JP2013525484A - タンパク質含有製剤の粘度を低減させるために有用な組成物及び方法 - Google Patents

タンパク質含有製剤の粘度を低減させるために有用な組成物及び方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、水性タンパク質含有製剤の粘度を低減させるための、例えばある種の荷電アミノ酸及びその構造アナログを含むある種の化合物の使用に関するものである。関連する組成物及び使用方法もまた本発明において考慮される。

Description

(関連出願)
本出願は、出典明示によりここに完全に援用される2010年5月3日出願の米国仮特許出願第61/330689号の優先権を主張する。
本発明は、水性タンパク質含有製剤の粘度を低減させるための、例えばある種の荷電アミノ酸とその構造アナログを含むある種の化合物の使用に関する。関連する組成物と使用方法もまた本発明において考慮される。
(抗体ベース療法剤を含む)タンパク質ベース療法剤は通常規則的なベースで投与され、注入によって数mg/kg投薬量を必要とする。皮下注射はこれらの療法剤の典型的な投与経路である。皮下注射に使用される容量は少ないため(通常1.0ml−1.2ml)、高用量の抗体療法剤では、この投与経路は高濃度のタンパク質製剤(例えば50mg/ml−300mg/ml)の創製を必要とする。
しかしながら、高度に濃縮したタンパク質製剤の創製は、タンパク質の物理的及び化学的安定性に関する挑戦、タンパク質製剤の製造、保存、輸送の困難性の問題を生じる。一つの問題は加工処理及び/又は保存中に粒子を形成するタンパク質の傾向であり、これが更なる処理における操作を困難にしている。この問題を解消すべく、タンパク質製剤には界面活性剤及び/又は糖が添加されている。界面活性剤及び糖はタンパク質の粒子形成の度合いを低減しうるが、濃縮されたタンパク質製剤を取り扱い投与する際に伴う他の問題、つまり粘度の増加には対処していない。実際、糖はタンパク質内の又はタンパク質間の分子間相互作用を亢進させうるか、又は糖分子間に相互作用を作り出し、タンパク質製剤の粘度を増加させうる。
タンパク質製剤の粘度増加は、患者へのドラッグデリバリーによるプロセシングからネガティブな影響を有している。高度に濃縮された水性タンパク質含有製剤に対する粘度低減剤の影響を研究すべく様々な試みがなされている(例えば米国特許第6875432号を参照)。これらの試みにもかかわらず、新規なタンパク質粘度低減剤を同定し、製造、保存、及び治療的、特に皮下投与に適した適度に低粘度の比較的高濃度のタンパク質製剤を生成するためにその薬剤を用いることには、絶えない必要性がある。
本発明は、ある種の荷電アミノ酸及びその誘導体、前駆体又は構造アナログを含むある種の化合物が、水性形態の製剤の粘度を低減させる目的でのタンパク質含有製剤への添加剤として有用であるという新規な知見に基づいている。
従って、一態様では、本発明は、タンパク質と該タンパク質を含有する水性製剤の粘度を低減可能な化合物を含む組成物(composition of matter)に関する。一実施態様では、タンパク質は抗体である。他の実施態様では、上記タンパク質を含有する水性製剤の粘度を低減可能な化合物は、アルギニン(アルギニン-HC又はコハク酸塩対イオンの存在下のアルギニン、例えばアルギニンスクシネート)、アルギニンジペプチド、アルギニントリペプチド、ポリアルギニン、ホモアルギニン、2-アミノ-3-グアニジノ-プロピオン酸、グアニジン、オルニチン、アグマチン、グアニジノ酪酸、尿素、シトルリン、N-ヒドロキシ-L-ノル-アルギニン、ニトロアルギニンメチルエステル、アルギニンアミド、アルギニンメチルエステル、アルギニンエチルエステル、リジン、リシンアミド、リシンメチルエステル、ヒスチジン、ヒスチジンメチルエステル、ヒスタミン、アラニン、アラニンアミド、アラニンメチルエステル、プトレシン、カダベリン、スペルミジン、スペルミン、及びメチオニンからなる群から選択される。このような化合物は、少なくとも10mM、好ましくは少なくとも20mM、より好ましくは少なくとも50mM、更により好ましくは少なくとも100mMである濃度で、更により好ましくは約10mMから約1Mの濃度で製剤中に存在しうる。該組成物は水性又は凍結乾燥形態でありうる。水性形態では、組成物は約150cP以下、好ましくは約120cP以下、好ましくは約100cP以下、好ましくは約90cP以下、好ましくは約80cP以下、好ましくは約70cP以下、好ましくは約60cP以下、好ましくは約50cP以下、好ましくは約40cP以下の粘度を有しうる。組成物中に存在する全タンパク質濃度は少なくとも50mg/ml、好ましくは少なくとも75mg/ml、より好ましくは少なくとも100mg/ml、より好ましくは少なくとも150mg/ml、より好ましくは少なくとも200mg/ml、より好ましくは少なくとも250mg/ml、より好ましくは少なくとも300mg/mlである。
本発明の他の態様は、ここに記載の組成物の何れかを収容した容器を含む製造品に関する。
他の態様では、タンパク質含有製剤の粘度を低減させる方法であって、上記タンパク質を含有する水性製剤の粘度を低減可能な化合物の粘度低減量を製剤に添加する工程を含んでなる方法が提供される。一実施態様では、タンパク質は抗体である。他の実施態様では、上記タンパク質を含有する水性製剤の粘度を低減可能な化合物は、アルギニン(アルギニン-HC又はコハク酸塩対イオンの存在下のアルギニン、例えばアルギニンスクシネート)、アルギニンジペプチド、アルギニントリペプチド、ポリアルギニン、ホモアルギニン、2-アミノ-3-グアニジノ-プロピオン酸、グアニジン、オルニチン、アグマチン、グアニジノ酪酸、尿素、シトルリン、N-ヒドロキシ-L-ノル-アルギニン、ニトロアルギニンメチルエステル、アルギニンアミド、アルギニンメチルエステル、アルギニンエチルエステル、リジン、リシンアミド、リシンメチルエステル、ヒスチジン、ヒスチジンメチルエステル、ヒスタミン、アラニン、アラニンアミド、アラニンメチルエステル、プトレシン、カダベリン、スペルミジン、スペルミン、及びメチオニンからなる群から選択される。このような化合物は、少なくとも10mM、好ましくは少なくとも20mM、より好ましくは少なくとも50mM、更により好ましくは少なくとも100mMである最終濃度に達するように、更により好ましくは約10mMから約1Mの濃度で製剤に添加されうる。一実施態様では、該方法は、上記タンパク質を含有する水性製剤の粘度を低減可能な化合物を添加した後に製剤を凍結乾燥させる工程を更に含む。水性形態では、製剤は、約150cP以下、好ましくは約120cP以下、好ましくは約100cP以下、好ましくは約90cP以下、好ましくは約80cP以下、好ましくは約70cP以下、好ましくは約60cP以下、好ましくは約50cP以下、好ましくは約40cP以下の粘度を有しうる。製剤中に存在する全タンパク質濃度は少なくとも50mg/ml、好ましくは少なくとも75mg/ml、より好ましくは少なくとも100mg/ml、より好ましくは少なくとも150mg/ml、より好ましくは少なくとも200mg/ml、より好ましくは少なくとも250mg/ml、より好ましくは少なくとも300mg/mlである。
更に他の態様では、水性タンパク質含有製剤の調製方法であって、上記タンパク質を含有する水性製剤の粘度を低減可能な化合物の粘度低減量を製剤に添加する工程を含んでなる方法が提供される。一実施態様では、タンパク質は抗体である。他の実施態様では、上記タンパク質を含有する水性製剤の粘度を低減可能な化合物は、アルギニン(アルギニン-HC又はコハク酸塩対イオンの存在下のアルギニン、例えばアルギニンスクシネート)、アルギニンジペプチド、アルギニントリペプチド、ポリアルギニン、ホモアルギニン、2-アミノ-3-グアニジノ-プロピオン酸、グアニジン、オルニチン、アグマチン、グアニジノ酪酸、尿素、シトルリン、N-ヒドロキシ-L-ノル-アルギニン、ニトロアルギニンメチルエステル、アルギニンアミド、アルギニンメチルエステル、アルギニンエチルエステル、リジン、リシンアミド、リシンメチルエステル、ヒスチジン、ヒスチジンメチルエステル、ヒスタミン、アラニン、アラニンアミド、アラニンメチルエステル、プトレシン、カダベリン、スペルミジン、スペルミン、及びメチオニンからなる群から選択される。このような化合物は、少なくとも10mM、好ましくは少なくとも20mM、より好ましくは少なくとも50mM、更により好ましくは少なくとも100mMである最終濃度に達するように、更により好ましくは約10mMから約1Mの濃度で製剤に添加されうる。水性形態では、製剤は、約150cP以下、好ましくは約120cP以下、好ましくは約100cP以下、好ましくは約90cP以下、好ましくは約80cP以下、好ましくは約70cP以下、好ましくは約60cP以下、好ましくは約50cP以下、好ましくは約40cP以下の粘度を有しうる。製剤中に存在する全タンパク質濃度は少なくとも50mg/ml、好ましくは少なくとも75mg/ml、より好ましくは少なくとも100mg/ml、より好ましくは少なくとも150mg/ml、より好ましくは少なくとも200mg/ml、より好ましくは少なくとも250mg/ml、より好ましくは少なくとも300mg/mlである。
他の実施態様はこの特許明細書を読むと明らかになるであろう。
本発明は、特定の実施態様の次の詳細な記載及びそこに含まれる実施例を参照するとより即座に理解できる。
他に定義しない限り、ここで使用される全ての技術的及び科学的用語は本発明の属する技術分野における当業者によって通常理解されるものと同じ意味を持つ。ここに記載されるものと類似又は等価な方法及び材料を本発明の実施又は試験に使用することができ、好ましい方法及び材料を以下に記載する。ここに述べられる全ての刊行物は、それらの全体を出典明示によってここに援用する。
本発明は、ある種の荷電アミノ酸及びその構造アナログを含むある種の化合物が、水性タンパク質含有製剤の粘度を低減させるためになるという新規な知見に基づいている。従って、一態様では、本発明は、タンパク質と該タンパク質を含有する水性製剤の粘度を低減可能な化合物を含む組成物を記述する。ある実施態様では、タンパク質を含有する水性製剤の粘度を低減可能なものとしてここで同定された化合物は、例えば次のものを含む:
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上述の化合物は粘度低減剤として単独で用いることができ、又は他の粘度低減剤との組み合わせで用いることができる。このような化合物は、単独で又は組み合わせて)少なくとも10mM、好ましくは少なくとも20mM、より好ましくは少なくとも50mM、更により好ましくは少なくとも100mM、更により好ましくは約10mMと1Mの間の濃度である最終濃度に達するようにタンパク質含有製剤に添加されうる。
一般に、本発明の粘度低減剤は、タンパク質含有製剤の粘度を低減させる際に使用することができ、ここで、製剤中のタンパク質濃度は、少なくとも約 50mg/ml、好ましくは少なくとも75mg/ml、より好ましくは少なくとも100mg/ml、より好ましくは 少なくとも150mg/ml、より好ましくは少なくとも200mg/ml、より好ましくは少なくとも250mg/ml、より好ましくは少なくとも300mg/mlである。
水性形態では、(水性タンパク質含有製剤の粘度を低減可能な化合物の添加後の)タンパク質含有製剤は、約150cP以下、好ましくは約120cP以下、好ましくは約100cP以下、好ましくは約90cP以下、好ましくは約80cP以下、好ましくは約70cP以下、好ましくは約60cP以下、好ましくは約50cP以下、好ましくは約40cP以下の粘度を有しうる。
「ポリペプチド」又は「タンパク質」とは、鎖長がより高レベルの三次及び/又は四次構造をつくるのに十分であるアミノ酸の配列を意味する。よって、タンパク質は、そのような構造を持たないまたアミノ酸ベースの分子である「ペプチド」とは区別される。典型的には、ここで使用されるタンパク質は少なくとも約5−20kD、あるいは少なくとも約15−20kD、好ましくは少なくとも約20kDの分子量を有するであろう。「ペプチド」は、一般には高レベルの三次及び/又は四次構造を示さないアミノ酸の配列を意味する。ペプチドは一般に約5kD未満の分子量を有している。
ここでの定義に包含されるポリペプチドの例は、哺乳動物タンパク質、例えばレニン;ヒト成長ホルモン及びウシ成長ホルモンを含む成長ホルモン;成長ホルモン放出因子;副甲状腺ホルモン;甲状腺刺激ホルモン;リポタンパク質;α-1-アンチトリプシン;インスリンA鎖;インスリンB鎖;プロインスリン;濾胞刺激ホルモン;カルシトニン;黄体形成ホルモン;グルカゴン;第VIIIC因子、第IX因子、組織因子、及びフォン・ウィルブランド因子などの凝固因子;プロテインC等の抗凝固因子;心房性ナトリウム利尿因子;肺サーファクタント;プラスミノーゲン活性化剤、例えばウロキナーゼ又はヒト尿素又は組織型プラスミノーゲンアクチベータ(t-PA);ボンベシン;トロンビン;造血増殖因子;腫瘍壊死因子-α及びβ;エンケファリン分解酵素;RANTES(regulated on activation normally T-cell expressed and secreted);ヒトマクロファージ炎症タンパク質(MIP-1-α);ヒト血清アルブミン等の血清アルブミン;ミューラー阻害物質;リラキシンA-鎖;リラキシンB-鎖;プロレラキシン;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;β-ラクタマーゼ等の微生物タンパク質;DNアーゼ;IgE;CTLA-4等の細胞毒性Tリンパ球関連抗原(CTLA);インヒビン;アクチビン;血管内皮増殖因子(VEGF);ホルモン又は増殖因子のレセプター;プロテインA又はD;リウマチ因子;神経栄養因子、例えば脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン-3、-4、-5又は-6(NT-3、NT-4、NT-5、又はNT-6)、又は神経増殖因子、例えばNGF-β;血小板誘導増殖因子(PDGF);aFGF及びbFGF等の線維芽細胞増殖因子;上皮増殖因子(EGF);TGF-α、及びTGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、TGF-β4、又はTGF-β5を含む、TGF-β等のトランスフォーミング増殖因子(TGF);インスリン様増殖因子-I及び-II(IGF-I及びIGF-II);des(1-3)-IGF-I(脳IGF-I)、インスリン様増殖因子結合タンパク質(IGFBP);CD3、CD4、CD8、CD19及びCD20等のCDタンパク質;エリスロポエチン;骨誘導因子;免疫毒素;骨形成タンパク質(BMP);インターフェロン-α、-β、及び-γ等のインターフェロン;コロニー刺激因子(CSF)、例えば、M-CSF、GM-CSF、及びG-CSF;インターロイキン(IL)、例えば、IL-1からIL-10;スーパーオキシドジスムターゼ;T細胞レセプター;表面膜タンパク質;崩壊促進因子;ウイルス性抗原、例えばAIDSエンベロープの一部;輸送タンパク質;ホーミングレセプター;アドレシン;調節タンパク質;インテグリン、例えばCD11a、CD11b、CD11c、CD18、ICAM、VLA-4及びVCAM;腫瘍関連抗原、例えばCA125(卵巣癌抗原)又はHER2、HER3又はHER4レセプター;イムノアドヘシン;及び上に列挙したタンパク質の何れかの断片及び/又は変異体、並びに上に列挙したタンパク質の何れかに結合する抗体断片を含む抗体を含む。
製剤化されるタンパク質は、好ましくは本質的に純粋であり、望ましくは本質的に均質である(すなわち、夾雑タンパク質を含まない)。「本質的に純粋な」タンパク質とは、組成物の全重量に対して少なくとも約90重量%、好ましくは少なくとも約95重量%のタンパク質を含む組成物を意味する。「本質的に均質な」タンパク質とは、組成物の全重量に対して少なくとも約99重量%のタンパク質を含む組成物を意味する。
