JP6182577B2 - 化合物系超電導線材の製造方法および化合物系超電導ケーブルの製造方法 - Google Patents

化合物系超電導線材の製造方法および化合物系超電導ケーブルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、超電導コイルの形成に用いるのに好適な化合物系超電導線材の製造方法、およびこれらの化合物系超電導線材を用いて超電導ケーブルを形成するケーブル化工程を備えた化合物系超電導ケーブルの製造方法に関する。
従来、NbSn等の化合物系超電導線材、または、これらの化合物系超電導ケーブルを用いた超電導マグネットの製造には、一般に超伝導コイル用巻枠に超電導線を巻線してマグネットを形成した後に化合物生成熱処理を施す、いわゆるワインド・アンド・リアクト法を適用する。これは、熱処理されたNbSn等の化合物系超電導線材、および、これらの化合物系超電導ケーブルが歪みに対して非常に弱く、熱処理後に大きな歪みが作用する巻線工程などを実施できないことが原因である。
ワインド・アンド・リアクト法を用いて高磁界加速器用ダイポールマグネット、高磁界大口径マグネット等の大型マグネットを製造する場合、NbSn生成のための化合物生成熱処理を、600℃以上の所定の温度で真空または不活性ガス雰囲気の炉内で行う必要があるが、この熱処理を行なうには、大型マグネット全体を収容できる大型の熱処理炉を用意しなければならず、マグネットの寸法に制限されるという問題があった。
さらに、高磁界でコンパクトな超電導マグネットを製造するには、超電導導体の臨界電流密度を高めて、大電流を流せる構成にする事が有効であり、その手段の一つとして超電導素線の撚線化が挙げられる。しかし、NbSn等の化合物系超電導線を用いて撚線化した場合であっても、大きな歪みを与えることができないのは、NbSn等の化合物系超電導線を用いている限りは同じであって、上記で示した問題は解決されない。
NbSn等の化合物超電導線が歪みに弱い原因は、超電導体が熱処理後に脆化する傾向があることに加えて、化合物系超電導線が異なる複数の材料からなる複合材料として構成されていることにより、冷却した場合に超電導線を構成するそれぞれの材料の熱収縮の違いによって超電導体に圧縮残留歪みが発生することによるものだが、最近、CuNb、CuAlなどの強化材を内包した強化型NbSn線材が開発され、その強度向上により、線材に熱処理を施して得られた超電導線材を、その後、超電導コイルを形成するために巻線する、いわゆるリアクト・アンド・ワインド法によっても、マグネットを製造できるようになった。
リアクト・アンド・ワインド法による従来の化合物系超伝導コイルの製造方法としては、例えば特許文献1および2に開示されている。しかしながら、特許文献1および2に開示された製造方法は、巻線工程における超電導線に作用する歪みの許容値の上限を1%程度に限定する構成を採用しているだけであって、冷却による超電導体の圧縮残留歪みの発生に関しては何ら考慮されておらず、かかる構成では、超電導体の圧縮残留歪みの発生に伴って電流特性が劣化するという問題があった。
また、特許文献3は、補強安定化超伝導線材を、あらかじめ熱処理により超伝導物質とした後、張力の付与下にコイル状に巻いて成形する超伝導磁石の製造方法を開示し、0.5%までの曲げ加工であれば、リアクト・アンド・ワインド法でのコイル(超伝導磁石)の製造が可能であるとしている。しかしながら、特許文献3は、単に性能低下の観点から、0.5%までの曲げ加工であれば、コイル形状を比較的自由に設計できることを開示しただけであって、超電導コイルを形成するまでの線材の歪特性を制御して、超電導特性(特に臨界電流)の適正化を図ることを目的としたものではない。
さらに、本出願人は、リアクト・アンド・ワインド法を用いた化合物系超電導線材等の製造方法を、特許文献4〜6において提案した。
特許文献4では、化合物超電導線材内部に残留する歪みを緩和して、従来よりも耐歪み特性および臨界電流等の超電導特性の向上が図れる化合物超電導線材等の製造方法を開示し、また、特許文献5では、化合物超電導線内部に残留する歪みを緩和し、かつ、撚線加工の際に超電導特性の性能を低下させない化合物超電導撚線の製造方法を開示した。
