JP2023149218A - 隣接建物構造 - Google Patents

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孝行 曽根
Takayuki Sone
豪悠 奥村
Takehiro Okumura
峻樹 東城
Toshiki Tojo
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Abstract

【課題】減衰性能が高い一方の建物に隣接して構築された他方の建物の減衰性能を高める。【解決手段】隣接建物構造50は、第一直接基礎150に支持され第一地下階120を有する第一建物100と、第一建物100に隣接且つ対向して構築され第一建物100と同規模且つ第一建物100よりも減衰特性が高く第二直接基礎250に支持され第二地下階220を有する第二建物200と、第一建物100の第一直接基礎150及び第二建物200の第二直接基礎250から地表面10Aまで隣接して対向する第一地下外壁120A及び第二地下外壁220Aを露出させた地下空間部300と、を備えている。【選択図】図1

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年7月20日 一般社団法人 日本建築学会発行 「2021年度大会(東海)学術講演梗概集・建築デザイン発表梗概集(DVD版)」にて公開 令和3年9月9日 一般社団法人 日本建築学会主催「2021年度日本建築学会大会(東海)」にて公開
本発明は、隣接建物構造に関する。
特許文献1には、地盤の液状化等が起こった場合に隣接する建物それぞれが不同沈下することで生じる被害を回避または抑制することが可能な保護構造および保護方法に関する技術が開示されている。この先行技術では、第一の建物に設けられた第一地中構造物と、第一の建物に隣接する第二の建物に設けられた第二地中構造物と、第一地中構造物および第二地中構造物を亘って配置された緩衝部材と、を備えることによって、隣接建物保護構造を構成している。
特許文献2には、主として振動性状の異なる構造物が隣り合って設置される場合に適用される構造物の耐震地下構造に関する技術が開示されている。この先行技術では、互いに隣り合う構造物と構造物との間に拡がる地盤領域である軟質地盤のうち、地表面近傍を変形吸収領域に置換している。
特開2017-110454号公報 特開平11-323960号公報
建物に設置した制振ダンパーやマスダンパー等の制振装置によって建物の減衰性能を高めることで、地震時の建物の揺れを抑制することが知られている。隣接して構築された建物では、それぞれの建物にそれぞれ制振装置を設置して揺れを抑制する。
ここで、減衰性能が高い一方の建物を使って隣接して構築された他方の建物の減衰性能を高めることができれば、例えば、建築コストを抑えることができる。
或いは、減衰性能が高い一方の建物を使って隣接して構築された他方の建物の減衰性能を高めることができれば、例えば、他方の建物には制振装置を設置する必要がなくなる又は制振装置の設置数を削減できるので、その分室内空間を広く利用できる。
本発明は、上記事実を鑑み、減衰性能が高い一方の建物に隣接して構築された他方の建物の減衰性能を高めることが目的である。
第一態様は、直接基礎に支持され地下階を有する第一建物と、前記第一建物に隣接且つ対向して構築され、前記第一建物と同規模且つ前記第一建物よりも減衰特性が高く、直接基礎に支持され地下階を有する第二建物と、前記第一建物及び前記第二建物の前記直接基礎から地表面まで、隣接して対向する地下外壁を露出させた地下空間部と、を備えた隣接建物構造である。
第一態様の隣接建物構造では、隣接且つ対向して構築された同規模の第一建物及び第二建物の直接基礎から地表面まで地下空間部が設けられ、隣接して対向する地下外壁が露出している。よって、地下階の地盤による拘束が小さくなり、互いのロッキング挙動が直接基礎を介して伝達されやすくなる。よって、地震時において、減衰性能が高い第二建物が第一建物のロッキング挙動に対して反応し、第一建物にかわって振動エネルギーを吸収し第一建物の応答が低減する。
第二態様は、前記地下空間部は、前記第一建物及び前記第二建物の隣接側と反対側の地下外壁も露出させている、第一態様に記載の隣接建物構造である。
