラックス及び該フラックスを用いて調製されたハンダペーストを提供することにある。
本発明の第1の観点は、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂とチキソ剤と溶剤と活性剤とを含み、上記アクリル系樹脂は、SP値が9.4〜12の(メタ)アクリル酸エステル単量体と、(メタ)アクリル酸単量体と、これら(メタ)アクリル酸エステル単量体及び(メタ)アクリル酸単量体と共重合可能な他のビニル基を有する単量体を含有し、上記アクリル系樹脂の酸価値が50〜250mgKOH/g、質量平均分子量が1000〜20000であるハンダペースト用水溶性フラックスである。
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更にチキソ剤がベンジリデンソルビトール、ベンジリデンソルビトール誘導体、ヒドロキシ脂肪酸アミド、ヒドロキシ脂肪酸エステル、脂肪酸アミド又は硬化ひまし油であることを特徴とする。
本発明の第3の観点は、第1又は第2の観点に基づく発明であって、更に溶剤のSP値が7.5〜12.5であることを特徴とする。
本発明の第4の観点は、第1ないし第3の観点のハンダペースト用水溶性フラックスとハンダ粉末とを撹拌、混合して得られたハンダペーストである。
本発明の第1の観点のハンダペースト用水溶性フラックスは、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂とチキソ剤と溶剤と活性剤とを含み、このアクリル系樹脂は、SP値が9.4〜12の(メタ)アクリル酸エステル単量体と、(メタ)アクリル酸単量体と、これら(メタ)アクリル酸エステル単量体及び(メタ)アクリル酸単量体と共重合可能な他のビニル基を有する単量体を含有する。そして、上記アクリル系樹脂の酸価値が50〜250mgKOH/g、質量平均分子量が1000〜20000である。これにより、優れた印刷性及び溶融性は維持しつつも、リフロー後、有機溶剤等を使用せずに、アルカリイオン水のみで洗浄可能な、実装中の安全衛生面及び環境面等に優れたハンダペーストを調製できる。また、粘度の経時的変化が少なく、良好な印刷性が安定して得られるペーストを調製できる。また、粘度の経時安定性に優れることから、ペーストの製造過程における取扱い性の面にも優れ、また比較的長期保存が可能になるため品質保証の面や経済的な面からも優れる。
本発明の第2の観点のハンダペースト用水溶性フラックスは、チキソ剤がベンジリデンソルビトール、ベンジリデンソルビトール誘導体、ヒドロキシ脂肪酸アミド、ヒドロキシ脂肪酸エステル、脂肪酸アミド又は硬化ひまし油である。チキソ剤をこれらに限定することにより、印刷パターンを形成するときの印刷性や、形成後の印刷パターンにおける形状保持性がより高められる。
本発明の第3の観点のハンダペーストは、本発明のハンダペースト用水溶性フラックスを使用しているため、優れた印刷性及び溶融性を維持しつつも、リフロー後の洗浄をアルカリイオン水のみで行うことができ、実装中の安全衛生面や環境面等で優れる。また、粘度の経時的変化が少なく、良好な印刷性が安定して得られる。更に、粘度の経時安定性に優れることから、実装中の取扱い性の面にも優れ、また比較的長期保存が可能になるため品質保証の面や経済的な面からも優れる。
次に本発明を実施するための形態を説明する。
本発明のハンダペースト用水溶性フラックスは、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂とチキソ剤と溶剤と活性剤とを含み、樹脂成分としての上記アクリル系樹脂は、SP値が9.4〜12の(メタ)アクリル酸エステル単量体と、(メタ)アクリル酸単量体と、更に、これら(メタ)アクリル酸エステル単量体及び(メタ)アクリル酸単量体と共重合可能な他のビニル基を有する単量体を含有する。
