JP2008254804A - 浮き屋根振動抑制装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 メンテナンスが容易で貯蔵液体の減少に伴う浮き屋根の下降に影響が生じないようにする。
【解決手段】 円弧状の1対の軌道部材15を略V字状に組み合わせ、且つ最下端での傾斜角θ0を可変とすることができるようにしてある軌道14と、軌道14上に走行可能に載置した制振マス13とから制振装置12を形成する。浮き屋根5のポンツーン6の上側における周方向等間隔の複数個所に、制振装置12を、軌道14が浮き屋根5の径方向に沿う配置となるようにして設ける。浮き屋根5にピッチング振動が生じて変位すると、制振装置12より、浮き屋根5に対して、その変位を積分フィードバックしてなる制振モーメントを作用させることができるようにして、浮き屋根5のピッチング振動を抑制させる。
【選択図】図1
【解決手段】 円弧状の1対の軌道部材15を略V字状に組み合わせ、且つ最下端での傾斜角θ0を可変とすることができるようにしてある軌道14と、軌道14上に走行可能に載置した制振マス13とから制振装置12を形成する。浮き屋根5のポンツーン6の上側における周方向等間隔の複数個所に、制振装置12を、軌道14が浮き屋根5の径方向に沿う配置となるようにして設ける。浮き屋根5にピッチング振動が生じて変位すると、制振装置12より、浮き屋根5に対して、その変位を積分フィードバックしてなる制振モーメントを作用させることができるようにして、浮き屋根5のピッチング振動を抑制させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、石油タンク等の貯蔵液体の上に浮き屋根を設けてなる形式の浮き屋根式貯蔵タンクにて、タンク内部の貯蔵液体のスロッシングによって上記浮き屋根に生じる振動を抑制するための浮き屋根振動抑制装置に関するものである。
大型の石油タンクとしては浮き屋根式貯蔵タンクが多く用いられている。図6は上記浮き屋根式貯蔵タンクの一例の概略を示すもので、基礎上に据え付けられた底板2と、該底板2の上側に立設された円筒状の側板3とからなる上部の開放されたタンク本体1を備え、更に、上記タンク本体1の内部に貯蔵された液体4の液面上に浮かべて使用する浮き屋根5を備えた構成としてある。上記浮き屋根5の上面外周部には、浮力を与えるためのポンツーン6が設けてある。7は上記浮き屋根5の外周と上記側板3の内周面との隙間を埋めるためのシール機構、8は雨水の流入を抑えるためのウェザーシールドである。
ところで、上記のような浮き屋根式貯蔵タンクに対し、地震等により振動が加わると、上記タンク本体1内の貯蔵液体4にスロッシングが生じ、この貯蔵液体4のスロッシングと、上記タンク本体1に加えられている振動とが共振すると、上記浮き屋根5に大きなピッチング振動が生じて、上記シール機構7やウェザーシールド8の破損、更には、上記浮き屋根5自体の破損を招く可能性も懸念される。
そのために、上記浮き屋根式貯蔵タンクでは、貯蔵液体4のスロッシングを抑えて、浮き屋根5に上記したようなピッチング振動が生じる虞を防止できるようにすることが望まれてきている。
この種の浮き屋根式貯蔵タンクにおける貯蔵液体のスロッシングを抑制する手法の1つとしては、たとえば、図6に示すように、上記浮き屋根5の下側に、ばね機構10を介して錘11を吊り下げた制振装置9を設けて、上記錘11を、上記タンク本体1内に貯蔵されている液体4内に位置させるようにしておくことが従来提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
又、浮き屋根式貯蔵タンクにおける貯蔵液体のスロッシングを抑制するための別の手法としては、タンク本体の底板の所要個所に、ヒンジを介して仕切板の下端を揺動可能に取り付け、更に、上記仕切板と、浮き屋根の所要個所とをロープで結んだ構成として、上記浮き屋根が上下方向に変位するときに、上記仕切板が貯蔵液体のスロッシングを抑制する方向へ動くようにする手法も提案されている(たとえば、非特許文献1参照)。
ところが、上記特許文献1及び非特許文献1で提案されている手法では、いずれも、タンク貯蔵液体のスロッシングを抑制するためのデバイスが、貯蔵液体4中に配されているため、上記デバイスのメンテナンスが不便であるという問題がある。
