JP6179357B2 - コンクリート用塩化物イオン浸透抑制無機混和材、当該混和材を用いたコンクリート及びその製造方法 - Google Patents
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Description
コンクリート構造物の劣化要因は、塩化物イオンの存在によってコンクリート構造物の内部にある鉄筋が腐食されることに起因している。
かかる塩害を抑制するために、コンクリートの塩化物イオン浸透抵抗性を高める手法が提案されている。
また、本発明のコンクリート用塩化物イオン浸透抑制無機混和材を含むことで、外部からの塩化物イオン浸透性を抑制するとともに、強度発現性に優れるコンクリート、特にプレキャストコンクリート、及び当該コンクリートの製造方法を提供することである。
また、特に蒸気養生等をおこなって得られるコンクリート、特にプレキャストコンクリートに用いることで、強度発現性を良好に保持するとともに、塩化物イオンの浸透抵抗性を向上させる。
更に、本発明のコンクリートの製造方法は、強度発現性を損ねることなく、塩化物イオンの浸透抵抗性を向上させたコンクリート、特に蒸気養生等を用いて強度発現性を損ねることなく耐塩化物イオン浸透性を向上させたプレキャストコンクリートを有効に製造することができる。
なお、本発明において、「結合材」とは、セメント及びコンクリート用塩化物イオン浸透抑制無機混和材を意味するものである。
本発明の塩化物イオン浸透抑制無機混和材は、珪酸質系鉱物質微粉末、炭酸リチウム、及び、膨張材または早強ポルトランドセメントから成り、当該珪酸質系鉱物質微粉末を84.5〜91.5質量%、炭酸リチウムを1.0〜3.0質量%、膨張材または早強ポルトランドセメントを7.5〜12.5質量%で含むことを特徴とする、コンクリート用塩化物イオン浸透抑制無機混和材である。
更に、該珪酸質系鉱物質微粉末は、湿分が約0.2質量%以下、強熱減量が約2.4質量%以下、密度が2.35〜2.45g/cm3であるものがより望ましく例示される。
例えばカルシウムサルホアルミネート系膨張材は、ブレーン比表面積が2550〜3350cm2/g、強熱減量が1.6質量%以下、MgOが1.0〜2.0質量%を含むものを好適に例示することができる。
また、例えばエトリンガイト−石灰複合系膨張材は、遊離石灰を約50質量%、アーウイン(3CaO・Al2O3・CaSO4)を約20質量%、無水石膏を約30質量%、MgOを0.9〜2.0質量%含み、ブレーン比表面積が2900〜3300cm2/g、強熱減量が1.6質量%以下のものを好適に例示することができる。
本発明の塩化物イオン浸透無機混和材は、任意のコンクリートに配合することができ、特にプレキャストコンクリートに有効に用いることができる。またセメントモルタルやセメントペーストにも配合して用いることができる。
本発明のコンクリートには、塩化物イオン浸透無機混和材のほかに、セメント、粗骨材、細骨材及び水、更に必要に応じて混和剤等を含み、これらの材料とともに、本発明の塩化物イオン浸透無機混和材を練り混ぜ、打設して、養生することにより、本発明のコンクリートを製造することができる。
コンクリート中の水/結合材質量比は限定されず、任意の水/結合材質量比のコンクリートに、本発明の塩化物イオン浸透無機混和材を配合することで、上記効果を奏することが可能である。
養生の条件としては、例えば、20℃で3時間前養生を行い、その後40℃で3時間蒸気養生を行い、次いで20℃で封かん養生する方法が例示できるが、これらに限定されるものではない。
(材料)
下記表1に使用する材料を示す。
上記表1の材料を用いて、下記表2に示す配合割合にて各無機混和材(SO)a〜kを混練し調製した。
上記表1の材料及び表2の各無機混和材を用いて、下記表3に示す配合割合で、各材料を均一に練り混ぜてコンクリート組成物を調製した。