上記カルボキシル基を有するアクリル系樹脂に含まれる、SP値が上記範囲の(メタ)アクリル酸エステル単量体とは、具体的には、炭素数が1〜7のアルキル基及びその誘導体を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体である。ここで、SP値が上記範囲の(メタ)アクリル酸エステル単量体に限定したのは、SP値が下限値未満では、アルキル基の炭素数が大きくなりすぎることにより、水等の高いSP値を有する溶剤への溶解性が悪くなる要因となり、アルカリイオン水でのフラックス洗浄性を低下させるからである。なお、本明細書において、アルカリイオン水とは、無機のアルカリイオンを有する水又は温水を言う。また、SP値が上限値を超えると、上記樹脂を用いたフラックス自体の吸湿性が増加するため、これを用いたハンダペーストにおいて、ハンダ粉末と活性成分とが反応しやすくなることから、保存安定性が低下する。SP値とは、溶剤の溶解性を表す指標としてHildebrandにより提唱され、正則溶液論で定義された溶解度パラメーター(Solubility Parameter;SP)である。なお、本明細書中に示す(メタ)アクリル酸エステル単量体のSP値は、Fedorsの式に基づいて算出するSP値(単位:(cal/cm3)1/2)である。このうち、(メタ)アクリル酸エステル単量体のSP値は、9.4〜11であることが望ましい。
このような、(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、アクリル酸エステル単量体及びメタクリル酸エステル単量体のいずれも用いることができる。また、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂に含まれる(メタ)アクリル酸単量体には、アクリル酸及びメタクリル酸のいずれも用いることができる。また、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂に含まれる他のビニル基を有する単量体は、上記(メタ)アクリル酸エステル単量体及び(メタ)アクリル酸単量体と共重合可能であり、かつこれらと異なる他のビニル基を有する単量体である。具体的に、スチレン、エチレン、ブテン、ブタジエン又はノルボルネン等が挙げられる。
これらを含むカルボキシル基を有するアクリル系樹脂は、酸価値が50〜250mgKOH/g、質量平均分子量が1000〜20000である。カルボキシル基を有するアクリル系樹脂の酸価値を上記範囲に限定したのは、酸価値が下限値未満では、アルカリイオン水を用いたフラックス洗浄性が低下し、上限値を超えると上記樹脂を用いたフラックス自体の吸湿性が高くなるため、ハンダペーストとしての保存安定性が低下するからである。このうち、酸価値は70〜200mgKOH/gの範囲であることが好ましい。カルボキシル基を有するアクリル系樹脂の酸価値は、樹脂中の(メタ)アクリル酸成分の比率によって調整することができる。また、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂の質量平均分子量を上記範囲に限定したのは、質量平均分子量が下限値未満では、フラックスの粘度が低くなりすぎる為にハンダペーストの印刷性、形状保持性が低下するからである。このうち、質量平均分子量は2000〜10000の範囲であることが好ましい。
カルボキシル基を有するアクリル系樹脂は、上述の各成分を用い、溶液重合法、塊状重合法、乳化樹合法等の既知の重合法により得ることができる。
チキソ剤には、ベンジリデンソルビトール、ベンジリデンソルビトール誘導体、ヒドロキシ脂肪酸アミド、ヒドロキシ脂肪酸エステル、脂肪酸アミド又は硬化ひまし油等が挙げられる。ベンジリデンソルビトール又はその誘導体としては、1,3:2,4−ビス−O−(ベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(4−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトールが挙げられる。また、ヒドロキシ脂肪酸アミドとしては、N−ラウロイル−Lグルタミン酸−α.γ−ジ−n−ブチルアミド、N,N’−エチレン−ビス−12−ヒドロキシステアリルアミド等が挙げられ、ヒドロキシ脂肪酸エステルとしては、ステアリル−12−ヒドロキシステアレート等が挙げられ、脂肪酸アミドとしては、N,N’−エチレン−ビス−ステアリルアミド等が挙げられる。このうち、ベンジリデンソルビトール、ベンジリデンソルビトール誘導体又はヒドロキシ脂肪酸アミドが特に好ましい。これは、例えばFC(Flip-Chip)ボンディング技術のようにバンプ形成や狭ピッチ印刷等が必要な実装方法で使用されるハンダペーストにおいて、上述の樹脂成分を使用したときに、これらのチキソ剤を使用すると、良好な印刷性や印刷後の形状保持性等が得られやすいからである。