しかも、上記浮き屋根式貯蔵タンク内に貯蔵されている液量が減って上記浮き屋根5が下がるときに、上記液中に設置されているデバイスが障害となる可能性がある。
更に、浮き屋根式貯蔵タンクが水平2方向に同時に加振される場合に、両方向の振動成分を共に抑制することは難しい。
なお、上記したような浮き屋根のピッチング振動を抑えるために、該浮き屋根に、該浮き屋根のピッチング振動方向、すなわち、鉛直方向に沿って、一般の制振装置として多く用いられてきている制振マスとばねとダンパからなる動吸振器を取り付けることも考えられるが、この場合、上記浮き屋根の極めて長周期の振動を抑えるためには、非常に低剛性のばねが必要になると共に、浮き屋根の鉛直方向変位の大きな振動を抑えるためには、制振マスのガイドの設置やストロークの確保が困難になるというのが実状である。
そこで、本発明は、浮き屋根式貯蔵タンクにおける貯蔵液体の内部に機器を設置することなく浮き屋根に容易に設置でき、且つ任意の加振方向に沿うピッチング振動を抑制できる浮き屋根振動抑制装置を提供しようとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、浮き屋根式貯蔵タンクの浮き屋根の周方向複数個所における外周部側の上側に、長手方向中央部が両端部よりも低くなるように屈曲させた軌道と、該軌道上に走行自在に載置した制振マスとを備えてなる制振装置を、各制振装置の軌道が上記浮き屋根の径方向に沿う配置となるように設けた構成とし、具体的には、制振装置を、浮き屋根の周方向等間隔の4個所以上の複数個所に設けるようにした構成とする。
又、上記構成において、制振装置の軌道を略V字状とし、且つ最下端での傾斜角を可変とすることができるようにした構成とする。
更に、上記各構成において、制振装置の軌道を、1対の軌道部材を略V字状に組み合わせてなる構成とし、且つ該各軌道部材を、長手方向に円弧形状とするようにした構成とする。
本発明の浮き屋根振動抑制装置によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)浮き屋根式貯蔵タンクの浮き屋根の周方向複数個所における外周部側の上側に、長手方向中央部が両端部よりも低くなるように屈曲させた軌道と、該軌道上に走行自在に載置した制振マスとを備えてなる制振装置を、各制振装置の軌道が上記浮き屋根の径方向に沿う配置となるように設けた構成、具体的には、制振装置を、浮き屋根の周方向等間隔の4個所以上の複数個所に設けるようにした構成としてあるので、浮き屋根の上に設置した各制振装置により、上記浮き屋根に水平2方向の軸をそれぞれ中心とするピッチング振動を複合してなる振動が生じて、該浮き屋根が変位すると、浮き屋根の上に設置してある各制振装置より、浮き屋根に対して、その変位を積分フィードバックしてなる制振力を作用させることができることから、上記浮き屋根の振動を抑制することができる。
(2)更に、上記制振装置は、広大なスペースがある浮き屋根上に設置すればよいため、該制振装置のメンテナンスを容易なものとすることができ、又、貯蔵液体が減って浮き屋根が下がっても、何ら問題が生じることはない。
(3)上記制振装置は、浮き屋根のピッチング振動に沿う鉛直方向ではなく、上記浮き屋根の径方向に沿って略V字型の軌道を配置して、該軌道上で制振マスを走行させるようにしてあるため、非常に低剛性のばねを要することなく上記浮き屋根の極めて長周期の振動を抑制することが可能であり、且つ制振マスを走行させる軌道の設置を容易なものとすることができると共に、ストロークの確保を容易なものとすることができる。
(4)制振装置の軌道を略V字状とし、且つ最下端での傾斜角を可変とすることができるようにした構成とすることにより、上記軌道上を走行する制振マスの固有振動数を変化させることができて、浮き屋根に生じる振動に容易に同調させる機能を発揮させることが可能になる。
(5)制振装置の軌道を、1対の軌道部材を略V字状に組み合わせてなる構成とし、且つ該各軌道部材を、長手方向に円弧形状とするようにした構成とすることにより、上記軌道の最下点での傾斜不連続性を小さくすることができて、該軌道の最下点を通過する制振マスの走行を円滑に行わせる場合に有利なものとすることができる。
