JP6174885B2 - 睡眠改善剤 - Google Patents

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Description

本発明は、安全性が高く、睡眠を量的、質的に改善する効果に優れる睡眠改善剤に関する。
十分な睡眠がとれず、睡眠障害に悩まされる人は多く、特に近年では、各種ストレスの増加や生活の夜型化によって、睡眠に対する満足度が減少し、睡眠に対し何らかの不満を持つ人は増加傾向にある。不眠症のタイプとしては、入眠障害(寝付きが悪い)、中途覚醒(夜中に目が覚めてしまう)、早朝覚醒(朝早く眼が覚めてしまう)、熟眠障害(眠りが浅く熟眠感が得られない)、という4種類に分類される。
不眠症に対しては、ベンゾジアゼピン系等の睡眠導入剤、抗ヒスタミン系等の睡眠改善剤のほか、各種生薬処方などが使用されている。しかし、ベンゾジアゼピン系等の医療用医薬品には医師の処方が必要であり、また依存性、記憶障害、反跳性不眠などの副作用の問題があるほか、睡眠薬により誘発される睡眠は自然な睡眠とはいいがたい。また一般用医薬品である抗ヒスタミン系の睡眠改善剤にも、効果が翌朝以後まで持続し、眠気、ふらつきなどが出現する持ち越し効果や、抗コリン作用による緑内障、前立腺肥大症、排尿困難の悪化が懸念されるなどの問題がある。
これに対し、副作用の少ないものとして、各種植物由来の抽出物を用いた睡眠改善剤も使用されており、例えばバレリアーナ属、レピデゥウム属等の植物の抽出物を用いたもの(特許文献1、2)、特定の精油を用いたもの(特許文献3、4)などが提案されている。また、上記特許文献3、4のほかにも、安眠効果があるとされる精油は多く知られている(例えば、非特許文献1)。
しかし、精油は独特のニオイを有することから、人によって好き嫌いが出やすく、嫌いなニオイの場合は精神的な苦痛となり、実際の使用場面においては使用を取りやめざるを得ないことや、そこまで苦痛でなくても意識下において気になってしまい、十分な効果が得られないなど、どんな人に対しても効果が期待できるものでない。
また、精油は天産物由来であるため、産地やその時の天候により、精油を構成する香気成分などの内容成分のバランスが異なり、ニオイも変化することが広く知られている。そのため、安眠効果を生ずる成分やニオイが変化することにより、安定した安眠効果が得られないという問題もあった。このため、前述の従来技術はいずれも、その安眠効果が十分なものと言えるものではなかった。
特開2003-183174号公報 特開2007-31371号公報 特開2000-355545号公報 特開平10-25245号公報
ワンダ・セラー著,高山林太郎訳,「アロマテラピーのための84の精油」,第1版,フレグランスジャーナル社,平成4年12月10日
以上のように、従来の睡眠改善剤は、副作用や効果の点で十分満足できるものではなかった。また、入眠を誘導する効果は得られても、睡眠の質を向上させる効果は必ずしも十分といえるものではなかった。
従って、本発明は、安全性が高く、睡眠を量的、質的に改善する効果に優れる睡眠改善剤を提供することを課題とする。
ところで、非特許文献1のほか、アロマテラピー関連の文献には、ミルトル油(マートル油;ギンバイカの精油)に鎮静・リラックス効果があることが記載されている。ところが、本発明者らが検証したところ、意外にもミルトル油にそのような作用はなく、逆に覚醒作用があることが判明した。そして更に研究を進めたところ、ミルトル油の含有成分である酢酸ミルテニル及びその類縁化合物が、優れた睡眠改善作用を有することを見出した。
本発明は、下記一般式(1)で表される化合物を有効成分とする睡眠改善剤を提供するものである。
Figure 0006174885
〔式中、R1は炭素数1〜5の炭化水素基を示し、nは1又は2の整数を示す。〕
更に本発明は、1,8-シネオールの前記一般式(1)で表される化合物に対する質量比(1,8-シネオール)/(一般式(1)で表される化合物)が、0.03以下に処理されたミルトル油を有効成分とする睡眠改善剤を提供するものである。