特許文献4および5に記載の製造方法は、熱処理工程において得られた化合物超電導線材(特許文献4)および化合物超電導撚線(特許文献5)のそれぞれに、曲げ歪みを加える曲げ加工工程を備えたものであるが、いずれの製造方法とも、曲げ加工工程後に超伝導コイルを形成するために巻線する巻線工程での曲げ歪みについては考慮していなかったため、例えば超電導コイル用巻枠の胴径の違いによっては、超伝導コイルを構成する化合物超電導線材に作用する曲げ歪みが変化することから、十分な超電導特性(特に臨界電流)が得られない場合があった。
本出願人は、特許文献4および5では、反応熱処理済み化合物超電導線材または化合物超電導撚線に、ダメージを与えることなく残留歪を緩和または除去して、それらの性能を向上させることを可能にし、リアクト・アンド・ワインド用の線材または撚線として利用することを提案したが、実際にどのように使うのかについては、具体的に開示しておらず、使用するに際しては、適正条件を確認するための作業が必要であった。
また、特許文献6では、リアクト処理した歪み依存性を示す化合物系超電導線に曲げ歪みを付加した後、該曲げ歪みを除荷し、コイル巻きして機械的特性および臨界電流値を向上させた化合物系超電導線を用いた超伝導マグネットを開示したが、この場合も特許文献4および5と同様、曲げ加工工程後に超伝導コイルを形成するために巻線する巻線工程での曲げ歪みについては考慮していなかったため、十分な超電導特性(特に臨界電流)が得られない場合があった。
さらに、特許文献7には、超電導コイルに曲げ歪を印加することにより、超伝導コイルの臨界電流値を向上させる方法が開示されている。しかしながら、特許文献7に記載の方法は、巻線前の線材そのもの残留歪を除去または緩和することを何ら考慮していないため、本質的な性能向上の効果が得られないという問題がある。
以上のことから、これまで提案されているNbSn線材を、実際に超電導コイルを形成するため巻線したとしても、コイルとしての性能を予測できないため、運転安全率の高い設計をせざるを得なかった。そのため、線材の通電容量の大容量化や、線材長の増大により、コイルそのものや、冷却システムの大型化により、高コストとなり、商用ベースでの実用化には至っていないというのが現状である。
また、通電容量の増大を目的とし、超電導素線を複数本撚り合わせた丸型ケーブルや平角型ラザフォードケーブルなどのケーブル導体において、歪が印加された時の超電導特性は、ケーブルを構成している素線の特性に起因している。例えば、事前曲げ歪が印加された時の超電導特性向上に関して、丸型ケーブルは非特許文献1に、平角型ラザフォードケーブルは非特許文献2に記載されている。また、本出願人は、非特許文献3および非特許文献4を公開したが、この時点では、商用ベースでの実用化につながる具体的な知見を得ていない。
特開2002−231524号公報 特開平6−204029号公報 特許第3240323号公報 特許第4532369号公報 特許第5718171号公報 特開2004−63128号公報 特開2003−332122号公報
G.Nishijima, H. Oguro, S. Awaji, H. Tsubouchi, S. Hanai, and Kazuo Watanabe, "Application of prebending effect to triplet cables using bronze-rote Nb3Sn strands," IEEE Trans. Appl. Supercond., vol. 17, no. 2, Jun. 2007, pp. 2595-2598. M. Sugimoto, H. Tsubouchi, S. Endoh, A. Takagi, K. Watanabe, S. Awaji, and H. Oguro, "Development of Nb-rod-method Cu-Nb reinforced Nb3Sn Rutherford cables for react-and-wind processed wide-bore high magnetic field coils," IEEE Trans. Appl. Supercond., vol. 25, no. 3, Jun. 2015, Art. ID. 6000605. 大村拓也、小黒英俊、淡路智、渡辺和雄、杉本昌弘、坪内宏和、「CuNb/Nb3Sn線材の臨界電流に与えるコイル径の影響」、第90回2014年度秋季低温工学・超電導学会予稿集p214. 大村拓也、小黒英俊、淡路智、渡辺和雄、杉本昌弘、坪内宏和、「CuNb/Nb3Sn線材の臨界電流と純粋曲げひずみの関係の解析」、第91回2015年度春季低温工学・超電導学会予稿集p92.
