JP6182096B2 - 有機溶媒溶液中の金属除去方法 - Google Patents
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Description
また、上記特許文献2に記載の方法は、金属含有溶液が水溶液であり、有機化合物の合成において使用される有機溶媒系に適用できるものではない。
〔1〕
金属を含有する有機溶媒溶液中にポリマーを溶解して金属とポリマーとの複合体を形成させ、この複合体を膜分離処理により分離、除去することを含む有機溶媒溶液中の金属除去方法であって、
上記有機溶媒のSP値と上記ポリマーのSP値との差の絶対値が2.5以下であり、
上記ポリマーが、下記一般式(1)及び(3)〜(8)の各式で表される部分構造の少なくとも1種を有する構造単位を含む、有機溶媒溶液中の金属除去方法。
一般式(3)中、A 5 はO、S又はNRを示し、A 6 はSH、S−*、OH、O−*、NH 2 、NR−*又はN=*を示す。G 3 はC(R) 2 、NH、N−*、O又はSを示す。
一般式(4)中、A 7 及びA 8 はSH、S−*、OH、O−*、NH 2 、NR−*又はN=*を示す。G 4 はC(R) 2 、NR、O又はSを示す。
一般式(5)中、A 9 はO、S又はNRを示し、A 10 はN−*、S又はOを示す。
一般式(6)中、A 11 はO、S又はNRを示し、A 12 はSH、S−*、OH、O−*、NH 2 、NR−*又はN=*を示す。
一般式(7)中、A 13 及びA 14 はSH、S−*、OH、O−*、NH 2 、NR−*又はN=*を示す。
一般式(8)中、A 15 はO、S又はNRを示し、A 16 はS−*、O−*、又はNR−*を示す。L 1 はCR又はNを示す。G 5 はC(R) 2 、O、S又はNRを示す。
上記一般式(1)及び(3)〜(8)において、Rは水素原子又は置換基を示す。*及びyは連結部位を示し、xは水素原子又は連結部位を示す。
〔2〕
上記金属が、アルミニウム、銀、金、カドミウム、クロム、コバルト、銅、鉄、水銀、ニッケル、オスミウム、鉛、パラジウム、プラチナ、ロジウム、ルテニウム、スズ、バナジウム及び亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属である、〔1〕に記載の有機溶媒溶液中の金属除去方法。
〔3〕
金属を含有する有機溶媒溶液が、金属触媒の存在下で行う触媒反応の反応生成物を含む反応溶液であり、除去対象となる金属が金属触媒の金属である、〔1〕又は〔2〕に記載の有機溶媒溶液中の金属除去方法。
〔4〕
上記ポリマーが下記一般式(1a)、(3a)及び(5a)〜(8a)の各式で表される部分構造の少なくとも1種を有する構造単位を含む、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の有機溶媒溶液中の金属除去方法。
一般式(3a)中、A5及びG3は、それぞれ一般式(3)におけるA5及びG3と同義である。A6aはNR、N、S又はOを示す。L1は上記一般式(8)におけるL1と同義である。Z3は複素環を示す。
一般式(5a)中、A9は一般式(5)におけるA9と同義である。Z5は複素環を示す。
一般式(6a)中、A11は一般式(6)におけるA11と同義である。Z6は複素環を示す。A12aはNR、S又はOを示す。L1は上記一般式(8)におけるL1と同義である。
一般式(7a)中、A13及びA14は、それぞれ一般式(7)におけるA13及びA14と同義である。Z7は環構造を示す。
一般式(8a)中、A15、G5及びL1は、それぞれ一般式(8)におけるA15、G5及びL1と同義である。A16aはS、O、又はNRを示す。Z8は複素環を示す。
上記(1a)、(3a)及び(5a)〜(8a)において、Rは水素原子又は置換基を示し、x1は連結部位を示す。
〔5〕
上記ポリマーが下記構造単位Qからなり、上記ポリマー中の下記構造単位Qの一部又は全部において、置換基R P が上記一般式(1a)、(3a)及び(5a)〜(8a)の各式で表される部分構造の少なくとも1種を有する、〔4〕に記載の有機溶媒溶液中の金属除去方法。
〔6〕
上記ポリマーがモノマー成分として(メタ)アクリル酸エステル成分を含有し、この(メタ)アクリル酸エステルのアルコール部が上記(1a)〜(3a)及び(5a)〜(8a)の各式で表される部分構造の少なくとも1種を有する、〔5〕に記載の有機溶媒溶液中の金属除去方法。
〔7〕
上記ポリマーが、上記一般式(1a)、(3a)及び(6a)〜(8a)の各式で表される部分構造の少なくとも1種を有する構造単位を含む、〔4〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の有機溶媒溶液中の金属除去方法。
〔8〕
上記ポリマーが下記一般式(P)で表される構造単位を含む、〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の有機溶媒溶液中の金属除去方法。
一般式(P)中、A15、A16a、G5及びL1は、それぞれ一般式(8a)におけるA15、A16a、G5及びL1と同義である。R1は水素原子又はメチルを示す。L2はO、S又はNRを示し、Rは水素原子又は置換基を示す。L3は2価の連結基を示す。Z8aは複素環を示す。
〔9〕
