JP6182096B2 - 有機溶媒溶液中の金属除去方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機溶媒溶液中の金属除去方法に関する。
有機合成化学においては化学反応の触媒として金属触媒が多用される。化学反応に用いた金属触媒は、反応後には目的の反応生成物から分離除去される。例えば医薬品では、残留金属の量が厳しく規制されており、有機合成反応により得られた医薬化合物への金属触媒の混入はできる限り低減することが求められる。また、例えば有機EL素子等の電子デバイスに用いる有機材料も、電気特性や素子の長寿命化のために高純度なものが必要とされ、有機材料の合成に用いた金属触媒は、反応後に反応溶液からできる限り除去することが求められる。
金属を含有する溶液から金属を分離、除去する技術がいくつか知られている。例えば特許文献1には、金属含有溶液をスカベンジャー担体と接触させ、スカベンジャー担体を溶液中の金属と結合させて溶液中の金属を除去する方法が記載されている。また、特許文献2には、金属イオンを水溶液から分離する方法であって、金属イオンに結合する特定の基を有する水溶性ポリマーと金属イオンとを接触させて金属錯体を形成し、膜分離手段により処理する方法が記載されている。
特表2008−502470号公報 特表平11−506501号公報
しかし、上記特許文献1に記載の方法で用いているスカベンジャー担体は金属含有溶液に対して不溶である。したがって、溶液中の金属との接触効率(衝突頻度)が低く、金属除去効率の向上には制約がある。
また、上記特許文献2に記載の方法は、金属含有溶液が水溶液であり、有機化合物の合成において使用される有機溶媒系に適用できるものではない。
本発明は、金属を含有する有機溶媒溶液から、金属を高効率に除去する方法を提供することを課題とする。
本発明者は上記課題に鑑み鋭意検討を重ねた。その結果、金属を含有する有機溶媒溶液中に、そのSP値(溶解性パラメータ)が有機溶媒のSP値と特定の関係にあるポリマーを溶解させると、金属とポリマーとの複合体が高効率に形成され、膜分離処理により複合体を分離、除去することで、有機溶媒溶液中から金属を高い効率で除去できることを見い出した。本発明はこれらの知見に基づき完成されるに至ったものである。
本発明の上記課題は以下の手段により達成された。
〔1〕
金属を含有する有機溶媒溶液中にポリマーを溶解して金属とポリマーとの複合体を形成させ、この複合体を膜分離処理により分離、除去することを含む有機溶媒溶液中の金属除去方法であって、
上記有機溶媒のSP値と上記ポリマーのSP値との差の絶対値が2.5以下であり、
上記ポリマーが、下記一般式(1)及び(3)〜(8)の各式で表される部分構造の少なくとも1種を有する構造単位を含む有機溶媒溶液中の金属除去方法。
Figure 0006182096
一般式(1)中、A はO、S又はNRを示し、A はO、S、NH又はN−*を示す。A 及びA が共にOであることはない。G はC(R) 、NR、O又はSを示す。
一般式(3)中、A はO、S又はNRを示し、A はSH、S−*、OH、O−*、NH 、NR−*又はN=*を示す。G はC(R) 、NH、N−*、O又はSを示す。
一般式(4)中、A 及びA はSH、S−*、OH、O−*、NH 、NR−*又はN=*を示す。G はC(R) 、NR、O又はSを示す。
一般式(5)中、A はO、S又はNRを示し、A 10 はN−*、S又はOを示す。
一般式(6)中、A 11 はO、S又はNRを示し、A 12 はSH、S−*、OH、O−*、NH 、NR−*又はN=*を示す。
一般式(7)中、A 13 及びA 14 はSH、S−*、OH、O−*、NH 、NR−*又はN=*を示す。
一般式(8)中、A 15 はO、S又はNRを示し、A 16 はS−*、O−*、又はNR−*を示す。L はCR又はNを示す。G はC(R) 、O、S又はNRを示す。
上記一般式(1)及び(3)〜(8)において、Rは水素原子又は置換基を示す。*及びyは連結部位を示し、xは水素原子又は連結部位を示す。
〔2〕
上記金属が、アルミニウム、銀、金、カドミウム、クロム、コバルト、銅、鉄、水銀、ニッケル、オスミウム、鉛、パラジウム、プラチナ、ロジウム、ルテニウム、スズ、バナジウム及び亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属である、〔1〕に記載の有機溶媒溶液中の金属除去方法。
〔3〕
金属を含有する有機溶媒溶液が、金属触媒の存在下で行う触媒反応の反応生成物を含む反応溶液であり、除去対象となる金属が金属触媒の金属である、〔1〕又は〔2〕に記載の有機溶媒溶液中の金属除去方法。

記ポリマーが下記一般式(1a)(3a)及び(5a)〜(8a)の各式で表される部分構造の少なくとも1種を有する構造単位を含む、〔1〕〜〔〕のいずれかに記載の有機溶媒溶液中の金属除去方法。
Figure 0006182096
一般式(1a)中、A及びGは、それぞれ一般式(1)におけるA及びGと同義である。Zは複素環を示す
般式(3a)中、A及びGは、それぞれ一般式(3)におけるA及びGと同義である。A6aはNR、N、S又はOを示す。Lは上記一般式(8)におけるLと同義である。Zは複素環を示す。
一般式(5a)中、Aは一般式(5)におけるAと同義である。Zは複素環を示す。
一般式(6a)中、A11は一般式(6)におけるA11と同義である。Zは複素環を示す。A12aはNR、S又はOを示す。Lは上記一般式(8)におけるLと同義である。
一般式(7a)中、A13及びA14は、それぞれ一般式(7)におけるA13及びA14と同義である。Zは環構造を示す。
一般式(8a)中、A15、G及びLは、それぞれ一般式(8)におけるA15、G及びLと同義である。A16aはS、O、又はNRを示す。Zは複素環を示す。
上記(1a)(3a)及び(5a)〜(8a)において、Rは水素原子又は置換基を示し、xは連結部位を示す。
〔5〕
上記ポリマーが下記構造単位Qからなり、上記ポリマー中の下記構造単位Qの一部又は全部において、置換基R が上記一般式(1a)、(3a)及び(5a)〜(8a)の各式で表される部分構造の少なくとも1種を有する、〔4〕に記載の有機溶媒溶液中の金属除去方法。
Figure 0006182096
式中、R は水素原子又はメチルを示す。
〔6〕
上記ポリマーがモノマー成分として(メタ)アクリル酸エステル成分を含有し、この(メタ)アクリル酸エステルのアルコール部が上記(1a)〜(3a)及び(5a)〜(8a)の各式で表される部分構造の少なくとも1種を有する、〔5〕に記載の有機溶媒溶液中の金属除去方法。
〔7〕
上記ポリマーが、上記一般式(1a)、(3a)及び(6a)〜(8a)の各式で表される部分構造の少なくとも1種を有する構造単位を含む、〔4〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の有機溶媒溶液中の金属除去方法。

上記ポリマーが下記一般式(P)で表される構造単位を含む、〔1〕〜〔〕のいずれかに記載の有機溶媒溶液中の金属除去方法。
Figure 0006182096

一般式(P)中、A15、A16a、G及びLは、それぞれ一般式(8a)におけるA15、A16a、G及びLと同義である。Rは水素原子又はメチルを示す。LはO、S又はNRを示し、Rは水素原子又は置換基を示す。Lは2価の連結基を示す。Z8aは複素環を示す。

膜分離処理に用いる膜が無機膜である、〔1〕〜〔〕のいずれかに記載の有機溶媒溶液中の金属除去方法。