本発明の目的は、超伝導コイルの形成に用いるのに好適な化合物系超電導線材を製造する工程のうち、特に熱処理工程、曲げ加工工程(事前曲げ歪み導入工程)および巻線工程(純粋曲げ歪み導入工程)からなる一連の工程を通じて、線材の内部歪(特に曲げ歪み)を適正に制御することによって、コイル運転時おいて、優れた超伝導特性(特に高い臨界電流)を具備するだけなく、適正な運転安全率でのコイル設計を可能とする、化合物系超電導線材の製造方法、およびこれらの化合物系超電導線材を用いて超電導ケーブルを形成するケーブル化工程を備えた化合物系超電導ケーブルの製造方法を提供することにある。
本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
(1)化合物系超電導体生成前原料と、該原料の周囲に配置された強化材とを有する複合材から線材を形成する線材形成工程と、前記線材に曲げ歪みを加えた状態で熱処理を施して前記原料を化合物系超電導体にするとともに、前記線材を化合物系超電導線材にする熱処理工程と、該熱処理工程において得られた前記超電導線材に曲げ加工を施して、−(0.1〜0.6)%と+(0.1〜0.6)%の曲げ歪み(事前曲げ歪)をそれぞれ2回以上加える曲げ加工工程と、該曲げ加工工程後の前記超電導線材に曲げ歪み(純粋曲げ歪)を連続的に±0.7%の範囲内に制限しながら加えて巻線して超電導コイルを形成する巻線工程とを含むことを特徴とする化合物系超電導線材の製造方法。
(2)前記複合材は、前記原料と前記強化材の間にSn拡散防止材をさらに有することを特徴とする上記(1)に記載の化合物系超電導線材の製造方法。
(3)前記複合材は、前記強化材の周囲に安定化材をさらに有することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の化合物系超電導線材の製造方法。
(4)前記複合材は、前記安定化材がCuまたはCu合金で構成されることを特徴とする上記(3)に記載の化合物系超電導線材の製造方法。
(5)前記複合材は、前記超電導体がNbSnで構成され、前記強化材が少なくともCuおよびNbで構成されることを特徴とする上記(1)から(4)までのいずれか1項に記載の化合物系超電導線材の製造方法。
(6)前記曲げ歪みは、前記熱処理工程では、前記線材を、所定の胴径をもつ熱処理用ボビンに巻き付けることによって加えられ、前記曲げ加工工程では、前記超電導線材を前記熱処理用ボビンから引き出した後、間隔をおいて配置された所定の胴径をもつ複数の曲げ治具間を通過させることにより加えられ、そして、前記巻線工程では、前記熱処理用ボビンの胴径とは異なる所定の胴径をもつ超電導コイル用巻枠に巻き付けることによって制限しながら加えられることを特徴とする上記(1)から(5)までのいずれか1項に記載の化合物系超電導線材の製造方法。
(7)前記線材形成工程後、前記熱処理工程前に、前記線材形成工程により形成された複数本の前記線材に、撚線加工、または、撚線加工の後に成形加工を施してケーブルを形成するケーブル化工程をさらに備え、上記(1)から(6)までのいずれか1項に記載の化合物系超電導線材の製造方法を、前記ケーブルに適用することを特徴とする化合物系超電導ケーブルの製造方法。
本発明によれば、化合物系超電導体生成前原料と、該原料の周囲に配置された強化材とを有する複合材から線材を形成する線材形成工程と、前記線材に曲げ歪みを加えた状態で熱処理を施して前記原料を化合物系超電導体にするとともに、前記線材を化合物系超電導線材にする熱処理工程と、該熱処理工程において得られた前記超電導線材に曲げ加工を施して、−(0.1〜0.6)%と+(0.1〜0.6)%の曲げ歪みをそれぞれ2回以上加える曲げ加工工程と、該曲げ加工工程後の前記超電導線材に曲げ歪みを連続的に±0.7%の範囲内に制限しながら加えて巻線して超電導コイルを形成する巻線工程とを含むことによって、線材の内部歪(特に曲げ歪み)が適正に制御され、コイル運転時おいて、優れた超伝導特性(特に高い臨界電流)を具備するだけなく、適正な運転安全率でのコイル設計を可能とする、化合物系超電導線材の製造方法、およびこれらの化合物系超電導線材を用いて超電導ケーブルを形成するケーブル化工程を備えた化合物系超電導ケーブルの製造方法の提供が可能になった。
図1は、本発明の化合物系超電導線材の製造方法を説明するための代表的な工程フロー図である。 図2は、本発明の代表的な化合物系超電導線材の一例を示す概略断面図である。 図3は、熱処理工程において、熱処理用ボビンに巻きつけられて熱処理される線材の熱処理前の状態を説明するための図である。 図4は、曲げ加工工程において、超電導線材に曲げ歪みを加える状態を説明するための図である。 図5は、巻線工程において、超電導コイル用巻枠に超電導線材を巻線したときの状態を説明するための図である。 図6は、熱処理工程、曲げ加工工程(事前曲げ歪み導入工程)および巻線工程(純粋曲げ歪み導入工程)の各工程で、線材に曲げ歪みを加える状態を説明するための概念図である。 図7は、本発明における化合物系超電導線材の通電特性を示した図である。
