JP2002540563A - ダイオードスパッタイオンポンプ用のマフィン型状電極素子 - Google Patents

ダイオードスパッタイオンポンプ用のマフィン型状電極素子

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JP2002540563A JP2000607245A JP2000607245A JP2002540563A JP 2002540563 A JP2002540563 A JP 2002540563A JP 2000607245 A JP2000607245 A JP 2000607245A JP 2000607245 A JP2000607245 A JP 2000607245A JP 2002540563 A JP2002540563 A JP 2002540563A
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anode
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cell
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ビー マッギン,ジェイムズ
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フェイ カンパニ
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Abstract

(57)【要約】 ダイオードスパッタイオンポンプは、一般的にはポンプが動作する真空システムの最高の圧力よりも大きいガスドーズへのポンプ露光に続き、電流バースト、漏れ電流、及び電弧のような不安定性を示す。不安定性は、スパッタイオンポンプが取り付けられる装置にとって妨害的である。本発明は、改善された安定性及び減少された漏れ電流を示すイオンポンプを提供する。不安定性は、その形状及び配置が高い電界を生じさせる陰極プレート板状に成長する樹枝状結晶突起といった構造からの爆発アーク放出及び電子放出によって生ずる。本発明によれば、陰極はイオンポンプの環境からガスを除去するためのスパッタリング可能な材料を含み、イオンポンプの動作中に樹枝状結晶成長領域中の電界が樹枝状結晶からの電界放出を生じさせるのには十分でなく、それによりイオンポンプの動作中の不安定性を減少させる形状とされる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 [発明の属する技術分野] 本発明は、主に高真空及び超高真空システムにおいて使用されるイオンポンプ
に関する。
【0002】 [関連出願] 本願は、ここに参照として組み入れられる1999年3月19日出願の米国仮
特許出願第60/125,317号及び60/125,318号に基づいて優先
権を主張する。
【0003】 [発明の背景] イオンポンプは、高真空及び超高真空を必要とする様々なシステムにおいて用
いられる。かかるシステムは、合焦イオンビームシステム、電子顕微鏡、加速器
、分子ビームエピタキシアル蒸着システム、及び他の解析、製造、調査用のシス
テム及び器具に含まれる。イオンポンプは、一般的には10-4トル乃至10-11
トルの圧力で用いられ、10-7トル乃至10-9トルの圧力は例えば合焦イオンビ
ームシステムにおいて一般的である。
【0004】 他のタイプのイオンポンプは、ダイオードスパッタイオンポンプである。図1
は、陽極14の両側に一つずつ設けられる2つの陰極12を有する一般的なダイ
オードスパッタイオンポンプ10を示す図である。図2、3及び4は、異なる設
計の従来技術の陽極を示す断面図である。各陽極は、一般的には複数の陽極セル
16を含み、各陽極セルは陰極の平面に対して垂直な長手軸を有する。動作中、
正の電圧が陽極10に印加され、負の電圧又は大地電位が陰極12に印加され、
