以下に本発明の好適な実施形態について説明する。尚、本発明の実施の形態は下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々の形態を採ることができ、各実施例に記載された内容を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。
[実施例1]
図1に示すように、弾球遊技機の一種であるパチンコ機50は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51にて構成の各部を保持する構造である。外枠51の左側上下には、ヒンジ53が設けられており、該ヒンジ53の他方側には図3に記載する内枠70が取り付けられており、内枠70は外枠51に対して開閉可能な構成になっている。前枠52には、板ガラス61が取り外し自在に設けられており、板ガラス61の奥には図2に記載する遊技盤1が内枠70に取り付けられている。
前枠52の上側左右には、スピーカ66が設けられており、パチンコ機50から発生する遊技音が出力され、遊技者の趣向性を向上させる。また、遊技者の趣向性を向上させるために前枠52に遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプも複数設けられている。前枠52の下方には、上皿55と下皿63が一体に形成されている。下皿63の右側には発射ハンドル64が取り付けられており、発射ハンドル64を時計回りに回動操作することによって発射装置(図示省略)が可動して、上皿55から供給された遊技球が遊技盤1に向けて発射される。
上皿55の上部ほぼ中央には、遊技者が操作可能な演出ボタン67が備えられており、この演出ボタン67は、周囲にジョグダイヤル68を備えたものとなっている。遊技者が所定期間中に、演出ボタン67やジョグダイヤル68を操作することで後述する演出図柄表示装置6に表示される内容が変化したり、スピーカ66より出力される遊技音が変化したりする。また、このパチンコ機50はいわゆるCR機であって、プリペイドカードの読み書き等を行うためのプリペイドカードユニット(CRユニット)56が付属しており、パチンコ機50の上皿55には、貸出ボタン57、精算ボタン58及び残高表示器59を有するCR精算表示装置が備わっている。
図2は、本実施例のパチンコ機の遊技盤1の正面図である。なお、このパチンコ機の全体的な構成は公知技術に従っているので図示及び説明は省略する。図2に示すように遊技盤1には、公知のガイドレール2a、2bによって囲まれた略円形の遊技領域3が設けられている。この遊技領域3には多数の遊技釘4が打ち付けられている。
遊技領域3のほぼ中央部には、センターケース5が配されている。センターケース5は、公知のものと同様に、ワープ入口、ワープ通路、ステージ、演出図柄表示装置6(液晶表示装置であり擬似図柄を表示する。)の画面を臨ませる窓等を備えている。
センターケース5の下には、第1始動口11が配置され、更にその下には、第2始動口12が配置されている。第2始動口12は開閉可能な翼片を供えた普通電動役物を備えており、この翼片が開放しないと遊技球は第2始動口12に入球できない構成となっている。センターケース5の左方にはゲート17が配置されており、ここを遊技球が通過すると普通図柄が変動し、普通図柄が当り図柄で停止すると翼片が開放される。遊技領域の右下部には、複数個のLEDからなる普通図柄表示装置7と、普通図柄保留数表示装置8と、特別図柄保留数表示装置18と、7セグメント表示装置からなる特別図柄表示装置9とが配置されている。なお、第1始動口11、第2始動口12にはそれぞれに入球した遊技球を検出する第1始動口SW11a、第2始動口SW12aを各内部に備えているが、これらによる検出結果は制御上、同じ扱いを受ける。従って、第1始動口11に入球した場合も、第2始動口12に入球した場合も、特別図柄の保留に空きがあれば同じ特別図柄が変動される。従って、特別図柄保留数表示装置18も、特別図柄表示装置9も各1個のみ存在する。
第2始動口12の下方にはアタッカー式の大入賞口14が配置されている。また、第1始動口11の左方には、第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33及び第4左入賞口34が設けられている。なお、この第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、第4左入賞口34が、常時、入球率が変化しない普通入賞口である。これら普通入賞口を総じて一般入賞口31ともいう。
パチンコ遊技機50の裏面は図3に示すとおり、前述した遊技盤1を脱着可能に取り付ける内枠70が前述した外枠51に収納されている。この内枠70には、上方から、球タンク71、タンクレール72及び払出装置73が設けられている。この構成により、遊技盤1上の入賞口に遊技球の入賞があれば球タンク71からタンクレール72を介して所定個数の遊技球を払出装置73により前述した上皿55に排出することができる。また、パチンコ機50の裏側には(図4も参照のこと)、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83、発射制御装置84、電源基板85が設けられている。なお、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83がサブ制御装置に該当する。
主制御装置80、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83は遊技盤1に設けられており、払出制御装置81、発射制御装置84、電源基板85が内枠70に設けられている。なお、図3では、発射制御装置84が描かれていないが、発射制御装置84は払出制御装置81の下に設けられている。また、球タンク71の右側には、外部接続端子78が設けられており、この外部接続端子78より、遊技状態や遊技結果を示す信号が図示しないホールコンピュータに送られる。なお、従来はホールコンピュータへ信号を送信するための外部接続端子78には、盤用(遊技盤側から出力される信号をホールコンピュータへ出力するための端子)と枠用(枠側(前枠52、内枠70、外枠51)から出力される信号をホールコンピュータへ出力するための端子)の2種類を用いているが、本実施例では、一つの外部接続端子78を介してホールコンピュータへ遊技状態や遊技結果を示す信号を送信している。
このパチンコ機50の電気的構成は、図4のブロック図に示すとおり、主制御装置80を中心にして構成されている。なお、このブロック図には、単に信号を中継するだけのためのいわゆる中継基板及び電源回路等は記載していない。また、詳細の図示は省略するが、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83のいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えているが、本実施例では発射制御装置84にはCPU、ROM、RAMは設けられていない。しかし、これに限るわけではなく、発射制御装置84にCPU、ROM、RAM等を設けてもよい。