以下に、本発明の化合物系超電導線材の製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の化合物系超電導線材の製造方法の一つの実施形態の工程フローを示したものである。図1に示す化合物系超電導線材の製造方法100は、化合物系超電導体生成前原料と、この原料の周囲に配置された強化材とを有する複合材から線材を形成する線材形成工程S101と、この線材に曲げ歪みを加えた状態で熱処理を施して前記原料を化合物系超電導体にするとともに、線材を化合物系超電導線材にする熱処理工程S102と、この熱処理工程S102において得られた超電導線材に曲げ加工を施して、−(0.1〜0.6)%と+(0.1〜0.6)%の曲げ歪みをそれぞれ2回以上加える曲げ加工工程S103と、この曲げ加工工程S103で曲げ歪みを加えられた後の超電導線材に、曲げ歪みを連続的に−0.7%から+0.7%までの範囲内で制限しながら加えて巻線して超電導コイルを形成する巻線工程S104とを含むことを特徴とする化合物系超電導線材の製造方法である。
<線材形成工程>
線材形成工程S101は、化合物系超電導体生成前原料と、この原料の周囲に配置された強化材とを有する複合材から線材を形成するための工程である。線材は前記複合材から形成され、下記に示す熱処理工程によって強化型化合物系超電導線材となる。また、複合材およびこの複合材から形成される線材は、化合物系超電導体生成前原料と強化材の間にSn拡散防止材をさらに有していてもよく、加えて、強化材の周囲に安定化材をさらに有していてもよい。
線材20の断面構造の一例としては、例えば図3に示すように、線材断面の中央部に、直径dfbをもつ強化型未反応NbSn超電導フィラメント群21を配置し、その周囲にTaまたはNbからなるすず(Sn)拡散防止材23を配置し、その周囲に1μm未満のNbフィラメントを銅または銅合金に埋設した強化材22をリング状に配置した後、その周囲に銅シースからなる安定化材24を配置した、直径dのCu−Nb強化型NbSn線材構造にする場合が挙げられる。
強化材22および安定化材24には、金属または合金材料等の導電性を有する材料が用いられる。強化材22は、少なくともCuおよびNbで構成されることが好ましく、例えばCuNbやCuNbTi等が挙げられ、特にCuNbを用いることがより好適であるが、かかる組成だけには限定されず、例えばCuAl、Ta等で構成されていてもよい。また、安定化材24は、CuまたはCu合金で構成されることが好ましい。
化合物系超電導体生成前原料は、超伝導体にするための熱処理工程を経ることによって、例えばNbSn、NbAl等の化合物になるように構成されていることが好ましい。また、化合物系超電導体生成前原料は、例えば1μm以上の直径を有するNbフィラメントを複数本組み合わせて得られる構成にすることができる。
線材形成工程S101としては、例えば化合物系超電導体がNbSnの場合には、ブロンズ法や内部スズ(Sn)拡散法、パウダインチューブ(PIT)法などの既知のNbSn線材の作製方法を用いることが、良好な加工性を得る点で適している。
<熱処理工程(化合物系超電導体の生成工程)>
熱処理工程S102は、曲げ歪みεhiを加えた状態の線材を、所定の熱処理条件下で熱処理を施して化合物系超電導体生成前原料を化合物系超電導体にするとともに、線材形成工程S101において形成された線材20を化合物系超電導線材10にするための工程である。曲げ歪みεhiは、例えば、線材20を、所定の胴径Dをもつ熱処理用ボビン29に巻き付けることによって線材20に加えることが好ましく、好適な曲げ歪みεhi(%)としては、例えば、0.01〜0.7%の範囲である。熱処理時の曲げ歪εhiが小さすぎると熱処理炉自体が大きくなるという製造コスト上の問題があり、熱処理時の曲げ歪εhiが大きすぎると、熱処理後、線材を熱処理ボビン29から直線状に引き出しただけで、大きな逆方向の曲げ歪εhiが化合物系超電導フィラメントに印加され、フィラメント断線が生じる場合があるためである。図3は、熱処理工程S102において、熱処理用ボビンにコイル状に巻き付けられて熱処理される線材20の熱処理前の状態を説明するための図である。
熱処理工程S102における、線材20に加えられる曲げ歪みεhiは、以下に示す(1)式で算出することができる。すなわち、線材20を熱処理ボビンに巻きつけたときの巻層数をi(i=1〜n)、i層目の線材20の曲げ半径をRhi(mm)とし、超電導フィラメント群21の直径をdfb(mm)、線材20の直径をd(mm)とするとき、曲げ歪みεhiは、
εhi(%)=(dfb/2)×(1/Rhi)×100 ・・・(1)
で表すことができる。なお、上記(1)式を、熱処理用ボビン29の胴径Dhを含めた式に書き換えると、下記の(1)´式のようになる。
εhi(%)=(dfb/2)×(2/(Dh+2d×i−d))×100 ・・・(1´)
曲げ歪みεhiは、巻層数が1層目で、線材の曲げ半径がRh1のときの曲げ歪みεh1(=(dfb/2)×(1/Rh1)×100)で最大となり、巻層数がn層目の最外層で、線材の曲げ半径がRhnのときの曲げ歪みεhn(=(dfb/2)×(1/Rhn)×100)で最小となる。