第二態様の隣接建物構造では、第一建物及び第二建物の隣接側と反対側の地下外壁も露出しているので、地下階の地盤によるロッキング挙動の拘束が更に小さくなる。よって、互いのロッキング挙動が更に伝達されやすくなり、第一建物の応答が更に低減する。
第三態様は、前記地下空間部は、前記第一建物及び前記第二建物の前記地下階の全周に亘って地下外壁を露出させている、第二態様に記載の隣接建物構造である。
第三態様の隣接建物構造では、第一建物及び第二建物の地下外壁の全周に亘って地下空間部が形成されているので、地下階の地盤によるロッキング挙動の拘束が更に小さくなる。よって、互いのロッキング挙動が更に伝達されやすくなり、第一建物の応答が更に低減する。
第四態様は、前記第一建物及び前記第二建物は、建物高さと建物幅とのアスペクト比が4以上の立面を有し、前記第一建物及び前記第二建物は、前記立面の向きが同じである、第一態様~第三態様のいずれか一態様に記載の隣接建物構造である。
第四態様の隣接建物構造では、第一建物及び第二建物は、平面視において、建物高さと建物幅とのアスペクト比が4以上の立面の方向に沿ったロッキング挙動が大きくなるので、減衰性能が高い第二建物が第一建物にかわって振動エネルギーを効果的に吸収し第一建物の応答が低減する。
本発明によれば、減衰性能が高い一方の建物に隣接して構築された他方の建物の減衰性能を高めることができる。
(A)は本発明の一実施形態の隣接建物構造を模式的に示すX方向に沿った断面図であり、(B)は平面図である。 (A)は第一変形例の隣接建物構造を模式的に示すX方向に沿った断面図であり、(B)は平面図である。 (A)は第二変形例の隣接建物構造を模式的に示すX方向に沿った断面図であり、(B)は平面図である。 (A)は第三変形例の隣接建物構造を模式的に示すX方向に沿った断面図であり、(B)は平面図である。 (A)は第四変形例の隣接建物構造を模式的に示すX方向に沿った断面図であり、(B)は平面図である。 (A)は比較例の隣接建物構造を模式的に示すX方向に沿った断面図であり、(B)は平面図である。 (A)は図6の比較例の隣接建物構造の数値解析モデルであり、(B)は図1の隣接建物構造の数値解析モデルである。 図7(A)の比較例の数値解析モデルでの解析結果である。 図7(B)の実施形態の数値解析モデルの解析結果である。 ロッキング現象の伝達を説明する説明図である。 図2の第一変形例の隣接建物構造の数値解析結果である。 図3の第二変形例の隣接建物構造の数値解析結果である。
<実施形態>
本発明の一実施形態に係る隣接建物構造について説明する。なお、水平方向の直交する二方向をX方向及びY方向とし、それぞれ矢印X及び矢印Yで示す。X方向及びY方向と直交する鉛直方向をZ方向として、矢印Zで示す。
[構造]
まず、本発明の一実施形態に係る隣接建物構造の具体的な構造について説明する。
図1(A)及び図1(B)に示すように、隣接建物構造50は、地盤10に隣接且つ対向して構築された二棟の第一建物100及び第二建物200と、地盤10に形成された地下空間部300と、を有して構成されている。なお、図における地盤10は、表層地盤である。
本実施形態における第一建物100及び第二建物200は、いずれも鉄筋コンクリート造であるが、これに限定されるものではない。鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造及び木造であってもよい。また、第一建物100及び第二建物200は、鉄筋コンクリート造、鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造及び木造が組み合わされて構築されていてもよい。
第一建物100は、平面視矩形状とされ(図1(B)参照)、第一地上階110と第一地下階120とを有し、第一直接基礎150に支持されている。第一建物100は、制振装置が設けられていない耐震構造の建物である。なお、平面視矩形状の第一地下階120の四つの外壁を第一地下外壁120A、120B、120C、120Dとする。また、第一地上階110の四つの立面を第一立面110A、110B、110C、110Dとする。
