JP4083634B2 - 光に安定なカルシトニン水溶液 - Google Patents

光に安定なカルシトニン水溶液 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カルシトニンを有効成分とする水溶液に関する。
【0002】
【従来の技術】
カルシトニンは主として血清カルシウム低下作用を有するペプチドホルモンであり、天然型及びその誘導体である[ASU1,7]カルシトニンが知られている。天然型の例としては、サケカルシトニン、ブタカルシトニン、ヒトカルシトニン、ウナギカルシトニン、ニワトリカルシトニン等がある。一方、[ASU1,7]カルシトニンは天然型カルシトニンの1,7位のS-S結合をアミノスベリン酸にてCH2-CH2結合に変えたカルシトニン誘導体であり、[ASU1,7]ウナギカルシトニン(エルカトニン)が一般的に知られている。このエルカトニンと天然型であるサケカルシトニンは高カルシウム血症、骨ページェント病あるいは骨粗鬆症の治療薬として、水溶液注射剤が各国で広く使用されている。
【0003】
これらカルシトニンを医薬用水溶液製剤として供する技術については、まず、サケ、ブタ等の天然型カルシトニンを水溶液とした時は、最も安定なpH3〜pH5に調整するが、その長期保存安定性が悪く、また酸性水溶液であるため注射時の疼痛が大きいという欠点を有している。それゆえ、特許文献1あるいは特許文献2のように、pH3〜pH5の水溶液での種々の安定化技術が挙げられている。
【0004】
これに対し、エルカトニンのような[ASU1,7]カルシトニンは、天然型カルシトニンの不安定なアミノ酸配列である1,7位のジスルフィド結合を人為的に安定な結合に置き換えたペプチドであるため、特別な添加剤を含むことなくして、注射時の疼痛の少ない中性付近のpH5〜pH6.5において、はるかに安定な水溶液注射剤を製することができる。
【0005】
一方、近年水溶液注射剤はアンプルに代わって、あらかじめ注射器に薬液を充填したプレフィルドシリンジ等のキットといった形態が開発されており、これらの形態は投与時の細菌汚染の危険性回避や、患者への早急な治療行為を可能にする等メリットの多い形態である。また、それら容器もガラスに代わって軽量、コスト、強度、寸法精度等多くの面で優れたプラスチック製の容器が開発されている。
【0006】
しかしながら、カルシトニンの水溶液をプラスチック製のシリンジ等に充填した形態にしてその水溶液安定性を調べると、安定性が不十分であることが判明した。それは特に光に対する安定性において顕著に現れ、さらにはガンマ線滅菌したプラスチック容器を用いる場合、著しくカルシトニンの光安定性が低下する。このように光に不安定な注射剤の場合には、遮光容器や遮光フィルムを採用する必要性が生じる上、コストアップや内部の製品名表示が確認しにくく、さらには遮光フィルムを取り除いた後の保管時の注意事項の必要性が生じる等様々なデメリットが発生する。
【特許文献1】
特許第2739482号公報
【特許文献2】
特許第2974722号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はカルシトニンの水溶液注射剤について、熱安定性及び/又は光安定性を向上させることを課題とし、特にプラスチック製容器を使用した場合に安定なカルシトニン水溶液注射剤の完成を目指すものである。
【0008】
【課題を解決する為の手段】
本発明者らは、上記問題点を鑑み、カルシトニン水溶液の光及び/又は熱に対する安定化について更に研究を行った結果、全く意外にも、メチオニン、アラニン、アルギニン、イソロイシン、バリン、トレオニン、塩酸リジン、グルタミン酸-リジン、クレアチニン、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、マンニトール及びキシリトールからなる群より選ばれる化合物の一種あるいは二種以上を含有させることにより、カルシトニン水溶液が光及び/又は熱に対して安定性が向上することを見出した。
【0009】
その結果、カルシトニンを有効成分とした水溶液注射剤の添加剤として、メチオニン、アラニン、アルギニン、イソロイシン、バリン、トレオニン、塩酸リジン、グルタミン酸-リジン、クレアチニン、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、マンニトール及びキシリトールからなる群より選ばれる化合物の一種または二種以上を含有させ、さらに必要に応じpH緩衝剤を用いて所定のpHに調整することにより、光及び/又は熱安定性に優れたエルカトニン水溶液を供給する技術を完成させた。
