JP6573105B2 - Tmd機構 - Google Patents

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Description

本発明は、構造物の振動を低減するためのTMD(Tuned Mass Damper)機構に関する。
構造物(建物)の頂部(上部)に設置する制振装置として、TMD機構(Tuned Mass Damper:動吸振機構)が知られている(例えば、特許文献1参照)。これは、構造物に「ばねと減衰を介して錘を支持する装置」を設置して、ばねおよび錘による振動数を構造物の固有振動数に同調させることで、この振動数近くでの振動エネルギーをこの装置が大きく揺れることで吸収して、構造物の揺れを低減するものである。
このTMD機構は、定常振動に対する揺れの低減効果が大きいことから、従来から風揺れ対策や交通振動対策に使われてきたが、近年では超高層建物の長周期地震動対策としても適用されている。
特開2011−141026号公報
構造物は、X方向(一の水平方向)の固有振動数とY方向(一の水平方向に直交する他の水平方向)の固有振動数とが異なる場合が多い。このような構造物にTMD機構を同調させるためには、TMD機構のX方向の固有振動数とY方向の固有振動数とを変える必要があり、ばね定数をX方向とY方向とで異なるように設定する必要がある。しかしながら、TMD機構のばねは一般的に積層ゴムや吊り材を用いているため、方向によってばね定数を変えることは装置を複雑化させてしまうことから難しいという問題があった。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、固有振動数がX方向とY方向とで異なる構造物に対して、同調させることができるTMD機構を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係るTMD機構は、構造物の振動を低減するためのTMD機構において、前記構造物の上方に設けられた錘体と、前記構造物と前記錘体との間に設けられた中間構造体と、前記中間構造体と前記構造物との間に設けられて第1免震層を形成する複数の第1免震支承と、前記中間構造体と前記錘体との間に設けられて第2免震層を形成する複数の第2免震支承と、前記錘体の振動を減衰させる減衰部と、を有し、前記複数の第1免震支承は、それぞれの中心軸線方向の前記中間構造体と前記構造物との相対変位を規制するとともに前記中心軸線方向と直交する方向の前記中間構造体と前記構造物との相対変位を許容し、前記複数の第2免震支承は、それぞれの中心軸線方向の前記中間構造体と前記構造物との相対変位を規制するとともに前記中心軸線方向と直交する方向の前記中間構造体と前記構造物との相対変位を許容し、一の水平方向を中心軸線方向とする仮想円弧面を第1仮想円弧面とし、前記一の水平方向に直交する仮想鉛直面を第1仮想鉛直面とし、該第1仮想鉛直面内において前記第1仮想円弧面の中心軸線と直交する仮想鉛直線を第1仮想鉛直線とすると、前記複数の第1免震支承は、前記第1仮想円弧面に沿って配置されるとともに、それぞれの中心軸線が前記第1仮想鉛直面内に配置されて前記第1仮想鉛直線と前記第1仮想円弧面との交点を通るような向きに配置され、前記一の水平方向を中心軸線方向とし前記第1仮想円弧面の上側に配置された仮想円弧面を第2仮想円弧面とし、前記一の水平方向に直交する仮想鉛直面を第2仮想鉛直面とし、該第2仮想鉛直面内において前記第2仮想円弧面の中心軸線と直交する仮想鉛直線を第2仮想鉛直線とすると、前記複数の第2免震支承は、前記第2仮想円弧面に沿って配置されるとともに、それぞれの中心軸線が前記第2仮想鉛直面内に配置されて前記第2仮想鉛直線と前記第2仮想円弧面との交点を通るような向きに配置され、前記第1仮想円弧面と前記第2仮想円弧面とは半径の値が等しく、前記第1仮想円弧面および前記第2仮想円弧面は、一方が鉛直方向上側に突出し、他方が鉛直方向下側に突出していることを特徴とする。
