JP6178715B2 - 熱転写受像シート用裏面基材、及び熱転写受像シート - Google Patents

Description

本発明は、熱転写受像シート用裏面基材、及び熱転写受像シートに関する。

熱転写を利用した画像の形成方法として、記録材としての昇華型染料をプラスチックフィルム等の基材上に担持させた熱転写シートと、紙等の別の基材上に受容層を設けた熱転写受像シートとを互いに重ね合わせてフルカラー画像を形成する昇華型熱転写方式が知られている。この方法は昇華性染料を色材としているため中間調の再現性や階調性に優れており、原稿通りのフルカラー画像を熱転写受像シート上に鮮明に表現することができる。

昇華型熱転写方式を利用して画像を形成する昇華型熱転写プリンタを用いて、熱転写受像シート上にフルカラーの画像を形成するためには、１画面に複数回の印刷、例えば、Ｙ（イエロー）、Ｍ（マゼンタ）、Ｃ（シアン）インクを印刷する３回の印刷、或いは、これに加え保護層（ＯＰ）を印刷する４回の印刷を行う必要がある。このとき、昇華型熱転写プリンタにおける熱転写受像シートの搬送性が悪い場合には、熱転写受像シートの送り量や、インクの付着位置にズレが生じ、画像に乱れが生ずることとなる。したがって、熱転写受像シートには画像形成時における良好な搬送性が求められている。

このような状況下、例えば、特許文献１には、ガラス転移温度が５０〜９０℃であるスチレンブタジエンゴム、ポリエチレンワックス、及び、アニオン系ポリスチレン樹脂を含有する裏面層を備えた熱転写受像シートが提案されている。

また近時、昇華型熱転写プリンタ用途の熱転写受像シートには、上記画像形成時の搬送性の向上に加え、高い質感が要求されている。具体的には、熱転写受像シートの画像形成面である受像面のみならず、裏面側にも高い質感が要求されている。ところで、熱転写受像シートにおいて、受容層、及び裏面層を支持する支持体としては、紙やプラスチックフィルム等が一般的に用いられているが、これらの支持体には、異物や欠陥がある場合も多く、単純に、支持体の受容層が設けられている面とは反対側の面に、従来公知の裏面基材を設けた場合には、支持体の異物や、欠陥等を隠蔽することができず熱転写受像シートの裏面側の質感は低下する。上記特許文献１に記載がされているように、熱転写受像シートの支持体として、白色顔料等を加えて成膜した白色不透明フィルム等も知られてはいるものの、白色不透明フィルム等を用いたとしても、支持体自体の異物や、欠陥を完全には隠蔽することができず、異物や欠陥等の隠蔽性については改善の余地がある。また、熱転写受像シートの裏面側には、さらなる質感の向上も求められている。

特開２００９−８３２９８号公報

本発明はこのような状況においてなされたものであり、熱転写受像シートの搬送性を向上させることができ、熱転写受像シートの裏面側の質感を向上させることができる熱転写受像シート用裏面基材、及び、この熱転写受像シート用裏面基材を有する熱転写受像シートを提供することを主たる課題とする。

上記課題を解決するための本発明は、熱転写受像シート用裏面基材であって、前記熱転写受像シート用裏面基材は、第１裏面層、第２裏面層、第３裏面層がこの順で積層された積層構造を有し、前記第１裏面層は、プロピレン系重合体を少なくとも含むプロピレン系重合体組成物Ａからなり、前記第２裏面層は、プロピレン系重合体、帯電防止剤、及び、隠蔽剤を少なくとも含むプロピレン系重合体組成物Ｂからなり、前記第３裏面層は、プロピレン系重合体を少なくとも含むプロピレン系重合体組成物Ｃからなり、かつ、当該第３裏面層の三次元中心面平均粗さ（ＳＲａ）が、０.１０μｍ以上１．５０μｍ以下の範囲内であって、前記第１裏面層、第２裏面層、第３裏面層が二軸延伸されたものであることを特徴とする。

また、上記の発明において、前記隠蔽剤は酸化チタン粒子であることが好ましい。

また、上記の発明において、前記プロピレン系重合体組成物Ｂは、前記プロピレン系重合体、帯電防止剤、及び、隠蔽剤の合計質量を１００質量％としたときに、前記プロピレン系重合体を７８．０質量％以上９６.９質量％以下の範囲内で含み、前記帯電防止剤を０．１質量％以上２．０質量％以下の範囲内で含み、前記隠蔽剤を３．０質量％以上２０．０質量％以下の範囲内で含んでいることが好ましい。

また、上記の発明において、前記プロピレン系重合体組成物Ｃは、エチレン系重合体を更に含み、前記プロピレン系重合体組成物Ｃは、前記プロピレン系重合体、及び、前記エチレン系重合体の合計質量を１００質量％としたときに、前記プロピレン系重合体を５０質量％以上８０質量％以下の範囲内で含み、前記エチレン系重合体を２０質量％以上５０質量％以下の範囲内で含んでいることが好ましい。

また、上記の発明において、前記プロピレン系重合体組成物Ｃは、高密度ポリエチレン、及び低密度ポリエチレンを更に含み、前記プロピレン系重合体組成物Ｃは、前記プロピレン系重合体、前記高密度ポリエチレン、及び低密度ポリエチレンの合計質量を１００質量％としたときに、前記プロピレン系重合体を５５質量％以上８０質量％以下の範囲内で含み、前記高密度ポリエチレンを５質量％以上２５質量％以下の範囲内で含み、前記低密度ポリエチレンを１５質量％以上４０質量％以下の範囲内で含んでいることが好ましい。

また、上記課題を解決するための本発明は、支持体の一方の面に受容層が設けられた熱転写受像シートであって、前記支持体の他方の面に、当該支持体から、前記第１裏面層、前記第２裏面層、前記第３裏面層がこの順となるように上記特徴を有する裏面基材が設けられていることを特徴とする。

本発明の熱転写受像シート用裏面基材によれば、画像形成時における熱転写受像シートの搬送性を向上させることができ、画像が形成された印画物の質感を向上させることができる。また、本発明の熱転写受像シートによれば、画像形成時における搬送性を向上させることができ、画像が形成された印画物の質感を向上させることができる

本発明の熱転写受像シート用裏面基材の一例を示す概略断面図である。 本発明の熱転写受像シートの一例を示す概略断面図である。

＜＜熱転写受像シート用裏面基材＞＞
以下に、本発明の熱転写受像シート用裏面基材（以下、本発明の裏面基材という）について図１を用いて詳細に説明する。なお、図１は、本発明の裏面基材の概略断面図である。図１に示すように、本発明の裏面基材１０は、第１裏面層（１）、第２裏面層（２）、第３裏面層（３）がこの順で積層された構成をとる。以下、各裏面層について具体的に説明する。