第二建物200は、平面視矩形状とされ(図1(B)参照)、第二地上階210と第二地下階220とを有し、第二直接基礎250に支持されている。第二建物200は、各層に制振装置の一例としての制振ダンパー90(図1(A))が設けられている制振構造の建物である。なお、平面視矩形状の第二地下階220の外壁を第二地下外壁220A、220B、220C、220Dとする。また、第二地上階210の四つ立面を第二立面210A、210B、210C、210Dとする。
隣接して構築された二棟の第一建物100及び第二建物200とは、第一地下階120及び第二地下階220の平面視の形状は、いずれも第一地上階110及び第二地上階210と同じである。また、第一立面110Aと第二立面210Aとが対向し、第一地下外壁120Aと第二地下外壁220Aとが対向している。
本実施形態における第一建物100と第二建物200との距離、つまり対向する第一立面110A及び第一地下外壁120Aと、第二地下外壁220A及び第二立面210Aと、の距離は1mである。なお、第一建物100と第二建物200との距離は、5m以下が望ましく、更に1m程度が望ましい。
ここで、第二建物200には、各層に制振ダンパー90が設けられているが、これに限定されるものではない。一部の層に制振ダンパー90が設けられていてもよい。なお、第二建物200には、エネルギーを吸収し揺れを抑制する制振装置が設けられていればよい。制振装置としては、図1(A)に示すような建物内に設ける制振ダンパー90や建物の屋上に設けるマスダンパー等が挙げられる。制振ダンパー90は、オイルダンパー、粘弾性ダンパー及び履歴ダンパー等が挙げられる。マスダンパーは、チューンドマスダンパー(TMD)及びアクティブマスダンパー(AMD)等が挙げられる。
なお、図1(A)に示す制振ダンパー90は、X方向構面に設置されX方向の揺れに対して制振効果を発揮する。
図1(A)及び図1(B)に示すように、第一建物100と第二建物200とは概ね同規模とされている。同規模とは、地表面10Aからの建物高さ、平面形状及び固有振動数が同じ又は略同じであることである。
本実施形態では、第一建物100及び第二建物200の建物高さは、いずれも60mであるが、これに限定されるものではない。
また、本実施形態の第一建物100と第二建物200とは、平面視における形状が矩形状で、いずれも短辺である第一立面110B、110D、第二立面210B、210Dの建物幅が15mで、長辺である第一立面110A、110C、第二立面210A、210Cの建物幅が30mであるが、これに限定されるものではない。但し、各立面の建物高さと建物幅とのアスペクト比は、4以上の立面を有していることが望ましい。本実施形態では、第一立面110B、110D、第二立面210B、210Dのアスペクト比が4となっている。
また、本実施形態の第一建物100の第一立面110B、110Dと第二建物200の第二立面210B、210Dとは、向きが同じである。具体的には、建物高さと建物幅とのアスペクト比が4である第一立面110B、110Dと第二建物200の第二立面210B、210Dとは、平面視における面内方向が同じであり、且つ同一線上にある。しかし、第一立面110B、110Dと第二建物200の第二立面210B、210Dとは、向きが完全に同じでなくてもよい。第一立面110B、110Dと第二建物200の第二立面210B、210Dとは、Y方向にずれていてもよい。
また、前述したように本実施形態の第一建物100の第一立面110B、110Dと第二建物200の第二立面210B、210Dとは、平面視における面外方向が同じY方向で平行である。同様に、本実施形態の第一建物100の第一立面110A、110Cと第二建物200の第二立面210A、210Cの平面視における面外方向は、同じX方向で平行である。しかし、これらに限定されるものではない。立面同士は平行でなく、若干角度がついていてもよい。
また、本実施形態における第一直接基礎150及び第二直接基礎250底面である第一基礎底150A及び第二基礎底250Aの深さは7mである。言い換えると1階床から基礎底までの距離は7mである。しかし、これに限定されるものではなく、深さは、7m未満であってもよいし、7m以上であってもよい。
また、本実施形態における第一建物100及び第二建物200の固有振動数が同程度であり、いずれも1次が0.67Hzであり、2次が1.77Hzであるが、これに限定されるものではない。