本発明では、複数の第1免震支承は、一の水平方向を中心軸線方向とする第1仮想円弧面に沿って配置されることにより、一の水平方向に直交する第2水平方向(X方向)に対して傾斜配置され、一の水平方向(Y方向)に対しては傾斜せずに配置される。このため、第1免震支承のばね定数をX方向とY方向とで異なる値とすることができる。
また、複数の第2免震支承は、Y方向を中心軸線方向とする第2仮想円弧面に沿って配置されることにより、X方向に対して傾斜配置され、Y方向に対しては傾斜せずに配置される。このため、第2免震支承のばね定数をX方向とY方向とで異なる値とすることができる。
そして、TMD機構は、第1免震支承および第2免震支承のばね定数それぞれをX方向とY方向とで異なる値に設定できることにより、固有振動数がX方向とY方向とで異なる構造物に対しても、X方向の振動およびY方向の振動の両方に同調させることができる。
また、第1免震層および第2免震層の2つの免震層が上下2段に配置されているため、免震層が1段のみの場合と比べて、これらの免震層を形成する複数の第1免震支承および第2免震支承のそれぞれ1つあたりの変形量を半減することができるとともに、免震層が1段のみの場合よりも構造物の長周期化を図ることができる。
また、第1仮想円弧面および第2仮想円弧面は、一方が鉛直方向上側に突出し、他方が鉛直方向下側に突出していることにより、第1仮想円弧面および第2仮想円弧面の半径と第1免震支承および第2免震支承の水平剛性とを所定の値に設定することで、錘体を鉛直軸線回りに回転させずに略並進運動させることができる。
また、複数の第1免震支承は、第1仮想円弧面に沿って配置されるとともに、それぞれの中心軸線が第1仮想鉛直面内に配置されて第1仮想鉛直線と第1仮想円弧面との交点を通るような向きに配置され、複数の第2免震支承は、第2仮想円弧面に沿って配置されるとともに、それぞれの中心軸線が第2仮想鉛直面内に配置されて第2仮想鉛直線と第2仮想円弧面との交点を通るような向きに配置されている。これにより、第1免震層および第2免震層に一の水平方向に延びる軸線回りの回転が生じた場合でも、すべての第1免震支承の鉛直変位が同一の値となるとともに、すべての第2免震支承の鉛直変位が同一の値となる。このため、TMD機構を支承反力が変動しない構成とすることができる。
また、アスペクト比(構造物の幅に対する高さの比)の大きい構造物の場合、ロッキングによる曲げ変形が大きくなる。このため、構造物の頂部の床が回転してTMD機構の構造物への固定されている部分も回転することになる。
本発明では、構造物の曲げが卓越する方向を第1免震支承および第2免震支承が傾斜配置される方向(X方向)とすることにより、構造物のロッキングに対しても、第1免震層および第2免震層により錘体が一の水平方向に延びる軸線回りに回動することができる。このため、錘体が傾斜して横力によって大きく変位することを防止できる。
また、本発明に係るTMD機構では、前記錘体の軌道上に前記構造物に支持された緩衝材が設けられていることが好ましい。
このような構成とすることにより、想定外の過大な地震力によって錘体が想定外に移動しようとした場合に、緩衝体が錘体と緩衝し、錘体の移動量を規制することができる。
本発明によれば、固有振動数がX方向とY方向とで異なる構造物に対して、同調させることができる。
本発明の実施形態によるTMD機構の一例を示す図である。 図1の分解斜視図である。 図1のA−A線断面図である。 図3のB−B線断面図である。 本発明の実施形態によるTMD機構をモデル化した図である。 本発明の実施形態によるTMD機構の挙動を説明する図である。
以下、本発明の実施形態によるTMD機構について、図1乃至図6に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態によるTMD機構1は高層建物(構造物)11の頂部の床に設けられている。