ある実施態様では、タンパク質は抗体である。ここでの抗体は関心ある「抗原」に対するものである。好ましくは、抗原は、生物学的に重要なポリペプチドであり、疾病や疾患を患っている哺乳動物への抗体の投与によりその哺乳動物に治療的恩恵がもたらされうる。しかしながら、非タンパク質抗原(例えば腫瘍関連糖脂質抗原;米国特許第5091178号参照)に対する抗体もまた考慮される。抗原がタンパク質である場合、それは膜貫通型分子(例えばレセプター)又はリガンド、例えば増殖因子でありうる。例示的な抗原には上で検討したタンパク質が含まれる。本発明に包含される抗体に対する好ましい分子標的は、CD3、CD4、CD8、CD19、CD20及びCD34のようなCDポリペプチド;HERレセプターファミリーのメンバー、例えばEGFレセプター(HER1)、HER2、HER3あるいはHER4レセプター;細胞接着分子、例えばLFA-1、Mac1、p150、95、VLA-4、ICAM-1、VCAM及びav/b3インテグリンで、そのa又はb何れかのサブユニットを含むもの(例えば、抗CD11a、抗CD18あるいは抗CD11b抗体);VEGFのような増殖因子;IgE;血液型抗原;flk2/flt3レセプター;肥満(OB)レセプター;mplレセプター;CTLA-4;ポリペプチドC等を含む。他の分子に場合によってはコンジュゲートした可溶型抗原あるいはその断片も、抗体産生のための免疫原として用いることができる。レセプターのような膜貫通型分子については、これらの断片(例えば、レセプターの細胞外ドメイン)を免疫原として用いることができる。あるいは、膜貫通型分子を発現する細胞を免疫原として用いることができる。そのような細胞は、天然源(例えば癌細胞株)に由来しうるか、あるいは膜貫通型分子を発現させるために組換え技術によって形質転換された細胞でありうる。
精製される抗体の例は、限定されるものではないが、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標))(Carter等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285-4289(1992), 米国特許第5725856号)及びペルツズマブ(OMNITARGTM)(国際公開第01/00245号)を含む抗HER2抗体;CD20抗体(以下参照);IL-8抗体(St John等, Chest, 103:932(1993)、及び国際公開第95/23865号);例えばヒト化VEGF抗体huA4.6.1ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))及びラニビズマブ(Kim等, Growth Factors, 7:53-64(1992)、国際公開第96/30046号、及び国際公開第98/45331号、1998年10月15日公開)のようなヒト化及び/又は親和成熟VEGF抗体を含むVEGF又はVEGFレセプター抗体;PSCA抗体(国際公開第01/40309号);エファリズマブ(RAPTIVA(登録商標))を含むCD11a抗体(米国特許第5622700号、国際公開第98/23761号、Stoppa等, Transplant Intl. 4:3-7(1991)、及びHourmant等, Transplantation 58:377-380(1994));オマリズマブ(XOLAIR(登録商標))を含むIgEに結合する抗体(Presta等, J. Immunol. 151:2623-2632(1993)、及び国際公開第95/19181号;1998年2月3日に発行された米国特許第5714338号、又は1992年2月25日に発行された米国特許第5091313号、1993年3月4日に公開された国際公開第93/04173号、又は1998年6月30日に出願された国際出願第PCT/US98/13410号、米国特許第5714338号);CD18抗体(1997年4月22日に発行された米国特許第5622700号、又は1997年7月31日に公開された国際公開第97/26912号);Apo-2レセプター抗体抗体(1998年11月19日に公開された国際公開第98/51793号);組織因子(TF)抗体(1994年11月9日に許可された欧州特許第0420937B1号);αインテグリン抗体(1998年2月19日に公開された国際公開第98/06248号);EGFR抗体(例えば、キメラ又はヒト化225抗体、セツキシマブ、ERBUTIX(登録商標)、1996年12月19日に公開された国際公開第96/40210号);CD3抗体、例えばOKT3(1985年5月7日に発行された米国特許第4515893号);CD25又はTac抗体、例えばCHI-621(SIMULECT(登録商標))及びZENAPAX(登録商標)(1997年12月2日に発行された米国特許第5693762号を参照);CD4抗体、例えばcM-7412抗体(Choy等 Arthritis Rheum 39(1):52-56(1996));CD52抗体、例えばCAMPATH-1H(ILEX/Berlex)(Riechmann等 Nature 332:323-337(1988));Fcレセプター抗体、例えばFcに対するM22抗体(Graziano等 J. Immunol. 155(10):4996-5002(1995)にあるようなRI);癌胎児性抗原(CEA)抗体、例えばhMN-14(Sharkey等 Cancer Res. 55(23Suppl): 5935s-5945s(1995)));huBrE-3、hu-Mc3及びCHL6を含む乳房上皮細胞に対する抗体(Ceriani等, Cancer Res. 55(23): 5852s-5856s(1995);及びRichman等, Cancer Res. 55(23 Supp): 5916s-5920s(1995));C242のような大腸癌腫細胞に結合する抗体(Litton等, Eur J. Immunol. 26(1):1-9(1996));CD38抗体、例えばAT13/5(Ellis等, J. Immunol. 155(2):925-937(1995));Hu M195(Jurcic等, Cancer Res 55(23 Suppl):5908s-5910s(1995))及びCMA-676又はCDP771のようなCD33抗体;EpCAM抗体、例えば17-1A(PANOREX(登録商標));GpIIb/IIIa抗体、例えばアブシキシマブ又はc7E3 Fab(REOPRO(登録商標));RSV抗体、例えばMEDI-493(SYNAGIS(登録商標));CMV抗体、例えばPROTOVIR(登録商標);HIV抗体、例えばPRO542;肝炎抗体、例えばHepB抗体OSTAVIR(登録商標);CA125抗体、例えば抗MUC16(国際公開第2007/001851号;Yin, BWT及びLloyd, KO, J. Biol. Chem. 276:27371-27375 (2001))及びOvaRex;イディオタイプGD3エピトープ抗体BEC2;αvβ3抗体(例えば、VITAXIN(登録商標);Medimmune);ヒト腎臓細胞癌腫抗体、例えばch-G250;ING-1;抗ヒト17-1An抗体(3622W94);抗ヒト結腸直腸腫瘍抗体(A33);GD3ガングリオシドに対する抗ヒトメラノーマ抗体R24;抗ヒト扁平上皮細胞癌腫(SF-25);ヒト白血球抗原(HLA)抗体、例えばSmart ID10及び抗HLA DR抗体Oncolym(Lym-1);CD37抗体、例えばTRU016(Trubion);IL-21抗体(Zymogenetics/Novo Nordisk);抗B細胞抗体(Impheron);B細胞標的MAb(Immunogen/Aventis);1D09C3(Morphosys/GPC);LympHoRad 131(HGS);Lym-1抗体、例えばLym-1Y-90(USC)、又は抗Lym-1 Oncolym(USC/Peregrine);LIF226(Enhanced Lifesci.);BAFF抗体(例えば、国際公開第03/33658号);BAFFレセプター抗体(例えば、国際公開第02/24909号を参照);BR3抗体;Blys抗体、例えばベリムマブ(belimumab);LYMPHOSTAT-BTM;ISF154(UCSD/Roche/Tragen);ゴミリキシマ(gomilixima) (Idec 152; Biogen Idec);IL-6レセプター抗体、例えばアトリズマブ(atlizumab)(ACTEMRATM; Chugai/Roche);IL-15抗体、例えばHuMax-Il-15(Genmab/Amgen);ケモカインレセプター抗体、例えばCCR2抗体(例えば、MLN1202; Millieneum);抗補体抗体、例えばC5抗体(例えば、エクリズマブ5G1.1; Alexion);ヒト免疫グロブリンの経口製剤(例えばIgPO; Protein Therapeutics);IL-12抗体、例えばABT-874(CAT/Abbott);テネリキシマブ(Teneliximab)(BMS-224818;BMS);CD40抗体、例えばS2C6及びそのヒト化変異体(国際公開第00/75348号)及びTNX100(Chiron/Tanox);TNF-α抗体、例えばcA2又はインフリキシマブ(REMICADE(登録商標))、CDP571、MAK-195、アダリムマブ(HUMIRATM)、ペグ化TNF-α抗体断片、例えばCDP-870(Celltech)、D2E7(Knoll)、抗TNF-αポリクローナル抗体(例えば、PassTNF;Verigen);CD22抗体、例えばLL2又はエピラツズマブ(LYMPHOCIDE(登録商標);Immunomedics)、例えばエピラツズマブY-90及びエピラツズマブI-131、アビオジェン(Abiogen)製CD22抗体(Abiogen, Italy)、CMC 544(Wyeth/Celltech)、コンボトックス(combotox)(UT Soutwestern)、BL22(NIH)、及びLympoScan Tc99(Immunomedics)を含む。
CD20抗体の例は、「リツキシマブ」(「RITUXAN(登録商標)」)と称される「C2B8」(米国特許第5736137号)、「Y2B8」と呼称されるイットリウム-[90]標識2B8マウス抗体、又はIDEC pharmaceuticals社から商業的に入手可能な「イブリツモマブ・チウキセタン」(ZEVALIN(登録商標))(米国特許第5736137号;1993年6月22日にHB11388の受託番号でATCCに寄託された2B8;場合によっては131Iで標識され、「131I-B1」を生じる、「トシツモマブ」と呼称されるマウスIgG2a「B1」、又はCorixaから商業的に入手可能な「ヨードI113トシツモマブ」抗体(BEXXARTM)(また米国特許第5595721号を参照);マウスモノクローナル抗体「1F5」(Press等, Blood 69(2):584-591(1987))及び「フレームワークパッチ」又はヒト化1F5を含むその変異体(国際公開第2003/002607号、Leung, S.; ATCC寄託HB−96450);マウス2H7及びキメラ2H7抗体(米国特許第5677180号);ヒト化2H7(国際公開第2004/056312号、Lowman等);2F2(HuMax-CD20)、B細胞の細胞膜におけるCD20分子を標的とする全長ヒト高親和性抗体(Genmab, Denmark;例えばGlennie及びvan de Winkel, Drug Discovery Today 8: 503-510(2003)、及びCragg等, Blood 101: 1045-1052(2003); 国際公開第2004/035607号;米国特許第2004/0167319号を参照);国際公開第2004/035607号及び米国特許出願公開第2004/0167319号(Teeling等)に記載されているヒトモノクローナル抗体;米国特許出願公開第2004/0093621号(Shitara等)に記載されているFc領域に結合した複合N-グリコシド結合糖鎖を有する抗体;CD20に結合するモノクローナル抗体及び抗原結合断片(国際公開第2005/000901号、Tedder等)、例えばHB20-3、HB20-4、HB20-25、及びMB20-11;CD20結合分子、例えばAMEシリーズの抗体、例えば国際公開第2004/103404号及び米国特許出願公開第2005/0025764号(Watkins等, Eli Lilly/Applied Molecular Evolution, AME)に記載のAME33抗体;米国特許出願公開第2005/0025764号(Watkins等)に記載のCD20結合分子;A20抗体又はその変異体、例えばキメラ又はヒト化A20抗体(それぞれcA20、hA20)又はIMMU-106(米国特許出願公開第2003/0219433号、Immunomedics);CD20結合抗体、例えばエピトープ枯渇Leu-16、1H4、又は2B8で、米国特許出願公開第2005/0069545A1号及び国際公開第2005/16969号(Carr等)におけるような、場合によってはIL-2とコンジュゲートしているもの;CD22及びCD20に結合する二重特異性抗体、例えばhLL2xhA20(国際公開第2005/14618号、Chang等);International Leukocyte Typing Workshopから入手可能なモノクローナル抗体L27、G28-2、93-1B3、B-C1又はNU-B2(Valentine等: Leukocyte Typing III(McMichael編, p. 440, Oxford University Press(1987));1H4(Haisma等 Blood 92:184(1998));抗CD20オーリスタチン(auristatin)Eコンジュゲート(Seattle Genetics);抗CD20-IL2(EMD/Biovation/City of Hope);抗CD20 MAb治療(EpiCyte);抗CD20抗体TRU 015(Trubion)を含む。
ここで使用される「抗体」なる用語は、モノクローナル抗体(免疫グロブリンFc領域を有する完全長抗体)、ポリエピトープ特異性を持つ抗体組成物、多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、ダイアボディ、ペプチボディ、及び単鎖分子、並びに抗体断片(例えばFab、F(ab’)、及びFv)で、その何れも毒素のような他の成分にコンジュゲートしていてもよいものを含む。「免疫グロブリン」(Ig)なる用語はここでの「抗体」と交換可能に使用される。
基本的な4-鎖抗体ユニットは2つの同一の軽(L)鎖と2つの同一の重(H)鎖から構成されるヘテロ四量体の糖タンパク質である。IgM抗体は、基本的なヘテロ四量体ユニットとそれに付随するJ鎖と称される付加的なポリペプチドの5つからなり、10の抗原結合部位を有するが、IgA抗体は、重合してJ鎖と組み合わされて多価集合体を形成可能な基本的4-鎖ユニットの2−5つを含む。IgGの場合、4-鎖ユニットは一般的に約150000ダルトンである。それぞれのL鎖は1つの共有ジスルフィド結合によってH鎖に結合するが、2つのH鎖はH鎖のアイソタイプに応じて一又は複数のジスルフィド結合により互いに結合する。それぞれのH及びL鎖はまた規則的な間隔を持った鎖内ジスルフィド結合を持つ。それぞれのH鎖は、α及びγ鎖の各々に対しては3つの定常ドメイン(C)が、μ及びεアイソタイプに対しては4つのCHドメインが続く可変ドメイン(V)をN末端に有する。それぞれのL鎖は、その他端に定常ドメインが続く可変ドメイン(V)をN末端に有する。VはVと整列し、Cは重鎖の第一定常ドメイン(C1)と整列している。特定のアミノ酸残基が、軽鎖及び重鎖可変ドメイン間の界面を形成すると考えられている。VとVは共同して対になって、単一の抗原結合部位を形成する。異なるクラスの抗体の構造及び特性は、例えばBasic and Clinical Immunology, 8版, Daniel P. Stites, Abba I. Terr及びTristram G. Parslow(編), Appleton & Lange, Norwalk, CT, 1994, 71頁及び6章を参照のこと。
任意の脊椎動物種からのL鎖には、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ及びラムダと呼ばれる2つの明確に区別される型の一つを割り当てることができる。その重鎖の定常ドメイン(CH)のアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンには異なったクラス又はアイソタイプを割り当てることができる。IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMという免疫グロブリンの5つの主要なクラスがあり、それぞれα、δ、ε、γ及びμと呼ばれる重鎖を有する。γ及びαクラスは、CH配列及び機能における比較的小さな差異に基づいてサブクラスに更に分割され、例えば、ヒトは次のサブクラス:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2を発現する。