＜プロピレン系重合体＞
本発明の裏面基材１０の第１裏面層（１）、第２裏面層（２）、及び第３裏面層（３）は、それぞれ、プロピレン系重合体を少なくとも含むプロピレン系重合体組成物（Ａ）、プロピレン系重合体組成物（Ｂ）、プロピレン系重合体組成物（Ｃ）から構成される。これらプロピレン系重合体組成物に含まれるプロピレン系重合体は、一般にポリプロピレンの名称で製造・販売されているポリオレフィン樹脂であり、通常、融点が１０５〜１７０℃、密度が０．８９０〜０．９３０ｇ／ｃｍ³、ＭＦＲ（メルトフローレート；ＡＳＴＭ Ｄ１２３８ 荷重２１６０ｇ、温度２３０℃）が０．５〜６０ｇ／１０分、好ましくは０．５〜１０ｇ／１０分、より好ましくは１〜５ｇ／１０分のプロピレンの単独重合体、若しくはプロピレンと、他の少量、例えば、１０モル％以下のα−オレフィン、例えば、エチレン、１−ブテン、１−ヘキセン、１−オクテン等とのランダム共重合体である。これらプロピレン系重合体は、１種あるいは２種以上の重合体からなる組成物、例えば、分子量の異なるプロピレンの単独重合体とプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体との組成物であってもよい。

また、本発明の裏面基材１０の第１裏面層（１）を構成するプロピレン系重合体組成物（Ａ）、及び第２裏面層（２）を構成するプロピレン系重合体組成物（Ｂ）には、プロピレンの単独重合体、若しくは１モル％以下のランダム共重合体でアイソタクテシティの高い重合体、特にはプロピレンの単独重合体、及びエチレンなどのα‐オレフィンを１モル％以下で共重合したプロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体が含まれていることが好ましい。第１裏面層（１）を構成するプロピレン系重合体組成物（Ａ）、及び第２裏面層（２）を構成するプロピレン系重合体組成物（Ｂ）に、これらのプロピレン系重合体を含有せしめることで、高剛性で且つ耐熱性に優れた熱転写受像シート用裏面基材１０とすることができる。

（第１裏面層）
本発明の熱転写受像シート用裏面基材を構成する第１裏面層（１）は、支持体の一方の面に受容層が設けられた熱転写受像シートと積層して（貼り合せて）用いる場合に、当該支持体の他方の面と接する層である。本発明では、第１裏面層（１）は二軸延伸されてなり、かつ上記で説明したプロピレン系重合体を少なくとも含んでいる組成物[プロピレン系重合体組成物（Ａ）］からなることを特徴とする。

第１裏面層（１）を構成するプロピレン系重合体組成物（Ａ）は、必須の成分であるプロピレン系重合体に加え、本発明の目的を損なわない範囲で任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分としては、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、核剤、ブロッキング防止剤、顔料、染料等の通常ポリオレフィンに添加されることが知られている各種添加剤、あるいは、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・１−ブテンランダム共重合体などのエラストマーなどの重合体を挙げることができる。

第１裏面層（１）の厚の厚みについて特に限定はないが、１．０μｍ〜５．０μｍ、より好ましくは１．５μｍ〜３．５μｍの範囲内である。

（第２裏面層）
図１に示すように、第１裏面層（１）と第３裏面層（３）との間には、第２裏面層（２）が設けられている。第２裏面層（２）は二軸延伸されてなり、かつ上記で説明したプロピレン系重合体とともに、帯電防止剤、及び、隠蔽剤を少なくとも含む組成物［プロピレン系重合体組成物（Ｂ）］からなることを特徴とする。

プロピレン系重合体組成物（Ｂ）に含まれるプロピレン系重合体は、前記第１裏面層（１）を構成するプロピレン系重合体組成物（Ｂ）に含まれるプロピレン系重合体と同じ重合体であっても、異なる重合体であってもよい。また、プロピレン系重合体組成物（Ｂ）に含まれるプロピレン系重合体は、プロピレン単独重合体であっても、プロピレン単独重合体とプロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体との組成物であってもよい。

＜帯電防止剤＞
第２裏面層（２）を構成するプロピレン系重合体組成物（Ｂ）には、必須の成分として帯電防止剤が含まれる。プロピレン系重合体組成物（Ｂ）に含まれる帯電防止剤は、後述する第３裏面層（３）の表面にその一部が染み出しており、本発明の裏面基材１０を設けた熱転写受像シートの受容層上に画像形成を行う際に、熱転写受像シートがずれることを防止する役割を担っている。換言すれば、熱転写受像シートの搬送性の向上の役割を果たしている。帯電防止剤について特に限定はなく、種々公知の帯電防止剤を使用することができる。かかる帯電防止剤としては、種々公知の帯電防止剤、例えば、
アルキルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミド、アルキルジエタノールアミン脂肪酸エステルなどのアルキルアミン及びその誘導体；
ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール若しくはベヘニルアルコールなどの炭素数８〜１８の高級アルコール；
パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸若しくはリノレン酸などの炭素数８〜２４の高級脂肪酸のグリセリンエステル類；
グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール若しくはペンタエリスリトールなどの多価アルコールの部分的脂肪酸エステルや、下記、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤などの界面活性剤等を挙げることができる。

＜＜非イオン性界面活性剤＞＞
非イオン性界面活性剤としては、例えば、
前記高級アルコール、高級脂肪酸（炭素数８〜２４）または高級アルキルアミン（炭素数８〜２４）のエチレンオキサイド付加物（数平均分子量１５０〜２００，０００）：グリコールのエチレンオキサイド付加物であるポリアルキレングリコール（数平均分子量１５０〜６，０００）の高級脂肪酸エステル：エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール及びソルビタンなどの炭素数２〜１８の２価〜８価またはそれ以上の多価アルコール、高級脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物（数平均分子量２５０〜３０，０００）：高級脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物（数平均分子量２００〜３０，０００）及び多価アルコールアルキル（炭素数３〜６０）エーテルのエチレンオキサイド付加物（数平均分子量１２０〜３０，０００）などのエチレンオキサイド付加型非イオン性界面活性剤；
多価アルコールの脂肪酸（炭素数３〜６０）エステル、多価アルコールのアルキル（炭素数３〜６０）エーテル；
脂肪酸（炭素数３〜６０）アルカノールアミドなどの多価アルコ−ル（炭素数３〜６０）型非イオン性界面活性剤等を挙げることができる。