主制御装置80には、第1始動口11に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ11a、第2始動口12に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ12a、普通図柄を作動させるゲート17に進入した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ17a、大入賞口14に入球した遊技球を計数するための第1カウントスイッチ14a、第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、第4左入賞口34に入球した遊技球を検出する入賞口スイッチ31a等の検出信号が入力される。なお、入賞口スイッチ31aの符号は第1左入賞口31に対応しているが、前記各一般入賞口、すなわち第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、第4左入賞口34に対してそれぞれ入賞口スイッチが設けられており、各一般入賞口に遊技球が入ったことを個別に検出可能に構成されている。なお、賞球数は第1始動口11および第2始動口12が各3個、大入賞口14が13個、第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、第4左入賞口34が各10個となっている(図18も参照)。
主制御装置80は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成して払出制御装置81及びサブ統合制御装置83に出力する。
また主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板90を介して接続されている特別図柄表示装置9、及び普通図柄表示装置7の表示、特別図柄保留数表示装置18、及び普通図柄保留数表示装置8の点灯を制御する。
更に、主制御装置80は、大入賞口ソレノイド14bを制御することで大入賞口14の開閉を制御し、普通電動役物ソレノイド(図4では普電役物ソレノイドと表記)12bを制御することで第2始動口12の開閉を制御する。主制御装置80からの出力信号は試験信号端子にも出力される他、図柄変動や大当り(特別遊技ともいう)等の管理用の信号が外部接続端子78に出力されてホールメインコンピュータ87に送られる。主制御装置80と払出制御装置81とは双方向通信が可能である。
払出制御装置81は、主制御装置80から送られてくるコマンドに応じて払出モータ20を稼働させて賞球を払い出させる。本実施例においては、賞球として払い出される遊技球を計数するための払出スイッチ21の検出信号は払出制御装置81に入力され、払出制御装置81で賞球の計数が行われる構成を用いる。この他にも主制御装置80と払出制御装置81に払出スイッチ21の検出信号が入力され、主制御装置80と払出制御装置81の双方で賞球の計数を行う構成を用いることも考えられる。
なお、払出制御装置81はガラス枠開放スイッチ35、内枠開放スイッチ36、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23からの信号が入力され、満杯スイッチ22により下皿63が満タンであることを示す信号が入力された場合及び球切れスイッチ23により球タンクに遊技球が少ないあるいは無いことを示す信号が入力されると払出モータ20を停止させ、賞球の払出動作を停止させる。なお、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23も、その状態が解消されるまで信号を出力し続ける構成になっており、払出制御装置81は、その信号が出力されなくなることに起因して払出モータ20の駆動を再開させる。
また、払出制御装置81はCRユニット端子板24を介してプリペイドカードユニットと交信することで払出モータ20を作動させ、貸し球を排出する。払出された貸し球は払出スイッチ21に検出され、検出信号は払出制御装置81に入力される。なお、CRユニット端子板24は精算表示基板25とも双方向通信可能に接続されており、精算表示基板25には、遊技球の貸出しを要求するための球貸ボタン、精算を要求するための返却ボタン、残高表示器が接続されている。
また、払出制御装置81は、外部接続端子78を介して賞球に関する情報、枠(内枠、前枠)の開閉状態を示す情報などをホールコンピュータに送信するほか、発射制御装置84に対して発射停止信号を送信する。
なお本実施例では遊技球を払い出す構成であるが、入賞等に応じて発生した遊技球を払い出さずに記憶する封入式の構成にしても良い。
発射制御装置84は発射モータ30を制御して、遊技球を遊技領域3に遊技球を発射させる。なお、発射制御装置84には払出制御装置81以外に発射ハンドルからの回動量信号、タッチスイッチ28からのタッチ信号、発射停止スイッチ29から発射停止信号が入力される。
回動量信号は、遊技者が発射ハンドルを操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドルを触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止スイッチ29を押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置84に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドルを触っていても遊技球は発射できないようになっている。
サブ統合制御装置83はサブ制御装置に該当し、主制御装置80から送信されてくるデータ及びコマンドを演出中継端子板65を介して受信し、それらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置82に送信し、音制御用及びランプ制御用は自身に含まれている各制御部位(音声制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカからの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部はランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって各種LED、ランプ26を制御する。また、サブ統合制御装置83には、演出ボタン67およびジョグダイヤル68が接続されており、遊技者がこれら各ボタン67、68を操作した際には、その信号がサブ統合制御装置83に入力される。
サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とは双方向通信が可能である。演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置6を制御して、演出図柄等の演出画像を演出図柄表示装置6の画面6aに表示させる。
