JP6179298B2 - ガスホルダーの補強方法、およびガスホルダー - Google Patents

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本発明は、ガスホルダーの補強方法、およびガスホルダーに関する。
従来、製鉄所に設けられているガスホルダーでは、震度6の耐震設計レベルを基準として設計されているものが多い。そのため、その震度6を超える大規模地震時の対策として、耐震補強、免震補強、および制振補強などの補強対応が行われている。
耐震補強としては、ホルダー本体および屋根部の外周部に鉄骨を溶接することで剛性を高める補強が一般的となっている。また、免震補強の場合には、構造物(ガスホルダー)の基礎の地下部分を掘削し、その地下空間に積層ゴムなどの免震装置を組み込むことが行われる(例えば、特許文献1参照)。さらに、制振補強の場合には、ガスホルダーに対して架構、基礎、杭等を新設し、これらを使用して、制振ダンパーを組み込むことが行われている(例えば、特許文献2参照)。
特開2012−177282号公報 特開2010−203192号公報
しかしながら、従来のガスホルダーの補強方法では、以下のような問題があった。
すなわち、ホルダー本体を鉄骨で補強する耐震補強の場合や制振ダンパーを設ける制振補強の場合には、溶接作業が必要であるので、その溶接作業期間中のガスホルダーの運転を停止する必要がある。さらに、溶接歪で垂直精度許容値(1/1万)を超えてしまうおそれがあり、ガスホルダーの運転が停止することがあった。
また、免震補強の場合においても、地下掘削時および免震装置の設置時にはガスホルダーの運転を長期間停止する必要があり、その点で改善の余地があった。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、ホルダー本体に対する溶接作業を行うことなく補強することができ、大地震時におけるピストンのホルダー本体への衝突や傾斜を抑制することができるガスホルダーの補強方法、およびガスホルダーを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係るガスホルダーの補強方法では、既存のガスホルダーに対して、設定震度に応じた耐震補強を行うためのガスホルダーの補強方法であって、前記ガスホルダーの解析モデルを作成し固有値解析を行う工程と、所定地域における対象地震動の波形のうち前記ガスホルダーを共振する成分をフーリエ解析を用いて抽出し、この共振成分に基づいて前記ガスホルダーの固有周期における加速度応答値を算出する工程と、前記ガスホルダーの強度の目標許容値を設定する工程と、前記ガスホルダーの共振時の応答を前記目標許容値まで低減する制振装置を、前記ガスホルダーのピストンに対して設定する工程と、設定された条件に基づく前記制振装置を前記ピストンに設けて補強する工程と、を有することを特徴としている。
また、本発明に係るガスホルダーでは、上述したガスホルダーの補強方法によって前記制振装置を前記ピストンに設けられていることを特徴としている。
本発明では、既存のガスホルダーに対して固有値解析を行って固有周期を求め、対象地震動の波形から、共振する成分をフーリエ変換により算出されたフーリエスペクトルより抽出し、ガスホルダーの共振時の加速度応答値に当てはめたときの応答が得られる。その応答を目標許容値まで低下させる制振装置をピストンに設けることで、ピストンのホルダー本体への衝突や傾斜するのを抑制することができる。
つまり、地震力が地盤からホルダー本体に伝達され、そのホルダー本体の揺れによりピストンに水平力が伝達されるガスホルダーであっても、ピストン自体に作用する水平応答や傾斜応答を、補強した制振装置の減衰作用により効果的に低減することができる。
また、本発明によれば、ピストンに対して制振装置を配置するといった施工の容易な補強構造であり、例えばホルダー本体の外周部に鋼材を配置するような大掛かりな補強とならず、工期を短縮することができ、ガスホルダーの停止期間を短くすることが可能となり、操業の影響を最小に抑えることができる。しかも、補強する制振装置はガスホルダーの総重量に対して1%程度の負荷質量とすることが可能となるので、補強量を低減することができるうえ、従来工法に比べて補強箇所も最小化することができ、コストの低減を図ることができる。
さらに、制振装置をピストンに対して取り付ける補強方法であり、ホルダー本体に対して直接溶接を行わない補強となることから、ホルダー本体に溶接歪が生じるのを防ぐことができ、垂直精度の許容値を確保することができる。