本発明の睡眠改善剤は、安全性が高く、睡眠を量的、質的に改善する効果に優れる。
一般式(1)において、R1は炭素数1〜5の炭化水素基であるが、炭素数1〜5のアルキル基、更には炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基等が挙げられ、中でもメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が好ましく、更にはメチル基が好ましい。
また、一般式(1)中のnは、1又は2の整数を示すが、1が好ましい。
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、酢酸ミルテニル(一般式(1)中、R1=メチル基、n=1)、イソ酪酸ミルテニル(一般式(1)中、R1=イソプロピル基、n=1)、3-メチル酪酸ミルテニル(一般式(1)中、R1=イソブチル基、n=1)、2-メチル酪酸ミルテニル(一般式(1)中、R1=sec-ブチル基、n=1)、アンゲリカ酸ミルテニル(一般式(1)中、R1=2-ブテン-2-イル基、n=1)、酢酸ノピル(一般式(1)中、R1=メチル基、n=2)が挙げられる。このうち、酢酸ミルテニル(一般式(1)中、R1=メチル基、n=1)が特に好ましい。
酢酸ミルテニルは、マートル(学名 Myrtus communis,和名 ギンバイカ)の葉や枝から、公知の方法、例えば水蒸気蒸留や溶剤抽出によって得られる精油であるミルトル油又はマートル油(以下ミルトル油と記す)の一成分として知られている。本発明において用いる酢酸ミルテニルは、ミルトル油から単離したもの、化学合成したもののいずれでもよい。
なお、睡眠改善剤として、一般式(1)で表される化合物を含有するミルトル油を用いると、同時に含まれる1,8-シネオールによる覚醒効果が強く表れてしまい、十分な睡眠改善効果が得られないため、1,8-シネオールを睡眠改善剤の総量に対して、実質的に含有させないことが必要である。本発明において、「1,8-シネオールを実質的に含有しない」とは、1,8-シネオールの一般式(1)で表される化合物に対する質量比(1,8-シネオール)/(一般式(1)で表される化合物)が、0.03以下であることをいい、当該質量比は、0.01以下、更に0.005以下、更には0.001以下であることが好ましい。このため、睡眠改善剤の有効成分にミルトル油を利用する場合には、1,8-シネオールの含有量が上記質量比以下となるように処理したものを用いることが必要である。
本発明の睡眠改善剤の投与経路としては、経口投与のほか、鼻腔や呼吸器内に取り込まれる香りとしての投与が挙げられる。本発明の睡眠改善剤の製品形態としては、特に限定されないが、例えば、医薬品、医薬部外品、化粧品、食品、飲料等が挙げられ、またその剤形として、例えば、経口組成物(錠剤、ソフトカプセル、粉末剤、顆粒剤、液剤等)、皮膚外用剤(軟膏剤、クリーム剤、液剤、乳液剤、ローション剤、ゲル剤、チック剤、パップ剤、プラスター剤、テープ剤、パッチ剤、マスク剤、洗浄料等)、毛髪外用剤(整髪剤、シャンプー、リンス、トリートメント等)、入浴剤、噴霧・散布剤(スプレー剤(エアゾール)、室内散布剤(エアディフューザー)等)などが挙げられる。
本発明の睡眠改善剤には、一般式(1)で表される化合物に加え、本発明の効果を損なわない範囲において、その製品形態又は剤型に応じて、他の成分を適宜添加することができる。