メインルーチンを図5に従って説明する。メインルーチンは、約2ms毎のハード割り込みにより定期的に実行される。本実施形態では、S10〜S70までの1回だけ実行される処理を「本処理」と称し、この本処理を実行して余った時間内に時間の許す限り繰り返し実行されるS75の処理を「残余処理」と称する。「本処理」は上記割り込みにより定期的に実行されることになる。
マイコンによるハード割り込みが実行されると、まず正常割り込みであるか否かが判断される(S10)。この判断処理は、メモリとしてのRAMの所定領域の値が所定値であるか否かを判断することにより行われ、マイコンにより実行される処理が本処理に移行したとき、通常の処理を実行して良いのか否かを判断するためのものである。正常割り込みでない場合としては、電源投入時又はノイズ等によるマイコンの暴走等が考えられるが、マイコンの暴走は近年の技術の向上によりほとんど無いものと考えて良いので、たいていが電源投入時である。電源投入時にはRAMの所定領域の値が所定値と異なる値となっている。
正常割り込みでないと判断されると(S10:no)、初期設定(例えば前記メモリの所定領域への所定値を書き込み、特別図柄及び普通図柄を初期図柄とする等のメモリの作業領域への各初期値の書き込み等)が為され(S15)、残余処理(S75)に移行する。
正常割り込みとの肯定判断がなされると(S10:yes)、初期値乱数更新処理が実行される(S20)。この処理は、初期値乱数の値についてこの処理を実行する毎に+1するインクリメント処理であり、この処理実行前の初期値乱数の値に+1するが、この処理を実行する前の乱数値が最大値である「299」のときには次回の処理で初めの値である「0」に戻り、「0」〜「299」までの300個の整数を繰り返し昇順に作成する。
S20に続く大当り決定用乱数更新処理(S25)は、初期値乱数更新処理と同様に処理を実行する毎に+1するインクリメント処理であり、最大値である「299」のときは次回の処理で初めの値である「0」に戻り、「0」〜「299」までの300個の整数を繰り返し昇順に作成する。なお、大当り決定用乱数の最初の値は、初期値乱数設定処理で設定された値となる。この値が250であったとすると、大当り決定用乱数は「250」「251」「252」・・・「299」「0」「1」・・・と更新されていく。
なお、大当り決定用乱数が1巡(300回、更新されること)すると、そのときの前記初期値乱数の値を大当り決定用乱数の初期値にし、大当り決定用乱数は、その初期値から+1するインクリメント処理を行う。そして、再び大当り決定用乱数が1巡すると、その時の初期値乱数の値を大当り決定用乱数の初期値にする動作を行なう。つまり、この一連の動作を繰り返し続けることになる。前述の例では大当り決定用乱数が「249」になると1巡であるから、「249」の次は前記初期値乱数の値となる。仮に初期値乱数の値が「87」だったとすると、「249」「87」「88」・・・「299」「0」「1」・・・「86」と変化していき、「86」の次は新たな前記初期値乱数の値となる。大当り図柄決定用乱数更新処理(S30)は「0」〜「9」の10個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎に+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。
S30に続く当り決定用乱数更新処理(S35)は、「0」〜「5」の6個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎で+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。なお、当選することとなる値の数は開放延長状態では「1」、「2」、「3」、「4」、「5」であり、通常状態(非開放延長状態)は「3」である。つまり開放延長状態では5/6の確率で当選し、通常状態では1/6の確率で当選する。この当り決定用乱数更新処理は普通図柄の抽選に使用し、その他の初期値乱数、大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数は特別図柄の抽選に使用する。
リーチ判定用乱数更新処理(S40)は、「0」〜「228」の229個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎で+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。なお、通常確率状態時で変動時間短縮機能未作動時に当選する値の数は21で、値は「0」〜「20」であり、通常確率状態時で変動時間短縮機能作動時に当選する値の数は5で、値は「0」〜「4」であり、高確率状態時に当選する値の数は6で、値は「0」〜「5」である。
変動パターン決定用乱数更新処理(S45)は、「0」〜「1020」の1021個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎で+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。続く入賞確認処理(S50)では、第1始動口11、第2始動口12の入賞の確認及びパチンコ機50に設けられ主制御装置80に接続された各スイッチ類の入力処理が実行される。本実施例では、遊技球が第1始動口11、第2始動口12に入賞すると大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、変動パターン決定用乱数、リーチ判定用乱数など複数の乱数を取得されるのだが、保留記憶できる数を第1始動口11と第2始動口12とを合わせて4個までとしており、保留記憶が満タンである4個のときに遊技球が第1始動口11又は第2始動口12に入賞しても賞球が払出されるだけで、前記複数の乱数は保留記憶されない構成になっている。
続いて、大当りか否かを判定する条件成立判定手段としての当否判定処理(S55)を行う。この当否判定処理(S55)が終了すると、確変タイマ減算処理(S60)を行なう。確変タイマ減算処理については後述する。続く不正監視処理(S65)は、普通入賞口(第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、第4左入賞口34)に対する不正が行われていないか監視する処理であり、所定時間内における入賞口への遊技球の入球が予め決定された規定数よりも多いか否かを判断して、多かった場合には不正と判断され、その旨を報知する処理である。つまり、不正判断手段は、主制御装置80に設けている。
続く各出力処理(S70)では、遊技の進行に応じて主制御装置80は演出図柄制御装置82、払出制御装置81、発射制御装置84、サブ統合制御装置83、大入賞口ソレノイド14b等に対して各々出力処理を実行する。即ち、入賞確認処理(S50)により遊技盤1上の各入賞口に遊技球の入賞があることが検知されたときには賞球としての遊技球を払い出すべく払出制御装置81に賞球データを出力する処理を、遊技状態に対応したサウンドデータをサブ統合制御装置83に出力する処理を、パチンコ機50に異常があるときにはエラー中であることを報知すべく演出図柄制御装置82にエラー信号を出力する処理を各々実行する。