「可変」なる用語は、可変ドメインのあるセグメントが抗体間で配列が広範囲に異なることを意味する。Vドメインは抗原結合性を媒介し、その特定の抗原に対する特定の抗体の特異性を定める。しかしながら、可変性は可変ドメインの全スパンにわたって均等には分布されていない。代わりに、V領域は、それぞれおよそ9−12アミノ酸残基長である「高頻度可変領域」又はしばしば「相補性決定領域」(CDR)と称される極度の可変性を有するより短い領域によって分離された約15−30アミノ酸残基のフレームワーク領域(FR)と呼ばれる比較的不変の伸展からなる。天然重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、各々、大きなβシート配置をとり、3つの高頻度可変領域により連結された4つのFR領域を含み、それはループ状の連結を形成し、ある場合にはβシート構造の一部を形成する。各鎖の高頻度可変領域はFRにより他の鎖からの高頻度可変領域と共に極近傍に保持され、抗体の抗原結合部位の形成に寄与している(Kabat等, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5版 Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991))。定常ドメインは抗体の抗原への結合に直接は関係ないが、様々なエフェクター機能、例えば抗体依存性細胞傷害性(ADCC)における寄与を示す。
ここで使用される場合、「高頻度可変領域」(「相補性決定領域」又はCDRsとしても知られている)なる用語は、抗原結合部位を形成し、抗原特異性の主たる決定因子である免疫グロブリンのV領域ドメイン内の抗体のアミノ酸残基(通常、極端な配列可変性の3又は4の短い領域)を意味する。CDR残基を同定するために少なくとも2つの方法がある:(1)種間配列可変性の基づいたアプローチ(つまり、Kabat等, Sequences of Proteins of Immunological Interest (National Institute of Health, Bethesda, MS 1991);及び(2)抗原−抗体複合体の結晶学的研究に基づいたアプローチ(Chothia, C等, J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987))。しかしながら、2つの残基同定技術が同一領域ではないがオーバーラップする領域を限定する程度内で、それらの方法は、ハイブリッドCDRを限定するために組合わせることができる。
ここで使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を意味し、つまり、集団を含む個々の抗体は、少量存在するであろう自然発生し得る突然変異及び/又は翻訳後修飾(例えば、異性化、アミド化)を別にすれば同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、一つの抗原部位対するものである。更に、異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的には含む一般的な(ポリクローナル)抗体調製物に対し、各モノクローナル抗体は抗原の単一の決定基に対するものである。その特異性に加えて、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ培地で合成され、他の免疫グロブリンによって汚染されないという点で有利である。「モノクローナル」との修飾語句は、実質的に均一な抗体集団から得られたという抗体の特徴を示し、抗体を何か特定の方法で生産することを必要とすると解釈されてはならない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、最初にKohler等, Nature, 256:495 (1975)に記載されたハイブリドーマ法によって作製することができ、あるいは組換えDNA法によって作製することができる(例えば米国特許第4816567号参照)。「モノクローナル抗体」は、また、例えばClackson等, Nature, 352:624-628(1991)及びMarks等, J. Mol.Biol., 222:581-597(1991)に記載された技術を使用してファージ抗体ライブラリーから単離することもできる。
ここでのモノクローナル抗体は、特に重鎖及び/又は軽鎖の一部が特定の種から誘導された又は特定の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一又は相同であるが、鎖の残りの部分は他の種から誘導された又は他の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一又は相同である「キメラ」抗体(免疫グロブリン)、並びにそれらが所望の生物学的活性を示す限りにおいてそれらの抗体の断片を含む(米国特許第4816567号;Morrison等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851-6855 (1984))。ここでの興味のあるキメラ抗体は非ヒト霊長類由来の可変ドメイン抗原結合配列(例えば、旧世界ザル、サルなど)及びヒト定常領域配列を含む「プリマタイズ」抗体を含む。
「インタクトな」抗体は、抗原-結合部位、並びにCL及び少なくとも重鎖定常ドメイン、CH、CH及びCHを含むものである。定常ドメインは天然配列定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列定常ドメイン)又はそれらのアミノ酸配列変異体でありうる。好ましくは、インタクトな抗体は一又は複数のエフェクター機能を有する。
「抗体断片」は、インタクトな抗体の一部、好ましくはインタクトな抗体の抗原結合及び/又は可変領域を含む。抗体断片の例は、Fab、Fab’、F(ab')、及びFv断片;ダイアボディ(diabodies);直鎖状抗体(米国特許第5641870号、実施例2;Zapata等, Protein Eng. 8(10): 1057-1062 [1995]);単鎖抗体分子;及び抗体断片から形成された多重特異性抗体を含む。
抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗体結合断片と、直ぐに結晶化する能力を反映して命名された残留「Fc」断片を産生した。Fab断片は、L鎖全体と、H鎖の可変領域ドメイン(V)、及び一つの重鎖の第一定常ドメイン(C1)からなる。各Fab断片は抗原結合性に関して一価である、すなわち単一の抗原-結合部位を有する。抗体のペプシン処理により、単一の大きなF(ab')断片が生じ、これは異なった抗原結合活性を有する2つのジスルフィド結合Fab断片にほぼ対応し、抗原を尚も架橋させることができる。Fab'断片は、抗体ヒンジ領域からの一又は複数のシステインを含むC1ドメインのカルボキシ末端に数個の更なる残基を有する点でFab断片と相違する。Fab'-SHは、ここでは定常ドメインのシステイン残基が遊離のチオール基を持つFab'を意味する。F(ab')抗体断片は、通常はそれらの間にヒンジシステインを有するFab'断片の対として生成された。抗体断片の他の化学的カップリングもまた知られている。
Fc断片はジスルフィドにより一緒に保持されている双方のH鎖のカルボキシ末端部位を含む。抗体のエフェクター機能は、Fc領域中の配列により決定され、その領域は、所定のタイプの細胞に見出されるFcレセプター(FcR)によってまた認識される領域である。
「Fv」は、完全な抗原認識及び抗原結合部位を含む最小の抗体断片である。この断片は、密接に非共有結合した一の重鎖と一の軽鎖の可変領域の二量体からなる。これら2つのドメインの折り畳みから、抗原結合のためのアミノ酸残基に寄与し、抗体に対する抗原結合特異性を付与する6つの高頻度可変ループ(H及びL鎖から、それぞれ3つのループ)が生じる。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つのCDRのみを含んでなるFvの半分)でさえ、結合部位全体よりは低い親和性であるが、抗原を認識し結合する能力を持つ。
「sFv」又は「scFv」とも略称される「単鎖Fv」は、単一のポリペプチド鎖内に結合したVH及びVL抗体ドメインを含む抗体断片である。好ましくは、sFvポリペプチドはV及びVドメイン間にポリペプチドリンカーを更に含み、それはsFVが抗原結合に望ましい構造を形成することを可能にする。sFvの概説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg及びMoore編, Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)を参照のこと。
「ダイアボディ」なる用語は、Vドメインの鎖内対形成ではなく鎖間対形成が達成され、その結果二価の断片、すなわち2つの抗原結合部位を有する断片が生じるように、VとVドメインとの間に短いリンカー(約5〜10)残基を持つsFv断片(前の段落を参照)を構築することにより調製された小さい抗体断片を意味する。二重特異性ダイアボディは2つの「交差」sFv断片のヘテロダイマーであり、そこでは2つの抗体のV及びVドメインが異なるポリペプチド鎖に存在する。ダイアボディは、例えば、欧州特許出願公開第404097号;国際公開93/11161号;Hollinger等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)に更に詳しく記載されている。
本発明の抗体はヒト化抗体又はヒト抗体を更に含みうる。非ヒト(例えばマウス)抗体のヒト化型は、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又はその断片(例えばFv、Fab、Fab'、F(ab')2あるいは抗体の他の抗原結合性サブ配列)であって、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むものである。ヒト化抗体は、レシピエントの相補性決定領域(CDR)の残基が、マウス、ラット又はウサギのような所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)のCDRの残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)を含む。ある場合には、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基は、対応する非ヒト残基によって置換されている。また、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、移入されたCDRもしくはフレームワーク配列にも見出されない残基を含んでいてもよい。一般に、ヒト化抗体は、全てあるいはほとんど全てのCDR領域が非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、全てあるいはほとんど全てのFR領域がヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体は、最適には少なくとも免疫グロブリン定常領域(Fc)の一部、典型的にはヒトの免疫グロブリンのものを含んでなる[Jones等, Nature, 321:522-525 (1986);Riechmann 等, Nature, 332:323-329 (1988);及びPresta, Curr. Op Struct. Biol., 2:593-596 (1992)]。
非ヒト抗体をヒト化する方法は当該技術分野でよく知られている。一般的に、ヒト化抗体には非ヒトである由来の一又は複数のアミノ酸残基が導入されている。これら非ヒトアミノ酸残基は、しばしば、典型的には「移入」可変ドメインから得られる「移入」残基と称される。ヒト化は本質的にはウィンターと共同研究者の方法[Jones等, Nature, 321:522-525 (1986);Riechmann等, Nature, 332:323-327 (1988);Verhoeyen等, Science, 239:1534-1536 (1988)]に従って、齧歯動物のCDR又はCDR配列をヒト抗体の対応する配列に置換することにより実施できる。従って、このような「ヒト化」抗体は、インタクトなヒト可変ドメインより実質的に少ない分が非ヒト種由来の対応する配列で置換されたキメラ抗体である(米国特許第4816567号)。実際には、ヒト化抗体は典型的には幾つかのCDR残基と場合によっては幾つかのFR残基が齧歯類抗体の類似部位からの残基によって置換されたヒト抗体である。
抗体がヒトの治療用途に意図される場合、抗原性及びHAMA応答(ヒト抗マウス抗体)を低減させるためには、ヒト化抗体を作成するために使用されるヒトの軽鎖及び重鎖両方の可変ドメインの選択が非常に重要である。いわゆる「ベストフィット法」に従うと、齧歯動物抗体の可変ドメインの配列を既知のヒト可変ドメイン配列のライブラリー全体に対してスクリーニングする。齧歯動物のものと最も近いヒトVドメイン配列を同定し、その中のヒトフレームワーク領域(FR)をヒト化抗体に受け入れる(Sims等, J. Immunol., 151:2296-2308 (1993);Chothia等, J. Mol. Biol., 196:901-917 (1987))。他の方法では、軽鎖又は重鎖の特定のサブグループのヒト抗体全てのコンセンサス配列から誘導される特定のフレームワークを使用する。同じフレームワークを幾つかの異なるヒト化抗体に使用できる(Carter等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285-4289 (1992);Presta等, J. Immunol., 151:2623-2632 (1993))。
抗体を、抗原に対する高結合親和性や他の好ましい生物学的性質を保持してヒト化することが更に重要である。この目標を達成するべく、好ましい方法では、親及びヒト化配列の三次元モデルを使用して、親配列及び様々な概念的ヒト化産物の分析工程を経てヒト化抗体を調製する。三次元免疫グロブリンモデルは一般的に入手可能であり、当業者にはよく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の推測三次元立体配座構造を図解し、表示するコンピュータプログラムが入手可能である。これらのディスプレイを見ることで、候補免疫グロブリン配列の機能化における残基のありそうな役割の分析、すなわち候補免疫グログリンがその抗原に結合する能力に影響を及ぼす残基の分析が可能となる。このようにして、例えば標的抗原に対する親和性の増加といった望ましい抗体特徴が得られるように、FR残基をレシピエント及び移入配列から選択し、組み合わせることができる。一般的に、高頻度可変領域残基は、直接かつ最も実質的に抗原結合性への影響に関与している。
ヒト化抗体の様々な形態が考えられる。例えば、ヒト化抗体は、免疫コンジュゲートを産生するために一又は複数の細胞傷害剤に場合によってはコンジュゲートされるFabのような抗体断片でありうる。あるいは、ヒト化抗体は、例えばインタクトなIgG1抗体のようなインタクトな抗体でありうる。
ヒト化の代替法として、ヒト抗体を産生することができる。例えば、内因性の免疫グロブリン産生がなくともヒト抗体の全レパートリーを、免疫化で産生することのできるトランスジェニック動物(例えばマウス)を作製することが現在は可能である。例えば、キメラ及び生殖系列突然変異体マウスにおける抗体重鎖結合領域(JH)遺伝子の同型接合欠損が内因性抗体産生の完全な阻害をもたらすことが記載されている。このような生殖系列突然変異体マウスにおけるヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子列の転移は、抗原投与時にヒト抗体の産生をもたらす。Jakobovits等, Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 90:2551 (1993);Jakobovits等, Nature 362:255-258 (1993);Bruggemann等, Year in Immuno., 7:33 (1993);米国特許第5545806号、同5569825号、同5591669号(全てGenPharm);同5545807号;及び国際公開第97/17852号を参照のこと。
別法として、ファージディスプレイ技術(McCafferty等, Nature 348:552-553 [1990])を、非免疫化ドナーからの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーから、インビトロでヒト抗体及び抗体断片を産出させるために使用することができる。この技術によれば、抗体Vドメイン遺伝子は、繊維状バクテリオファージ、例えばM13又はfdの主要又は少数コートタンパク質遺伝子の何れかにインフレームでクローニングし、ファージ粒子表面に機能的抗体断片として表示される。繊維状粒子がファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含むので、抗体の機能的特性に基づいた選択により、その特性を示す抗体をコードする遺伝子の選択がなされる。よって、ファージはB細胞の特性の幾つかを模倣する。ファージディスプレイは多様な形式で実施することができ;例えばJohnson, Kevin S. 及びChiswell, David J., Current Opinion in Structural Biology 3:564-571(1993)に概説されている。V遺伝子セグメントの幾つかの供給源がファージディスプレイに使用可能である。Clackson等, Nature, 352:624-628(1991)は、免疫化されたマウスの脾臓から得られたV遺伝子の小ランダムコンビナトリアルライブラリーからの抗オキサゾロン抗体の多様な配列を単離した。非免疫化ヒトドナーからのV遺伝子のレパートリーを構築することができ、抗原の多様なアレイ(自己抗原を含む)に対する抗体を、Marks等, J. Mol. Biol. 222:581-597(1991)、又はGriffith等, EMBO J. 12:725-734(1993)に記載の技術に本質的に従って単離することができる。また、米国特許第5565332号及び同5573905号を参照のこと。