TMD機構1は、高層建物11の頂部の床に固定された固定部2と、固定部2の上側に設けられた錘体3と、固定部2と錘体3との間に設けられた中間構造体4と、中間構造体4と固定部2との間に設けられた複数の第1免震支承5,5…と、中間構造体4と錘体3との間に設けられた複数の第2免震支承6,6…と、錘体3の振動を減衰させる減衰部7と、を有している。
複数の第1免震支承5,5…は、中間構造体4と固定部2との間に第1免震層50を形成していて、複数の第2免震支承6,6…は、中間構造体4と錘体3との間に第2免震層60を形成している。
図1および図2に示すように、固定部2は、高さ寸法が所定の値に設定された部材で、平面視形状が矩形状に形成されている。固定部2の上面21は、鉛直方向上側に突出する円弧面に形成され、複数の第1免震支承5,5…が接続されている。固定部2の下面22は、平坦面に形成され、高層建物11(図1参照)の頂部の床に当接している。固定部2の上面21の円弧面の軸線は水平方向に延在している。この軸線に直交する水平方向(図1の左右の方向)をX方向とし、軸線の延在方向(図1の紙面に直交する方向、一の水平方向)をY方向とする。
錘体3は、高さ寸法が所定の値に設定された部材で、平面視形状が固定部2よりも大きい矩形状に形成されている。錘体3の下面31は、鉛直方向下側に突出する円弧面に形成され、第2免震支承6,6…が接続されている。錘体3の下面31の円弧面の軸線はY方向に延在している。
錘体3の下面31の円弧面の半径寸法と、固定部2の上面21の円弧面の半径寸法とは、略同じ半径寸法に設定されている。
中間構造体4は、高さ寸法が所定の値に設定された部材で、平面視形状が固定部2と略同じ矩形状に形成されている。中間構造体4の下面41は、鉛直方向上側に窪んだ(突出する)円弧面に形成され、複数の第1免震支承5,5…が接続されている。中間構造体4の下面41の円弧面の軸線はY方向に延在している。
中間構造体4の上面42は、鉛直方向下側に窪んだ(突出する)円弧面に形成され、複数の第2免震支承6,6…が接続されている。中間構造体4の上面42の円弧面の軸線はY方向に延在している。
中間構造体4の下面41の円弧面の半径寸法と、上面42の円弧面の半径寸法とは、略同じ半径寸法Rに設定されている。この半径寸法Rは、錘体3の下面31の円弧面および固定部2の上面21の円弧面の半径寸法よりも大きい値に設定されている。中間構造体4の下面41の円弧面を第1円弧面(第1仮想円弧面)12とし、上面42の円弧面を第2円弧面(第2仮想円弧面)13とする。
中間構造体4の下面41の円弧面の軸線、中間構造体4の上面42の円弧面の軸線、固定部2の上面21の円弧面の軸線、および錘体3の下面31の円弧面の軸線は、すべて鉛直方向に重なる位置に配置されている。
中間構造体4は、固定部2と錘体3との間に配置されると、下面41が固定部2の上面21と鉛直方向に間隔をあけて平行に配置され、上面42が錘体3の下面31と鉛直方向に間隔をあけて平行に配置されている。
複数の第1免震支承5,5…は、それぞれ中間構造体4の下面41に接合される第1上部支承板51,51…と、固定部2の上面21に接合される第1下部支承板52,52…と、第1上部支承板51,51…と第1下部支承板52,52…との間に介装される第1積層ゴム53,53…と、を有している。複数の第1免震支承5,5…は、それぞれ固定部2の上面21および中間構造体4の下面41に沿ってX方向およびY方向に間隔をあけて配列されている。
複数の第1免震支承5,5…は、それぞれの中心軸線方向(第1上部支承板51と第1下部支承板52とを結ぶ方向)の中間構造体4と固定部2との相対変位を規制し、それと直交する方向の中間構造体4と固定部2との相対変位を許容するように構成されている。