また、本実施形態における第一建物100と第二建物200とが構築されている地盤(10は、軟らかい又は地震時にひずむことで軟らかくなる。本実施形態の地盤10は、地盤の固さを示すせん断速度が200m/s程度となっている。
第一建物100の第一地下階120及び第二建物200の第二地下階220の周囲の第一直接基礎150の第一基礎底150A及び第二直接基礎250の第二基礎底250Aから地表面10Aまでの地盤10が取り除かれて地下空間部300が形成されている。地下空間部300は、第一直接基礎150の第一基礎底150A及び第二直接基礎250の第二基礎底250Aから地表面10Aまでの第一地下外壁120A、120B、120C、120D及び第二地下外壁220A、220B、220C、220Dを露出させている。
前述したように、地下空間部300における第一地下外壁120Aと第二地下外壁220Aとの間隔は1mである。また、地下空間部300における第一地下外壁120B、120C、120D及び第二地下外壁220B、220C、220Dと地下空間部300の壁面300Aとの距離は1mであるが、これに限定されるものではない。
なお、地下空間部300における地表面10Aと、第一建物100及び第二建物200との間の隙間には、図示されていないエキスパンションジョイント等の蓋部材が設けられている。また、地下空間部300に侵入した雨水は、図示されていない排水機構で排水されている。
[作用]
次に本実施形態の作用について説明する。
本実施形態の隣接建物構造50では、隣接且つ対向して構築された同規模の第一建物100及び第二建物200における第一地下階120の第一地下外壁120A、120B、120C、120D及び第二地下階220の第二地下外壁220A、220B、220C、220Dを露出させた地下空間部300が形成されている。よって、地下空間部300が形成されていない場合と比較し、第一地下階120及び第二地下階220の地盤10による拘束が小さくなり、互いのロッキング挙動が第一直接基礎150及び第二直接基礎250を介して地盤10を伝達されやすくなる。
よって、地震時において、制振装置の一例である制振ダンパー90が設けられた制振構造の第二建物200が、制振装置が設けられていない耐震構造の第一建物100のロッキング挙動に対して反応し、第一建物100にかわって振動エネルギーを吸収するので、第一建物100の応答が低減する。
別の観点から説明すると、地下空間部300を形成して第一地下階120及び第二地下階220が地盤10で拘束される影響を小さくすることで、第一建物100と第二建物200の振動が地盤10を介して伝搬して互いに影響を及ぼす慣性相互作用の影響を相対的に大きくする。これにより、第二建物200が第一建物100にかわって振動エネルギーを吸収しやすくなり、第一建物100の応答が低減する。すなわち、減衰性能が高い第二建物200を使って隣接して構築された第一建物100の減衰性能が高められている。
したがって、隣接且つ対向して構築された同規模の第一建物100及び第二建物200にそれぞれ制振装置を設ける場合よりも、コストを低減しつつ、第一建物100及び第二建物200の二棟の応答を低減することができる。
このように、第一建物100内に制振ダンパー90を設置する必要がなくなるので、第一建物100内の室内空間を広く利用できる。また、第一建物100が既存建物の場合は、耐震性向上のための補強工事の必要がない。
ここで、本実施形態の隣接建物構造50では、前述したように第二建物200に設けられた制振ダンパー90はX方向の揺れに対して制振効果を発揮する。よって、第二建物200の制振ダンパー90によって、隣接して構築された第一建物100のX方向の揺れに対する減衰性能が高められる。なお、このことは後述する変形例でも同様である。
そして、本実施形態では、第一建物100及び第二建物200は、建物高さと建物幅とのアスペクト比が4の第一立面110B、110D及び第二立面210B、220Dに沿ったX方向(平面視矩形状の短辺方向)に大きくロッキング挙動する。よって、減衰性能が高い第二建物200が第一建物100にかわって振動エネルギーを効果的に吸収し第一建物100の応答が低減する。
次に、第一建物100及び第二建物200の互いのロッキング挙動が、地盤10を伝達する現象について説明する。