ヒト抗体はまたインビトロで活性化されたB細胞により産生されうる(米国特許第5567610号及び同第5229275号を参照)。
二重特異性抗体は、少なくとも二つの異なるエピトープに対して結合特異性を有する抗体である。例示的な二重特異性抗体はここに記載のタンパク質の二つの異なるエピトープに結合しうる。他のそのような抗体はタンパク質結合部位を他のタンパク質の結合部位とを組み合わせうる。あるいは、抗タンパク質アームはリンパ球上のトリガー分子、例えばT細胞レセプター分子(例えば、CD3)(例えばBaeuerle等, Curr. Opin. Mol. Ther. 11(1):22-30 (2009)を参照)、IgGのFcレセプター分子(FcγR)、例えばFcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)及びFcγRIII(CD16)に、TAT発現細胞へ細胞性防御機構に焦点を当てこれを局在化するように、結合するアームと組み合わせられうる。二重特異性抗体はまた標的タンパク質を発現する細胞へ細胞傷害剤を局在化するために使用されうる。これらの抗体はタンパク質結合アーム及び細胞傷害剤(例えば、サポリン、抗インターフェロンα、ビンカ・アルカロイド、リシンA鎖、メトトレキセート又は放射性同位体ハプテン)に結合するアームとを保有する。二重特異性抗体は全長抗体又は抗体断片(例えばF(ab')2二重特異性抗体)として調製することができる。
国際公開第96/16673号は、二重特異性抗ErbB2/抗FcγRIII抗体を記述し、米国特許第5837234号は、二重特異性抗ErbB2/抗FcγRI抗体を開示している。二重特異性抗ErbB2/Fcα抗体は国際公開第98/02463号に示されている。米国特許第5821337号及び同第6407213号は、二重特異性抗ErbB2/抗CD3抗体を教示している。CD3抗原上のエピトープと第二エピトープに結合する更なる二重特異性抗体が記載されている。例えば米国特許第5078998号(抗CD3/腫瘍細胞抗原);同第5601819号(抗CD3/IL−2R;抗CD3/CD28;抗CD3/CD45);同第6129914号(抗CD3/悪性B細胞抗原);同第7112324号(抗CD3/CD19);同第6723538号(抗CD3/CCR5);同第7235641号(抗CD3/EpCAM);同第7262276号(抗CD3/卵巣腫瘍抗原);及び同第5731168号(抗CD3/CD4IgG)を参照のこと。
二重特異性抗体を作製する方法は当該技術分野において知られている。完全長二重特異性抗体の伝統的な産生は二つの免疫グロブリン重鎖軽鎖対の同時発現に基づき、そこでは二つの鎖が異なる特異性を有する(Millstein等, Nature, 305:537-539(1983))。免疫グロブリン重鎖及び軽鎖が無作為に取り揃えられているため、これらのハイブリドーマ(四部雑種)は10個の異なる抗体分子の可能性な混合物を生じ、そのうちただ一つが正しい二重特異性構造を有する。通常、アフィニティクロマトグラフィー工程により行われる正しい分子の精製は、かなり煩わしく、生成物収率は低い。同様の方法が国際公開第93/08829号及びTraunecker等、EMBO J. 10:3655-3659(1991)に開示されている。
異なったアプローチ法では、所望の結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗原抗体結合部位)を免疫グロブリン定常ドメイン配列と融合させる。好ましくは、該融合は、少なくともヒンジの一部、CH2及びCH3領域を含むIg重鎖定常ドメインとである。軽鎖の結合に必要な部位を含む第一の重鎖定常領域(CH1)を、融合の少なくとも一つに存在させることが望ましい。免疫グロブリン重鎖の融合と、所望の場合、免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAを、別個の発現ベクター中に挿入し、適当な宿主生物に同時トランスフェクトする。これにより、構築に使用される三つのポリペプチド鎖の等しくない比率が所望の二重特異性抗体の最適な収率をもたらす実施態様において、三つのポリペプチド断片の相互の割合の調節に大きな融通性が与えられる。しかし、少なくとも二つのポリペプチド鎖の等しい比率での発現が高収率をもたらすとき、又はその比率が所望の鎖の結合に有意には影響がないときは、2又は3個全てのポリペプチド鎖のためのコード化配列を一つの発現ベクターに挿入することが可能である。
このアプローチ法の好ましい実施態様では、二重特異性抗体は、第一の結合特異性を有する一方のアームのハイブリッド免疫グロブリン重鎖と他方のアームのハイブリッド免疫グロブリン重鎖軽鎖対(第二の結合特異性を提供)とからなる。二重特異性分子の半分にしか免疫グロブリン軽鎖がないと容易な分離法が提供されるため、この非対称的構造は、所望の二重特異性化合物を不要な免疫グロブリン鎖の組み合わせから分離することを容易にすることが見出された。このアプローチ法は国際公開第94/04690号に開示されている。二重特異性抗体を産生する更なる詳細については、例えばSuresh等, Methods in Enzymology, 121:210 (1986)を参照のこと。
米国特許第5731168号に記載された他のアプローチ法によれば、一対の抗体分子間の界面を操作して組換え細胞培養から回収されるヘテロ二量体の割合を最大にすることができる。好ましい界面はCH3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法では、第1抗体分子の界面からの一又は複数の小さいアミノ酸側鎖が、より大きな側鎖(例えばチロシン又はトリプトファン)と置き換えられる。大きな側鎖と同じ又は類似のサイズの相補的「キャビティ」を、大きなアミノ酸側鎖を小さいもの(例えばアラニン又はスレオニン)と置き換えることにより第2の抗体分子の界面に作り出す。これにより、ホモ二量体のような不要の他の最終産物に対してヘテロ二量体の収量を増大させるメカニズムが提供される。
二重特異性抗体は、架橋した又は「ヘテロコンジュゲート」抗体を含む。例えば、ヘテロコンジュゲートの抗体の一方はアビジンに結合され、他方はビオチンに結合されうる。そのような抗体は、例えば、不要の細胞に対して免疫系細胞をターゲティングするため(米国特許第4676980号)、及びHIV感染の治療のために(国際公開第91/00360号、同第92/200373号、及び欧州特許出願公開第03089号)に提案されている。ヘテロコンジュゲート抗体は、任意の簡便な架橋法を使用して作製することができる。適切な架橋剤は当該技術分野においてよく知られており、多くの架橋技術と共に米国特許第4676980号に開示されている。
抗体断片から二重特異性抗体を産生する技術もまた文献に記載されている。例えば、化学結合を使用して二重特異性抗体を調製することができる。Brennan等, Science, 229:81 (1985) はインタクトな抗体をタンパク分解的に切断してF(ab')2断片を産生する手順を記述している。これらの断片は、ジチオール錯体形成剤、亜砒酸ナトリウムの存在下で還元して近接ジチオールを安定化させ、分子間ジスルフィド形成を防止する。産生されたFab'断片はついでチオニトロベンゾエート(TNB)誘導体に変換される。Fab'-TNB誘導体の一つをついでメルカプトエチルアミンでの還元によりFab'-チオールに再変換し、他のFab'-TNB誘導体の等モル量と混合して二重特異性抗体を形成する。作製された二重特異性抗体は酵素の選択的固定化用の薬剤として使用することができる。
最近の進歩により、大腸菌からのFab'-SH断片の直接の回収が容易になり、これは化学的に結合して二重特異性抗体を形成することができる。Shalaby等,J.Exp.Med., 175:217-225 (1992)は完全にヒト化された二重特異性抗体F(ab')2分子の製造を記述している。各Fab'断片は大腸菌から別個に分泌され、インビトロで定方向化学カップリングを受けて二重特異性抗体を形成する。このようにして形成された二重特異性抗体は、ErbB2レセプターを過剰発現する細胞及び正常なヒトT細胞に結合可能で、またヒト乳房腫瘍標的に対するヒト細胞障害性リンパ球の細胞溶解活性を惹起する。組換え細胞培養から直接的に二重特異性抗体断片を作製し分離する様々な技術もまた記述されている。例えば、二重特異性抗体はロイシンジッパーを使用して産生されている。Kostelny等, J.Immunol. 148(5):1547-1553 (1992)。Fos及びJunタンパク質からのロイシンジッパーペプチドを遺伝子融合により二つの異なった抗体のFab'部分に結合させた。抗体ホモ二量体をヒンジ領域で還元してモノマーを形成し、ついで再酸化して抗体ヘテロ二量体を形成した。この方法はまた抗体ホモ二量体の産生に利用することができる。Hollinger等, Proc.Natl.Acad.Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)により記述された「ダイアボディ」技術は二重特異性抗体断片を作製する別のメカニズムを提供した。断片は、同一鎖上の2つのドメイン間の対形成を可能にするにはあまりに短いリンカーによりVLにVHを結合してなる。従って、一つの断片のVH及びVLドメインは他の断片の相補的VL及びVHドメインと強制的に対形成させられ、よって2つの抗原結合部位を形成する。単鎖Fv(sFv)二量体の使用により二重特異性抗体断片を作製する他の方策もまた報告されている。Gruber等, J.Immunol. 152:5368 (1994)を参照のこと。
二価より多い抗体も考えられる。例えば、三重特異性抗体を調製することができる。Tutt等 J.Immunol. 147:60(1991)。
ヘテロコンジュゲート抗体もまた本発明の範囲に入る。ヘテロコンジュゲート抗体は、2つの共有結合した抗体からなる。このような抗体は、例えば、免疫系細胞を不要な細胞に対してターゲティングさせるため[米国特許第4676980号]及びHIV感染の治療のために[国際公開第91/00360;国際公開第92/200373;欧州特許出願公開第03089号]提案されている。この抗体は、架橋剤に関連したものを含む合成タンパク化学における既知の方法を使用して、インビトロで調製することができると考えられる。例えば、ジスルフィド交換反応を使用するか又はチオエーテル結合を形成することによって、免疫毒素を構築することができる。この目的に対して適切な試薬の例は、イミノチオレート及びメチル-4-メルカプトブチルイミデート、及び例えば米国特許第4676980号に開示されたものを含む。
多価抗体は、抗体が結合する抗原を発現する細胞により、二価抗体よりも早くインターナリゼーション(及び/又は異化)されうる。本発明の抗体は、3又はそれ以上の結合部位を有する多価抗体(IgMクラス以外のもの)であり得(例えば四価抗体)、これは抗体のポリペプチド鎖をコードする核酸の組換え発現により容易に産生させることができる。多価抗体は二量化ドメインと3又はそれ以上の抗原結合部位を含みうる。好ましい二量化ドメインはFc領域又はヒンジ領域を含む(又はそれらからなる)。このシナリオにおいて、抗体はFc領域と、Fc領域のアミノ末端に3又はそれ以上の抗原結合部位を有しているであろう。ここでの好ましい多価抗体は3から8、好ましくは4の抗原結合部位を含む(又はそれらからなる)。多価抗体は少なくとも1つのポリペプチド鎖(好ましくは2つのポリペプチド鎖)を含み、ポリペプチド鎖は2又はそれ以上の可変ドメインを含む。例えば、ポリペプチド鎖はVD1-(X1)n-VD2-(X2)n-Fcを含み得、ここでVD1は第1の可変ドメインであり、VD2は第2の可変ドメインであり、FcはFc領域のポリペプチド鎖の一つであり、X1及びX2はアミノ酸又はポリペプチドを表し、nは0又は1である。例えば、ポリペプチド鎖は、VH-CH1-柔軟なリンカー-VH-CH1-Fc領域鎖;又はVH-CH1-VH-CH1-Fc領域鎖を含みうる。ここでの多価抗体は、好ましくは少なくとも2つ(好ましくは4つ)の軽鎖可変ドメインポリペプチドを更に含む。ここでの多価抗体は、例えば約2から約8の軽鎖可変ドメインポリペプチドを含みうる。ここで考察される軽鎖可変ドメインポリペプチドは軽鎖可変ドメインを含み、場合によってはCLドメインを更に含む。
特定のポリペプチド又は特定のポリペプチド上のエピトープに「特異的に結合する」か又は「特異的である」抗体は、任意の他のポリペプチド又はポリペプチドエピトープに実質的に結合することなくその特定のポリペプチド又は特定のポリペプチド上のエピトープに結合するものである。
「固相」なる用語は、本発明の抗体が付着することのできる非水性マトリクスを記述する。ここで包含される固相の例は、部分的又は全体的にガラス(例えば、孔制御ガラス)、多糖類(例えばアガロース)、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコール及びシリコーンから形成されたものを含む。ある実施態様では、文脈に応じて、固相はアッセイプレートのウェルを含み得;その他では精製カラム(例えばアフィニティークロマトグラフィーカラム)である、この用語は、米国特許第4275149号に記載されたもののような、離散粒子の不連続な固相もまた含む。
「種依存性抗体」、例えば哺乳動物抗ヒトIgE抗体は、二番目の哺乳動物種からの抗原の相同体に対して有している結合親和性よりも、一番目の哺乳動物種からの抗原に対してより強力な結合親和性を有する抗体である。通常、種依存性抗体は、ヒト抗原(すなわち、約1×10−7M以下、あるいは約1×10−8以下、あるいは約1×10−9M以下の結合親和性(Kd)値を有する)と「特異的に結合」するが、その非ヒト抗原に対する結合親和性よりも、少なくとも約50倍、又は少なくとも約500倍、又は少なくとも約1000倍弱い、二番目の非ヒト哺乳動物種からの抗原の相同体に対する結合親和性を有する。種依存性抗体は、上で定義した様々なタイプの抗体の何れかでありうるが、好ましくはヒト化又はヒト抗体である。
抗体「エフェクター機能」とは、抗体のFc領域(天然配列Fc領域又はアミノ酸配列変異体Fc領域)に帰する生物学的活性を意味し、抗体のアイソタイプにより変わる。抗体のエフェクター機能の例には、C1q結合及び補体依存性細胞傷害;Fcレセプター結合性;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC);貪食作用;細胞表面レセプター(すなわち、B細胞レセプター)のダウンレギュレーション;及びB細胞活性化が含まれる。
「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」又は「ADCC」とは、ある種の細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球及びマクロファージ)上に存在するFcレセプター(FcRs)と結合した分泌Igにより、これらの細胞障害エフェクター細胞が抗原担持標的細胞に特異的に結合し、続いて細胞毒により標的細胞を死滅させることを可能にする細胞傷害性の形態を意味する。抗体は細胞傷害細胞を「備えて」おり、これはこの機構による標的細胞の死滅には必要なものである。ADCCを媒介する主要な細胞NK細胞はFcγRIIIのみを発現するのに対し、単球はFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。造血細胞でのFcRの発現は、Ravetch及びKinet, Annu. Rev. Immunol 9:457-92 (1991) の464頁の表3に要約されている。対象の分子のADCC活性をアッセイするために、米国特許第5500362号又は同第5821337号に記載されているもののようなインビトロADCCアッセイを実施することができる。このようなアッセイにおいて有用なエフェクター細胞には、末梢血液単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー細胞(NK細胞)が含まれる。あるいは、もしくは付加的に、対象の分子のADCC活性は、例えば、Clynes等, (USA) 95:652-656 (1998)に開示されているもののような動物モデルにおいて、インビボで評価することができる。