図1に示すように、複数の第1免震支承5,5…は、それぞれの中心軸線がY方向に直交する第1仮想鉛直面内に配置されるとともに、この第1仮想鉛直面内において第1円弧面12の中心軸線12aと直交する第1仮想鉛直線14と、第1円弧面12と重なる第1仮想円15と、の交点P1(以下、第1交点とする)を通るような向きにそれぞれ配置されている。
図1および図2に示すように、複数の第2免震支承6,6…は、錘体3の下面31に接合される第2上部支承板61,61…と、中間構造体4の上面42に接合される第2下部支承板62,62…と、第2上部支承板61,61…と第2下部支承板62,62…との間に介装される第2積層ゴム63,63…と、を有している。複数の第2免震支承6,6…は、それぞれ錘体3の下面31および中間構造体4の上面42に沿ってX方向およびY方向に間隔をあけて配列されている。
複数の第2免震支承6,6…は、それぞれ中心軸線方向(第2上部支承板61と第2下部支承板62とを結ぶ方向)の中間構造体4と錘体3との相対変位を規制し、それと直交する方向の中間構造体4と錘体3との相対変位を許容するように構成されている。
複数の第2免震支承6,6…は、それぞれの中心軸線がY方向に直交する第2仮想鉛直面内に配置されるとともに第2仮想鉛直面内において第2円弧面13の中心軸線13aと直交する第2仮想鉛直線16と、第2円弧面13と重なる第2仮想円17と、の交点P2(以下、交点P2とする)をそれぞれ通るような向きに配置されている。
第1免震支承5の積層ゴム53と第2免震支承6の第2積層ゴム63とは、同じ仕様に設計されている。
図1、図3および図4に示すように、減衰部7は錘体3に接続された一対の錘体接続部71,71と、高層建物11(図1および図4参照)に接続された一対の建物接続部72,72と、錘体接続部71と建物接続部72との間に介装された4つのオイルダンパ73,73,73…と、を有している。なお、図1では、中間構造体4の前側に配置されたオイルダンパ73を省略している。
一対の錘体接続部71,71は、平面視における錘体3の一対の対角近傍からそれぞれ下方に突出している。一対の建物接続部72,72は、高層建物11の上面の平面視における錘体3の他の一対の対角近傍と鉛直方向に重なる位置からそれぞれ上方に突出している。錘体接続部71,71の下端部は高層建物11の上面とは離間し、建物接続部72,72の上端部は錘体3の下面と離間している。錘体接続部71,71の下端部近傍と、建物接続部72,72の上端部近傍とは水平方向に重なる位置に配置されている。
オイルダンパ73,73,73…は、それぞれ対象物の振動を減衰させる所定の減衰力を有する公知の構造のもので、シリンダおよびロッドの軸線方向が水平方向となるように配置されている。本実施形態では、2つのオイルダンパ73,73のシリンダおよびロッドの軸線方向がX方向となり、他の2つのオイルダンパ73,73のシリンダおよびロッドの軸線方向がY方向となる向きに配置されている。なお、オイルダンパ73,73…は、振動によって錘体3と高層建物11とが水平方向に相対移動した際に、中間構造体4と接触しないように配置されている。
オイルダンパ73は、軸線方向の一方の端部が錘体接続部71の下端部近傍に水平面内において相対的に回動可能に接続され、他方の端部が建物接続部72の上端部近傍に水平面内において相対的に回動可能に接続されている。これにより、オイルダンパ73が錘体3と高層建物11との水平方向の変位に追従することができる。
本実施形態では、錘体3の軌道上に高層建物11に支持された緩衝材8が設けられている。緩衝材8は、想定外の過大な地震力によって高層建物11に対して錘体3が想定外に移動した場合に、錘体3と緩衝することで錘体3の移動量を規制するように構成されている。緩衝材8は、想定外の過大な地震入力時に錘体3が大きく移動した際のフェールセーフ機構として設けられている。
続いて、本実施形態によるTMD機構1の振動特性について説明する。
