JP6178538B2 - 原子線源 - Google Patents

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Description

本発明は、原子線源に関する。
従来、この種の原子線源としては、陰極である筒状体の内部に配置される陽極を変位させ、放電空間内の電子密度を制御するものが提案されている(特許文献1参照)。特許文献1の原子線源では、安価に短時間で所望の単位時間あたりの放出原子密度分布を得ることができ、表面改質装置においては、良好な表面処理が可能になるとしている。
ところで、特許文献1の原子線源では、放電空間内で生成したイオンなどによって陰極や陽極がスパッタされて脱落し、脱落した粒子が原子線源から出射してしまうことがあった。そこで、陰極となる筐体と、筐体内に設けられ電界を発生させる陽極となる電極体と、を備え、筐体や電極体の少なくとも一部に、電界で生成するイオンによりスパッタされ難い材料を適用したものが提案されている(特許文献2参照)。特許文献2の原子線源では、不要な粒子の出射を抑制できるとしている。
特開2007−317650号公報 特開2014−86400号公報
しかしながら、特許文献2の原子線源では、スパッタされ難い材料を適用することで、不要な粒子の放出を抑制できるものの、まだ不要な粒子が放出することがあり、不要な粒子の放出をより抑制することが望まれていた。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、不要な粒子の放出をより抑制できる原子線源を提供することを主目的とする。
本発明の原子線源は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の原子線源は、
原子線を放出可能な放出口が設けられた放出部を有する筒状の陰極と、
前記陰極の内部に設けられた棒状の第1陽極と、
前記陰極の内部に前記第1陽極と離間して設けられた棒状の第2陽極と、
を備え、前記陰極の形状、前記第1陽極の形状、前記第2陽極の形状、及び、前記陰極と前記第1陽極と前記第2陽極との位置関係、からなる群より選ばれる少なくとも1以上を所定の構成とすることで、前記第1陽極と前記第2陽極との間でのプラズマにより生じた陽イオンが前記陰極、前記第1陽極、及び、前記第2陽極の少なくとも1つと衝突して発生する、スパッタ粒子の放出を抑制するものである。
本発明の原子線源では、不要な粒子の放出をより抑制できる。こうした効果が得られる理由は、以下のように推察される。すなわち、陰極の形状や各陽極の形状、陰極と第1陽極と第2陽極との位置関係などを所定のものとすることで、スパッタ粒子の発生そのものを抑制したり、スパッタ粒子の堆積を抑制したり、発生したスパッタ粒子の陰極や陽極からの脱落や飛散を抑制したり、脱落や飛散したスパッタ粒子の放出を抑制したりできるためと推察される。
第1実施形態の一例である原子線源10の構成の概略を示す斜視図。 図1のA−A端面図。 原子線源10の使用状態を示す説明図。 第2実施形態の一例である原子線源110における図2に相当する断面図。 第2実施形態の一例である原子線源210における図2に相当する断面図。 第3実施形態の一例である原子線源310における図2に相当する断面図。 第4実施形態の一例である原子線源410における図2に相当する断面図。 第5実施形態の一例である原子線源510における図2に相当する断面図。 第6実施形態の一例である原子線源610における図2に相当する断面図。 原子線源610の放出口632の斜視図。 一般的な原子線源の使用後の内部状態を示す模式図。 一般的な原子線源の角部での堆積物の様子を示す模式図。 R面を設けた原子線源の角部での堆積物の様子を示す模式図。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の一例である原子線源10の構成の概略を示す斜視図である。図2は、図1のA−A断面図である。図3は、原子線源10の使用状態を示す説明図である。
原子線源10は、図1,2に示すように、両端が閉じた筒状の陰極20と、陰極20の内部に設けられた棒状の第1陽極40と、陰極20の内部に第1陽極40と離間して設けられた棒状の第2陽極50と、を備えている。陰極20は、筒状の面のうちの一部に、原子線を放出可能な複数の放出口32が設けられた放出部30を有しており、この放出部30に対応する部分が開口した筐体60の内部に配設されている。また、陰極20は、放出部30とは反対側の面に、原料ガス(例えばArガス)を供給する供給部36を有している。第1陽極40及び第2陽極50は、いずれもその両端が陰極20の一端及び他端に、絶縁部材62を介して固定されている。なお、図1において、筐体60と陰極20との境界線を2点鎖線で示し、陰極20の内面を網掛けで示した。
原子線源10は、使用時には、例えば10-2Pa以下、好ましくは10-3Pa以下の減圧雰囲気下に配設され、図3に示すように、陰極20に直流電源の負極が、第1陽極40及び第2陽極50にそれぞれ直流電源の正極が接続され、例えば0.1kV〜10kV程度の高電圧が印加される。こうして生じた電界により、供給部36から供給される原料ガスが電離して第1陽極40と第2陽極50との間にプラズマが生成する。プラズマにより生じた陽イオン(例えばAr+)は、放出部30に引き寄せられて放出口32を通過し、陰極20から電子を受け取って原子線(例えばArビーム)として外部に放出される。こうして原子線源として機能する。