この熱処理は、例えばブロンズ法NbSnの場合、真空中または不活性ガス雰囲気中にて、600℃以上、例えば650〜700℃の温度で50時間以上、好適には50〜150時間の条件下で行うことができる。また、その熱処理を行なう前に、例えば550〜590℃の温度で50〜150時間の条件下の予備加熱を加えていてもよい。なお、この熱処理の条件は、一般に、生成しようとする化合物系超電導体、化合物系超電導体生成前原料、線材の構成、寸法等に応じて異なる。
図2は、化合物系超電導線材10の断面構造の一例を示したものである。超電導線材10は、断面中央位置に化合物系超電導体1を有し、この化合物系超電導体1の周囲に強化材2を有する断面構造をもち、さらに、図2では、化合物系超電導体1と強化材2の間にSn拡散防止材3を有するとともに、強化材2の周囲に安定化材4を有している。
<曲げ加工工程(事前曲げ歪み導入工程)>
曲げ加工工程は、熱処理工程において得られた超電導線材10に曲げ加工を施して、−(0.1〜0.6)%と+(0.1〜0.6)%の曲げ歪みをそれぞれ2回以上加える工程である。図4は、曲げ加工工程において、超電導線材10に曲げ歪みを加える状態を説明するための図である。
超電導線材10に曲げ歪みを加える(導入する)方法としては、図4に示すように、熱処理工程を経た超電導線材10を、熱処理用ボビン30から所定の張力で引き出した後に、間隔をおいて配置された所定の胴径をもつ複数の曲げ治具、例えばプーリー31、32、・・間を通過させて超電導線材10に曲げ加工を施す方法が挙げられ、図4では、熱処理用ボビン30に巻き付けた方向と同じ方向に超電導線材10に曲げ加工を施す位置に配設されかつ熱処理用ボビン30のボビン径Dよりも小さい径Dp1をもつプーリー31と、熱処理用ボビン30に巻き付けた方向とは逆方向に超電導線材10に曲げ加工を施す位置に配設されかつ熱処理用ボビン30のボビン径Dよりも大きい径Dp2をもつプーリー32とを連続して2回以上通過させて超電導線材10に曲げ加工を施す場合を一例として示している。
また、本発明における曲げ加工工程において、熱処理工程後の超電導線材10に、−(0.1〜0.6)%と+(0.1〜0.6)%の曲げ歪みをそれぞれ2回以上加えるとした理由は、熱処理用ボビン30に巻き付けた方向と同じ方向に超電導線材10に曲げ加工を施す位置に配設されたプーリー31を通過することによって得られる正方向の曲げ歪み、および熱処理用ボビン30に巻き付けた方向とは逆方向に超電導線材10に曲げ加工を施す位置に配設されたプーリー32を通過することによって得られる負の方向の曲げ歪みの一方または双方の絶対値が0.1%未満だと、その後に行われる巻線工程で所定の曲げ歪みを加えたとしても、事前曲げ加工による化合物超電導フィラメントの残留歪緩和効果が小さいため、純粋曲げ歪下での超電導特性の向上効果が期待できず、また、前記正方向の曲げ歪みおよび前記負の方向の曲げ歪みの一方または双方の絶対値が0.6%よりも大きいと、化合物超電導フィラメントの局所的な損傷の発生する場合があり、加えて、超電導特性の向上効果が期待できないからである。
曲げ加工工程S103における、直径dの超伝導線材10に加えられる正の曲げ歪みをεpbi+、負の曲げ歪みをεpbi-とし、熱処理工程における線材20を熱処理ボビンに巻きつけたときのi層目の線材の曲げ半径Rhiに対応する、曲げ治具(例えばプーリー)31による正方向曲げ半径をRPb1i、曲げ治具(例えばプーリー)32による逆(負)方向曲げ半径をRPb2iとすると、正の曲げ歪みεpbi+および負の曲げ歪みεpbi-は、それぞれ以下に示す(2)式および(3)式で算出することができる。
εpbi+(%)=(d/2)×{(1/RPb1i)−(1/Rhi)}×100 ・・・(2)
εpbi-(%)=(d/2)×{(1/RPb2i)−(1/Rhi)}×100 ・・・(3)
よって、上記(2)式および(3)式から、εpbi+およびεpbi-を決めると、Rhiに応じて、RPb1iおよびRPb2iが一義的に決定される。
超電導線材10に加える曲げ歪みは、正反両方向からの曲げ歪みをそれぞれ2回以上、好適には、それぞれ5〜10回加える両振り曲げ加工を施すことによって加えることが好ましい。なお、正反両方向から曲げ歪みをそれぞれ2回以上加えることを限定した理由は、曲げ歪みの回数が正反両方向の一方または双方で2回以上行なわないと、線材中のNbSnに印加された残留歪が一様に緩和されない結果、長手方向の超電導性能が不均一になるという問題があるからである。
<巻線工程(純粋曲げ歪み導入工程)>
巻線工程S104は、曲げ加工工程S103の後の超電導線材10に、曲げ歪みεpurejを連続的に−0.7%から+0.7%までの範囲内で制限しながら加えて巻線して超電導コイルを形成する工程である。図4では、胴径(ボビン径)Dを有する超電導コイル用巻枠33に巻線する場合を一例として示している。図5は、巻線工程S104において、超電導コイル用巻枠41に超電導線材10を巻線したときの状態を説明するための図である。巻線工程S104において、超電導線材10に曲げ歪みεpurejを連続的に加える(導入する)方法としては、図5に示すように、熱処理用ボビン29(または30)の胴径Dとは異なる、所定の胴径Dをもつ超電導コイル用巻枠41に巻き付けることによって加えられる方法が挙げられる。