【0010】
すなわち本発明は、カルシトニンを有効成分とし、メチオニン、アラニン、アルギニン、イソロイシン、バリン、トレオニン、塩酸リジン、グルタミン酸-リジン、クレアチニン、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、マンニトール及びキシリトールからなる群より選ばれる化合物を、一種または二種以上を含むことを特徴とするカルシトニン水溶液である。
【0011】
また本発明はカルシトニン水溶液の光安定性を改善する方法であって、カルシトニン水溶液にメチオニン、アラニン、アルギニン、イソロイシン、バリン、トレオニン、塩酸リジン、グルタミン酸-リジン、クレアチニン、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、マンニトール及びキシリトールからなる群より選ばれる化合物を一種または二種以上添加することを特徴とするカルシトニン水溶液の光安定性改善方法である。
【0012】
本発明の有効成分であるカルシトニンとは、天然型カルシトニンであれば、サケカルシトニン、ブタカルシトニン、ヒトカルシトニン、ウナギカルシトニン、ニワトリカルシトニン等が使用される。また、[ASU1,7]カルシトニンであれば、[ASU1,7]ウナギカルシトニン(エルカトニン)、[ASU1,7]ニワトリカルシトニン等が使用される。好ましくは[ASU1,7]ウナギカルシトニン(エルカトニン)を用いる。
【0013】
本発明において添加する化合物としては、メチオニン、アラニン、アルギニン、イソロイシン、バリン、トレオニン、塩酸リジン、グルタミン酸-リジン、クレアチニン、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、マンニトール及びキシリトールがあげられ、好ましくはメチオニン、バリン、キシリトールが選ばれる。また、これらの化合物の光学異性体、例えば、アミノ酸のL体、DL体は共に使用できる。更にまた、これらの化合物の添加量はカルシトニン1重量に対し、1重量以上が好ましく、さらに好ましくは100から3000重量を添加すればいい。また、カルシトニン水溶液中のこれらの化合物の濃度の下限は0.1mg/mL以上、好ましくは1mg/mL以上、さらに好ましくは5mg/mL以上、上限は100mg/mL以下、好ましくは50mg/mL以下、さらに好ましくは30mg/mL以下である。
【0014】
また、pH緩衝剤としては、注射用製剤に添加可能なpH緩衝作用を有するものが用いられ、例えば酢酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸およびその塩などから適宜選ばれてなる組成があげられるが、酢酸及びその塩が最も好ましい。また、薄めた塩酸や水酸化ナトリウムでpHを微調節してもよい。
【0015】
次いで水溶液を調製するにあたっては、まず例えば、0.05〜100mM、好ましくは0.1〜50mMの上記pH緩衝剤を常法により注射用蒸留水に溶解し、天然型カルシトニンの場合は最も安定なpHであるpH3〜pH5に調整し、[ASU1,7]カルシトニンの場合はpH5〜pH6.5に調整することが好ましい。こうして得られたpH緩衝液に安定化剤として上述の化合物の有効量を添加し、目的のpHに再調整する。更に、有効成分であるカルシトニンの有効量を溶解する。カルシトニンの有効含有量は例えば、水溶液1mLあたり通常1〜100μgであり、好ましくは水溶液の場合は溶液1mL当たり1〜30μg である。
【0016】
さらに必要に応じて、保存剤、等張化剤を加えることができる。保存剤としては、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル等のパラベン類、2-フェニルエタノール、エチルアルコール、クロロブタノール等のアルコール類、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム等の界面活性剤を添加しても良い。
【0017】
等張化剤としては製剤学上許容されている一般的なものであればよく、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム等の無機塩類、単糖類、二糖類等の糖類が使用できる。更に、適宜常法により無菌化処理をすればいい。