「Fcレセプター」又は「FcR」は、抗体のFc領域に結合するレセプターを記述する。好ましいFcRは天然配列ヒトFcRである。更に、好ましいFcRは、IgG抗体(ガンマレセプター)と結合するもので、FcγRI、FcγRII及びFcγRIIIサブクラスのレセプターを含み、これらのレセプターの対立遺伝子変異体、選択的にスプライシングされた形態のものも含まれる。FcγRIIレセプターには、FcγRIIA(「活性型レセプター」)及びFcγRIIB(「阻害型レセプター」)が含まれ、主としてその細胞質ドメインは異なるが、類似のアミノ酸配列を有するものである。活性型レセプターFcγRIIAは、その細胞質ドメインにチロシン依存性免疫レセプター活性化モチーフ(immunoreceptor tyrosine-based activation motif ;ITAM)を含んでいる。阻害型レセプターFcγRIIBは、細胞質ドメインにチロシン依存性免疫レセプター阻害性モチーフ(immunoreceptor tyrosine-based inhibition motif ;ITIM)を含んでいる。(M. Daeron, Annu. Rev. immunol. 15:203-234 (1997)を参照。FcRsは、Ravetch及びKinet, Annu.Rev. Immunol. 9:457-492 (1991);Capel等, Immunomethods 4:25-34 (1994);及びde Haas等, J.Lab. Clin. Med. 126:330-41 (1995) に概説されている。将来に同定されるものも含む他のFcRsはここでの「FcR」なる用語に包含される。また、該用語には、母性IgGsが胎児に受け継がれる要因となっている新生児性レセプターFcRn(Guyer等, J. Immunol. 117:587 (1976)及びKim等, J. Immunol.24:249 (1994))も含まれる。
「ヒトエフェクター細胞」とは、一又は複数のFcRsを発現し、エフェクター機能を実施する白血球のことである。好ましくは、細胞は少なくともFcγRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能を実施する。ADCCを媒介するヒト白血球の例として、末梢血液単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞障害性T細胞及び好中球が含まれるが、PBMCとNK細胞が好適である。エフェクター細胞は天然源、例えば血液から単離しうる。
「補体依存性細胞傷害性」もしくは「CDC」は、補体の存在下で標的細胞を溶解することを意味する。古典的な補体経路の活性化は補体系(Clq)の第1補体が、同族抗原と結合した(適切なサブクラスの)抗体に結合することにより開始される。補体の活性化を評価するために、CDCアッセイを、例えばGazzano-Santoro等, J. Immunol. Methods 202:163 (1996)に記載されているように実施することができる。
ここに開示された様々なポリペプチド及び抗体を記述するために使用される場合、「単離された」とは、その生産環境の成分から同定され、分離され及び/又は回収されたポリペプチド又は抗体を意味する。好ましくは、単離されたポリペプチドはその生産環境から全ての他の成分と結合していない。その生産環境の汚染成分とは、典型的にはポリペプチドの診断又は治療的な使用を妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質を含みううる。好ましい実施態様では、ポリペプチドは、(1)スピニングカップシークエネーターを使用することにより、少なくとも15残基のN末端あるいは内部アミノ酸配列を得るのに充分な程度まで、あるいは、(2)クーマシーブルーあるいは好ましくは銀染色を使用する非還元あるいは還元条件下でのSDS−PAGEにより均一になるまで精製される。しかしながら、通常は、単離されたポリペプチドは少なくとも一の精製工程により調製される。
ここでのポリペプチド及び抗体をコードする「単離された」核酸分子は、それが産生された環境に通常は伴う少なくとも一種の汚染核酸分子から同定され分離される核酸分子である。好ましくは、単離された核酸分子は、生産環境に付随する全ての成分と結合していない。ここでのポリペプチド及び抗体をコードする単離された核酸分子は、それが天然に見出される形態又は設定以外のものである。従って、単離された核酸分子は、それが天然に細胞中に存在しているポリペプチド及び抗体をコードする核酸分子とは区別される。
「コントロール配列」なる用語は、特定の宿主生物において作用可能に結合したコード配列を発現するために必要なDNA配列を指す。例えば原核生物に好適なコントロール配列は、プロモーター、場合によってはオペレータ配列、及びリボソーム結合部位を含む。真核生物の細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル及びエンハンサーを利用することが知られている。
核酸は、他の核酸配列と機能的な関係にあるときに「作用可能に結合し」ている。例えば、プレ配列又は分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に参画するプレタンパク質として発現されているなら、そのポリペプチドのDNAに作用可能に結合しており;プロモーター又はエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼすならば、コード配列に作用可能に結合しており;又はリボソーム結合部位は、もしそれが翻訳を容易にするような位置にあるなら、コード配列と作用可能に結合している。一般的に、「作用可能に結合している」とは、結合したDNA配列が近接しており、分泌リーダーの場合には近接していて読みフェーズにあることを意味する。しかし、エンハンサーは必ずしも近接している必要はない。結合は簡便な制限部位でのライゲーションにより達成される。そのような部位が存在しない場合は、一般的な手法に従って、合成オリゴヌクレオチドアダプター又はリンカーが使用される。
「エピトープタグ」なる用語は、ここで用いられるときは、「タグポリペプチド」と融合したここに記載のポリペプチド又は抗体を含んでなるキメラポリペプチドを意味する。タグポリペプチドは、抗体が産生され得るエピトープを提供するのに十分な残基を有し、その長さはそれが融合するポリペプチドの活性を阻害しないよう充分に短い。また好ましくは、タグポリペプチドは、抗体が他のエピトープと実質的に交差反応をしないようにかなり独特である。適切なタグポリペプチドは、一般に、少なくとも6のアミノ酸残基、通常は約8から50のアミノ酸残基(好ましくは、約10から20の残基)を有する。
ここで使用される場合、「イムノアドヘシン」なる用語は、免疫グロブリン定常ドメインのエフェクター機能と異種タンパク質(「アドヘシン」)の「結合ドメイン」を組合わせた抗体様分子を意味する。構造的には、イムノアドヘシンは、抗体の抗原認識及び結合部位以外の所望の結合特異性を備えた(つまり、「異種性」である)アミノ酸配列と免疫グロブリン定常ドメイン配列の融合体を含んでなる。イムノアドヘシン分子のアドヘシン部分は典型的には、レセプター又はリガンドの結合部位を少なくとも含む近接アミノ酸配列である。イムノアドヘシン中の免疫グロブリン定常ドメイン配列は、任意の免疫グロブリン、例えばIgG-1、IgG-2、IgG-3、又はIgG-4サブタイプ、IgA(IgA-1及びIgA-2を含む)、IgE、IgD又はIgMから得ることができる。好ましくはIg融合体は、Ig分子内の少なくとも一つの可変領域の代わりにここに記載のポリペプチド又は抗体のドメインの置換を含む。特に好ましい実施態様では、免疫グロブリン融合対は、IgG1分子のヒンジ、CH2及びCH3、又はヒンジ、CH1、CH2及びCH3領域を含む。免疫グロブリン融合体の生産については1995年6月27日に発行された米国特許第5428130号をまた参照のこと。
「薬学的製剤」なる用語は、活性成分の生物学的活性が効果的であることを許容するような形態で存在し、製剤が投与される被検体にとって許容できない毒性がある他の成分を含まない調製物を指す。
抗体は、インビトロで又はインビボで抗原に結合し測定可能な生物学的応答を生じる抗体の能力によって測定して、与えられた時における抗体の生物学的活性が薬学的製剤が調製された時点で示される生物学的活性の約10%内(アッセイの誤差内)であるならば、薬学的製剤において「生物学的活性」を有する。
「安定」又は「安定化された」製剤は、保存時にその中のタンパク質が本質的にその物理的及び/又は化学的安定性を保持するものである。安定性は選択された期間に対して選択された温度で測定されうる。好ましくは、製剤は、少なくとも1ヶ月間、室温(〜30℃)又は40℃で安定であり、及び/又は少なくとも1年間、好ましくは少なくとも2年間、約2−8℃で安定である。例えば、保存中の凝集の度合いをタンパク質安定性の指標として使用することができる。よって、「安定な」製剤は、約10%未満、好ましくは約5%未満のタンパク質が製剤中に凝集物として存在するものでありうる。タンパク質の安定性を測定するための様々な分析技法が当該技術分野で利用でき、例えば、Peptide and Protein Drug Delivery, 247-301, Vincent Lee編, Marcel Dekker, Inc., New York, New York, Pubs. (1991)及びJones, A. Adv. Drug Delivery Rev. 10: 29-90 (1993)に概説されている。
「水溶液」なる用語は水が溶解媒体又は溶媒である溶液を意味する。ある物質が液体に溶解するとき、混合物は溶液と称される。溶解した物質は溶質であり、溶解を行う液体(この場合は水)は溶媒である。
ここで使用される「安定化剤」又は「安定剤」なる用語は、それを安定な又は未変化の状態に維持するために溶液又は混合物又は懸濁液又は組成物又は治療用組成物に加えられる化学物質又は化合物;又はより安定な又は未変化の状態を生じる原子又は分子の変化を含む反応を生じるために使用されるものである。
水性タンパク質含有製剤の粘度を低減可能な化合物の「粘度低減量」は、そこへの添加後に製剤の粘度を測定可能に低減させる量である。
「等張」製剤は、ヒトの血液と本質的に同じ浸透圧を持つものである。等張(アイソトニック)製剤は、一般に約250から350mOsmの浸透圧を持つ。「低張な」なる用語は、ヒトの血液の浸透圧より低い浸透圧を持つ製剤を記述する。対応して、「高張な」なる用語は、ヒトの血液の浸透圧より高い浸透圧を持つ製剤を記述する。等張性は、例えば、蒸気圧又は氷−凍結(ice-freezing)型浸透圧計を用いて測定することができる。
「再構成された」製剤は、凍結乾燥タンパク質又は抗体製剤を、タンパク質が再構成製剤中に分散されるように、希釈液中に溶解させたものである。再構成された製剤は、目的のタンパク質で治療される患者に投与(例えば、非経口投与)するのに適しており、本発明のある実施態様では、皮下投与に適するものでありうる。
「界面活性剤」は、親水性及び疎水性基双方を含むその化学的組成のために固体-固体、固体-液体、液体-液体、及び液体-空気の界面にその高価を生じうる界面活性な薬剤である。これらの物質は、タンパク質が吸着され潜在的に凝集されうる空気-水及び/又は水-固体界面における希釈溶液中のタンパク質の濃度を低減する。界面活性剤はタンパク質製剤中で疎水性界面に結合しうる。水の表面上のタンパク質は、タンパク質単層のアンフォールディングと続く凝集のため、特に撹拌される場合に、凝集する。
「界面活性剤」はタンパク質を変性させる場合があるが、表面変性に対してそれらをまた安定化させる場合がある。一般に、イオン性界面活性剤はタンパク質を変性させうる。しかしながら、非イオン性界面活性剤は通常は比較的高濃度(1%w/v)においてさえタンパク質を変性させない。殆どの非経口的に許容可能な非イオン性界面活性剤はポリソルベート又はポリエーテル基の何れかから生じる。ポリソルベート20及び80は市販のタンパク質製剤中の現代の界面活性剤安定剤である。しかしながら、タンパク質製剤に使用される他の界面活性剤はプルロニックF-68及び「Brij」クラスのメンバーを含む。非イオン性界面活性剤は糖ベースでありうる。糖ベースの界面活性剤はアルキルグリコシドでありうる。アルキルグリコシドの一般構造は、R-O-(CH)-Rであり、ここで、Rは独立してCH又はシクロヘキシル(C11)であり、Rは独立してグルコース又はマルトースである。例示的なアルキルグリコシドは、Rがグルコースであり、RがCHであり、xが5(n-ヘキシル-β-D-グルコピラノシド)であり、xが6(n-ヘプチル-β-D-グルコピラノシド)であり、xが7(n-オクチル-β-D-グルコピラノシド)であり、xが8(n-ノニル-β-D-グルコピラノシド)であり、xが9(n-デシル-β-D-グルコピラノシド)であり、xが11(n-ドデシル-β-D-グルコピラノシド)であるものを含む。しばしば、グルコピラノシドグルコシドと呼ばれる。例示的なアルキルグリコシドはまたRがマルトースであり、RがCHであり、xが5(n-ヘキシル-β-D-マルトピラノシド)であり、xが7(n-オクチル-β-D-マルトピラノシド)であり、xが8(n-ノニル-β-D-マルトピラノシド)であり、xが9(n-デシル-β-D-マルトピラノシド)であり、xが10(n-ウンデシル-β-D-マルトピラノシド)であり、xが11(n-ドデシル-β-D-マルトピラノシド)であり、xが12(n-トリデシル-β-D-マルトピラノシド)であり、xが13(n-テトラデシル-β-D-マルトピラノシド)であり、xが15(n-ヘキサデシル-β-D-マルトピラノシド)であるものを含む。しばしば、マルトピラノシドはマルトシドと呼ばれる。例示的なアルキルグリコシドは更にRがグルコースであり、xが3であり、Rがシクロヘキシル(3-シクロヘキシル-1-プロピル-β-D-グルコシド)であるもの、及びRがマルトースであり、xが4であり、Rがシクロヘキシル(4-シクロヘキシル-1-ブチル-β-D-マルトシド)であるものを含む。
「薬学的に許容可能な酸」は、それらが処方される濃度及び方式で非毒性である無機及び有機酸を含む。例えば、適切な無機酸には、塩酸、過塩素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、スルホン酸、スルフィン酸、スルファニル酸、リン酸、炭酸などが含まれる。適切な有機酸には、直鎖及び分岐鎖アルキル、芳香族、環状、環状脂肪族、アリール脂肪族、複素環式、飽和、不飽和、モノ-、ジ-、及びトリ-カルボン酸で、例えば、蟻酸、酢酸、2-ヒドロキシ酢酸、トリフルオロ酢酸、フェニル酢酸、トリメチル酢酸、t-ブチル酢酸、アントラニル酸、プロパン酸、2-ヒドロキシプロパン酸、2-オキソプロパン酸、プロパンジオイン酸(propandioic)、シクロペンタンプロピオン酸、シクロペンタンプロピオン酸、3-フェニルプロピオン酸、ブタン酸、ブタンジオイン酸(butandioic)、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、2-アセトキシ安息香酸、アスコルビン酸、ケイ皮酸、ラウリル硫酸、ステアリン酸、ムコン酸、マンデル酸、コハク酸、エンボン酸、フマル酸、リンゴ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、マロン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、グリコール酸、グライコン酸、グルコン酸、ピルビン酸、グリオキサール酸、シュウ酸、メシリン酸(mesylic)、コハク酸、サリチル酸、フタル酸、パルモイン酸(palmoic)、パルメイン酸(palmeic)、チオシアン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルフホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-コロベンゼンスルホン酸(chorobenzenesulfonic)、ナフタレン-2-スルホン酸、p-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4-メチルバイシクロ[2.2.2]-オクタ-2-エン-1-カルボキシル酸、グルコヘプトン酸、4,4’-メチレンビス-3-(ヒドロキシ-2-エン-1-カルボキシル酸)、ヒドロキシナフトイン酸(hydroxynapthoic)を含む。