本発明は、熱処理工程、曲げ加工工程および巻線工程の一連の工程における線材20および超電導線材10の内部歪を適正に制御するものであるため、曲げ加工工程S103の後の巻線工程S104においても、超電導線材10に加えられる曲げ歪みεpurejを、連続的に±0.7%の範囲内に制限することが必要である。巻線工程S104における、超電導線材10に導入される曲げ歪みεpurejが±0.7%の範囲内の場合に、曲げ加工工程で、−(0.1〜0.6)%と+(0.1〜0.6)%の曲げ歪みを導入した超電導線材の臨界電流が格段に高くなって超電導特性が向上する結果、適正な運転安全率でのコイル設計を行うことが可能になる。一方、超電導線材10に導入される曲げ歪みεpurejが±0.7%の範囲外の場合には、曲げ加工工程S103で所定の曲げ歪みεpbi+およびεpbi-を導入したとしても、超電導線材10の臨界電流の向上効果は期待できないからである。
巻線工程S104において、超伝導線材10に導入される曲げ歪みεpurejは、以下に示す(4)式で算出することができる。すなわち、超電導線材10を超電導コイル用巻枠41に巻きつけたときの巻層数をj(j=1〜m)、j層目の線材の曲げ半径をRcj(mm)とし、超電導フィラメント群21の直径をdfb(mm)、線材20を熱処理ボビン29に巻きつけたときのi層目の線材20の曲げ半径をRhi(mm)とするとき、曲げ歪みεpurejは、
εpurej(%)=(dfb/2)×{(1/Rcj)−(1/Rhi)}×100 ・・・(4)
で表すことができる。
上述した実施形態では、超電導線材10が、直径d、超電導フィラメント群21の直径dfbの円形断面をもつ場合で説明してきたが、本発明の超電導線材は、断面が矩形状であっても、同様な効果を奏することができる。
さらに、本発明の化合物系超電導ケーブルの製造方法は、前記線材形成工程後、前記熱処理工程前に、前記線材形成工程により形成された複数本の前記線材に、撚線加工、または、撚線加工の後に成形加工を施してケーブルを形成するケーブル化工程をさらに備え、上述した化合物系超電導線材の製造方法を、ケーブルに適用することによって、上記した化合物超電導線材と同様の効果を奏する化合物系超電導ケーブルを製造することができる。
次に、本発明の化合物超電導線材の製造方法を、図面を参照しながら、実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例)
図2に示す断面構造をもつ化合物系超電導線材10を以下の製造方法により作製した。
熱処理工程前の線材20としては、図3に示すように、線材断面の中央部に、直径dfbが0.51mmである強化型未反応NbSn超電導フィラメント群21を配置し、その周囲にTaからなるSn拡散防止材23と、CuNb強化材22と、銅からなる安定化材24とを配置した、直径dが0.8mmのCu−Nb強化型NbSn線材を用いた。この線材20の断面積に占める面積割合は、Sn拡散防止材23を含む超電導部位を45%、CuNb強化材を38%、そして、Cu安定化材を17%とした。尚、線材20の直径に対して、曲げ半径Rhiが十分大きいとは言えないので、線材10の直径dおよびフィラメント群21の径dfbを考慮し、式(1´)を用いて、曲げ半径を算出した。
εhi(%)=(dfb/2)×(2/(Dh+2d×i−d))×100 ・・・(1´)
次に、得られた線材20を、それぞれ異なる胴径(ボビン径D)をもつ複数の熱処理用ボビン51に巻き付け、表1に示すように異なる曲げ半径Rで各線材20を湾曲させて、線材20に曲げ歪みを加えた状態で670℃×96hrのNbSn生成熱処理をアルゴンガス雰囲気中で施し、化合物系超電導体生成前原料21を化合物系超電導体1にするとともに、線材20をCu−Nb強化型NbSn超電導線材10にした後、この超電導線材10を熱処理用ボビン51から曲げ歪を加えることなく取り出した。その後、図6に示すように、胴径DP1部位と胴径DP2部位をもつ事前曲げ歪印加用治具52を用い、超電導線材10を、胴径DP1部位と胴径DP2部位を交互に10回ずつ通過させることにより、表1に示す正方向曲げ半径RPb1iと逆方向曲げ半径RPb2iで超電導線材10に、±0.5%の事前曲げ歪みεpbi+およびεpbi-をそれぞれ10回ずつ加えた。その後、胴径DC:31.2mm(曲げ半径R:15.6mm)の超電導コイル用巻枠53に超電導線材10を巻きつけて巻線し、超電導線材10に、表1に示す(純粋)曲げ歪みεpurejが導入した状態で超電導コイルを作製した。図7に、作製した各超電導コイルの通電特性を示す。臨界電流の定義は、1μV/cmで与えた。測定は液体ヘリウム中(液温:4.14K)で実施した。外部磁場は、12T、14.5Tおよび17Tの3種類の場合で測定した。比較のため、超電導線材に事前曲げ加工を施す曲げ加工工程を行なわないこと以外は、実施例と同様の製造方法で超電導コイル(比較例)を作製し、作製した各超電導コイルの通電特性を測定したので、それらの測定結果についても、図7に実施例と同様にプロットした。
