JP6176849B2 - アルギニンアミドまたはその類似化合物を含む安定なタンパク質含有製剤 - Google Patents

アルギニンアミドまたはその類似化合物を含む安定なタンパク質含有製剤 Download PDF

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Description

本発明は安定なタンパク質含有製剤に関する。特に、光ストレスに対して安定なタンパク質含有製剤に関する。
近年、様々な抗体製剤が開発され実際に使用されている。これらの製剤の多くは、静脈注射に使用されているが、医療現場においては、自己注射が可能な皮下注射用製剤として抗体含有製剤を開発する要望が高くなっている。皮下注射用の抗体含有製剤を設計するにあたっては、1回あたりの抗体投与量が大量(100〜200 mg程度)となる一方で、皮下注射では一般的に注射液量の制限があることから、投与液中の抗体の高濃度化が必要となる。
高濃度の抗体含有溶液は、タンパク質の巨大分子としての性質及び分子間相互作用によりそれ自体粘度の高い溶液を形成する傾向にある。さらに、タンパク質を高濃度溶液にて保存する場合、会合体の生成を始めとする劣化現象が問題となり、それを防止する必要がある。特に、高濃度の抗体含有溶液を凍結状態や溶液状態で長期保存する場合、あるいは凍結融解する場合、会合体が生成しやすい(非特許文献1、2)。
現在、高濃度抗体含有製剤の安定化を図る方法として、比較的低い濃度の抗体溶液を凍結乾燥し、凍結乾燥前より少ない容量の水を用いて凍結乾燥製剤を再溶解することにより高濃度溶液製剤を調製する、いわゆる凍乾濃縮技術を利用した高濃度製剤が使用されることが多い(特許文献1)。しかし、この場合、凍結乾燥製剤の製造に糖などの凍結保護剤の添加が必要であり、再溶解後の溶液製剤の粘度の増大が懸念される。
それに対して、凍結乾燥を行わない溶液製剤であれば、この問題を回避することができると思われるが、上述のごとく、高濃度の抗体含有溶液製剤は、会合体を生じやすい。しかしながら抗体含有溶液製剤は、その取り扱いが凍結乾燥製剤に比べて簡便であり、さらにはプレフィルドシリンジ製剤への適用が容易であることから、その開発の要望が高い。
現在までに、高濃度の抗体溶液製剤の安定化を目的として、種々の検討がなされている(非特許文献1〜4)。高濃度の抗体溶液製剤に用いる安定化剤としてはアルギニンが有用であり、アルギニンを用いることにより、安定であって粘度が低く、濁度も低く保った高濃度のタンパク質または抗体製剤を提供することができると報告されている(特許文献4)。また、アルギニンおよびメチオニンを含有することを特徴として、長期保存時の二量体生成や脱アミド化が抑制された、安定な皮下投与に適した抗体含有製剤が知られている(特許文献2)。一方で、光に対する安定性については、抗体の高濃度の溶液製剤についての報告はあまりなされておらず、低濃度のペプチドホルモンに対する光安定化効果を持つとしてメチオニンが挙げられている(特許文献3)。
アルギニンの安定化効果のメカニズムはまだ知られていないが、低いタンパク質濃度における熱ストレスによるタンパク質のリフォールディングを改善する添加剤(原文:refolding additive)としてアルギニンは広く知られている。それに基づいて、アルギニン類似化合物の中からよりよいリフォールディングを改善する添加剤を検討した結果、アルギニンアミドがアルギニンよりも効果的なリフォールディングを改善する添加剤であることが報告されている(非特許文献5、特許文献5)。また、アミド化アミノ酸が熱ストレスに対する凝集抑制効果があり、その際に効果的なのはグアニジウム基よりもアミノ基或いはアミド基であるという報告がある(非特許文献6)。また、アルギニンエチルエステルには熱ストレスに対する安定化効果があることが知られている(特許文献6)。
WO 1997/004801 WO 2009/084659 特開2004-091469 WO 2006/065746 特開2007-332093 特許3976257
Steven J Shire, et al., Challenges in the development of high protein concentration formulations, J Pharm Sci, 2004, 93 (6), 1390-1402 Shire J Shire., Curr Opin Biotechnol. 2009 Dec;20(6):708-14. Epub 2009 Oct 31. Wei Wang, et al., Antibody structure, instability, and formulation, J Pharm Sci, 2007, 96 (1), 1-26 Ann L. Daugherty and Randall J. Mrsny, Formulation and delivery issues for monoclonal antibody therapeutics, Adv Drug Del Rev, 2006, 58 (5-6), 686-706 Hiroyuki Hamada and Kentaro Shiraki, L-Argininamide improves the refolding more effectively than L-arginine, J. Biotechnology, 2007, 130, 153-160 Tsuneyoshi Matsuoka, et al., Amidated Amino Acids Are Prominent Additives for Preventing Heat-Induced Aggregation of Lysozyme, J. Biosci Bioeng, 2007,103(5), 440-443
本発明は、安定なタンパク質含有製剤を提供することを課題とする。特に、光ストレスに対して安定なタンパク質含有製剤を提供することを課題とする。さらに、光ストレス安定化剤、光ストレスによるタンパク質の会合化や不安定化を抑制する方法、安定化したタンパク質含有製剤の製造方法を提供することも課題とする。
上記目的を達成するために鋭意研究した結果、本発明者らは、タンパク質含有試料に対しアルギニンアミドを添加することにより、これまでに報告されているメチオニンやアルギニン等に比べ、安定化効果、特に光ストレスに対する安定化効果を得られることを見出した。そして、アルギニンアミド、アルギニンエチルエステル、ホモアルギニン、バリンアミドからなるグループより選択される少なくとも一つを安定化剤としてタンパク質含有試料中へ添加することにより、安定なタンパク質含有製剤を得ることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下のものを提供する。
〔1〕 アルギニンアミドまたはバリンアミドを含むことを特徴とする、安定なタンパク質含有製剤。
〔2〕 アルギニンアミドまたはバリンアミドの濃度が50 mM〜200 mMである、〔1〕に記載の製剤。
〔3〕 1〜500 mMのヒスチジン緩衝液および/又はクエン酸緩衝液および1〜250 mg/mLのタンパク質を含む、〔1〕または〔2〕に記載の製剤。
〔4〕 1〜500 mMのヒスチジン緩衝液および/又はクエン酸緩衝液、1〜1500 mMの少なくとも一つのアミノ酸、1〜250 mg/mLのタンパク質を含む、〔1〕または〔2〕に記載の製剤。
〔5〕 1〜50mMのトリス緩衝液、1〜1500mMの少なくとも一つのアミノ酸、1〜250 mg/mLのタンパク質を含む、〔1〕または〔2〕に記載の製剤。
〔6〕 溶液製剤である、〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の製剤。
〔7〕 pHが5.0〜7.0である、〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の製剤。
〔8〕 タンパク質が抗体である、〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の製剤。
〔9〕 タンパク質含有試料にアルギニンアミドまたはバリンアミドを添加することを特徴とする、タンパク質の会合化を抑制する方法。