「薬学的に許容な塩基」には、それらが製剤化される濃度及び方法において無毒性である無機及び有機塩基を含む。例えば、適切な塩基には、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム、N-メチルグルカミン、モルホリン、ピペリジンなどの無機塩基形成金属、及び第一級、第二級、第三級アミン、置換アミン、環状アミンを含む有機無毒性塩基、及び塩基性イオン交換レジン、[例えば、N(R’)+(ここでR’は独立してH又はC1−4アルキル基、例えばアンモニウム、トリス)]、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2-ジエチルアミノエタノール、トリメタミン、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン(hydrabamine)、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミンレジン等から形成されるものが含まれる。特に好ましい有機無毒性塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメタミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン及びカフェインである。
本発明で使用可能な更なる薬学的に許容可能な酸及び塩基には、アミノ酸、例えば、ヒスチジン、グリシン、フェニルアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン及びアスパラギンから誘導されるものが含まれる。
「薬学的に許容可能な」バッファー及び塩には、上に示された酸及び塩基の酸及び塩基付加塩に由来するものが含まれる。具体的なバッファー及び/又は塩には、ヒスチジン、スクシネート及びアセテートが含まれる。
「リオプロテクタント(lyoprotectant)」は、目的のタンパク質と組合わせた場合に、凍結乾燥及びその後の保存に対して、タンパク質の物理化学的不安定性を有意に防止し又は低減する分子である。例示的なリオプロテクタントには、糖及びそれらの対応する糖アルコール;グルタミン酸一ナトリウム又はヒスチジンなどのアミノ酸;ベタインなどのメチルアミン;硫酸マグネシウムなどの溶媒変性塩;ポリオール、例えば三価又はそれより大きな分子量の糖アルコール、例えば、グリセリン、デキストラン、エリスリトール、グリセロール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、及びマンニトール;プロピレングリコール;ポリエチレングリコール;プルロニックス(登録商標);及びそれらの組合わせが含まれる。更なる例示的なリオプロテクタントには、グリセリン及びゼラチン、及び糖メリビオース、メレチトース、ラフィノース、マンノトリオース及びスタキオースが含まれる。還元糖の例には、グルコース、マルトース、ラクトース、マルツロース、イソ-マルツロース及びラクツロースが含まれる。非還元糖の例には、糖アルコール及び他の直鎖ポリアルコールから選択されたポリヒドロキシ化合物の非還元グリコシドが含まれる。好ましい糖アルコールは、モノグリコシド、特にラクトース、マルトース、ラクツロース及びマルツロースなどのジサッカライドの還元によって得られる化合物である。グリコシド側鎖はグルコシド又はガラクトシドの何れかでありうる。糖アルコールの更なる例は、グルシトール、マルチトール、ラクチトール及びイソ-マルツロースである。好ましいリオプロテクタントは非還元糖トレハロース又はスクロースである。
リオプロテクタントは、「リオプロテクティング(lyoprotecting)量」、つまり、リオプロテクタントのリオプロテクティング量の存在下におけるタンパク質の凍結乾燥後、該タンパク質が凍結乾燥及び保存に対してその物理化学的安定性を本質的に保持することを意味する量にて凍結乾燥前の製剤に添加される。
「薬学的に許容される糖」は、目的のタンパク質と組み合わせたときに保存時にタンパク質の物理化学的不安定性を有意に防止し又は低減させる分子である。製剤が凍結乾燥されついで再構成されることを意図したものであるとき、「薬学的に許容される糖」もまた「リオプロテクタント」として知られている。例示的な糖及びその対応する糖アルコールには、グルタミン酸一ナトリウム又はヒスチジンなどのアミノ酸;ベタインなどのメチルアミン;硫酸マグネシウムなどの溶媒変性塩;三価アルコール又はそれより大きな分子量の糖アルコールなどのポリオール、例えば、グリセリン、デキストラン、エリスリトール、グリセロール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、及びマンニトール;プロピレングリコール;ポリエチレングリコール;プルロニックス(登録商標);及びそれらの組合わせが含まれる。更なる例示的なリオプロテクタントには、グリセリン及びゼラチン、及び糖メリビオース、メレチトース、ラフィノース、マンノトリオース及びスタキオースが含まれる。還元糖の例には、グルコース、マルトース、ラクトース、マルツロース、イソ-マルツロース及びラクツロースが含まれる。非還元糖の例には、糖アルコール及び他の直鎖ポリアルコールから選択されたポリヒドロキシ化合物の非還元グリコシドが含まれる。好ましい糖アルコールは、モノグリコシド、特にラクトース、マルトース、ラクツロース及びマルツロースなどのジサッカライドの還元によって得られる化合物である。グリコシド側鎖はグルコシド又はガラクトシドの何れかでありうる。糖アルコールの更なる例は、グルシトール、マルチトール、ラクチトール及びイソ-マルツロースである。好ましい薬学的に許容される糖は非還元糖トレハロース又はスクロースである。
薬学的に許容される糖は、タンパク質が保存の間(例えば、再構成及び保存の後)その物理化学的安定性を本質的に保つような「保護量」(例えば、凍結乾燥前)で製剤に添加する。
ここでの目的における「希釈液」は、薬学的に許容可能な(ヒトへの投与に関し安全で無毒性)もので、凍結乾燥後に再構成される製剤などの、液性製剤の調製に有用である。例示的な希釈液には、滅菌水、注射用の静菌水(BWFI)、pH緩衝溶液(例えば、リン酸バッファー生理食塩水)、滅菌生理食塩水、リンガー溶液又はデキストロース溶液が含まれる。代替の実施態様では、希釈液は塩及び/又はバッファーの水溶液を含みうる。
「保存料」は、細菌の活動を減少させるためにここにおける製剤に添加され得る化合物である。保存料の添加は、例えば、複数回使用(複数回投与)製剤の生産を容易にしうる。潜在的保存料の例には、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム(アルキル基が長鎖化合物である塩化アルキルベンジルジメチルアンモニウムの混合物)、及び塩化ベンゼトニウムが含まれる。保存料の他のタイプには、フェノールなどの芳香族アルコール、ブチル及びベンジルアルコール、メチル又はプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、及びm-クレゾールが含まれる。ここで最も好ましい保存料はベンジルアルコールである。
「治療」とは、治療処置及び予防又は防止的手段の両方を意味する。治療の必要がある者には、既に疾患を有している者並びに疾患が予防されるべき者が含まれる。
治療の目的とされる「哺乳動物」とは、ヒト、家庭又は農場用動物、及び動物園、スポーツ又はペット用動物、例えばイヌ、ウマ、ウサギ、ウシ、ブタ、ハムスター、スナネズミ、マウス、ケナガイタチ、ラット、ネコ等を含む、哺乳動物として分類されるあらゆる動物を意味する。好ましくは哺乳動物はヒトである。
「疾患」は、タンパク質による治療によって利益を受ける任意の状態のことである。これには、問題の疾患に哺乳動物を罹患させる素因になる病理状態を含む、慢性及び急性の疾患又は疾病が含まれる。ここで治療されるべき疾患の非限定的な例には、癌腫及び炎症が含まれる。
「治療的有効量」は、少なくとも特定の疾患の測定可能な改善又は予防をもたらすのに必要な最小濃度である。既知のタンパク質の治療的有効量は、当該技術分野において周知であり、後述部分に見出されるタンパク質の有効量は、通常の医師などの当業者の技量の範囲内である標準的技術によって決定されうる。
ここで用いられる「粘度」は、「絶対粘度」又は「動粘度」でありうる。「絶対粘度」は、しばしば動的又は単純粘度と呼ばれ、流体の流れる抵抗を記述する量である。「動粘度」は絶対粘度と流体密度の商である。動粘度はキャピラリー粘度計を使用して流体の抵抗流を特徴付ける場合にしばしば報告される。等量の2液体が同一のキャピラリー粘度計中に置かれ、重力による流れにまかせるとき、粘性液体はより粘度の少ない流体よりもキャピラリー中を流れるのにより時間がかかる。あるものが流れ終わるのに200秒かかり、他の流体が400秒かかる場合、動粘度スケールで、第二の流体は第一の流体の2倍粘度が高い。双方の流体が等しい密度を有している場合、第二の流体は絶対粘度スケールで第一のものの2倍粘性がある。動的粘度の次元は、L/Tであり、ここでLは長さで、Tは時間である。動的粘度のSI単位はm/sである。通常、動的粘度はセンチストーク(cSt)で表され、これはmm/sに等しい。絶対粘度の次元はM/L/Tであり、ここで、Mは質量を表し、L及びTはそれぞれ長さと時間を表す。絶対粘度のSI単位は、Pa・sであり、これはkg/m/sと等価である。絶対粘度は一般的にセンチポアズcPで表され、これはミリパスカル-秒、mPa・sに等しい。
ここに記載されたようにして製剤化されうる抗体(毒素にコンジュゲートされる抗体を含む)及び他のタンパク質の調製方法は当該技術分野においてよく知られており、例えば国際公開第2007/001851号に詳細に記載されている。
抗体及び他のタンパク質は本発明に従って水性か又は凍結乾燥形態の何れかで処方することができ、後者は水性形態に再構成され得る。
ここに記載される製剤は再構成された凍結乾燥製剤として調製されてもよい。ここに記載のタンパク質又は抗体を凍結乾燥した後、再構成して、本発明の液体製剤を生成する。この特定の実施態様では、上述したような対象のタンパク質の調製後、「前凍結乾燥(pre-lyophilized)製剤」が生成される。前凍結乾燥製剤中に存在するタンパク質の量は、所望の投与体積、投与様式などを考慮に入れて決定される。例えば、インタクトな抗体の出発濃度は、約2mg/mlから約50mg/mlで、好ましくは約5mg/mlから約40mg/ml、最も好ましくは約20−30mg/mlでありうる。
製剤化されるタンパク質は一般に溶液中に存在する。例えば、本発明の液体製剤において、タンパク質は、約4−8、好ましくは約5−7のpHのpH緩衝溶液中に存在しうる。バッファー濃度は、例えばバッファー及び所望される製剤(例えば、再構成される製剤)の緊張度に依存して、約1mMから約200mM、あるいは約1mMから約100mM、あるいは約1mMから約50mMであり得、あるいは約3mMから約15mMでありうる。例示的なバッファー及び/又は塩は、薬学的に許容可能なものであり、「薬学的に許容可能」な酸、塩基又はバッファーの元で定義されるものような、適切な酸、塩基及びその塩から作製されうる。
ある実施態様では、リオプロテクタントが前凍結乾燥製剤に添加される。前凍結乾燥製剤中のリオプロテクタントの量は、一般に、再構成時に生じた製剤が等張になるようなものである。しかし、高張な再構成製剤もまた適切でありうる。また、リオプロテクタントの量は、タンパク質の受容し難い量の分解/凝集が凍結乾燥時に生じる程、低すぎてはならない。しかし、前凍結乾燥製剤中の例示的なリオプロテクタント濃度は、約10mMから約400mMであり、あるいは約30mMから約300mM、あるいは約50mMから約100mMである。例示的なリオプロテクタントには、スクロース、マンノース、トレハロース、グルコース、ソルビトール、マンニトールなどの糖及び糖アルコールが含まれる。しかし、特定の環境下では、あるリオプロテクタントは、製剤の粘度の増大に寄与することもまたある。従って、この影響を最小化又は中和する特定のリオプロテクタントを選択するように注意が必要である。更なるリオプロテクタントは「リオプロテクタント」の定義下で上述され、ここで「薬学的に許容可能な糖」とまた称される。
リオプロテクタントに対するタンパク質の割合は、それぞれの特定のタンパク質又は抗体とリオプロテクタントとの組合わせに対して変わりうる。高タンパク質濃度を持つ等張な再構成製剤を生産するために、選択されるタンパク質として抗体、リオプロテクタントとして糖(例えば、スクロース又はトレハロース)である場合、抗体に対するリオプロテクタントのモル比は、1モル抗体に対して約100から約1500モルのリオプロテクタント、好ましくは1モル抗体に対して約200から約1000モルのリオプロテクタントであり、例えば1モル抗体に対して約200から約600モルのリオプロテクタントでありうる。
リオプロテクタント(スクロース又はトレハロースなど)と充填剤(例えば、マンニトール又はグリシン)の混合物を前凍結乾燥製剤の調製に用いてもよい。充填剤は、中に過剰なポケットを含まない均質な凍結乾燥ケーキの生産を可能にしうる。製剤の望ましい特徴に悪影響を与えないという条件下で、Remington's Pharmaceutical Sciences 16版, Osol, A.編(1980)に記載されるもののような他の薬学的に許容可能な坦体、賦形剤又は安定化剤が、前凍結乾燥製剤(及び/又は凍結乾燥製剤及び/又は再構成製剤)中に含まれてもよい。許容可能な坦体、賦形剤又は安定化剤は、使用される投与量及び濃度においてレシピエントに対し非毒性であり、更なる緩衝剤;保存料;共溶媒;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;EDTAなどのキレート剤;金属複合体(例えば、Zn-タンパク質複合体);ポリエステルなどの生物分解性ポリマー;及び/又はナトリウムなどの塩形成対イオンを含む。
また、ここでの製剤は、治療される特定の適応症に対して必要な一を越えるタンパク質、好ましくは他のタンパク質に悪影響を及ぼさない相補的活性を持つものを含みうる。例えば、単一の製剤中に所望の標的(例えば、レセプター又は抗体)に結合する2又はそれより多い抗体を提供することが望ましい場合がある。そのようなタンパク質は、好適には、意図される目的にとって効果的な量で組合わされて存在する。
インビボ投与に用いられる製剤は滅菌的でなくてはならない。これは、凍結乾燥及び再構成に先立って、もしくはその後に、滅菌濾過膜で濾過することにより容易に達成される。あるいは、全混合物の滅菌は、例えば、約120℃で約30分間、タンパク質を除いた成分をオートクレーブ処理することにより達成されうる。
タンパク質、任意のリオプロテクタント及び他の任意の構成成分を混合した後、製剤は凍結乾燥される。多くの様々な凍結乾燥機、例えばHull50TM(Hull, USA)又はGT20TM(Leybold-Heraeus, Germany)凍結乾燥機が本目的に対し利用可能である。凍結乾燥は、製剤を凍結し、引き続き、凍結された内容物から初期乾燥に適する温度で氷を昇華させることにより達成される。この条件下では、生産物の温度は、製剤の融点又は崩壊温度より低い。典型的には、初期乾燥のための棚温度は、適切な圧力下、典型的には約50から250mTorrの範囲で、約−30から25℃(但し、初期乾燥の間、生産物は凍結したままである)の範囲である。製剤、試料を保持する容器(例えば、ガラスバイアル)のサイズ及びタイプ及び液体の体積は、主として乾燥に要する時間を決定し、数時間から数日(例えば、40−60時間)に及びうる。場合によっては、第二の乾燥工程もまた生産物中の所望の残存水分量レベルに依存して実施されうる。第二の乾燥が実施される温度は、約0−40℃の範囲に及び、主として容器の型及びサイズ、及び用いられるタンパク質のタイプに依存する。例えば、凍結乾燥の水分除去の全相にわたる棚温度は、約15−30℃(例えば、約20℃)でありうる。第二の乾燥に要する時間及び圧力は、適切な凍結乾燥ケーキを生産するものであり、例えば、温度及び他のパラメーターに依存する。第二の乾燥時間は、生産物中の所望の残存水分量レベルによって決定され、典型的には少なくとも約5時間(例えば、10−15時間)かかる。圧力は、初期乾燥工程中に使用されたものと同じでよい。凍結乾燥条件は、製剤及びバイアルサイズに依存して異なりうる。
患者への投与に先立ち、凍結乾燥製剤は、再構成製剤中のタンパク質濃度が少なくとも約50mg/ml、例えば、約50mg/mlから約400mg/ml、あるいは約80mg/mlから約300mg/ml、あるいは約90mg/mlから約150mg/mlであるように、薬学的に許容可能な希釈剤で再構成される。そのような製剤中におけるタンパク質の高い濃度は、再構成される製剤の皮下送達が意図される場合、特に有用であると考えられる。しかし、静脈内投与などの他の投与経路に対しては、再構成製剤中におけるより低いタンパク質濃度が望まれる場合がある(例えば、再構成される製剤中、約5−50mg/ml、又は約10−40mg/mlタンパク質)。ある実施態様では、再構成される製剤中のタンパク質濃度は、前乾燥製剤中の濃度より有意に高い。例えば、再構成される製剤中のタンパク質濃度は、前凍結乾燥製剤の約2−40倍、あるいは3−10倍、あるいは3−6倍(例えば、少なくとも3倍又は少なくとも4倍)でありうる。