図7の結果から、±0.7%の適正範囲内で純粋曲げ歪みεpurejを制限して加えたものは、臨界電流Icが高くなることを確認した。すなわち、コイル巻き線前に±0.5%の曲げ歪(事前曲げ歪)εpbi+またはεpbi-を適正に導入した後に前記適正範囲の純粋曲げ歪εpurejを導入した実施例は、事前曲げ歪εpbi+またはεpbi-を導入しない比較例と比べて、外部磁場の強さに関係なく、−0.7%〜+0.7%の純粋曲げ歪みεpurejの範囲で通電特性を向上させることができ、特に、−0.5%〜+0.6%の純粋曲げ歪みεpurejの範囲である実施例の臨界電流Icは、比較例の臨界電流Icと比べて顕著に高くなっていることがわかる。
本発明によれば、コイル運転時おいて、優れた超伝導特性(特に高い臨界電流)を具備するだけなく、適正な運転安全率でのコイル設計を可能とする、化合物系超電導線材や、これらの超電導線材を用いて形成される化合物系超電導ケーブルの製造方法の提供が可能になった。
1 超伝導体
10 化合物系超電導線材
20 線材
21 化合物系超電導原料(または強化型未反応NbSn超電導フィラメント群)
2、22 強化材
3、23 Sn拡散防止材
4、24 安定化材
29、30、51 熱処理用ボビン
31、32 曲げ治具(またはプーリー)
33、41、53 超伝導コイル用巻枠
52 事前曲げ歪印加用治具

Claims (8)

  1. 化合物系超電導体生成前原料と、該原料の周囲に配置された強化材とを有する複合材から線材を形成する線材形成工程と、
    前記線材に第1曲げ歪みを加えた状態で熱処理を施して前記原料を化合物系超電導体にするとともに、前記線材を化合物系超電導線材にする熱処理工程と、
    該熱処理工程において得られた前記超電導線材に−(0.1〜0.6)%と+(0.1〜0.6)%の事前曲げ歪みをそれぞれ2回以上加えて、前記超電導線材での残留歪みを緩和する曲げ加工工程と、
    該曲げ加工工程後の前記超電導線材に生じる第2曲げ歪みである純粋曲げ歪みを連続的に±0.7%の範囲内になるように制限しながら、前記超電導線材を巻線して超電導コイルを形成する巻線工程と
    を含み、
    前記第1曲げ歪みは、前記熱処理工程において、前記線材を、所定の胴径をもつ熱処理用ボビンに巻き付けることによって加えられ、
    前記事前曲げ歪みは、前記曲げ加工工程において、前記超電導線材を前記熱処理用ボビンから引き出した後、間隔をおいて配置された所定の胴径をもつ複数の曲げ治具間を通過させることにより加えられ、そして、
    前記純粋曲げ歪みは、前記巻線工程において、前記熱処理用ボビンの胴径と同一または異なる所定の胴径をもつ超電導コイル用巻枠に巻き付けることによって前記±0.7%の範囲内に制限し、
    前記超電導線材は、断面中央部に超電導フィラメント群を有し、該超電導フィラメント群の直径をd fb (mm)、前記線材を前記熱処理用ボビンに巻きつけたときのi層目の線材の曲げ半径をR hi (mm)、前記超電導線材を前記超電導コイル用巻枠に巻きつけたときのj層目の前記超電導線材の曲げ半径をR cj (mm)、そして、前記純粋曲げ歪みをε purej とするとき、
    前記純粋曲げ歪みε purej は、前記直径d fb 、前記曲げ半径R hi およびR cj に依存し、かつ前記d fb 、R hi およびR cj を下記の式に代入することによって求められることを特徴とする化合物系超電導線材の製造方法。
    式:ε purej (%)=(d fb /2)×{(1/R cj )−(1/R hi )}×100
  2. 化合物系超電導体生成前原料と、該原料の周囲に配置された強化材とを有する複合材から線材を形成する線材形成工程と、
    前記線材に第1曲げ歪みを加えた状態で熱処理を施して前記原料を化合物系超電導体にするとともに、前記線材を化合物系超電導線材にする熱処理工程と、
    該熱処理工程において得られた前記超電導線材に、−(0.1〜0.6)%と+(0.1〜0.6)%の事前曲げ歪みをそれぞれ2回以上加えて、前記超電導線材での残留歪みを緩和する曲げ加工工程と、
    該曲げ加工工程後の前記超電導線材に生じる第2曲げ歪みである純粋曲げ歪みを連続的に±0.7%の範囲内になるように制限しながら、前記超電導線材を巻線して超電導コイルを形成する巻線工程と
    を含み、
    前記第1曲げ歪みは、前記熱処理工程において、前記線材を、所定の胴径をもつ熱処理用ボビンに巻き付けることによって加えられ、
    前記事前曲げ歪みは、前記曲げ加工工程において、前記超電導線材を前記熱処理用ボビンから引き出した後、間隔をおいて配置された所定の胴径をもつ複数の曲げ治具間を通過させることにより加えられ、そして、