溶剤には、ペースト粘度の経時的安定性の面から、SP値が7.5〜12.5の範囲にあるものを使用するのが好ましい。使用する溶剤のSP値が上記範囲であることが好ましい理由は、樹脂成分として上述のカルボキシル基を有するアクリル系樹脂を使用した場合に、所定のSP値を満たす溶剤を使用すると、ペースト粘度の経時安定性が大幅に改善されるからである。なお、本明細書に示す溶剤のSP値は、Fedorsの式に基づいて算出するSP値(単位:(cal/cm3)1/2)である。使用する溶剤のSP値が下限値未満では、樹脂成分が十分に溶解されず、フラックスの粘度やペースト粘度の経時安定性が悪くなり、経時的な増粘が著しくなる場合がある。一方、上限値を超えるとフラックス中の一成分として含まれる活性剤の反応性が高くなり、ペースト中に含まれるハンダ粉末と反応を起こすことによって、ペーストの経時的な増粘が著しくなる、若しくはペーストの溶融性が低下する場合がある。このうち、使用する溶剤のSP値は8〜12.5の範囲であることが特に好ましい。このような、所望のSP値を有する溶剤としては、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール又はα−テルピネオール等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を併用してもよい。
また、フラックスには、上述のカルボキシル基を有するアクリル系樹脂、チキソ剤、溶剤、活性剤以外に、酸化防止剤等を含ませることができる。活性剤には、アミン、有機酸、ハロゲン化水素酸アミン塩、有機酸アンモニウム塩、有機酸アミン塩、ハロゲン化アンモニウム、有機ハロゲン化合物等を使用することができる。
アミンとしては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、3,4−ジヒドロキシベンジルアミン、メチルジエタノールアミン、ジフェニルグアニジン、アミノプロパノール、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンラウレルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、tert−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ステアリルアミン、メトキシプロピルアミン、ジメチルヘキシルアミン、アリルアミン、ジアリルアミン、2−ブロモエチルアミン、1,3−ジ−o−トリグアニジン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、エチルヘキシルアミン、エトキシプロピルアミン、エチルヘキシルオキシプロピルアミン、ピリジン、4−ブロモピリジン、ピペリジン、2,6−ジメチルピペリジン、ピペコリン、アニリン、ジメチルアミン、エチルアニリン、2,4,6−トリメチルアニリン、モルホリン、メチルモルホリン、エチルモルホリン、エチルナフチルアミン、3−アミノ−1−プロペン、シクロヘキシルアミン、ジシロヘキシルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、シクロヘキシルジエチレンアミン、シクロヘキシルメチルエチルアミン、シクロヘキシルジ−n−プロピルアミン、シクロヘキシルジイソプロピルアミン、シクロヘキシルジ−n−ブチルアミン、シクロヘキシルジイソブチルアミン、シクロヘキシルジペンチルアミン、シクロヘキシルジヘキシルアミン又はジシクロヘキシルメチルアミン等が挙げられる。