〔10〕 タンパク質含有試料にアルギニンアミドまたはバリンアミドを添加することを特徴とする、タンパク質の不安定化を抑制する方法。
〔11〕 タンパク質が抗体である、〔9〕または〔10〕に記載の方法。
〔12〕 アルギニンアミド、アルギニンエチルエステル、ホモアルギニン、およびバリンアミドからなるグループより選択される少なくとも一つを安定化剤として含むことを特徴とする、光ストレスに対して安定なタンパク質含有製剤。
〔13〕 安定化剤がアルギニンアミドであることを特徴とする、〔12〕に記載の製剤。
〔14〕 安定化剤がアルギニンエチルエステルであることを特徴とする、〔12〕に記載の製剤。
〔15〕 安定化剤がホモアルギニンであることを特徴とする、〔12〕に記載の製剤。
〔16〕 安定化剤がバリンアミドであることを特徴とする、〔12〕に記載の製剤。
〔17〕 安定化剤の濃度が50 mM〜200 mMである、〔12〕〜〔16〕のいずれか一項に記載の製剤。
〔18〕 1〜500 mMのヒスチジン緩衝液および/又はクエン酸緩衝液、1〜1500 mMの少なくとも一つのアミノ酸、1〜250 mg/mLのタンパク質を含む、〔12〕〜〔17〕のいずれか一項に記載の製剤。
〔19〕 溶液製剤である、〔12〕〜〔18〕のいずれか一項に記載の製剤。
〔20〕 pHが5.0〜7.0である、〔12〕〜〔19〕のいずれか一項に記載の製剤。
〔21〕 タンパク質が抗体である、〔12〕〜〔20〕のいずれか一項に記載の製剤。
〔22〕 アルギニンアミド、アルギニンエチルエステル、ホモアルギニン、およびバリンアミドからなるグループより選択される少なくとも一つを有効成分とする、タンパク質の光ストレス安定化剤。
〔23〕 タンパク質が溶液中に含まれるタンパク質である、〔22〕に記載の薬剤。
〔24〕 タンパク質が抗体である、〔22〕または〔23〕に記載の薬剤。
〔25〕 タンパク質含有試料にアルギニンアミド、アルギニンエチルエステル、ホモアルギニン、およびバリンアミドからなるグループより選択される少なくとも一つを添加することを特徴とする、光ストレスによるタンパク質の会合化を抑制する方法。
〔26〕 タンパク質含有試料にアルギニンアミド、アルギニンエチルエステル、ホモアルギニン、およびバリンアミドからなるグループより選択される少なくとも一つを添加することを特徴とする、光ストレスによるタンパク質の不安定化を抑制する方法。
〔27〕 タンパク質が抗体である、〔25〕または〔26〕に記載の方法。
〔28〕 タンパク質溶液に対する、アルギニンアミド、アルギニンエチルエステル、ホモアルギニン、およびバリンアミドからなるグループより選択される少なくとも一つの、光ストレス安定化剤としての使用。
〔29〕 タンパク質含有試料にアルギニンアミドを添加する工程を含む、安定化したタンパク質含有製剤の製造方法。
Mab1を25℃で2ヶ月間保存した際の会合体量の増加(%)を、添加した化合物間で比較した図である。 Mab1に光照射した際の会合体量の増加(%)を、添加した化合物間で比較した図である。 Mab1を25℃で1,2,3ヵ月間保存した際の、添加した化合物ごとの会合体量の変化を経時的に示した図である。 Mab1を40℃で2,4週間保存した際の、添加した化合物ごとの会合体量の変化を経時的に示した図である。 Mab2を25℃で1,2,3ヵ月間保存した際の、添加した化合物ごとの会合体量の変化を経時的に示した図である。 Mab2を40℃で2,4週間保存した際の、添加した化合物ごとの会合体量の変化を経時的に示した図である。
本発明者らは、高濃度の抗体を含有する試料の保存時の安定性を評価するために、熱加速試験と光安定性試験により、種々の添加剤の効果を、サイズ排除クロマトグラフィー試験を実施することにより検討した。その結果、高濃度の抗体を含有する溶液に、アルギニンアミドを溶解させた溶液においては、付加的なアルギニンアミドを含まない溶液よりも、会合体の増加量が低いことが見出された。これらの結果は、アルギニンアミドが、会合体生成を抑制することによる安定化剤として有効であることを示す。これらの検討結果は、本明細書中の後述の実施例において、2種類のヒト化抗IL-6レセプター抗体やNR10ヒト化抗体を含有する試料を用いた試験結果として例示されている。
具体的には、アルギニンアミドを含有することにより、抗体の会合体の生成が少なく、安定な高濃度抗体含有製剤とすることができる。
即ち本発明は、アルギニンアミドを含有することを特徴とする、安定なタンパク質含有製剤を提供する。さらに、本発明は、タンパク質含有試料にアルギニンアミドを添加することを特徴とする、タンパク質の会合化を抑制する方法に関する。 さらに、本発明は、タンパク質含有試料にアルギニンアミドを添加することを特徴とする、タンパク質の不安定化を抑制する方法に関する。
また本発明者らは、上記試験結果を受けて、アルギニンアミドおよびその類似化合物についてタンパク質含有製剤の光ストレスに対する安定化効果を確認した。その結果、アルギニンアミド類似化合物であるアルギニンエチルエステル、ホモアルギニン、およびバリンアミドも安定化剤として有効であることが判明し、特にアルギニンアミドおよびバリンアミドは保存時の安定性も保ったまま、光ストレスに対する安定性も向上した安定化剤であることが分かった。
つまり本発明は、光ストレスに対して安定なタンパク質含有製剤を提供する。ここで光ストレスに対して安定なタンパク質含有製剤における安定化剤として、アルギニンアミドだけでなく、アルギニンエチルエステル、ホモアルギニン、およびバリンアミドも挙げられる。即ち本発明は、アルギニンアミド、アルギニンエチルエステル、ホモアルギニン、およびバリンアミドからなるグループより選択される少なくとも一つを安定化剤として含有することを特徴とする、光ストレスに対して安定なタンパク質含有製剤を提供する。具体的には、アルギニンアミドを安定化剤として含有することを特徴とする製剤、アルギニンエチルエステルを安定化剤として含有することを特徴とする製剤、ホモアルギニンを安定化剤として含有することを特徴とする製剤、ならびにバリンアミドを安定化剤として含有することを特徴とする製剤に関する。
本発明において使用されるアルギニンアミドとしては、L-アルギニンアミドおよびその塩が好ましい。本発明の製剤において使用されるアルギニンアミドの濃度は、好ましくは1〜1500 mM、より好ましくは50〜1000 mM、より好ましくは50〜200 mMである。即ち、50mM〜200mMの間の濃度であれば、60mM, 70mM, 80mM, 90mM, 100mM, 110mM, 120mM, 130mM, 140mM, 150mM, 160mM, 170mM, 180mM, または190mMであってもよい。また、本発明において使用されるバリンアミドとしては、L-バリンアミドおよびその塩が好ましい。本発明の製剤において使用されるバリンアミドの濃度は、好ましくは1〜1500 mM、より好ましくは50〜1000 mM、より好ましくは50〜200 mMである。即ち、50mM〜200mMの間の濃度であれば、60mM, 70mM, 80mM, 90mM, 100mM, 110mM, 120mM, 130mM, 140mM, 150mM, 160mM, 170mM, 180mM, または190mMであってもよい。また本発明の製剤において使用されるアルギニンアミド、アルギニンエチルエステル、ホモアルギニン、およびバリンアミドからなるグループから選択される少なくとも一つの安定化剤の濃度は、好ましくは1〜1500 mM、より好ましくは50〜1000 mM、より好ましくは50〜200 mMである。即ち、50mM〜200mMの間の濃度であれば、60mM, 70mM, 80mM, 90mM, 100mM, 110mM, 120mM, 130mM, 140mM, 150mM, 160mM, 170mM, 180mM, または190mMであってもよい。
本発明におけるタンパク質含有製剤とは、活性成分としてタンパク質を含む製剤である。本発明における製剤は、タンパク質として糖鎖が付加されている蛋白質であることが好ましい。さらに、本発明における製剤は、タンパク質が抗体であることが好ましい。即ち本発明は、活性成分として抗体を含み、ヒト等の動物に投与できるように調製された製剤に関する。また本発明は、高濃度の抗体を含有する製剤中に安定化剤としてアルギニンアミドを添加し製剤を安定化させることが可能である。