図10に示すように、第一建物100(一方の建物)がロッキング挙動を起こすと地盤10が変形し、この変形が第二建物200(他方の建物)に伝達されると考えられる。よって、このように地盤10が軟らかく変形しやすい方がロッキング挙動は伝達されやすい。よって、本発明を適用する場合、地盤10が軟らかい方が好適である。地盤10の軟らかさは、地盤の固さを示すせん断速度で示すことができる。よって、せん断速度が小さいほど、効果が期待できる。なお、図10は、判り易く且つ極端に図示している説明図である。よって、実際の地盤10の挙動を正確に表しているものではない。
なお、第一建物100及び第二建物200は、既存建物であっても新築建物であってもよい。例えば、既存の第一建物100の応答を低減させるために、第一建物100に隣接して第二建物200を新築してもよい。或いは、既存の第一建物100の応答を低減させるために、第一建物100に隣接して構築されている既存の第二建物200が高減衰となるように制振装置を設置して制振改修してもよい。或いは、既存の第二建物200に隣接して新築する第一建物100の応答を低減させるために、既存の第二建物200が高減衰となるように制振装置を設置して制振改修してもよい。或いは、第一建物100と第二建物200との両方を新たに隣接して構築してもよい。
ここで、大都市の中心部等では複数の中高層の建物が隣接して建ち並び、街区を形成することが多い。このような街区においては、高さ制限などの問題から、概ね同規模でかつ概ね同形状様な建物が隣接する場合が多い。このように隣接して建ち並ぶ同規模の建物の一方(第二建物200)の減衰性能を高めることで、他方の建物(第一建物100)の応答も低減する。よって、本発明は、大都市の中心部等の複数の同規模の建物が隣接して建ち並ぶ街区への適用が適している。
なお、上記街区への適用は、X方向の制振効果を期待する場合に適している。例えば、第一建物100の第一立面110Aと第二建物200の第二立面210Aとが対向して建ち並ぶ街区への適用が適している。
また、既存の建物(第一建物100)は、制振装置を設置するスペースの確保が難しい場合がある。しかし、新たに構築する建物(第二建物200)に制振装置を設けることで、既存の建物(第一建物100)の応答も低減させることができる。
また、第一建物100が新築あっても、制振装置を設置するスペースの確保が難しい場合や制振装置を設置せずに空間を広く利用したい場合等に本実施形態を適用することで対応することができる。
[数値解析]
次に、第一建物100及び第二建物200をモデル化して数値解析した結果について説明する。具体的には、解析ソフトSuperFLUSH/2Dを使用し、建物モデルと地盤モデルを一体として解く擬似三次元の周波数応答解析を行った。
(解析条件)
図7(B)は、図1に示す第一建物100及び第二建物200の数値解析モデルである。隣接する二棟の第一建物100及び第二建物200の建物形状は同一とし、平面形状を15m×30m、地上高さを60m、地上階階高を4m、地下一階の階高を4.5mと設定した。なお、図1は制振ダンパー90の図示等のため模試的に図示しているので、図1の階数と図7(B)の階数とは一致していない。また、地上階及びと地下階は等価せん断モデルとしたが、その回転自由度は剛体要素でモデル化した直接基礎及び地下外壁の傾きに従属させた。
二棟の第一建物100及び第二建物200の質量及び剛性は同一とした。基礎固定時の固有振動数は1次が0.67Hz、2次が1.77Hzである。建物の減衰は複素減衰とし、耐震建物である第一建物100の減衰定数を2%、制振建物である第二建物200の減衰定数を10%とした。
二棟それぞれの建物短辺方向を隣接させ、その隣棟間隔を1mとした。符号10は上記実施形態の地盤10に対応する表層地盤であり、符号12は深部地盤であり、これらの2層地盤モデルとした。表層の地盤10と深部地盤12との境界条件は、側面をエネルギー伝達境界、底面を粘性境界とした。地盤10のせん断速度は200m/s、減衰定数は10%とした。深部地盤12のせん断速度は400m/s、減衰定数は2%とした。また、表層地盤の深さは20mとした。
地震波の入力位置は地盤深さ180mの位置の基盤とした。入力波には、建築基準法の告示第1461号による極めて稀に発生する地震動(ランダム位相を採用)を用いた。
地盤10には、実施形態と同様の地下空間部300(図1参照)が形成されている。