各円柱供試体を図1に示す条件(但し、「注水」とは、コンクリート練り混ぜ時に水とその他の材料を混合した時間のことを表す。前養生は20℃の室内もしくは蒸気を入れていない蒸気養生槽内で実施し、蒸気は前養生終了後(3時間後)に注入を開始した。昇温速20℃/1時間で温度を上昇させ、40℃を3時間保持して蒸気養生を行った後、蒸気の供給を停止し、そのままの状態で18時間自然に常温まで温度を低下させる)の蒸気養生を実施して、材齢14日において、土木学会規準JSCE−G571−2007電気泳動によりコンクリート中の塩化物イオンの実効拡散係数試験法(案)(土木学会規準JSCE−G571−2007)にしたがって、各円柱供試体の実効拡散係数を測定した。その結果を表3に示す。
材齢14日の圧縮強度が45.5N/mm2以上、実効拡散係数が0.7cm2/年以下のコンクリートが、強度を保持しつつ、塩化物イオン浸透抵抗性が改善されたものである。
表3より、本発明の無機混和材を配合したコンクリート(配合No.4、7および12)は、配合No.1の無機混和材を配合しないコンクリートや本発明以外のコンクリート(配合No.2〜3、5〜6、8〜11)と比較して実行拡散係数が大きく減少しており、塩化物イオン浸透抵抗性が改善されていることがわかる。
下記表4に示す配合割合で、各材料を均一に混合してコンクリート組成物を練り混ぜた以外は、上記試験例1と同様にして円柱供試体を製造して、実効拡散係数及び圧縮強度を測定した。その結果を表4に示す。表4より、異なる目標強度の配合においても、本発明の無機混和材を配合したコンクリートは、無機混和材を配合しないコンクリートと比較して実行拡散係数が大きく減少しており、塩化物イオン浸透抵抗性が改善されていることがわかる。
下記表5に示す配合割合で、コンクリート中のセメントと本発明の無機混和材からなる結合材の質量に対する無機混和材の質量割合を変え、上記試験例1と同様にして円柱供試体を製造して、実効拡散係数及び圧縮強度を測定した。その結果を表5に示す。表4のコンクリートや表3のコンクリートNo.1、4とを比較することによって、上記質量割合が15.0から30.0の範囲では、無機混和材を配合しないコンクリートと比較して実行拡散係数が大きく減少しており、塩化物イオン浸透抵抗性が改善されていることがわかる。
本発明の無機混和材に換えて、一般に耐塩害性を向上させることが知られているフライアッシュII種(SiO2が59.0質量%、湿分が0.12質量%、強熱減量が1.7質量%、密度が2.28g/cm3、ブレーン比表面積が3960cm2/g、表中の略号FA)を表6示す配合割合で使用した。
Claims (5)
- 珪酸質系鉱物質微粉末、炭酸リチウム、及び、膨張材または早強ポルトランドセメントから成り、当該珪酸質系鉱物質微粉末を84.5〜91.5質量%、炭酸リチウムを1.0〜3.0質量%、膨張材または早強ポルトランドセメントを7.5〜12.5質量%で含むことを特徴とする、コンクリート用塩化物イオン浸透抑制無機混和材。
- 請求項1記載のコンクリート用塩化物イオン浸透抑制無機混和材において、珪酸質系鉱物質微粉末はSiO2を55〜65質量%含み、膨張材はカルシウムサルホアルミネート系膨張材、石灰系膨張材及びエトリンガイト−石灰複合系膨張材からなる群より選ばれることを特徴とする、コンクリート用塩化物イオン浸透抑制無機混和材。
- セメント、請求項1または2記載のコンクリート用塩化物イオン浸透抑制無機混和材、粗骨材及び細骨材を含み、前記セメント及びコンクリート用塩化物イオン浸透抑制無機混和材からなる結合材100質量部中、前記コンクリート用塩化物イオン浸透抑制無機混和材が15〜30質量部含有されてなることを特徴とする、コンクリート。
- セメント、前記セメント及び請求項1又は2記載のコンクリート用塩化物イオン浸透抑制無機混和材からなる結合材100質量部中に15〜30質量部の含有割合となるように配合される請求項1または2記載のコンクリート用塩化物イオン浸透抑制無機混和材、粗骨材、細骨材及び水を配合して練り混ぜ、蒸気養生することにより調製することを特徴とする、コンクリートの製造方法。
- 請求項4記載のコンクリートの製造方法において、蒸気養生後、常温で封かん養生を行うことを特徴とするコンクリートの製造方法。
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