本発明の製剤は、溶液または液体の製剤であることが好ましい。当該溶液または液体の製剤には、緩衝剤が含まれていてもよい。また当該溶液または液体の製剤には、凍結乾燥処理前の溶液もしくは液体、または再溶解後の溶液もしくは液体も含まれる。本発明の製剤は、製造過程で凍結乾燥工程を実施することなく作製される溶液または液体製剤であることが好ましい。
本発明の溶液または液体製剤は、冷蔵温度(2〜8℃)で少なくとも12ヶ月、好ましくは2年間、さらに好ましくは3年間、または室温(22〜28℃)で少なくとも6ヶ月、好ましくは1年間、より好ましくは2年間、有意な変化が観察されない。本発明の溶液または液体製剤は、22〜28℃で少なくとも6ケ月間安定である。
本発明において安定であるとは、本発明の製剤が、長期保存、凍結融解、光ストレス、またはこれらに限らず何らかの原因で生じるタンパク質の会合体が生じにくい製剤であること、即ち保存中に不溶性及び可溶性会合体の生成を始めとする劣化反応が起こりにくい製剤であることを指す。
本発明において使用され得る緩衝剤は、所望の範囲でpHを調整することができ、かつ医薬品として許容されるものである。本発明の製剤のpHは、好ましくは4.5〜7.0、より好ましくは5.0〜7.0、さらに好ましくは5.5〜6.5である。これらの緩衝剤は当業者に公知であり、その例には、リン酸塩(ナトリウムまたはカリウム)および炭酸水素ナトリウムなどの無機塩;クエン酸塩(ナトリウムまたはカリウム)、酢酸ナトリウム、およびコハク酸ナトリウムなどの有機酸;ならびにリン酸、炭酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、およびグルコン酸などの酸が含まれる。さらに、トリス緩衝液、MESおよびMOPSなどのグッド緩衝液、ヒスチジン(例えば、ヒスチジン塩酸塩)ならびにグリシンを使用することもできる。本発明の製剤において、緩衝液は、好ましくは、ヒスチジン緩衝液および/またはクエン酸緩衝液であり、ヒスチジン緩衝液が特に好ましい。緩衝液の濃度は、一般に、1〜500 mM、好ましくは5〜100 mM、より好ましくは、15〜25 mMである。加えてヒスチジン緩衝液が使用される場合、緩衝液は、好ましくは10〜30 mM、より好ましくは15〜25 mMの濃度でヒスチジンを含有する。
本発明の製剤は、さらに、アスパラギン酸やグルタミン酸などの酸性アミノ酸のみならず、メチオニン、プロリン、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、トリプトファン、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、システイン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、チロシン、バリン等のアミノ酸を安定化剤として含有してもよい。本発明のアミノ酸には、遊離のアミノ酸、そのナトリウム塩、カリウム塩、塩酸塩などの塩なども含まれる。本発明の製剤は、これらに記載されたアミノ酸のうち少なくとも一つのアミノ酸を含有することが好ましい。
本発明の製剤に対するアミノ酸の添加量は、一般には1 mM〜1500 mM、好ましくは1 mM〜1000 mMであり、さらに好ましくは5 mM〜500 mMであり、最も好ましくは10 mM〜300 mMである。
以上のように、本発明の製剤は、好ましくは、1〜500 mMのヒスチジン緩衝液および/又はクエン酸緩衝液、1〜1500 mMの少なくとも一つのアミノ酸、1〜250 mg/mLのタンパク質を含む製剤である。
本発明の製剤の別な態様として、トリス緩衝液を含む製剤も好ましい製剤である。トリス緩衝液が使用される場合、緩衝液は、好ましくは1mM〜50mM、より好ましくは5mM〜30mM、最も好ましくは10mM〜20mMである。
本発明の製剤は、pH等を適切な範囲に設定することができ、5.0〜7.0に設定されることが好ましい。
本発明における光ストレスに対して安定な抗体含有製剤とは、当該製剤中に、光ストレスが原因で抗体等のタンパク質の会合体が生成しにくい、即ち溶液あるいは凍結保存中に光ストレスが原因で不溶性及び可溶性会合体の生成を始めとする劣化反応が起こりにくい製剤を指す。
本発明において光ストレスとは、光を受けている状態を指す。光の種類(太陽光、レーザー光、放射光(電磁波)等)、光源の種類(太陽、人工光源等)、光の強度、光の照射時間、光を受けた時間に制限はない。本発明においては光照射ストレスともいう。
本発明の製剤に含まれる抗体濃度は特に制限されないが、高濃度の抗体を含有することが好ましい。即ち本発明は、安定性に優れた高濃度の抗体含有製剤に関する。抗体濃度は好ましくは、50 mg/mL以上、さらに好ましくは80 mg/mL以上、さらに好ましくは100 mg/mL以上、さらに好ましくは120 mg/mL以上、さらに好ましくは150 mg/mL以上、さらに好ましくは180 mg/mL以上である。本発明の製剤に含まれる抗体濃度の上限は、特に限定されないが、通常、250 mg/mLである。
本発明で使用される抗体は、所望の抗原と結合する限り特に制限はなく、ポリクローナル抗体であってもモノクローナル抗体であってもよく、均質な抗体を安定に生産できる点でモノクローナル抗体が好ましい。
本発明で使用されるモノクローナル抗体としては、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ヒツジ、ラクダ、サル等の動物由来のモノクローナル抗体だけでなく、キメラ抗体、ヒト化抗体、bispecific抗体など人為的に改変した遺伝子組み換え型抗体も含まれる。さらに、血中滞留性や体内動態の改善を目的とした抗体分子の物性の改変(具体的には、等電点(pI)改変、Fc受容体の親和性改変等)を行うために抗体の定常領域等を人為的に改変した遺伝子組み換え型抗体も含まれる。
また、本発明で使用される抗体の免疫グロブリンクラスは特に限定されるものではなく、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4などのIgG、IgA、IgD、IgE、IgMなどいずれのクラスでもよいが、IgG及びIgMが好ましい。
本発明で使用される抗体は、当業者に周知の方法により作製することができる。
モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、基本的には公知技術を使用し、以下のようにして作製できる。すなわち、所望の抗原や所望の抗原を発現する細胞を感作抗原として使用して、これを通常の免疫方法にしたがって免疫し、得られる免疫細胞を通常の細胞融合法によって公知の親細胞と融合させ、通常のスクリーニング法により、モノクローナルな抗体産生細胞(ハイブリドーマ)をスクリーニングすることによって作製できる。ハイブリドーマの作製は、たとえば、ミルステインらの方法(Kohler. G. and Milstein, C., Methods Enzymol. (1981) 73: 3-46 )等に準じて行うことができる。抗原の免疫原性が低い場合には、アルブミン等の免疫原性を有する巨大分子と結合させ、免疫を行えばよい。
また、抗体遺伝子をハイブリドーマからクローニングし、適当なベクターに組み込んで、これを宿主に導入し、遺伝子組換え技術を用いて産生させた遺伝子組換え型抗体を用いることができる(例えば、Carl, A. K. Borrebaeck, James, W. Larrick, THERAPEUTIC MONOCLONAL ANTIBODIES, Published in the United Kingdom by MACMILLAN PUBLISHERS LTD, 1990 参照)。具体的には、ハイブリドーマのmRNAから逆転写酵素を用いて抗体の可変領域(V領域)のcDNAを合成する。目的とする抗体のV領域をコードするDNAを得たら、これを所望の抗体定常領域(C領域)をコードするDNAと連結し、これを発現ベクターへ組み込む。または、抗体のV領域をコードするDNAを、抗体C領域のDNAを含む発現ベクターへ組み込んでもよい。発現制御領域、例えば、エンハンサー、プロモーターの制御のもとで発現するよう発現ベクターに組み込む。次に、この発現ベクターにより宿主細胞を形質転換し、抗体を発現させることができる。