＜＜アニオン性界面活性剤＞＞
アニオン性界面活性剤としては、例えば、
パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸若しくはリノレン酸などの炭素数８〜２４の飽和または不飽和脂肪酸及びエーテルカルボン酸などの高級脂肪酸またはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアミン（炭素数１〜２０）塩及びアルカノールアミン（炭素数２〜１２、例えばモノ−、ジ−及びトリエタノールアミン）塩などの塩；
前記高級アルコールの硫酸エステル塩及び前記高級アルコールのエチレンオキサイド（１〜１０モル）付加物の硫酸エステル塩などの高級アルキルエーテル硫酸エステル塩などの硫酸エステル塩；
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸ジアルキルエステル型、ハイドロカーボン（例えばアルカン、α−オレフィン）スルホン酸塩及びイゲポンＴ型などの炭素数１０〜２０のスルホン酸塩；
前記高級アルコールエチレンオキサイド付加物リン酸エステル塩及びアルキル（炭素数４〜６０）フェノールエチレンオキサイド付加物リン酸エステル塩などのリン酸エステル塩等を挙げることができる。

＜＜カチオン性界面活性剤＞＞
カチオン性界面活性剤としては、例えば、
ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロマイド及びステアリルトリメチルアンモニウムブロマイドなどの炭素数４〜１００のテトラアルキルアンモニウム塩、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド（塩化ベンザルコニウム）などの炭素数３〜８０トリアルキルベンジルアンモニウム塩、セチルピリジニウムクロライドなどの炭素数２〜６０のアルキルピリジニウム塩、ポリオキシエチレン・トリメチルアンモニウムクロライドなどの炭素数２〜４のポリオキシアルキレン・トリアルキルアンモニウム塩及びステアラミドエチルジエチルメチルアンモニウム・メトサルフェートなどのサパミン型第４級アンモニウム塩などの第４級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤；
ラウリルアミン、ステアリルアミン、セチルアミン、硬化牛脂アミン及びロジンアミンなどの炭素数１２〜６０の高級脂肪族アミンの塩酸、硫酸、硝酸及びリン酸などの無機酸塩または酢酸、プロピオン酸、ラウリル酸、オレイン酸、安息香酸、コハク酸、アジピン酸及びアゼライン酸などの炭素数２〜２２の有機酸塩、炭素数１〜３０の脂肪族アミンのエチレンオキサイド付加物などの無機酸塩または有機酸塩及びトリエタノールアミンモノステアレート及びステアラミドエチルジエチルメチルエタノールアミンなどの炭素数３〜３０の３級アミンの無機酸塩または有機酸塩などのアミン塩型カチオン性界面活性剤等を挙げることができる。

＜＜両性界面活性剤＞＞
両性界面活性剤としては、例えば、
炭素数８〜２４の高級アルキルアミンのプロピオン酸ナトリウムなどのアミノ酸型両性界面活性剤；
炭素数１２〜１８のアルキル・ジメチルベタインなどのベタイン型両性界面活性剤；
炭素数８〜２４の高級アルキルアミンの硫酸エステルナトリウム塩及びヒドロキシエチルイミダゾリン硫酸エステルナトリウム塩などの硫酸エステル塩型両性界面活性剤；
ペンタデシルスルホタウリン及びイミダゾリンスルホン酸などのスルホン酸塩型両性界面活性剤；
グリセリン高級脂肪酸エステル化物のリン酸エステルアミン塩などのリン酸エステル塩型両性界面活性剤等を挙げることができる。

なお、プロピレン系重合体組成物（Ｂ）に含まれる帯電防止剤は、上記で例示したものに限定されるものではなく、種々公知の帯電防止剤を適宜選択して用いることができる。帯電防止剤は、１種を単独で用いてもよく、２種以上の帯電防止剤を併用して用いることもできる。プロピレン系重合体組成物（Ｂ）は、上記で例示した帯電防止剤の中でも、アルキルアミン、高級脂肪酸のグリセリンエステル、及び多価アルコールの部分的脂肪酸エステルの混合物を含んでいることが好ましい。

＜隠蔽剤＞
第２裏面層（２）を構成するプロピレン系重合体組成物（Ｂ）には、必須の成分として隠蔽剤が含まれる。プロピレン系重合体組成物（Ｂ）に含まれる隠蔽剤は、前記プロピレン系重合体に配合することにより、得られるフィルムの透明性を低下させ、且つ、二軸延伸してもフィルムにボイド（空洞）を発生させることがない添加剤であり、通常、粉末の無機化合物、及び有機化合物などを挙げることができる。これら隠蔽剤の中でも、炭酸カルシウム、クレー（カオリン）、焼成クレー、タルク、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、酸化チタン等の粉末粒径が１μｍ以下の微粒子が好ましく、より好ましくは平均粒子径が０．１μｍ〜０．５μｍ、さらに好ましくは０．２μｍ〜０．３μｍの範囲にある微粒子が好ましい。

酸化チタンは、チタンホワイトとも呼ばれており、ルチル型とアナターゼ型があるが、ルチル型が、隠蔽力が大きいので好ましい。また、プロピレン系重合体組成物（Ｂ）に含まれる酸化チタンは、その表面が、アルミナ処理されていることが好ましい。さらには、白色度が９５％以上のものが好ましい。酸化チタンの表面を処理したものを使用することにより、得られる二軸延伸多層ポリプロピレンフィルムの隠蔽性が改良される。なお、酸化チタンの粒子径は、光散乱法により測定したときの粒子径である。

第２裏面層（２）は、前記プロピレン系重合体、前記帯電防止剤、及び前記隠蔽剤を含むプロピレン系重合体組成物（Ｂ）から形成される層であり、好ましくは、プロピレン系重合体、帯電防止剤、及び隠蔽剤の合計量１００質量％として、プロピレン系重合体を７８．０質量％以上９６.９質量％以下、より好ましくは８５質量％以上９４質量％以下、帯電防止剤を０．１質量％以上２．０質量％以下、より好ましくは０．８質量％以上１．８質量％以下、及び隠蔽剤を３．０質量％以上２０．０質量％以下、より好ましくは５．０質量％以上１５．０質量％以下の範囲で含んでなる。プロピレン系重合体、帯電防止剤及び隠蔽剤を上記範囲で含むプロピレン系重合体組成物（Ｂ）からなる第２裏面層（２）を備える本発明の裏面基材１０によれば、当該裏面基材１０を備える熱転写受像シートの画像形成時における熱転写受像シートの搬送性に優れ、且つ、画像が形成された印画物の質感に優れる印画紙を得ることができる。