また、有機酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ベヘン酸、ドコサヘキサエン酸、リグノセリン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フタル酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、サリチル酸、没食子酸、安息香酸、フタル酸、ケイ(桂)皮酸、メリト酸、シュウ酸、乳酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、アコニット酸、グルタル酸、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。
また、ハロゲン化水素酸アミン塩としては、上記アミンの塩化水素酸塩又は臭化水素酸塩が挙げられ、有機酸アンモニウム塩としては、アンモニアと上記有機酸との塩が挙げられ、有機酸アミン塩としては、上記アミンと上記有機酸との塩が挙げられる。
また、有機ハロゲン化合物としては、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルコール、ハロゲン化エステル、ハロゲン化カルボン酸、ハロゲン化ケトン、ハロゲン化アミド、ハロゲン化エーテル等が挙げられる。ハロゲン化アルキルの具体例としては、1−ブロモ−3−メチル−1−ブテン、1,4−ジブロモブテン、1−ブロモ−1−プロペン、2,3−ジブロモプロペン、1,1−ジブロモテトラクロロエタン、1,2−ジブロモ−1−フェニルエタン、1,2−ジブロモスチレン、1,2,5,6,9,10−ヘキサブロモシクロドデカン、2,2−ビス[4−(2,3−ジブロモプロピル)−3,5−ジブロモフェルニ]プロパン、α,β−ジブロモエチルベンゼン等が挙げられる。ハロゲン化アルコールの具体例としては、1−ブロモ−2−プロパノール、3−ブロモ−1−プロパノール、3−ブロモ−1,2−プロパンジオール、1,3−ジブロモ−2−プロパノール、1,4−ジブロモ−2,3−ブタンジオール、2,3−ジブロモ−1−プロパノール、1−ブロモ−2−ブタノール、1,4−ジブロモ−2−ブタノール、2,3−ジブロモ−2−プロパノール、1,4−ジブロモ−2−ブタンジオール、2,3−ジブロモ−2−ブテン−1,4−ジオール、9,10,12,13,15,16−へキサブロモステアリルアルコール、9,10,12,13−テトラブロモステアリルアルコール等が挙げられる。ハロゲン化エステルの具体例としては、ブロモ酢酸エチル、α−ブロモカプリル酸エチル、α−ブロモプロピオン酸エチル、β−ブロモプロピオン酸エチル、α−ブロモ−酢酸エチル、9,10,12,13,15,16−へキサブロモステアリン酸メチルエステル、同エチルエステル、9,10,12,13−テトラブロモステアリン酸、同メチルエステル、同エチルエステル等が挙げられる。またハロゲン化カルボン酸の具体例としては、2,3−ジブロモコハク酸、2−ブロモコハク酸、2,2−ジブロモアジピン酸、9,10,12,13,15,16−ヘキサブロモステアリン酸、ビス(2,3−ジブロモプロピル)スクシネート、ビス(2,3−ジブロモプロピル)o−フタレート、ビス(2,3−ジブロモプロピル)p−フタレート、ビス(2,3−ジブロモプロピル)p−フタルアミド、トリス(2,3−ジブロモプロピル)トリメリテート、4−ブロモメチルベンジルステアレート、2,4−ビスブロモメチルベンジルステアレート、テトラ(2,3−ジブロモプロピル)ピロメリテート等が挙げられる。ハロゲン化ケトンの具体例としては、2,4−ジブロモアセトフェノン等が挙げられる。ハロゲン化アミドの具体例としては、ビス(2,3−ジブロモプロピル)o−フタルアミド、トリス(2,3−ジブロモプロピル)トリメリトアミド、テトラ(2,3−ジブロモプロピル)ピロメリトアミド、ビス(2,3−ジブロモプロピル)タータミド、N,N‘−ビス(2,3−ジブロモプロピル)スクシアミド、N,N,N’,N’−テトラ(2,3−ジブロモプロピル)スクシアミド等が挙げられる。更にハロゲン化エーテルの具体例としては、トリメチロールプロパンビス(2,3−ジブロモプロピル)エーテル、4−パルミトイルオキシベンジルブロマイド、4−ミリストイルオキシベンジルブロマイド、4−ラウロイルオキシベンジルブロマイド、4−ウンデカノイルオキシベンジルブロマイド等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤又はアミン系酸化防止剤等が挙げられる。
