JP3352372B2 - 構造物の制振装置 - Google Patents

構造物の制振装置

Info

Publication number
JP3352372B2
JP3352372B2 JP31971897A JP31971897A JP3352372B2 JP 3352372 B2 JP3352372 B2 JP 3352372B2 JP 31971897 A JP31971897 A JP 31971897A JP 31971897 A JP31971897 A JP 31971897A JP 3352372 B2 JP3352372 B2 JP 3352372B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vibration
weight
base plate
spring
damping device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP31971897A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11153183A (ja
Inventor
雅生 細見
和義 木場
章一 播本
Original Assignee
駒井鉄工株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 駒井鉄工株式会社 filed Critical 駒井鉄工株式会社
Priority to JP31971897A priority Critical patent/JP3352372B2/ja
Publication of JPH11153183A publication Critical patent/JPH11153183A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3352372B2 publication Critical patent/JP3352372B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Bridges Or Land Bridges (AREA)
  • Buildings Adapted To Withstand Abnormal External Influences (AREA)
  • Vibration Prevention Devices (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、橋梁主塔や高層
建物などの構造物の振動を減衰させる構造物の制振装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】斜張橋の主塔や高層建物(ビル)などの
構造物は、風や交通、あるいは地震等による振動を抑制
するため制振装置を設けて構造物の振動を最小限に制振
する場合がある。かかる構造物の制振装置の一型式とし
て、一般に所定の大きさの機枠内に重錘、ばね、減衰器
(ダンパー)を収納して1つのユニットを形成し、その
ユニットを構造物の頂部付近に設置することにより制振
効果を及ぼそうというものがある。
【0003】特に斜張橋の主塔に対しては、斜張橋完成
後の塔面内振動の他に架設時に発生する主塔の塔面外振
動を抑制することが必要になる場合、この振動抑制には
前記ユニット化された制振装置が適合する。
【0004】かかる構造物の制振装置の1例として、例
えば特開平7−197991号公報に開示されたものが
知られている。この公報に開示されている制振装置は、
構造物に取り付けられる機枠に重錘が水平移動自在に配
設され、上端部が前記機枠に枢支軸を介して枢支され、
下端部が重錘に連結されて該重錘の水平移動に連動して
枢支軸を中心に揺動される揺動レバーが設けられ、揺動
レバーと機枠との間にばねとダンパーとが上下方向位置
変更可能に配設され、重錘を水平移動させるためのクラ
ッチ付き駆動装置が設けられたものから成る。
【0005】かかる構成の制振装置は、振り子式のもの
であり、構造物の固有振動数を予め計算又は実測により
割り出し、その値に対し重錘の固有振動数が同調するよ
うにダンパー及びばねの設定位置を上下方向に適宜変更
自在としたものである。ダンパー及びばねの設定位置を
変更自在としたことにより、重錘の固有振動数を広範囲
にわたって容易に変化させることができる。
【0006】従来の制振装置の他の1例として、特開平