本明細書において、特定の符号で表示された置換基や連結基等(以下、置換基等という)が複数あるとき、あるいは複数の置換基等を同時もしくは択一的に規定するときには、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよいことを意味する。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。また、式中に同一の表示で表された複数の部分構造の繰り返しがある場合は、各部分構造ないし繰り返し単位は同一でも異なっていてもよい。また、特に断らない限り、複数の置換基等が近接(特に隣接)するときにはそれらが互いに連結したり縮環したりして環を形成していてもよい意味である。
本明細書において化合物(ポリマーを含む)の表示については、化合物そのもののほか、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。また、目的の効果を奏する範囲で、構造の一部を変化させたものを含む意味である。
本明細書において置換・無置換を明記していない置換基(連結基及び環構造についても同様)については、目的の効果を損なわない範囲で、その基にさらに置換基を有していてもよい意味である。これは置換・無置換を明記していない化合物についても同義である。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明の金属除去方法によれば、金属を含有する有機溶媒溶液から金属を優れた効率で分離、除去することができる。
本発明の金属除去方法(以下、単に「本発明の方法」ともいう。)は、金属を含有する有機溶媒溶液に特定のポリマーを溶解して金属とポリマーの複合体を形成させ、この複合体を膜分離処理により分離除去することで有機溶媒溶液中から金属を除去する方法である。
以下、本発明について詳細に説明する。
[金属を含有する有機溶媒溶液]
本発明において、有機溶媒溶液中の除去対象となる金属は、有機溶媒溶液中に溶解しており、通常は錯体を形成して有機溶媒中に溶解している。すなわち、本発明において「金属」は金属錯体の形態で存在するものを含む意味である。有機溶媒溶液中に含まれる金属として、例えば、アルミニウム、銀、金、カドミウム、クロム、コバルト、銅、鉄、水銀、ニッケル、オスミウム、鉛、パラジウム、プラチナ、ロジウム、ルテニウム、スズ、バナジウム及び亜鉛からなる群から選ばれる金属が挙げられる。本発明の方法は、有機溶媒溶液中にパラジウム、銅、ニッケル、スズ及び亜鉛から選ばれる金属が含まれる場合に金属除去効率がより高まる。なかでも本発明の方法は、パラジウム及び銅の除去効率に優れる。
金属を含有する有機溶媒溶液を構成する有機溶媒に特に制限はなく、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系有機溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等の脂肪族ケトン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルシクロペンチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系有機溶媒、N−メチルピロリドン、2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルアセトアミド等のアミド系有機溶媒、トルエン、ヘキサン等の炭化水素系有機溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブチルアルコール、アミルアルコール等のアルコール性有機溶媒、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール等のジオール系有機溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ジクロロメタン、トリクロロエチレン等のハロゲン系溶媒を挙げることができる。また、上記有機溶媒の2種以上を併用してもよい。
金属を含有する有機溶媒溶液を構成する有機溶媒のSP値は、後述するように金属と複合体を形成するポリマーのSP値と特定の関係を有する。
金属を含有する有機溶媒溶液として、金属触媒の存在下で行う触媒反応の反応生成物を含む反応溶液(反応終了後の溶液を含む)を好適に用いることができる。この場合、除去対象となる金属は金属触媒の金属である(金属触媒そのものを除去する態様を含む)。金属触媒を用いた触媒反応としては、例えば、パラジウム触媒の存在下で行う鈴木・宮浦カップリング反応、Heck反応、Buchwald−Hartwig反応、Stillカップリング反応、根岸カップリング反応、パラジウムおよび銅触媒の存在下で行う薗頭カップリング反応、銅触媒の存在下で行うウルマン反応、ニッケル触媒の存在下で行う熊田・玉尾・コリューカップリング反応を挙げることができる。
除去された金属ないし金属触媒は、他の反応における金属触媒として再利用することができる。なお、上記stillカップリング反応は原料として有機スズ化合物を、上記根岸カップリング反応は原料として有機亜鉛化合物を用いる反応であり、本発明の方法には、これらの金属を含む原料を除去する態様や、これらの金属を含む原料に由来する金属を除去する態様も含まれる。
金属を含有する有機溶媒溶液中の金属濃度に特に制限はないが、0.01〜10000ppm(質量基準)であることが好ましく、0.1〜1000ppmであることがより好ましい。
金属を含有する有機溶媒溶液は、金属が錯体等の形態で溶解していれば、他に不溶性成分を含んでいてもよい。
[ポリマー]
本発明に用いるポリマーは、金属を含有する有機溶媒溶液中に溶解することで、金属と相互作用し、金属と複合体を形成する。本発明に用いるポリマーのSP値と、金属を含有する有機溶媒溶液を構成する有機溶媒のSP値との差の絶対値は2.5以下である。両者のSP値の差の絶対値を2.5以下とすることで、ポリマーが金属と相互作用しやすくなり、ポリマーと金属の複合体が形成されやすくなる。この理由は定かではないが、ポリマーのSP値と有機溶媒のSP値の差の絶対値を2.5以下として両者のSP値を近づけることで、ポリマーが有機溶媒溶液中で膨潤してポリマー鎖が広がった構造をとり、金属と相互作用しやすくなると推定される。逆に、ポリマーのSP値と有機溶媒のSP値の差の絶対値が2.5より大きい場合は、ポリマーが有機溶媒溶液中で凝集構造をとりやすくなり、金属と相互作用しにくくなると推定される。
溶媒のSP値は、Polymer Handbook(Third Edition)第VII章 Solubility Parameter Valuesに記載があり、その値を本発明におけるSP値とする。本発明においてSP値の単位は(cal/cm1/2である。
また、ポリマーのSP値は「塗料の研究」No.152 p41(2010)に記載の方法に準じて算出される。詳細な方法を以下に示す。
−ポリマーのSP値の算出方法−
ポリマー0.4gをテトラヒドロフラン(以下THFと表す)に溶解して10mLの溶液を調製する。この溶液を5mLずつ2つに分け、片方にヘキサンを、片方に水を滴下し、溶液に濁りが見られるまで添加する。溶液に濁りが見られたところで添加を終了し、以下の式に従ってSP値(δ)を算出する。
Figure 0006182096