なお、図7(A)は、図6に示す地盤10に地下空間部300(図1参照)が形成されていない、つまり第一地下階120及び第二地下階220が地盤10で拘束されている比較例の隣接建物構造55をモデル化したものである。比較例の隣接建物構造55は、地下空間部300(図1参照)が形成されていない以外の条件は、本実施形態の隣接建物構造50(図1参照)と同じである
(解析結果)
まず図6及び図7(A)の比較例の隣接建物構造55の場合について説明する。
図8(A)は比較例の隣接建物構造55における第一建物100の伝達関数の振幅と振動数との関係を示し、図8(B)は第一建物100の建物高さと最大層間変位との関係を示している。図8(C)は比較例の隣接建物構造55における第二建物200の伝達関数の振幅と振動数との関係を示し、図8(D)は第二建物200の建物高さと最大層間変位との関係を示している。
図8(A)の実線は第一建物100と第二建物200とが隣接して構築されている場合であり、破線は第一建物100のみが構築されている場合である。この図8(A)のグラフから耐震建物である第一建物100の1次モードの振幅は、第一建物100と第二建物200とが隣接して構築されている場合(実線)の方が第一建物100単独で構築されている場合(破線)よりもやや増幅している。
図8(C)の実線は第一建物100が第二建物200と隣接して構築されている場合であり、破線は第二建物200のみが構築されている場合である。この図8(C)のグラフから制振建物である第二建物200の1次モードの振幅は、第一建物100と第二建物200とが隣接して構築されている場合(実線)と、第二建物200が単独で構築されている場合(破線)との差は小さい。
図8(B)の黒三角(▲)は第一建物100と第二建物200とが隣接して構築されている場合であり、白丸(〇)は第一建物100のみが構築されている場合である。この図8(B)のグラフから耐震物である第一建物100の最大層間変位は、第一建物100と第二建物200とが隣接して構築されている場合(黒三角(▲))の方が第一建物100単独で構築されている場合(白丸(〇))よりも一部の層の最大層間変位が大きくなっている。
図8(D)の黒三角(▲)は第一建物100と第二建物200とが隣接して構築されている場合であり、白丸(〇)は第二建物200のみが構築されている場合である。この図8(D)のグラフから制振建物である第二建物200の最大層間変位は、第一建物100と第二建物200とが隣接して構築されている場合(黒三角(▲))と第二建物200が単独で構築されている場合((白丸(〇))との差は小さい。
次に、本実施形態の隣接建物構造50の場合について説明する。
図9(A)は本実施形態の隣接建物構造50における第一建物100の伝達関数の振幅と振動数との関係を示し、図9(B)は第一建物100の建物高さと最大層間変位との関係を示している。図9(C)は本実施形態の隣接建物構造50における第二建物200の伝達関数の振幅と振動数との関係を示し、図9(D)は第二建物200の建物高さと最大層間変位との関係を示している。
図9(A)の実線は第一建物100と第二建物200とが隣接して構築されている場合であり、破線は第一建物100のみが構築されている場合である。この図9(A)のグラフから耐震建物である第一建物100の1次モードの振幅は、第一建物100と第二建物200とが隣接して構築されている場合(実線)の方が第一建物100単独で構築されている場合(破線)よりも大きく低減している。
図9(C)の実線は第一建物100と第二建物200とが隣接して構築されている場合であり、破線は第二建物200のみが構築されている場合である。この図9(C)のグラフから制振建物である第二建物200の1次モードの振幅(実線)は、第一建物100と第二建物200とが隣接して構築されている場合(実線)と、第二建物200が単独で構築されている場合(破線)との差は小さい。
図9(B)の黒三角(▲)は第一建物100と第二建物200とが隣接して構築されている場合であり、白丸(〇)は第一建物100のみが構築されている場合である。この図9(B)のグラフから耐震物である第一建物100の最大層間変位は、第一建物100と第二建物200とが隣接して構築されている場合(黒三角(▲))の方が第一建物100単独で構築されている場合(白丸(〇))よりも全層の応答が小さくなっている。