原子線源10では、第1陽極40及び第2陽極50は、放出部30に平行な所定の配設面P上に中心軸C1,C2が位置するように互いに平行に配設されている。また、第1陽極40及び第2陽極50は、中心軸C1,C2間の距離をLとし、配設面Pと放出部30との距離をHとしたときに、(H+L)×H2/Lの値が750以上1670以下の範囲内となるように配設されている。(H+L)×H2/Lの値は、750以上が好ましく、800以上がより好ましく、850以上がさらに好ましい。また、(H+L)×H2/Lの値は、1670以下が好ましく、1050以下がより好ましく、1000以下がさらに好ましい。中心軸C1,C2間の距離Lは、例えば、10mm以上50mm以下が好ましく、12mm以上40mm以下がより好ましく、12mm以上35mm以下がさらに好ましい。また、配設面Pと放出部30との距離Hは、例えば、10mm以上50mm以下が好ましく、15mm以上45mm以下がより好ましく、20mm以上30mm以下がさらに好ましい。なお、第1陽極40及び第2陽極50は、中心軸C1とC2が陰極20の軸方向に平行になるように配設されていることが好ましい。また、中心軸C1とC2の中間の位置が陰極20の幅方向の中心の位置と一致するように配置されていることが好ましく、その差は±5mm以内であることがより好ましい。
陰極20の形状は、陰極20の軸方向に垂直な断面を見たときに、断面が、円や楕円でもよいし、三角形、四角形、五角形、六角形などの多角形でもよいし、その他の形状でもよい。陰極20は、内側と外側の断面形状が同じでも異なっていてもよい。陰極の寸法は、例えば、その内側の寸法が、高さ方向で20mm以上100mm以下、幅方向で20mm以上100mm以下、長さ方向で50mm以上300mm以下などとしてもよい。なお、高さ方向は放出部30が形成された面に垂直な方向、幅方向は縦方向に垂直でかつ軸方向に垂直な方向、長さ方向は陰極20の軸方向に平行な方向、とする(以下同じ)。陰極20の厚みは、0.5mm以上10mm以下などとしてもよい。
陰極20の材質は、黒鉛、ガラス状カーボンなどの炭素材料とすることができる。炭素材料は、電子放出性が良く、安価で加工性も良好であるため好適である。陰極20の材質は、この他に、例えば、タングステン、モリブデン、チタン、ニッケルや、それらの合金、それらの化合物などとしてもよい。
放出部30は、所定の幅で長さ方向に伸びる領域に形成されていてもよい。例えば、陰極20の内側の断面が多角形の場合にはその一面に形成されていてもよい。放出部30の寸法は、幅が5mm以上90mm以下、長さが5mm以上90mm以下などとしてもよい。この放出部30は、複数に分割されていてもよい。放出口32の形状は、円や楕円でもよいし、三角形、四角形、五角形、六角形などの多角形でもよいし、その他の形状でもよい。放出口32の寸法は、幅方向及び長さ方向(円の場合には直径)で、それぞれ、0.05mm以上5mm以下などとしてもよい。また、放出口32は、幅0.05mm以上5mm以下のスリット形状でもよい。放出部30の厚みは、0.5mm以上10mm以下などとしてもよく、陰極20の他の部分の厚みと同じでも異なってもよい。放出部30の材質は、陰極20で例示したものなどとすることができ、放出部30と同じものとしても異なるものとしてもよい。
供給部36には、原料ガスを供給する図示しない供給装置が接続される。供給部36の位置や寸法、形状などは、特に限定されるものではなく、プラズマが安定するように適宜設定すればよい。
筐体60は、陰極20のうち放出部30以外を覆うものであればよいが、陰極20のうち放出部30や供給部36以外の全ての部分を覆うものであることが好ましい。筐体60の材質は、アルミ合金、銅合金、ステンレスなどとすることができる。
第1陽極40及び第2陽極50の形状は、陰極20の軸方向に垂直な断面を見たときに、断面が円や楕円でもよいし、三角形、四角形、五角形、六角形などの多角形でもよいし、その他の形状でもよい。第1陽極40及び第2陽極50の寸法は、特に限定されないが、例えば、高さ方向及び幅方向(円の場合は直径)でそれぞれ1mm以上20mm以下、長さ方向で50mm以上400mm以下としてもよい。なお、第1陽極40及び第2陽極50の形状や寸法は同じでも異なっていてもよい。
第1陽極40及び第2陽極50の材質は、黒鉛、ガラス状カーボンなどの炭素材料とすることができる。炭素材料は、電子放出性が良く、安価で加工性も良好であるため好適である。第1陽極40及び第2陽極50の材質は、この他に、例えば、タングステン、モリブデン、チタン、ニッケルや、それらの合金、それらの化合物などとしてもよい。
この原子線源10では、減圧雰囲気の処理室内において、この処理室内に配置された被処理材に原子線を照射して、被処理材に所望の処理を施すことができる。処理室は、10-2Pa以下に設定されていることが好ましく、10-3Pa以下がより好ましい。被処理材としては、例えば、Siや、LiTaO3、LiNbO3、SiC、SiO2、Al23、GaN、GaAs、GaPなどの化合物や金属などが挙げられる。原子線源10では、原子線照射により、被処理材表面の酸化物や吸着分子を除去したり、被処理材表面を活性化したりすることができる。例えば、2つの被処理材の表面を、原子線照射により酸化物や吸着分子を除去して活性化させ、原子線照射面同士を対向させて重ね合わせ、必要に応じて加圧することで、2つの被処理材を直接接合することができる。原子線源10は、いわゆる高速原子線(FAB)源として用いることができる。
以上説明した原子線源10では、陰極20と第1陽極40と第2陽極50との位置関係が所定の構成であり、具体的には、(H+L)×H2/Lの値が750以上1670以下である。このように、(H+L)×H2/Lの値が750以上1670以下とすると、原子線の取り出し効率が向上するため、所望の原子線の取り出し効率を得るのに必要な直流電源の出力を小さくできる。それにより、陰極20の放出部30以外の部分に衝突する陽イオンの割合が少なくなるし、直流電源の出力を小さくすれば衝突する陽イオンの数も少なくなるため、原子線源10では原子線の取り出し効率を維持したまま、スパッタ粒子の発生を抑制できる。結果として、不要な粒子の放出をより抑制できる。