これにより震度6を超える大規模地震が発生した場合でも、ガスホルダー内部のピストンが水平力を受けてホルダー本体に衝突したり、大きく傾斜することがなくなる。そのため、ピストンのホルダー本体への衝突により、ホルダー本体の鉄骨が破断し、柱脚部の圧縮が過大となって基柱が座屈し、さらにはガスホルダーを支持する杭の杭頭部が塑性化するとともに、ピストン慣性力位置と衝突反力位置がずれてピストンがガスホルダー内部で傾斜し、ホルダー本体とピストンとの間で油シール切れが生じ、その部分からガスが漏れ出し、ピストンが落下するといった従来の問題を無くすことができる。
また、本発明に係るガスホルダーの補強方法では、補強後の既存のガスホルダーの応答と目標許容値とを比較する工程を有していることが好ましい。
この場合、制振装置で補強した既存のガスホルダーの応答が目標許容値よりも大きい場合には、再度、制振装置をガスホルダーのピストンに対して設定し直すことを繰り返し行うことが可能であり、前記応答が目標許容値よりも確実に小さくなるように設定することができる。
また、本発明に係るガスホルダーの補強方法では、前記制振装置は、前記ピストンの中心部に配置される水平用制振装置と、前記ピストンの外周部に配置される傾斜用制振装置と、を備えていることが好ましい。
また、本発明に係るガスホルダーの補強方法では、前記傾斜用制振装置は、前記ピストンの外周部に沿って周方向に間隔をあけて複数が配置されていることが好ましい。
本発明では、傾斜用制振装置が地震動の作用により最も変動エネルギーの大きなピストンの外周部に配置されるので、制振装置を付加した効果的な補強を実現することが可能となる。
本発明のガスホルダーの補強方法、およびガスホルダーによれば、ホルダー本体に対する溶接作業を行うことなく補強することができ、大地震時におけるピストンのホルダー本体への衝突や傾斜を抑制することができる。
本発明の実施の形態による補強方法によって補強されたガスホルダーの判断面斜視図である。 図1に示すガスホルダーの側断面図である。 制振装置の配置状態を示す図であって、ピストンを上面側から見た平面図である。 制振装置の概略構成を説明するための模式図である。 ガスホルダーの補強方法における制振装置の設計フローを示す図である。 所定地域における震度7の表層波形の一例を示す図である。 ステップS2で算出された加速度スペクトルを示す図である。 ステップS3で得られた加速度応答スペクトルと共振時応答加速度とを比較した図である。 制振装置を補強したガスホルダーの作用を説明するための図である。 従来の地震動がガスホルダーに作用した状態の図である。
以下、本発明の実施の形態によるガスホルダーの補強方法、およびガスホルダーについて、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施の形態によるガスホルダー1の補強方法は、所定地域に設けられている既存のガスホルダー1に対して、設定震度(ここでは震度7を想定する)に応じた耐震補強をピストン15に施し、そのピストン15の応答を低減させるように補強するものである。
図1および図2に示すように、ガスホルダー1は、底盤11と、底盤11上に円周方向Eに沿って間隔をあけて配置された基柱12と、円周方向Eに沿って延在する横梁13と、基柱12と横梁13とによって囲まれる空間を塞ぐ側壁14と、側壁内面に沿って上下方向Yに摺動可能に設けられたピストン15と、基柱12の上端12aに設けられた屋根部材16と、を備えている。ここで、ガスホルダー1において、ピストン15を除いた底盤11、基柱12、横梁13、側壁14、および屋根部材16を以下、ホルダー本体10と称して説明する。
基柱12は、例えばH形鋼からなり、底盤11上に立設されており、所定長さ単位のものが上下方向Yに沿って継ぎ足されている。
屋根部材16は、平面視で中心から半径方向に向けて下方に延びる逆さ椀状をなし、その外周部が基柱12の上端12aに接合されている。
ガスホルダー1の内部に設けられるピストン15は、ガスホルダー1内を上下に区画する隔壁であり、その外周部15aが例えばゴム製のシール材(図示省略)を介して側壁内面に対して液密な状態でシールされている。このシール材の側壁内面との接触面に油が充填され、この油の液膜でシールされている。ピストン15の下側の空間は、底盤11、側壁14、及びピストン15によって密封されたガス封入空間Rとなっている。このガス封入空間R内にガスを流入、又は流出させることによって内圧を変化させることによって、ピストン15が側壁内面に沿って上下方向Yに摺動可能に構成されている。例えば、ガス封入空間R1内の圧力により生じる浮上力をピストン15の自重よりも大きくすることで、ピストン15が上昇することになる。つまり、ガス封入空間R1内の圧力を一定に保持することで、ピストン15を所定高さの位置に維持することができる。なお、ピストン15と屋根部材16との間の上部空間R2は、密封されず、開放された空間となっている。