本発明では、ヒトに対する異種抗原性を低下させること等を目的として人為的に改変した遺伝子組換え型抗体、例えば、キメラ(Chimeric)抗体、ヒト化(Humanized)抗体などを使用できる。これらの改変抗体は、既知の方法を用いて製造することができる。
キメラ抗体は、ヒト以外の哺乳動物、例えば、マウス抗体の重鎖、軽鎖の可変領域とヒト抗体の重鎖、軽鎖の定常領域からなる抗体であり、マウス抗体の可変領域をコードするDNAをヒト抗体の定常領域をコードするDNAと連結し、これを発現ベクターに組み込んで宿主に導入し産生させることにより得ることができる。
ヒト化抗体は、再構成(reshaped)ヒト抗体とも称され、ヒト以外の哺乳動物、たとえばマウス抗体の相補性決定領域(CDR; complementarity determining region)をヒト抗体の相補性決定領域へ移植したものであり、その一般的な遺伝子組換え手法も知られている。具体的には、マウス抗体のCDRとヒト抗体のフレームワーク領域(framework region;FR)を連結するように設計したDNA配列を、末端部にオーバーラップする部分を有するように作製した数個のオリゴヌクレオチドからPCR法により合成する。得られたDNAをヒト抗体定常領域をコードするDNAと連結し、次いで発現ベクターに組み込んで、これを宿主に導入し産生させることにより得られる(欧州特許出願公開番号EP 239400、WO 96/02576 参照)。CDRを介して連結されるヒト抗体のFRは、相補性決定領域が良好な抗原結合部位を形成するものが選択される。必要に応じ、再構成ヒト抗体の相補性決定領域が適切な抗原結合部位を形成するように抗体の可変領域のフレームワーク領域のアミノ酸を置換してもよい(Sato, K.et al., Cancer Res. (1993) 53, 851-856)。
抗体の活性、物性、薬物動態、安全性等を改善するために抗体のアミノ酸を置換する技術としては、例えば以下に述べる技術も知られており、本発明で使用される抗体には、このようなアミノ酸置換を施された抗体も含まれる。
IgG抗体の可変領域にアミノ酸置換を施す技術は、ヒト化(Tsurushita N, Hinton PR, Kumar S., Design of humanized antibodies: from anti-Tac to Zenapax., Methods. 2005 May;36(1):69-83.)をはじめとして、結合活性を増強させるための相補性決定領域(CDR)のアミノ酸置換によるaffinity maturation(Rajpal A, Beyaz N, Haber L, Cappuccilli G, Yee H, Bhatt RR, Takeuchi T, Lerner RA, Crea R., A general method for greatly improving the affinity of antibodies by using combinatorial libraries., Proc Natl Acad Sci U S A. 2005 Jun 14;102(24):8466-71.)、フレームワーク(FR)のアミノ酸置換による物理化学的安定性の向上(Ewert S, Honegger A, Pluckthun A., Stability improvement of antibodies for extracellular and intracellular applications: CDR grafting to stable frameworks and structure-based framework engineering., Methods. 2004 Oct;34(2):184-99. Review)が報告されている。また、IgG抗体のFc領域のアミノ酸置換を施す技術として、抗体依存性細胞障害活性(ADCC)活性や補体依存性細胞障害活性(CDC)活性を増強させる技術が知られている(Kim SJ, Park Y, Hong HJ., Antibody engineering for the development of therapeutic antibodies., Mol Cells. 2005 Aug 31;20(1):17-29. Review.)。さらに、このようなエフェクター機能を増強させるだけではなく、抗体の血中半減期を向上させるFcのアミノ酸置換の技術が報告されている(Hinton PR, Xiong JM, Johlfs MG, Tang MT, Keller S, Tsurushita N., An engineered human IgG1 antibody with longer serum half-life., J Immunol. 2006 Jan 1;176(1):346-56.、Ghetie V, Popov S, Borvak J, Radu C, Matesoi D, Medesan C, Ober RJ, Ward ES., Increasing the serum persistence of an IgG fragment by random mutagenesis., Nat Biotechnol. 1997 Jul;15(7):637-40.)。さらに、血中滞留性あるいは体内動態の向上を目的として、抗体の等電点(pI)を制御するためのアミノ酸置換技術、具体的には抗体の表面に露出しているアミノ酸残基を改変することにより抗体のpIを制御する技術が知られている(WO 07/114319)。さらには抗体の物性改善を目的とした定常領域の種々のアミノ酸置換技術も知られている(WO 09/41613)。
抗体の血漿中滞留性や半減期を伸ばすことにより、医薬としての抗体の投与量の低減や投与間隔の延長が期待できる。そのための有望な技術の一つとして、抗体の等電点(pI)を下げる技術が挙げられる(WO 07/114319)。本発明の製剤は、このような等電点が改変された抗体に対しても高い安定化効果を有する。このような等電点改変抗体とは、改変前の抗体の等電点よりも1以上、好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上改変された抗体をいう。なお、天然の(または通常の)抗体は、通常7.5〜9.5の範囲の等電点を有すると考えられる。本発明の製剤は、特に天然では存在し難い、低い等電点を有する抗体に対して高い安定化効果を有する。このような抗体の等電点としては5.0〜8.0が挙げられ、好ましくは5.0〜7.5であり、さらに好ましくは5.0〜7.0であり、特に好ましくは5.5〜6.5である。
また、ヒト抗体の取得方法も知られている。例えば、ヒトリンパ球をin vitroで所望の抗原または所望の抗原を発現する細胞で感作し、感作リンパ球をヒトミエローマ細胞、例えばU266と融合させ、抗原への結合活性を有する所望のヒト抗体を得ることもできる(特公平1-59878 参照)。また、ヒト抗体遺伝子の全てのレパートリーを有するトランスジェニック動物を抗原で免疫することで所望のヒト抗体を取得することができる(WO 93/12227, WO 92/03918,WO 94/02602, WO 94/25585,WO 96/34096, WO 96/33735参照)。さらに、ヒト抗体ライブラリーを用いて、パンニングによりヒト抗体を取得する技術も知られている。例えば、ヒト抗体の可変領域を一本鎖抗体(scFv)としてファージディスプレイ法によりファージの表面に発現させ、抗原に結合するファージを選択することができる。選択されたファージの遺伝子を解析すれば、抗原に結合するヒト抗体の可変領域をコードするDNA配列を決定することができる。抗原に結合するscFvのDNA配列が明らかになれば、当該配列を含む適当な発現ベクターを作製し、ヒト抗体を取得することができる。これらの方法は既に衆知であり、WO 92/01047, WO 92/20791, WO 93/06213, WO 93/11236, WO 93/19172, WO 95/01438, WO 95/15388を参考にすることができる。本発明で使用される抗体には、このようなヒト抗体も含まれる。