また、第２裏面層（２）を構成するプロピレン系重合体組成物（Ｂ）には、必須の成分である上記プロピレン系重合体、上記帯電防止剤、及び上記隠蔽剤に加え、任意の成分として、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、核剤、ブロッキング防止剤、顔料、染料等の通常ポリオレフィンに添加されることが知られている各種添加剤、あるいは、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・１−ブテンランダム共重合体などのエラストマーなどの重合体を、本発明の目的を損なわない範囲で含んでいてもよい。

第２裏面層（２）の厚の厚みについて特に限定はないが、１３．０μｍ〜４０．０μｍ、より好ましくは１４．０μｍ〜３０．０μｍの範囲内である。

（第３裏面層）
図１に示すように、第２裏面層（２）上には、第３裏面層（３）が設けられている。第３裏面層（３）は二軸延伸されてなり、プロピレン系重合体を少なくとも含んでいる組成物［プロピレン系重合体組成物（Ｃ）］からなる。さらに、本発明では、第３裏面層（３）の表面（第２裏面層と接する面の反対面）の粗さが、０．１０μｍ以上１．５０μｍ以下であることを特徴とする。

上記特徴の第３裏面層（３）を備える本発明の裏面基材１０によれば、第３裏面層（３）の表面の粗さを上記範囲とすることで、第２裏面層（２）に含まれる帯電防止剤を第３裏面層（３）の表面に適宜移動させることにより、第３裏面層（３）の搬送力を付与することができる。また、熱転写受像シート用裏面基材の見栄えをよくし、高級観を付与することができる。また、本発明に係る第３裏面層（３）は、コロナ処理を施しておくと、さらに、第２裏面層（２）の配合されている帯電防止剤を、第３裏面層（３）の表面により移行し易くすることができ好ましい。第３裏面層（３）の表面（第２裏面層と接する面の反対面）の粗さは、０．１０μｍ以上１．５０μｍ以下との条件を満たすものであればよいが、好ましくは０．１５μｍ以上０．５０μｍ以下の範囲である。より好ましくは０．２０μｍ以上０．５０μｍ以下の範囲である。

第３裏面層（３）の第２裏面層（２）と接しない面の表面粗さ（μｍ）は、三次元表面粗さ測定器（小坂研究所製ＳＥ−３０ＫＳ）及び解析装置（小坂研究所製ＴＤＡ−２１）を使用してＪＩＳ Ｂ ０６０１に記載の方法で三次元中心面平均粗さ（ＳＲａ）を測定し、その値を表面粗さとした。

第３裏面層（３）を構成するプロピレン系重合体組成物（Ｃ）は、上記プロピレン系重合体とともに、エチレン系重合体、特には、高密度ポリエチレン、更には高密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンを含んでいることが好ましい。エチレン系重合体、特には、高密度ポリエチレン、更には高密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンを含むプロピレン系重合体組成物（Ｃ）によれば、前記第２裏面層（２）に含まれる帯電防止剤が第３裏面層の表面に移行する量を制御することができ、また、帯電防止剤を比較的容易に移行させることができるので、より搬送性に優れる熱転写受像シート用裏面基材を得ることができると共に、第３裏面層（３）の表面の粗さを上記範囲に容易に制御することができる。

プロピレン系重合体組成物（Ｃ）が、上記プロピレン系重合体に加え、エチレン系重合体を含む組成物を用いる場合は、当該プロピレン系重合体組成物（Ｃ）は、プロピレン系重合体とエチレン系重合体の合計量１００質量％に対して、前記プロピレン系重合体を５０質量％以上８０質量％以下、前記エチレン系重合体を２０質量％以上５０質量％以下の範囲で含んでいることが好ましい。

プロピレン系重合体組成物（Ｃ）が、上記プロピレン系重合体に加え、上記高密度ポリエチレン及び上記低密度ポリエチレンを含む場合は、当該プロピレン系重合体組成物（Ｃ）は、プロピレン系重合体、高密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンの合計量１００質量％に対して、プロピレン系重合体（ｂ１）を５５質量％以上８０質量％以下、高密度ポリエチレン（ｂ２）を５質量％以上２５質量％以下、低密度ポリエチレン（ｂ３）を１５質量％以上４０質量％以下（但し、ｂ１＋ｂ２＋ｂ３＝１００質量％）の範囲で含んでいることが好ましい。以下、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンについて説明する。

＜高密度ポリエチレン＞
プロピレン系重合体組成物（Ｃ）に必要に応じて含まれる高密度ポリエチレンは、エチレンの単独重合体若しくはエチレンとプロピレン、１−ブテン、１−ペンテン、１−ヘキセン、１−オクテン、４−メチル−１−ペンテン等の他のα−オレフィンとの共重合体で、通常、密度が０．９４５〜０．９７０ｇ／ｃｍ³のエチレン系重合体であり、一般的に高密度ポリエチレン（ＨＤＰＥ）として製造・販売されているもの、若しくは重合系で得られるものである。高密度ポリエチレンは、通常、ＤＳＣに基づく結晶融解曲線から求められるピーク温度（Ｔｐ）を１２０〜１３８℃の範囲に有する。また、高密度ポリエチレンのＭＦＲ（メルトフローレート；ＡＳＴＭ Ｄ １２３８ 荷重２１６０ｇ、温度１９０℃）は、前述のプロピレン系重合体、及び後述の低密度ポリエチレンと混合したプロピレン系重合体組成物（Ｃ）がフィルム形成能を有する限りとくに限定はされないが、通常、０．１〜５０ｇ／１０分、好ましくは０．２〜３５ｇ／１０分の範囲にある。