本処理に続く前述の残余処理は、初期値乱数更新処理(S70)から構成されるが、前述したS20と全く同じ処理である。この処理は無限ループを形成し、次の割り込みが実行されるまで時間の許される限り繰り返し実行される。前述したS10〜S70までの本処理を実行するのに必要とされる時間は、大当り処理を実行するか否か、特別図柄の表示態様の相違等により割り込み毎に異なる。この結果、残余処理を実行する回数も割り込み毎に異なり、図5に示された割り込み処理が1回実行されることにより初期値乱数に更新される値も一律ではなくなる。これにより、初期値乱数が大当り決定用乱数と同期する可能性は極めて小さくなる。大当り決定用乱数が1巡したときの、初期値乱数の値(0〜299の300通り)が、同程度に発生するとすれば、同期する確率はわずか1/300である。また、前述した当り決定用乱数更新処理(S35)も残余処理内において実行するよう構成しても良い。
始動入賞確認処理(S50)の概要を図6に示す。主制御装置80は、まず第1始動口スイッチ11aおよび第2始動口スイッチ12aの検出信号に基づいて、第1始動口11または第2始動口12に遊技球が入球したか否かを判断する(S100)。肯定判断なら(S100:yes)、大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等を該当の各カウンタから読み込んで、特別図柄の保留記憶が満杯(本実施例では4個)か否かを判断する(S105)。
保留記憶が満杯でなければ(S105:no)、上記の各乱数を保留として記憶し、特別図柄保留数表示装置18の点灯態様を1増加させる(S110)。なお、特別図柄保留数表示装置18は、それぞれ4個のLEDの点灯または消灯させることにより保留記憶されている数を表すものである。また、S110では特別図柄の保留個数が更新されたことを示すコマンド(保留個数コマンド)をサブ統合制御装置83に送信し、当処理を終了(リターン)する。第1始動口11、第2始動口12のいずれにも遊技球が入球していない場合(S100:no)、又は保留記憶が満杯の場合(S105:yes)は、そのまま当処理を終了する。
S55の当否判定処理の内、特別図柄に係る当否判定などを行なう処理は、図7〜10に示すようなもので、主制御装置80は、特別電動役物が作動中か否かを大当りフラグに基づいて判断する(S200)。S200の判定が否定判断で、特別図柄が変動中でなく(S205:no)、確定図柄の表示中でもなく(S210:no)、特別図柄の保留記憶(S110による保留記憶)がある場合には(S215:yes)、特別図柄の保留記憶数をデクリメントし(S220)、図8のS250に移行し、保留記憶の中で最も古いものを読み込んで(その保留記憶は消去する)、確変フラグがセットされている(すなわち1)か否かを判定する。ここで確変フラグが1とは、現在のパチンコ機50が高確率遊技状態であることを意味する。肯定判断であれば(S250:yes)、読み込んだ大当り決定用乱数を確変テーブルに記録されている当り値と照合する(S255)。ここで当り値の数は10で、7〜16である。つまり当たり確率は1/30となる。S250が否定判断された場合は、S260にて当り決定用乱数を通常テーブルに記録されている当り値と照合する。ここで当り値は7のみである。つまり当たり確率は1/300となる。
S255またはS260の判定が行なわれると、S265にて大当りか否かを判定(当否判定)し、肯定判定であれば(S265:yes)、大当り図柄決定用乱数によって大当り図柄(当り図柄ともいう)を決定する(S270)。大当り図柄を図17(a)に示す。大当り図柄は図柄1〜図柄5の5種類あり、振分は均等、すなわち1回の当りに対して各20%の確率で発生される。いずれの図柄で大当りになった場合も、大当り遊技後の特典として、大当り遊技の終了から最長300秒の確変機能(高確率状態)、及び特別図柄が最大100回変動する間の時短機能が付与される。時短機能とは、特別図柄および普通図柄の平均変動時間を短縮し、普通電動役物の開放時間を延長するものである。
また最大100回の「最大」とは、100回に到達する前に再び大当り図柄が表示された場合には、残りの変動回数が無効となるという意味である。最長300秒の「最長」も同様である。時短機能が作動すると、第2始動口12に容易に入球する状態となる。図柄1〜図柄5の違いは、確変機能の作動中に用いられる変動パターンテーブルにある。すなわち、図柄1で当たった場合は確変中の変動パターンテーブルとしてテーブルAが用いられ、図柄2で当たった場合はテーブルBが用いられ、図柄3で当たった場合はテーブルCが用いられ、図柄4で当たった場合はテーブルDが用いられ、図柄5で当たった場合はテーブルEが用いられる。これら各変動パターンテーブルによりハズレた場合の変動時間について図19に示す。
テーブルAを用いて決定したハズレ時の変動パターンは、図19(a)に示すように1種類となり、変動時間は3秒である。テーブルBを用いて決定したハズレ時の変動パターンは、図19(b)に示すように1種類となり、変動時間は6秒である。テーブルCを用いて決定したハズレ時の変動パターンは、図19(c)に示すように3種類あり、変動時間はそれぞれ2秒、6秒、10秒である。これらは選択率が均等であるため、平均変動時間は6秒となる。テーブルDを用いて決定したハズレ時の変動パターンは、図19(d)に示すように2種類あり、変動時間はそれぞれ3秒、153秒である。これらの選択率は49:1となっており、平均変動時間は6秒となる。テーブルEを用いて決定したハズレ時の変動パターンは、図19(e)に示すように通常変動1、通常変動2、通常変動3の3種類あり、変動時間はそれぞれ5秒、10秒、15秒である。これらは選択率が均等であるため、平均変動時間は10秒となる。
いずれの大当り図柄で当っても、確変機能は基本的に300秒付与されるので、例えば図柄1で当った場合にはハズレの変動パターンは3秒なので、最大300秒÷3秒=100回変動することが期待される。一方、図柄2で当たった場合にはハズレの変動パターンは6秒なので、最大300秒÷6秒=50回変動することが期待される。つまり図柄1は図柄2に比べて高確率状態で2倍多く変動させることが可能となり、遊技者にとって、より有利な特典が付与されることになる。平均変動時間が同じ6秒でも、図柄Cで当った場合は、変動時間が2秒、6秒、10秒の中から抽選により決定されるので、変動回数は運に左右される。例えば、運よく通常変動1ばかり選ばれれば最大300秒÷2秒=150回も高確率状態で変動させることができるが、通常変動3ばかり選ばれれば最大300秒÷10秒=30回で高確率状態が終わってしまうことになる。図柄Dで当った場合も平均変動時間は6秒であるが、その大半は変動時間が3秒で、1/50の確率で153秒という長い変動時間が選択される。従って、普通なら最大300秒÷3秒=100回も高確率状態で変動させることができるが、153秒の変動が1回選ばれると、残りの147秒で3秒変動させるには147秒÷3秒=49回で、合計50回となる。運悪く153秒の変動が2回選択されると、それだけで300秒が経過するので、2回目の153秒の変動が終わると、高確率状態も終わってしまう。図柄Eで当った場合の平均変動時間は10秒で、図柄1〜図柄5の中で最も長いので、平均変動回数も最大300秒÷10秒=30回と最も少なくなり、遊技者にとって最も不利な変動パターンテーブルとなる。しかし変動時間として運よく5秒ばかり選択されれば、最大300秒÷6秒=60回変動されるので、結果として、図柄2で当った場合よりも有利な高確率状態で遊技ができる場合もある。