【0018】
このようにして得られたカルシトニン水溶液組成物は、例えばアンプル、バイアル、プレフィルドシリンジ、ソフトバック、自己注射型のペン型キット、針無し注射器の容器、点鼻投与用容器、経肺投与用容器等に充填することにより、安定化されたカルシトニン水溶液製剤とすることができる。プレフィルドシリンジ、自己注射型のペン型キット及び針無し注射器とは、形状は特に限定されないが、例えば、カルシトニン水溶液組成物をあらかじめそれらの容器に詰めた状態で密栓し、貯蔵・流通させる。医療現場等においてアンプル・バイアル等のように移し替えすることなく、人体に注射する時に、例えば、先端の密栓を外し、または切り離し注射するものである。
【0019】
それらの容器の材質として、ガラス及びプラスチックが挙げられる。ガラス容器としてはホウケイ酸ガラスまたは内表面を脱アルカリ処理の特殊加工したガラス容器を用いてもよいが、プラスチック容器が好ましい。プラスチック容器としては、環状ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンとα-オレフィンの共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルペンテン、6フッ化樹脂、ポリメチルメタアクリレート、ポリカーボネイト等とそれら樹脂とシクロオレフィン類との共重合体などからなる容器が挙げられるがこの限りでない。好ましくは環状ポリオレフィン、ポリスチレンが挙げられる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は、これらの実施例に限られるものではない。
【0021】
【実施例】
本発明を実施例に基づいて説明する。
〔実施例1〕
50mMの酢酸ナトリウムを含む生理食塩液(pH5.5)100mLに表1に示す本発明の化合物A〜Fをそれぞれ1gまたは3g加えて溶かした。必要に応じて1M酢酸を加えてpH5.5に調整した。こうして得られたそれぞれの溶液に[ASU1,7]ウナギカルシトニンであるエルカトニン0.5mgを溶解して、エルカトニン水溶液組成物1A〜1Fを得た。次に、このエルカトニン水溶液組成物それぞれを無菌ろ過し、環状ポリオレフィン製シリンジに約1mLずつ充填して、[ASU1,7]ウナギカルシトニンであるエルカトニン約5μgを含有する水溶液注射剤1A〜1Fを得た。
【0022】
〔実施例2〕
50mMの酢酸ナトリウムを含む生理食塩液(pH4.0)100mLに表1に示す本発明の化合物Bを1g加えて溶かした。こうして得られた溶液に天然型カルシトニンであるサケカルシトニン0.5mgを溶解して、サケカルシトニン水溶液組成物2Bを得た。次にこの水溶液組成物を無菌ろ過し、環状ポリオレフィン製シリンジに約1mLずつ充填して、天然型カルシトニンであるサケカルシトニン約5μgを含有する水溶液注射剤2Bを得た。
【0023】
〔実施例3〕
50mMの酢酸ナトリウムを含む生理食塩液(pH4.0)100mLに表1に示す本発明の化合物Bを1g加えて溶かした。こうして得られた溶液に天然型カルシトニンであるヒトカルシトニン0.5mgを溶解して、ヒトカルシトニン水溶液組成物3Bを得た。次にこの水溶液組成物を無菌ろ過し、環状ポリオレフィン製シリンジに約1mLずつ充填して、天然型カルシトニンであるヒトカルシトニン約5μgを含有する水溶液注射剤3Bを得た。
【0024】
〔実施例4〕
50mMの酢酸ナトリウムを含む生理食塩液(pH4.0)100mLに表1に示す本発明の化合物Bを1g加えて溶かした。こうして得られた溶液に[ASU1,7]ウナギカルシトニンであるエルカトニン0.5mgを溶解して、エルカトニン水溶液組成物4Bを得た。次に、この水溶液組成物それぞれを無菌ろ過し、環状ポリオレフィン製シリンジに約1mLずつ充填して、[ASU1,7]ウナギカルシトニンであるエルカトニン約5μgを含有する水溶液注射剤4Bを得た。
【0025】
〔実施例5〕
50mMの酢酸ナトリウムを含む生理食塩液(pH5.5)100mLに表1に示す本発明の化合物Bを1g加えて溶かした。こうして得られた溶液に天然型カルシトニンであるサケカルシトニン1mgを溶解して、サケカルシトニン水溶液組成物5Bを得た。次にこの水溶液組成物を無菌ろ過し、環状ポリオレフィン製シリンジに約1mLずつ充填して、天然型カルシトニンであるサケカルシトニン約10μgを含有する水溶液注射剤5Bを得た。