8−334148号公報によるものも公知である。この
公報では2つの形式の制振装置を提案しており、その1
つは、複数の金属板とゴム板とを交互に積層してなる積
層ゴムにより付加質量を揺動可能に支持する構成とされ
た制振装置において、積層ゴムを付勢する付勢部材と、
付勢部材の固有周期を調整する固有周期調整機構とを備
えた制振装置である。
【0007】他の1つは、付加質量を上下方向に移動可
能に吊下する支柱と、付加質量の上下方向の振動を減衰
させる減衰器とを有する制振装置において、支柱と付加
質量との間に設けられ付加質量を上方に付勢する付勢部
材と、この付勢部材の固有周期を調整する固有周期調整
機構とを備えた制振装置である。
【0008】この公報による第1の制振装置では、積層
ゴムの上に支持される付加質量(重錘)の固有振動数を
構造物の固有振動数に同調させるため、付勢部材の固有
周期を調整する調整機構により付勢部材の固有周期を調
整して制振が行われる。
【0009】第2の制振装置では、構造物の水平張出部
に吊下げた支柱に付加質量を上下方向に移動できるよう
に取り付け、付加質量の上下振動を減衰器により減衰さ
せると共に、支柱と付加質量との間の付勢部材に対しそ
の固有周期を固有周期調整機構により調整して制振が行
われる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したよ
うに第1の公報による制振装置は、重錘の固有振動数を
揺動レバーに対するダンパーやばねの水平取付レベルを
上下方向に移動変更すれば変化させることができるが、
振り子式のものであるため揺動レバーを必要とし、この
ためユニットの機枠が高さ方向に延びてユニット全体が
スペース的に大型化し、又揺動レバーに複数のばねを連
結する際にこれらばねをシリンダ内に設けて形成された
ばね箱が重錘と直接接続していないため機構や構造が複
雑になるという問題がある。
【0011】さらに、重錘を水平移動させる機構として
実際の装置ではリニアガイドと呼ばれる案内装置により
重錘をレール上で移動させるようになっているが、この
ような水平移動機構はリニアガイドに多数の軸受が用い
られているなどの理由から重錘の移動に対する摩擦抵抗
が大きく、従って振幅が大きい振動に対しては作動する
としても、振幅が比較的小さい振動に対しては反応が鈍
く、振動発生の初期では振動抑制効果があまり期待でき
ない。
【0012】一方、第2の公報の制振装置の第1のもの
は、積層ゴム上に重錘を載置し、この積層ゴムに連結さ
れたばね手段の長さを調整してばね定数を変化させる方
式のものであるため、積層ゴムの頂部が水平方向に移動
できる範囲の振動を吸収することはできる。
【0013】しかし、ばね手段の巻き数調整による積層
ゴムのばね定数の変化の範囲は限られており、積層ゴム
の設定時に想定した振動数と実際の振動挙動の振動数に
大きな差が生じた場合には調整しきれず、十分な制振効
果を得ることはできない。又、この形式のものではダン
パーが設けられていないため積層ゴム自体がダンパー機
能を併有し、このため減衰効果は調整不能である。
【0014】また、第2のものは、鉄板を重ねて形成し
た重錘をばね付きの支柱で構造物から吊り下げると共に
ダンパーで支持し、ばねの支柱に対する係合長さを可変
として振動を吸収する方式のものであり、支柱は構造物
への取付板に固定して取り付けられている。
【0015】このため、構造物の垂直方向の振動に対し
制振作用を及ぼすことはできるが、水平方向の振動をこ
の制振装置で吸収することはできない。又、仮りにこの
第2の制振装置を水平方向の振動を吸収するのに用いよ
うとすると、少なくとも重錘を水平移動自在に支持する
構造部を必要とし、従ってそのままでは水平方向の振動
を吸収する制振装置とすることはできない。
【0016】この発明は、上記従来の制振装置の種々の
問題点に留意して、振子式でなく水平移動方式を採用し
て構成がシンプルで振幅の大きい振動から小さい振動の
いずれにも敏感に応答して振動を抑制することができる
構造物の制振装置を提供することを課題とする。
【0017】この発明のもう1つの課題は、上記制振装
置をアクティブ形としても利用できかつ起振機としても
応用できる制振装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記課題を
解決する手段として、機枠内に台板上に載置した可変重
錘を台板に取付けた支持ローラで機枠間に設けた水平支
持枠上を水平移動自在に設け、この重錘と機枠の間に重