本発明に用いるポリマーのSP値と、金属を含有する有機溶媒溶液を構成する有機溶媒のSP値との差の絶対値は、複合体の形成効率(金属除去効率)の観点から、2.0以下が好ましく、1.8以下がより好ましく、1.5以下がさらに好ましい。
金属が金属錯体である場合、ポリマーと金属との複合体の形態に特に制限はない。例えば、ポリマーと金属錯体との複合体であってもよいし、配位子交換反応によりポリマーが金属に配位した態様であってもよい。すなわち、ポリマーが金属あるいは金属錯体を包み込んで複合体を形成していてもよいし、ポリマーが金属錯体の金属をキレートして複合体を形成していてもよい。また、ポリマーと金属錯体とが何等かの相互作用により互いに結合あるいは吸着した形態も本発明における複合体の態様に含まれる。
本発明に用いるポリマーは、下記一般式(1)及び(3)〜(8)の各式で表される部分構造の少なくとも1種を有する構造単位(繰り返し単位)を少なくとも1種含む。下記部分構造を有する構造単位を含むポリマーは、金属との相互作用性が強く、金属と安定的に複合体を形成しやすい。このメカニズムは定かではないが、下記一般式(1)及び(3)〜(8)の部分構造が2座配位子として(A〜A16を配位原子として)金属に配位し、キレート錯体を形成することなどが考えられる。
下記一般式(1)及び(3)〜(8)の各式で表される部分構造はポリマーの側基(ペンダント基)に組み込まれていることが好ましい。側基とは、ポリマーの主鎖から分岐した(主鎖を構成する原子の置換基として連結した)基である。例えば、エチレン性不飽和結合(炭素−炭素二重結合)の重合反応により得られるポリマーの場合、エチレン性不飽和結合を形成していた炭素原子からなる鎖が主鎖であり、それ以外の部分は側基である。
Figure 0006182096
一般式(1)中、AはO、S又はNRを示し、O又はSが好ましい。Rは水素原子又は置換基を示す。この置換基としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、さらに好ましくはエチル又はメチル)、又はアリール基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜15、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリール基、さらに好ましくはフェニル)が好ましい。Rはより好ましくは水素原子である。
本明細書において各一般式の説明における置換基「R」は、すべて上記Aにおける置換基Rと同義であり、好ましい形態も同じである。
はO、S、NH又はN−*を示し、S又はN−*が好ましい。*は連結部位を示す。
本明細書において各一般式の説明における「*」はいずれも連結部位(ポリマーの好ましくは側基に組み込まれるための連結部位)を示す。
及びAが共にOであることはない。
はC(R)、NR、O又はSを示す。GはNH、O又はSが好ましい。
xは水素原子又は連結部位を示す。
一般式(3)中、AはO、S又はNRを示し、O又はSが好ましい。
はSH、S−*、OH、O−*、NH、NR−*又はN=*を示し、NR−*、S−*、O−*が好ましい。
はC(R)、NH、N−*、O又はSを示し、GはNH、O又はSが好ましい。
xは一般式(1)におけるxと同義である。
yは連結部位(ポリマーの好ましくは側基に組み込まれるための連結部位)を示す。
一般式(4)中、A及びAはSH、S−*、OH、O−*、NH、NR−*又はN=*を示す。
はC(R)、NR、O又はSを示す。GはC(R)が好ましい。
xは一般式(1)におけるxと同義である。
一般式(5)中、AはO、S又はNRを示し、O又はSが好ましい。
10はN−*、S又はOを示し、N−*が好ましい。
xは一般式(1)におけるxと同義である。
一般式(6)中、A11はO、S又はNRを示し、O又はSが好ましい。
12はSH、S−*、OH、O−*、NH、NR−*又はN=*を示す。
xは一般式(1)におけるxと同義である。
yは一般式(3)におけるyと同義である。
一般式(7)中、A13及びA14はSH、S−*、OH、O−*、NH、NR−*又はN=*を示し、S−*、NR−*が好ましい。
xは一般式(1)におけるxと同義である。
一般式(8)中、A15はO、S又はNRを示し、O又はSが好ましい。
16はS−*、O−*、又はNR−*を示す。
はCR又はNを示し、CRが好ましい。
はC(R)、O、S又はNRを示し、なかでもC(R)が好ましい。
xは一般式(1)におけるxと同義である。
本発明に用いるポリマーは、上記一般式(1)、(3)、(5)、(6)及び(8)の各式で表される部分構造の少なくとも1種を有する構造単位を少なくとも1種含むことが好ましく、下記式(8)で表される部分構造を有する構造単位を少なくとも1種含むことがより好ましい。
本発明に用いるポリマーは下記構造単位Q(繰り返し単位Q)からなることが好ましく、ポリマー中の下記構造単位Qの一部又は全部において、置換基であるRが上記一般式(1)及び(3)〜(8)の各式で表される構造単位の少なくとも1種を含むことが好ましい。下記構造中、Rは水素原子又はメチルを示す。
Figure 0006182096
本発明のポリマー中の、上記一般式(1)及び(3)〜(8)の各式で表される部分構造の含有量は合計で、0.1〜3.0mmol/gであることが好ましく、0.5〜2.0mmol/gであることがより好ましい。
本発明のポリマーが上記構造単位Qからなる場合、ポリマー中の全ての構造単位Qのモル量に占める、上記一般式(1)及び(3)〜(8)の各式で表される部分構造の少なくとも1種を置換基R中に有する構造単位Qのモル量の割合は、0.5〜60モル%であることが好ましく、3〜40モル%であることがより好ましい。
本発明に用いるポリマーは、より好ましくは下記一般式(1a)(3a)及び(5a)〜(8a)の各式で表される部分構造の少なくとも1種を有する構造単位を少なくとも1種含むことが好ましい。
Figure 0006182096
一般式(1a)は一般式(1)の部分構造の好ましい形態を表す。一般式(1a)中、A及びGは、それぞれ一般式(1)におけるA及びGと同義であり、好ましい形態も同じである。
は連結部位(ポリマーの好ましくは側基に組み込まれるための連結部位)を示す。
は複素環を示す。Zは複素単環であってもよいし、縮合複素環であってもよい。Zは芳香族複素環であることも好ましい。Zが複素単環の場合、5員環又は6員環が好ましく、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環が挙げられる。Zが縮合複素環の場合、5員環又は6員環の複素環にベンゼン環が縮合した形態が好ましい。Zは環構成原子に酸素原子又は硫黄原子を含んでもよい。Zはポリマー中(好ましくはポリマー側基中)に組み込まれるための連結部位を含んでもよい。
一般式(3a)は一般式(3)の部分構造の好ましい形態を表す。一般式(3a)中、A及びGは、それぞれ一般式(3)におけるA及びGと同義であり、好ましい形態も同じである。
は一般式(1a)におけるxと同義である。
6aはNR、N、S又はOを示す。A6aは、NR、N又はSが好ましい。
はN又はCRを示す。
は複素環を示す。Zは複素単環であってもよいし、縮合複素環であってもよい。Zは芳香族複素環であることも好ましい。Zが複素単環の場合、5員環又は6員環が好ましく、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環が挙げられる。Zが縮合複素環の場合、5員環又は6員環の複素環にベンゼン環が縮合した形態が好ましい。Zはポリマー中(好ましくはポリマー側基中)に組み込まれるための連結部位を含んでもよい。