図9(D)の黒三角(▲)は第一建物100と第二建物200とが隣接して構築されている場合であり、白丸(〇)は第二建物200のみが構築されている場合である。この図9(D)のグラフから制振建物である第二建物200の最大層間変位は、第一建物100と第二建物200とが隣接して構築されている場合(黒三角(▲))の方が第二建物200単独で構築されている場合(白丸(〇))よりも若干ではあるが大きくなっているが、両者にほとんど差はない。
(結果の考察)
次に数値解析の結果について考察する。
地下空間部300が形成されていない比較例の隣接建物構造55においては、耐震構造で低減衰の第一建物100は、制振構造で高減衰の第二建物200が隣接して構築されていても伝達関数の振幅及び最大層間変位には殆ど変化がない。
これに対して、地下空間部300が形成された本実施形態の隣接建物構造50では、耐震構造で低減衰の第一建物100は、制振構造で高減衰の第二建物200が隣接して構築されることで、伝達関数の振幅及び最大層間変位が低減されている。
これらの結果から、地盤10に地下空間部300を形成することで、制振ダンパー90が設けられた制振構造の第二建物200が、制振装置が設けられていない耐震構造の第一建物100のロッキング挙動に対して反応し、第一建物100にかわって振動エネルギーを吸収して、第一建物100の応答が低減することが確認された。
ここで、比較例の隣接建物構造55においては、第一建物100は、第二建物200が隣接して構築されている方が第一建物100単独で構築されている場合よりも伝達関数の振幅及び最大層間変位が若干ではあるが大きくなっている。この理由については、下記二つと考えられる。
1.隣棟間隔が狭いと隣棟間にある地盤(比較例では第一地下外壁120Aと第二地下外壁220Aとの間の地盤)によって両建物の基礎のロッキング挙動が拘束され、地盤減衰の効果が小さくなる。
2.一方の建物に地震力が作用することによって他方の建物に伝わる伝達力に、回転成分だけでなく水平成分も現れるようになる。
また、本実施形態の隣接建物構造50においては、第二建物200は、最大層間変位が若干ではあるが大きくなっている。この理由は、第二建物200は、第一建物100の振動エネルギーを吸収するので、その分揺れが若干大きくなると考えられる。
<変形例>
次に、本実施形態の変形例の隣接建物構造について説明する。なお、上記実施形態の隣接建物構造50(図1参照)との違いは、地下空間部のみである。
[第一変形例]
図2に示す第一変形例の隣接建物構造51の地下空間部310は、対向する第一建物100の第一地下階120の第一地下外壁120Aと第二建物200の第二地下階220の第二地下外壁220Aとの間の第一基礎底150A及び第二基礎底250Aから地表面10Aまでの地盤10が取り除かれて形成されている。地下空間部310は、第一直接基礎150の第一基礎底150A及び第二直接基礎250の第二基礎底250Aから地表面10Aまでの対向する第一地下外壁120A及び第二地下外壁220Aを露出させている。
[第二変形例]
図3に示す第二変形例の隣接建物構造52の地下空間部320は、地下空間部310と地下空間部322とで構成されている。地下空間部310は、第一変形例と同じであるので説明を省略する。
地下空間部322は、第一建物100の第一地下外壁120C(隣接側と反対側の地下外壁)及び第二建物200の第二地下外壁220C(隣接側と反対側の地下外壁)のY方向外側の第一基礎底150A及び第二基礎底250Aから地表面10Aまでの地盤10が取り除かれて形成されている。地下空間部322は、第一基礎底150A及び第二基礎底250Aから地表面10Aまでの第一地下外壁120C及び第二地下外壁220Cを露出させている。
[第三変形例]
図4に示す第三変形例の隣接建物構造53の地下空間部330は、第二建物200の第二地下階220の周囲の第二基礎底250Aから地表面10Aまでの地盤10が取り除かれて形成されている。地下空間部330は、第二基礎底250Aから地表面10Aまでの第二地下外壁220A、220B、220C、220D及び第一地下外壁120Aを露出させている。
[第四変形例]