磁場が陽極セルの長手軸に平行に印加される。各陽極セル16の中で、電子は磁
場によって閉じ込められ、一般的に空間電荷雲として知られる安定した電子雲を
形成する。
【0005】 電子雲は、印加される磁場により、夫々がサイクロトロン半径として知られる
半径を有する円形軌道上を電子が進むことが抑制されるため、安定している。更
に、より高い圧力では、個々の電子は、デバイ(Debye)スクリーニングと称さ
れる現象によって、雲の中の他の電子による陽極の電場から遮蔽される。システ
ム中の電圧及び電荷の分布は、陽極の近傍に陽極シースとして知られる急な電位
勾配を形成する。陽極シースは、空間電荷雲の縁と陽極との間の境界として作用
する傾向がある。電子は、陽極に移動するまで雲の中に残る傾向があり、陽極に
おいて電子は陽極電流とみなされる。
【0006】 雲の中の電子は、雲の中に移動するイオン化されたガス分子と衝突する。イオ
ン化されたガス分子は陰極12に向かって加速し、一般的にはチタンである陰極
材料をスパッタリングする。チタンは化学的に活性であるため、ガス分子はチタ
ン原子に付着し及び/又はチタン分子と反応し、それにより固体状態に固定され
、ガス相から除去され、それにより真空室中のガス圧力を下げ、本質的に室から
ガスを汲み出し、より良い真空を形成する。化学的に活性でない希ガス分子は、
スパッタリングされた陰極材料に埋め込まれること、又は衝突後に陰極の結晶構
造の中に移動し、陰極中の結晶構造の欠陥の中に閉じ込められることによってガ
ス相から除去される。
【0007】 イオンポンプの汲み出し特徴は、主に真空室中のガス圧力、磁場、陽極及び陰
極上の電圧、陽極セルの形状、陽極セルと陰極との間の距離、及び、存在するガ
スのタイプによって決定される。ポンプセルは、イオン電流を圧力で割り算した
ものとして定義され、一般的にはアンペア毎トルで与えられる感度によって特徴
付けられる。ポンプは、一般的にはスパッタ陰極材料と特定のガス分子との間の
異なる化学反応により、汲み出される特定のガスによって変化するポンプ速度に
よって特徴付けられる。ポンプ速度は、一般的にはリットル毎秒で与えられる。
【0008】 ガス分子が陽極セル中での電子との衝突によってイオン化されるとき、電子雲
の中に1つ以上の電子が解放される。定常状態を維持するため、電子は、ガスの
イオン化によって雲に新しい電子が加えられるレート、又は陽極のイオン衝撃に
よる2次電子の特直のレートと同じレートで電子雲から離れねばならない。電子
雲の中の電子の余剰は、陰極から材料を効率的にスパッタリングするために十分
な運動量を得る前にガスイオンを中性化する。
【0009】 交差磁界移動性として知られる現象により、幾つかの電子は陽極シースを通過
し、陽極に当たる。シースの約2電子サイクロトロン半径内の空間電荷雲の中の
電子は、陽極に当たり、雲から離れるかなりの確率を有する。陽極セルの形状は
陽極シースの輪郭及び陽極壁からの距離にかなりの影響を有し、この輪郭及び距
離はまた、圧力、磁場、及び印加電圧によって影響を受ける。
【0010】 図2のイオンポンプ陽極は、例えばJepsenの米国特許第3,319,875号
に記載されるような一連の矩形のセルとして構成される。陽極シースは、イオン
ポンプの通常動作圧力では矩形の陽極セルの壁にあまりよく適合せず、陽極シー
スはセルの殆どの壁から遠くに配置されることになる。空間電荷雲の縁から陽極
前の距離はその殆どの軌道でサイクロトロン半径を越えるため、空間電荷雲の縁
の周りの軌道内の電子は陽極に当たる確率が高くない。このように、矩形セル陽
極は本質的に非効率的であり、即ち低い感度を有するため、矩形セル陽極は殆ど
用いられず、図3及び4に示されるような円筒状のセクタの集合されたクラスタ
を含む陽極が好まれている。
【0011】 円筒セル陽極では、空間電荷雲の縁は陽極の輪郭により良く一致するため、よ
り多くの電子が陽極のサイクロトロン半径の中にあり、一方、磁場、圧力、及び