    前記純粋曲げ歪みは、前記巻線工程において、前記熱処理用ボビンの胴径と同一または異なる所定の胴径をもつ超電導コイル用巻枠に巻き付けることによって前記±0.7%の範囲内に制限し、
    前記曲げ治具は、
    前記熱処理用ボビンの胴径よりも小さい径をもち、かつ前記熱処理用ボビンに巻きつけた方向と同じ方向に前記超電導線材を巻き付けることにより、前記超電導線材に前記+(0.1〜0.6)%の正方向の事前曲げ歪みを加えることが可能な構成を有する胴径部位と、
    前記熱処理用ボビンの胴径よりも大きい径をもち、かつ前記熱処理用ボビンに巻きつけた方向とは逆方向に前記超電導線材を巻き付けることにより、前記超電導線材に前記−(0.1〜0.6)%の逆方向の事前曲げ歪みを加えることが可能な構成を有する胴径部位と、
    を有することを特徴とする化合物系超電導線材の製造方法。
  3. 化合物系超電導体生成前原料と、該原料の周囲に配置された強化材とを有する複合材から線材を形成する線材形成工程と、
    前記線材に第1曲げ歪みを加えた状態で熱処理を施して前記原料を化合物系超電導体にするとともに、前記線材を化合物系超電導線材にする熱処理工程と、
    該熱処理工程において得られた前記超電導線材に、−(0.1〜0.6)%と+(0.1〜0.6)%の事前曲げ歪みをそれぞれ2回以上加えて、前記超電導線材での残留歪みを緩和する曲げ加工工程と、
    該曲げ加工工程後の前記超電導線材に生じる第2曲げ歪みである純粋曲げ歪みを連続的に±0.7%の範囲内になるように制限しながら、前記超電導線材を巻線して超電導コイルを形成する巻線工程と
    を含み、
    前記第1曲げ歪みは、前記熱処理工程において、前記線材を、所定の胴径をもつ熱処理用ボビンに巻き付けることによって加えられ、
    前記事前曲げ歪みは、前記曲げ加工工程において、前記超電導線材を前記熱処理用ボビンから引き出した後、間隔をおいて配置された所定の胴径をもつ複数の曲げ治具間を通過させることにより加えられ、そして、
    前記純粋曲げ歪みは、前記巻線工程において、前記熱処理用ボビンの胴径と同一または異なる所定の胴径をもつ超電導コイル用巻枠に巻き付けることによって前記±0.7%の範囲内に制限し、
    前記曲げ治具は、
    前記熱処理用ボビンの胴径よりも小さい径をもち、かつ前記熱処理用ボビンに巻きつけた方向と同じ方向に前記超電導線材を巻き付けることにより、前記超電導線材に前記+(0.1〜0.6)%の正方向の事前曲げ歪みを加えることが可能な構成を有する胴径部位と、
    前記熱処理用ボビンの胴径よりも大きい径をもち、かつ前記熱処理用ボビンに巻きつけた方向とは逆方向に前記超電導線材を巻き付けることにより、前記超電導線材に前記−(0.1〜0.6)%の逆方向の事前曲げ歪みを加えることが可能な構成を有する胴径部位と、
    を有し、
    前記超電導線材は、断面中央部に超電導フィラメント群を有し、該超電導フィラメント群の直径をd fb (mm)、前記線材を前記熱処理用ボビンに巻きつけたときのi層目の線材の曲げ半径をR hi (mm)、前記超電導線材を前記超電導コイル用巻枠に巻きつけたときのj層目の前記超電導線材の曲げ半径をR cj (mm)、そして、前記純粋曲げ歪みをε purej とするとき、
    前記純粋曲げ歪みε purej は、前記直径d fb 、前記曲げ半径R hi およびR cj に依存し、かつ前記d fb 、R hi およびR cj を下記の式に代入することによって求められることを特徴とする化合物系超電導線材の製造方法。
    式:ε purej (%)=(d fb /2)×{(1/R cj )−(1/R hi )}×100
  4. 前記複合材は、前記原料と前記強化材の間にSn拡散防止材をさらに有することを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の化合物系超電導線材の製造方法。
  5. 前記複合材は、前記強化材の周囲に安定化材をさらに有することを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の化合物系超電導線材の製造方法。
  6. 前記複合材は、前記安定化材がCuまたはCu合金で構成されることを特徴とする請求項5に記載の化合物系超電導線材の製造方法。
  7. 前記複合材は、前記超電導体がNb Snで構成され、前記強化材が少なくともCuおよびNbで構成されることを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載の化合物系超電導線材の製造方法。
  8. 前記線材形成工程後、前記熱処理工程前に、前記線材形成工程により形成された複数本の前記線材に、撚線加工、または、撚線加工の後に成形加工を施してケーブルを形成するケーブル化工程をさらに備え、請求項1から7までのいずれか1項に記載の化合物系超電導線材の製造方法を、前記ケーブルに適用することを特徴とする化合物系超電導ケーブルの製造方法。
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