JP5187127B2 - 構造物の捻れ振動の制振に係るパラメータの設定方法 - Google Patents
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地盤に支持された下部構造体と、免震層を介して前記下部構造体に支持された上部構造体とを有する構造物が、所定の軸芯周りに捻れ振動すると想定される場合に、前記上部構造体の回転慣性質量を用いて前記下部構造体の捻れ振動を抑制すべく、前記捻れ振動の制振に係るパラメータを設定する方法であって、
前記パラメータは、前記上部構造体の前記軸芯周りの回転慣性質量I2[kN×m×s2/rad]、前記下部構造体の前記軸芯周りの回転慣性質量I1[kN×m×s2/rad]、前記上部構造体と前記地盤との間の前記軸芯周りの回転剛性値K1[kN×m/rad]、前記免震層の前記軸芯周りの回転剛性値K2[kN×m/rad]、及び、前記免震層が前記上部構造体と前記下部構造体との間の前記軸芯周りの捻れ振動を減衰する際の回転減衰係数C2[kN×m×s/rad]であり、
前記パラメータI1,I2,K1,K2,C2に基づいて、前記下部構造体の前記軸芯周りの回転角θ1[rad]の伝達関数を求め、
求められた前記伝達関数に基づいて前記パラメータI1,I2,K1,K2,C2の値を決めることを特徴とする。
上記請求項1に示す発明によれば、下部構造体の前記回転角θ1の伝達関数を求め、当該伝達関数に基づいて前記パラメータI1,I2,K1,K2,C2の値を決めるので、前記下部構造体の捻れ振動を有効に抑制することができる。
前記軸芯の平面位置は、前記構造物の重心の平面位置から水平方向に偏心していることを特徴とする。
上記請求項2に示す発明によれば、前記下部構造体の重心位置は前記軸芯から偏心しているので、下部構造体は捻れ振動し易くなる。よって、上記請求項1に係る作用効果を効果的に享受することができる。
前記免震層は、前記上部構造体と前記下部構造体との間の水平方向の振動を減衰する減衰装置を有し、
前記軸芯から前記減衰装置までの距離を変更することにより、前記回転減衰係数C2を変更することを特徴とする。
上記請求項3に示す発明によれば、前記回転減衰係数C2の値を所期の目標値に容易に設定可能となる。
前記免震層は、前記上部構造体を前記下部構造体に対して水平方向に相対変位可能に支承する支承部材を有し、
前記支承部材は、前記上部構造体と前記下部構造体との相対変位時に相対変位量に応じた大きさの復元力を相対変位が小さくなる方向に付与する復元部材としても機能し、
前記軸芯から前記支承部材までの距離を変更することにより、前記回転剛性値K2を変更することを特徴とする。
上記請求項4に示す発明によれば、前記回転剛性値K2の値を所期の目標値に容易に設定可能となる。
前記免震層に設けられた規制部材によって、前記上部構造体は、前記下部構造体に対して前記軸芯周りの相対回転のみが許容され、水平方向の相対並進変位は不能に案内されていることを特徴とする。
上記請求項5に示す発明によれば、前記上部構造体を、前記軸芯周りの捻れ振動抑制用の回転慣性質量体として特化させることができるので、下部構造体の捻れ振動を効果的に抑制可能となる。
前記伝達関数は、横軸が振動数で、縦軸が前記回転角θ1に係る振動伝達率のグラフとして求められ、
前記パラメータI1,I2,K1,K2,C2の少なくとも一つを複数水準に振って前記水準毎に前記伝達関数を求めて、求められた前記伝達関数のなかで、前記振動伝達率の最大値が最も小さくなる伝達関数を選び、選ばれた伝達関数に係るパラメータI1,I2,K1,K2,C2の値を前記構造物に係る値として設定することを特徴とする。
上記請求項6に示す発明によれば、前記捻れ振動の抑制に適した前記パラメータI1,I2,K1,K2,C2の値を設定可能となる。
前記伝達関数のグラフが2つのピーク値を有するとともに、前記2つのピーク値が同じ値になるように前記パラメータI1,I2,K1,K2,C2を設定することを特徴とする。