フラックス全体量100質量%中に占めるカルボキシル基を有するアクリル系樹脂の割合は20〜80質量%とするのが好ましく、30〜60質量%とするのが特に好ましい。また、溶剤の割合は10〜70質量%、チキソ剤の割合は1〜10質量%、活性剤の割合は1〜10質量%、酸化防止剤の割合は0.5〜5質量%とするのが好ましい。カルボキシル基を有するアクリル系樹脂の割合が下限値未満では、ペーストの流動性、基板へのタッキング性等が低下するため、印刷後のバンプに形状不良が生じる場合がある。一方、上限値を越えると、フラックスの粘度が高くなり過ぎ、これに応じてペースト粘度も高くなることで、印刷後のバンプに形状不良が生じたり、ペーストがマスク開口部から吐出されずにバンプが形成されない、いわゆるミッシング等の不具合が生じる場合がある。また、溶剤の割合が下限値未満では、フラックスの粘度が高くなり、これに応じてペースト粘度が高くなりすぎることで、上述のバンプの形状不良やミッシング等の不具合が生じる場合がある。一方、上限値を越えると、フラックスの粘度が低くなり、これに応じてペーストの粘度が低くなり過ぎることで、ペースト中のハンダ粉末が沈降分離する場合がある。
また、チキソ剤の割合が下限値未満では、ハンダペーストとしての形状保持性が低下し、隣接したバンプ同士が繋がってしまう、いわゆるブリッジ等の不具合が生じる場合がある。一方、上限値を越えると、フラックスの粘度が高くなり、これに応じてペースト粘度が高くなりすぎることで、上述のバンプの形状不良やミッシング等の不具合が生じる場合がある。また、活性剤の割合が下限値未満では、ハンダ粉末が溶融せず、十分な接合強度が得られない等の不具合が生じる場合があり、一方、上限値を越えると、保管中に活性剤がハンダ粉末と反応しやすくなるため、ハンダペーストの保存安定性が低下する場合がある。また、酸化防止剤の割合が下限値未満では、ハンダ粉末とフラックス成分が反応しやすくなるため、ハンダペーストの保存安定性が低下する等の不具合が生じる場合がある。一方、上限値を越えると、ハンダ粉末の溶融性が低下する等の不具合が生じる場合がある。
このようにして得られたフラックスを用いてハンダペーストを調製するには、フラックスとハンダ粉末を所望の割合で混合する。使用するハンダ粉末については、特に限定されず、一般的な錫を主成分とするハンダ粉末等を使用することができる。例えば、Sn−Pb系ハンダ(共晶組成 Sn:Pb=63:37質量%等)、Sn−Pb−Ag系ハンダ、Sn−Pb−Bi系ハンダ、Sn−Pb−Sb系ハンダ、Sn−Ag系ハンダ、Sn−Cu系ハンダ、Sn−Ag−Cu系ハンダ、Au−Sn系の高温ハンダ(共晶組成Sn:Au=20:80質量%等)、Au−Si系の高温ハンダ、Au−Ge系の高温ハンダ、Sn−Pb系の高温ハンダ(組成 Sn:Pb=5:95質量%等)、その他、Zn−Sn系ハンダ、In−Sn系ハンダ、Bi−Sn系ハンダ、Sb−Sn系ハンダ、Al−Zn系ハンダ等が挙げられる。また、ハンダ粉末の平均粒径については、一般的なハンダペーストに用いられる範囲内のものであれば特に限定されないが、例えば0.1μm〜1mmの範囲のものを好適に使用できる。なお、狭ピッチ印刷等を考慮すると、ハンダ粉末の平均粒径は0.1μm〜50μmの範囲内であることが好ましく、更に微細なバンプ形成等を考慮すると、1μm〜20μmの範囲内であることがより好ましい。