電圧といったシースを定義するパラメータもまた効率的なポンプ動作を与える。
円筒セルは、電子が空間電荷雲に近接した陽極自体への経路を形成する機会を最
大とする。このように、円筒ダイオードセルを有するイオンポンプは、矩形のセ
ルを有するイオンポンプよりも感度が高い。
【0012】 しかしながら、円筒セル陽極を有するダイオードスパッタイオンポンプは、一
般的に、ポンプが動作している真空システムの最高圧力よりも大きいガスドーズ
に対するポンプ露光の後は、不安定性を示す。不安定性は、電流バースト、漏れ
電流、電弧を含む。不安定性は、スパッタイオンポンプが取り付けられた装置に
対して妨害的である。例えば、電流バーストは、ポンプが使用されているシステ
ムの電子サブシステムを妨害する高電圧放電を刺激しうる。かかる妨害は、シス
テム故障の原因となることが知られている。
【0013】 [発明の概要] 従って、本発明はイオンポンプの動作の安定性を高めることを目的とする。本
発明は、イオンポンプが組み込まれるシステムの安定性を高めることを他の目的
とする。本発明は電流の漏れを減少させるか又は排除するイオンポンプを提供す
ることを更なる目的とする。本発明は、ポンプの不安定性を減少させる改善され
たイオンポンプ陰極を提供することを他の目的とする。本発明は、イオンポンプ
の不安定性を減少させる改善された陽極を提供することを他の目的とする。本発
明は、改善された安定性を有する帯電粒子ビームシステムを提供することを更な
る目的とする。本発明は、増加されたレートで希ガスを汲み出すことができるダ
イオードイオンスパッタポンプを提供することを更なる目的とする。
【0014】 本発明は、改善された安定性及び減少された漏れ電流を与えるイオンポンプを
含む。出願人は、従来技術のイオンポンプが、一般的なイオンポンプの寿命に亘
って持続する連続的な不安定な漏れ電流を与えることを見いだした。出願人は、
不安定性、電流バースト、漏れ電流、及び電弧は、或る程度は、高い電界を生じ
させる形状及び配置を有する構造からの爆発陰極アーク放出及び電子放出によっ
て生ずること見いだした。かかる構造は、様々なポンプ構成要素を含むと共に、
陰極プレート上に、主に高いプラズマ密度の領域の反対側の陰極クレーターの縁
に形成される樹枝状結晶突起を含む。一般的に、電子放出プロセスを生じさせる
表面の殆どは陰極のものであり、通常は一般的に陰極プレートと称されるももの
一部である。
【0015】 以下、改善されたイオンポンプの幾つかの本発明による面について説明する。
特定の適用のためのポンプ要件に依存して、本発明の様々な面は、個々に、又は
組み合わせて、改善されたイオンポンプを与えるために適用されうる。
【0016】 本発明の1つの面では、スパッタイオンポンプは、イオンスパッタリングの主
な領域が低い電界の領域内にあり、それによりかかる領域内で高い電界によって
生ずるイオンポンプの不安定性を防止する。1つの望ましい実施例では、イオン
ポンプは高いプラズマ密度を有する陽極の領域から遠ざかるように向いた一連の
変形部又は凹部を含む陰極線プレートを組み込む。一般的には、陽極セル又は用
虚kセル間領域といった高いプラズマ密度領域の軸を中心とする一連の凹部は、
陽極にマフィン型のような外観を与える。陰極プレートの幾何学形状は、凹部の
中の領域に、平坦な陰極の表面の近傍で生ずる電界よりもかなり低い電界を受け
させる。イオンスパッタリングが生ずる電界を減少させることにより、出願人は
、従来技術のポンプにおいて樹枝状の突起における高い電界から生じうる不安定
性、電流バースト、漏れ電流、及び電弧を減少又は除去させた。
【0017】 本発明の他の面では、電極の整形、電極取付機構、及び電極の幾何学的配置の
組合せは、ダイオードスパッタイオンポンプにおける漏れ電流を減少させる。陰
極領域は、特に幾何学的に設計され、陰極プレートは何も手段が講じられなけれ
ば高い電界である領域において高い電界を低下させるよう特に整形され、それに