側壁14は、円周方向E及び上下方向Yに沿って複数に分割された曲率をもった鋼材から形成されている円弧板状体であり、基柱12、12同士の間で溶接により取り付けられている。
図3に示すように、ピストン15の上面15bには、本実施の形態のガスホルダー1における補強手段となる複数の制振装置2(2A、2B)が設けられている。このうち上面15bの中心部には、ピストン15の水平方向の応答(揺れ)を低減するための水平用制振装置2Aが配置されている。上面15bの外周部には、ピストン15の鉛直方向(上下方向Y)の傾斜応答を低減するための傾斜用制振装置2Bがピストン15の外周部に沿って円周方向Eに間隔をあけて複数配置されている。傾斜用制振装置2Bは、円周方向Eに45度のピッチで8個が配置されている。なお、傾斜用制振装置2Bの配置される位置は、なるべく上面15bの外周側であることが好ましい。
これら制振装置2A、2Bは、図4に示すように、周知の応答制御可能なTMD(チューンド・マス・ダンパー)が採用され、減衰部C、ばね部K、および質量部mにより構成されている。具体的に制振装置2A、2Bは、ばね部Kの一端がピストン15の上面15bに固定され、他端が質量部mに固定されており、質量部mとピストン上面15bとの間に減衰部Cが介装された構成となっており、ピストン15の揺れ(回転、傾斜)に同調する質量部mを用いてピストン15の揺れを抑制する装置である。
次に、上述した制振装置2A、2Bを使用したガスホルダー1の補強方法について、図5のフローチャートを用いて具体的に説明する。
図5に示すように、本実施の形態のガスホルダー1の補強方法は、ガスホルダー1の解析モデルを作成し固有値解析を行うステップS1と、所定地域における対象地震動の波形のうちガスホルダー1と共振する成分をフーリエ解析を用いて抽出するステップS2と、ガスホルダー1の固有周期における加速度応答値を算出するステップS3と、ガスホルダー1の強度より得られる目標許容値P0を設定するステップS4と、ガスホルダー1の共振時の応答を目標許容値P0まで低減する制振装置2を、ガスホルダー1のピストン15に対して設定するステップS5と、設定された条件に基づく制振装置2(2A、2B)をピストン15に設けて補強するステップS6と、補強後のガスホルダー1の応答と目標許容値とを比較するステップS7と、を有している。
ステップS1では、先ず、本実施の形態で補強対象となる既存のガスホルダー1の3次元の解析モデルを作成し固有値解析を行って、固有周期を求める。なお、簡単な質点モデルにモデル化して固有周期を求めることや、略算式を用いて固有周期を求めることも可能である。
次に、ステップS2において、所定地域における例えば震度7の対象地震動の表層波形(図6参照)、すなわち地震継続時間(sec)と加速度(gal)との関係の波形より図7に示すような地震動の周波数特性を示すフーリエスペクトルを算出する。ここで、図7は、横軸に示す周期T(sec)と、縦軸に示す加速度スペクトル(gal×sec)との関係を示している。そして、加速度スペクトルの算出は、図6に示す波形に基づいて周知のFFT(高速フーリエ変換)のアルゴリズムを用い、対象地震動の調和波への分解を行うこと、すなわち図6に示す表層波形のうち対象地震動の共振する成分を抽出し、この共振成分により計算され、図7に示す表層波加速度スペクトルが得られる。
次いで、ステップS3において、図8に示すように、ガスホルダー1の固有周期における加速度応答値(図8に示す補強前加速度応答値P1のグラフ)を算出する。なお、図8に示す補強後加速度応答値P2のグラフは、後述するステップS5、S6により求められ、補強前・補強後の固有周期における加速度応答の比較を示している。すなわち、図8は、横軸に示す周期(sec)と、縦軸に示すガスホルダー1における水平応答加速度(gal)との関係を示している。図の例では、ステップS1の固有値解析に基づき、ガスホルダー1の有効質量が830ton、固有周期が0.78secとなった解析結果を用い、減衰係数を2%に仮定した場合に得られたものである。つまり、ガスホルダー1の固有周期が0.78の場合、ステップS2で地震波のうち0.78秒の成分を抜き出し、ステップS3でガスホルダー1のモデル(補強前加速度応答値P1)に入れると6000galの応答が得られる。
さらに、ステップS4では、図8に示すガスホルダー1の強度より得られる目標許容値P0を、水平応答加速度(gal)の値として設定する。この目標許容値P0は、ガスホルダー1が地震動が作用してピストン15が応答したときに、ピストン15によるガスの気密性が保持されることが可能な値として設定される。なお、図8において、水平応答加速度の目標許容値P0は、1600galに設定されている。