[第2実施形態]
図4は、第2実施形態の一例である原子線源110における図2に相当する断面図である。なお、原子線源10の構成と同一の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、図4に現れない構成は、原子線源10の構成と同様であるため、斜視図を省略し、原子線源の使用方法やそれを用いた被処理材の処理方法は、原子線源10と同様であるため、説明を省略する(以下各実施形態において同じ)。
原子線源110は、図4に示すように、両端が閉じた筒状の陰極120と、陰極120の内部に設けられた棒状の第1陽極140と、陰極120の内部に第1陽極140と離間して設けられた棒状の第2陽極150と、を備えている。陰極120は、筒状の面のうちの一部に、原子線を放出可能な複数の放出口32が設けられた放出部30を有しており、この放出部30に対応する部分が開口した筐体60の内部に配設されている。また、陰極120は、放出部30とは反対側の面に、供給部36を有している。第1陽極140及び第2陽極150は、いずれもその両端が陰極120の一端及び他端に絶縁部材62を介して固定されている。原子線源110では、(H+L)×H2/Lの値は、原子線源10と同じでもよいし、異なってもよい。例えば、500以上4000以下などの範囲で適宜設定してもよい。
原子線源110では、陰極120が、陰極120の軸方向に垂直な断面を見たときに内側が四角形で、四角形の各角が面取り形状、具体的にはR面である。この四角形は正方形又は長方形であることが好ましい。R面は、半径が、1mm以上であることが好ましく、5mm以上がより好ましく、10mm以上がさらに好ましい。また、R面は、半径が50mm以下としてもよいし、30mm以下としてもよいし、20mm以下としてもよい。陰極120は、陰極120の軸方向に垂直な断面を見たときに、中心Oから内側までの距離の最小値Xminと中心Oから内側までの距離の最大値Xmaxとが0.5≦Xmin/Xmax≦1を満たすことが好ましい。こうしたものでは、不要な粒子の放出をより抑制できる。中心Oは、陰極120の軸方向に垂直な断面を見たときの内側の四角形の重心の位置とすることができる。Xmin/Xmaxの値は、0.68以上が好ましく、0.7以上がより好ましい。陰極120の寸法は、例えば、その内側の寸法が、高さ方向で20mm以上100mm以下、幅方向で20mm以上100mm以下、長さ方向で50mm以上300mm以下などとしてもよい。
陰極120は、陰極120の軸方向に垂直な断面を見たときに外側の形状が、円や楕円でもよいし、三角形、四角形、五角形、六角形などの多角形でもよいし、その他の形状でもよい。陰極120は、内側と外側の断面形状が同じでも異なっていてもよい。陰極20の厚みは、0.5mm以上10mm以下などとしてもよい。陰極120の材質は、陰極20で例示したものを用いることができる。
第1陽極140及び第2陽極150は、放出部30に平行な所定の配設面上に各中心軸が位置するように互いに平行に配設されていてもよい。また、中心軸の少なくとも一方が例えば配設面Pに対して縦方向に傾いて配設されていてもよいし、中心軸の少なくとも一方が例えば幅方向に垂直な面に対して幅方向に傾いて配設されていてもよいし、これらの両方としてもよい。配設面Pに対する中心軸の傾きは、例えば0°以上10°以下としてもよい。また、幅方向に垂直な面に対する中心軸の傾きは、例えば0°以上10°以下としてもよい。第1陽極140及び第2陽極150の形状や寸法、材質は、第1陽極40及び第2陽極50と同様とすることができる。
以上説明した原子線源110では、陰極120の形状が所定の構成であり、具体的には、陰極120が面取り形状の角部を有する。角部は、スパッタ粒子が堆積しやすい傾向にあるが、陰極120では、面取り形状の角部を有するため、スパッタ粒子の角部への堆積の集中を抑制できる。このため、陰極120内に堆積するスパッタ粒子の堆積層の厚みがより均一になり、歪みによる亀裂の発生が抑制され、堆積物の落下や飛散を抑制できる。また、プラズマに近い部分(例えば陰極の角部以外の部分)は、陽イオンの衝突によって摩耗しやすい傾向にあるが、陰極120の面取り形状の角部は面取り形状でない場合よりもプラズマに近くなり、陰極120のプラズマとの距離が均一化されるため、摩耗量がより均一になる。このように、原子線源110では、陰極120への堆積物の堆積量や、陽イオンの衝突による陰極120の摩耗量がより均一になり、落下や飛散のおそれのある堆積物の成長そのものを抑制できる。結果として、不要な粒子の放出を抑制できる。
なお、原子線源110は、陰極120が、陰極120の軸方向に垂直な断面を見たときに内側が四角形で、四角形の各角がR面であるものとしたが、各角の形状はチャンファー(chamfer)面でもよい。こうしても、原子線源110と同様の効果が得られる。図5は、第2実施形態の一例である原子線源210における図2に相当する断面図である。原子線源110の構成と同一の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。原子線源210において、チャンファー面は、高さhと幅wがそれぞれ10mmより大きいことが好ましく、15mm以上がより好ましい。チャンファー面の高さhと幅wはそれぞれ50mm以下としてもよく、30mm以下としてもよく、20mm以下としてもよい。原子線源210においても、四角形は正方形又は長方形であることが好ましい。また、陰極220は、陰極220の軸方向に垂直な断面を見たときに、中心Oから内側までの距離の最小値Xminと中心Oから内側までの距離の最大値Xmaxとが0.5≦Xmin/Xmax≦1を満たすことが好ましい。Xmin/Xmaxの値は、0.68以上としてもよいし、0.7以上としてもよいが、0.75より大きいことが好ましく、0.77以上が好ましく、0.79以上がより好ましい。