一般に、再構成は完全な水和を保証する約25℃の温度で起こるが、他の温度も望まれる場合には使用されうる。再構成に要する時間は、例えば、希釈剤のタイプ、賦形剤及びタンパク質の量に依存するであろう。例示的な希釈剤には、滅菌水、注射用の静菌水(BWFI)、pH緩衝溶液(例えば、リン酸緩衝化食塩水)、滅菌生理食塩水、リンガー溶液又はデキストロース溶液が含まれる。希釈剤は、場合によっては、保存料を含む。例示的な保存料は上述したが、ベンジル又はフェノールアルコールなどの芳香族アルコールが好ましい保存料である。使用される保存料の量は、タンパク質との適合性及び保存料の有効性試験に関し異なる保存料濃度を評価することによって決定される。例えば、保存料が芳香族アルコール(ベンジルアルコールなど)である場合、約0.1−2.0%、好ましくは約0.5−1.5%、最も好ましくは約1.0−1.2%の量で存在しうる。
好ましくは、再構成される製剤は、大きさが10μm以上であるバイアル当たり6000粒子未満である。
治療用製剤は任意成分の薬学的に許容可能な担体、賦形剤又は安定剤と、所望の精製度を有する活性成分を混合することにより、調製されて保存される(Remington's Pharmaceutical Sciences 18th edition, Mack Publishing Co., Easton, Pa. 18042 [1990])。許容可能な担体、賦形剤又は安定剤は、用いられる投与量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であり、緩衝液、アスコルビン酸、メチオニン、ビタミンE、メタ重亜硫酸ナトリウムを含む抗酸化剤、保存料、等張剤、安定剤、金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);及び/又はEDTA等のキレート剤を含む。
治療剤が抗体断片である場合、標的タンパク質の結合ドメインに特異的に結合する最小の断片が好ましい。例えば、抗体の可変領域配列に基づいて、標的タンパク質配列に結合する能力を保持した抗体断片又はペプチド分子が設計できる。このようなペプチドは、化学的に合成でき、及び/又は組換えDNA技術によって生産できる(例えば、Marasco等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90, 7889-7893 [1993]を参照)。
緩衝剤は、特に安定性がpH依存性である場合、治療的有効性を最適にする範囲にpHを調節するために用いる。緩衝剤は、好ましくは約1mMから約200mM、あるいは約1mMから約100mM、あるいは約1mMから約50mM、あるいは約3mMから約15mMの範囲の濃度で存在する。本発明での使用に好適な緩衝剤には、有機及び無機酸の両方とそれらの塩が含まれる。例えば、シトレート、ホスフェート、スクシネート、タートレート、フマレート、グルコネート、オキサレート、ラクテート、アセテートである。また、緩衝剤はヒスチジン及びトリスのようなトリメチルアミンからなりうる。
保存料は微生物の増殖を遅らせるために添加され、典型的には0.2%−1.0%(w/v)の範囲で存在する。本発明での使用に好適な保存料には、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;ベンザルコニウムハロゲン化合物(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、塩化ベンゼトニウム;チメロサール、フェノール、ブチル及びベンジルアルコール;メチル又はプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール、3-ペンタノール、及びm-クレゾールが含まれる。
しばしば「安定剤」としても知られる緊張剤は、液体組成物の緊張性を調節又は維持するために存在する。タンパク質や抗体のような大きな荷電生体分子と共に用いる場合、それらはアミノ酸側鎖の荷電基と相互作用して分子内及び分子間相互作用の潜在性を減少させるので、しばしば「安定剤」と称される。緊張剤は他の成分との相対的な量を考慮して、0.1重量%から25重量%、好ましくは1から5%の間の任意の量で存在しうる。好ましい緊張剤には、多価糖アルコール、好ましくは三水素又はより高い糖アルコール、例えばグリセリン、エリトリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール及びマンニトールが含まれる。
更なる賦形剤には、次のものの一又は複数となりうる薬剤が含まれる:(1)充填剤、(2)溶解亢進剤、(3)安定剤及び(4)変性や容器壁への付着を防止する作用剤。そのような賦形剤は、多価糖アルコール(上に列挙);アミノ酸、例えばアラニン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、オルニチン、ロイシン、2-フェニルアラニン、グルタミン酸、スレオニン等;有機糖又は糖アルコール、例えばスクロース、ラクトース、ラクチトール(lactitol)、トレハロース、スタキオース、マンノース、ソルボース、キシロース、リボース、リビトール、ミオイノシトース(myoinisitose)、ミオイノシトール、ガラクトース、ガラクチトール、グリセロール、シクリトール(例えばイノシトール)、ポリエチレングリコール);硫黄含有還元剤、例えば尿素、グルタチオン、チオクト酸、ナトリウムチオグリコール酸塩、チオグリセロール、α-モノチオグリセロール及びナトリウムチオ硫酸塩;低分子量タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチン又は他の免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;単糖類(例えば、キシロース、マンノース、フルクトース、ブドウ糖);二糖類(例えばラクトース、マルトース、スクロース);三糖類、例えばラフィノース;及び多糖類、例えばデキストリン又はデキストランが含まれる。
製剤をインビボ投与に用いるために、それらは滅菌されなければならない。滅菌濾過膜に濾過することによって製剤を無菌的に精製してもよい。ここでの治療用組成物は一般的に、滅菌したアクセスポートを有する容器、例えば、静脈溶液バッグ又は皮下注射針によって穿孔可能なストッパーを有するバイアルに配される。
投与経路は既知で適応できる方法に従い、例えば、単回又は複数回のボーラス投与、又は好適な方法での長時間をかけての注入、例えば、皮下、静脈内、腹膜内、筋肉内、動脈内、病巣内又は関節内経路による注射又は注入、局所投与、吸入又は持続的徐放あるいは延長された放出手段による。
また、ここでの製剤は、治療する特定の症状に必要な一を越える活性化合物、好ましくは互い悪影響を示さない相補的活性を持つ化合物を含みうる。あるいは、又は加えて、組成物は、細胞傷害剤、サイトカイン又は増殖阻害剤を含みうる。そのような分子は意図する目的に有効な量で組み合わせて適切に存在する。
また、活性成分は、例えばコアセルベーション技術又は界面重合法により調製したマイクロカプセル、例えば、それぞれコロイド薬物送達系(例えばリポソーム、アルブミンミクロスフィア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)における又はマクロエマルジョンにおける、ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン-マイクロカプセル及びポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセルに捕捉させうる。このような技術は、上掲のRemington's Pharmaceutical Sciences 18版に開示されている。
徐放性製剤を調製してもよい。徐放性製剤の好適な例は、抗体を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスを含み、そのマトリクスは成形品、例えばフィルム、又はマイクロカプセルの形態である。徐放性マトリクスの例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えばポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3773919号)、L-グルタミン酸及びγ-エチル-L-グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商品名)(乳酸-グリコール酸コポリマーと酢酸リュープロリドの注射可能なミクロスフィア)などの分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、及びポリ-(D)-3-ヒドロキシ酪酸を含む。持続放出のための組換えタンパク質のマイクロカプセル封入は、ヒト成長ホルモン(rhGH)、インターフェロン-(rhIFN-)、インターロイキン-2、及びMNrpg120を用いて成功裏に行った。Johnson等, Nat. Med. 2: 795-799 (1996);Yasuda等, Biomed. Ther. 27: 1221-1223 (1993);Hora等, Bio/Technology 8: 755-758 (1990);Cleland,「Design and Production of Single Immunization Vaccines Using Polylactide Polyglycolide Microsphere Systems」, in Vaccine Design: The Subunit and Adjuvant Approach, Powell及びNewman編, (Plenum Press: New York, 1995), pp 439-462;国際公開第97/03692号;国際公開第96/40072号;国際公開第96/07399号;及び米国特許第5654010号。
これらのタンパク質の持続放出製剤は、ポリ-乳酸-コグリコール酸(PLGA)ポリマーを用い、その生体適合性及び広範囲の生分解特性に基づいて開発されうる。PLGAの分解生成物である乳酸及びグリコール酸は、ヒト身体内で即座に除去されうる。更に、このポリマーの分解性は、その分子量及び組成に依存して数ヶ月から数年まで調節できる。Lewis,「Controlled release of bioactive agents from lactide/glycolide polymer」: M. Chasin及び R. Langer (編), Biodegradable Polymers as Drug Delivery Systems (Marcel Dekker: New York, 1990), pp. 1-41。
エチレン-酢酸ビニル及び乳酸-グリコール酸などのポリマーは分子を100日に渡って放出することができるが、ある種のヒドロゲルはより短時間でタンパク質を放出する。カプセル化された抗体が身体内に長時間残ると、それらは37℃の水分に露出されることにより変性又は凝集し、その結果、生物学的活性の消失及び起こりうる免疫原性の変化をもたらす。合理的な方策は、関与した機構に依存して安定化のために工夫することができる。例えば、凝集機構がチオ-ジスルフィド交換を通した分子間S−S結合形成であることが発見された場合、安定化はスルフヒドリル残基の修飾、酸性溶液からの凍結乾燥、水分含有量の制御、適切な添加剤の使用、及び特異的ポリマーマトリクス組成物の開発によって達成されうる。
また、リポソーム又はプロテイノイド組成物もここで開示したタンパク質又は抗体を製剤化するために用いることができる。米国特許第4925673号及び同第5013556号を参照のこと。
ここに記載されたタンパク質及び抗体の安定性は、非毒性の「水溶性多価金属塩」の使用により亢進されうる。例はCa2+、Mg2+、Zn2+、Fe2+、Fe3+、Cu2+、Sn2+、Sn3+、Al2+、及びAl3+を含む。上記多価金属陽イオンと水溶性塩を形成する陰イオンの例は、無機酸及び/又は有機酸によって形成されるものを含む。このような水溶性塩は水(20℃)に少なくとも20mg/ml、あるいは100mg/ml、あるいは200mg/mlの溶解度を持つ。
「水溶性多価金属塩」を形成するのに使用されうる好適な無機酸には、塩酸、硫酸、硝酸、チオシアン酸及びリン酸が含まれる。使用可能な好適な有機酸には、脂肪族カルボン酸及び芳香族酸が含まれる。この定義の範囲内の脂肪族酸は、飽和又は不飽和C2−9カルボン酸(例えば、脂肪族モノ-、ジ-及びトリ-カルボン酸)と定義することができる。例えば、この定義の範囲内の例示的モノカルボン酸には、飽和C2−9モノカルボン酸の酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリルペラルゴン酸及びカプリオニック(capryonic)酸、及び不飽和C2−9モノカルボン酸のアクリル酸、プロピオン酸、メタクリル酸、クロトン酸及びイソクロトン酸が含まれる。例示的なジカルボン酸には、飽和C2−9ジカルボン酸のマロン酸、コハク酸、グルタル酸、脂肪酸及びピメリン酸が含まれる一方、不飽和C2−9ジカルボン酸にはマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸及びメサコン酸が含まれる。例示的トリカルボン酸には、不飽和C2−9トリカルボン酸のトリカルバリル酸及び1,2,3-ブタントリカルボン酸が含まれる。また、この定義のカルボン酸は、ヒドロキシカルボン酸を形成するように一又は二の水酸基を含みうる。例示的ヒドロキシカルボン酸には、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、タルトロン酸、リンゴ酸、酒石酸及びクエン酸が含まれる。この定義の範囲内の芳香族の酸は、安息香酸及びサリチル酸酸を含む。
本発明のカプセル化ポリペプチドの安定化を助けるために使用可能な一般的に用いられる水溶性多価金属塩には、例えば(1)ハロゲン化物(例えば塩化亜鉛、塩化カルシウム)、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩及びチオシアン酸塩の無機酸性金属塩;(2)脂肪族カルボン酸金属塩(例えば酢酸カルシウム、酢酸亜鉛、プロピオン酸カルシウム、グリコール酸亜鉛、乳酸カルシウム、乳酸亜鉛及び酒石酸亜鉛);及び(3)ベンゾエートの芳香族カルボン酸金属塩(例えば芳香族亜鉛)及びサリチル酸塩が含まれる。
疾患の予防又は治療のために、活性剤の適量は、上記のように治療する疾患のタイプ、疾患の重症度及び過程、予防を目的としてか治療を目的として薬剤を投与するのか、過去の治療法、患者の病歴及び薬剤への反応、担当医の裁量に依存するであろう。薬剤は一回又は一連の治療を通じて患者に好適に投与される。
本発明の方法は、組み合わされた又は更なる治療工程として、あるいは治療製剤の更なる成分として、疾患の既知の治療方法と組み合わせることができる。
本発明の薬学的組成物の用量及び所望の薬物濃度は、想定する特定の使用によって変化しうる。適当な用量又は投与経路の決定は、当業者の技量の範囲内である。動物実験は、ヒトの治療のための有効用量の決定のための信頼できる手引きを提供する。有効用量の異種間スケーリングは、Mordenti, J. 及び Chappell, W. "The Use of Interspecies Scaling in Toxicokinetics", In Toxicokinetics and New Drug Development, Yacobi 等編, Pergamon Press, New York 1989, pp42-46において公開された原理に従って実施することができる。
ここに記載されたポリペプチド又は抗体のインビボ投与が用いられるとき、正常な用量は投与経路に応じて、哺乳動物の体重当たり1日当たり約10ng/kgから約100mg/kg(哺乳動物の体重)まで又はそれより多く、好ましくは約1mg/kg/日から10mg/kg/日の間で変動する。特定の用量及びデリバリー法に関する手引きは文献に与えられている;例えば、米国特許第4657760号;同第5206344号;又は同第5225212号を参照。異なる製剤が異なる治療及び異なる疾患のために効果的であることと、特定の器官又は組織を治療することを意図する投与は他の器官又は組織への投与とは異なる方法でのデリバリーを必要としうることは本発明の範囲内である。更に、用量は、一又は複数の別個の投与によって、又は連続的注入によって投与することができる。数日以上にわたる繰り返し投与では、症状に応じて、疾患症状の所望の抑制が生じるまで維持される。しかしながら、他の投与計画も有用でありうる。この治療の進行は、一般的な技術及びアッセイにより容易にモニターされる。