錘が移動する水平方向に振動するばねとその振動を吸収
するための減衰器から成る吸振手段を備え、吸振手段は
台板下に設け、かつばねは機枠の互いに向い合う側部の
それぞれに一端を、台板下を通って台板の反対側端に他
端を固定したばねから成り、上記各ばねの一端にばね定
数を調整するばね調整手段を設けて固有振動数を調整自
在とし、減衰器は減衰定数調整手段を設けて減衰定数を
調整自在として成る構造物の制振装置としたものであ
る。
【0019】上記の構成としたこの発明の制振装置は、
1自由度振動系を忠実に表現した極めてシンプルな構成
で振幅が大きい振動から小さい振動まで広い範囲にわた
って振動を抑制する。ばね及びダンパーは予め計算又は
実測値により構造物の固有振動数に同調する振動数とな
るようにばね定数をばね調整手段で調整し、かつダンパ
ーの減衰定数調整手段で所定値に減衰率を設定してお
く。
【0020】構造物が風などにより振動すると、制振装
置が設置されている点でのその振動による構造物の移動
より遅れて重錘が移動し、この時ばね定数が上記のよう
に調整されていれば重錘は構造物の移動と90°前後の
位相がずれた状態で移動することとなり、本装置の振動
が構造物の固有振動数にほぼ同調する程のものであれば
最も有効に、又同調しない振動であってもばね定数と減
衰率を適宜設定することにより装置を構造物の振動特性
に合わせて調整し振動を抑制することができる。
【0021】又、振幅が小さい振動であっても、重錘は
支持ローラで水平移動自在に支持されているから、水平
方向の摩擦係数が小さく、重錘が構造物の小さい動きに
対しても敏感に反応して移動し、構造物の振動を抑制す
る。
【0022】なお、重錘の台板に対し歯車機構を接離自
在に設け、歯車機構を回転駆動部で駆動して重錘を揺動
自在とすることにより、上記パッシブ形の制振装置をア
クティブ形のものとして機能させることができる。又、
振動時以外に回転駆動部を起動させれば、起振機として
も用いることができる。
【0023】
【実施の形態】以下、この発明の実施の形態について図
面を参照して説明する。図1は実施形態の制振装置の外
観斜視図、図2は平面図、図3は側面図である。図示の
ように、この制振装置は機枠1内にその水平支持枠3上
を走行する支持ローラ4を有する台板5上に可変重錘6
を載置して設け、台板5下面にはばね9とダンパー12
から成る吸振手段が取り付けられている。可変重錘6は
複数枚の厚板鋼板を重ねて固定部材6aで固定するよう
に設けられ、厚板鋼板の枚数を増減することにより重量
(質量)を変化させることができるようにしている。
【0024】機枠1は四隅に立設した垂直枠2に縦水平
枠3aや横水平枠3bを連結して内部に立方体状の空間
スペースを形成し、上記縦水平枠3aの下にこれと平行
な水平支持枠3を設けて支持ローラ4の走行を支持、案
内するように形成されている。又、台板5はその下方に
底板5aを設けて2重となっており、この2重空間内を
貫通して上記吸振手段が設けられている。
【0025】吸振手段の可変ダンパー12は底板5aの
縦方向中心線上にダンパーヘッド12aが来るように取
り付けられ(取付方法については後述参照)、可変ダン
パー12から両側へ突出して延びるピストンロッド12
bの端末がその端末に刻設したねじに係合するナットで
エンドプレート8の切込みに嵌合して取り付けられてい
る。可変ダンパー12には減衰率調整手段が設けられて
いるが、これについては後で説明する。
【0026】吸振手段のばね9は、図示のように、可変
ダンパー12を挟んでその両側に4本のものが平行に設
けられ、それぞれのばね9の一端は底板5aの端に設け
たエンドプレート7に端末係合部材により取り付けら
れ、他端はばね定数を調整するばね調整手段10を介し
てエンドプレート8の切込みに嵌合して取り付けられて
いる。なお、ばね9は、内側2本が図1の左側のエンド
プレート8へ、外側2本が右側のエンドプレート8へ係
合され、左右へ延びるばねが互いにバランスするような
合理的な配置としている。
【0027】ばね調整手段10は、図6に示すように、
ねじロッド11から成り、このねじロッド11をその頭
部11aを外側にしてエンドプレート8の切込みに嵌合
させ、ねじロッド11のねじ部に係合するばね9の係合
巻数(長さ)をねじロッド11の頭部を回転させて調整
することによりばね定数が調整される。9aは外れ止め
カラーである。ばね9の反対側端は、エンドプレート7
に取付けたねじボルト14でエンドプレート7の内側に