第1免震層50および第2免震層60の2つの免震層が上下2段に配置されていることによるTMD機構1の振動特性については、免震層を上下2段に傾斜配置した免震構造物の振動特性が記載された「磯田和彦・高橋▼てい▲一・和田章・彦根茂・堀富博・竹内徹 やじろべえ型免震構造の研究(その2:簡易モデルによる振動理論)、日本建築学会大会学術講演梗概集、2000年9月」(文献1とする)を参照する。文献1では、具体的な振動モデルや固有振動数・固有モードの計算方法が提示されており、構造物頂部から吊り下げられた免震構造物の振動特性を定式化している。
また、複数の第1免震支承5,5…は、それぞれ第1円弧面12に配置されるとともに中心軸線が第1交点P1を通るような向きに配置され、複数の第2免震支承6,6…は、それぞれ第2円弧面13に配置されるとともに中心軸線が第2交点P2を通るような向きに配置されていることによるTMD機構1の振動特性については、出願人が出願した特開2002‐242474を参照する。
図5には、本実施形態によるTMD機構1のモデルを示しており、このモデルでは、第1免震層50および第2免震層60の水平剛性をK、第1円弧面12の中心軸線12a(以下、下部回転中心12aとする)を中心とする中間構造体4の回転角(傾斜角)をθ、第2円弧面13の中心軸線13a(以下、上部回転中心13aとする)を中心とする錘体3の回転角(傾斜角)をθ、中間構造体4から錘体3の重心までの寸法をaとしている。
上部回転中心12aと下部回転中心13aとのX方向の相対変位をu1とすると、u1=−2Rθで示される。上部回転中心12aと錘体3とのX方向の相対変位をuとすると、u=u+(R−a)θ=(R−a)θ−2Rθで示される。
第2免震層60のばね応力をfとすると、f=KRθで示される。第1免震層50のばね応力をfとすると、f=KR(θ−θ)で示される。
文献1を参照して、図5に示すTMD機構1のモデルの振動方程式を振動数域で表示すると下式となる。以下の式では、錘体3の質量をm、回転慣性モーメントをIθ、重力加速度をgとしている。
Figure 0006573105
ここで、ωは角振動数であり、固有値は上記行列の行列式が0となる条件から求められる。
1次および2次の固有角振動数ω,ωは下式で求められる。
Figure 0006573105
ここで、C、C、Cは、下式で求められる。
Figure 0006573105
よって、1次と2次の固有周期T,Tは、下式となる。
Figure 0006573105
式(1)と式(2)とから固有振動モードを求めると、θ,θの角度比は下式となる。
Figure 0006573105
また、錘体3の水平移動量は、u=u1+(R−a)θ=(R−a)θ−2Rθとなるため、下式が成立する。
Figure 0006573105
これは、錘体3の水平変位uと回転角θによる変位の比を表しており、|θ/θ|が大きいほど回転角θによる変位の比率が小さいことを意味し、錘体3が回転せず並進運動することがわかる。そこで、本実施形態によるTMD機構1では、振動制御対象とする1次モードに対し、式(6)で求められる比率が概ね5倍以上となるように、下式(7)で示す|θ/θ|≧2.5と設定する。
Figure 0006573105
ここで、ωは式2で求まるω を代入するものとする。
なお、上記の説明は、複数の第1免震支承5,5…および第2免震支承6,6…をそれぞれ傾斜配置したX方向に関するものである。Y方向の振動特性については、傾斜の影響がない第1免震支承5,5…と第2免震支承6,6…とを2段重ねしただけものであるため、単に第1免震支承5,5…および第2免震支承6,6…で設定した剛性を1/2とすればよく、式(2)に対応する固有角振動数ωと固有周期Tは下記となる。
Figure 0006573105
続いて、本実施形態によるTMD機構1の試算例について説明する。