続いて、ステップS5では、ガスホルダー1の共振時の応答をステップS4で設定した目標許容値P0まで低減するために補強する制振装置2を、ガスホルダー1のピストン15に対して設定する。そして、ステップS6において、ステップS5で設定された条件に基づく制振装置2(2A、2B)をピストン15に設けて補強したガスホルダー1において、固有値解析を行い、補強後加速度応答値P2を求める。
ステップS5及びステップS6では、ガスホルダー1の共振時の応答を前記目標許容値P0まで低減するTMD(制振装置2A、2B)、すなわち最適な質量部m、ばね部K、減衰部C、ピストン15に対する取り付け位置、および水平用制振装置2Aと傾斜用制振装置2Bの種別が決定される。
ステップS7では、ステップS5で設定した制振装置によって補強したガスホルダー1の応答(上述した補強後加速度応答値P2)と目標許容値P0とを比較する。その結果、補強後加速度応答値P2が目標許容値P0より小さい場合(ステップS7:YES)には、図5に示す制振装置の設計補強フローが完了(END)となる。また、その応答P2が目標許容値P0以上の場合(ステップS7:NO)には、ステップS5に戻り、制振装置2の再設定が行われ、そのときの応答P2が目標許容値P0より小さくなるまで、ステップS5〜S7が繰り返し実施される。
このようにステップS7において、制振装置2で補強した既存のガスホルダー1の応答が目標許容値P0よりも大きい場合には、再度、制振装置2をガスホルダー1のピストン15に対して設定し直すことを繰り返し行うことが可能であり、前記応答P2が目標許容値P0よりも確実に小さくなるように設定することができる。
なお、図8の例では、ステップS5、S6で求められた補強後加速度応答値P2は、目標許容値P0よりも小さくなっており、補強した制振装置2Aの付加質量が38tonであり、補強前のガスホルダー1の有効質量830tonに対する質量比が4.5%増であり、固有周期が0.78sec、減衰定数を13%となった解析結果を用いて得られたものである。
次に、上述したガスホルダー1の補強方法、およびガスホルダー1の作用について図面に基づいて詳細に説明する。
本実施の形態では、既存のガスホルダー1に対して固有値解析を行って固有周期を求め、対象地震動の波形から、共振する成分をフーリエ変換により算出されたフーリエスペクトルより抽出し、ガスホルダー1の共振時の加速度応答値に当てはめたときの応答が得られる。その応答を目標許容値P0まで低下させる制振装置2をピストン15に設けることで、ピストン15のホルダー本体10への衝突や傾斜するのを抑制することができる。
また、ガスホルダー1は、ピストン15がガス圧によって浮いており、地震力が入ったときに、その地震力が地盤からホルダー本体10の側壁14に伝達され、さらにホルダー本体10を構成する基柱12が地震力によって揺すられてピストン15に水平力が伝達される構成、すなわち構造物(ガスホルダー1)全体が揺すられることによりピストン15が励起される構成となっている。そのため、図9に示すように、このような荷重伝播経路を有するガスホルダー1であっても、本実施の形態の補強方法とすることで、ピストン15自体に作用する水平応答(図9の符号X方向)を水平用制振装置2Aの減衰作用により、傾斜応答(図9の符号F方向)を傾斜用制振装置2Bの減衰作用により効果的に低減することができる。
また、ピストン15に対して制振装置2を配置するといった施工の容易な補強構造であり、例えばホルダー本体の外周部に鋼材を配置するような大掛かりな補強とならず、工期を短縮することができ、ガスホルダー1の停止期間を短くすることが可能となり、操業の影響を最小に抑えることができる。
しかも、補強する制振装置2A、2Bはガスホルダー1の総重量に対して1%程度の負荷質量とすることが可能となるので、補強量を低減することができるうえ、従来工法に比べて補強箇所も最小化することができ、コストの低減を図ることができる。
さらに、制振装置2をピストン15に対して取り付ける補強方法であり、ホルダー本体10に対して直接溶接を行わない補強となることから、ホルダー本体10に溶接歪が生じるのを防ぐことができ、垂直精度の許容値を確保することができる。
また、本実施の形態のガスホルダー1は、複数の傾斜用制振装置2Bが、地震動の作用により最も変動エネルギーの大きなピストン15の外周部に沿って周方向に間隔をあけて配置されるので、制振装置2A、2Bを付加した効果的な補強を実現することが可能となる。