(1)浮き屋根式貯蔵タンクの浮き屋根の周方向複数個所における外周部側の上側に、長手方向中央部が両端部よりも低くなるように屈曲させた軌道と、該軌道上に走行自在に載置した制振マスとを備えてなる制振装置を、各制振装置の軌道が上記浮き屋根の径方向に沿う配置となるように設けた構成、具体的には、制振装置を、浮き屋根の周方向等間隔の4個所以上の複数個所に設けるようにした構成としてあるので、浮き屋根の上に設置した各制振装置により、上記浮き屋根に水平2方向の軸をそれぞれ中心とするピッチング振動を複合してなる振動が生じて、該浮き屋根が変位すると、浮き屋根の上に設置してある各制振装置より、浮き屋根に対して、その変位を積分フィードバックしてなる制振力を作用させることができることから、上記浮き屋根の振動を抑制することができる。
(2)更に、上記制振装置は、広大なスペースがある浮き屋根上に設置すればよいため、該制振装置のメンテナンスを容易なものとすることができ、又、貯蔵液体が減って浮き屋根が下がっても、何ら問題が生じることはない。
(3)上記制振装置は、浮き屋根のピッチング振動に沿う鉛直方向ではなく、上記浮き屋根の径方向に沿って略V字型の軌道を配置して、該軌道上で制振マスを走行させるようにしてあるため、非常に低剛性のばねを要することなく上記浮き屋根の極めて長周期の振動を抑制することが可能であり、且つ制振マスを走行させる軌道の設置を容易なものとすることができると共に、ストロークの確保を容易なものとすることができる。
(4)制振装置の軌道を略V字状とし、且つ最下端での傾斜角を可変とすることができるようにした構成とすることにより、上記軌道上を走行する制振マスの固有振動数を変化させることができて、浮き屋根に生じる振動に容易に同調させる機能を発揮させることが可能になる。
(5)制振装置の軌道を、1対の軌道部材を略V字状に組み合わせてなる構成とし、且つ該各軌道部材を、長手方向に円弧形状とするようにした構成とすることにより、上記軌道の最下点での傾斜不連続性を小さくすることができて、該軌道の最下点を通過する制振マスの走行を円滑に行わせる場合に有利なものとすることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
図1及び図2は本発明の浮き屋根振動抑制装置の実施の一形態を示すもので、以下のようにしてある。
ここで、先ず、解析モデルについて示す。図2は、浮き屋根式貯蔵タンクのタンク本体1と、浮き屋根5の解析モデルを示すもので、上記浮き屋根5は、外周部に浮力を得るためのポンツーン(中空部分)6を有する軸対称な弾性シェル構造としてあるものとする。aは円筒形としてある上記タンク本体1の半径寸法、hは静的平衡時の貯蔵液体4の深度、bは浮き屋根5の半径寸法、b1は上記浮き屋根5におけるポンツーン6の内側のデッキ部の半径寸法である。
上記タンク本体1の底部中央部を原点として上向きをz軸方向とし、該z軸まわりの周方向角座標をψとし、半径方向をrとするときの上記浮き屋根5シェル構造の−z,ψ,r方向の変位を、それぞれ−u(uバー),−v(vバー),−w(wバー)とする(なお、本明細書では、便宜上、式中のバー(−)を上に付した文字を文中に記載する場合、バー(−)を文字の前に記すこととする。以下同様。)。
上記浮き屋根5とタンク側板(側壁)3との間における液体4を外気から遮断するためのシール部(図示せず)では、液面振動に対する拘束が弱いので、自由表面の境界条件が適用できる液面とする。液体運動は非圧縮完全流体の渦なし流れとし、タンク本体1の側板3と底板2は剛体とする。又、浮き屋根5の変位及び液面波高は小さいものとして線形理論を適用するものとする。
図1は、本発明の浮き屋根振動抑制装置を示すもので、図2に示した如き構成としてある浮き屋根式貯蔵タンクにおける浮き屋根5の上に、制振装置12を設ける。該制振装置12は、長手方向中央部が両端部よりも下方に位置する軌道14と、該軌道14上に走行自在に載置した制振マス13とを備えてなる構成としてあり、任意の加振方向に対して制振効果を得ることができるようにするために、上記浮き屋根5の外周部における周方向等間隔の複数個所の上側に、上記制振装置12を、それぞれの制振マス13が浮き屋根4の径方向に沿って移動できるように、すなわち、それぞれの制振マス13が、垂直な平面ψ=ψai≡2π(i−1)/imax(i=1,2,…,imax)内で内外方向に運動できるように設けるようにする。
詳述すると、上記軌道14は、図1におけるAB間とBC間に位置する1対の軌道部材15を略V字状に配置して屈伸可能に連結し、且つ該各軌道部材15を、図示しない起伏機構によって起伏させることで、軌道14の最下端(図1におけるB位置)での各軌道部材15の傾斜角θ0を可変とすることができる構成としてある。