膜分離処理に用いる膜が無機膜である、〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の有機溶媒溶液中の金属除去方法。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において、有機溶媒溶液中の除去対象となる金属は、有機溶媒溶液中に溶解しており、通常は錯体を形成して有機溶媒中に溶解している。すなわち、本発明において「金属」は金属錯体の形態で存在するものを含む意味である。有機溶媒溶液中に含まれる金属として、例えば、アルミニウム、銀、金、カドミウム、クロム、コバルト、銅、鉄、水銀、ニッケル、オスミウム、鉛、パラジウム、プラチナ、ロジウム、ルテニウム、スズ、バナジウム及び亜鉛からなる群から選ばれる金属が挙げられる。本発明の方法は、有機溶媒溶液中にパラジウム、銅、ニッケル、スズ及び亜鉛から選ばれる金属が含まれる場合に金属除去効率がより高まる。なかでも本発明の方法は、パラジウム及び銅の除去効率に優れる。
除去された金属ないし金属触媒は、他の反応における金属触媒として再利用することができる。なお、上記stillカップリング反応は原料として有機スズ化合物を、上記根岸カップリング反応は原料として有機亜鉛化合物を用いる反応であり、本発明の方法には、これらの金属を含む原料を除去する態様や、これらの金属を含む原料に由来する金属を除去する態様も含まれる。
金属を含有する有機溶媒溶液は、金属が錯体等の形態で溶解していれば、他に不溶性成分を含んでいてもよい。
本発明に用いるポリマーは、金属を含有する有機溶媒溶液中に溶解することで、金属と相互作用し、金属と複合体を形成する。本発明に用いるポリマーのSP値と、金属を含有する有機溶媒溶液を構成する有機溶媒のSP値との差の絶対値は2.5以下である。両者のSP値の差の絶対値を2.5以下とすることで、ポリマーが金属と相互作用しやすくなり、ポリマーと金属の複合体が形成されやすくなる。この理由は定かではないが、ポリマーのSP値と有機溶媒のSP値の差の絶対値を2.5以下として両者のSP値を近づけることで、ポリマーが有機溶媒溶液中で膨潤してポリマー鎖が広がった構造をとり、金属と相互作用しやすくなると推定される。逆に、ポリマーのSP値と有機溶媒のSP値の差の絶対値が2.5より大きい場合は、ポリマーが有機溶媒溶液中で凝集構造をとりやすくなり、金属と相互作用しにくくなると推定される。
溶媒のSP値は、Polymer Handbook(Third Edition)第VII章 Solubility Parameter Valuesに記載があり、その値を本発明におけるSP値とする。本発明においてSP値の単位は(cal/cm3)1/2である。
また、ポリマーのSP値は「塗料の研究」No.152 p41(2010)に記載の方法に準じて算出される。詳細な方法を以下に示す。
−ポリマーのSP値の算出方法−
ポリマー0.4gをテトラヒドロフラン(以下THFと表す)に溶解して10mLの溶液を調製する。この溶液を5mLずつ2つに分け、片方にヘキサンを、片方に水を滴下し、溶液に濁りが見られるまで添加する。溶液に濁りが見られたところで添加を終了し、以下の式に従ってSP値(δ)を算出する。
金属が金属錯体である場合、ポリマーと金属との複合体の形態に特に制限はない。例えば、ポリマーと金属錯体との複合体であってもよいし、配位子交換反応によりポリマーが金属に配位した態様であってもよい。すなわち、ポリマーが金属あるいは金属錯体を包み込んで複合体を形成していてもよいし、ポリマーが金属錯体の金属をキレートして複合体を形成していてもよい。また、ポリマーと金属錯体とが何等かの相互作用により互いに結合あるいは吸着した形態も本発明における複合体の態様に含まれる。
下記一般式(1)及び(3)〜(8)の各式で表される部分構造はポリマーの側基(ペンダント基)に組み込まれていることが好ましい。側基とは、ポリマーの主鎖から分岐した(主鎖を構成する原子の置換基として連結した)基である。例えば、エチレン性不飽和結合(炭素−炭素二重結合)の重合反応により得られるポリマーの場合、エチレン性不飽和結合を形成していた炭素原子からなる鎖が主鎖であり、それ以外の部分は側基である。
本明細書において各一般式の説明における置換基「R」は、すべて上記A1における置換基Rと同義であり、好ましい形態も同じである。
A2はO、S、NH又はN−*を示し、S又はN−*が好ましい。*は連結部位を示す。
本明細書において各一般式の説明における「*」はいずれも連結部位(ポリマーの好ましくは側基に組み込まれるための連結部位)を示す。
A1及びA2が共にOであることはない。
G1はC(R)2、NR、O又はSを示す。G1はNH、O又はSが好ましい。
xは水素原子又は連結部位を示す。
A6はSH、S−*、OH、O−*、NH2、NR−*又はN=*を示し、NR−*、S−*、O−*が好ましい。
G3はC(R)2、NH、N−*、O又はSを示し、G3はNH、O又はSが好ましい。
xは一般式(1)におけるxと同義である。
yは連結部位(ポリマーの好ましくは側基に組み込まれるための連結部位)を示す。
G4はC(R)2、NR、O又はSを示す。G4はC(R)2が好ましい。
xは一般式(1)におけるxと同義である。
A10はN−*、S又はOを示し、N−*が好ましい。
xは一般式(1)におけるxと同義である。
A12はSH、S−*、OH、O−*、NH2、NR−*又はN=*を示す。