したがって、震度6を超える大規模地震が発生した場合であっても、図10に示すような、ガスホルダー1内部のピストン15が水平力を受けることにより、ピストン15がホルダー本体10に衝突したり、ピストン15が大きく傾斜する不具合を防止することができる。そのため、本実施の形態においては、ピストン15がホルダー本体10に衝突すると、ホルダー本体10におけるピストン15の接触部の鉄骨(基柱12)が破断し、柱脚部の圧縮が過大となって基柱12が座屈し、さらにガスホルダー1を支持する杭の杭頭部が塑性化するとともに、ピストン慣性力位置と衝突反力位置がずれてピストン15がガスホルダー1内部で傾斜し、ホルダー本体10とピストン15との間で油シール切れが生じ、その部分からガスGが漏れ出し、ピストン15が落下するという従来の問題を無くすことができる。
上述した本実施の形態によるガスホルダーの補強方法、およびガスホルダーでは、ホルダー本体10に対する溶接作業を行うことなく補強することができ、大地震時におけるピストン15のホルダー本体10への衝突や傾斜を抑制することができる。
以上、本発明によるガスホルダーの補強方法、およびガスホルダーの実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、ピストン15の上面15bに配置される制振装置2の数量、位置は本実施の形態に制限されることはなく、上述した制振装置2の設計方法(補強方法)に応じて適宜に設定することができる。本実施の形態では、傾斜用制振装置2Bは円周方向に8個配置されているが、例えば4個とすることも可能である。
なお、本実施の形態のガスホルダーの補強方法を実現するべく、コンピュータに対し、本実施の形態のガスホルダーの補強方法(上述した各ステップS1〜S7)を実行するためのコンピュータプログラムを供給し、そのコンピュータ(CPUあるいはMPU)に格納された該プログラムに従って耐震性を評価することができる。
また、上記の場合においては、上記コンピュータプログラム自体が本実施の形態の機能を実現することになる。そのコンピュータプログラムの伝送媒体としては、プログラム情報を搬送波として伝播させて供給するためのコンピュータネットワーク(LAN、インターネット等のWAN、無線通信ネットワーク等)システムにおける通信媒体(光ファイバ等の優先回線や無線回線等)を用いることができる。
さらに、上記コンピュータプログラムをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるコンピュータプログラムを格納した記憶媒体を構成することもできる。かかる記憶媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等の各種記録媒体を用いることができる。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
1 ガスホルダー
2 制振装置
2A 水平用制振装置
2B 傾斜用制振装置
10 ホルダー本体
12 基柱
13 横梁
14 側壁
15 ピストン
15a 外周部
15b 上面
16 屋根部材
E 円周方向
Y 上下方向
P0 目標許容値
P1 補強前加速度応答値
P2 補強後加速度応答値
R1 ガス封入空間
R2 上部空間

Claims (5)

  1. 既存のガスホルダーに対して、設定震度に応じた耐震補強を行うためのガスホルダーの補強方法であって、
    前記ガスホルダーの解析モデルを作成し固有値解析を行う工程と、
    所定地域における対象地震動の波形のうち前記ガスホルダーを共振する成分をフーリエ解析を用いて抽出し、この共振成分に基づいて前記ガスホルダーの固有周期における加速度応答値を算出する工程と、
    前記ガスホルダーの強度の目標許容値を設定する工程と、
    前記ガスホルダーの共振時の応答を前記目標許容値まで低減する制振装置を、前記ガスホルダーのピストンに対して設定する工程と、
    設定された条件に基づく前記制振装置を前記ピストンに設けて補強する工程と、
    を有することを特徴とするガスホルダーの補強方法。
  2. 補強後の既存のガスホルダーの応答と目標許容値とを比較する工程を有していることを特徴とする請求項1に記載のガスホルダーの補強方法。
  3. 前記制振装置は、前記ピストンの中心部に配置される水平用制振装置と、前記ピストンの外周部に配置される傾斜用制振装置と、を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスホルダーの補強方法。
  4. 前記傾斜用制振装置は、前記ピストンの外周部に沿って周方向に間隔をあけて複数が配置されていることを特徴とする請求項3に記載のガスホルダーの補強方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のガスホルダーの補強方法によって前記制振装置が前記ピストンに設けられていることを特徴とするガスホルダー。
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