上記軌道14は、浮き屋根5のポンツーン6の上側における周方向等間隔の複数個所に、上記した平面ψ=ψaiに沿って内外方向に延びるよう配設して、該軌道14上に、上記制振マス13を走行自在に載置してある。
なお、上記図2では周方向に配された複数の制振装置12のうちの任意の1つについて、上記浮き屋根5が静的平衡位置にあるときの状態を示している。実際に振動が生じた状態では、浮き屋根5のy,x軸回りに回転運動と弾性変形が生じることによって、浮き屋根5上に設けた制振マス13の絶対静止座標に対する運動は複雑になる。
したがって、上記浮き屋根5の制振を行う場合は、上記制振マス13の変位が大きくなるので、上記軌道14の最下点での傾斜不連続性(軌道14がくの字形に屈曲する度合)を小さくして、制振マス13を円滑に走行させることができるようにするために、上記各軌道部材15を、長手方向にそれぞれ所要の曲率の円弧を備えた形状としてなる構成とする。
具体的には、図1のBC間の軌道部材14の円弧を、半径la0で中心O1としてある。AB間の軌道部材14は、上記BC間の軌道部材14に対して直線O2Bについて対称となるようにしてある。laiの基準点O2の高さは、O2B=la0となるように設定してある。又、上記制振マス13質量はmaiとしてある。これにより、上記制振マス13が軌道14上で最下端位置から変位すると、上記軌道14が傾斜をもっていることにより作用する重力の復元力が、該制振マス13に対して作用するようになることから、制振マス13は固有振動数をもち、動吸振器の効果が得られるようになる。但し、通常の動吸振器とは異なり、上記制振マス13に作用する復元力は、速度フィードバックでなく積分フィードバックである。したがって、上記各軌道部材15を図示しない起伏機構により起伏させて軌道14の最下点での傾斜角θ0を可変とすることで、上記制振マス13の固有振動数を可変として同調機能を得ることができるようにしてある。
図1及び図2における符号16は、浮き屋根の上面に設けた補強材(スチフナ)である。
上記式(4)、式(5)を加え合わせた変分原理(1)は、式(3)の液圧を代入し、法線ベクトルと面積分を円筒座標で表して液体4と浮き屋根5との境界面と振動液面上での境界条件を線形化すると、次のようになる。
上記式(6)が、速度ポテンシャルφ、液面波高η、圧力方程式中の任意時間関数G、浮き屋根変位の任意かつ独立な変分に対して成立するためには、これらの変分に関する係数が0となる条件が要求される。このため、これらの要求条件が基礎方程式、境界条件を与える。すなわち、上記式(6)における第1項は、液体領域内での連続条件に対応するラプラス方程式;
第2項、第3項は、剛と仮定された液体4とタンクの境界面(側壁と底)でその法線方向の流速が0になる境界条件;
第4項は、液体4と浮き屋根5の境界面で双方の法線方向の振動速度が等しい条件;
第5項は、液面で、液面の振動速度と液体の粒子速度の液面に垂直な方向の速度成分が等しい条件;
第3行は、液面で液圧が0になる条件;
第4行は、非圧縮性の仮定に基づく液体4の体積一定条件;
最後の2行は、液圧を浮ける浮き屋根5の運動方程式;
をそれぞれ表している。なお、液体4の体積一定条件は,他の運動学的境界条件より導けるので、独立ではなく、これ以外の項を基礎式系を与える変分原理とみて以下の解析を進める。
第5項は、液面で、液面の振動速度と液体の粒子速度の液面に垂直な方向の速度成分が等しい条件;
第3行は、液面で液圧が0になる条件;
第4行は、非圧縮性の仮定に基づく液体4の体積一定条件;
最後の2行は、液圧を浮ける浮き屋根5の運動方程式;
をそれぞれ表している。なお、液体4の体積一定条件は,他の運動学的境界条件より導けるので、独立ではなく、これ以外の項を基礎式系を与える変分原理とみて以下の解析を進める。
変分原理(6)をガレルキン法により時間の常微分方程式に変換する。すなわち、未知量をモード関数で展開した形で表して式(6)に代入することにより、展開係数(一般化座標と呼ばれる未知の時間関数)に関する常微分方程式を導く。速度ポテンシャルφを、上記境界条件(8)を満たすラプラス方程式(7)の解として次のように表す。
更に、上記制振装置12の定式化を行う。先ず、図2に示した構成から、各制振マス(制振マス)13の(xai,yai,zai)座標を求める。なお、軌道14を構成している各軌道部材15の長手方向に設けた円弧の方程式は、以下のようにしてあるものとする。