xは一般式(1)におけるxと同義である。
yは一般式(3)におけるyと同義である。
xは一般式(1)におけるxと同義である。
A16はS−*、O−*、又はNR−*を示す。
L1はCR又はNを示し、CRが好ましい。
G5はC(R)2、O、S又はNRを示し、なかでもC(R)2が好ましい。
xは一般式(1)におけるxと同義である。
本発明のポリマーが上記構造単位Qからなる場合、ポリマー中の全ての構造単位Qのモル量に占める、上記一般式(1)及び(3)〜(8)の各式で表される部分構造の少なくとも1種を置換基Rp中に有する構造単位Qのモル量の割合は、0.5〜60モル%であることが好ましく、3〜40モル%であることがより好ましい。
x1は連結部位(ポリマーの好ましくは側基に組み込まれるための連結部位)を示す。
Z1は複素環を示す。Z1は複素単環であってもよいし、縮合複素環であってもよい。Z1は芳香族複素環であることも好ましい。Z1が複素単環の場合、5員環又は6員環が好ましく、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環が挙げられる。Z1が縮合複素環の場合、5員環又は6員環の複素環にベンゼン環が縮合した形態が好ましい。Z1は環構成原子に酸素原子又は硫黄原子を含んでもよい。Z1はポリマー中(好ましくはポリマー側基中)に組み込まれるための連結部位を含んでもよい。
x1は一般式(1a)におけるx1と同義である。
A6aはNR、N、S又はOを示す。A6aは、NR、N又はSが好ましい。
L1はN又はCRを示す。
Z3は複素環を示す。Z3は複素単環であってもよいし、縮合複素環であってもよい。Z3は芳香族複素環であることも好ましい。Z3が複素単環の場合、5員環又は6員環が好ましく、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環が挙げられる。Z3が縮合複素環の場合、5員環又は6員環の複素環にベンゼン環が縮合した形態が好ましい。Z3はポリマー中(好ましくはポリマー側基中)に組み込まれるための連結部位を含んでもよい。
x1は一般式(1a)におけるx1と同義である。
Z5は複素環を示し、複素単環が好ましい。また、Z5は芳香族複素環であることも好ましい。Z5が複素単環の場合、5員環又は6員環が好ましく、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環が挙げられる。また、Z5は環構成原子として窒素原子を2つ以上含むことも好ましい。Z5はポリマー中(好ましくはポリマー側基中)に組み込まれるための連結部位を含んでもよい。
x1は一般式(1a)におけるx1と同義である。
A12aはNR、S又はOを示し、N又はSが好ましく、Sがさらに好ましい。L1は一般式(3a)におけるL1と同義である。
Z6は複素環を示し、複素単環が好ましい。また、Z6は芳香族複素環であることも好ましい。Z6が複素単環の場合、5員環又は6員環が好ましく、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環が挙げられる。また、Z6は環構成原子として窒素原子を2つ以上含むことも好ましい。また、Z6はチエニル基であることも好ましい。Z6はポリマー中(好ましくはポリマー側基中)に組み込まれるための連結部位を含んでもよい。
Z7は環構造を示す。Z7は炭化水素環でも複素環でもよい。Z7は芳香環であることが好ましい。また、Z7は単環であっても縮合多環構造であってもよい。Z7はより好ましくは炭化水素環であり、芳香族炭化水素環であることがさらに好ましく、ベンゼン環がさらに好ましい。Z2が複素環の場合、上記Z1で例示した複素環の構造が挙げられる。Z7はポリマー中(好ましくはポリマー側基中)に組み込まれるための連結部位を含んでもよい。
x1は一般式(1a)におけるx1と同義である。
A16aはS、O、又はNRを示す。Rは一般式(1)におけるRと同義であり、好ましい形態も同じである。A16aはS又はNHがより好ましい。
Z8は複素環を示す。Z8は複素単環であってもよいし、縮合複素環であってもよい。Z8が複素単環の場合、5員環又は6員環が好ましく、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環が挙げられる。Z8が縮合複素環の場合、5員環又は6員環の複素環にベンゼン環が縮合した形態が好ましい。Z8が芳香族複素環ではないことが好ましい(Z8が芳香族複素環ではないとは、縮合複素環の場合は、少なくとも、L1とA16aを含む環が芳香環でないことを意味する。すなわち、L1とA16aを含む環に対して縮合する環は芳香環であってもよい。)。Z8はポリマー中(好ましくはポリマー側基中)に組み込まれるための連結部位を含んでもよい。
本発明のポリマーが上記構造単位Qからなる場合、ポリマー中の全ての構造単位Qのモル量に占める、上記一般式(1a)、(3a)及び(5a)〜(8a)の各式で表される部分構造の少なくとも1種を置換基Rp中に有する構造単位Qのモル量の割合は、0.5〜60モル%であることが好ましく、3〜40モル%であることがより好ましい。
さらに好ましくは、本発明に用いるポリマーは下記一般式(P)で表される構造単位(繰り返し単位)を含む。
R1は水素原子又はメチルを示す。L2はO、S又はNRを示し、Oがより好ましい。