また、原子線源110や原子線源210は、陰極が、陰極の軸方向に垂直な断面を見たときに内側が四角形で、四角形の各角が面取り形状であるものとしたが、陰極は、例えば、陰極の軸方向に垂直な断面を見たときに内側が円形又は楕円形であるものとしてもよい。こうしても、原子線源110や原子線源210と同様の効果が得られる。この場合も、陰極の軸方向に垂直な断面を見たときに、中心Oから内側までの距離の最小値Xminと中心Oから内側までの距離の最大値Xmaxとが0.5≦Xmin/Xmax≦1を満たすことが好ましい。Xmin/Xmaxの値は、0.68以上としてもよいし、0.7以上としてもよい。なお、この場合、中心Oの位置は、陰極の軸方向に垂直な断面を見たときの内側の円又は楕円の中心の位置とすることができる。
[第3実施形態]
図6は、第3実施形態の一例である原子線源310における図2に相当する断面図である。なお、原子線源10や原子線源110の構成と同一の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
原子線源310は、図6に示すように、両端が閉じた筒状の陰極320と、陰極320の内部に設けられた棒状の第1陽極140と、陰極320の内部に第1陽極140と離間して設けられた棒状の第2陽極150と、を備えている。陰極320は、筒状の面のうちの一部に、原子線を放出可能な複数の放出口332が設けられた放出部330を有しており、この放出部330に対応する部分が開口した筐体60の内部に配設されている。また、陰極320は、放出部330とは反対側の面に、供給部36を有している。第1陽極140及び第2陽極150は、いずれもその両端が陰極320の一端及び他端に絶縁部材62を介して固定されている。
原子線源310では、陰極320の放出部330に設けられた放出口332が、陰極320の外面から内面に向けて開口面積が小さくなる傾向に形成されている。放出口は、外面と内面とを結ぶ直線の放出部330に垂直な方向に対する傾きSが0°より大きければよいが、4°以上が好ましく、6°以上がより好ましい。このように、傾きSが0°より大きければ、傾きSが例えば0°の場合よりも内面側の開口面積を小さく、外面側の開口面積を大きくできる。これにより、原子線源310では、内面側でスパッタ粒子の放出を抑制することができるし、外面側の開口が内面側の開口より大きく陽イオンや原子が放出口332に衝突しにくいため、原子線の取り出し効率の低下を抑制できる。また、傾きSは20°以下が好ましく、15°以下がさらに好ましく、10°以下がより好ましい。傾きSが20°以下であれば、内面側の開口が小さくなりすぎず、隣り合う穴と貫通することを防ぐことができる。陰極320の外面から内面に向けて開口面積が小さくなる傾向は、例えば、外面から内面に向けて直線状に一定の角度で小さくなるものとしてもよいし、角度を変えながら曲線状に小さくなるものとしてもよいし、階段状に小さくなるものとしてもよい。傾きSは、放出口332の全周にわたって一定でもよいし、一定でなくてもよい。
放出口332の形状は、円や楕円でもよいし、三角形、四角形、五角形、六角形などの多角形でもよいし、その他の形状でもよい。放出口332の寸法は、陰極320の内面において、幅方向及び長さ方向(円の場合には直径)で、それぞれ、0.05mm以上5mm以下などとしてもよい。また、放出口32は、スリット形状でもよい。スリット形状の場合、陰極320の内面において、幅0.05mm以上5mm以下のスリットであることが好ましい。スリットの伸びる方向は特に限定されない。
放出部330の形状や寸法、材質、形成部位は、放出口332以外については、放出部30と同様とすることができる。また、陰極320の形状や寸法、材質などは、放出部330及び放出口332以外については、陰極20と同様とすることができる。
以上説明した原子線源310では、陰極320の形状が所定の構成であり、具体的には陰極320の放出部330に設けられた放出口332が、陰極320の外面から内面に向けて開口面積が小さくなる傾向に形成されている。このように、原子線源310では、内面側の開口面積が小さいため内面側でスパッタ粒子の放出を抑制することができるし、外面側の開口が内面側の開口より大きく陽イオンや原子が放出口332に衝突しにくいため、原子線の取り出し効率の低下を抑制できる。結果として、不要な粒子の放出を抑制できる。
[第4実施形態]
図7は、第4実施形態の一例である原子線源410における図2に相当する断面図である。なお、原子線源10や原子線源110の構成と同一の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
原子線源410は、図7に示すように、両端が閉じた筒状の陰極420と、陰極420の内部に設けられた棒状の第1陽極140と、陰極420の内部に第1陽極140と離間して設けられた棒状の第2陽極150と、を備えている。陰極420は、筒状の面のうちの一部に、原子線を放出可能な複数の放出口32が設けられた放出部30を有しており、この放出部30に対応する部分が開口した筐体60の内部に配設されている。また、陰極420は、放出部30とは反対側の面に、供給部36を有している。第1陽極140及び第2陽極150は、いずれもその両端が陰極420の一端及び他端に絶縁部材62を介して固定されている。
原子線源410では、陰極420が、スパッタ粒子を捕集する捕集部422と、捕集部422に接続されスパッタ粒子を外部に排出する排出部424とを備えている。原子線源410の使用時には、排出部424には、排出管などが接続されて、例えば処理室外などの適切な場所にスパッタ粒子が排出される。排出部424には、直接又は排出管などを介して吸引装置などを接続してもよいが、陰極420の内部の気圧が排出部424を介した外部の気圧より高い場合には、吸引装置などが無くても、排出部424からスパッタ粒子を外部に排出できる。