ここで、
であり、この円弧上に点
がある条件より、laiに関する方程式
を導く。この方程式を解くことによりlaiをθaiの関数として表し、θai,θ0を1次微小量として4次微小量を省略して
を導く。この関数を用いて各制振マス13の(xai,yai,zai)座標を決定すると、
となる。
上記(xb,yb,zb)は、浮き屋根のy,x軸回りの剛体回転角θy,θxで決定される運動に固定され、これらの剛体回転角が0のとき、地震により並進運動するタンク本体1に固定された座標軸(x,y,z)に平行になる(図2は複雑な図になるのを避けるため、剛体回転角0の場合を示している)。したがって、式(22)の位置を座標系(x,y,z)に変換すると、次のようになる。
最後に,地震による水平変位と、浮き屋根5の鉛直方向の弾性変位、すなわちθy,θxに対応する剛体回転モード(p,q)=(1,1),(1,2)を除いた変位、を考慮して、
によって静止座標に変換し、次式を得る。
上記式(25)を制振マス13のラグランジュアンに関する作用積分の変分
に代入し、laiの時間微分と変分の寄与する項が高次微小量として省略できることに留意して計算を進めると、下記のようになる。
ここで、
である。
上記式(32)の左辺第2項の復元力項に、式(20)を代入して、線形項とその他の項に分け、線形項が有する固有振動数に対応した減衰項を導入して次式を得る。
ここで、
したがって、式(13)、式(14)、式(33)と、式(27)の浮き屋根5の変位の一般化座標の変分に関する項を式(15)に加えたものとを連立させて解くことにより、スロッシング、浮き屋根、制振系の応答が求められるようになる。
以上のことから、本発明の浮き屋根振動抑制装置による制振原理は、上記式(33)より、浮き屋根5の傾きθx,θyによって重力が制振マス13を加振することにあることが分かる。
又、式(27)中のGi (2),Gi (3)の重力項、すなわち、式(29)、式(30)の各式の右辺の最後の項が、ra+laiθaiの位置で浮き屋根5に働く重力によるモーメントを表し、この動的項maigla0θaicosψai,maigla0θaisinψaiが、浮き屋根5に対する制振モーメントとして働くことが分かる。
以上の構成としてある本発明の浮き屋根振動抑制装置によれば、速度フィードバックとして制振作用をもつ通常の動吸振器と対照的に、以下に示すように、浮き屋根変位に対する積分フィードバックとして制振作用を発揮する。
上記制振マス13を周方向に等間隔で配置すれば、
が成立するので、式(36)、式(37)は、それぞれ、浮き屋根回転変位θy,θxに対し、同調周波数s=iωa近くで積分フィードバック制御として働くことが明らかである。
このように、本発明の浮き屋根振動制御装置によれば、上記浮き屋根5に水平2方向のx軸及びy軸をそれぞれ中心とするピッチング振動を複合してなる振動が生じて、該浮き屋根5が変位すると、浮き屋根5の上に設置してある制振装置12より、浮き屋根5に対して、その変位を積分フィードバックしてなる制振力を作用させることができるため、上記浮き屋根5の振動を抑制することができる。したがって、任意の加振方向に沿う浮き屋根5のピッチング振動を抑制することができる。
更に、上記制振装置12は、広大なスペースがある浮き屋根5上に設置すればよいため、該制振装置12のメンテナンスを容易なものとすることができると共に、浮き屋根式貯蔵タンクの貯蔵している液体4が減って浮き屋根5が下がっても、何ら問題が生じることはない。しかも、上記制振装置12は、上記浮き屋根5のピッチング振動に沿う鉛直方向ではなく、上記浮き屋根式貯蔵タンクの周方向等間隔位置にて径方向に沿って配置してある略V字型の軌道14上で制振マス13を走行させる形式のものであるため、非常に低剛性のばねを要することなく上記浮き屋根5の極めて長周期の振動を抑制することが可能であり、且つ制振マス13を走行させる軌道14の設置を容易なものとすることができると共に、ストロークの確保を容易なものとすることができる。
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、浮き屋根5上に設ける制振装置12の数は、周方向に等間隔で4基以上設けるようにすれば、制振すべき上記浮き屋根5の大きさに応じて設置数は自在に設定してよい。この場合、制振装置12の数を増やせば、個々の制振装置12の制振マス13を軽くできる。一方、数が多くなると、設置に要する手間や時間が増加する。よって、周方向に8基から12基程度設けるようにすることが好ましい。