ハンダペーストを調製する際のフラックスの混合量は、調製後のペースト100質量%中に占める該フラックスの割合が3〜60質量%となる量に調整するのが好ましい。下限値未満では、フラックスの量が少ないため、ペースト化が困難になる、或いはハンダ粉末が溶融しない等の不具合が生じる場合がある。一方、上限値を越えると、ペースト中に含まれるハンダ粉末の量が少なくなり、溶融後に必要なハンダ量が得られない場合がある。
このように調製されたハンダペーストでは、本発明のハンダペースト用水溶性フラックスを使用しているため、バンプ形成や狭ピッチ印刷に適した良好な印刷性或いは溶融性を維持しつつも、リフロー後の洗浄をアルカリイオン水だけで行うことができ、実装中の安全衛生面や環境面等で優れる。そのため、このハンダペーストは、特に、FCボンディング技術等の実装技術において好適に用いることができる。また、粘度の経時的変化が少なく、良好な印刷性が安定して得られる。更に、粘度の経時安定性に優れることから、実装中の取扱い性の面にも優れ、また比較的長期保存が可能になるため品質保証の面や経済的な面からも優れる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
(メタ)アクリル酸エステル単量体、(メタ)アクリル酸単量体及び他のビニル基を有する単量体を合成して得られたカルボキシル基を有するアクリル系樹脂と、チキソ剤としての1,3:2,4−ビス−o−(ベンジリデン)ソルビトールと、溶剤と、活性剤としてのシクロヘキシルアミン臭化水素酸塩及びステアリルアミンステアリン酸塩とをそれぞれ用意した。これらを、表2に示す割合で配合し、混合、撹拌することによりフラックスを得た。なお、以下の表1に、実施例1で使用した、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂、溶剤、活性剤の詳細を示す。
(メタ)アクリル酸エステル単量体、(メタ)アクリル酸単量体及び他のビニル基を有する単量体を合成して得られたカルボキシル基を有するアクリル系樹脂と、チキソ剤としての1,3:2,4−ビス−o−(ベンジリデン)ソルビトールと、溶剤と、活性剤としてのシクロヘキシルアミン臭化水素酸塩及びステアリルアミンステアリン酸塩とをそれぞれ用意した。これらを、表2に示す割合で配合し、混合、撹拌することによりフラックスを得た。なお、以下の表1に、実施例1で使用した、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂、溶剤、活性剤の詳細を示す。
<実施例2〜10、比較例1〜6>
(メタ)アクリル酸エステル単量体、(メタ)アクリル酸単量体及び他のビニル基を有する単量体を合成して得られたカルボキシル基を有するアクリル系樹脂と、チキソ剤と、溶剤と、活性剤とを、表2に示す割合で配合したこと以外は、実施例1と同様にしてフラックスを得た。なお、以下の表1に、実施例2〜10、比較例1〜6でそれぞれ使用した、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂、溶剤、活性剤の詳細を示す。
(メタ)アクリル酸エステル単量体、(メタ)アクリル酸単量体及び他のビニル基を有する単量体を合成して得られたカルボキシル基を有するアクリル系樹脂と、チキソ剤と、溶剤と、活性剤とを、表2に示す割合で配合したこと以外は、実施例1と同様にしてフラックスを得た。なお、以下の表1に、実施例2〜10、比較例1〜6でそれぞれ使用した、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂、溶剤、活性剤の詳細を示す。
<比較試験及び評価>
実施例1〜10及び比較例1〜6で得られたフラックスを用いて、以下の(i)〜(v)の評価を行った。これらの結果を以下の表3に示す。
実施例1〜10及び比較例1〜6で得られたフラックスを用いて、以下の(i)〜(v)の評価を行った。これらの結果を以下の表3に示す。
(i) ハンダ溶融性(銅箔):先ず、平均粒径が8μmのSn−Ag−Cu系ハンダ粉末(組成:Sn96.5質量%、Ag3.0質量%、Cu0.5質量%)を用意し、このハンダ粉末89.0質量部と、実施例1等で得られたフラックス11.0質量部とを室温にて撹拌、混合することによりハンダペーストを調製した。なお、ハンダ粉末の平均粒径は、レーザ回折散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所社製、型式名:Partica LA-950)を用いて測定した体積基準の平均粒径D50ある。