抗体遺伝子を一旦単離し、適当な宿主に導入して抗体を作製する場合には、適当な宿主と発現ベクターの組み合わせを使用することができる。真核細胞を宿主として使用する場合、動物細胞、植物細胞、真菌細胞を用いることができる。
動物細胞としては、(1) 哺乳類細胞、例えば、CHO, COS,ミエローマ、BHK (baby hamster kidney ),HeLa,Vero,(2) 両生類細胞、例えば、アフリカツメガエル卵母細胞、あるいは(3) 昆虫細胞、例えば、sf9, sf21, Tn5などが知られている。
植物細胞としては、ニコティアナ(Nicotiana)属、例えばニコティアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)由来の細胞が知られており、これをカルス培養すればよい。
真菌細胞としては、酵母、例えば、サッカロミセス(Saccharomyces )属、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces serevisiae)、糸状菌、例えば、アスペルギルス(Aspergillus )属、例えばアスペスギルス・ニガー(Aspergillus niger )などが知られている。
原核細胞を使用する場合、細菌細胞を用いる産生系がある。細菌細胞としては、大腸菌(E. coli)、枯草菌が知られている。これらの細胞に、目的とする抗体遺伝子を形質転換により導入し、形質転換された細胞をin vitroで培養することにより抗体が得られる。
さらに、本発明で使用される抗体には、wholeの抗体だけでなく抗体断片や低分子化抗体、並びに抗体修飾物が含まれる。例えば、抗体断片や低分子化抗体としてはFab、Fab'、F(ab')2、Fv、sFv、dsFv(disulphide stablized Fv)又は抗体のH鎖とL鎖のFvをペプチドリンカー等の適当なリンカーで結合させた一価又は二価以上のシングルチェインFv(scFv、sc(Fv)2やscFvダイマーなどのDiabodyなど) (Huston, J. S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. (1988) 85, 5879-5883) が挙げられる。具体的には、抗体を酵素、例えば、パパイン、ペプシンで処理し抗体断片を生成させるか、又は、これら抗体断片をコードする遺伝子を構築し、これを発現ベクターに導入した後、適当な宿主細胞で発現させる(例えば、Co, M. S. et al., J. Immunol. (1994) 152, 2968-2976 ; Better, M. and Horwitz, A. H., Methods Enzymol. (1989) 178, 476-496 ; Pluckthun, A. and Skerra, A., Methods Enzymol. (1989) 178, 497-515 ; Lamoyi, E., Methods Enzymol. (1986) 121, 652-663 ; Rousseaux, J. et al., Methods Enzymol. (1986) 121, 663-669 ; Bird, R. E. and Walker, B. W., Trends Biotechnol. (1991) 9, 132-137参照)。
抗体修飾物として、ポリエチレングリコール(PEG)や細胞障害性薬剤等の各種分子と結合した抗体を使用することもできる(Farmaco. 1999 Aug 30;54(8):497-516.、Cancer J. 2008 May-Jun;14(3):154-69.)。本発明の「抗体」にはこれらの抗体修飾物も包含される。このような抗体修飾物を得るには、得られた抗体に化学的な修飾を施すことによって得ることができる。これらの方法はこの分野において既に確立されている。
本発明で使用される抗体としては、抗組織因子抗体、抗IL-6レセプター抗体、HM1.24抗原モノクローナル抗体、抗副甲状腺ホルモン関連ペプチド抗体(抗PTHrP抗体)、抗ガングリオシドGM3抗体、抗TPO受容体アゴニスト抗体、凝固第VIII因子代替抗体、抗IL31レセプター抗体、抗HLA抗体、抗CXCR4抗体などを挙げることができるが、これに限定されない。
本発明で使用される好ましい再構成ヒト化抗体としては、ヒト化抗インターロイキン6(IL-6)レセプター抗体(トシリツマブ、hPM-1あるいはMRA)(WO92/19759参照)、ヒト化抗HM1.24抗原モノクローナル抗体(WO98/14580参照)、ヒト化抗副甲状腺ホルモン関連ペプチド抗体(抗PTHrP抗体)(WO98/13388を参照)、ヒト化抗組織因子抗体(WO99/51743参照)、ヒト化抗IL31レセプター抗体(WO2009/072604参照)などが挙げられる。
ヒトIgM抗体としては、抗ガングリオシドGM3組み換え型ヒトIgM抗体(WO05/005636参照)などが好ましい。
低分子化抗体としては、抗TPO受容体アゴニストDiabody(WO02/33072参照)、抗CD47アゴニストDiabody(WO01/66737参照)などが好ましい。
さらに、等電点が改良された抗体としては、例えば、WO 2009/041621に記載された抗IL-6レセプター抗体であるMab1(H鎖/配列番号:1、L鎖/配列番号:2)などがあげられる。
本発明の製剤は、さらに界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤の典型例には、非イオン性界面活性剤、例えば、モノカプリル酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、およびモノパルミチン酸ソルビタンなどのソルビタン脂肪酸エステル;モノカプリル酸グリセロール、モノミリスチン酸グリセロール、およびモノステアリン酸グリセロールなどのグリセリン脂肪酸エステル;モノステアリン酸デカグリセリル、ジステアリン酸デカグリセリル、およびモノリノール酸デカグリセリルなどのポリグリセロール脂肪酸エステル;モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、およびトリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;テトラステアリン酸ポリオキシエチレンソルビトールおよびテトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトールなどのポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル;モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ジステアリン酸ポリエチレングリコールなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンプロピルエーテル、およびポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテルなどのポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;ポリオキシエチレンヒマシ油およびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油)などのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;ポリオキシエチレンソルビトールミツロウなどのポリオキシエチレンミツロウ誘導体;ポリオキシエチレンラノリンなどのポリオキシエチレンラノリン誘導体;ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、例えば、ポリオキシエチレンオクタデカンアミドなどの6〜18のHLBを有する界面活性剤;陰イオン性界面活性剤、例えば、セチル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、およびオレイル硫酸ナトリウムなどのC10〜C18アルキル基を有するアルキル硫酸塩;ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウムなどの、添加されたエチレンオキシド単位の平均モル数が2〜4であり、アルキル基の炭素原子の数が10〜18であるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩;スルホコハク酸ラウリルナトリウムなどのC8〜C18アルキル基を有するスルホコハク酸アルキル塩;レシチンおよびグリセロリン脂質などの天然の界面活性剤;スフィンゴミエリンなどのスフィンゴリン脂質;ならびにC12〜C18脂肪酸のショ糖エステルが含まれる。これらの界面活性剤は、個別に本発明の製剤に添加されてもよいし、または、これらの界面活性剤のうちの2つ以上を組み合わせて添加してもよい。