上記請求項7に示す発明によれば、前記捻れ振動の抑制に最も適した値をパラメータI1,I2,K1,K2,C2に設定可能となる。
<<<本実施形態に係る捻れ振動の制振に係るパラメータの設定方法>>>
図2A及び図2Bは、構造物の一例としての偏心建物11の平面図及び側面図である。なお、図2Aの平面図は図2B中のA−A断面図である。
そして、この建物11の捻れ振動特性を評価する場合には、上述の式1及び式2を連立等して解いて回転角θ1の伝達関数に係る基礎式を求めるとともに、当該基礎式中のパラメータI1,I2,K1,K2,C2に、建物11の設計仕様に対応する所定値を代入して建物11に固有の伝達関数を求め、当該伝達関数に基づき捻れ振動特性をグラフ化等して評価する。
そして、建物11のパラメータが、例えばI1=1、I2=0.3、K1=1、K2=0.079、C2=0.182の場合には、図4に示すように伝達関数がグラフ化される。ここで、縦軸は振動伝達率T(=|θ1/θ1st|=|θ1/(M1/K1)|)であり、横軸は無次元振動数比λ(=ω/√(K1/I1))である。
次に、前述の式3たる伝達関数の基礎式(3)の2乗をC2及びωで微分すると、下式5及び下式6が得られる。
そして、これら式10乃至式12を参照すると、免震層21の回転減衰係数C2を調整するには、DX(j)及びDY(j)を変化させれば良く、つまり、並進減衰係数CX,CYと共通パラメータのCX(j),CY(j)の方は変えずに済むことがわかる。よって、例えば、免震層21の回転減衰係数C2を小さくする方向に調整したい場合には、図9Bの実線のように各減衰装置24の位置を剛心Q側に近づければ良く、逆に、免震層21の回転減衰係数C2を大きくする方向に調整したい場合には、図9Bの二点鎖線のように各減衰装置24の位置を剛心Qから離せば良い。そして、これにより、並進減衰係数Cを変えること無く、回転減衰係数C2のみを調整することが可能となる。
ここで、前述の伝達関数の基礎式(3)の導出法について説明する。前述したように、図3の振動モデルにおける剛心Q周りのモーメントのつり合いに関する運動方程式は、質点1については下式13で、また質点2については下式14で表される。
ここで、先ず、式13について、質点1に作用する剛心Q周りの外乱モーメントM1を下式15のようにおく。
なお、上式15中のθ1stは、前記第1層の静的変形角であり、つまり、剛心Q周りの外乱モーメントM1と回転剛性値K1による復元モーメントとが等しくなるときの静的な変形角を意味する。
M2=0 …(16)
これは、質点2は免震層21よりも上部に位置するため、一般的に偏心率が小さいと考えられる免震層21の影響によって、質点2の並進方向の地震応答に起因する剛心Q周りの外乱モーメントM2は小さいとみなせるためである。
よって、これらを考慮すると、式13及び式14は下式17及び下式18のようになる。
そして、これら上式21及び上式22を、θ1とθ2に関する連立方程式としてθ1について解くと、下式23が得られる。
上式23を、剛心Q周りの外乱モーメントM1によって生じる前記静的変形角θ1stに対する、回転変形(回転角)θ1の応答倍率として表すと下式24が得られる。
そして、当該式24の絶対値が質点1の伝達関数(周波数応答倍率)となる。このとき、式24は虚数単位iを含む複素数であるため、右辺の分子・分母を、それぞれiを含む項とiを含まない項とにわけ、各項の2乗和を求めて平方根をとることにより、式24の絶対値を導出できる。これより、質点1の伝達率|θ1/θ1st|は下式25で表せ、当該式14が、前述した式3たる伝達関数の基礎式(3)である。
図10A及び図10Bは、本実施形態に係る建物11の変形例の平面図及び側面図である。なお、図10Aの平面図は図10B中のA−A断面図である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で以下に示すような変形が可能である。
11d 下部層、11u 上部層、