L3は2価の連結基を示す。L3は好ましくは−[(CRR)m−L2]n−である。mは1〜6の整数であり、より好ましくは2〜4の整数である。nは1〜6の整数であり、より好ましくは1〜3の整数である。L2は上記L2と同義であり好ましい形態も同じである。
より好ましくは、L2がOで、且つ、L3が−[(CH2)m−O]n−である(mとnは上記と同義)。
Z8aは複素環を示す。Z8aは複素単環であってもよいし、縮合複素環であってもよい。Z8が複素単環の場合、5員環又は6員環が好ましく、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環が挙げられる。Z8が縮合複素環の場合、5員環又は6員環の複素環にベンゼン環が縮合した形態が好ましい。Z8aは芳香族複素環ではないことが好ましい(Z8aが芳香族複素環ではないとは、縮合複素環の場合は、少なくとも、L1とA16aを含む環が芳香環でないことを意味する。すなわち、L1とA16aを含む環に対して縮合する環は芳香環であってもよい)。
本発明のポリマーが上記構造単位Qからなる場合、ポリマー中の全ての構造単位Qのモル量に占める、上記一般式(P)で表される構造単位のモル量の割合は、0.5〜60モル%であることが好ましく、3〜40モル%であることがより好ましい。
本発明に用いるポリマーは単独重合体であっても共重合体であってもよいが、共重合体であることが好ましい。共重合体はランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよいが、ランダム共重合体が好ましい。
本発明に用いるポリマーが上記構造単位Qからなる共重合体である場合、一般式(1)及び(3)〜(8)あるいは(1a)、(3a)及び(5a)〜(8a)の各式で表される部分構造の少なくとも1種を置換基Rp中に有する構造単位Qの1種又は2種以上に加えて、さらに、下記構造単位の少なくとも1種を含むことも好ましい。ポリマー中への下記構造単位の含有量は、ポリマーが所望のSP値となるように適宜に調整される。
金属と複合体を形成するポリマーの有機溶媒溶液中への溶解方法は特に制限されない。有機溶媒溶液中にポリマーを溶解する温度に特に制限はなく、通常は有機溶媒溶液の温度を10〜90℃、好ましくは20〜60℃としてポリマーを溶解させる。溶解は撹拌しながら行うことが好ましい。
有機溶媒溶液中にポリマーを溶解することで、ポリマーが金属と相互作用し、複合体を形成する。複合体を形成させるための温度に特に制限はないが、通常は10〜90℃、好ましくは20〜60℃の温度下で行われる。複合体を形成させるための時間も特に制限はなく、目的の金属除去率となるように適宜に調整されるが、通常は1〜24時間とする。複合体は撹拌しながら形成させることが好ましい。形成された複合体は有機溶媒溶液に溶けていても不溶化して析出してもよいが、膜分離処理の簡便さの観点で、複合体が有機溶媒溶液に溶けていることが好ましい。
有機溶媒溶液中における一般式(1)及び(3)〜(8)のいずれかの式で表される部分構造の合計モル量、あるいは有機溶媒溶液中における一般式(1a)、(3a)及び(5a)〜(8a)のいずれかの式で表される部分構造の合計モル量を、有機溶媒溶液中の金属のモル量の1〜50倍とすることが好ましく、2〜30倍とすることが好ましい。有機溶媒溶液中のポリマーの濃度は0.01〜3質量%とすることが好ましい。
本発明の方法では、金属とポリマーの複合体は膜分離処理により分離、除去される。膜分離処理に用いる膜は、使用したポリマーの阻止率が98%以上であることが好ましく、99〜100%であることがより好ましい。この阻止率は、本発明の方法の実施に際して採用される膜分離処理条件における阻止率であり下記式で求められる。
阻止率(%)=100×{1−[透過液中ポリマー濃度(質量%)/膜分離処理前の溶液中のポリマー濃度(質量%)]}
また、膜分離処理に用いる膜として、ポリマー以外の目的物質(例えば触媒反応の反応生成物)が透過できる分画分子量の膜を用いる。目的物質の膜透過率は70〜100%が好ましく、80〜100%がより好ましく、90〜100%がさらに好ましい。透過率(%)は「100−阻止率(%)」で求められる。膜の材質に特に制限はなく、有機膜であっても無機膜であってもよいが、耐熱性、耐薬品性の観点から無機膜を用いるのが好ましく、セラミック膜を用いるのがより好ましい。セラミック膜の材質としては、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニアなどが挙げられる。また、炭化ケイ素や窒化ケイ素からなるセラミック膜を用いることもできる。また、複数の材料で構成される膜を用いてもよい。膜分離処理において、ポリマーは膜を透過しにくいため、ポリマーと金属の複合体と、その他の溶液成分(有機溶媒、反応生成物等の低分子量成分)とを分離することができ、有機溶媒溶液から金属を除去することができる。
本発明の方法において、膜分離処理は、膜モジュールを用いたクロスフロー方式の膜ろ過処理であることが好ましい。クロスフロー方式の膜ろ過処理において、膜モジュールは1つであってもよいし、複数の膜モジュールを直列あるいは並列に配置して用いることもできる。
膜分離処理を実施する際のろ過圧は、使用する膜モジュールの最高使用圧力以下であれば特に制限は無いが、0.1〜1.0MPaの範囲内として実施することが好ましく、0.3〜0.7MPaとすることが更に好ましい。