錘体3は、形状が5m(X方向寸法)×5m(Y方向寸法)×2.5m(高さ寸法)の質量m=500tonの鋼材とし、回転慣性モーメントIθ=1280ton.mとしている。中間構造体4から錘体3の重心までの寸法a=3mとし、第1円弧面12の半径および第2円弧面13の半径R=18mとし、第1免震層50および第2免震層60それぞれの総せん断剛性は、K=2200kN/mとする。重力加速度g=9.8m/secとする。
なお、複数の第1免震支承5,5…および複数の第2免震支承6,6…がX方向に対してを傾斜配置され、Y方向に対しては傾斜せずに配置されている。
これらの諸元から上記の式(1)〜(4)でX方向の1次固有周期を求めると、T=4.71secとなる。
また、|θ/θ|=2.53となり、上記の式(7)を満足するので、錘体3はほとんど回転せず並進する。
なお、Y方向には支承の傾斜がないので式(8)よりT=4.24secとなり、X方向の方が1割ほど長周期化することがわかる。
次に、上述したTMD機構1の作用・効果について図面を用いて説明する。
上述した本実施形態によるTMD機構1では、複数の第1免震支承5,5…は、それぞれ第1円弧面12に沿って配置されることにより、X方向に対して傾斜配置され、Y方向に対しては傾斜せずに配置される。このため、第1免震支承5,5…のばね定数をX方向とY方向とで異なる値とすることができる。
また、複数の第2免震支承6,6…は、それぞれ第2円弧面13に沿って配置されることにより、X方向に対して傾斜配置され、Y方向に対しては傾斜せずに配置される。このため、第2免震支承6,6…のばね定数をX方向とY方向とで異なる値とすることができる。
そして、TMD機構1は、第1免震支承5,5…および第2免震支承6,6…のばね定数それぞれをX方向とY方向とで異なる値に設定できることにより、固有振動数がX方向とY方向とで異なる高層建物11に対しても、X方向の振動およびY方向の振動の両方に同調させることができる。
また、第1免震層50および第2免震層60の2つの免震層50,60が上下2段に配置されているため、免震層が1段のみの場合と比べて、複数の第1免震支承5,5…および第2免震支承6,6…のそれぞれの変形量を半減することができるとともに、免震層が1段のみの場合よりも高層建物11の長周期化を図ることができる。
また、第1円弧面12は上方に突出し、第2円弧面13は下方に突出していることにより、第1円弧面12および第2円弧面13の半径Rと、第1免震支承5,5…および第2免震支承6,6…の水平剛性Kと、を設定することで、錘体3を鉛直軸線回りに回転させずに略並進運動させることができる。
また、複数の第1免震支承5,5…は、それぞれ第1円弧面12に配置されるとともに中心軸線が第1交点P1を通るような向きに配置され、複数の第2免震支承6,6…は、それぞれ第2円弧面13に配置されるとともに中心軸線が第2交点P2を通るような向きに配置されている。これにより、第1免震層50および第2免震層60にY方向に延びる軸線回りの回転が生じた場合でも、すべての第1免震支承5,5…の鉛直変位が同一の値となるとともに、すべての第2免震支承6,6…の鉛直変位が同一の値となる。このため、支承反力が変動しない構成とすることができる。
また、アスペクト比(構造物の幅に対する高さの比)の大きい高層建物11の場合、ロッキングによる曲げ変形が大きくなる。このため、図6に示すように、高層建物11の頂部の床が回転して傾斜して、固定部2も回転することになる。本発明では、高層建物11の曲げが卓越する方向を第1免震支承5,5…および第2免震支承6,6…が傾斜配置される方向とすることにより、高層建物11のロッキングに対しても、第1免震層50および第2免震層60により錘体3が回動することができる。このため、高層建物11が曲げ変形しても錘体3が傾斜して横力によって大きく変位することを防止できる。