ねじ端部材13を取り付け、このねじ端部材13に所定
長さだけばねを予め係合させてセットしてある。
【0028】図7に、前記可変ダンパー12とばね9を
含む全体のモデル図を示す。図示のように、可変ダンパ
ー12は中央に設けたピストン12cに左右同じ長さの
ピストンロッド12b、12bを有し、左右のダンパー
ヘッド12a、12aに接続された耐圧ホースを用いた
配管15、15を中央でダンパー12の減衰率調整手段
である2つの流量制御弁16、16を介して互いに接続
している。流量制御弁16は調整用つまみ16aを手動
で回転させると一方から他方へ流れる流量が変化し、そ
れによってダンパーの減衰力を調整する。17は油補充
部である。
【0029】図5に示すように、台板5の底板5aの端
には前後左右4ヶ所に台板5の水平方向の振れを防止す
るためのガイドローラ18が設けられている。ガイドロ
ーラ18は水平支持枠3の垂直フランジを案内部材とし
て水平方向に案内される。又、台板5の上面の四隅にも
ガイドローラ19が設けられており、台板5の垂直方向
の振れを防止する。縦水平枠3aが案内部材の役目をす
る。
【0030】図4に示すように、台板5が最大距離移動
したとき(移動ストロークは図中2点鎖線で示す)、そ
れ以上の移動を停止するためのバッファ21が停止緩衝
部材として設けられている。22はリニアセンサのロッ
ドであり、台板5の縦方向長さの中央に設けたブラケッ
ト上に位置検出センサ23が設けられている。この位置
検出センサ23は磁歪式の位置検出器であり、リニアセ
ンサロッド22が移動すると磁歪が生じることを利用し
て移動距離が測定される。
【0031】図4に示された24は台板の両端への移動
限界位置を検出するリミットスイッチである。又、図3
の25はモータ40の暴走時に台板5の移動を強制停止
させるための近接スイッチ、25aは磁性体片である。
図4に示す26は減衰力検出センサであり、その一端は
台板5の裏面に固定され、他端は取付板27に取付けら
れている。そしてこの取付板27にダンパー12の両
端、中央が固定されており、従ってダンパー12は上記
減衰力検出センサを介して台板5に取り付けられてい
る。重錘6と台板5が移動するとそれにつれてダンパー
12も移動するが、このときダンパー12内のピストン
12cはシリンダに対して相対的に移動し流量制御弁1
6による抵抗が作用してシリンダ内圧が働く。この内圧
によるシリンダの動きは台板5の動きと若干ずれること
によりダンパー12に作用し、そのダンパー12に働い
ている力を減衰力検出センサ26により検出するように
している。
【0032】次に、台板5の下方には重錘6を水平移動
させるための駆動機構が設けられている。この駆動機構
は、重錘6を水平振動させることによりアクティブ形の
制振装置として作用させる、あるいは起振機として作用
させるためのものである。この駆動機構は台板5の底板
の下面に取り付けられたラック31とこれに係合する歯
車群とこの歯車を駆動するモータと、歯車群がラック3
1へ係合するのを入、切するスイッチ機構から成る。
【0033】歯車群は、ピニオン32と歯車33から成
り、ピニオン32は歯車台34に取り付けられ、この歯
車台34は一端寄りを回転軸35を中心に支持台36に
回転自在に支持されており、他端が連結板37を介して
電磁ホルダ38により支持されている。電磁ホルダ38
の電力を切断すると電磁力による吸着力が断れ、連結板
37が2点鎖線の位置へ離れる(図4参照)。
【0034】このため、ピニオン32のラック31への
係合が解かれ、電磁ホルダ38に電力を供給すると連結
板37が実線の状態に吸着され、ピニオン32がラック
31に係合する。39は電磁ホルダ38の支持アームで
ある。図5に示すように、歯車33には回転軸35を介
してモータ40の回転力が伝達され、この回転力により
ラック31を往復動させ重錘6が振動するように形成さ
れている。上記駆動機構はモータ台板41上に設置さ
れ、共通台板42上に設けられている。
【0035】上記のように構成したこの実施形態の制振
装置は、パッシブ(受動)形、又はアクティブ(能動)
形の制振装置として、あるいは起振機として次のように
作用する。電磁ホルダ38の電磁力を遮断した状態では
駆動機構のピニオン32がラック31から切り離され、
パッシブ形の制振装置として作用する。この制振装置を
設置した斜張橋の主塔や高層ビルなどの構造物が風や交
通、あるいは地震などで振動すると、重錘6がその振動
を打ち消すように揺動して制振が行われる。