また、膜分離処理の際の流速に特に制限はないが、各膜モジュールにおける膜面線速度を0.3〜4m/sの範囲内として実施することが好ましい。
(1)
2−アセトアセトキシエチルメタクリレート51.3g、メタクリル酸メチル68.7g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下PGMEAと表す)130gを、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機(新東科学(株):スリーワンモータ)にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して75℃まで昇温した。これにジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬(株)製V−601)を1.58g加え、75℃にて4時間加熱攪拌を行った。4時間後、さらにV−601を0.32g加え、80℃に昇温して更に4時間攪拌して反応を終了した。室温まで放冷し、PGMEA83.3gを加えて下記繰り返し単位からなるランダムポリマーのPGMEA溶液を得た。
得られたポリマーのPGMEA溶液100gを500gのメタノールに投入して固体を析出させた。固体をろ別して500gのメタノールで2回洗浄した後、全量が100gとなるようトルエンを加えて完溶するまで攪拌して、ポリマーのトルエン溶液を得た。このポリマーの数平均分子量は36000であり、トルエン溶液の固形分は35.4質量%であった。下記繰り返し単位(a)と(b)のモル比は(a):(b)=74:26である。
上記ポリマーのトルエン溶液15.6g、o−アミノチオフェノール1.25g、及びp−トルエンスルホン酸19mgを窒素雰囲気下75℃に加熱した。反応で生成する水を留去しながら同温度で2時間反応させた後、トルエン16.9gを添加して室温まで放冷し、下記繰り返し単位からなるランダムポリマーAのトルエン溶液を得た。ポリマーAの数平均分子量は41300、ポリマーAのトルエン溶液の固形分は19.3質量%であった。また、下記繰り返し単位(c)の濃度の計算値は2.0mmol/gである。下記繰り返し単位(a)、(b)および(c)のモル比は、(a):(b):(c)=74:2:24である。
(1)
2−アミノピリミジン14.3gをピリジン45gに溶解させ、50℃に加熱した。これに2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート25.6gを滴下し、50℃でさらに8時間加熱攪拌を行った。この反応液を蒸留水400gに攪拌しながら注ぎ、得られた析出物を濾別、洗浄することで、下記構造のモノマー27.9gを得た。
1H−NMR同定データ(化学シフト値)の結果は以下の通りである。
1H−NMR(300MHz,CDCl3):1.97(3H,t)、3.71(2H,q)、4.33(2H,t)、5.60(1H,t)、6.17(1H,m)、6.92(1H,t)、8.53(2H,d)、8.65(1H,d br)、9.28(1H,t br)
上記モノマーを6.3g、メタクリル酸メチル43.8g、及び1−メチル−2−ピロリジノン(以下NMPと表す)93gを、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して75℃まで昇温した。これにV−601を0.79g加え、75℃にて2時間加熱攪拌を行った。2時間後、さらにV−601を0.16g加え、80℃に昇温して更に3時間攪拌して反応を終了した。室温まで放冷し、反応液を700mLの蒸留水に投入して固体を析出させた。固体をろ別して500gのメタノールで2回洗浄した後、乾燥して下記繰り返し単位からなるランダムポリマーBの粉末を得た。ポリマーBの数平均分子量は34200であった。また、下記繰り返し単位(d)の濃度の計算値は0.5mmol/gである。下記繰り返し単位(a)と(d)のモル比は、(a):(d)=95:5である。
(1)
2−アミノベンゾチアゾール12.0gをピリジン24gに溶解させ、50℃に加熱した。これに2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート13.7gを滴下し、50℃でさらに3時間加熱攪拌を行った。この反応液を蒸留水200gに攪拌しながら注ぎ、得られた析出物を濾別、洗浄することで、下記構造のモノマーを24.7g得た。
1H−NMR同定データ(化学シフト値)の結果は以下の通りである。
1H−NMR(300MHz,CDCl3):1.96(3H,s)、3.73(2H,q)、4.36(2H,t)、5.60(1H,t)、6.18(1H,s)、7.26(1H,dt)、7.40(1H,dt)、7.72(2H,t)、8.09(1H,s br)、10.63(1H,s br)
上記モノマーを7.7g、メタクリル酸メチル42.6g、及びNMP93gを、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して75℃まで昇温した。これにV−601を0.77g加え、75℃にて2時間加熱攪拌を行った。2時間後、さらにV−601を0.15g加え、80℃に昇温して更に3時間攪拌して反応を終了した。室温まで放冷し、反応液を700mLのメタノールに投入して固体を析出させた。固体をろ別して500mLのメタノールで2回洗浄した後、NMPを加えて完溶するまで攪拌して、下記繰り返し単位からなるランダムポリマーCのNMP溶液を得た。ポリマーCの数平均分子量は30400であり、ポリマーCのNMP溶液の固形分は13.2質量%であった。また、下記繰り返し単位(e)の濃度の計算値は0.5mmol/gである。下記繰り返し単位(a)と(e)のモル比は、(a):(e)=94:6である。