捕集部422は、スパッタ粒子が堆積しやすい部分、例えば、陰極420の軸方向に垂直な断面を見たときに内側が角部を有する形状(多角形など)の場合に、角部に設けられていることが好ましい。捕集部422は、陰極420の内部からスパッタ粒子が入る入口が、捕集部422の内部よりも狭くなっていることが好ましい。こうすれば、捕集部422に捕集されたスパッタ粒子の陰極420の内部への脱落や飛散をより抑制できる。
捕集部422の形状は、陰極420の軸方向に垂直な断面を見たときに、一部が開口した、円や楕円でもよいし、三角形、四角形、五角形、六角形などの多角形でもよいし、その他の形状でもよい。開口は、上記断面の各形状(開口していないもの)の中心と開口部とを結ぶ2本の直線のなす角θが90°以上180°以下であることが好ましい。捕集部422の寸法は、高さ方向及び幅方向(円の場合には直径)で、それぞれ、5mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましく、15mm以上がさらに好ましい。また、この寸法は、70mm以下としてもよく、35mm以下が好ましく、30mm以下がさらに好ましく、25mm以下がさらに好ましい。例えば、捕集部422の断面が、一部が開口した円の場合、この円の直径Dは、10mm以上70mm以下が好ましく、この円の半径rは、5mm以上35mm以下が好ましい。捕集部422は、長さ方向に、断面形状一定で又は断面形状が変化しながら連続的に形成されていてもよいし、断続的に形成されていてもよいし、一部に形成されていてもよい。
陰極420は、捕集部422及び排出部424を備えている点以外は、陰極20と同様とすることができる。
以上説明した原子線源410では、陰極420の形状が所定の構成であり、具体的には、捕集部422と排出部424とを備えている。このため、スパッタ粒子を捕集部422に集めて排出部424から適切に排出することで、スパッタ粒子の堆積や、堆積したスパッタ粒子の落下や飛散を抑制できる。結果として、不要な粒子の放出を抑制できる。
[第5実施形態]
図8は、第5実施形態の一例である原子線源510における図2に相当する断面図である。なお、原子線源10と同一の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
原子線源510は、図8に示すように、両端が閉じた筒状の陰極20と、陰極20の内部に設けられた棒状の第1陽極540と、陰極20の内部に第1陽極540と離間して設けられた棒状の第2陽極550と、を備えている。陰極20は、筒状の面のうちの一部に、原子線を放出可能な複数の放出口32が設けられた放出部30を有しており、この放出部30に対応する部分が開口した筐体60の内部に配設されている。また、陰極20は、放出部30とは反対側の面に、供給部36を有している。第1陽極540及び第2陽極550は、いずれもその両端が陰極20の一端及び他端に絶縁部材62を介して固定されている。
原子線源510では、第1陽極540及び第2陽極550が、本体542,552の互いが対向する側の反対側に突起544,554を備えている。本体542,552の形状や寸法、材質、配置は、第1陽極40及び第2陽極50と同様とすることができる。突起544,554の形状は、先端が尖った形状でもよいし、先端が丸まった形状でもよいし、先端が平面となるような形状でもよい。また、突起544,554は、長さ方向に、断面形状一定で又は断面形状が変化しながら連続的に形成されていてもよいし、断続的に形成されていてもよい。また、突起544,554は、長さ方向全体にわたって形成されていてもよいし、一部に形成されていてもよい。突起544,554は、その先端と陰極20との距離Pが0.5mm以上5mm以下となるように形成されていることが好ましく、0.5mm以上3mm以下がより好ましく、0.5mm以上2mm以下がさらに好ましい。突起544,554の高さは、0.5mm以上3mm以下が好ましく、1mm以上3mm以下がより好ましく、2mm以上3mm以下がさらに好ましい。
第1陽極540及び第2陽極550は、放出部30に平行な所定の配設面上に本体542及び552の各中心軸が位置するように互いに平行に配設されていてもよい。また、中心軸の少なくとも一方が例えば配設面Pに対して縦方向に傾いて配設されていてもよいし、中心軸の少なくとも一方が例えば幅方向に垂直な面に対して幅方向に傾いて配設されていてもよいし、これらの両方としてもよい。配設面Pに対する中心軸の傾きは、例えば0°以上10°以下としてもよい。また、幅方向に垂直な面に対する中心軸の傾きは、例えば0°以上10°以下としてもよい。
以上説明した原子線源510では、第1陽極540及び第2陽極550の形状が所定の構成であり、具体的には、第1陽極540及び第2陽極550が互いに対向する側の反対側に突起544,554を備えている。こうした、原子線源510では、電界集中によって、突起544,554がない場合に比して低い電圧で、プラズマが発生し原子線を放出することができる。電圧が低いと、陽イオンの移動速度が遅くなるため、陽イオンが陰極20や第1陽極540,第2陽極550に衝突してもスパッタ粒子が生じにくく、スパッタ粒子の発生そのものを抑制できる。結果として、不要な粒子の放出を抑制できる。
[第6実施形態]
図9は、第6実施形態の一例である原子線源610における図2に相当する断面図である。また、図10は、原子線源610の放出口632の斜視図である。図10において、2点鎖線は、放出部630本体部分との仮想境界線である。なお、原子線源10,110と同一の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