図8に戻る。こうして大当り図柄が決定すると、変動パターン決定用乱数によって変動パターンを決定する(S275)。ここで用いられる変動パターンテーブルとしては、図17(a)に示した大当り図柄との対応関係に基づいて図19に示したテーブルが選択される。
こうして変動パターンを決定すると、大当り設定処理を行い(S280)、上述の抽選結果を示すデータ、具体的には通常大当り、確変大当り、リーチ外れ(外れであるがリーチ表示有り)、リーチ表示無しの外れのいずれかを示すデータと変動時間を指定する変動パターンのデータが含まれる変動開始コマンド(表示制御コマンド)をサブ統合制御装置83に出力する(S310)。なお、S310の処理により演出図柄表示装置6では演出図柄を設定し、その変動表示を開始するが、ほぼ同時に特別図柄の変動も主制御装置80によって開始される。また、特別図柄が変動する際には必ず演出図柄も変動され、且つ演出図柄が変動されるときには特別図柄も変動されるので、これらの図柄が変動することを単に「図柄が変動する」とも言う。
なお、S265において外れと判定された場合は、S285に移行し小当りか否かを判定する。これは予め決定された小当り値が記憶されたテーブルと、大当り決定用乱数を比較する。小当りとなる値は「70」「140」であり、小当り確率は2/200すなわち1/100となっている。肯定判定であれば(S285:yes)、変動パターン決定用乱数によって変動パターンを決定し(S290)、小当り設定処理(S295)を行なってS310に合流する。小当り設定処理(S295)では小当り図柄も設定する。小当り図柄を図17(b)に示す。小当り図柄は3種類あり、振分は小当り図柄1(図17(b)では「図柄1」と表記。他の小当り図柄も同様)が60/100、小当り図柄2が20/100、小当り図柄3が20/100となっている。小当り図柄1で小当りになった場合は確変タイマに90秒が加算され、小当り図柄2で小当りになった場合は確変タイマに150秒が加算され、小当り図柄3で小当りになった場合は確変タイマに300秒が加算される。ここで確変タイマとは、高確率状態が維持される時間のことであり、その初期値が大当り終了後に付与される300秒である。そして前述の確変タイマ減算処理(S60)は確変タイマを減算するための処理であり、確変タイマが0になると確変状態が終了する。但し、小当りにより前記加算が行なわれるのは、確変状態に限り、通常状態で小当りが発生しても何も起こらない。図8に戻る。S285で小当りではないと判定された場合は、S300に移って変動パターン決定処理を行ない、ハズレ設定処理(S305)を行なった上でS310に合流する。
図7において特別図柄が変動中(S205:yes)と判定された場合には、図9のS350に移行し、図柄変動時間(S275、S290、又はS300で決定された変動パターンに基づく)が経過したか否かを判定する。否定判断(S350:no)であれば特別遊技処理を行い、肯定判断であれば確定図柄表示処理(S355)を行なってから特別遊技処理を行う。
図7において確定図柄を表示中と判定された場合(S210:yes)には、図10のS400に移行し、確定図柄の表示時間が終了したか否かを判定する。否定判断(S400:no)であれば特別遊技処理を行い、肯定判断であれば確定図柄表示終了処理(S405)を行なってから大当りになる組合せや否かを判定する(S410)。肯定判断(S410:yes)なら確変フラグが1か否かを判定し(S415)、肯定判断(S415:yes)なら確変フラグを0にし(S420)、S425に移行する。否定判断なら(S415:no)そのまま、S425に移行する。
S425では、時短フラグが1か否かを判定する。時短フラグが1であれば(S425:yes)、S430にて時短フラグを0にし、S435に移行する。時短フラグが1でなければ(S425:no)、そのままS435に移行する。時短フラグを1にすると本実施例では特別図柄の平均変動時間短縮、普通図柄の平均変動時間短縮、普通電動役物12の開放延長機能をセットする。
S435では、条件装置作動開始処理により、大当りフラグをセットする。そしてS440にて役物連続作動装置を作動させ、S445にて大当り開始演出処理を行なう。大当り開始演出処理では、大当り遊技を開始するコマンド及び大当り遊技に係る情報(大当りのオープニング時間、開放パターン、大当りのエンディング時間、ラウンド数等)をサブ統合制御装置83に送信する。大当り開始演出処理(S445)が終了すると、特別遊技処理を行なう。
S410で、確定表示させた特別図柄が大当りになる表示でないと判定された場合は、S450に移行して確変フラグが1か否かを判定する。肯定判断(S450:yes)であれば、確変タイマが0か否かを判定する(S455)。ここで確変タイマが0とは確変状態が終了する条件が成立したことを意味する。確変タイマが0であれば(S455:yes)、S460にて確変フラグを0にし、S465に進む。確変フラグが1でないとき(S450:no)、または確変タイマが0ではないとき(S455:no)は、そのままS465に移行する。S465では、時短フラグが1か否かを判定し、1であれば(S465:yes)、時短回数が0か否かを判定する(S470)。時短回数が0であれば(S470:yes)、S475にて時短フラグを0にしてS480に進む。時短回数が0ではないとき(S470:no)又は時短フラグが1でないとき(S465:no)はそのままS480に移行する。S480では、現在の遊技状態が確変中であるか否か、時短中であるか否か等の状態を示す状態指定コマンドをサブ統合制御装置83に送信し、S485に移行する。S485では、小当りになる組み合わせか否かを判定し、肯定判断であれば(S485:yes)、S487にて確変フラグが1か否かを判定する。肯定判断(S487:yes)であれば、確変タイマ停止フラグを1にし(S488)、S490に移行する。ここで確変タイマ停止フラグとは、その小当りが確変状態で発生したものか否かを示すもので、確変状態で発生した小当りであれば1になる。否定判断(S488:no)であれば、そのままS490に移行する。S490では特別電動役物作動開始処理を実行し、続くS495で小当り開始演出処理を行うと、特別遊技処理を実行する。