【0036】上記制振作用を得る場合、ばね9のばね定
数を構造物の固有振動数に同調するように、かつダンパ
ー12の減衰力をその構造物の振動の目標とする減衰率
になるようにばね9とダンパー12のそれぞれの調整手
段により予め調整をして最も効果的となるように制振が
行われる。
【0037】上記調整手段による調整は、例えば1つの
最も効果的な方法としてこの制振装置に駆動機構を接続
して制振装置を起振機として作用させ、その起振機によ
る構造物の振動から固有振動数及び減衰率を測定して、
測定されたそれぞれの値に適合するようにばね9のばね
調整手段10によりばね定数を、ダンパー12の流量制
御弁16により減衰率をそれぞれ調整する。
【0038】上記制振装置を起振機として作用させる場
合、予め電磁ホルダ38に電源を供給して連結板37を
吸着し、ピニオン32をラック31に係合させてモータ
40の動力を伝達できるようにしておく。この状態でモ
ータ40を回転させると台板5が揺動され重錘が振られ
て起振力が発生し、その起振力により構造物が振動す
る。
【0039】なお、ばね調整手段10や流量制御弁16
によりばね定数や減衰率を調整して設定する場合、重錘
6の大きさ(重量)についても必要であれば、重錘6と
して重ねられる鋼板の板数を増加させて構造物との重量
比を微調整するとよい。
【0040】斜張橋の主塔の架設時には、足場や架設用
機材などがあり、正確に重量を推定することが難しい。
このような場合、上記制振装置を起振機として作用させ
て行なう測定によりばね定数や減衰率を定める際には予
め解析によって誤差を考慮して装置を設計し、実測によ
りその値を調整するようにするとよい。
【0041】以上のようにしてばね定数や減衰率を設定
した上記パッシブ形の制振装置は、強い振幅の大きな振
動は勿論、振幅の小さい振動に対しても精度よく応答し
て制振する。振幅の小さい振動の場合、重錘6を支持し
ている台板5が鋭敏に作動するためには、台板5の水平
支持枠3に対する摩擦摺動ができるだけ小さくなくては
ならない。
【0042】上記実施形態ではこのため台板5は支持ロ
ーラ4で摺動自在に支持されており、摩擦摺動形式の移
動手段として他の形式、例えばリニアベアリングのよう
なものに比して最も摩擦係数の小さいものを採用してい
る。このため、台板5を含む重錘6は振動が小さなうち
であっても直ちに敏感に応答する。
【0043】振幅が小さい振動であっても、ばね9に設
定される固有振動数を構造物の固有振動数に一致させて
おき、かつ減衰率を適当に設定しておけば、設定した固
有振動数で振動する場合だけでなくそれよりずれた場合
も減衰率の設定によって常に重錘系の振動が構造物の振
動とほぼ90°ずれて振動することにより有効に制振さ
れる。その際、摩擦摺動部の摩擦係数が小さければ鋭敏
に反応することは前述した通りである。
【0044】なお、上記パッシブ形の制振装置として作
用するこの実施形態の制振装置は、一般にTMD(Tune
d Mass Damper )と略称される動吸振器の一種であり、
予め想定される1つの振動モードに対応して調整された
状態で作動する。従って、地震のような種々の振動のモ
ードが重なり合って構造物に作用するような振動では、
特有の振動モード毎に調整された制振装置を複数箇所の
所定の位置に設置して対応することができる。
【0045】次に、上記制振装置をアクティブ形として
作動させる場合は、前述したように、磁気ホルダ38を
作動させてピニオン32をラック31に係合させ、モー
タ40を駆動して重錘系を揺動させる。このとき、その
揺動速度が前述した構造物の固有振動数に同調し、ある
いはそれ以下の実際の振動数に合致し、かつ重錘の移動
が構造物の移動と90°位相のずれた状態となるように
モータ40で移動させ、設定される減衰率に合わせてモ
ータ40の回転速度を変化させればよい。
【0046】なお、上記実施形態ではばね9とダンパー
12は左右に延びる部材をエンドプレート8に端部を固
定したものとしたが、ばね9を引張圧縮両用のものとし
てばね9とダンパー12を台板5の片側にのみ設ける形
式としてもよい。
【0047】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、この発明の
制振装置は重錘を、台板に載置しこの台板を支持ローラ
で支持し、ばねとダンパーから成る吸振手段を設け、
ねは台板下を通って機枠と台板の機枠と反対側の端の間
に設け、ばね定数をばね調整手段で、減衰率を減衰定数