よりダイオードスパッタイオンポンプでは従来技術のポンプよりも漏れ電流及び
続く不安定性、電流バースト、及び電弧の確率を下げることを達成する。この低
い漏れのダイオードスパッタイオンポンプはまた、不安定性、電流バースト、及
び電弧に比較的反応を示さない。低い漏れのダイオードスパッタイオンポンプは
、殆どのシステム動作プロトコルの一般的なベークアウトサイクル中に生ずるガ
スドーズに続いて寿命漏れ電流を示さないという利点がある。
【0018】 幾つかの従来技術の円筒状陽極イオンポンプでは、各円筒(図3)とその近傍
には、一般的には過伸展された方形の形状を有する円筒間セル18がある。本発
明の他の面では、出願人は、円筒間セル18が不安定性に寄与し、ダイオードス
パッタイオンポンプの清潔且つ静かな動作に対する信頼性を与えることを見いだ
した。円筒間セルは、出願人に、円筒間セルの下での陰極上の樹枝状結晶の成長
を助ける非常に密度の高いプラズマを支えることを見いだした。
【0019】 円筒間セルによって生ずる不安定性はまた、円筒間セルを排除すること又は最
小化することによって、又は円筒間セルを密度の高いプラズマを支えないよう変
更することによって排除されうる。望ましい陽極セル設計は、円筒間セルを減少
させるか又は完全に排除し、一方電子が電子空間電荷雲を離れることを可能とす
るよう電子雲を陽極に一致させたままに維持する。
【0020】 本発明の更なる目的、利点、及び新規な特徴は、本発明の以下の説明及び図面
から明らかとなろう。
【0021】 [望ましい実施例の詳細な説明] 出願人は、清潔な、静かな、安定したイオンポンプ動作の妨害の主な原因は陰
極上に形成される樹枝状結晶であることを示した。イオン衝撃による樹枝状結晶
の突起の形成については多くの研究がなされている。例えば、Topics in Applie
d Physics, Vol. 64; Sputtering by Particle Bombardment III, Eds. R. Behr
isch and K.Wittmaack, Springer-Verlag Berlin Heidelberg, 1991のW.Hauffe
による「Production of Microstructures by Ion Beam Sputtering」、及び、J.
Appl. Phys. Vol. 42, Number 3, March 1, 1971のG. K. Wehner and D.J. Haj
icekによる「Cone Formation on Metal Targets during Sputtering」を参照の
こと。これらの参照文献は、イオン衝撃による樹枝状突起の形成について一般的
に記載しているが、イオンポンプの不安定性について述べておらず、またイオン
ポンプの陰極プレート上に見いだされる特定の樹枝状突起の種類、範囲、及び形
成条件について述べていない。
【0022】 S. L. Rutherfordによる「Sputter Ion Pumps for Low Pressure Operation」
、Transactions of the National Vacuum Symposium of the American Vacuum S
ociety (Nov. 10, 1963)は、電界放出電流漏れは、しばしばスパッタイオンポン
プの陰極上に形成される鋭い先端又は「髭結晶」から生ずることを述べているが
、不安定性を排除する方法を提供しておらず、また樹枝状結晶の形成機構又は陰
極プレート上の位置について述べていない。
【0023】 また、M. Audi及びM. Pieriniは、「Surface Structure and Composition Pro
file of Sputter-Ion Pump Cathode and Anode」、J. Vac. Sci. Technol A4(3)
, 303(1986)で、針状形状について述べているが、針状形状の電子顕微鏡像は、