一般式(5a)は一般式(5)の部分構造の好ましい形態を表す。一般式(5a)中、Aは一般式(5)におけるAと同義であり、好ましい形態も同じである。
は一般式(1a)におけるxと同義である。
は複素環を示し、複素単環が好ましい。また、Zは芳香族複素環であることも好ましい。Zが複素単環の場合、5員環又は6員環が好ましく、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環が挙げられる。また、Zは環構成原子として窒素原子を2つ以上含むことも好ましい。Zはポリマー中(好ましくはポリマー側基中)に組み込まれるための連結部位を含んでもよい。
一般式(6a)は一般式(6)の部分構造の好ましい形態を表す。一般式(6a)中、A11は一般式(6)におけるA11と同義であり、好ましい形態も同じである。
は一般式(1a)におけるxと同義である。
12aはNR、S又はOを示し、N又はSが好ましく、Sがさらに好ましい。Lは一般式(3a)におけるLと同義である。
は複素環を示し、複素単環が好ましい。また、Zは芳香族複素環であることも好ましい。Zが複素単環の場合、5員環又は6員環が好ましく、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環が挙げられる。また、Zは環構成原子として窒素原子を2つ以上含むことも好ましい。また、Zはチエニル基であることも好ましい。Zはポリマー中(好ましくはポリマー側基中)に組み込まれるための連結部位を含んでもよい。
一般式(7a)は一般式(7)の部分構造の好ましい形態を表す。一般式(7a)中、A13及びA14は、それぞれ一般式(7)におけるA13及びA14と同義である。A13及びA14はNH−*、O−*又はS−*が好ましい。
は環構造を示す。Zは炭化水素環でも複素環でもよい。Zは芳香環であることが好ましい。また、Zは単環であっても縮合多環構造であってもよい。Zはより好ましくは炭化水素環であり、芳香族炭化水素環であることがさらに好ましく、ベンゼン環がさらに好ましい。Zが複素環の場合、上記Zで例示した複素環の構造が挙げられる。Zはポリマー中(好ましくはポリマー側基中)に組み込まれるための連結部位を含んでもよい。
一般式(8a)は一般式(8)の部分構造の好ましい形態を表す。一般式(8a)中、A15、G及びLは、それぞれ一般式(8)におけるA15、G及びLと同義であり、好ましい形態も同じである。
は一般式(1a)におけるxと同義である。
16aはS、O、又はNRを示す。Rは一般式(1)におけるRと同義であり、好ましい形態も同じである。A16aはS又はNHがより好ましい。
は複素環を示す。Zは複素単環であってもよいし、縮合複素環であってもよい。Zが複素単環の場合、5員環又は6員環が好ましく、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環が挙げられる。Zが縮合複素環の場合、5員環又は6員環の複素環にベンゼン環が縮合した形態が好ましい。Zが芳香族複素環ではないことが好ましい(Zが芳香族複素環ではないとは、縮合複素環の場合は、少なくとも、LとA16aを含む環が芳香環でないことを意味する。すなわち、LとA16aを含む環に対して縮合する環は芳香環であってもよい。)。Zはポリマー中(好ましくはポリマー側基中)に組み込まれるための連結部位を含んでもよい。
本発明の方法に用いるポリマーは、上記一般式(1a)、(3a)、(5a)、(6a)及び(8a)の各式で表される部分構造の少なくとも1種を有する構造単位を少なくとも1種含むことが好ましく、下記式(8a)で表される部分構造を有する構造単位を含むことがより好ましい。
本発明のポリマー中、上記一般式(1a)(3a)及び(5a)〜(8a)の各式で表される部分構造の含有量は合計で、0.1〜3.0mmol/gであることが好ましく、0.5〜2.0mmol/gであることがより好ましい。
本発明のポリマーが上記構造単位Qからなる場合、ポリマー中の全ての構造単位Qのモル量に占める、上記一般式(1a)(3a)及び(5a)〜(8a)の各式で表される部分構造の少なくとも1種を置換基R中に有する構造単位Qのモル量の割合は、0.5〜60モル%であることが好ましく、3〜40モル%であることがより好ましい。
本発明に用いるポリマーは、モノマー成分として(メタ)アクリル酸エステル成分を含有し、この(メタ)アクリル酸エステルのアルコール部が上記一般式(1)及び(3)〜(8)あるいは(1a)(3a)及び(5a)〜(8a)のいずれかで表される部分構造を有することが好ましい。ここで、アルコール部に上記部分構造を有する態様には、(メタ)アクリル酸エステルの当該エステル結合のカルボニル基を上記部分構造の一部に含む態様が含まれる。
さらに好ましくは、本発明に用いるポリマーは下記一般式(P)で表される構造単位(繰り返し単位)を含む。
Figure 0006182096
一般式(P)中、A15、A16a、G及びLは、それぞれ一般式(8a)におけるA15、A16a、G及びLと同義であり、好ましい形態も同じである。
は水素原子又はメチルを示す。LはO、S又はNRを示し、Oがより好ましい。
は2価の連結基を示す。Lは好ましくは−[(CRR)−L−である。mは1〜6の整数であり、より好ましくは2〜4の整数である。nは1〜6の整数であり、より好ましくは1〜3の整数である。Lは上記Lと同義であり好ましい形態も同じである。
より好ましくは、LがOで、且つ、Lが−[(CH−O]−である(mとnは上記と同義)。
8aは複素環を示す。Z8aは複素単環であってもよいし、縮合複素環であってもよい。Zが複素単環の場合、5員環又は6員環が好ましく、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環が挙げられる。Zが縮合複素環の場合、5員環又は6員環の複素環にベンゼン環が縮合した形態が好ましい。Z8aは芳香族複素環ではないことが好ましい(Z8aが芳香族複素環ではないとは、縮合複素環の場合は、少なくとも、LとA16aを含む環が芳香環でないことを意味する。すなわち、LとA16aを含む環に対して縮合する環は芳香環であってもよい)。
本発明のポリマー中、上記一般式(P)で表される構造単位の含有量が、0.1〜3.0mmol/gであることが好ましく、0.5〜2.0mmol/gであることがより好ましい。
本発明のポリマーが上記構造単位Qからなる場合、ポリマー中の全ての構造単位Qのモル量に占める、上記一般式(P)で表される構造単位のモル量の割合は、0.5〜60モル%であることが好ましく、3〜40モル%であることがより好ましい。
以下、本発明に用いうるポリマーが有する構造単位の好ましい構造を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、下記ではポリマーの構造単位と上記部分構造の一般式との対応も示す。
Figure 0006182096
Figure 0006182096
Figure 0006182096
本発明に用いるポリマーは、膜分離処理による分離をより確実に行うために、数平均分子量は7000以上が好ましく、10000〜100000がより好ましく、10000〜50000がさらに好ましい。本明細書において数平均分子量は、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により求められる。