更に、上記制振装置12においては、軌道14を、2つの軌道部材15からなる構成として、該各軌道部材15の起伏によって最下端での傾斜角θ0を可変とすることで、該軌道14上を走行する上記制振マス13の固有振動数を可変として同調機能を得ることができるものとして示したが、同調機能を得るために、上記軌道14を、長手方向に4つ以上の軌道部材を連結してなる構成として、該各軌道部材同士の連結個所にて屈曲させるようにしたり、更には、上記における個々の軌道部材をごく短くすることで、上記軌道14の円弧の半径自体を可変とするようにして、該軌道14上を走行する制振マス13の固有振動数を変化させるようにしてもよい。
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
以下、本発明者が実施した本発明の有効性の検証の結果について説明する。
図1に示したと同様の構成としてある本発明の浮き屋根振動抑制装置を構成し、前述した解析手順に基づいた電算プログラムを作成して、数値計算を行った。
各パラメータの設定は以下のようにした。タンク半径a=27m、液体密度ρf=800kg/m3とした。浮き屋根5は鋼製で半径b=26.7m、デッキ部半径b1=23m、ポンツーン6の外周部の高さ0.89m、デッキ部の厚さ4.5mm、ポンツーン6の浮き室の厚さは7mmとした。又、デッキ部、浮き室の下面、浮き室の上面の傾斜tan−1(dz/dr)はそれぞれ1度、−1度、2度とした。補強材16は、高さ0.2m、幅0.2m、間隔3.82mとした。浮き屋根5のない場合のスロッシングモードに減衰比ζn=0.01を導入するため、式(13)の左辺に、以下の減衰項を付加した。
その他のパラメータは図中に記載してある。
図3に加振加速度入力として用いた十勝沖地震波形を示し、図4(イ)(ロ)に応答計算結果を示す。
入力地震波としては、図4(ロ)に示すように、タンク内の液体4の深度が深い場合(h=20m、浮き屋根5の共振周波数0.122Hz)に対しては図3の地震波形(低周波域での卓越周波数0.128Hz)を採用し、図4(イ)に示すようにタンク内の液体4の深度が浅い場合(h=10m、浮き屋根5の共振周波数0.1Hz)に対しては、図3の地震波形の時間スケールを変えて入力地震波の卓越振動数の浮き屋根共振周波数に対する比が深い場合と同じになるようにしている。
制振装置12の諸元は、mai=30000kg、ζai=0.1、rai=22.2m、であり、周方向30度間隔の等間隔位置に12機設置するようにしてある。よって、ψai=(i−1)π/6(i=1,2,…,imax=12)である。最下点での傾斜θ0と、θ0がゼロ(0)のときの円弧軌道の半径la0から、式(34)より定まる固有振動数ωaは図中に記す。
図4(イ)では、最下点での傾斜θ0を0とし、円弧の半径la0のみで浮き屋根共振周波数に同調させている。この場合の応答計算結果を図中に実線で示してある。図中の破線は、比較として、同条件の下で制振装置12がない状態で求めた応答計算結果である(図4(ロ)、図5(イ)(ロ)でも同様である。)。この結果から明らかなように、本発明の浮き屋根振動抑制装置によれば、制振装置を設けない場合と比較して、減衰効果が得られていることが明らかとなった。
タンク内の貯蔵液体4の深度がより深くなった場合、浮き屋根5の共振周波数が高くなるので、制振装置12の固有振動数を高くして同調させる必要がある。この同調条件を円弧半径la0の縮小でなく、実装が容易な軌道14の最下点での傾斜θ0を正値(θ0=3deg)とすることによって得た応答計算結果を図4(ロ)に示す。この場合にも、制振装置を設けない場合と比較して、減衰効果が得られていることが明らかである。
これに対し、図4(ロ)に示した場合と同様の条件において、軌道14の最下点での傾斜θ0を0とすると、図5(イ)に示すように、減衰効果がほとんどなくなる。したがって、軌道14の最下点での傾斜θ0を正値とすることが減衰効果を得るのに有効であるという効果が確認できる。