出願人によって見いだされた種類の樹枝状形成物を示していない。M. Audi及びM
. Pieriniの文献に示される針状形成物は、出願人によって見いだされた樹枝状
結晶とは決定的に異なる配置特徴を示し、電界放出電流を支援するのには不十分
である。
【0024】 出願人のうちの一人は、イオンポンプ中で形成される樹枝状結晶の4つの主な
性質を見いだした。(1)樹枝状結晶は、イオンスパッタリングによって形成さ
れる周知の陰極クレーターの内側及び近傍の両方に形成される。(2)樹枝状結
晶は、陰極クレーターの見えるゾーンの外側には存在しない。(3)樹枝状結晶
は、樹枝状結晶からの電子の電界放出の達成に必要な電界の強調を与えるのに十
分なアスペクト比を有する。(4)樹枝状結晶の個体群密度はセルのプラズマ密
度に直接関連する。
【0025】 図3のイオンポンプ陽極14の連結された円筒状陽極セル16の接合には、標
準的な円筒状セル16のプラズマ密度よりも高いプラズマ密度を支援するハイパ
ー方形の円筒間セル18が形成される。高いプラズマ密度により、円筒間セルに
関連付けられる陰極クレーターの樹枝状結晶の個体群密度は、標準的な円筒状陽
極セル16に対向する陰極プレート上よりも高くなる。このような樹枝状決勝は
、陰極プレートからの爆発陰極アーク放出及び電界電子放出を生じさせ、これは
電流バースト及び漏れ電流といった不安定性の原因となる。図5は、円筒間セル
のプラズマによって形成される陰極クレーターのすぐ周りのゾーンでクラスタを
形成する樹枝状結晶のフィールドを示すイオン顕微鏡像である。クレーターは、
約1mmの直径を有し、樹枝状結晶の森を囲むクレーターの周りのゾーンは約2
.5mmの直径を有する。図6は、図5の樹枝状結晶のより拡大された顕微鏡像
を示すである。これらの写真に示される樹枝状結晶は、M.Audiによる文献に示さ
れるどの特徴とは明らかに異なる。図5に示されるような樹枝状結晶の突起は、
陽極の印加された電界の下で、特に陰極の表面における電界が最も大きい場合の
低い動作圧力において、電子を電界放出する。電界放出された電子は、ダイオー
ドスパッタイオンポンプの顕微鏡で観察可能な性能の制限、即ち、不安定性、電
流バースト、漏れ電流、及び電弧を生じさせる。
【0026】 図7は、一般的にはチタンからなり、タンタル又は他の金属からなることもあ
る、2つの陰極30を含むイオンポンプ28を示す断面図である。各陰極30は
、平坦な領域32と、夫々が長手軸42を有する多数の陽極セル38を含み陽極
36から遠ざかる方向の凹部34とを含む。凹部34は、かなりのイオン衝撃を
受け、陰極クレーターが形成される領域48に対応する。凹部34の形状は、印
加される電界を領域48から部分的に閉塞する電位井戸を形成する。電位井戸の
内部では、電界強度は平坦な領域32における電界強度よりもかなり低く、それ
により領域48に形成される樹枝状突起上には殆ど又は全く電界がない。従って
、樹枝状突起は、電子電界放出又は爆発溶融ジェット放出が可能ではない。
【0027】 イオン衝撃領域48は、一般的には、規則的なパターンとされる陽極セル軸4
2と整列されるため、凹部34もまた規則的なパターンとされることが望ましい
。従って、金属の陰極プレート30は、各陽極セル38の長手軸42を中心とす
る規則的な凹部34を有するマフィン型に似た形状である。マフィン型状陰極は
、ガウス井戸陰極とも称される。「マフィン型状陰極」という用語は、結晶格子
に沿った一連の無限の電位井戸が「マフィン型状」電位と称される固体物理学の
概念から用いたものである。
【0028】 各凹部34の深さh及び幅2bは、h>=0.5bの式によって関連付けられ
ることが望ましい。また、凹部の幅2bは、イオン衝撃によって形成される一般
的な陰極クレーターのサイズの少なくとも2倍であるが陽極セルの直径よりは小
さいべきである。望ましくは、2b=0.7a、但し、aは陽極セルの直径であ
る。かかる凹部の近傍の電界及び電位の数学的な形式化は、J. Vac. Sci. Techn