調整手段でそれぞれ調整するようにしたから、振子式の
制振装置と異なり極めてシンプルな構成となり、ばね定
数や減衰率の調整が容易で、摩擦係数の小さい支持ロー
ラを用いることにより小さい振動に対しても敏感に応答
することができる制振装置を得ることができる。又、重
錘に対し歯車機構を接離自在とした構成では、上記制振
装置をアクティブ形とすることができ、あるいはこれを
駆動することによって起振機とすることもできるという
利点がある。しかも、歯車機構の切離し時にはモータ等
の影響のない完全なパッシブ形の制振装置(TMD)に
戻すことができる。
【0048】又、重錘に対し歯車機構を接離自在とした
構成では、上記制振装置をアクティブ形とすることがで
き、あるいはこれを駆動することによって起振機とする
こともできるという利点がある。しかも、歯車機構の切
離し時にはモータ等の影響のない完全なパッシブ形の制
振装置(TMD)に戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の制振装置の外観斜視図
【図2】同上の平面図
【図3】同上の側面図
【図4】同上の縦断面図
【図5】同上の縦断側面図
【図6】ばね調整手段の詳細図
【図7】減衰率調整手段の模式図
【符号の説明】
1 機枠 2 垂直枠 3 水平支持枠 4 支持ローラ 5 台板 6 重錘 7 エンドプレート 8 エンドプレート 9 ばね 10 ばね調整手段 15 配管 16 流量制御弁 16a つまみ 18、19 ガイドローラ 31 ラック 32 ピニオン 38 電磁ホルダ 40 モータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−35(JP,A) 特開 平5−149030(JP,A) 特開 平5−248120(JP,A) 特開 平6−288118(JP,A) 特開 平8−334148(JP,A) 特開 平9−229132(JP,A) 特開 昭63−76932(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16F 15/02 E04H 9/02 341 E01D 1/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機枠内に台板上に載置した可変重錘を台
    板に取付けた支持ローラで機枠間に設けた水平支持枠上
    を水平移動自在に設け、この重錘と機枠の間に重錘が移
    動する水平方向に振動するばねとその振動を吸収するた
    めの減衰器から成る吸振手段を備え、吸振手段は台板下
    に設け、かつばねは機枠の互いに向い合う側部のそれぞ
    に一端を、台板下を通って台板の反対側端に他端を固
    定したばねから成り、上記各ばねの一端にばね定数を調
    整するばね調整手段を設けて固有振動数を調整自在と
    し、減衰器は減衰定数調整手段を設けて減衰定数を調整
    自在として成る構造物の制振装置。
  2. 【請求項2】 前記水平支持枠の上方にこれと平行なガ
    イドレールを設け、台板には支持ローラと対向する向き
    にガイドローラを取付けて重錘を水平に案内するように
    したことを特徴とする請求項1に記載の構造物の制振装
    置。
  3. 【請求項3】 前記重錘の台板に水平移動用の歯車機構
    を接離自在に取り付け、この歯車機構に回転駆動部を接
    続して重錘を水平方向に揺動自在としたことを特徴とす
    る請求項1又は2に記載の構造物の制振装置。
JP31971897A 1997-11-20 1997-11-20 構造物の制振装置 Expired - Fee Related JP3352372B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31971897A JP3352372B2 (ja) 1997-11-20 1997-11-20 構造物の制振装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31971897A JP3352372B2 (ja) 1997-11-20 1997-11-20 構造物の制振装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11153183A JPH11153183A (ja) 1999-06-08
JP3352372B2 true JP3352372B2 (ja) 2002-12-03