(1)
ヒドロキシエチルメタクリレート17.8g、トリエチルアミン15.1gをTHF177gに加えて氷冷した。これにチエニルクロリド20gを滴下した後、室温に戻して9時間攪拌した。9時間後、生成した白色固体をろ別し、ろ液に酢酸エチル100mL、蒸留水100mLを加えて油相を抽出した。抽出した油相は、1%塩酸水溶液100mL、5%炭酸水素ナトリウム水溶液100mL、10%食塩水100mLで洗浄して、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して下記構造のモノマーを32.2g得た。
1H−NMR同定データ(化学シフト値)の結果は以下の通りである。
1H−NMR(300MHz,CDCl3):1.95(3H,s)、4.45−4.48(2H,m)、4.54−4.56(2H,m)、5.59(1H,m)、6.15(1H,m)、7.11(1H,dd)、7.58(1H,dd)、7.82(1H,dd)
上記モノマーを12.0g、メタクリル酸メチル38.0g、及びNMP93gを、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して75℃まで昇温した。これにV−601を0.73g加え、75℃にて2時間加熱攪拌を行った。2時間後、さらにV−601を0.15g加え、80℃に昇温して更に3時間攪拌して反応を終了した。室温まで放冷し反応液を700mLのメタノールに投入して固体を析出させた。固体をろ別して700mLのメタノールで2回洗浄した後、乾燥し、下記繰り返し単位からなるランダムポリマーDを得た。ポリマーDの数平均分子量は25300であった。また、下記繰り返し単位(f)の濃度の計算値は1.0mmol/gである。下記繰り返し単位(a)と(f)のモル比は、(a):(f)=88:12である。
(1)
p−クロロメチルスチレン22.9g、o−チオアニシジン20.9g、トリエチルアミン30.4g及びトルエン300mLを加え、100℃に加熱した。この温度で2日間反応を行い、室温まで冷却して生成した白色固体をろ別した。ろ液にn−ブチルジメチルアミン4.56gを加えて、再度100℃で3時間加熱した。3時間後、室温まで冷却して生成した白色固体をろ別した。ろ液に蒸留水300mLを加えて油相を抽出した。抽出した油相は、1%塩酸水溶液240mL、5%炭酸水素ナトリウム水溶液300mL、10%食塩水300mLで洗浄して、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して下記構造のモノマーを24.4g得た。
上記モノマーを12.8g、スチレン37.2g、及びNMP93gを、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して75℃まで昇温した。これにV−601を0.70g加え、75℃にて2時間加熱攪拌を行った。2時間後、さらにV−601を0.14g加え、80℃に昇温して更に3時間攪拌して反応を終了した。室温まで放冷し反応液を700mLのメタノールに投入して固体を析出させた。固体をろ別して700mLのメタノールで2回洗浄した後、乾燥し、下記繰り返し単位からなるポリマーEを得た。ポリマーEの数平均分子量は18400であった。また、下記繰り返し単位(h)の濃度の計算値は1.0mmol/gである。下記繰り返し単位(g)と(h)のモル比は、(g):(h)=88:12である。
(1)
2−アセトアセトキシエチルメタクリレート51.4g、スチレン68.6g、及びPGMEA130gを、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して75℃まで昇温した。これにV−601を1.54g加え、75℃にて4時間加熱攪拌を行った。4時間後、さらにV−601を0.31g加え、80℃に昇温して更に4時間攪拌して反応を終了した。室温まで放冷し、PGMEA83.3gを加えて下記繰り返し単位からなるランダムポリマーのPGMEA溶液を得た。
得られたポリマーのPGMEA溶液100gを500gのメタノールに投入して固体を析出させた。固体をろ別して500gのメタノールで2回洗浄した後、全量が100gとなるようトルエンを加えて完溶するまで攪拌してポリマーのTHF溶液を得た。このポリマーの数平均分子量は24300であり、THF溶液の固形分は35.0質量%であった。下記繰り返し単位(g)と(b)のモル比は、(g):(b)=73:27である。
上記で得られたポリマーのTHF溶液14.3g、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール1.25gを窒素雰囲気下45℃に加熱した。2時間同温度で反応させた後、THF15.6gを添加して室温まで放冷し、下記繰り返し単位からなるランダムポリマーFのTHF溶液を得た。ポリマーFの数平均分子量は30000であり、ポリマーFのTHF溶液の固形分は24.8質量%であった。また、下記繰り返し単位(i)の濃度の計算値は2.0mmol/gである。下記繰り返し単位(g)、(b)および(i)のモル比は、(g):(b):(i)=73:2:25である。
以下の方法にて、Buchwald−Hartwig反応の結果得られるPd含有反応液を調製した。
p−トリフルオロメチルブロモベンゼン7.50g、ベンジルアミン3.93g及びトルエン100mLを窒素置換した三口フラスコに導入して攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら(R)−(+)−BINAP228mg、Pd2(dba)3153mg、ナトリウム−t−ブトキシド4.48gをこの順に加えて80℃に加熱した。同温度で2時間加熱して反応させ、放冷後セライトろ過で不溶分を除去した。ろ液にトルエン50mL、蒸留水100mLを加えて油相を抽出した。油相は10%食塩水100mLで洗浄し、全量が400mLとなるようにNMPを加えてPd含有反応液を調製した。このPd含有反応液のPd濃度をICP発光分光器(島津製作所製ICPS−8100)にて測定したところ、67.6ppm(質量基準、以下同様)であった。
全量が400mLとなるように加える溶媒をNMPの代わりにTHFを用いたこと以外は調製例1と同様にしてPd含有反応液を調製した。Pd含有反応液のPd濃度をICP発光分光器にて測定したところ、74ppmであった。
調製例1で得られたPd含有反応液100gの中に、合成例1で得たポリマーAのトルエン溶液(固形分19.3質量%)を0.648g加えて室温で2時間攪拌した。その後、この液を膜分離装置(TAMI社製INSIDE DisRAMTM)を用いた膜分離処理に付し、分画分子量5000のセラミック膜を透過する液を回収した。透過液の残存Pd濃度をICP発光分光器にて測定した。膜分離処理の条件を以下に示す。
(膜分離処理条件)
−膜面線速度:0.5m/s
−膜間差圧:0.3MPa
−温度:25℃
実施例1において合成例1で得たポリマーAのトルエン溶液の代わりに、合成例2で合成したポリマーBを0.501g加えたこと以外は実施例1と同様にして透過液の残存Pd濃度をICP発光分光器にて測定した。
実施例1において合成例1で得たポリマーAのトルエン溶液の代わりに、合成例3で合成したポリマーCのNMP溶液(固形分13.2質量%)を3.80g加えたこと以外は実施例1と同様にして透過液の残存Pd濃度をICP発光分光器にて測定した。
実施例1において合成例1で得たポリマーAのトルエン溶液の代わりに、合成例4で合成したポリマーDを0.251g加えたこと以外は実施例1と同様にして透過液の残存Pd濃度をICP発光分光器にて測定した。
実施例1において合成例1で得たポリマーAのトルエン溶液の代わりに、合成例5で合成したポリマーEを0.251g加えたこと以外は実施例1と同様にして透過液の残存Pd濃度をICP発光分光器にて測定した。
実施例1において調製例1で得られたPd含有反応液の代わりに、調製例2で得られたPd含有反応液100gを用いたこと以外は実施例1と同様にして透過液の残存Pd濃度をICP発光分光器にて測定した。
実施例3において調製例1で得られたPd含有反応液の代わりに、調製例2で得られたPd含有反応液100gを用いたこと以外は実施例3と同様にして透過液の残存Pd濃度をICP発光分光器にて測定した。
実施例4において調製例1で得られたPd含有反応液の代わりに、調製例2で得られたPd含有反応液100gを用いたこと以外は実施例4と同様にして透過液の残存Pd濃度をICP発光分光器にて測定した。
実施例1において合成例1で得たポリマーAのトルエン溶液の代わりに、比較合成例1で合成したポリマーFのTHF溶液(固形分24.8質量%)を0.504g加えたこと以外は実施例1と同様にして透過液の残存Pd濃度をICP発光分光器にて測定した。
実施例2において調製例1で得られたPd含有反応液の代わりに、調製例2で得られたPd含有反応液100gを用いたこと以外は実施例2と同様にして透過液の残存Pd濃度をICP発光分光器にて測定した。
調製例1で得られたPd含有反応液100gの中に、市販の金属捕捉剤であるQuadraPureTMEDA 0.143gを加えて室温で2時間攪拌した。その後、金属捕捉剤をろ過で除去して実施例1と同様にしてろ液の残存Pd濃度をICP発光分光器で測定した。
実施例1において合成例1で得たポリマーAのトルエン溶液を加えた後に攪拌した時間を18時間に変えたこと以外は実施例1と同様にして透過液の残存Pd濃度をICP発光分光器にて測定した。
酢酸銅(II)29mgに、THFを加えて全量を100mLとし、室温にて攪拌して溶解させた。この酢酸銅溶液の中に合成例2で合成したポリマーBを0.944g加えて室温で2時間攪拌した。その後、この液を実施例1と同様にして膜分離処理に付し、分画分子量5000のセラミック膜を透過する液を回収した。ポリマーBを添加する前の溶液および透過液の残存Cu濃度をICP発光分光器にて測定した。
実施例10において合成例2で合成したポリマーBの代わりに、合成例5で合成したポリマーEを0.470g加えたこと以外は実施例1と同様にして透過液の残存Pd濃度をICP発光分光器にて測定した。