ol A. Vol 15, No. 4, Jul/Aug 1997の「Proposal for a new self-focusing…
」の第2369頁に発表されている。強く衝撃を受けた領域48をマフィン型状陰極
30の凹部34によって与えられる電位井戸の中に包囲することにより、樹枝状
結晶の突起の表面における電界は減少され、樹枝状結晶の突起は電子を電界放出
せず、また爆発溶融ジェット放出に使用されず、従って不安定性、電流バースト
、漏れ電流、及び電弧を除去する。
【0029】 幾つかの測定は、マフィン型状陰極を有する図7のイオンポンプは、従来技術
のダイオードイオンポンプよりも安定しているだけでなく、希ガス、特にアルゴ
ンを汲み出すために従来技術のダイオードポンプよりも効果的であり、一般的に
希ガスを汲み出すのに使用されるトライオードポンプの速度以上の速度でアルゴ
ンを汲み出しうることを示す。
【0030】 陽極の設計が、図3の円筒間セル18のようなセル間領域を有する場合、各セ
ル間領域の中心軸に対応する凹部があってもよく、凹部の深さ及び幅は上述にお
いて陽極セルと整列される凹部について説明されたのと同様に決定される。図8
は、本発明の他のイオンポンプ50の断面を概略的に示す図である。図8は、陰
極52と陽極セル56の壁54とを示す。陰極52は、陽極セルと同心の凹部3
4と、円筒間セルと同心の凹部58とを含む。イオンポンプ50は、凹部の間に
任意の高圧シールド64を含みうる。高圧シールド64は、モリブデンといった
低いスパッタ発生材料からなる隆起した領域であり、凹部の電界を更に減少させ
る。図9は、陰極70上の陽極の壁72に対向する任意の高圧シールド68を用
いたイオンポンプ66を示す他の部分的な図である。高圧シールドは、陽極の壁
72の突起又は陰極の回りに部分的に又は完全に延びうる。
【0031】 本発明によるマフィン型状陰極は、打抜き加工又は引抜き加工によって製造さ
れうるが、かかる製造方法は陰極プレート上に残留応力及び/又は肉眼で見える
又は顕微鏡で見える割れ目を残し、これが不安定性の原因となりうる。マフィン
型状陰極を製造する望ましい方法は、鋳造方法又は意図される陰極材料の硬いブ
ロックから直接機械加工することであるが、鋳造のほうが望ましい。
【0032】 図10は、本発明の第2の面によるイオンポンプ80の望ましい実施例である
。イオンポンプ80は、2つの陰極プレート82及び陽極セル84を含む。陰極
プレート82は、陽極セル84の群の最も遠いところを越えて1つの陽極セルの
直径の少なくとも半分だけ延びる。陽極側にある陰極プレート82の縁86は、
陽極とは反対側が丸くされ、滑らかな仕上がりとなるよう研磨される。陽極セル
の縁の近傍の従来技術の陰極の鋭い縁は、陽極の印加電界の下で電子を電界放出
し、より低い動作圧力ではより多く放出すると考えられる。更に、上記の高い電
界によって生ずる電界放出された電子及び爆発溶融ジェット放出現象は、ダイオ
ードスパッタイオンポンプの肉眼で可視の性能の制限、即ち不安定性、電流バー
スト、漏れ電流、及び電弧をもたらす。
【0033】 上述に加え、また陰極プレート上の任意の鋭い先端又は陰極から陽極までの隙
間の中に存在しうる任意の他の突起が、電界放出を生じさせ上述の問題を引き起
こすのと同じ理由に基づいて、陰極から陽極までの隙間は突起がないような設計
とされうる。これは、基本支持構造88、即ち電気接点が、陰極プレート82の
陽極とは反対側に接続され、それにより陰極から陽極への隙間の外側にのみ接続
を形成することを示す。図10は、イオンポンプの陽極側とは反対側の基本支持
構造接続を示し、陰極から陽極までの隙間には介在する要素が無いことを示す。
【0034】 望ましいイオンポンプの他の面では、陽極セルは、殆どのセルに亘って陽極シ
ースの輪郭がセル壁に沿うことを可能としつつ、円筒セルを排除すること又は最
小化するような形状及び配置とされる。例えば、図11は、準円筒状陽極セル9