＜低密度ポリエチレン＞
プロピレン系重合体組成物（Ｃ）に必要に応じて含まれる低密度ポリエチレンは、エチレンの単独重合体若しくはエチレンとプロピレン、１−ブテン、１−ペンテン、１−ヘキセン、１−オクテン、４−メチル−１−ペンテン等の他のα−オレフィンとの共重合体で、通常、密度が０．９０５〜０．９３５ｇ／ｃｍ³ のエチレン系重合体であり、一般的に高圧法低密度ポリエチレン（ＨＰ−ＬＤＰＥ）及び線状低密度ポリエチレン（ＬＬＤＰＥ）として製造・販売されているもの、若しくは重合系で得られるものである。低密度ポリエチレンは、通常、ＤＳＣに基づく結晶融解曲線から求められるピーク温度（Ｔｐ）を９５〜１２５℃の範囲に有する。また、低密度ポリエチレンのＭＦＲ（メルトフローレート；ＡＳＴＭ Ｄ １２３８ 荷重２１６０ｇ、温度１９０℃）は、前述のプロピレン系重合体、及び前述の高密度ポリエチレンと混合したプロピレン系重合体組成物（Ｃ）がフィルム形成能を有する限りとくに限定はされないが、通常、０．１〜５０ｇ／１０分、好ましくは０．２〜３５ｇ／１０分の範囲にある。

第３裏面層（３）を構成するプロピレン系重合体組成物（Ｃ）のＭＦＲ（メルトフローレート；ＡＳＴＭ Ｄ １２３８ 荷重；２１６０ｇ、温度;２３０℃）は、フィルム形成能を有する限りとくに限定されないが、通常、０．５〜２０ｇ／１０分、好ましくは２〜１０ｇ／１０分の範囲にある。

第３裏面層（３）を構成するプロピレン系重合体組成物（Ｃ）に含まれるプロピレン系重合体は、第１裏面層（１）を構成するプロピレン系重合体組成物（Ａ）、及び第２裏面層（２）を構成するプロピレン系重合体組成物（Ｂ）に含まれるプロピレン系重合体と同一のものであってもよく、異なるものであってもよいし、プロピレン単独重合体とプロピレン・α‐オレフィンランダム共重合体との組成物であってもよい。

また、第３裏面層（３）を構成するプロピレン系重合体組成物（Ｃ）には、必須の成分である上記プロピレン系重合体、必要に応じて含有される高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンに加え、任意の成分として、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、核剤、ブロッキング防止剤、顔料、染料等の通常ポリオレフィンに添加されることが知られている各種添加剤、あるいは、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・１−ブテンランダム共重合体などのエラストマーなどの重合体を、本発明の目的を損なわない範囲で含んでいてもよい。

第３裏面層（３）の厚の厚みについて特に限定はないが、１．０μｍ〜５．０μｍ、より好ましくは１．５μｍ〜３．５μｍの範囲内である。

＜熱転写受像シート用裏面基材の製造方法＞
本発明の熱転写受像シート用裏面基材は、種々公知の方法、例えば、プロピレン系重合体、帯電防止剤、隠蔽剤を少なくとも含み、第２裏面層（２）を構成するプロピレン系重合体組成物（Ｂ）、プロピレン系重合体を少なくとも含み、第１裏面層（１）を構成するプロピレン系重合体組成物（Ａ）、プロピレン系重合体を少なくとも含み、第３裏面層（３）を構成するプロピレン系重合体組成物（Ｃ）を、第１裏面層（１）／第２裏面層（２）／第３裏面層（３）となるように、共押出し成形して得た多層シートを、公知の同時二軸延伸法あるいは逐次二軸延伸法等の二軸延伸フィルム製造方法により得られる。二軸延伸の条件は、公知の二軸延伸ポリプロピレンの製造条件、例えば、逐次二軸延伸法では、縦延伸温度１００℃〜１４５℃、延伸倍率を４〜７倍の範囲、横延伸温度を１５０〜１９０℃、延伸倍率を８〜１１倍の範囲にすればよい。

＜＜熱転写受像シート＞＞
次に、本発明の熱転写受像シートについて図２を用いて詳細に説明する。なお、図２は、本発明の熱転写受像シートの概略断面図である。図２に示すように、本発明の熱転写受像シート１００は、支持体２０の一方の面に受容層３０が設けられ、支持体２０の他方の面に、当該支持体側から、第１裏面層（１）、第２裏面層（２）、第３裏面層（３）がこの順となるように上記で説明した本発明の裏面基材１０が設けられている。

上記構成の本発明の熱転写受像シートによれば、支持体２０の裏面側に、上記で説明した裏面基材１０が設けられていることから、本発明の熱転写受像シートを用いて、受容層３０上に、フルカラー印刷等による画像形成を行うにあたり、熱転写シートのずれを防止でき、品質の高い画像形成を行うことができる。

また、支持体２０の他方の面には、隠蔽性を有する第２裏面層（２）を有する裏面基材１０が設けられることから、支持体２０に異物や欠陥等がある場合であっても、当該裏面基材１０によって、これらの欠陥等を隠蔽することができ、熱転写受像シートの質感を向上させることができる。

さらに、裏面基材１０は、支持体１から最も遠い位置に第３裏面層（３）が配置されるように設けられるとともに、当該第３裏面層（３）の表面は、表面粗さ（ＳＲａ）が０．１０μｍ以上１．５０μｍ以下の範囲内に規定されていることから、裏面側にマット感を付与することができ、さらなる質感の向上を図ることができる。

以下、本発明の熱転写受像シート１００の各構成について具体的に説明する。

（支持体）
支持体２０は、受容層３０、及び裏面基材１０を支持することができるものであればよく特に限定はない。支持体２０の材料としては、プラスチックフィルム基材、上質紙、コート紙、レジンコート紙、アート紙、キャストコート紙、板紙、合成紙（ポリオレフィン系、ポリスチレン系）、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、セルロース繊維紙等の紙基材を挙げることができる。また、これらを積層させたものを用いることもできる。

支持体２０の厚みについて特に限定はなく、通常１０μｍ〜３００μｍ程度であり、好ましくは、１１０μｍ〜１４０μｍの厚さである。

（接着層）
支持体２０と裏面基材１０との密着性を向上させるべく、支持体２０と裏面基材１０との間に、接着層（図示しない）を設けてもよい。

接着層の材料としては、例えば、ウレタン系樹脂、α−オレフィン−無水マレイン酸樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウリア系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、シアノアクリレート系樹脂等を挙げることができる。中でもアクリル系樹脂の反応型のものや、変成したもの等を好ましく使用することができる。また、接着剤は硬化剤を用いて硬化させると、接着力も向上し、耐熱性も上がるため好ましい。硬化剤としては、イソシアネート化合物が一般的であるが、脂肪族アミン、環状脂肪族アミン、芳香族アミン、酸無水物等を使用することができる。

（受容層）
支持体２０の裏面基材１０が設けられている面とは反対側の面には、受容層３０が設けられている。受容層３０は、本発明の熱転写受像シート１００における必須の構成である。

受容層３０を形成するための材料としては、昇華性染料または熱溶融性インキ等の熱移行性の色材を受容し易い従来公知の樹脂材料を使用することができる。例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルもしくはポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体もしくはポリアクリル酸エステル等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンもしくはプロピレン等のオレフィンと他のビニルポリマーとの共重合体系樹脂、アイオノマーもしくはセルロースジアスターゼ等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等が挙げられ、特に、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂またはポリエステル樹脂が好ましい。

また、受容層３０には、上記樹脂材料のほか、離型剤等の各種添加物が含有されていてもよい。

受容層３０は、上述の材料の中から選択された単独または複数の材料および必要に応じて各種添加剤等を加え、水または有機溶剤等の適当な溶剤に溶解または分散させて受容層用塗工液を調製し、これをグラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法等の手段により、支持体２０上、或いは支持体２０上に設けられる任意の層上に塗布、乾燥して形成することができる。その厚さは、乾燥状態で１ｇ／ｍ²〜１０ｇ／ｍ²程度である。

本発明は、支持体２０の一方の面上に受容層３０が設けられ、支持体２０の他方の面上に、裏面基材１０が設けられているとの条件を満たせばよく、これらの層以外の任意の層を設けることができる。例えば、支持体２０と、受容層３０との間に、断熱性やクッション性を付与するための多孔質層や、多孔質層が受容層の溶剤によって破壊されることを防止するためのバリア層等を設けることもできる。また、支持体２０と裏面基材１０との間、或いは裏面基材１０上に、さらに別途の層を設けることもできる。

次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限りこれらの実施例に制約されるものではない。

実施例及び比較例における物性値等は、以下の評価方法により求めた。
（１）密度（ｇ／ｃｍ³）
熱転写受像シート用裏面基材の厚みおよび１ｍ²あたりのフィルム重量を測定することにより算出した。
（２）全光線透過率（％）
熱転写受像シート用裏面基材の全光線透過率は、ＨａｚｅＭｅｔｅｒ（日本電色工業社製ＶＧＳ−１Ｄ−３００Ａ）を使用して、熱転写受像シート用裏面基材１枚の全光線透過率をＪＩＳ Ｋ ７１０５の試験を行うことにより測定した。測定結果を表１に示す。

実施例および比較例で用いたプロピレン系重合体などを以下に示す。
＜第１裏面層（１）＞
（１）プロピレン系重合体
（１−１）プロピレン単独重合体（ＰＰ−１）：融点＝１６０℃、ＭＦＲ＝３．０ｇ／１０分。
（１−２）プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体（ＰＰ−２）：融点＝１０６℃、ＭＦＲ＝６．０ｇ／１０分。
＜第２裏面層（２）＞
（１）プロピレン系重合体
（１−１）プロピレン単独重合体（ＰＰ−１）：融点＝１６０℃、ＭＦＲ＝３．０ｇ／１０分。
（２）帯電防止剤
帯電防止剤として、アルキルアミン、高級脂肪酸のグリセリンエステル、及び多価アルコールの部分的脂肪酸エステルの混合物を用いた。
（３）隠蔽剤
（３−１）酸化チタン
平均粒子径：０．２μｍ、水分量４００ｐｐｍ以下（カールフィッシャー法、２００℃で測定）のアルミナ処理されたルチル型酸化チタン粉末。
＜第３裏面層（３）＞
（１）プロピレン系重合体
（１−１）プロピレン単独重合体（ＰＰ−１）：融点＝１６０℃、ＭＦＲ＝３．０ｇ／１０分。
（１−２）プロピレン・エチレン・１−ブテンランダム共重合体（ＰＰ−４）：融点＝１３９．７℃、ＭＦＲ＝７ｇ／１０分。
（２）高密度ポリエチレン（ＰＥ−１）：ＭＦＲ＝０．３３ｇ／１０分、密度＝０．９６４ｇ／ｃｍ³、Ｔｐ＝１２８．１℃。
（３）高圧法低密度ポリエチレン（ＰＥ−２）：ＭＦＲ＝０．３５ｇ／１０分、密度：０．９１９ｇ／ｃｍ³、Ｔｐ＝１０９．８℃。
（４）プロピレン系重合体組成物（Ｃ−１）
第３裏面層（３）には、上記ＰＰ−１：４０質量％、ＰＰ−４：２０質量％、ＰＥ−１：１０質量％、及びＰＥ−２：３０質量％〔ＰＰ−１＋ＰＰ−４＋ＰＥ−１＋ＰＥ−２＝１００質量％〕を含むプロピレン系重合体組成物（Ｃ−１）を用いた。

（実施例１）
第１裏面層として前記ＰＰ−１を、第２裏面層として前記ＰＰ−１＝９１．８質量％、帯電防止剤として前記混合物＝１．０質量％、及び隠蔽剤として前記酸化チタン＝７．２質量％〔ＰＰ−１＋帯電防止剤混合物＋酸化チタン＝１００質量％〕を含むプロピレン系重合体組成物（Ｂ−１）を、第３裏面層として前記プロピレン系重合体組成物（Ｃ−１）を用い、押出量比（第１裏面層／第２裏面層／第３裏面層：０．７／８．６／０．７）になるよう各々スクリュー押出機を用いて溶融押出し、マルチマニホールドタイプＴ−ダイから押出後、冷却ロール上にて急冷し厚さ１．５ｍｍの多層シートを得た。得られた多層シートを１２０℃で加熱しシートの流れ方向（縦方向）に５倍延伸し、次いで、５倍延伸したシートを１６５℃で加熱し流れ方向に対して直交する方向（横方向）に１０倍延伸して、第１裏面層の厚さ＝２μｍ、第２裏面層の厚さ＝２６μｍ、第３裏面層の厚さ＝２μｍ（全厚＝３０μｍ）の二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムからなる実施例１の熱転写受像シート用裏面基材を得た。なお、得られた熱転写受像シート用裏面基材の第１裏面層の表面及び第３裏面層の表面には、コロナ処理を施した。実施例１の熱転写受像シート用裏面基材の物性等を前記記載の方法で測定した。評価結果を表１に示す。以下の実施例２〜実施例６、比較例１〜比較例３の熱転写受像シート用裏面基材についても同様の方法により物性値を測定した。

（実施例２）
実施例１の第１裏面層に用いたＰＰ−１をＰＰ−２に替えて、第２裏面層に用いたプロピレン系重合体組成物（Ｂ−１）に替えて、第２裏面層として、前記ＰＰ−１＝８９．７質量％、帯電防止剤として前記混合物＝１．３質量％、及び隠蔽剤として前記酸化チタン＝９．０質量％［ＰＰ−１＋帯電防止剤混合物＋酸化チタン＝１００質量％］を含むプロピレン系重合体組成物（Ｂ−２）を用いる以外は実施例１と同様に行い実施例２の熱転写受像シート用裏面基材を得た。

（実施例３）
実施例１の第２裏面層に用いたプロピレン系重合体組成物（Ｂ−１）に替えて、第２裏面層として、前記ＰＰ−１＝８７．０質量％、帯電防止剤として前記混合物＝１．０質量％、及び隠蔽剤として前記酸化チタン＝１２．０質量％［ＰＰ−１＋帯電防止剤混合物＋酸化チタン＝１００質量％］を含むプロピレン系重合体組成物（Ｂ−３）を用い、押出量比（第１裏面層／第２裏面層／第３裏面層：０．７／８．３／１．０）になるよう各々スクリュー押出機を用いて溶融押出し、マルチマニホールドタイプＴ−ダイから押出後、冷却ロール上にて急冷し厚さ１．５ｍｍの多層シートを得た。得られた多層シートを１２０℃で加熱しシートの流れ方向（縦方向）に５倍延伸し、次いで、５倍延伸したシートを１６５℃で加熱し流れ方向に対して直交する方向（横方向）に１０倍延伸して、第１裏面層の厚さ＝２μｍ、第２裏面層の厚さ＝２５μｍ、第３裏面層の厚さ＝３μｍ（全厚＝３０μｍ）の二軸延伸ポリプロピレン多層フィルムからなる実施例３の熱転写受像シート用裏面基材を得た。なお、得られた熱転写受像シート用裏面基材の第１裏面層の表面及び第３裏面層の表面には、コロナ処理を施した。

（実施例４）
実施例１の第２裏面層に用いたプロピレン系重合体組成物（Ｂ−１）に替えて、第２裏面層として、前記ＰＰ−１＝９１．２質量％、帯電防止剤として前記混合物＝１．０質量％、及び隠蔽剤として前記酸化チタン＝７．８質量％［ＰＰ−１＋帯電防止剤混合物＋酸化チタン＝１００質量％］を含むプロピレン系重合体組成物（Ｂ−４）を用いる以外は実施例１と同様に行い実施例４の熱転写受像シート用裏面基材を得た。

（実施例５）
実施例１の第1裏面層に用いたＰＰ−１をＰＰ−２に替えて、第２裏面層に用いたプロピレン系重合体組成物（Ｂ−１）に替えて、第２裏面層として、前記ＰＰ−１＝９１．４質量％、帯電防止剤として前記混合物＝１．０質量％、及び隠蔽剤として前記酸化チタン＝７．６質量％［ＰＰ−１＋帯電防止剤混合物＋酸化チタン＝１００質量％］を含むプロピレン系重合体組成物（Ｂ−５）を用いる以外は実施例１と同様に行い実施例５の熱転写受像シート用裏面基材を得た。

（実施例６）
実施例５の第２裏面層に用いたプロピレン系重合体組成物（Ｂ−５）に替えて、第２裏面層として、前記ＰＰ−１＝９０．９質量％、帯電防止剤として前記混合物＝１．５質量％、及び隠蔽剤として前記酸化チタン＝７．６質量％［ＰＰ−１＋帯電防止剤混合物＋酸化チタン＝１００質量％］を含むプロピレン系重合体組成物（Ｂ−６）を用いる以外は実施例５と同様に行い実施例６の熱転写受像シート用裏面基材を得た。

（比較例１）
実施例１の第１裏面層に用いたＰＰ−１に替えて、第１裏面層に前記プロピレン系重合体組成物（Ｃ−１）を、第２裏面層に用いたプロピレン系重合体組成物（Ｂ−１）に替えて、第２裏面層として、前記ＰＰ−１＝９９．０質量％、帯電防止剤として前記混合物＝１．０質量％［ＰＰ−１＋帯電防止剤混合物＝１００質量％］を含むプロピレン系重合体組成物（Ｂ−７）を用いる以外は実施例１と同様に行い比較例１の熱転写受像シート用裏面基材を得た。

（比較例２）
実施例３の第２裏面層に用いたプロピレン系重合体組成物（Ｂ−３）に替えて、第２裏面層として、前記ＰＰ−１＝８８．０質量％、及び隠蔽剤として前記酸化チタン＝１２．０質量％［ＰＰ−１＋酸化チタン＝１００質量％］を含むプロピレン系重合体組成物（Ｂ−８）を用いる以外は実施例３と同様に行い、比較例２の熱転写受像シート用裏面基材を得た。

（比較例３）
実施例２の第３裏面層として前記プロピレン系重合体組成物（Ｃ−１）に替えて、第３裏面層として前記ＰＰ−１を用いる以外は実施例２と同様に行い、比較例３の熱転写受像シート用裏面基材を得た。

（熱転写受像シートの作成）
上記で製造した各実施例、及び比較例の熱転写受像シート用裏面基材の第１裏面層上に、下記組成の接着層用塗工液をグラビアリバースコート方式で塗布、乾燥して、接着層Ａを形成し、コート紙（厚さ１３０μｍ、三菱製紙（株）製、商品名：パールコート１５７）の一方の面と接着層Ａとが対向するように貼り合わせた。次に多孔質ポリエチレンフィルム（トヨパール−ＳＳ Ｐ４２５５ 東洋紡績（株）製 厚さ３５μｍ）からなる多孔質ポリエチレンフィルム層の一方の面上に、下記組成の中間層用塗工液、受容層用塗工液をグラビアリバースコート方式で、順次塗布、乾燥して、中間層、受容層を形成した。次いで、上記多孔質ポリエチレンフィルムの他方の面上に、下記組成の接着層用塗工液をグラビアリバースコート方式で塗布、乾燥して、接着層Ｂを形成し、コート紙の他方の面と接着層Ｂとが対向するように貼り合わせることで、第３裏面層／第２裏面層／第１裏面層／接着層Ａ／コート紙／接着層Ｂ／多孔質ポリエチレンフィルム層／中間層／受容層がこの順で積層されてなる各実施例、及び比較例の熱転写受像シートを作成した。上記の各々の塗工量は、全て乾燥状態で、中間層は１．５ｇ／ｍ²、受容層は５．０ｇ／ｍ²、接着層Ａ、Ｂは５ｇ／ｍ²であった。

（中間層用塗工液）
・ポリエステル樹脂 ５０部
（ポリエスターＷＲ−９０５ 日本合成化学工業（株）製）
・酸化チタン ２０部
（ＴＣＡ８８８ （株）トーケムプロダクツ製）
・蛍光増白剤 １．２部
（ユビテックスＢＡＣ チバ・スペシャリティーケミカルズ（株）製）
・水／イソプロピルアルコール＝１：１ ２８．８部

（受容層用塗工液）
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 ６０部
（ソルバインＣ 日信化学工業（株）製）
・エポキシ変性シリコーン １．２部
（Ｘ−２２−３０００Ｔ 信越化学工業（株）製）
・メチルスチル変性シリコーン ０．６部
（Ｘ−２４−５１０ 信越化学工業（株）製）
・メチルエチルケトン／トルエン（質量比１：１） ５部

（接着層用塗工液）
・ウレタン樹脂 ３０部
（タケラックＡ−９６９Ｖ 三井武田ケミカル（株）製）
・イソシアネート １０部
（タケネートＡ−５ 三井武田ケミカル（株）製）
・酢酸エチル ６０部

（搬送力の評価）
上記で得られた各実施例、及び比較例の熱転写受像シートの動摩擦係数を測定し、以下の評価基準により搬送力の評価を行った。動摩擦係数は、ＨＥＩＤＯＮ ＳＵＲＦＡＣＥ ＰＲＯＰＥＲＴＹ ＴＥＳＴＥＲ ＴＹＰＥ：１４ＤＲ（新東科学株式会社製）のステージ上に５ｃｍ×５ｃｍの面積にカットした各実施例、及び比較例の熱転写受像シートを固定し、熱転写プリンタの搬送ローラー（ソニー社製昇華転写プリンタ 型式：ＤＲ２００）を１ｋｇの荷重をかけて押圧し、ステージを毎分１５０ｍｍで移動させることによって測定した。
評価結果を表１に示す。
＜評価基準＞
○・・・動摩擦係数が０．４０以上である。
×・・・動摩擦係数が０．４０未満である。

（隠蔽性の評価）
上記で得られた各実施例、及び比較例の熱転写受像シートの隠蔽性の評価を下記の評価基準に基づいて行った。評価結果を表１に示す。各実施例、及び比較例の熱転写受像シートの隠蔽性の評価は、各実施例、及び比較例の熱転写受像シートを構成する熱転写受像シート用表面基材の全光線透過率（％）に基づいて行った。熱転写受像シート用表面基材の全光線透過率（％）は表１に示した通りである。
＜評価基準＞
○・・・全光線透過率が４０％以下である。
×・・・全光線透過率が４０％より大きい。

（質感の評価）
上記で得られた各実施例、及び比較例の熱転写受像シートの第３裏面層側の光沢度を、ＨａｚｅＭｅｔｅｒ（日本電色工業社製 ＶＧ７０００）を使用して、入射角６０度でＪＩＳ Ｋ ７１０５の試験を行うことにより測定し、以下の評価基準に基づいて質感の評価を行った。評価結果を表１に示す。
＜評価基準＞
○・・・第３裏面層側の光沢度が２５以下である。
×・・・第３裏面層側の光沢度が２５よりも大きい。

１０…裏面基材
１…第１裏面層
２…第２裏面層
３…第３裏面層
１００…熱転写受像シート
２０…支持体
３０…受容層

Claims (6)

1. 熱転写受像シート用裏面基材であって、
   前記熱転写受像シート用裏面基材は、第１裏面層、第２裏面層、第３裏面層がこの順で積層された積層構造を有し、
   前記第１裏面層は、プロピレン系重合体を少なくとも含むプロピレン系重合体組成物Ａからなり、
   前記第２裏面層は、プロピレン系重合体、帯電防止剤、及び、隠蔽剤を少なくとも含むプロピレン系重合体組成物Ｂからなり、
   前記第３裏面層は、プロピレン系重合体を少なくとも含むプロピレン系重合体組成物Ｃからなり、かつ、当該第３裏面層の三次元中心面平均粗さ（ＳＲａ）が、０.１０μｍ以上１．５０μｍ以下の範囲内であって、
   前記第１裏面層、第２裏面層、第３裏面層が二軸延伸されたものであることを特徴とする裏面基材。
2. 前記隠蔽剤が、酸化チタン粒子であることを特徴とする請求項１に記載の熱転写受像シート用裏面基材。
3. 前記プロピレン系重合体組成物Ｂは、前記プロピレン系重合体、帯電防止剤、及び、隠蔽剤の合計質量を１００質量％としたときに、
   前記プロピレン系重合体を７８．０質量％以上９６.９質量％以下の範囲内で含み、
   前記帯電防止剤を０．１質量％以上２．０質量％以下の範囲内で含み、
   前記隠蔽剤を３．０質量％以上２０．０質量％以下の範囲内で含むことを特徴とする請求項１又は２に記載の熱転写受像シート用裏面基材。
4. 前記プロピレン系重合体組成物Ｃは、エチレン系重合体を更に含み、
   前記プロピレン系重合体組成物Ｃは、前記プロピレン系重合体、及び、前記エチレン系重合体の合計質量を１００質量％としたときに、
   前記プロピレン系重合体を５０質量％以上８０質量％以下の範囲内で含み、
   前記エチレン系重合体を２０質量％以上５０質量％以下の範囲内で含むことを特徴とする請求項１乃至３の何れか１項に記載の熱転写受像シート用裏面基材。
5. 前記プロピレン系重合体組成物Ｃは、高密度ポリエチレン、及び低密度ポリエチレンを更に含み、
   前記プロピレン系重合体組成物Ｃは、前記プロピレン系重合体、前記高密度ポリエチレン、及び低密度ポリエチレンの合計質量を１００質量％としたときに、
   前記プロピレン系重合体を５５質量％以上８０質量％以下の範囲内で含み、
   前記高密度ポリエチレンを５質量％以上２５質量％以下の範囲内で含み、
   前記低密度ポリエチレンを１５質量％以上４０質量％以下の範囲内で含むことを特徴とする請求項１乃至３の何れか１項に記載の熱転写受像シート用裏面基材。
6. 支持体の一方の面に受容層が設けられた熱転写受像シートであって、
   前記支持体の他方の面に、当該支持体から、前記第１裏面層、前記第２裏面層、前記第３裏面層がこの順となるように前記請求項１乃至５の何れか１項に記載の熱転写受像シート用裏面基材が設けられていることを特徴とする熱転写受像シート。

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