又、図5(ロ)は、図4(ロ)と同様の条件において、軌道14の最下点での傾斜θ0を0としたままで、各軌道部材15の円弧の半径を変更することによって同調させた場合の結果を示すものである。この場合にも、制振装置を設けない場合と比較して、減衰効果が得られていることが判る。更に、上記図4(ロ)で得られた減衰効果は、図5(ロ)のように、軌道14の最下点での傾斜θ0を0としたままで、各軌道部材15の円弧の半径の変更のみによって同調させた場合の結果に近い。このことから、液深が増した場合の浮き屋根5の共振周波数の上昇に、軌道14の各軌道部材15の円弧の半径を変えず、より実装し易い軌道14の最下点での傾斜θ0を可変とする同調機構により対処できることが明らかである。
上記において、制振マス13のストロークの最大値は、図4(イ)で5.6m、図4(ロ)で5mであった。液体4の深度hが深い場合の方が、浮き屋根5の固有振動数が高いのでストロークは小さくなることが判る。
5 浮き屋根
12 制振装置
13 制振マス
14 軌道
15 軌道部材
12 制振装置
13 制振マス
14 軌道
15 軌道部材
Claims (4)
- 浮き屋根式貯蔵タンクの浮き屋根の周方向複数個所における外周部側の上側に、長手方向中央部が両端部よりも低くなるように屈曲させた軌道と、該軌道上に走行自在に載置した制振マスとを備えてなる制振装置を、各制振装置の軌道が上記浮き屋根の径方向に沿う配置となるように設けた構成を有することを特徴とする浮き屋根振動抑制装置。
- 制振装置を、浮き屋根の周方向等間隔の4個所以上の複数個所に設けるようにした請求項1記載の浮き屋根振動抑制装置。
- 制振装置の軌道を略V字状とし、且つ最下端での傾斜角を可変とすることができるようにした請求項1又は2記載の浮き屋根振動抑制装置。
- 制振装置の軌道を、1対の軌道部材を略V字状に組み合わせてなる構成とし、且つ該各軌道部材を、長手方向に円弧形状とするようにした請求項1、2又は3記載の浮き屋根振動抑制装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007102210A JP2008254804A (ja) | 2007-04-09 | 2007-04-09 | 浮き屋根振動抑制装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007102210A JP2008254804A (ja) | 2007-04-09 | 2007-04-09 | 浮き屋根振動抑制装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008254804A true JP2008254804A (ja) | 2008-10-23 |
Family
ID=39978780
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007102210A Pending JP2008254804A (ja) | 2007-04-09 | 2007-04-09 | 浮き屋根振動抑制装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008254804A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2168782A1 (en) | 2008-09-30 | 2010-03-31 | Fujifilm Corporation | Heat-sensitive transfer sheet |
CN117068591A (zh) * | 2023-10-13 | 2023-11-17 | 章钧机械设备(泰州)有限公司 | 一种油罐车抗晃油罐 |
-
2007
- 2007-04-09 JP JP2007102210A patent/JP2008254804A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2168782A1 (en) | 2008-09-30 | 2010-03-31 | Fujifilm Corporation | Heat-sensitive transfer sheet |
CN117068591A (zh) * | 2023-10-13 | 2023-11-17 | 章钧机械设备(泰州)有限公司 | 一种油罐车抗晃油罐 |
CN117068591B (zh) * | 2023-10-13 | 2023-12-22 | 章钧机械设备(泰州)有限公司 | 一种油罐车抗晃油罐 |
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