図11〜13に示す特別遊技処理では、主制御装置80は、役物連続作動装置が作動中か否かを大当りフラグに基づいて判断する(S500)。役物連続作動装置が作動中なら(S500:yes)、大入賞口14が開放中か否かを判断する(S505)。大入賞口14の開放中ではない場合は(S505:no)、ラウンド間のインターバル中により大入賞口14が閉鎖しているのか判断する(S510)。インターバル中でもない場合は(S510:no)、大当り終了演出中であるか判断する(S515)。これも否定判断の場合は(S515:no)、大当り遊技を開始する演出に要する時間が経過したか否かを判定する(S520)。大当り開始演出時間が経過した場合は(S520:yes)、大入賞口開放処理(S525)を行なって当処理を終了(リターン)する。大当り開始演出時間が経過していない場合は(S520:no)、そのまま当処理を終了する。
S505で大入賞口14が開放中であると判定された場合は、図12のS550に進み、大入賞口14に10個入賞したか否かを判定する。なお、本実施例では10個だが、9個、8個でもよく、特に限定するものではない。大入賞口14に10個入賞した場合(S550:yes)にはS560に進み、大入賞口閉鎖処理を行う。そして大当りインターバル処理(S565)を行なって、特別遊技処理を終了する。大入賞口14に10個入賞していない場合(S550:no)にはS555に進み、大入賞口14の開放時間が終了したか否かを判定する。本実施例では、15ラウンドでの大当りの場合は各ラウンドの最大開放時間は29秒に設定している。無論、この秒数に限定するものではない。開放時間が終了した場合(S555:yes)には、S560に合流し、終了していない場合(S555:no)は特別遊技処理を終了する。
図11のS510でインターバル中であると判定された場合は、図12のS570に進み、大当りインターバル時間が経過したか否かを判定する。インターバル時間が経過している場合(S570:yes)は、直前に大入賞口14が開いていたのが最終ラウンドか否かを判定する(S575)。最終ラウンドであれば(S575:yes)、大当り終了演出処理(S580)を行い、特別遊技処理を終了する。最終ラウンドでなければ(S575:no)、再び大入賞口14を開放する処理(S585)を行い、特別遊技処理を終了する。なお、大当りインターバル時間が経過していないと判定された場合(S570:no)には、そのまま特別遊技処理を終了する。なお、大入賞口14を開放・閉鎖する処理においては、サブ統合制御装置83にも信号を送信する。サブ統合制御装置83は、その信号に基づいて、現在のラウンドを把握し、該ラウンドに応じた演出を行なう。
図11のS515で大当りの終了演出中であると判定された場合は、図13のS600に進み、大当り終了演出時間が経過したか否かを判定する。大当り終了演出時間が経過した場合には(S600:yes)、役物連続作動装置の作動を停止し(S605)、条件装置の作動を停止する(S610)。そしてS615にて大当り終了後に確変状態に移行するか否かを判定し、肯定判断(S615:yes)なら確変タイマ設定処理(S620)を行なう。図17(a)に示したようにS620で設定される確変タイマの値は大当り図柄に依らず300秒である。そして確変フラグに1をセット(S625)し、S630に移行する。否定判断(S615:no)ならそのままS630に移行するのだが、パチンコ機50では大当り終了後に必ず確変状態に移行するので、S615が否定判断されることはない。S630では大当り終了後に時短状態に移行するか否かを判定し、肯定判断(S630:yes)なら時短回数設定処理(S635)を行なう。図17(a)に示したようにS635で設定される時短回数の値は大当り図柄に依らず100回である。そして時短フラグに1をセット(S640)し、S645に移行する。否定判断(S630:no)ならそのままS645に移行する。この時短状態についても、大当り終了後には必ず移行するので、実際にはS630が否定判断されることはない。そして、大当り終了コマンドをサブ統合制御装置83に送信して(S645)、状態指定コマンド送信処理を実行(S650)し、特別遊技処理を終了する。状態指定コマンド送信処理(S650)の内容は、S480の処理と同様である。大当り終了演出時間が経過していない場合には(S600:no)、そのまま特別遊技処理を終了する。
図11で役物連続作動装置が作動していないと判定された場合(S500:no)には、図14に示す小当り遊技処理を実行する。当処理が起動されると主制御装置80は、特別電動役物が作動中か否かを判断する(S700)。作動中なら(S700:yes)、大入賞口14が開放中か判断する(S705)。否定判断の場合(S705:no)は、小当り遊技間のインターバル中であるか判断する(S710)。小当り遊技間のインターバルではなく(S710:no)、小当り遊技の終了演出中でもない場合は(S715:no)、小当り遊技の開始演出に要する時間が経過するのを待ち(S720:yes)、大入賞口14を開放させ(S725)、本処理を終了(リターン)する。なお、特別電動役物が作動していないか(S700:no)、または小当り開始演出に要する時間が経過していないと判定された場合(S720:no)には、そのまま本処理を終了する。
図14のS705で大入賞口14が開放中であると判定された場合は、図15のS750に進み、大入賞口14に10個入賞したか否かを判定する。大入賞口14に10個入賞していないと判定された場合(S750:no)はS755に進み、大入賞口14の開放時間が終了したか否かを判定する。本実施例では、小当りの場合は各開放の最長時間は1秒に設定している。無論、この秒数に限定するものではない。開放時間が終了した場合(S755:yes)には、S760にて大入賞口閉鎖処理を行う。つまり大入賞口14の規定数は10個となっている(図18も参照)。そして小当りインターバル処理(S765)を行なって、小当り遊技処理を終了する。大入賞口14に10個入賞した場合(S750:yes)にはS760に直行し、また大入賞口14の開放時間が終了していない場合(S755:no)は小当り遊技処理を終了する。
図14のS710で小当りインターバル中であると判定された場合は、図15のS770に進み、小当りインターバル時間が経過したか否かを判定する。小当りインターバル時間が経過している場合(S770:yes)にはS775にて大入賞口14が規定回数(ここでは2回)開放済みか又は10個入賞済みか否かを判定する。肯定判定の場合(S775:yes)は、小当り終了演出処理(S780)を行なって小当り遊技処理を終了する。否定判定の場合(S775:no)は、大入賞口開放処理(S785)により大入賞口14を1秒間、1回開放し、小当り遊技処理を終了する。つまり小当りでは、大入賞口14が基本的に1秒、2回開放されるが、1回の開放で10個以上の入賞があった場合は1回の開放のみで小当りが終了する。なお、実際には1回の開放で10個以上の入賞が発生することは殆どない。