本発明に用いるポリマーは単独重合体であっても共重合体であってもよいが、共重合体であることが好ましい。共重合体はランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよいが、ランダム共重合体が好ましい。
本発明に用いるポリマーが上記構造単位Qからなる共重合体である場合、一般式(1)及び(3)〜(8)あるいは(1a)(3a)及び(5a)〜(8a)の各式で表される部分構造の少なくとも1種を置換基R中に有する構造単位Qの1種又は2種以上に加えて、さらに、下記構造単位の少なくとも1種を含むことも好ましい。ポリマー中への下記構造単位の含有量は、ポリマーが所望のSP値となるように適宜に調整される。
Figure 0006182096
上記式中、R、L及びLは、それぞれ一般式(P)におけるR、L及びLと同義であり、好ましい形態も同じである。Rは水素原子又は置換基を示す。Rは置換基である場合、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基(好ましくはフェニル)が好ましい。Rはより好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、さらに好ましくはエチル又はメチルである。
[有機溶媒溶液中へのポリマーの溶解]
金属と複合体を形成するポリマーの有機溶媒溶液中への溶解方法は特に制限されない。有機溶媒溶液中にポリマーを溶解する温度に特に制限はなく、通常は有機溶媒溶液の温度を10〜90℃、好ましくは20〜60℃としてポリマーを溶解させる。溶解は撹拌しながら行うことが好ましい。
有機溶媒溶液中にポリマーを溶解することで、ポリマーが金属と相互作用し、複合体を形成する。複合体を形成させるための温度に特に制限はないが、通常は10〜90℃、好ましくは20〜60℃の温度下で行われる。複合体を形成させるための時間も特に制限はなく、目的の金属除去率となるように適宜に調整されるが、通常は1〜24時間とする。複合体は撹拌しながら形成させることが好ましい。形成された複合体は有機溶媒溶液に溶けていても不溶化して析出してもよいが、膜分離処理の簡便さの観点で、複合体が有機溶媒溶液に溶けていることが好ましい
機溶媒溶液中における一般式(1)及び(3)〜(8)のいずれかの式で表される部分構造の合計モル量、あるいは有機溶媒溶液中における一般式(1a)(3a)及び(5a)〜(8a)のいずれかの式で表される部分構造の合計モル量を、有機溶媒溶液中の金属のモル量の1〜50倍とすることが好ましく、2〜30倍とすることが好ましい。有機溶媒溶液中のポリマーの濃度は0.01〜3質量%とすることが好ましい。
[膜分離処理]
本発明の方法では、金属とポリマーの複合体は膜分離処理により分離、除去される。膜分離処理に用いる膜は、使用したポリマーの阻止率が98%以上であることが好ましく、99〜100%であることがより好ましい。この阻止率は、本発明の方法の実施に際して採用される膜分離処理条件における阻止率であり下記式で求められる。

阻止率(%)=100×{1−[透過液中ポリマー濃度(質量%)/膜分離処理前の溶液中のポリマー濃度(質量%)]}

また、膜分離処理に用いる膜として、ポリマー以外の目的物質(例えば触媒反応の反応生成物)が透過できる分画分子量の膜を用いる。目的物質の膜透過率は70〜100%が好ましく、80〜100%がより好ましく、90〜100%がさらに好ましい。透過率(%)は「100−阻止率(%)」で求められる。膜の材質に特に制限はなく、有機膜であっても無機膜であってもよいが、耐熱性、耐薬品性の観点から無機膜を用いるのが好ましく、セラミック膜を用いるのがより好ましい。セラミック膜の材質としては、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニアなどが挙げられる。また、炭化ケイ素や窒化ケイ素からなるセラミック膜を用いることもできる。また、複数の材料で構成される膜を用いてもよい。膜分離処理において、ポリマーは膜を透過しにくいため、ポリマーと金属の複合体と、その他の溶液成分(有機溶媒、反応生成物等の低分子量成分)とを分離することができ、有機溶媒溶液から金属を除去することができる。
本発明に方法において、膜分離処理に用いる膜は膜モジュールの形態であることが好ましい。膜モジュールは、耐圧性の観点からモノリス型又はスパイラル型であることが好ましい。
本発明の方法において、膜分離処理は、膜モジュールを用いたクロスフロー方式の膜ろ過処理であることが好ましい。クロスフロー方式の膜ろ過処理において、膜モジュールは1つであってもよいし、複数の膜モジュールを直列あるいは並列に配置して用いることもできる。
膜分離処理を実施する際のろ過圧は、使用する膜モジュールの最高使用圧力以下であれば特に制限は無いが、0.1〜1.0MPaの範囲内として実施することが好ましく、0.3〜0.7MPaとすることが更に好ましい。
また、膜分離処理の際の流速に特に制限はないが、各膜モジュールにおける膜面線速度を0.3〜4m/sの範囲内として実施することが好ましい。
膜分離処理の温度は、使用する膜素材や反応生成物等の精製対象によって適宜に調節されるが。通常は10〜90℃、好ましくは20〜60℃の温度下で行われる。
膜分離処理は、市販の膜分離装置を用いて行うこともできる。例えば、INSIDE DisRAM(登録商標、TAMI社製)等を用いることができる。
以下に実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[合成例1]
(1)
2−アセトアセトキシエチルメタクリレート51.3g、メタクリル酸メチル68.7g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下PGMEAと表す)130gを、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機(新東科学(株):スリーワンモータ)にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して75℃まで昇温した。これにジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬(株)製V−601)を1.58g加え、75℃にて4時間加熱攪拌を行った。4時間後、さらにV−601を0.32g加え、80℃に昇温して更に4時間攪拌して反応を終了した。室温まで放冷し、PGMEA83.3gを加えて下記繰り返し単位からなるランダムポリマーのPGMEA溶液を得た。
得られたポリマーのPGMEA溶液100gを500gのメタノールに投入して固体を析出させた。固体をろ別して500gのメタノールで2回洗浄した後、全量が100gとなるようトルエンを加えて完溶するまで攪拌して、ポリマーのトルエン溶液を得た。このポリマーの数平均分子量は36000であり、トルエン溶液の固形分は35.4質量%であった。下記繰り返し単位(a)と(b)のモル比は(a):(b)=74:26である。
Figure 0006182096
(2)
上記ポリマーのトルエン溶液15.6g、o−アミノチオフェノール1.25g、及びp−トルエンスルホン酸19mgを窒素雰囲気下75℃に加熱した。反応で生成する水を留去しながら同温度で2時間反応させた後、トルエン16.9gを添加して室温まで放冷し、下記繰り返し単位からなるランダムポリマーAのトルエン溶液を得た。ポリマーAの数平均分子量は41300、ポリマーAのトルエン溶液の固形分は19.3質量%であった。また、下記繰り返し単位(c)の濃度の計算値は2.0mmol/gである。下記繰り返し単位(a)、(b)および(c)のモル比は、(a):(b):(c)=74:2:24である。