図5に示す第四変形例の隣接建物構造54の地下空間部340は、第一建物100の第一地下階120の周囲の第一基礎底150Aから地表面10Aまでの地盤10が取り除かれて形成されている。地下空間部340は、第一基礎底150Aから地表面10Aまでの第一地下外壁120A、120B、120C、120D及び第二地下外壁220Aを露出させている。
[変形例の数値解析結果]
第一変形例の隣接建物構造51(図2参照)及び第二変形例の隣接建物構造52(図3参照)においては、上記実施形態の隣接建物構造50(図1参照)と同様の数値解析を行った。図11が図2の第一変形例の隣接建物構造51の数値解析結果であり、図12が図3の第二変形例の隣接建物構造52の数値解析結果である。これらのグラフからいずれも耐震構造で低減衰の第一建物100は、制振構造で高減衰の第二建物200が隣接して構築されていることで、伝達関数の振幅及び最大層間変位が低減されていることが判る。
なお、第二変形例の隣接建物構造52は、第一建物100の第一立面110B、110D及び第二建物200の第二立面210B、210Dが道路に面している場合への適用が考えられる。前述した大都市の中心部等の複数の建物が隣接して建ち並び街区を形成している場合、建物短辺が道路に面していることが多く、第二変形例の適用が適している。
また、第二変形例においても、上記街区への適用は、X方向の制振効果を期待する場合に適している。
<その他>
尚、本発明は上記実施形態及び変形例に限定されない。
例えば、上記実施形態及び変形例において、第二建物200にX方向の揺れに対して制振効果を発揮する制振ダンパー90に加え、Y方向の揺れに対して制振効果を発揮する制振装置が設置されていてもよい。
また、例えば、上記実施形態及び変形例では、第一建物100は制振装置が設けられていない耐震構造の建物であったが、これに限定されるものではない。第一建物100は、第二建物200よりも減衰性能が小さい制振構造の建物であってもよい。具体的に説明すると、第二建物200が高減衰特性の制振建物(例えば高性能のダンパーが多数設けられている建物)で、第一建物100が低減衰特性の制振建物(例えば低性能のダンパーが少ししか設けられていない建物)であってもよい。
更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。複数の実施形態及び変形例等は、適宜、組み合わされて実施可能である。
50 隣接建物構造
51 隣接建物構造
52 隣接建物構造
53 隣接建物構造
54 隣接建物構造
100 第一建物
110 第一地上階
110A 第一立面
110B 第一立面
110C 第一立面
110D 第一立面
120 第一地下階
120A 第一地下外壁
120B 第一地下外壁
120C 第一地下外壁
120D 第一地下外壁
150 第一直接基礎
200 第二建物
250 第二直接基礎
210 第二地上階
210A 第二立面
210B 第二立面
210C 第二立面
210D 第二立面
220 第二地下階
220A 第二地下外壁
220B 第二地下外壁
220C 第二地下外壁
220D 第二地下外壁
300 地下空間部
310 地下空間部
320 地下空間部
330 地下空間部
340 地下空間部

Claims (4)

  1. 直接基礎に支持され地下階を有する第一建物と、
    前記第一建物に隣接且つ対向して構築され、前記第一建物と同規模且つ前記第一建物よりも減衰特性が高く、直接基礎に支持され地下階を有する第二建物と、
    前記第一建物及び前記第二建物の前記直接基礎から地表面まで、隣接して対向する地下外壁を露出させた地下空間部と、
    を備えた隣接建物構造。
  2. 前記地下空間部は、前記第一建物及び前記第二建物の隣接側と反対側の地下外壁も露出させている、
    請求項1に記載の隣接建物構造。
  3. 前記地下空間部は、前記第一建物及び前記第二建物の前記地下階の全周に亘って地下外壁を露出させている、
    請求項2に記載の隣接建物構造。
  4. 前記第一建物及び前記第二建物は、建物高さと建物幅とのアスペクト比が4以上の立面を有し、
    前記第一建物及び前記第二建物は、前記立面の向きが同じである、
    請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の隣接建物構造。
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