原子線源610は、図9に示すように、両端が閉じた筒状の陰極620と、陰極620の内部に設けられた棒状の第1陽極140と、陰極620の内部に第1陽極140と離間して設けられた棒状の第2陽極150と、を備えている。陰極620は、筒状の面のうちの一部に、原子線を放出可能な複数の放出口632が設けられた放出部630を有しており、この放出部630に対応する部分が開口した筐体60の内部に配設されている。また、陰極620は、放出部630とは反対側の面に、供給部36を有している。第1陽極140及び第2陽極150は、いずれもその両端が陰極620の一端及び他端に絶縁部材62を介して固定されている。
原子線源610では、第3実施形態の原子線源310と同様、陰極620の放出部630に設けられた放出口632が、陰極620の外面から内面に向けて開口面積が小さくなる傾向に形成されている。ただし、放出口632は、陰極620の内面側にフィルタ部が設けられることによって、陰極620の外面から内面に向けて開口面積が小さくなる傾向に形成されている点で、原子線源310とは異なる。原子線源610では、陰極620の放出部630に設けられた放出口632のうち陰極620の内面側に、図10に示すようにフィルタ部634が設けられている。このフィルタ部634は、放出口632よりも開口面積の小さな開口636を2つ以上有している。フィルタ部634の開口636の形状は、円や楕円でもよいし、三角形、四角形、五角形、六角形などの多角形でもよいし、その他の形状でもよい。フィルタ部634の開口636の寸法は、幅方向及び長さ方向(円の場合には直径)で、それぞれ、0.01mm以上0.1mm以下が好ましく、0.01mm以上0.08mm以下がより好ましく、0.03mm以上0.06mm以下がさらに好ましい。フィルタ部634の開口636は、スリット形状でもよい。スリット形状の場合、幅0.01mm以上0.1mm以下のスリットであることが好ましい。スリットの伸びる方向は特に限定されない。フィルタ部634の厚みは、放出部630の厚み未満であればよいが、0.1mm以上3mm以下が好ましく、0.3mm以上2mm以下がより好ましく、0.5mm以上1mm以下がさらに好ましい。フィルタ部634の材質は、陰極20で例示したものなどとすることができ、放出部630と同じものとしても異なるものとしてもよい。フィルタ部634は、放出部630と一体形成されていることが好ましい。
放出口632のフィルタ部634以外の形状は、放出口32と同様とすることができる。放出部630の形状や寸法、形成部位は、放出口632以外については、放出部30と同様とすることができる。また、陰極620の形状や寸法、材質などは、放出部630及び放出口632以外については、陰極20と同様とすることができる。
以上説明した原子線源610では、陰極620の形状が所定の構成であり、具体的には、陰極620の放出部630に設けられた放出口632が、陰極620の内面側にフィルタ部634を備えている。これにより、原子線源610では、内面側でフィルタ部634によってスパッタ粒子の放出を抑制することができるし、外面側にはフィルタ部634がなく陽イオンや原子が放出口632に衝突しにくいため、原子線の取り出し効率の低下を抑制できる。結果として、不要な粒子の放出を抑制できる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、第1〜第6実施形態を別々に説明したが、第1〜第6実施形態のうちの2つ以上を組み合わせてもよい。上述した実施形態では、原子線源10〜610は、筐体60を有するものとしたが、筐体60を省略してもよい。上述した実施形態では、陰極20〜620は、両端が閉じた筒状であるものとしたが、一端が閉じて一端が開口した筒状でもよいし、両端が開口した筒状でもよい。この場合には、筐体60によって陰極20〜620の開口が塞がれる。上述した実施形態では、第1陽極40〜540及び第2陽極50〜550は、いずれもその両端が陰極20〜620の一端及び他端に絶縁部材62を解して固定されている、としたが、こうしたものに限定されない。第1陽極40〜540及び第2陽極50〜550の少なくとも一方は、陰極20〜620の一端のみに絶縁部材62を介して固定されていてもよいし、その他の方法で固定されていてもよい。上述した実施形態では、原料ガスとして、Arガスを例示したが、例えば、He、Ne、Kr、Xe、O2、H2、N2などとしてもよい。また、原料ガスは、供給部36から供給されるものとしたが、予め陰極20〜620の内部に存在するものとしてもよい。この場合、供給部36を省略できる。
以下には、本発明の原子線源を用いて原子線を発生させた場合について、実験例として説明する。なお、実験例1−2,1−5,1−8,1−11,1−12,2−2〜2−7,3−2〜3−5,4−2,4−3,5−1,5−2が本発明の実施例に相当し、実験例1−1,1−3,1−4,1−6,1−7,1−9,1−10,2−1,3−1,4−1,5−3,5−4が比較例に相当する。
[実験例1−1〜1−12]
実験例1−1〜1−12では、図1〜3に示す原子線源10を用いた。陰極20には、陰極20の軸方向に垂直な断面を見たときに、断面が四角形で、内側の寸法が高さ60mm、幅50mm、長さ100mmで、厚み5mmの、両端が閉じた筒状の炭素陰極を用いた。放出部30には、直径2mmの放出口32を幅方向に10個、長さ方向に15個設けた。第1陽極40及び第2陽極50には、直径10mmで長さ120mmの棒状の炭素電極を用いた。第1陽極40と第2陽極50との中心間の距離L、配設面Pと放出部30との距離H及び(H+L)×H2/Lの値は、表1に示すものとした。この原子線源10を、10-6Paの真空に保たれた処理室内に配設し、処理対象となるSi基板に原子線を照射した。照射時には、陰極20と第1陽極40及び第2陽極50とに接続された高圧直流電源を、電流100mAで電圧1000Vの電圧を印加した。また、供給部36から原料ガスとしてのArガスを30cc/minで供給した。