図14のS715で小当り終了演出中であると判定された場合は、図15のS790に進み、小当り終了演出時間が経過したか否かを判定する。小当り終了演出時間が経過したと判定された場合(S790:yes)は、確変タイマ停止フラグが1か否かを判定し、肯定判断(S795:yes)なら確変タイマ停止フラグをクリアし(S800)、確変タイマ加算処理(S805)を行なってS810に移行する。つまり、その小当りが確変状態で発生されたもの(確変タイマ停止フラグが1)であれば、小当り図柄に対応する延長時間(図17(b)参照)を、確変タイマに加算(S805)する。このとき、S800で確変タイマ停止フラグをクリアすることにより、確変タイマの減算を再開させる。S795が否定判断なら、そのままS810に移行する。S810にて特別電動役物の作動を停止させ、S815にて小当り終了コマンドをサブ統合制御装置83に送信して小当り遊技処理を終了する。小当り終了演出時間が経過していないと判定された場合(S790:no)は、そのまま小当り遊技処理を終了する。以上が小当り遊技処理である。
確変タイマ減算処理を図16に示す。当処理が起動されるとまず確変タイマがプラスか否かを判定し(S850)、肯定判断なら確変タイマ停止フラグが0か否かを判定する(S855)。肯定判断なら確変タイマを減算(S860)して当処理を終了(リターン)する。確変タイマが0か(S850:no)または確変タイマ停止フラグが0でなければ(S850:no)、そのまま当処理を終了する。当処理はメインルーチンが約2msごとに起動される都度、実行されるので、確変タイマがプラス、すなわち確変状態であれば(S855:yes)、確変タイマを基本的に減算していく処理となる。但し、その確変状態中に小当りが発生した場合、すなわち確変タイマ停止フラグが1であれば(S850:no)、減算を行なわずに確変タイマの延長を優先的に行なわせる(S795〜S805も参照)処理となっている。
以上のように構成されたパチンコ機50によれば、確変状態が所定時間の経過により終了するように構成したので、遊技展開によって確変状態が長引くといった事態を防止することができる。しかも大当り図柄により、変動テーブルが変化し、それにより変動時間が変化するので、確変状態中に変動させることが可能な回数が大当り図柄により変化するという遊技興趣を持ったものとなる。また、小当りにより確変タイマが増加していく構成としたので、従来は潜伏演出といった程度の用途しかなかった小当りに、より有利な特典を付与することができる仕様となっている。また、何れの変動テーブルが選択されても、確変機能が終了するよりも前に時短機能が終了しない構成(例えば最も変動時間が短いテーブルAが選択されても、確変状態における特別図柄の変動回数は100回であり、確変状態と時短機能は同時に終了する。平均変動時間がテーブルAよりも長い変動テーブルが選択されれば、確変中の平均変動回数は100回よりも少なくなるので、確変状態が終了してから時短機能が終了する)となっているため、「確変状態になったものの、時短状態が先に終了したので、始動入賞させるのに苦労し、特別図柄をろくに変動させることなく確変状態が終了してしまった」という事態を防止することができる。
ここで本実施例の構成・状態と、本発明の構成要件との対応関係を示す。S250〜S265の処理が本発明の「当否判定手段」に相当し、特別遊技処理が本発明の「大当り遊技発生手段」に相当し、S615〜S625の処理が本発明の「高確率設定手段」に相当し、S455〜S460の処理が本発明の「低確率設定手段」に相当し、S805の処理が本発明の「制限時間延長手段」に相当し、S620の処理が本発明の「制限時間初期化手段」に相当し、S275、S290、S300およびS310の処理が本発明の「図柄変動表示」に相当し、第2始動口12が本発明の「可変始動口」に相当し、S635〜S640の処理が本発明の「開放延長手段」に相当し、小当りが本発明の「予め定められた遊技条件」に相当する。
[実施例2]
本発明の第2実施例について図20〜28を用いて説明する。なお、本実施例は実施例1と共通点が多いため、異なる点のみを重点的に説明する。
図20は第2実施例の主制御装置80が実行するメインルーチンである。第1実施例との違いは、S40にてリーチ判定用乱数更新処理を行なった後に転落判定用乱数の更新(S80)を行なう点である。転落判定用乱数とは、後述する設定確変タイマ加算処理(第1実施例の確変タイマ加算処理(S805)に近い処理)および設定時短タイマ加算処理により加算された確変タイマおよび時短タイマの値を、各初期値(後述)に戻すか否かの抽選に用いられる乱数である。ここで時短タイマは、時短状態を維持する制限時間を示すものである。すなわち第2実施例における時短状態は、確変状態と同様、大当り終了後、所定時間が経過することにより終了する。転落判定用乱数は「0」〜「199」の6個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎で+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。転落する値は「6」であり、つまり1/200の確率で転落する仕様となっている(図28も参照)。図示はしないが、図6(始動入賞確認処理)のS105では、転落判定用乱数も読み込んで、保留記憶が満杯でなければ(S105:no)、転落判定用乱数も保留として記憶される。
ここでS60の確変タイマ減算処理について図26に示す。第2実施例の確変タイマ減算処理においては、確変タイマがプラス(S850:yes)、且つ確変タイマ停止フラグが0であれば(S855:yes)、確変タイマを減算(S860)してS1100に移行し、何れか一方でも不成立ならS1100に直行する。S1100では時短タイマがプラスか否かを判定し、肯定判断(S1100:yes)なら時短タイマ停止フラグが0か否かを判定する(S1105)。肯定判断(S1105:yes)なら時短タイマを減算(S1110)して当処理を終了(リターン)する。時短タイマが0か(S1100:no)または時短タイマ停止フラグが0でなければ(S1105:no)、そのまま当処理を終了する。つまり第2実施例の確変タイマ減算処理は、確変タイマの減算だけでなく、時短タイマの減算も行なう処理となっている。
図21は第2実施例の主制御装置80が実行する当否判定処理の一部を示すフローチャートであり、第1実施例では図8に相当する。当否判定処理において保留があると判定され(図7のS215:yes)、S220で特別図柄の保留記憶数を−1した後に、図21に示す転落判定(S900)を行なう。具体的には、保留されている転落判定用乱数の中で最も古いものを読み込んで転落判定値(ここでは「6」)と比較する。S903にて転落に当選していないかどうかを判定し、否定判断(S903:no)すなわち転落に当選していた場合はS905にて設定確変タイマが加算済みか否かを判定し、肯定判断(S905:yes)なら確変タイマおよび時短タイマをクリア(初期値に戻すこと)をしてS250に移行する。転落に当選していない場合(S903:yes)または設定確変タイマが加算済みでない場合(S905:no)は、そのままS250に移行する。