また、耐水研磨紙(♯400)にて表面を研磨した、純度99.9%以上(3N)のリン脱酸銅箔(寸法:縦40mm×横20mm×厚さ0.3mm)を用意した。次いで、開口部が2箇所設けられたSUS製メタルマスク(開口径φ6.5mm、厚さ0.2mm)を用いて、上記調製したハンダペーストを上記銅箔上に印刷した。そして、ペーストが印刷された銅箔を、リフロー炉(マルコム社製、型式名:SRS−1C)を用いて、窒素雰囲気中、室温から150℃まで1.5℃/sの昇温速度で昇温し、150℃で2分間予備乾燥した後、150℃から240℃の温度まで1.5℃/sの昇温速度で昇温し、240℃で20秒間加熱することにより、銅箔上のハンダを溶融させた。リフロー後の外観を目視にて観察し、ハンダ粉末の溶け残りが確認されなかった場合を「良好」、溶け残りが確認された場合を「不良」と評価した。
(ii) フラックス洗浄性(銅箔):100mlのガラス製ビーカーに入れた50mlのpH9に調製された炭酸ソーダ水溶液を、ホットプレートを用いて60℃になるまで加熱した。この60℃の炭酸ソーダ水溶液が入ったビーカーに、上述の溶融性試験を行った後の銅箔を投入し、更に超音波洗浄器内にビーカーごと投入して5分間超音波をかけた。その後、銅箔をビーカーから取り出し、更に常温のイオン交換水で再度洗浄、エアブローにて水を除去した後に、乾燥器を用いて、50℃の温度で5分間乾燥させた。乾燥後の銅箔について、ハンダ溶融部分を目視及び走査型電子顕微鏡(SEM;日本電子社製 型式名:JSM-6510LV)の反射電子像にて観察し、有機成分の残渣の有無を確認した。このとき、有機成分の残渣が確認されなかった場合を「良好」、有機成分の残渣が確認された場合を「不良」と評価した。
(iii) バンプ印刷性(基板):複数の開口部が設けられたNiメッキ製のメタルマスク版(外形寸法:縦300mm×横300mm×厚さ20μm、開口径φ:120μm、開口部ピッチ:150μm)を備える小型半自動スクリーン印刷機を用い、上述の溶融性試験で調製したハンダペーストを基板(寸法:縦60mm×横60mm×厚さ0.8mm)上に印刷することにより、基板上にハンダバンプを形成した。なお、上記基板は、ガラス-エポキシ基板の一方の面に設けられた厚さが約50μmの銅箔と、この銅箔上に設けられ、銅箔まで貫通する複数の開口部が形成されたレジスト膜(膜厚15μm、開口径φ70μm、開口部ピッチ150μm)を備える。上記基板上に形成されたハンダバンプの形状等から印刷性を評価した。具体的には、隣接するバンプ同士が繋がるブリッジや、ペーストがマスク開口部から吐出されずにバンプが形成されないミッシングといった印刷不良の有無、或いはその程度及び頻度を、全バンプ中のブリッジ又はミッシングの発生割合(%)より、0%以上、2.5%未満を評価4とし、2.5%以上、5%未満を評価3とし、5%以上、15%未満を評価2とし、15%以上、50%未満を評価1とする4段階で評価した。なお、表3に示す数値は、数値が高い程、印刷性の評価が高かったことを示しており、3以上を合格とした。
(iv) バンプ溶融性(基板):上述の印刷性試験でハンダバンプを形成した基板について、上記(i)のハンダ溶融性(銅箔)試験で使用したリフロー炉を用い、同条件にて基板上のハンダバンプを溶融させた。そして、リフロー後のハンダバンプの外観を目視にて観察し、バンプ周辺に未凝集のハンダが確認されなかった場合を「良好」、未凝集のハンダが確認された場合を「不良」と評価した。
(v) フラックス洗浄性(基板):上述のバンプ溶融性試験を行った後の基板について、上記(ii)のフラックス洗浄性(銅箔)試験と同様の方法及び条件にて洗浄及び乾燥を行った。そして、リフロー及び洗浄後のバンプ部分を、上記SEMの反射電子像にて観察し、有機成分の残渣の有無及びその程度を確認した。このときの有機成分の残渣の有無又はその程度から、残渣がほぼ皆無の場合を「優良」、バンプ表面積100%に対して5%未満の残渣が確認された場合を「良好」、バンプ表面積100%に対して5%以上の残渣が確認された場合を「不良」とし、3段階にて評価した。