Figure 0006178538
表1に、基板表面を確認したときの不要な粒子(カーボン粒子、以下パーティクルとも称する)の評価結果と、ビーム(原子線)照射の評価結果を示した。なお、パーティクルの評価は、基板表面をパーティクルカウンターで確認し、現行品(例えば実験例1−1)とパーティクル量を比較することにより行った。パーティクルが現行品よりも非常に少ないものを「A」、パーティクルが現行品よりも少ないものを「B」、パーティクルが現行品と同等のものを「C」、パーティクルが現行品よりも多いものを「D」として評価した。また、ビーム照射の評価は、エッチングレートを膜厚計により測定し、現行品とエッチングレートを比較することにより行った。表では、エッチングレートが現行品よりも非常に高いものを「A」、エッチングレートが現行品よりも高いものを「B]、エッチングレートが現行品と同等のものを「C」、エッチングレートが現行品よりも低いものを「D]と評価した。表1に示すように、(H+L)×H2/Lが750以上1670以下の実験例1−2,1−5,1−8,1−11,1−12では、ビーム照射及びパーティクルの評価結果が現行品より良好であった。このことから、第1実施形態の態様では、不要な粒子の放出を抑制できることがわかった。また、(H+L)×H2/Lの値は、750以上が好ましく、800以上がより好ましく、850以上がさらに好ましいことがわかった。また、(H+L)×H2/Lの値は、1670以下が好ましく、1050以下がより好ましく、1000以下がさらに好ましいことがわかった。
[実験例2−1〜2−7]
実験例2−1は、実験例1−1と同様とした。実験例2−2〜2−4では、図4に示す原子線源110を用いた。実験例2−5〜2−7では、図5に示す原子線源210を用いた。陰極120及び220では、実験例2−1の陰極20の角部を、表2に示す形状にした。それ以外の条件は、実験例2−1と同様として、実験を行った。なお、表2のR5は半径5mmのR面であることを示し、C5は高さと幅が5mmのチャンファー面であることを示す。
Figure 0006178538
表2に、基板表面を確認したときのパーティクルの評価結果を示した。表2に示すように、角部が面取り形状である場合には、パーティクルの評価結果が良好であったことから、不要な粒子の放出を抑制できることがわかった。よって、第2実施形態の態様では、不要な粒子の放出を抑制できることがわかった。また、R面は半径5mm以上であることが好ましく、チャンファー面は高さ及び幅がそれぞれ15mm以上であることが好ましいことがわかった。なお、実験例2−5,2−6では、パーティクルの評価結果はCであったが、パーティクルが実験例2−1より僅かに少なく、一定の効果が得られることがわかった。
図11に、一般的な原子線源の使用後の内部状態の模式図を示す。図12に、一般的な原子線源の角部での堆積物(スパッタ粒子)の様子の模式図を示す。また、図13に、R面を設けた時の角部での堆積物の様子の模式図を示す。図11において、一点鎖線で囲んだ部分はカーボン粒子が多く堆積する部分を示し、破線で囲んだ部分は陰極20が多く摩耗する部分を示す。図11や図12に示すように、角部は、スパッタ粒子が堆積しやすい傾向にあるが、実験例2−2〜2−7では、各角が面取り形状であるため、図13に示すようにスパッタ粒子の角部への堆積の集中を抑制できたと推察された。また、図11に示すように、プラズマに近い部分(例えば陰極の角部以外の部分)は、陽イオンの衝突によって摩耗しやすい傾向にあるが、実験例2−2〜2−7では、各角が面取り形状であり陰極120のプラズマとの距離が均一化されるため、摩耗量がより均一になったと推察された。こうした観点、すなわちスパッタ粒子の角部への堆積の集中を抑制したり陰極のプラズマとの距離を均一化したりする観点から、陰極は、陰極の軸方向に垂直な断面を見たときに内側が円形又は楕円形でもよいと推察された。
また、陰極は、プラズマの中心に近い位置であると考えられる陰極の中心から、陰極の内側までの距離ができるだけ均一であることが好ましく、例えば、上述したXmin/Xmaxの値が、0.5≦Xmin/Xmax≦1を満たすことが好ましいことがわかった。Xmin/Xmaxの値は、0.68以上が好ましく、0.7以上がより好ましいことがわかった。面取り形状がチャンファー面である場合には、Xmin/Xmaxの値が0.75より大きいことが好ましく、0.77以上がより好ましく、0.79以上がさらに好ましいことがわかった。
[実験例3−1〜3−5]
実験例3−1〜3−5では、図6に示す原子線源310を用いた。陰極320では、放出口332の角度Sを表3に示す値とし、内面側の開口の直径を0.05mmとした。それ以外の条件は、実験例1−1と同様として、実験を行った。
Figure 0006178538
表3に、基板表面を確認したときのパーティクルの評価結果と、ビーム照射の評価結果を示した。表3に示すように、角度Sが4°以上の実験例3−3〜3−5では、ビーム照射の評価結果が現行品と同等でパーティクルの評価結果が非常に良好であった。角度Sが3°の実験例3−2では、ビーム照射の評価結果が現行品よりも低かったものの、パーティクルの評価結果は非常に良好であったため、放出口径や出力を調整するなどしてビーム照射を良好にしても、パーティクルの評価結果は良好になると推察された。よって、第3実施形態の態様では、好適に不要な粒子の放出を抑制できることがわかった。また、角度Sは4°以上20°以下であることが好ましいことがわかった。また、図9に示す原子線源610でも、原子線源310と同様、陰極620の放出部630に設けられた放出口632が、陰極620の外面から内面に向けて開口面積が小さくなる傾向に形成されていることから、原子線源310と同様の効果が得られると推察された。