2、即ち円筒間セルを排除することに関連する範囲で円筒に近似する陽極セルを
有する陽極90の断面を示す図である。効率性のため、準円筒の直径は、殆どの
セル82に亘る最小の直径から一般的には約4mmである約2電子サイクロトロ
ン半径よりも少なく変動し、しかし直径はその長軸に沿ってより大きいばらつき
を有するべきである。本発明の湾曲した壁は、電子雲が陽極壁に十分に一致し、
それにより電子が電子空間電荷雲を効率的に離れて陽極に当たることを可能とし
、一方、準円筒形状は円筒間セルを形成することなく陽極が陽極の空間を埋める
ことを可能とする。陽極セルは、矩形ではないことが望ましく、それにより従来
技術の矩形のセルの陽極に内在する非効率性を排除する。図11の陽極は、米国
仮特許出願第60/125,317号に詳細に説明されている。
【0035】 合焦イオンビームシステムにおける本発明のポンプの一般的な動作条件は、0
ボルト(グランド電位に保持される)の陰極電圧、5000ボルトの陽極電圧、
1200ガウスの磁場値、3×100-8トルのガス圧、及び14mmの陽極・陰
極間隔を含む。動作パラメータは、適用に応じて変化する。陰極電圧は、一般的
には約0ボルトであり、陽極電圧は3000乃至7500ボルトの範囲であり、
磁場値は1000ガウス乃至1300ガウスであり、圧力は10-3乃至10-11
トルの範囲であり、陽極・陰極間隔は5mm乃至18mmの範囲である。当業者
は、不適当な実験無しに任意の特定の適用のために正しい設定を決定しうる。
【0036】 上述の実施例は単に例示的なものであって、当業者はこれから出願される実用
特許出願の請求項に定義される本発明の範囲を逸脱することなく変形を形成しう
る。上述の改善されたイオンポンプの様々な面は、別々に又は任意の組合せで実
施されうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一般的なダイオードスパッタイオンポンプを概略的に示す図である。
【図2】 図1に示されるようなダイオードイオンポンプ用の矩形セルの従来技術による
陽極を示す断面図である。
【図3】 図1に示されるようなダイオードイオンポンプ用の円筒状セルの従来技術によ
る陽極を示す断面図である。
【図4】 図1に示されるようなダイオードイオンポンプ用の密集した円筒状セルの従来
技術による陽極を示す断面図である。
【図5】 図3に示される円筒間陽極セルからの領域中のイオンポンプ陰極樹枝状結晶を
示すイオン顕微鏡像である。
【図6】 図5の樹枝状結晶をより拡大して示すイオン顕微鏡像である。
【図7】 本発明の実施例によるマフィン型状の陰極を有するイオンポンプを示す断面図
である。
【図8】 図7のマフィン型状電極の変形例を示す断面図である。
【図9】 図8のイオンポンプを示す部分断面図である。
【図10】 本発明の様々な面を示す他のイオンポンプを示す図である。
【図11】 矩形ではないセルを有し、円筒間セルを有さない陽極を示す図である。
【手続補正書】
【提出日】平成12年11月27日(2000.11.27)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1つ以上の陽極セルを含む陽極と、 上記1つ以上の陽極セル内のプラズマを維持するための磁場の源と、 上記陽極から離間されて上記陽極の両側に1つずつ配置される2つの陰極と、 上記陰極をスパッタリングするために粒子を加速するための上記陽極と上記陰
    極の間の電界の源とを含み、 上記陰極は、イオンポンプの環境からガスを除去するためのスパッタ可能な材
    料を含み、イオンポンプの動作中は樹枝状結晶成長領域中の電界が樹枝状結晶か
    ら電界放出を生じさせるのに不十分であるような形状とされ、それによりイオン
    ポンプの動作中の不安定性を減少させる、イオンポンプ。
  2. 【請求項2】 陰極は一連の凹部を含む、請求項0記載のイオンポンプ。