(vi) ペースト安定性:ペースト作製後から1ヶ月間、5℃以下の冷蔵庫に保管後のペーストに関して、ペースト外観観察において、ペースト表面が固くなる皮張りが確認される、もしくは、保管後のはんだ溶融性評価(銅箔)において、溶け残りが確認された場合を「不良」とし、確認されない場合を「良好」とした。
表3から明らかなように、実施例1〜10と比較例1〜6とを対比すると、使用したカルボキシル基を有するアクリル系樹脂に含まれる(メタ)アクリル酸エステル単量体のSP値が所定値に満たない比較例1では、アルキル基の炭素数が大きくなりすぎることにより、水等の高いSP値を有する溶剤への溶解性が悪くなったこと等から、フラックス洗浄性の評価が、銅箔及び基板における評価のいずれにおいても「不良」の結果となった。一方、上記(メタ)アクリル酸エステル単量体のSP値が所定値を超える比較例2では、上記樹脂を用いたフラックス自体の吸湿性が増加し、これを用いたハンダペースト中のハンダ粉末と活性成分とが反応しやすくなったこと等から、保存安定性の評価が「不良」の結果となった。
また、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂の酸価値が所定値に満たない比較例3では、アルカリイオン水によるフラックス洗浄性が低下し、フラックス洗浄性の評価が、銅箔及び基板における評価のいずれにおいても「不良」の結果となった。一方、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂の酸価値が所定値を超える比較例4では、フラックス自体の吸湿性が高くなったこと等から、保存安定性の評価が「不良」の結果となった。
また、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂の質量平均分子量が所定値に満たない比較例5では、フラックスの粘度が低くなりすぎたために、ハンダペーストの印刷性、形状保持性が低下し、バンプ印刷性の評価が合格基準に満たなかった。一方、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂の質量平均分子量が所定値を超える比較例6では、フラックスの粘度が高くなりすぎたために、ハンダペーストの印刷性、形状保持性が低下し、バンプ印刷性の評価が合格基準に満たなかった。
これに対し、所定のカルボキシル基を有するアクリル系樹脂を使用した実施例1〜10では、すべての評価において高い評価が得られた。
本発明のハンダペースト用水溶性フラックスは、電子部品の実装、その他部品の接合等に広く利用することができる。
Claims (4)
- カルボキシル基を有するアクリル系樹脂とチキソ剤と溶剤と活性剤とを含み、
前記アクリル系樹脂は、SP値が9.4〜12の(メタ)アクリル酸エステル単量体と、(メタ)アクリル酸単量体と、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体及び前記(メタ)アクリル酸単量体と共重合可能な他のビニル基を有する単量体を含有し、
前記アクリル系樹脂の酸価値が50〜250mgKOH/g、質量平均分子量が1000〜20000であるハンダペースト用水溶性フラックス。 - 前記チキソ剤がベンジリデンソルビトール、ベンジリデンソルビトール誘導体、ヒドロキシ脂肪酸アミド、ヒドロキシ脂肪酸エステル、脂肪酸アミド又は硬化ひまし油である請求項1記載のハンダペースト用水溶性フラックス。
- 前記溶剤のSP値が7.5〜12.5であることを特徴とする請求項1又は2記載のハンダペースト用水溶性フラックス。
- 請求項1〜3いずれか1項に記載のハンダペースト用水溶性フラックスとハンダ粉末とを撹拌、混合して得られたハンダペースト。
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