好ましい界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルであり、特に好ましいのは、ポリソルベート(PS)20、21、40、60、65、80、81、および85、ならびにプルロニック型界面活性剤であり、最も好ましいのは、ポリソルベート20および80、ならびにプルロニックF-68(ポロキサマー(Poloxamer)188(PX188))である。
本発明の製剤に添加される界面活性剤の量は、一般に、0.0001〜10%(w/v)であり、好ましくは0.001〜5%、より好ましくは0.005〜3%である。
本発明の製剤は、さらに糖類を含有することができる。本発明にて用いられる糖類は特に限定されず、好ましい糖類としては、スクロース(ショ糖)、トレハロース、マンニトール、メグルミン及びソルビトールが挙げられる。
本発明の製剤に対する糖類の添加量は、一般には1 mM〜1000 mMであり、好ましくは5 mM〜500 mMであり、さらに好ましくは10 mM〜300 mMである。
本発明の製剤は、さらに無機塩を含有することができる。本発明にて用いられる無機塩は特に限定されず、好ましい塩類としては、マグネシウム塩及びカルシウム塩が挙げられる。
また本発明の製剤には、必要に応じて、凍結保護剤、懸濁剤、溶解補助剤、等張化剤、保存剤、吸着防止剤、希釈剤、賦形剤、pH調整剤、無痛化剤、含硫還元剤、酸化防止剤等の、通常製剤に添加される成分を適宜添加することができる。
凍結保護剤として例えば、トレハロース、スクロース(ショ糖)、マンニトール、メグルミン及びソルビトール等の糖類を挙げることができる。
懸濁剤の例には、メチルセルロース、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロース、アラビアゴム、粉末トラガカント、カルボキシメチルセルロースナトリウム、およびモノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタンが含まれる。
溶解補助剤として例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート80、ニコチン酸アミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、マグロゴール、ヒマシ油脂肪酸エチルエステル等を挙げることができる。
等張化剤として例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム等を挙げることができる。
保存剤として例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラヒドロキシ安息香酸エチル、ソルビン酸、フェノール、クレゾール、クロロクレゾール等を挙げることができる。
吸着防止剤として例えば、ヒト血清アルブミン、レシチン、デキストラン、エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド共重合体、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエチレングリコール等を挙げることができる。
希釈剤として例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類などを用いることができる。
賦形剤としては、例えば乳糖、果糖、白糖、ブドウ糖、マンニトール、ソルビット、塩化ナトリウム、グルコース、尿素、澱粉、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸、二酸化ケイ素などを用いることができる。
pH調整剤としては、塩酸、クエン酸、コハク酸、酢酸、ホウ酸、マレイン酸、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
無痛化剤としては、表面麻酔用剤、局所麻酔剤又は局所麻痺剤が用いられる。本発明で用いられる無痛化剤としては、例えば塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカイン、塩酸メプリルカイン、塩酸リドカイン、リドカイン、クロロブタノール、塩酸ジブカイン、塩酸テトラカイン、アミノ安息香酸エチル等を挙げることができる。無痛化剤は、1種のみで使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
含硫還元剤として例えば、N−アセチルシステイン、N−アセチルホモシステイン、チオクト酸、チオジグリコール、チオエタノールアミン、チオグリセロール、チオソルビトール、チオグリコール酸及びその塩、チオ硫酸ナトリウム、グルタチオン、炭素原子数1〜7のチオアルカン酸等のスルフヒドリル基を有するもの等が挙げられる。
酸化防止剤として例えば、エリソルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、L−アスコルビン酸及びその塩、L−アスコルビン酸パルミテート、L−アスコルビン酸ステアレート、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、没食子酸トリアミル、没食子酸プロピルあるいはエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)、ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム等のキレート剤が挙げられる。
また本発明は、アルギニンアミド、アルギニンエチルエステル、ホモアルギニン、およびバリンアミドからなるグループより選択される少なくとも一つを有効成分とする、タンパク質の光ストレス安定化剤に関する。当該タンパク質は、溶液中に含まれるタンパク質であることが好ましい。また本発明の薬剤におけるタンパク質は、抗体であることが好ましい。
また本発明は、アルギニンアミド、アルギニンエチルエステル、ホモアルギニン、およびバリンアミドからなるグループより選択される少なくとも一つの化合物をタンパク質含有試料に添加することを特徴とする、光ストレスによるタンパク質の会合化を抑制する方法、に関する。
また本発明は、アルギニンアミド、アルギニンエチルエステル、ホモアルギニン、およびバリンアミドからなるグループより選択される少なくとも一つの化合物をタンパク質含有溶液に添加することを特徴とする、光ストレスによるタンパク質の不安定化を抑制する方法に関する。
本発明の方法におけるタンパク質は、好ましくは抗体である。即ち本発明の方法の一つの態様として、例えば、高濃度抗体含有製剤中の安定化剤としてアルギニンアミド、アルギニンエチルエステル、ホモアルギニン、およびバリンアミドからなるグループより選択される少なくとも一つの化合物を用いることで、当該製剤の溶液状態における保存時の光ストレスによる抗体の会合化を抑制する方法が挙げられる。
本発明の製剤は、経口または非経口のいずれでも投与可能であるが、通常、非経口経路で投与される。具体的には、注射、経皮、経粘膜、経鼻、経肺などにより投与される。
経口投与及び非経口投与のための剤形及びその製造方法は当業者に周知であり、本発明による製剤に対し薬学的に許容される坦体等を混合等することにより、常法に従って製造することができる。
注射剤型の例としては、例えば、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射などにより全身又は局所的に投与することができる。皮下注射の場合、注射液量の制限があるので1回あたりの抗体投与量を大量(100〜200 mg程度)とする必要がある。そのため、本発明の製剤は皮下投与(注射)用として特に適している。
皮下投与用の製剤では、疼痛の観点から、緩衝剤の浸透圧比が等張の1.0に近いほうが望ましいと考えられている。従って、本発明の溶液製剤の浸透圧は、好ましくは約1である。また、製剤はその保存安定性を向上させるためにアルギニンや糖類などを添加し安定化を図るが、浸透圧が等張を超えてしまうと皮下投与時の疼痛の原因となるため、これらの安定化剤は浸透圧を考慮して添加することが好ましい。
本発明の製剤は、通常、密封および滅菌されたプラスチックまたはガラス製のバイアル、アンプル、注射器のような規定容量の形状の容器、ならびにバッグやボトルのような大容量の形状の容器で供給することができる。便宜性の観点から、他の容器形態として、例えば、プレフィルドシリンジ、ペン型注射器用のカートリッジが挙げられるが、これらの形態に制限されない。
また本発明は、本発明の製剤を含有するキット、および本発明の各種方法に使用するためのキットを提供する。本発明のキットには本発明の製剤が含まれる。本発明のキットには、さらに適宜、使用方法を記載した指示書等をパッケージしておくこともできる。
また本発明は、タンパク質溶液に対するアルギニンアミド、アルギニンエチルエステル、ホモアルギニン、およびバリンアミドからなるグループより選択される少なくとも一つの光ストレス安定化剤としての使用に関する。
さらに本発明は、アルギニンアミドの安定なタンパク質含有製剤の製造における使用に関する。さらに本発明は、タンパク質含有製剤の光ストレスによるタンパク質の会合化抑制方法、あるいは光ストレスによるタンパク質の不安定化抑制方法に使用するための、当該製剤中のアルギニンアミド、アルギニンエチルエステル、ホモアルギニン、およびバリンアミドからなるグループより選択される少なくとも一つの化合物に関する。
また本発明は、本発明の製剤の製造方法を提供する。即ち、タンパク質含有試料にアルギニンアミドを添加する工程を含む、安定化したタンパク質含有製剤の製造方法を提供する。
なお本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
以下、本発明を実施例によってさらに詳しく説明するが、本発明の範囲はこれら実施例のみに限定されるものではない。
〔実施例1〕Mab1を用いた安定化剤候補種の最適添加量の検討
抗体の作製方法
WO2009/041621に記載された抗IL-6レセプター抗体であるMab1(H鎖/配列番号:1、L鎖/配列番号:2;等電点を5.8に改変した抗体)は、CHO細胞安定発現株を用いて当業者の公知の方法で発現し、protein Aを含む当業者公知の方法で高純度に精製し、下記の実施例の安定性試験に使用した。
試験方法
Mab1を用い、基礎処方(Mab1:180mg/mL、ヒスチジン20mM、アルギニン100mM)に対して添加する化合物の安定性を、熱加速試験または光照射試験により評価した。サンプル調製は、Mab1高濃度原液(Mab1: 272 mg/mL、ヒスチジン 13.1 mM、アルギニン106.0 mg/mL)に対して、適切な組成の予調製液を添加し、各成分の濃度が表1に示す濃度となるように調整することにより行った。熱加速試験は、25℃で2ヶ月間保存することにより行った。光照射試験は、1000ルクスの光を7日間照射することにより行った。光照射後および25℃2か月保存後の各サンプルの会合体量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用い面積百分率法により算出した。会合体(%)の増加はMab1の安定性低下を示唆することから、各処方の安定性比較の指標として会合体増加量(%)を用いた。
安定化効果を有する可能性がある化合物の、タンパク質含有製剤における安定化効果を調べた。
サンプル調製は、前述のMab1高濃度原液を用いて、各成分の濃度が表1に示す濃度となるように調整することにより行った。
熱加速試験と光照射試験、それぞれの試験後にサイズ排除クロマトグラフィーを行った。各サンプルはそのままの濃度でG3000SWXL 7.8 mm I.D.×30 cmカラム(東ソー)を用いて分析した。移動相には300 mM NaCl を含む50 mM リン酸緩衝液(pH7.0)を用い、流速0.5 mL/minにて分析した(検出波長:280 nm)。単量体よりも早く溶出したピークを会合体、単量体よりも溶出が遅いピークを低分子分解物として解析し、それぞれの含量(%)を面積百分率法により算出した。
Figure 0006176849
25℃保存後または光照射後の各処方の会合体増加量(%)の結果を、それぞれ図1〜2に示す。光照射試験においてアルギニンアミドを添加した場合は、一般的に安定化剤として知られているアルギニンを添加した場合より、明らかに試験後の会合体増加量が減少していた。また、その減少の度合いは、アルギニンでは濃度による変化が余り見られなかったのに対し、濃度依存的であった。光安定化効果を持つことが知られているメチオニンの場合と比べても、同程度以上の会合体増加量の減少が見られた。その他の、やはり安定化剤として知られているトレハロースやプロリン、メグルミンを添加した場合では、光照射に対しての、アルギニン以上の会合体増加量の減少は見られなかった。熱加速試験においても、同様の傾向を持つ結果が得られ、本試験を行った中では200 mMのアルギニンアミドの添加の場合が、最も会合体の増加が少なかった。
〔実施例2〕安定化剤候補種の検討
実施例1の結果を受けて、アルギニンアミドおよびその類似化合物の、タンパク質含有製剤における安定化効果を調べることにした。
サンプル調製は、前述のMab1高濃度原液を用いて、各成分の濃度が表2に示す濃度となるように調整することにより行った。熱加速試験と光照射試験、それぞれの試験後にサイズ排除クロマトグラフィーを行った。各サンプルを下記移動相により約1.0 mg/mLとなるように希釈し、これらをSWXL6.0 mmI.D.×4 cm(東ソー)ガードカラムおよびG3000SWXL 7.8 mm I.D.×30 cmカラム(東ソー)により分析した。移動相には300 mM NaCl および0.05%NaN3を含む50 mM リン酸緩衝液(pH7.0)を用い、流速0.5 mL/minにて分析した(検出波長:280 nm)。単量体よりも早く溶出したピークを会合体、単量体よりも溶出が遅いピークを低分子分解物として解析し、それぞれの含量(%)を面積百分率法により算出した。
Figure 0006176849
アルギニンアミドに類似した化合物を添加することによる、光照射後または25℃保存後の各処方の会合体増加量(%)の結果を表3〜4に示す。アルギニンアミド類似化合物の中では、アルギニンエチルエステルを添加した場合に最も会合体増加量が減少しており、アルギニンアミドはその次であった。一方、熱加速試験においては、アルギニンエチルエステルは比較対象に比べて会合体増加量が著しく大きくなっており、アルギニンアミドは比較対象に比べても会合体増加量が減少していた。即ち、光安定性のみを考慮した場合にはアルギニンエチルエステルが最も適しているが、保存時の安定性を想定した熱加速試験の結果を併せて考えると、アルギニンアミドは保存時の安定性も保ったまま、光安定性も向上した安定化剤であることが分かった。
Figure 0006176849
Figure 0006176849
〔実施例3〕異なる処方での安定化効果の検討
サンプルは、前述のMab1高濃度原液に対して透析を行ってアルギニンを除去した後、適切な組成の予調製液を添加し、各成分の濃度が表5に示す濃度となるように調整し、実施例2とは異なる処方における製剤の安定化効果を調べた。熱加速試験は25℃で1ヶ月、2ヶ月または3ヵ月の保存、及び40℃で2週間又は4週間の保存をすることにより行い、光照射試験は実施例1と同様に行った。 それぞれの試験後に、各サンプルを実施例1で用いた移動相により約1.0 mg/mLとなるように希釈した後、サイズ排除クロマトグラフィーを実施例1と同様の条件で行い、それぞれの含量(%)を面積百分率法により算出した。
Figure 0006176849
新たな処方における、25℃2ヶ月保存後及び光照射後の会合体増加量(%)の結果を、それぞれ表6と表7に示す。また、25℃で保存した際の経時変化を示した結果を図3に、40℃で保存した際の経時変化を示した結果を図4及び表8に示す。なお、40℃での保存では、試料のゲル化現象により会合体量の測定が不可能であったことから、図4ではアルギニンエチルエステルのデータを除いたグラフとした。25℃における熱加速試験において、いずれの添加剤の処方も、添加剤を全く含まない処方に比べて会合体の増加量が少なかったが、その中でも、アルギニンアミドを添加した場合は、最も会合体の増加量が少ないことが示された。40℃における熱加速試験においては、アルギニンエチルエステルを含む処方を除く全ての処方が、添加剤を全く含まない処方よりも会合体の増加量が少なかった。また、25℃、40℃いずれの熱加速試験においても、時間の経過により会合体増加量の増加が見られたが、その増加量は、アルギニンアミドが最も少なかった。光照射試験においても、いずれの添加剤の処方も、添加剤を全く含まない処方よりも会合体の増加量が少なかった。光照射試験において最も会合体増加量が少なかったのはアルギニンエチルエステルを添加した処方であり、その次にアルギニンアミドを添加した処方での会合体の増加量が少なかった。
Figure 0006176849
Figure 0006176849
Figure 0006176849
〔実施例4〕Mab2での添加剤の安定化効果の検討
抗体クラスがIgG2である、アミノ酸配列を改変してpI値を5.6に低下させたNR10ヒト化抗体(WO2009/072604の実施例12に記載の方法で作製した、完全ヒト化NS22抗体)Mab2を、下記の実施例の安定性試験に使用した。
試験方法
Mab2を用い、基礎処方(Mab2:80mg/mL、トリス20mM、アルギニン50mM)に対して添加する化合物の安定性を、熱加速試験または光照射試験により評価した。サンプル調製は、Mab2高濃度原液(Mab2: 91 mg/mL、トリス 20 mM、アルギニン55.8mM, pH7.0)に対して、適切な組成の予調製液を添加し、各成分の濃度が表9に示す濃度となるように調整することにより行った。熱加速試験、及び光照射試験は、実施例3と同様の条件で行った。それぞれの試験後にサイズ排除クロマトグラフィーを、実施例3と同様の条件で行い、それぞれの含量(%)を面積百分率法により算出した。
Figure 0006176849
25℃で保存した際の会合体量の経時変化を示した結果を図5及び表10に、40℃で保存した際の会合体量の経時変化を示した結果を図6及び表11に示す。なお、図5及び図6ではアルギニンエチルエステルのデータを除いたグラフとした。25℃の熱加速試験においては、バリンアミド及びアルギニンアミドを添加した処方では会合体の増減がほとんど見られない、という結果が得られた。光照射試験においては、表12に示すようにアルギニンアミド及びバリンアミドを添加した処方が最も会合体増加量が少なかった。アルギニンエチルエステルもこれらに次いで会合体増加量が少なかった。
Figure 0006176849
Figure 0006176849
Figure 0006176849
〔実施例5〕Mab3での添加剤の安定化効果の検討
Mab3(トシリツマブ)は、CHO細胞安定発現株を用いて当業者の公知の方法で発現し、当業者公知の方法で高純度に精製した後にMab3高濃度原液(Mab3: 248 mg/mL、ヒスチジン 7.7 mM、pH6.3)の状態で保存していたものを下記の実施例の安定性試験に使用した。
試験方法
Mab3を用い、添加剤なしの処方に対して添加する化合物の安定性を、熱加速試験または光照射試験により評価した。サンプル調製は、Mab3高濃度原液に対して、適切な組成の予調製液を添加し、各成分の濃度が表13に示す濃度となるように調整することにより行った。熱加速試験及び光照射試験は、実施例3と同様の条件で行った。それぞれの試験後にサイズ排除クロマトグラフィーを、実施例3と同様の条件で行い、それぞれの含量(%)を面積百分率法により算出した。
Figure 0006176849
25℃における熱安定性試験においては、1ヶ月から3ヵ月の間の会合体量の増加が、アルギニンアミド、アルギニンエチルエステル、およびバリンアミドを含む処方では顕著に少なく、添加剤の入っていない処方が最も増加していた。40℃における熱安定性試験も、アルギニンアミドを含む処方では2週から4週の間の会合体量の増加が最も少なかった。光照射試験においても、添加剤を含まない処方では会合体の増加が見られるのに対し、アルギニンアミド、アルギニンエチルエステル、およびバリンアミドが処方されたサンプルでは会合体の変化はほとんど見られなかった。
本発明により、安定性に優れたタンパク質含有製剤が提供された。特に、光ストレスに対する安定性に優れた高濃度の抗体含有製剤が提供された。
また本発明により、溶液状態の製剤における光ストレスによる会合体生成が抑制され、即ち高濃度の抗体を含む製剤を提供することが可能となった。本発明の高濃度抗体含有製剤は、光ストレスに対して安定であるので、溶液状態で安定して長期保存することが可能である。光ストレスに対して安定化できることは、抗体製剤を保存する容器の遮光性の考慮が少なくてよいというメリットがある。

Claims (16)

  1. バリンアミドを含む、会合化が抑制された抗体含有溶液製剤。
  2. 会合化が、光ストレスによるものである、請求項1記載の製剤。
  3. バリンアミドの濃度が50 mM〜200 mMである、請求項1または2に記載の製剤。
  4. 1〜500 mMのヒスチジン緩衝液および/又はクエン酸緩衝液および1〜250 mg/mLの抗体を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製剤。
  5. 1〜500 mMのヒスチジン緩衝液および/又はクエン酸緩衝液、1〜1500 mMの少なくとも一つのアミノ酸、1〜250 mg/mLの抗体を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製剤。
  6. 1〜50mMのトリス緩衝液、1〜1500mMの少なくとも一つのアミノ酸、1〜250 mg/mLの抗体を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製剤。
  7. pHが5.0〜7.0である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製剤。
  8. 抗体含有試料にバリンアミドを添加することを特徴とする、抗体の会合化を抑制する方法。
  9. バリンアミドを安定化剤として含むことを特徴とする、光ストレスに対して会合化が抑制された抗体含有溶液製剤。
  10. 安定化剤の濃度が50 mM〜200 mMである、請求項9に記載の製剤。
  11. 1〜500 mMのヒスチジン緩衝液および/又はクエン酸緩衝液、1〜1500 mMの少なくとも一つのアミノ酸、1〜250 mg/mLの抗体を含む、請求項9または10に記載の製剤。
  12. pHが5.0〜7.0である、請求項9〜11のいずれか一項に記載の製剤。
  13. 抗体の濃度が50〜250 mg/mLである、請求項9〜12のいずれか一項に記載の製剤。
  14. 抗体の濃度が100〜250 mg/mLである、請求項9〜12のいずれか一項に記載の製剤。
  15. 抗体含有試料にバリンアミドを添加することを特徴とする、光ストレスによる抗体の会合化を抑制する方法。
  16. 抗体溶液に対する、バリンアミドの、光ストレスによる会合化抑制剤としての使用。
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