酢酸銅(II)29mgに、NMPを加えて全量を100mLとし、室温にて攪拌して溶解させた。この酢酸銅溶液の中に実施例10と同様にして合成例5で合成したポリマーEを0.944g加えて室温で2時間攪拌した。その後、この液を実施例10と同様にして膜分離処理に付し、分画分子量5000のセラミック膜を透過する液を回収した。ポリマーEを添加する前の溶液および透過液の残存Cu濃度をICP発光分光器にて測定した。
結果を下表に示す。下記表1中、金属除去率(質量%)は下記式により求めた。
金属除去率(質量%)
=100−[100×(透過液中の金属濃度)/(ポリマー溶解前の金属濃度)]
上記の傾向は金属として銅を用いた場合にも同様に認められた。すなわち、ポリマーのSP値と有機溶媒のSP値との差が本発明で規定するよりも大きい比較例4に比べて、SP値の差が本発明で規定する範囲内にある実施例10及び11において、銅の分離除去効率が大きく向上することがわかった。
Claims (9)
- 金属を含有する有機溶媒溶液中にポリマーを溶解して該金属と該ポリマーとの複合体を形成させ、該複合体を膜分離処理により分離、除去することを含む有機溶媒溶液中の金属除去方法であって、
前記有機溶媒のSP値と前記ポリマーのSP値との差の絶対値が2.5以下であり、
前記ポリマーが、下記一般式(1)及び(3)〜(8)の各式で表される部分構造の少なくとも1種を有する構造単位を含む、有機溶媒溶液中の金属除去方法。
一般式(1)中、A 1 はO、S又はNRを示し、A 2 はO、S、NH又はN−*を示す。A 1 及びA 2 が共にOであることはない。G 1 はC(R) 2 、NR、O又はSを示す。
一般式(3)中、A 5 はO、S又はNRを示し、A 6 はSH、S−*、OH、O−*、NH 2 、NR−*又はN=*を示す。G 3 はC(R) 2 、NH、N−*、O又はSを示す。
一般式(4)中、A 7 及びA 8 はSH、S−*、OH、O−*、NH 2 、NR−*又はN=*を示す。G 4 はC(R) 2 、NR、O又はSを示す。
一般式(5)中、A 9 はO、S又はNRを示し、A 10 はN−*、S又はOを示す。
一般式(6)中、A 11 はO、S又はNRを示し、A 12 はSH、S−*、OH、O−*、NH 2 、NR−*又はN=*を示す。
一般式(7)中、A 13 及びA 14 はSH、S−*、OH、O−*、NH 2 、NR−*又はN=*を示す。
一般式(8)中、A 15 はO、S又はNRを示し、A 16 はS−*、O−*、又はNR−*を示す。L 1 はCR又はNを示す。G 5 はC(R) 2 、O、S又はNRを示す。
上記一般式(1)及び(3)〜(8)において、Rは水素原子又は置換基を示す。*及びyは連結部位を示し、xは水素原子又は連結部位を示す。 - 前記金属が、アルミニウム、銀、金、カドミウム、クロム、コバルト、銅、鉄、水銀、ニッケル、オスミウム、鉛、パラジウム、プラチナ、ロジウム、ルテニウム、スズ、バナジウム及び亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属である、請求項1に記載の有機溶媒溶液中の金属除去方法。
- 前記の金属を含有する有機溶媒溶液が、金属触媒の存在下で行う触媒反応の反応生成物を含む反応溶液であり、除去対象となる前記金属が前記金属触媒の金属である、請求項1又は2に記載の有機溶媒溶液中の金属除去方法。
- 前記ポリマーが下記一般式(1a)、(3a)及び(5a)〜(8a)の各式で表される部分構造の少なくとも1種を有する構造単位を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機溶媒溶液中の金属除去方法。
一般式(3a)中、A5及びG3は、それぞれ一般式(3)におけるA5及びG3と同義である。A6aはNR、N、S又はOを示す。L1は上記一般式(8)におけるL1と同義である。Z3は複素環を示す。
一般式(5a)中、A9は一般式(5)におけるA9と同義である。Z5は複素環を示す。
一般式(6a)中、A11は一般式(6)におけるA11と同義である。Z6は複素環を示す。A12aはNR、S又はOを示す。L1は上記一般式(8)におけるL1と同義である。
一般式(7a)中、A13及びA14は、それぞれ一般式(7)におけるA13及びA14と同義である。Z7は環構造を示す。
一般式(8a)中、A15、G5及びL1は、それぞれ一般式(8)におけるA15、G5及びL1と同義である。A16aはS、O、又はNRを示す。Z8は複素環を示す。
上記(1a)、(3a)及び(5a)〜(8a)において、Rは水素原子又は置換基を示し、x1は連結部位を示す。 - 前記ポリマーがモノマー成分として(メタ)アクリル酸エステル成分を含有し、該メタアクリル酸エステルのアルコール部が前記(1a)〜(3a)及び(5a)〜(8a)の各式で表される部分構造の少なくとも1種を有する、請求項5に記載の有機溶媒溶液中の金属除去方法。
- 前記ポリマーが、前記一般式(1a)、(3a)及び(6a)〜(8a)の各式で表される部分構造の少なくとも1種を有する構造単位を含む、請求項4〜6のいずれか1項に記載の有機溶媒溶液中の金属除去方法。
- 前記膜分離処理に用いる膜が無機膜である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機溶媒溶液中の金属除去方法。
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