Figure 0006182096
[合成例2]
(1)
2−アミノピリミジン14.3gをピリジン45gに溶解させ、50℃に加熱した。これに2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート25.6gを滴下し、50℃でさらに8時間加熱攪拌を行った。この反応液を蒸留水400gに攪拌しながら注ぎ、得られた析出物を濾別、洗浄することで、下記構造のモノマー27.9gを得た。
H−NMR同定データ(化学シフト値)の結果は以下の通りである。
H−NMR(300MHz,CDCl):1.97(3H,t)、3.71(2H,q)、4.33(2H,t)、5.60(1H,t)、6.17(1H,m)、6.92(1H,t)、8.53(2H,d)、8.65(1H,d br)、9.28(1H,t br)
Figure 0006182096
(2)
上記モノマーを6.3g、メタクリル酸メチル43.8g、及び1−メチル−2−ピロリジノン(以下NMPと表す)93gを、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して75℃まで昇温した。これにV−601を0.79g加え、75℃にて2時間加熱攪拌を行った。2時間後、さらにV−601を0.16g加え、80℃に昇温して更に3時間攪拌して反応を終了した。室温まで放冷し、反応液を700mLの蒸留水に投入して固体を析出させた。固体をろ別して500gのメタノールで2回洗浄した後、乾燥して下記繰り返し単位からなるランダムポリマーBの粉末を得た。ポリマーBの数平均分子量は34200であった。また、下記繰り返し単位(d)の濃度の計算値は0.5mmol/gである。下記繰り返し単位(a)と(d)のモル比は、(a):(d)=95:5である。
Figure 0006182096
[合成例3]
(1)
2−アミノベンゾチアゾール12.0gをピリジン24gに溶解させ、50℃に加熱した。これに2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート13.7gを滴下し、50℃でさらに3時間加熱攪拌を行った。この反応液を蒸留水200gに攪拌しながら注ぎ、得られた析出物を濾別、洗浄することで、下記構造のモノマーを24.7g得た。
H−NMR同定データ(化学シフト値)の結果は以下の通りである。
H−NMR(300MHz,CDCl):1.96(3H,s)、3.73(2H,q)、4.36(2H,t)、5.60(1H,t)、6.18(1H,s)、7.26(1H,dt)、7.40(1H,dt)、7.72(2H,t)、8.09(1H,s br)、10.63(1H,s br)
Figure 0006182096
(2)
上記モノマーを7.7g、メタクリル酸メチル42.6g、及びNMP93gを、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して75℃まで昇温した。これにV−601を0.77g加え、75℃にて2時間加熱攪拌を行った。2時間後、さらにV−601を0.15g加え、80℃に昇温して更に3時間攪拌して反応を終了した。室温まで放冷し、反応液を700mLのメタノールに投入して固体を析出させた。固体をろ別して500mLのメタノールで2回洗浄した後、NMPを加えて完溶するまで攪拌して、下記繰り返し単位からなるランダムポリマーCのNMP溶液を得た。ポリマーCの数平均分子量は30400であり、ポリマーCのNMP溶液の固形分は13.2質量%であった。また、下記繰り返し単位(e)の濃度の計算値は0.5mmol/gである。下記繰り返し単位(a)と(e)のモル比は、(a):(e)=94:6である。
Figure 0006182096
[合成例4]
(1)
ヒドロキシエチルメタクリレート17.8g、トリエチルアミン15.1gをTHF177gに加えて氷冷した。これにチエニルクロリド20gを滴下した後、室温に戻して9時間攪拌した。9時間後、生成した白色固体をろ別し、ろ液に酢酸エチル100mL、蒸留水100mLを加えて油相を抽出した。抽出した油相は、1%塩酸水溶液100mL、5%炭酸水素ナトリウム水溶液100mL、10%食塩水100mLで洗浄して、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して下記構造のモノマーを32.2g得た。
H−NMR同定データ(化学シフト値)の結果は以下の通りである。
H−NMR(300MHz,CDCl):1.95(3H,s)、4.45−4.48(2H,m)、4.54−4.56(2H,m)、5.59(1H,m)、6.15(1H,m)、7.11(1H,dd)、7.58(1H,dd)、7.82(1H,dd)
Figure 0006182096
(2)
上記モノマーを12.0g、メタクリル酸メチル38.0g、及びNMP93gを、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して75℃まで昇温した。これにV−601を0.73g加え、75℃にて2時間加熱攪拌を行った。2時間後、さらにV−601を0.15g加え、80℃に昇温して更に3時間攪拌して反応を終了した。室温まで放冷し反応液を700mLのメタノールに投入して固体を析出させた。固体をろ別して700mLのメタノールで2回洗浄した後、乾燥し、下記繰り返し単位からなるランダムポリマーDを得た。ポリマーDの数平均分子量は25300であった。また、下記繰り返し単位(f)の濃度の計算値は1.0mmol/gである。下記繰り返し単位(a)と(f)のモル比は、(a):(f)=88:12である。
Figure 0006182096
[合成例5]
(1)
p−クロロメチルスチレン22.9g、o−チオアニシジン20.9g、トリエチルアミン30.4g及びトルエン300mLを加え、100℃に加熱した。この温度で2日間反応を行い、室温まで冷却して生成した白色固体をろ別した。ろ液にn−ブチルジメチルアミン4.56gを加えて、再度100℃で3時間加熱した。3時間後、室温まで冷却して生成した白色固体をろ別した。ろ液に蒸留水300mLを加えて油相を抽出した。抽出した油相は、1%塩酸水溶液240mL、5%炭酸水素ナトリウム水溶液300mL、10%食塩水300mLで洗浄して、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して下記構造のモノマーを24.4g得た。
Figure 0006182096
(2)
上記モノマーを12.8g、スチレン37.2g、及びNMP93gを、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して75℃まで昇温した。これにV−601を0.70g加え、75℃にて2時間加熱攪拌を行った。2時間後、さらにV−601を0.14g加え、80℃に昇温して更に3時間攪拌して反応を終了した。室温まで放冷し反応液を700mLのメタノールに投入して固体を析出させた。固体をろ別して700mLのメタノールで2回洗浄した後、乾燥し、下記繰り返し単位からなるポリマーEを得た。ポリマーEの数平均分子量は18400であった。また、下記繰り返し単位(h)の濃度の計算値は1.0mmol/gである。下記繰り返し単位(g)と(h)のモル比は、(g):(h)=88:12である。