[実験例4−1〜4−3]
実験例4−1〜4−3では、図7に示す原子線源410を用いた。陰極420では、捕集部422を、表1に示す半径rの円形で、一部が欠けた形状とした。角度θは90°とした。それ以外の条件は、実験例1−1と同様として、実験を行った。
Figure 0006178538
表4に、基板表面を確認したときのパーティクルの評価結果を示した。表4に示すように、捕集部422及び排出部423を備えた実験例4−2,4−3では、いずれも、パーティクルの評価結果が良好であったことから、不要な粒子の放出を抑制できることがわかった。よって、第4実施形態の態様では、不要な粒子の放出を抑制できることがわかった。
[実験例5−1〜5−4]
実験例5−1〜5−4では、図8に示す原子線源510を用いた。陽極540,550としては、直径10mmの棒状の本体から、突起先端と陰極との間の距離が表5に示す距離Pとなるように表5に示す高さの突起を陽極の長さ方向全体にわたって連続的に設けた炭素電極を用いた。また、印加電圧を800Vとした。それ以外の条件は、実験例1−1と同様として、実験を行った。
Figure 0006178538
表5に、基板表面を確認したときのパーティクルの評価結果と、ビーム照射の評価結果を示した。表5に示すように、突起を設けた実験例5−1〜5−2では、いずれも、パーティクルの評価結果及びビーム照射の評価結果の両方が良好であった。よって、第5実施形態の態様では、不要な粒子の放出を抑制できることがわかった。また、突起を設けず距離Pだけを変化させた実験例5−3,5−4では、ビーム照射の評価結果及びパーティクルの評価結果が現行品と同等であったことから、実験例5−1,5−2でビーム照射の評価結果やパーティクルの評価結果が良好となったのは、突起の存在による効果であると推察された。
なお、本発明は上述した実験例に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
本出願は、2015年8月28日に出願された日本国特許出願第2015−168429号を優先権主張の基礎としており、引用によりその内容の全てが本明細書に含まれる。
本発明は、原子線を利用する技術分野に利用可能である。
10 原子線源、20 陰極、30 放出部、32 放出口、36 供給部、40 第1陽極、50 第2陽極、60 筐体、62 絶縁部材、110 原子線源、120 陰極、140 第1陽極、150 第2陽極、210 原子線源、220 陰極、310 原子線源、320 陰極、330 放出部、332 放出口、410 原子線源、420 陰極、422 捕集部、424 排出部、510 原子線源、540 第1陽極、542 本体、544 突起、550 第2陽極、552 本体、554 突起、610 原子線源、620 陰極、630 放出部、632 放出口、634 フィルタ部、636 開口。

Claims (10)

  1. 原子線を放出可能な放出口が設けられた放出部を有する筒状の陰極と、
    前記陰極の内部に設けられた棒状の第1陽極と、
    前記陰極の内部に前記第1陽極と離間して設けられた棒状の第2陽極と、
    を備え、前記陰極の形状、前記第1陽極の形状、前記第2陽極の形状、及び、前記陰極と前記第1陽極と前記第2陽極との位置関係、からなる群より選ばれる少なくとも1以上を所定の構成とすることで、前記第1陽極と前記第2陽極との間でのプラズマにより生じた陽イオンが前記陰極、前記第1陽極、及び、前記第2陽極の少なくとも1つと衝突して発生する、スパッタ粒子の放出を抑制する、
    原子線源。
  2. 前記第1陽極及び前記第2陽極は、前記放出部に平行な配設面上に中心軸が位置するように互いに平行に配設され、前記第1陽極と前記第2陽極との中心軸間の距離をLとし、前記配設面と前記放出部との距離をHとしたときに、(H+L)×H2/Lの値が750以上1670以下の範囲内である、請求項1に記載の原子線源。
  3. 前記陰極は、該陰極の軸方向に垂直な断面を見たときに内側が四角形で、該四角形の1以上の角が面取り形状であるか、前記断面を見たときに内側が円形又は楕円形である、請求項1又は2に記載の原子線源。
  4. 前記面取り形状は、半径5mm以上のR面及び高さと幅がそれぞれ15mm以上のチャンファー面のいずれかである、請求項3に記載の原子線源。
  5. 前記陰極は、前記断面を見たときに、中心から前記内側までの距離の最小値Xminと中心から前記内側までの距離の最大値Xmaxとが0.5≦Xmin/Xmax≦1を満たす、請求項3又は4に記載の原子線源。
  6. 前記放出口は、前記陰極の外面から内面に向けて開口面積が小さくなる傾向に形成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の原子線源。
  7. 前記放出口は、前記外面と前記内面とを結ぶ直線の前記放出部に垂直な方向に対する傾きが4°以上20°以下である、請求項6に記載の原子線源。
  8. 前記放出口は、前記陰極の内面側にフィルタ部が設けられることによって、前記陰極の外面から内面に向けて開口面積が小さくなる傾向に形成されている、請求項6又は7に記載の原子線源。
  9. 前記陰極は、前記スパッタ粒子を捕集する捕集部と、前記捕集部に接続され前記スパッタ粒子を外部に排出する排出部とを備えている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の原子線源。
  10. 前記第1陽極及び前記第2陽極は、互いが対向する側の反対側に突起を備えている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の原子線源。
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