【0026】
〔実施例6〕
50mMの酢酸ナトリウムを含む生理食塩液(pH5.5)100mLに表1に示す本発明の化合物Bを1g加えて溶かした。こうして得られた溶液に天然型カルシトニンであるヒトカルシトニン1mgを溶解して、ヒトカルシトニン水溶液組成物6Bを得た。次にこの水溶液組成物を無菌ろ過し、環状ポリオレフィン製シリンジに約1mLずつ充填して、天然型カルシトニンであるヒトカルシトニン約10μgを含有する水溶液注射剤6Bを得た。
【0027】
〔比較例1〕
50mMの酢酸ナトリウムを含む生理食塩液(pH5.5)100mLに、表2に示す従来技術で述べられている本発明以外の化合物G〜Jをそれぞれ1gまたは3g加えて溶かした。必要に応じて1M酢酸を加えてpH5.5に調整した。こうして得られたそれぞれの溶液に[ASU1,7]ウナギカルシトニンであるエルカトニン0.5mgを溶解して、エルカトニン水溶液組成物1G〜1Jを得た。次に、この水溶液組成物それぞれを無菌ろ過し、環状ポリオレフィン製シリンジに約1mLずつ充填して、[ASU1,7]ウナギカルシトニンであるエルカトニン約5μgを含有する水溶液注射剤1G〜1Jを得た。
【0028】
〔比較例2〕
50mMの酢酸ナトリウムを含む生理食塩液(pH4.0)100mLに表2に示す本発明以外の化合物Gを1g加えて溶かした。こうして得られた水溶液に天然型カルシトニンであるサケカルシトニン0.5mgを溶解して、サケカルシトニン水溶液組成物2Gを得た。次にこの水溶液組成物を無菌ろ過し、環状ポリオレフィン製シリンジに約1mLずつ充填して、天然型カルシトニンであるサケカルシトニン約5μgを含有する水溶液注射剤2Gを得た。
【0029】
〔比較例3〕
50mMの酢酸ナトリウムを含む生理食塩液(pH4.0)100mLに[ASU1,7]ウナギカルシトニンであるエルカトニン0.5mgを溶解して、化合物を添加しないエルカトニン水溶液組成物7Zを得た。次にこの水溶液組成物を無菌ろ過し、環状ポリオレフィン製シリンジに約1mLずつ充填して、[ASU1,7]ウナギカルシトニンであるエルカトニン約5μgを含有する水溶液注射剤7Zを得た。
【0030】
〔比較例4〕
50mMの酢酸ナトリウムを含む生理食塩液(pH5.5)100mLに天然型カルシトニンであるサケカルシトニン1mgを溶解して、化合物を添加しないサケカルシトニン水溶液組成物8Zを得た。次にこの水溶液組成物を無菌ろ過し、環状ポリオレフィン製シリンジに約1mLずつ充填して、天然型カルシトニンであるサケカルシトニン約10μgを含有する水溶液注射剤8Zを得た。
【0031】
〔比較例5〕
50mMの酢酸ナトリウムを含む生理食塩液(pH5.5)100mLに天然型カルシトニンであるヒトカルシトニン1mgを溶解して、化合物を添加しないサケカルシトニン水溶液組成物9Zを得た。次にこの水溶液組成物を無菌ろ過し、環状ポリオレフィン製シリンジに約1mLずつ充填して、天然型カルシトニンであるヒトカルシトニン約10μgを含有する水溶液注射剤9Zを得た。
【0032】
【表1】
実施例の化合物と添加濃度一覧
Figure 0004083634
【0033】
【表2】
比較例の化合物と添加濃度一覧
Figure 0004083634
【0034】
〔試験例1〕
本発明に従って調製された実施例1A〜1F、2B及び3Bと、本発明以外の比較例1G〜1J及び2Gのカルシトニン水溶液注射剤を光安定性試験器中に保存し、総照射量120万Lux・hrの光を照射した。その後、次の条件による液体クロマトグラフ法にて測定し、残存率を求めた。その結果を表3に示す。
操作条件
カラム:ODS 4.6mmID×150mm
検出器:紫外吸光光度計 225nm
移動相:0.1%TFA・CH3CN(66:34)
【0035】
【表3】
光照射試験の結果
Figure 0004083634
以上の通り、本発明の化合物を添加した実施例1A〜1Fの[ASU1,7]ウナギカルシトニンであるエルカトニン水溶液注射剤及び2B並びに3Bの天然型カルシトニン水溶液注射剤は80%以上の残存率を示した。また、従来技術である本発明以外の化合物を添加した比較例1G〜1J、2Gのカルシトニン注射液剤に比べて光安定性が向上していた。
【0036】
〔試験例2〕
試験例1と同様に、本発明に従って調製された実施例1A〜1F、2B、4B、5B及び6Bと、本発明以外の比較例1G〜1J、2G、7Z、8Z及び9Zのカルシトニン水溶液注射剤を各々紙箱に入れ、60℃の恒温器中で2週間保存した。その後、試験例1と同様の条件による液体クロマトグラフ法にて測定し、残存率を求めた。その結果を表4に示す。
【0037】
【表4】
熱安定性試験の結果
Figure 0004083634
以上の通り、同じ種類のカルシトニンで、かつ同じpHであれば、本発明の化合物を添加した実施例の注射剤は、本発明以外の化合物を添加した比較例又は化合物を何も添加しない比較例の注射剤に比べて熱に対する安定性が同等かそれ以上の結果を示した。
【0038】
さらに、[ASU1,7]カルシトニンであるエルカトニンの場合、実施例1Bと実施例4Bを比較すると、本発明の同じ化合物を添加してもpH4.0よりも本発明のpH範囲であるpH5.5の方がより安定であった。一方、天然型カルシトニンであるサケカルシトニンの場合、実施例2Bと実施例5Bを比較すると、本発明の同じ化合物を添加しても、pH5.5よりも本発明のpH範囲であるpH4.0の方がより安定である結果が得られた。
【0039】
〔実施例7〕
実施例1の要領で[ASU1,7]ウナギカルシトニンであるエルカトニン水溶液組成物を得た。次にこの水溶液組成物をプラスチック製シリンジ及びガラス製シリンジに各々約1mLずつ充填して、密栓し、容器材質の異なる2種類の水溶液注射剤を得た。
【0040】
〔試験例3〕
実施例7で得られた容器材質の異なる2種類の水溶液注射剤各10本につき、高さ70cmから落下試験を行なった。
【0041】
【表5】
落下試験結果
Figure 0004083634
以上の通り、プラスチック製シリンジを使用した場合、ガラス製シリンジに比べて破損率が低い結果を示した。これはプラスチック製容器の持つ最も大きなメリットであり、破損した容器の破片による切傷等の怪我を防止することができる。さらに表6に注射剤としての重量を示したが、ガラス製シリンジに比べ、本発明のプラスチック製シリンジは軽量であるメリットもある。
【0042】
【表6】
プラスチック製シリンジのメリット
Figure 0004083634
【0043】
【発明の効果】
本発明の技術により、熱、特に光に対して安定なカルシトニン水溶液注射剤を供給することができる。さらにその効果はプラスチック容器に充填されたシリンジ等のキットにおいて顕著であり、ユーザーの使用時に多くのメリットを持つ安定かつ安全な水溶液注射剤を供給できる。

Claims (8)

  1. カルシトニン水溶液をプラスチック容器に充填した後、遮光しない条件下にて総照射量120万Lux・hrの光照射をした場合にカルシトニンの残存率が80%以上である、カルシトニン水溶液にメチオニン、アラニン、イソロイシン、及びバリンからなる群より選ばれる化合物を一種または二種以上含有させることを特徴とするプラスチック容器に充填されたカルシトニン水溶液の光安定性改善方法。
  2. カルシトニン水溶液をプラスチック容器に充填した後、遮光しない条件下にて総照射量120万Lux・hrの光照射をした場合にカルシトニンの残存率が80%以上である、カルシトニン水溶液にメチオニンを含有させることを特徴とするプラスチック容器に充填されたカルシトニン水溶液の光安定性改善方法。
  3. カルシトニンが[ASU1,7]カルシトニンであり、pH緩衝剤を含有させてpH5〜6.5に調整することを特徴とする請求項1又は2に記載のカルシトニン水溶液の光安定性改善方法。
  4. [ASU1,7]カルシトニンが、[ASU1,7]ウナギカルシトニンである請求項に記載のカルシトニン水溶液の光安定性改善方法。
  5. カルシトニンが天然型カルシトニンであり、pH緩衝剤を含有させてpH3〜5に調整することを特徴とする請求項1又は2に記載のカルシトニン水溶液の光安定性改善方法。
  6. プラスチックが環状ポリオレフィン又はポリスチレンである請求項1〜5のいずれか1項に記載のカルシトニン水溶液の光安定性改善方法。
  7. プラスチック容器に充填されたカルシトニンを有効成分として含有する水溶液注射剤の製造方法において、光に対する安定化剤としてメチオニンを加えることを特徴とする製造方法。
  8. カルシトニンが、[ASU1,7]カルシトニンである請求項に記載の製造方法。
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