限定はしないが、再構成される製剤を含む本発明の製剤は、タンパク質による治療を必要としている哺乳動物、好ましくはヒトに対して、ボーラス又はある期間にわたる連続的注入による静脈内投与、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、関節内、滑膜内、腱鞘内、口内、局部的又は吸入経路による既知の方法に従い投与される。
好ましい実施態様において、製剤は皮下(すなわち、皮膚の下)投与によって哺乳動物に投与される。かかる目的のため、製剤はシリンジを用いて注射される。しかし、製剤の投与のための他の装置、例えば、注射装置(例えば、Inject-easeTM及びGenjectTM装置);インジェクターペン(GenPenTMなど);自動インジェクター装置、針なし装置(例えば、MediJectorTM及びBioJectorTM);及び皮下パッチ送達システムなどが利用可能である。
特定の実施態様では、本発明は、単回用量投与単位のキットに関する。そのようなキットは、単一又は複数のチャンバーを有するあらかじめ充填したシリンジを含む、治療用タンパク質又は抗体の水性製剤の容器を含む。あらかじめ充填したシリンジの例は、Vetter GmbH, Ravensburg, Germanyから入手可能である。
タンパク質の適当な投与量(「治療上有効量」)は、例えば、治療される状態、状態の重篤性及び経過、該タンパク質が予防的又は治療的目的で投与されるかどうか、過去の治療法、患者の病歴及び該タンパク質に対する反応性、使用されるタンパク質のタイプ、主治医の裁量に依存するであろう。タンパク質は、一回で又は一連の治療にわたり適切に投与され、その後の診断により任意の時期に患者に投与されうる。タンパク質は、単一の治療として又は問題の症状を治療するのに有用な他の薬物又は療法と併せて投与されうる。
選択されるタンパク質が抗体である場合、例えば、一回又は複数回に分けての投与の何れであっても、患者への投与に対して初回の推奨される投与量は、約0.1−20mg/kgである。しかし、他の投与計画が有用な場合もある。この治療の進捗は、一般的な技術によって容易にモニターされる。
本発明の他の実施態様では、製剤を含み、好ましくはその使用のための説明書を提供する製造品が提供される。製造品は容器を含む。適切な容器には、例えばボトル、バイアル(例えば、二重チャンバーバイアル)、シリンジ(単一又は二重チャンバーシリンジなど)、及び試験管が含まれる。容器はガラス又はプラスチックのような様々な材料で形成することができる。製剤を収容する容器の上又は容器に付随したラベルは、再構成及び/又は使用のための指示を示しうる。更に、ラベルは製剤が皮下投与に有用であり又は皮下投与が意図されることを示しうる。製剤を収容する容器は、多数回使用バイアルであり得、これは再構成製剤の繰り返し投与(例えば、2−6投与)を可能ならしめる。製造品は適切な希釈剤(例えば、BWFI)を含む第二の容器を更に含みうる。希釈剤と凍結乾燥製剤を混合すると、再構成製剤中の最終タンパク質濃度は、一般に少なくとも50mg/mlになるであろう。他のバッファー、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、及び使用説明に関するパッケージ挿入物を含む、市販及び使用者の観点から望ましい他の材料を更に含みうる。
本発明は次の実施例を参照することにより、更に十分に理解されるであろう。しかし、それらは本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきものではない。本明細書における全ての引例は出典明示によりここに明示的に援用される。
実施例1−溶液中のタンパク質粘度の調査
この実施例は様々な抗体含有製剤の粘度の測定を例証する。
溶液中の抗CD4モノクローナル抗体の様々な水性製剤の粘度を評価した。すなわち、この研究では、様々な濃度の抗CD4モノクローナル抗体を含む緩衝溶液(20mMのヒスチジン-スクシネート、pH6.3)を調製し、得られた溶液の粘度を測定した。この点に関し、粘度は、25℃の温度、1000l/sの剪断速度で標準的なコーン・プレード式レオメーター(20mm直径、1度のコーン、及び水溶媒トラップを使用するTAインストルメンツAR-G2応力レオメーター)を使用して測定した。充填時に、データ収集開始前に25℃で2分間、各試料を平衡にさせた。データは定常状態に達することを担保するために最小2分の間、集めた。溶液を、透析及び/又は濃縮タンパク質溶液への乾燥賦形剤の添加によって所望の最終賦形剤濃度を達成することにより調製した。試料を、試料充填前に室温にするまで2−8℃で保存した。各試料のタンパク質濃度の測定は、重量希釈によるUV吸光スペクトロスコピーを使用して行った。試料は調製から2週間以内に(通常は2−3日以内に測定した。これらの初期分析の結果を以下の表Iに示す。
Figure 2013525484
実施例2−水性抗体含有製剤の粘度に対するアルギニンの効果の調査
この実施例は、アルギニン-HCl及びアルギニンスクシネート(アルギニン-S)が水性モノクローナル抗体含有製剤の粘度に如何に影響するかを例証する。
溶液中の抗CD4モノクローナル抗体の水性製剤におけるアルギニン-HCl及びアルギニンスクシネートの粘度低減効果を評価した。すなわち、この研究では、様々な濃度の抗CD4モノクローナル抗体を含む緩衝溶液(20mMのヒスチジン-スクシネート、pH6.3)を様々な濃度の遊離アルギニンと組み合わせて調製し、得られた溶液の粘度を上述のようにして測定した。これらの分析の結果を以下の表IIに示す。
Figure 2013525484
表IIに示されたデータは、緩衝抗CD4抗体含有水性製剤が非常に粘性があり、30mMのアルギニン-HClの添加が得られた溶液の粘度を有意に低減させるように機能することを証明している。また、増加量のアルギニンスクシネートの添加は粘度低減効果を有している。よって、これらのデータは、アルギニン-HCl及びスクシネート対イオンを持つアルギニン、例えばアルギニンスクシネートが、高濃度タンパク質含有製剤の粘度を低減させるために使用される効果的な賦形剤/添加剤となり、その製剤を皮下経路を介しての投与に受け入れられるものにすることを証明している。
実施例3−水性抗体含有製剤の粘度に対する様々なアルギニン誘導体、前駆体、及び構造的アナログの効果の調査
この実施例は、如何に様々なアルギニン誘導体、前駆体、及び構造的アナログが水性抗体含有製剤の粘度に影響を及ぼすかを示す。
実施例2のデータが高濃度抗体含有製剤の粘度の低減に有益な効果を有していることを証明したので、我々は次に様々な異なったアルギニン誘導体、前駆体及び構造的アナログがそのようなタンパク質含有製剤に有しうる効果を測定することを探究した。すなわち、次の研究において、様々な濃度の抗CD4モノクローナル抗体(20mMのヒスチジン-スクシネート、pH6.3)を含む緩衝溶液を、様々な濃度の異なったアルギニン誘導体、前駆体又はアナログと組み合わせて調製し、得られた溶液の粘度を、上述のように標準的なコーン・プレート式レオメーターを使用して測定した。より詳細には、粘度は、25℃の温度、1000 l/sの剪断速度で標準的なコーン・プレード式レオメーター(20mm直径、1度のコーン、及び水溶媒トラップを使用するTAインストルメンツAR-G2応力レオメーター)を使用して測定した。充填時に、データ収集開始前に25℃で2分間各試料を平衡にさせた。データは定常状態に達することを担保するために最小2分の間、集めた。溶液を、透析及び/又は濃縮タンパク質溶液への乾燥賦形剤の添加によって所望の最終賦形剤濃度を達成することにより調製した。試料を、試料充填前に室温にするまで2−8℃で保存した。各試料のタンパク質濃度の測定は、重量希釈によるUV吸光スペクトロスコピーを使用して行った。
A.アルギニンオリゴペプチド
水性抗CD4モノクローナル抗体製剤に対するアルギニンジペプチド、アルギニントリペプチド又はポリアルギニンの添加効果を、上に記載されたようにして決定した。これらの分析の結果を以下の表IIIに示す。
Figure 2013525484
B.アルギニン側鎖長の変化
水性抗CD4モノクローナル抗体製剤に対するアルギニンベースの賦形剤の側鎖長の変更の効果を、上に記載されたようにして決定した。これらの分析の結果を以下の表IVに示す。
Figure 2013525484
C.アルギニン官能基の除去
水性抗CD4モノクローナル抗体製剤に対するアルギニンベースの賦形剤からの様々な官能基の除去効果を、上に記載されたようにして決定した。これらの分析の結果を以下の表Vに示す。
Figure 2013525484
D.他の関連した化合物
他のアルギニン関連化合物の製剤粘度に対する効果をまた分析し、結果を以下の表VIに示す。
Figure 2013525484
E.まとめ
上の表Iに提示されたデータは、アルギニン(アルギニン-HCl又はアルギニンスクシネートの何れか)が、高濃度タンパク質含有溶液の粘度を効果的に低減させる賦形剤であることを証明している。このデータに基づき、更なる実験を実施して、水性高濃度タンパク質含有溶液に対する様々な他の「アルギニン関連」賦形剤の高価を試験した。表II−VIに示されるように、試験した更なる賦形剤の多くが粘度低減効果を示した。興味深いことに、他の構造的に関連した賦形剤(例えばカナバニン及びNG-NG-ジメチル-アルギニン二塩酸塩)は実際に高濃度タンパク質含有溶液の粘度を増加させるように機能し、アルギニンに対する構造的相同性が、化合物がタンパク質含有溶液に対して有しうる効果の指標ではないことを証明している。
実施例4−賦形剤濃度に対する粘度の依存性の研究
この実施例は、水性モノクローナル抗体含有製剤の粘度に対する様々な賦形剤濃度の高価を例証する。
高濃度タンパク質含有溶液の粘度を低減させることができるとして実施例3に示された二種の賦形剤の様々な異なった濃度の粘度低減効果を評価した。特に、この研究では、様々な濃度の抗CD4モノクローナル抗体を含む緩衝溶液(20mMのヒスチジン-スクシネート、pH6.3)を、様々な異なった濃度のアグマチン又はホモアルギニンの何れかと組み合わせて調製した。これらの分析の結果は表VIIに示しており、そこでは、提示された粘度測定値は同水性製剤の二つの独立した分析値の平均を表す。
Figure 2013525484
上の表VIIに提示されたデータは、粘度低減効果を有する上の実施例3に示される賦形剤の粘度低下効果が広い範囲の濃度にわたって生じることを証明している。より詳細には、表VIIに提示したデータから、粘度低減効果が約10mMの濃度の当たりで一般に明らかになり、900mMから1Mに近づく濃度を通して維持されることが明らかである。これらのデータが与えられたので、粘度低減効果を有しているとここで証明された賦形剤が約10mMから約1Mの間でそれらを含む濃度の広い範囲にわたってその効果を示すことが予想される。

Claims (34)

  1. タンパク質と該タンパク質を含有する水性製剤の粘度を低減可能な化合物を含む組成物。
  2. タンパク質が抗体である請求項1に記載の組成物。
  3. 上記タンパク質を含有する水性製剤の粘度を低減可能な上記化合物が、アルギニン-HCl, アルギニンスクシネート、アルギニンジペプチド, アルギニントリペプチド、ポリアルギニン、ホモアルギニン、2-アミノ-3-グアニジノ-プロピオン酸、グアニジン、オルニチン、アグマチン、グアニジノ酪酸、尿素、シトルリン、N-ヒドロキシ-L-ノル-アルギニン、ニトロアルギニンメチルエステル、アルギニンアミド、アルギニンメチルエステル、アルギニンエチルエステル、リジン、リシンアミド、リシンメチルエステル、ヒスチジン、ヒスチジンメチルエステル、ヒスタミン、アラニン、アラニンアミド、アラニンメチルエステル、プトレシン、カダベリン、スペルミジン、スペルミン、及びメチオニンからなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
  4. 上記水性製剤の粘度を低減可能な上記化合物が少なくとも10mMの濃度で存在する請求項3に記載の組成物。
  5. 上記水性製剤の粘度を低減可能な上記化合物が少なくとも20mMの濃度で存在する請求項3に記載の組成物。
  6. 上記水性製剤の粘度を低減可能な上記化合物が少なくとも50mMの濃度で存在する請求項3に記載の組成物。
  7. 上記水性製剤の粘度を低減可能な上記化合物が少なくとも100mMの濃度で存在する請求項3に記載の組成物。
  8. 上記水性製剤の粘度を低減可能な上記化合物が約10mMから約1Mの濃度で存在する請求項3に記載の組成物。
  9. 水性形態である請求項1に記載の組成物。
  10. 凍結乾燥形態である請求項1に記載の組成物。
  11. タンパク質濃度が少なくとも100mg/mlである請求項1に記載の組成物。
  12. 粘度が150cP以下である請求項1に記載の組成物。
  13. 請求項1に記載の組成物を収容した容器を含む製造品。
  14. タンパク質含有製剤の粘度を低減させる方法であって、上記タンパク質を含有する水性製剤の粘度を低減可能な化合物の粘度低減量を上記製剤に添加する工程を含んでなる方法。
  15. 上記タンパク質を含有する水性製剤の粘度を低減可能な上記化合物が、アルギニン-HCl、アルギニンスクシネート、アルギニンジペプチド、アルギニントリペプチド、ポリアルギニン、ホモアルギニン、2-アミノ-3-グアニジノ-プロピオン酸、グアニジン、オルニチン、アグマチン、グアニジノ酪酸、尿素、シトルリン、N-ヒドロキシ-L-ノル-アルギニン、ニトロアルギニンメチルエステル、アルギニンアミド、アルギニンメチルエステル、アルギニンエチルエステル、リジン、リシンアミド、リシンメチルエステル、ヒスチジン、ヒスチジン メチルエステル、ヒスタミン、アラニン、アラニンアミド、アラニンメチルエステル、プトレシン、カダベリン、スペルミジン、スペルミン、及びメチオニンからなる群から選択される請求項14に記載の方法。
  16. 上記化合物が少なくとも10mMの最終濃度で添加される請求項14に記載の方法。
  17. 上記化合物が少なくとも20mMの最終濃度で添加される請求項14に記載の方法。
  18. 上記化合物が少なくとも50mMの最終濃度で添加される請求項14に記載の方法。
  19. 上記化合物が少なくとも100mMの最終濃度で添加される請求項14に記載の方法。
  20. 上記化合物が約10mMと約1Mの間の最終濃度で添加される請求項14に記載の方法。
  21. 上記タンパク質が抗体である請求項14に記載の方法。
  22. 上記製剤を凍結乾燥させる工程を更に含む請求項14に記載の方法。
  23. 上記製剤中に存在するタンパク質濃度が少なくとも100mg/mlである請求項14に記載の方法。
  24. 上記製剤の粘度が150cP以下である請求項14に記載の方法。
  25. 水性タンパク質含有製剤の調製方法であって、上記タンパク質を含有する水性製剤の粘度を低減可能な化合物の粘度低減量をタンパク質含有溶液に添加する工程を含んでなる方法。
  26. 上記タンパク質を含有する水性製剤の粘度を低減可能な上記化合物が、アルギニン-HCl、アルギニンスクシネート、アルギニンジペプチド、アルギニントリペプチド、ポリアルギニン、ホモアルギニン、2-アミノ-3-グアニジノ-プロピオン酸、グアニジン、オルニチン、アグマチン、グアニジノ酪酸、尿素、シトルリン、N-ヒドロキシ-L-ノル-アルギニン、ニトロアルギニンメチルエステル、アルギニンアミド、アルギニンメチルエステル、アルギニンエチルエステル、リジン、リシンアミド、リシンメチルエステル、ヒスチジン、ヒスチジン メチルエステル、ヒスタミン、アラニン、アラニンアミド、アラニンメチルエステル、プトレシン、カダベリン、スペルミジン、スペルミン、及びメチオニンからなる群から選択される請求項25に記載の方法。
  27. 上記化合物が少なくとも10mMの最終濃度で添加される請求項25に記載の方法。
  28. 上記化合物が少なくとも20mMの最終濃度で添加される請求項25に記載の方法。
  29. 上記化合物が少なくとも50mMの最終濃度で添加される請求項25に記載の方法。
  30. 上記化合物が少なくとも100mMの最終濃度で添加される請求項25に記載の方法。
  31. 上記化合物が約10mMと約1Mの間の最終濃度で添加される請求項25に記載の方法。
  32. 上記タンパク質が抗体である請求項25に記載の方法。
  33. 上記製剤中に存在するタンパク質濃度が少なくとも100mg/mlである請求項25に記載の方法。
  34. 上記製剤の粘度が150cP以下である請求項25に記載の方法。
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