Figure 0006182096
[比較合成例1]
(1)
2−アセトアセトキシエチルメタクリレート51.4g、スチレン68.6g、及びPGMEA130gを、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して75℃まで昇温した。これにV−601を1.54g加え、75℃にて4時間加熱攪拌を行った。4時間後、さらにV−601を0.31g加え、80℃に昇温して更に4時間攪拌して反応を終了した。室温まで放冷し、PGMEA83.3gを加えて下記繰り返し単位からなるランダムポリマーのPGMEA溶液を得た。
得られたポリマーのPGMEA溶液100gを500gのメタノールに投入して固体を析出させた。固体をろ別して500gのメタノールで2回洗浄した後、全量が100gとなるようトルエンを加えて完溶するまで攪拌してポリマーのTHF溶液を得た。このポリマーの数平均分子量は24300であり、THF溶液の固形分は35.0質量%であった。下記繰り返し単位(g)と(b)のモル比は、(g):(b)=73:27である。
Figure 0006182096
(2)
上記で得られたポリマーのTHF溶液14.3g、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール1.25gを窒素雰囲気下45℃に加熱した。2時間同温度で反応させた後、THF15.6gを添加して室温まで放冷し、下記繰り返し単位からなるランダムポリマーFのTHF溶液を得た。ポリマーFの数平均分子量は30000であり、ポリマーFのTHF溶液の固形分は24.8質量%であった。また、下記繰り返し単位(i)の濃度の計算値は2.0mmol/gである。下記繰り返し単位(g)、(b)および(i)のモル比は、(g):(b):(i)=73:2:25である。
Figure 0006182096
[調製例1]
以下の方法にて、Buchwald−Hartwig反応の結果得られるPd含有反応液を調製した。
p−トリフルオロメチルブロモベンゼン7.50g、ベンジルアミン3.93g及びトルエン100mLを窒素置換した三口フラスコに導入して攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら(R)−(+)−BINAP228mg、Pd(dba)153mg、ナトリウム−t−ブトキシド4.48gをこの順に加えて80℃に加熱した。同温度で2時間加熱して反応させ、放冷後セライトろ過で不溶分を除去した。ろ液にトルエン50mL、蒸留水100mLを加えて油相を抽出した。油相は10%食塩水100mLで洗浄し、全量が400mLとなるようにNMPを加えてPd含有反応液を調製した。このPd含有反応液のPd濃度をICP発光分光器(島津製作所製ICPS−8100)にて測定したところ、67.6ppm(質量基準、以下同様)であった。
[調製例2]
全量が400mLとなるように加える溶媒をNMPの代わりにTHFを用いたこと以外は調製例1と同様にしてPd含有反応液を調製した。Pd含有反応液のPd濃度をICP発光分光器にて測定したところ、74ppmであった。
[実施例1]
調製例1で得られたPd含有反応液100gの中に、合成例1で得たポリマーAのトルエン溶液(固形分19.3質量%)を0.648g加えて室温で2時間攪拌した。その後、この液を膜分離装置(TAMI社製INSIDE DisRAMTM)を用いた膜分離処理に付し、分画分子量5000のセラミック膜を透過する液を回収した。透過液の残存Pd濃度をICP発光分光器にて測定した。膜分離処理の条件を以下に示す。
(膜分離処理条件)
−膜面線速度:0.5m/s
−膜間差圧:0.3MPa
−温度:25℃
[実施例2]
実施例1において合成例1で得たポリマーAのトルエン溶液の代わりに、合成例2で合成したポリマーBを0.501g加えたこと以外は実施例1と同様にして透過液の残存Pd濃度をICP発光分光器にて測定した。
[実施例3]
実施例1において合成例1で得たポリマーAのトルエン溶液の代わりに、合成例3で合成したポリマーCのNMP溶液(固形分13.2質量%)を3.80g加えたこと以外は実施例1と同様にして透過液の残存Pd濃度をICP発光分光器にて測定した。
[実施例4]
実施例1において合成例1で得たポリマーAのトルエン溶液の代わりに、合成例4で合成したポリマーDを0.251g加えたこと以外は実施例1と同様にして透過液の残存Pd濃度をICP発光分光器にて測定した。
[実施例5]
実施例1において合成例1で得たポリマーAのトルエン溶液の代わりに、合成例5で合成したポリマーEを0.251g加えたこと以外は実施例1と同様にして透過液の残存Pd濃度をICP発光分光器にて測定した。
[実施例6]
実施例1において調製例1で得られたPd含有反応液の代わりに、調製例2で得られたPd含有反応液100gを用いたこと以外は実施例1と同様にして透過液の残存Pd濃度をICP発光分光器にて測定した。
[実施例7]
実施例3において調製例1で得られたPd含有反応液の代わりに、調製例2で得られたPd含有反応液100gを用いたこと以外は実施例3と同様にして透過液の残存Pd濃度をICP発光分光器にて測定した。
[実施例8]
実施例4において調製例1で得られたPd含有反応液の代わりに、調製例2で得られたPd含有反応液100gを用いたこと以外は実施例4と同様にして透過液の残存Pd濃度をICP発光分光器にて測定した。
[比較例1]
実施例1において合成例1で得たポリマーAのトルエン溶液の代わりに、比較合成例1で合成したポリマーFのTHF溶液(固形分24.8質量%)を0.504g加えたこと以外は実施例1と同様にして透過液の残存Pd濃度をICP発光分光器にて測定した。
[比較例2]
実施例2において調製例1で得られたPd含有反応液の代わりに、調製例2で得られたPd含有反応液100gを用いたこと以外は実施例2と同様にして透過液の残存Pd濃度をICP発光分光器にて測定した。
[比較例3]
調製例1で得られたPd含有反応液100gの中に、市販の金属捕捉剤であるQuadraPureTMEDA 0.143gを加えて室温で2時間攪拌した。その後、金属捕捉剤をろ過で除去して実施例1と同様にしてろ液の残存Pd濃度をICP発光分光器で測定した。
[実施例9]
実施例1において合成例1で得たポリマーAのトルエン溶液を加えた後に攪拌した時間を18時間に変えたこと以外は実施例1と同様にして透過液の残存Pd濃度をICP発光分光器にて測定した。
[実施例10]
酢酸銅(II)29mgに、THFを加えて全量を100mLとし、室温にて攪拌して溶解させた。この酢酸銅溶液の中に合成例2で合成したポリマーBを0.944g加えて室温で2時間攪拌した。その後、この液を実施例1と同様にして膜分離処理に付し、分画分子量5000のセラミック膜を透過する液を回収した。ポリマーBを添加する前の溶液および透過液の残存Cu濃度をICP発光分光器にて測定した。
[実施例11]
実施例10において合成例2で合成したポリマーBの代わりに、合成例5で合成したポリマーEを0.470g加えたこと以外は実施例1と同様にして透過液の残存Pd濃度をICP発光分光器にて測定した。
[比較例4]