Family

ID=18113408

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31971897A Expired - Fee Related JP3352372B2 (ja) 1997-11-20 1997-11-20 構造物の制振装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3352372B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108330804A (zh) * 2018-01-11 2018-07-27 旗舰集团有限公司 一种减震桥梁结构

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6231330B2 (ja) * 2013-08-29 2017-11-15 カヤバ システム マシナリー株式会社 制振装置
JP6179298B2 (ja) * 2013-09-13 2017-08-16 新日鐵住金株式会社 ガスホルダーの補強方法、およびガスホルダー
JP6387241B2 (ja) * 2014-04-03 2018-09-05 株式会社竹中工務店 制振装置
EP2952639A1 (en) * 2014-06-02 2015-12-09 Metalogenia Research & Technologies S.L. Locking device for securing a wear member
CN108360368B (zh) * 2018-02-10 2018-11-27 郑州航空工业管理学院 一种多级抗震桥梁装置
CN108330814B (zh) * 2018-02-10 2018-11-20 郑州航空工业管理学院 缓冲消能的桥梁抗震装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108330804A (zh) * 2018-01-11 2018-07-27 旗舰集团有限公司 一种减震桥梁结构
CN108330804B (zh) * 2018-01-11 2019-07-23 旗舰集团有限公司 一种减震桥梁结构

Also Published As

Publication number Publication date
JPH11153183A (ja) 1999-06-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3352372B2 (ja) 構造物の制振装置
KR101892874B1 (ko) 건축물의 내진 보강구조
CN1966854B (zh) 衰减和防止造纸机部的振动的装置
JPH0370075B2 (ja)
WO2003072977A1 (fr) Dispositif d'amortissement et procede de reglage de la frequence propre d'un corps d'amortissement dans ce dispositif d'amortissement
US5544452A (en) Method of and apparatus for damping the vibration of a building
JP4305948B2 (ja) 構造物用制振装置
JP2002139096A (ja) セミアクティブ免震システム
JP3605176B2 (ja) 上下方向アクティブ制振装置
JP3803940B2 (ja) 直交2方向の建物周期が異なる超高層建物の制振装置
JPH0814207B2 (ja) 建物の制振装置
JPH0953679A (ja) バネ付振子式アームを用いた直動マス型制振装置
JP2689652B2 (ja) 制振装置
JP2683834B2 (ja) 振動減衰装置
JP3707298B2 (ja) 制振装置
JPH07197991A (ja) 構造物の制振装置
JP3916213B2 (ja) ロッキング方式のカーテンウオール利用の制震方法および制震装置
JP3289064B2 (ja) 帯鋸装置
JP3463110B2 (ja) 免震床の三次元免震装置
JP2538374B2 (ja) 鉄骨梁内蔵型パッケ―ジ式制振装置
JP2782624B2 (ja) 制振実験装置
JP2841487B2 (ja) 構造物制振装置
JPH01320346A (ja) ねじれ振動防止装置
SU1096349A1 (ru) Динамический гаситель колебаний сооружений
JP2673470B2 (ja) 制振装置

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070920

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080920

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080920

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090920

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100920

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110920

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees