JP7053439B2 - 熱転写受像シート - Google Patents
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Description
[1]基材Aの一方の面にインク受容層を有し、他方の面に粘着層を有する印画面シートと、基材Bの一方の面に離型層を有し、他方の面に裏面層を有する剥離側シートを有し、前記裏面層は帯電防止剤を有する層と接しており、前記裏面層の帯電防止剤を有する層と反対側の面は裏面層を構成する物質で形成されており、前記印画面シートのガーレーこわさが0.5~2.1mNであり、前記印画面シートと前記剥離側シートのガーレーこわさの低い方を1とした場合の両シートのガーレーこわさ比が3.0以下であることを特徴とする熱転写受像シート。
[2]前記印画面シートと前記剥離側シートのガーレーこわさの差が1.2mN以下であることを特徴とする[1]に記載の熱転写受像シート。
[3]前記裏面層の厚みが5μm~40μmであることを特徴とする[1]または[2]に記載の熱転写受像シート。
[4]前記帯電防止剤が第四級アンモニウム塩系であることを特徴とする[1]~[3]いずれか一項に記載の熱転写受像シート。
[5]前記帯電防止剤の添加量が前記帯電防止剤を有する層の質量を100としたとき、5~70質量部であることを特徴とする[1]~[4]いずれか一項に記載の熱転写受像シート。
[6]前記裏面層の帯電防止剤を有する層とは反対側の面の表面粗さRaが0.08μm~0.80μmであることを特徴とする[1]~[5]いずれか一項に記載の熱転写受像シート。
熱転写受像シートの帯電防止は、熱転写受像シートの搬送を主として担うグリップローラと接する最裏面に帯電防止剤等を含む塗膜を形成することが最も有効のところ、この態様はグリップローラ等との摩擦で印画不良の原因となるダストを生じやすい。
また、印画面シートと剥離側シートのこわさがある程度維持できる態様においては、熱転写受像シートがより帯電しやすくなる傾向があるところ、本発明の熱転写受像シートは、裏面層のインク受容層側に帯電防止剤を有する層を配し、裏面層が裏面層を構成する物質で形成され、印画面シート等が所定のガーレーこわさを有する態様とすることで、帯電防止性と摩擦等により生じたダストなどによる印画不良を抑えつつも、剥離が容易な熱転写受像シートを提供することができるものである。
基材Aとしては、熱転写受像シートの表面(特に印刷面であるインク受容層側の表面)の平滑性を損なわないものが好ましい。基材Aの選定にあたっては、熱転写受像シート全体のシート腰も考慮することができる。
インク受容層は、熱転写シートからの染料を受容するための層である。
インク受容層としては、特に限定されず、公知のものと同様であってよい。
インク受容層は、通常、染料を染着させるために、バインダー樹脂を含む。インク受容層は、前記バインダー樹脂に加えて、離型剤をさらに含んでもよい。離型剤は、画像を形成する時に熱転写シートと、熱転写受像シートの熱融着を防ぐために添加される。インク受容層は、必要に応じて、前記バインダー樹脂及び離型剤以外の他の成分をさらに含んでもよい。
例えば熱転写受像シートの色目を調節する目的で、蛍光増白剤、顔料、染料等をインク受容層に含有させることができる。熱転写受像シートの過剰な帯電を防止する目的で、帯電防止剤をインク受容層に含有させることができる。
粘着層は、粘着剤を含む。粘着剤は通常、樹脂からなる。
粘着層を構成する粘着剤としては、特に限定されず、公知の粘着剤のなかから適宜選択できる。例えば酢酸ビニル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル-アクリル系共重合体、酢酸ビニル-塩化ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂や天然ゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム等が挙げられる。また、粘着剤は、溶剤系、水系のいずれの粘着剤でもよい。これらの粘着剤は、いずれか1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
粘着剤の含有量は、粘着層の全質量に対して70質量%以上が好ましい。粘着層の塗工量(坪量)は、固形分で5~20g/m2であることが好ましい。
基材Bとしては、熱転写受像シートのインク受容層側の表面の平滑性を損なわないものが印画品質上、好ましい。基材Bの選定にあたっては、熱転写受像シート全体のシート腰も考慮することができる。
基材Bとして具体的には、高分子フィルム、紙、不織布、織布等が挙げられる。高分子フィルムの具体例としては、基材Aで挙げた高分子フィルムと同様のものが挙げられる。
離型層は、粘着層との間での剥離を可能にする機能を有する層である。
離型層を構成する材料は、離型層が上記の機能を有するものとなる限り特に制限はなく、例えば、ポリメチルシロキサン等を主体とするシリコーン系剥離剤、ポリオレフィン等が挙げられる。
離型層の塗工量(坪量)は、固形分で0.01~1.0g/ m2であることが好ましい。
図1に示す本発明の熱転写受像シートの一態様では、染料を受容するインク受容層を基材の一方の面に有し、上記基材の反対面に帯電防止剤を有する層を介して裏面層を有し、裏面層がダストを生じ難い態様からなり、裏面層が熱転写受像シートのインク受容層とは反対面の最外側に位置する。すなわち、裏面層の帯電防止剤を有する層と反対側の面は裏面層を構成する物質で形成されている。裏面層の帯電防止剤を有する層と反対側の面は裏面層を構成する物質で形成されているとは、例えば裏面層の内部と最外面の組成が異なることなく、裏面層全体が均質な構成であることをいう。均質とは、例えば裏面層が単一あるいは複数の混合された樹脂からなるフィルム状物であってもよく、界面活性剤、帯電防止剤、その他フィラー等がフィルム等に分散された状態であってもよい。
裏面層は裏面層を構成する物質で形成されている。これによりグリップローラのスパイクの食い込み等による樹脂脱落などが発生し難い。更に裏面層に接する層中に帯電防止剤を含有することにより、熱転写受像シート全体の帯電が抑制されるため、ダストの付着による印画不良を抑制することができる。尚、裏面層は帯電防止剤を含んでいても、含んでいなくても構わない。
本発明の熱転写受像シートの帯電防止剤を有する層は、裏面層を接する層であり、接着層として機能する層であってもよい。帯電防止剤を有する層を接着層として機能させる場合、接着剤成分としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、α-オレフィン-無水マレイン酸樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウリア系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、シアノアクリレート系樹脂等を挙げることができるが、中でもポリウレタン系樹脂を好ましく使用することができる。また、接着剤は硬化剤を用いて硬化させると、接着力も向上し、耐熱性も上がるため好ましい。硬化剤としては、イソシアネート系化合物が一般的であるが、脂肪族アミン、環状脂肪族アミン、芳香族アミン、酸無水物等を使用することもできる。帯電防止剤を有する層の塗工量(坪量)は、固形分で1~15g/m2であるのが好ましい。
ガーレーこわさ(JAPAN TAPPI No.40)は、いわゆる紙やシートの腰を数値化するのに適した指標である。複写機或いは、プリンタ等での印画、印画面シートと剥離側シートとの剥離性を担保する上で、印画媒体(印画面シート、剥離側シート)にある程度の腰が必要なことを考えると、本発明の熱転写受像シートに適した測定指標と言える。
図1に示す構成の熱転写受像シートを以下の手順で製造した。
表1に示す配合量(質量部)で各成分を混合して、インク受容層形成用塗料、粘着層形成用塗料、帯電防止剤を有する層形成用塗料をそれぞれ調製した。
MB1008:塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、商品名「カネビニール(登録商標)MB1008」、カネカ社製。
X-22-1877:アルキルアラルキル変性シリコーンオイル、商品名「X-22-1877」、信越化学工業社製。
PE-122L:アクリル系樹脂、商品名「PE-122L」、日本カーバイド工業社製。
CK-101:イソシアネート系架橋剤、商品名「ニッセツ(登録商標)CK-101」、日本カーバイド工業社製。
A-367H:ウレタン樹脂(ポリオール成分)、商品名「タケラック(登録商標)A-367H」、三井化学社製。
A-7:ウレタン樹脂(イソシアネート成分)、商品名「タケネート(登録商標)A-7」、三井化学社製。
エレガン264-WAX:第四級アンモニウム塩、商品名「エレガン(登録商標)264-WAX」、日油社製。
以下、図2を参照しつつ熱転写受像シートの作製方法を記載する。
基材A(発泡ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ100μm)の一方の面に、前記インク受容層形成用塗料をワイヤーバーで、塗工量は固形分で2.5g/m2となるように塗工し、乾燥してインク受容層を形成し、積層シートCを得た。
次いで、裏面層(二軸延伸ポリプロピレンフィルム、厚さ20μm)の一方の面に、帯電防止剤を有する層形成用塗料をワイヤーバーで、塗工量(坪量)は固形分で4.0g/m2となるように塗工・乾燥して帯電防止剤を有する層を形成し、積層シートDを得た。
その後、離型層が形成されている基材B(市販の片面剥離紙、厚さ77μm)の離型層とは反対の面と、前記積層シートDの帯電防止剤を有する層側の面とを貼り合せて積層シートEを得た。
前記積層シートCの、前記基材Aのインク受容層を形成した面とは反対側の面に、前記粘着層形成用塗料をワイヤーバーで、塗工量(坪量)は固形分で10.0g/m2となるように塗工し、乾燥して粘着層を形成し、積層シートFを得た。
その後、積層シートEの離型層が形成されている面と、前記積層シートFの粘着層が形成されている面とを貼り合わせた。
以上のようにして実施例1の熱転写受像シートを得た。得られた熱転写受像シートはロールに巻き取った。
裏面層の厚み、帯電防止剤の種類、帯電防止剤の量等を表3、表4に示すようにした以外は、実施例1と同様にして熱転写受像シートを得た。
帯電防止剤を有する層形成用塗料から帯電防止剤を除き、裏面層のインク受容層側とは反対の面に帯電防止剤を有する塗工層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして熱転写受像シートを得た。塗工層は、塗工量(坪量)は固形分で1.0g/m2をワイヤーバーで塗工した。帯電防止剤を有する塗工層の処方は以下の通り。
帯電防止剤を有する層形成用塗料から帯電防止剤を除いたこと以外は、実施例1と同様にして熱転写受像シートを得た。
基材A及び/または裏面層の厚さを表3、表4に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして熱転写受像シートを得た。
各例で得られた熱転写受像シートについて、以下の評価を行った。
ロール状の熱転写受像シートを、昇華型熱転写方式のプリンタ(デジタルカラープリンターCP9550D、三菱電機社製)にセットし、ハーフトーンのベタ画像を100枚連続印画した。
JIS P 8145(紙および板紙のきょう雑物試験方法)に採用されている「きょう雑物測定図表」を参照し、印画された画像におけるスジ状欠点の有無と大きさを確認し、以下の基準で印画品質を評価した。評価結果を表5に示す。
◎:スジ状欠点の発生が見られない。
〇:0.05mm2未満の大きさのスジ状欠点の発生が見られる。
×:0.05mm2以上の大きさのスジ状欠点の発生が見られる。
昇華型熱転写方式のプリンタ内部で、熱転写受像シートが搬送される際、裏面層にシワ等が生じていると搬送不良の原因となるばかりでなく、印画品質にも悪影響がある。裏面層に帯電防止剤を有する層を形成する場合など、裏面層の厚さが薄い場合にシワ等が発生しやすい傾向がある。
以下方法により実施例、比較例の熱転写受像シートの裏面層の加工適性を評価した。評価結果を表5に示す。
◎:80m/min以上の加工速度でラミネートを行っても、ラミネートシワは発生しない。
○:40m/min以上80m/min未満の加工速度でラミネートすれば、ラミネートシワは発生しない。
△:40m/min未満の加工速度でラミネートすれば、ラミネートシワは発生しない。
×:加工速度に関わらずラミネートシワが発生する。
剥離帯電を生じやすいと、熱転写受像シートが静電気を帯びやすくなる。これによりプリンタ内部のチリ・ホコリ等のダストが熱転写受像シートに付着し、結果的に印画不良につながる。
以下方法により実施例、比較例の熱転写受像シートの剥離帯電防止性を評価した。評価結果を表5に示す。
(1)二軸延伸ポリエステルフィルム100μmを50m巻いたロールを用意する。
(2)実施例、比較例の熱転写受像シートをインク受像層面を外側にして、前記ロールの巻外側端部とセロテープで接続し、外側に2周以上巻きつける。
(3)最外側の熱転写受像シート1周分を手で素早く剥離した直後に、未だロールに巻き付いている熱転写受像シートのインク受容層面の帯電電位を、静電気測定器(型番:Eye-02、ベッセル社製)で測定する。
◎:帯電電位の絶対値が0.5kV未満
○:帯電電位の絶対値が0.5kV以上で1.0kV未満
△:帯電電位の絶対値が1.0kV以上で1.5kV未満
×:帯電電位の絶対値が1.5kV以上
剥がしやすさの判定は、以下の基準に基づいて判断した。評価結果を表5に示す。
152mm×102mmのサイズの熱転写受像シートを用意し、印画面シートと剥離側シートを剥がすのに要する時間を計測した。5人の人間が、それぞれ5枚剥がして、要する時間の平均値を以下判定基準により判定した。
◎:10秒以内に剥がすことができた。
〇:20秒以内に剥がすことができた。
△:30秒以内に剥がすことができた。
×:剥がすのに要する時間が30秒を超えた。
熱転写受像シートの印画面シートと剥離側シートを剥離し、印画面シート側の粘着層をメチルエチルケトン等の溶剤で拭いて完全に取り除いた。これは、粘着層がむき出しだとガーレーこわさは測定できないからである。そして、印画面シートと剥離側シートのガーレーこわさを JAPAN TAPPI No.40 に準拠して測定した。その結果を表5に示す。
以上、本発明の熱転写受像シートは、印画面シートと剥離側シートの剥がしやすさを達成しつつも、印画品質にも優れていることが判る。
D 積層シートD
E 積層シートE
F 積層シートF
Claims (6)
- 基材Aの一方の面にインク受容層を有し、他方の面に粘着層を有する印画面シートと、
基材Bの一方の面に離型層を有し、他方の面に裏面層と帯電防止剤を有する層とを有する剥離側シートを有し、
前記帯電防止剤を有する層は、前記裏面層と前記基材Bとの間に存在しており、
前記裏面層の前記帯電防止剤を有する層と反対側の面は裏面層を構成する物質で形成されており、
前記印画面シートのガーレーこわさが0.5~2.1mNであり、
前記印画面シートと前記剥離側シートのガーレーこわさの低い方を1とした場合の両シートのガーレーこわさ比が3.0以下であることを特徴とする熱転写受像シート。 - 前記印画面シートと前記剥離側シートのガーレーこわさの差が1.2mN以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写受像シート。
- 前記裏面層の厚みが5μm~40μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の熱転写受像シート。
- 前記帯電防止剤が第四級アンモニウム塩系であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の熱転写受像シート。
- 前記帯電防止剤の添加量が前記帯電防止剤を有する層の質量を100としたとき、5~70質量部であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の熱転写受像シート。
- 前記裏面層の帯電防止剤を有する層とは反対側の面の表面粗さRaが0.08μm~0.80μmであることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の熱転写受像シート。
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