酢酸銅(II)29mgに、NMPを加えて全量を100mLとし、室温にて攪拌して溶解させた。この酢酸銅溶液の中に実施例10と同様にして合成例5で合成したポリマーEを0.944g加えて室温で2時間攪拌した。その後、この液を実施例10と同様にして膜分離処理に付し、分画分子量5000のセラミック膜を透過する液を回収した。ポリマーEを添加する前の溶液および透過液の残存Cu濃度をICP発光分光器にて測定した。
なお、上記各実施例及び比較例はすべて、有機溶媒溶液中の金属のモル量と、有機溶媒溶液中の、ポリマーが有する一般式(1)〜(8)(一般式(1a)〜(3a)及び(5a)〜(8a))の各式で表される部分構造のモル量の比を、金属:部分構造=1:3としており、金属に対してポリマーを十分量溶解している。
結果を下表に示す。下記表1中、金属除去率(質量%)は下記式により求めた。

金属除去率(質量%)
=100−[100×(透過液中の金属濃度)/(ポリマー溶解前の金属濃度)]
Figure 0006182096
表1に示されるように、ポリマーのSP値と有機溶媒のSP値との差が本発明で規定するよりも大きい比較例1、2及び市販の金属捕捉剤であるビース(不溶性)を用いた比較例3では、パラジウムの除去効率が著しく劣る結果となった。これに対しポリマーのSP値と有機溶媒のSP値との差を本発明で規定する範囲内とした実施例1〜8では、いずれも高いパラジウム除去率を示した。また、実施例9の結果から、複合体形成時間を長くすることで、溶液中の金属をほぼすべて分離除去できることもわかる。
上記の傾向は金属として銅を用いた場合にも同様に認められた。すなわち、ポリマーのSP値と有機溶媒のSP値との差が本発明で規定するよりも大きい比較例4に比べて、SP値の差が本発明で規定する範囲内にある実施例10及び11において、銅の分離除去効率が大きく向上することがわかった。
上記の結果から、本発明の方法が、有機溶媒溶液中の金属の分離、除去効率に優れることがわかる。

Claims (9)

  1. 金属を含有する有機溶媒溶液中にポリマーを溶解して該金属と該ポリマーとの複合体を形成させ、該複合体を膜分離処理により分離、除去することを含む有機溶媒溶液中の金属除去方法であって、
    前記有機溶媒のSP値と前記ポリマーのSP値との差の絶対値が2.5以下であり、
    前記ポリマーが、下記一般式(1)及び(3)〜(8)の各式で表される部分構造の少なくとも1種を有する構造単位を含む有機溶媒溶液中の金属除去方法。
    Figure 0006182096

    一般式(1)中、A はO、S又はNRを示し、A はO、S、NH又はN−*を示す。A 及びA が共にOであることはない。G はC(R) 、NR、O又はSを示す。
    一般式(3)中、A はO、S又はNRを示し、A はSH、S−*、OH、O−*、NH 、NR−*又はN=*を示す。G はC(R) 、NH、N−*、O又はSを示す。
    一般式(4)中、A 及びA はSH、S−*、OH、O−*、NH 、NR−*又はN=*を示す。G はC(R) 、NR、O又はSを示す。
    一般式(5)中、A はO、S又はNRを示し、A 10 はN−*、S又はOを示す。
    一般式(6)中、A 11 はO、S又はNRを示し、A 12 はSH、S−*、OH、O−*、NH 、NR−*又はN=*を示す。
    一般式(7)中、A 13 及びA 14 はSH、S−*、OH、O−*、NH 、NR−*又はN=*を示す。
    一般式(8)中、A 15 はO、S又はNRを示し、A 16 はS−*、O−*、又はNR−*を示す。L はCR又はNを示す。G はC(R) 、O、S又はNRを示す。
    上記一般式(1)及び(3)〜(8)において、Rは水素原子又は置換基を示す。*及びyは連結部位を示し、xは水素原子又は連結部位を示す。
  2. 前記金属が、アルミニウム、銀、金、カドミウム、クロム、コバルト、銅、鉄、水銀、ニッケル、オスミウム、鉛、パラジウム、プラチナ、ロジウム、ルテニウム、スズ、バナジウム及び亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属である、請求項1に記載の有機溶媒溶液中の金属除去方法。
  3. 前記の金属を含有する有機溶媒溶液が、金属触媒の存在下で行う触媒反応の反応生成物を含む反応溶液であり、除去対象となる前記金属が前記金属触媒の金属である、請求項1又は2に記載の有機溶媒溶液中の金属除去方法。
  4. 前記ポリマーが下記一般式(1a)(3a)及び(5a)〜(8a)の各式で表される部分構造の少なくとも1種を有する構造単位を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機溶媒溶液中の金属除去方法。
    Figure 0006182096
    一般式(1a)中、A及びGは、それぞれ一般式(1)におけるA及びGと同義である。Zは複素環を示す
    般式(3a)中、A及びGは、それぞれ一般式(3)におけるA及びGと同義である。A6aはNR、N、S又はOを示す。Lは上記一般式(8)におけるLと同義である。Zは複素環を示す。
    一般式(5a)中、Aは一般式(5)におけるAと同義である。Zは複素環を示す。
    一般式(6a)中、A11は一般式(6)におけるA11と同義である。Zは複素環を示す。A12aはNR、S又はOを示す。Lは上記一般式(8)におけるLと同義である。
    一般式(7a)中、A13及びA14は、それぞれ一般式(7)におけるA13及びA14と同義である。Zは環構造を示す。
    一般式(8a)中、A15、G及びLは、それぞれ一般式(8)におけるA15、G及びLと同義である。A16aはS、O、又はNRを示す。Zは複素環を示す。
    上記(1a)(3a)及び(5a)〜(8a)において、Rは水素原子又は置換基を示し、xは連結部位を示す。
  5. 前記ポリマーが下記構造単位Qからなり、前記ポリマー中の下記構造単位Qの一部又は全部において、置換基R が前記一般式(1a)、(3a)及び(5a)〜(8a)の各式で表される部分構造の少なくとも1種を有する、請求項4に記載の有機溶媒溶液中の金属除去方法。
    Figure 0006182096
    式中、R は水素原子又はメチルを示す。
  6. 前記ポリマーがモノマー成分として(メタ)アクリル酸エステル成分を含有し、該メタアクリル酸エステルのアルコール部が前記(1a)〜(3a)及び(5a)〜(8a)の各式で表される部分構造の少なくとも1種を有する、請求項5に記載の有機溶媒溶液中の金属除去方法。
  7. 前記ポリマーが、前記一般式(1a)、(3a)及び(6a)〜(8a)の各式で表される部分構造の少なくとも1種を有する構造単位を含む、請求項4〜6のいずれか1項に記載の有機溶媒溶液中の金属除去方法。
  8. 前記ポリマーが下記一般式(P)で表される構造単位を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の有機溶媒溶液中の金属除去方法。
    Figure 0006182096
    一般式(P)中、A15、A16a、G及びLは、それぞれ一般式(8a)におけるA15、A16a、G及びLと同義である。Rは水素原子又はメチルを示す。LはO、S又はNRを示し、Rは水素原子又は置換基を示す。Lは2価の連結基を示す。Z8aは複素環を示す。
  9. 前記膜分離処理に用いる膜が無機膜である、請求項1〜のいずれか1項に記載の有機溶媒溶液中の金属除去方法。
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