本実施形態では、高層建物11に支持されて、錘体3が変位する軌道上に錘体3と所定の間隔をあけて配置された緩衝材8が設けられていることにより、想定外の過大な地震力によって錘体3が想定外に移動した場合のおもりの移動量を規制することができる。
以上、本発明によるTMD機構の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、第1免震支承5,5…は、積層ゴムを用いた積層ゴム支承であるが、固定部2の上面と中間構造体4の下面とがすべり面となって接するすべり支承としてもよい。また、上記の実施形態では、第2免震支承6,6…は、積層ゴムを用いた積層ゴム支承であるが、錘体3の下面と中間構造体4の上面とがすべり面となって接するすべり支承としてもよい。
また、上記の実施形態では、減衰部としてオイルダンパ73を用いているがオイルダンパ73以外の減衰機構を用いてもよい。
また、上記の実施形態では、錘体3の過度の変位を規制する緩衝材8が設けられているが、錘体3の過度の変位の虞がない場合などには設けられていなくてもよい。
1 TMD機構
2 固定部
3 錘体
4 中間構造体
5 第1免震支承
6 第2免震支承
7 減衰部
8 緩衝材
12 第1円弧面(第1仮想円弧面)
13 第2円弧面(第2仮想円弧面)
14 第1仮想鉛直線
15 第1仮想円
16 第2仮想鉛直線
17 第2仮想円
P1 第1交点(交点)
P2 第2交点(交点)

Claims (2)

  1. 構造物の振動を低減するためのTMD機構において、
    前記構造物の上方に設けられた錘体と、
    前記構造物と前記錘体との間に設けられた中間構造体と、
    前記中間構造体と前記構造物との間に設けられて第1免震層を形成する複数の第1免震支承と、
    前記中間構造体と前記錘体との間に設けられて第2免震層を形成する複数の第2免震支承と、
    前記錘体の振動を減衰させる減衰部と、を有し、
    前記複数の第1免震支承は、それぞれの中心軸線方向の前記中間構造体と前記構造物との相対変位を規制するとともに前記中心軸線方向と直交する方向の前記中間構造体と前記構造物との相対変位を許容し、
    前記複数の第2免震支承は、それぞれの中心軸線方向の前記中間構造体と前記構造物との相対変位を規制するとともに前記中心軸線方向と直交する方向の前記中間構造体と前記構造物との相対変位を許容し、
    一の水平方向を中心軸線方向とする仮想円弧面を第1仮想円弧面とし、前記一の水平方向に直交する仮想鉛直面を第1仮想鉛直面とし、該第1仮想鉛直面内において前記第1仮想円弧面の中心軸線と直交する仮想鉛直線を第1仮想鉛直線とすると、前記複数の第1免震支承は、前記第1仮想円弧面に沿って配置されるとともに、それぞれの中心軸線が前記第1仮想鉛直面内に配置されて前記第1仮想鉛直線と前記第1仮想円弧面との交点を通るような向きに配置され、
    前記一の水平方向を中心軸線方向とし前記第1仮想円弧面の上側に配置された仮想円弧面を第2仮想円弧面とし、前記一の水平方向に直交する仮想鉛直面を第2仮想鉛直面とし、該第2仮想鉛直面内において前記第2仮想円弧面の中心軸線と直交する仮想鉛直線を第2仮想鉛直線とすると、前記複数の第2免震支承は、前記第2仮想円弧面に沿って配置されるとともに、それぞれの中心軸線が前記第2仮想鉛直面内に配置されて前記第2仮想鉛直線と前記第2仮想円弧面との交点を通るような向きに配置され、
    前記第1仮想円弧面と前記第2仮想円弧面とは半径の値が等しく、
    前記第1仮想円弧面および前記第2仮想円弧面は、一方が鉛直方向上側に突出し、他方が鉛直方向下側に突出していることを特徴とするTMD機構。
  2. 前記錘体の軌道上に前記構造物に支持された緩衝材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のTMD機構。
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