  3. 【請求項3】 上記陰極の凹部は高いプラズマ密度の領域と略整列される、
    請求項0記載のイオンポンプ。
  4. 【請求項4】 上記陰極の凹部は陽極セルと略整列される、請求項0記載の
    イオンポンプ。
  5. 【請求項5】 上記陰極の凹部は上記陽極のセル間領域と略整列される、請
    求項0記載のイオンポンプ。
  6. 【請求項6】 上記イオンポンプの動作により上記陰極にクレーターが形成
    され、上記クレーターは上記凹部の中に含まれる、請求項0記載のイオンポンプ
  7. 【請求項7】 上記陰極の上記陽極セルからの突起に対応する領域の間に配
    置される高圧シールドを更に含む、請求項0記載のイオンポンプ。
  8. 【請求項8】 上記高圧シールドは、低スパッタ発生材料からなる、請求項
    0記載のイオンポンプ。
  9. 【請求項9】 複数のセルを含む陽極と、 上記複数のセル内のプラズマを維持するための磁場の源と、 上記陽極から離間され、上記イオンポンプの環境からガスを除去するためのス
    パッタ可能な材料を含み、上記陽極セルと略整列する凹部を含む陰極とを含む、
    イオンポンプ。
  10. 【請求項10】 上記陰極の凹部の電界は、上記陰極からの電界放出を生じ
    させるレベル以下に減少される、請求項0記載のイオンポンプ。
  11. 【請求項11】 上記陰極は、上記陽極のセル間領域と略整列される凹部を
    更に含む、請求項0記載のイオンポンプ。
  12. 【請求項12】 上記凹部の間に配置される高圧シールドを更に含む、請求
    項0記載のイオンポンプ。
  13. 【請求項13】 上記高圧シールドは、低スパッタ発生材料からなる、請求
    項0記載のイオンポンプ。
  14. 【請求項14】 少なくとも1つの陽極セルを有する陽極を準備する段階と
    、 上記陽極セル中のプラズマを維持するための磁場を与える段階と、 イオンポンプ環境からガスを除去するためにスパッタリングのための材料を含
    む陰極を準備する段階と、 イオン化されたガス分子を上記少なくとも1つの陽極セルによって画成される
    少なくとも1つの衝突領域の中へ陰極に向かって加速する電界を上記陽極と上記
    陰極の間に印加する段階とを含む、 イオンポンプを効率的に動作させるために十分に強い電界を維持しつつ、上記
    衝突領域において不安定性を減少させるのに十分な電界を減少させる段階とを含
    む、イオンポンプを生成する方法。
  15. 【請求項15】 上記衝突領域において電界を減少させる段階は、上記衝突
    領域において上記陽極を上記陰極から遠ざかる方向に変形させる段階を含む、請
    求項0記載の方法。
  16. 【請求項16】 上記衝突領域は少なくとも1つの陽極セルと同軸であり、
    上記衝突領域において電界を減少させる段階は上記衝突領域において上記陰極を
    上記陽極から遠ざかる方向に凹ませる段階を含む、請求項0記載の方法。
  17. 【請求項17】 陰極を準備する段階は、陰極を鋳造する段階又は金属の硬
    いブロックから陰極を機械加工する段階を含む、請求項0記載の方法。
  18. 【請求項18】 帯電された粒子の源と、 上記帯電粒子をビームへ形成する電荷粒子光学系と、 真空システムの不安定性を減少させるために陽極セルと略整列された凹部を有
    する陰極を含むイオンポンプを含む、上記帯電粒子ビームのための排気された環
    境を形成するための真空システムとを含む、改善された安定性を示す帯電粒子ビ
    ームシステム。
  19. 【請求項19】 上記帯電粒子の源は、イオンの源を含む、請求項0記載の
    帯電粒子ビームシステム。
  20. 【請求項20】 上記帯電粒子の源は、電子の源を含む、請求項0記載の帯
    電粒子ビームシステム。
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