第2実施例のS270で決定される大当り図柄を図27(a)に示す。大当り図柄が図柄1〜図柄5の5種類あって、振分は均等で、大当りになった場合、確変中は各図柄に対応する変動パターンテーブルA〜Eが選択される点は第1実施例と同じである。異なるのは、確変機能が付与される期間が、第1実施例では300秒であったのに対して、第2実施例では最長100秒である点と、時短機能が付与される期間が、第1実施例では特別図柄が最大100回変動される間であったのに対して、第2実施例では最長150秒である点である。つまり、第2実施例における時短状態は、特別図柄が所定回数変動することではなく、所定時間経過することによって消滅する。
第2実施例のS295で決定される小当り図柄を図27(b)に示す。小当り図柄は3種類あり、振分は小当り図柄1が80/100、小当り図柄2が15/100、小当り図柄3が5/100となっている。小当り図柄1で小当りになった場合は確変タイマおよび時短タイマの双方に30秒が加算され、小当り図柄2で小当りになった場合は確変タイマおよび時短タイマの双方に50秒が加算され、小当り図柄3で小当りになった場合は確変タイマおよび時短タイマの双方に100秒が加算される。
図22は、当否判定処理で確定図柄が表示中と判定された場合(図7のS210:yes)の処理である。確定表示された図柄が大当りになる組合せではないと判定され(S410:no)、確変フラグが1で(S450:yes)、確変タイマが0である(S455:yes)ことを受けて確変フラグを0にした(S460)後に、設定確変タイマは加算済みか否かを判定する(S950)。肯定判断であれば、設定確変タイマおよび設定時短タイマをクリアして(S955)、図23のS465に移行する。つまり、確変状態が終了すると、確変タイマ及び時短タイマは初期値に戻る。なお、否定判断であれば(S950:no)そのままS465に移行する。S465では、時短フラグが1か否かを判定し、1であれば(S465:yes)、時短タイマが0か否かを判定する(S959)。時短タイマが0であれば(S959:yes)、S475にて時短フラグを0にしてS480に進む。時短タイマが0ではないとき(S959:no)又は時短フラグが1でないとき(S465:no)はそのままS480に移行する。つまり前述したように第2実施例における時短状態は、特別図柄の変動回数ではなく、所定時間の経過により終了する。そして小当りが発生する際(S485:yes)には、確変フラグが1か否かを判定し(S487)、肯定判断であれば確変タイマ停止フラグを1にする(S488)だけでなく、時短タイマ停止フラグも1にする(S960)。
第2実施例の特別遊技処理は図24のようになる。図24は特別遊技処理(図11参照)において大当り終了演出処理中である(S515:yes)と判定された際に行なわれる処理で、S630で時短に移行すると判定された際(S630:yes)に、時短タイマ設定処理(S965)を実行する点が第1実施例とは異なる。時短タイマ設定処理の結果、大当り図柄に依らず時短タイマに150秒(図27(a)参照)が設定される。
第2実施例の小当り遊技処理は図25のようになる。図25は小当り遊技処理(図14参照)において小当り終了演出処理中である(S715:yes)と判定された際に行なわれる処理が、第1実施例とは異なる。すなわち、小当り終了演出処理中であって(S715:yes)、小当り終了演出時間が経過し(S790:yes)、確変タイマ停止フラグが1である場合(S795:yes)に、確変タイマ停止フラグをクリアし(S1000)、更に時短タイマ停止フラグをクリアする(S1005)。そして、設定確変タイマ加算処理(S1010)を行なう。この処理が第1実施例の確変タイマ加算処理(S805)と異なるのは、確変タイマではなく設定確変タイマに加算する点である。これにより、確変状態になっている間に小当りが発生するごとに増加し、確変状態において大当りが発生すると、その大当り遊技の終了後に付与される確変状態の最大値は、長くなった設定確変タイマとなる。なお、転落したり確変状態が終了したりすると、設定確変タイマは初期値に戻る。時短状態についても同様で、設定時短タイマ加算処理(S1010)を行なって、S810に移行する。
第2実施例のパチンコ機50によれば、時短状態も所定時間の経過により終了するように構成したので、遊技展開によって時短状態が長引くといった事態も防止することができる。また、このように時短状態の終了条件を所定時間の経過としているが、その終了時間(150秒)が確変状態の終了時間(100秒。図27(a)参照)よりも長いので、確変よりも時短が先に終わってしまうという事態は起きない。また小当りにより加算していく時間は、設定確変タイマに対しても設定確変タイマに対しても同じ(図27(b)参照)であるため、やはり確変よりも時短が先に終わるという事態は起きない。小当りにより設定確変タイマ(確変タイマの初期値)が増加していく構成としたので、確変状態において小当りが発生した後に、同じ確変状態において大当りが発生した場合には、更に長時間の確変状態を得ることができる。また、転落抽選に当選すると、設定確変タイマおよび設定時短タイマが初期値に戻るので、非常にスリルのある遊技を遊技者に提供することができ、且つ過剰な利益を遊技者に付与する心配も少ない。
[他の実施例]
前記何れの実施例も、所定時間の経過により確変状態が終了する構成であったが、遊技者の指示により確変タイマ(第2実施例では確変タイマに加えて(または替えて)時短タイマ)を停止できる構成としてもよい。この機能(確変タイマ停止手段)を備えていれば、トイレに行く際など確変中に遊技者が中座をしたくなって時に便利である。なお、確変タイマ停止手段は遊技を再開したり、遊技者が設定したパスワードを入力したりすると解除されるように構成しておくのが望ましい。
前記何れの実施例においても、確変状態における小当りのみ、確変タイマ(第2実施例では設定確変タイマ)の加算が行なわれたが、通常状態における小当りについても加算が行なわれるように構成してもよい。第1実施例に適用した場合には、確変状態が終了したら確変タイマは初期値に戻り、第2実施例に適用した場合には、転落抽選に当選したら確変タイマが初期値に戻るよう、構成すると良い。また、何れの実施例においても、確変状態が終了すると、大当りになっても確変タイマは必ず初期値から開始されたが、確変タイマの初期値を維持する構成としてもよい。こうすると、確変状態が終了した後も、長くなった確変を再び得るために遊技を続行したり、別の遊技者がこの遊技機で遊技を開始したりする新たな動機を持った遊技機とすることができる。
また、前記何れの実施例も、大当り図柄は5種類、小当り図柄は3種類であったが、種類の数はこれら以外の値であっても構わない。また、前記何れの実施例も大当りをすると大当りの終了後には必ず確変状態となる機種であったが、確変状態にならない機種に本発明を適用しても良い。小当り以外の遊技条件が成立することにより確変タイマや時短タイマの加算が行なわれるように構成し直してもよい。
また、前記何れの実施例も、パチンコ機50は払出制御装置81を備え、払出装置73により遊技球を払い出すものであったが、このような実体のある遊技球を払い出さずに、賞球数に対応する数値データを遊技者に付与する遊技機に本発明を適用しても良い。