21 免震層、22 積層ゴム(支承部材、復元部材)、
24 減衰装置、27 凸部、28 凹部、
G 重心、Q 剛心、GND 地盤
Claims (7)
- 地盤に支持された下部構造体と、免震層を介して前記下部構造体に支持された上部構造体とを有する構造物が、所定の軸芯周りに捻れ振動すると想定される場合に、前記上部構造体の回転慣性質量を用いて前記下部構造体の捻れ振動を抑制すべく、前記捻れ振動の制振に係るパラメータを設定する方法であって、
前記パラメータは、前記上部構造体の前記軸芯周りの回転慣性質量I2[kN×m×s2/rad]、前記下部構造体の前記軸芯周りの回転慣性質量I1[kN×m×s2/rad]、前記上部構造体と前記地盤との間の前記軸芯周りの回転剛性値K1[kN×m/rad]、前記免震層の前記軸芯周りの回転剛性値K2[kN×m/rad]、及び、前記免震層が前記上部構造体と前記下部構造体との間の前記軸芯周りの捻れ振動を減衰する際の回転減衰係数C2[kN×m×s/rad]であり、
前記パラメータI1,I2,K1,K2,C2に基づいて、前記下部構造体の前記軸芯周りの回転角θ1[rad]の伝達関数を求め、
求められた前記伝達関数に基づいて前記パラメータI1,I2,K1,K2,C2の値を決めることを特徴とする構造物の捻れ振動の制振に係るパラメータの設定方法。 - 請求項1に記載の構造物の捻れ振動の制振に係るパラメータの設定方法であって、
前記軸芯の平面位置は、前記構造物の重心の平面位置から水平方向に偏心していることを特徴とする構造物の捻れ振動の制振に係るパラメータの設定方法。 - 請求項1又は2に記載の構造物の捻れ振動の制振に係るパラメータの設定方法であって、
前記免震層は、前記上部構造体と前記下部構造体との間の水平方向の振動を減衰する減衰装置を有し、
前記軸芯から前記減衰装置までの距離を変更することにより、前記回転減衰係数C2を変更することを特徴とする構造物の捻れ振動の制振に係るパラメータの設定方法。 - 請求項1乃至3の何れかに記載の構造物の捻れ振動の制振に係るパラメータの設定方法であって、
前記免震層は、前記上部構造体を前記下部構造体に対して水平方向に相対変位可能に支承する支承部材を有し、
前記支承部材は、前記上部構造体と前記下部構造体との相対変位時に相対変位量に応じた大きさの復元力を相対変位が小さくなる方向に付与する復元部材としても機能し、
前記軸芯から前記支承部材までの距離を変更することにより、前記回転剛性値K2を変更することを特徴とする構造物の捻れ振動の制振に係るパラメータの設定方法。 - 請求項1乃至4の何れかに記載の構造物の捻れ振動の制振に係るパラメータの設定方法であって、
前記免震層に設けられた規制部材によって、前記上部構造体は、前記下部構造体に対して前記軸芯周りの相対回転のみが許容され、水平方向の相対並進変位は不能に案内されていることを特徴とする構造物の捻れ振動の制振に係るパラメータの設定方法。 - 請求項1乃至5の何れかに記載の構造物の捻れ振動の制振に係るパラメータの設定方法であって、
前記伝達関数は、横軸が振動数で、縦軸が前記回転角θ1に係る振動伝達率のグラフとして求められ、
前記パラメータI1,I2,K1,K2,C2の少なくとも一つを複数水準に振って前記水準毎に前記伝達関数を求めて、求められた前記伝達関数のなかで、前記振動伝達率の最大値が最も小さくなる伝達関数を選び、選ばれた伝達関数に係るパラメータI1,I2,K1,K2,C2の値を前記構造物に係る値として設定することを特徴とする構造物の捻れ振動の制振に係るパラメータの設定方法。 - 請求項6に記載の構造物の捻れ振動の制振に係るパラメータの設定方法であって、
前記伝達関数のグラフが2つのピーク値を有するとともに、前記2つのピーク値が同じ値になるように前記パラメータI1,I2,K1,K2,C2を設定することを特徴とする構造物の捻れ振動の制振に係るパラメータの設定方法。
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