そのような成分としては、バレリアン、パイン、ローズ、オスマンサス、セントジョーンズワート等の精油;香料;γ-アミノ酪酸、L-カルニチン、テアニン、L-トリプトファン、グリシン等のアミノ酸類;スクラロース、ソーマチン、アステルパーム、エリスリトール、キシリトール、ラクチトール、ソルビトール、マルチトール、パラチノース、トレハロース、ステビア、グリチルリチン等の甘味料;クエン酸、酢、果実酢、乳酸、リンゴ酸等の酸味料;ビタミンB6、ビタミンB2等のビタミン類;ブクリョウ(茯苓)、センキュウ、トウキ(当帰)、カンゾウ(甘草)、ソウジュツ(蒼朮)、シャクヤク(芍薬)、サイコ(柴胡)、チョウトウコウ(釣藤鈎)、オウレン(黄連)、カノコソウ、ホップ、チャボトケイソウ(パッシフローラ)等の漢方生薬系抽出乾燥エキス;カルメロースカルシウム、酸化チタン、三二酸化鉄、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、ヒプロメロース、マクロゴール、無水ケイ酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、グリセリン、ポピドン、ゼラチン、エチルアルコール、プロピレングリコール、トリエチルシトレート、果汁等の添加物が挙げられる。
本発明の睡眠改善剤は、経口組成物による経口投与の場合、一日一回就寝前2時間以内に投与することが好ましく、投与量は、安眠効果の点から、一般式(1)で表される化合物として1〜500mg/日、更には10〜300mg/日が好ましい。
また、鼻腔や呼吸器内に取り込まれる香りとして投与する場合、就寝前1時間程度〜就寝直前から目覚め時又は起床時まで、対象者に香りを連続的に又は断続的に与えるのが好ましい。香りを与える方法としては、皮膚外用剤として皮膚に塗布するか、毛髪外用剤として毛髪に塗布するか、噴霧・散布剤として室内に香りを漂わせる手段が好ましく挙げられる。
一般式(1)で表される化合物を含有する皮膚外用剤を顔部、胸部、首回り、背中等に塗布するか、又は一般式(1)で表される化合物を含有する毛髪外用剤を毛髪に塗布すると、当該化合物が体温によって蒸散し、一部が呼吸器から直接扁桃腺や気管支に供給されると共に、一部は皮膚又は頭皮から体内に吸収される。このため、錠剤のように服用しにくいといった問題もなく、また、注射剤程の即効性はないものの、痛みを伴わず、蒸気の状態で体内に直接吸収させることができる。皮膚外用剤、毛髪外用剤の場合、安眠効果、香りの強さの点から、一般式(1)で表される化合物を皮膚外用剤又は毛髪外用剤の総量に対して、0.0001〜30質量%とするのが好ましく、0.001〜20質量%とするのがより好ましく、0.01〜10質量%とするのが更に好ましい。
噴霧・散布剤の場合、一般式(1)で表される化合物を含有するスプレー剤を噴霧又は散布する方法、エアディフューザーなどの室内散布剤において一般式(1)で表される化合物をろ紙、珪酸カルシウム顆粒等の担体に含浸させ、そこから発する香気成分を送風する方法、LPガスボンベにより自動噴霧させる方法、温度をかけて蒸散させる方法、超音波で蒸散させる方法等がある。噴霧又は散布した際の使用者の周りの空間における一般式(1)で表される化合物の濃度(例えば、室内濃度)は、安眠効果、香りの強さの点から、一般式(1)で表される化合物の濃度が0.01〜10000ppb、更には10〜1000ppbとなるように調整することが好ましい。
本発明の睡眠改善剤は、安全性が高く、睡眠を量的、質的に改善する効果に優れる。すなわち、入眠潜時の短縮作用、ノンレム睡眠時間の延長作用、中途覚醒時間の短縮作用等の優れた睡眠改善効果を有する。
以上述べた実施形態に関し、以下に本発明の好ましい態様を更に開示する。
〔1〕下記一般式(1)で表される化合物を有効成分とし、1,8-シネオールを実質的に含有しない睡眠改善剤。
Figure 0006174885
〔式中、R1は炭素数1〜5の炭化水素基を示し、nは1又は2の整数を示す。〕
〔2〕1,8-シネオールの一般式(1)で表される化合物に対する質量比(1,8-シネオール)/(一般式(1)で表される化合物)が、好ましくは0.03以下、更には0.01以下、更には0.005以下、更には0.001以下である〔1〕に記載の睡眠改善剤。
〔3〕一般式(1)で表される化合物のR1が、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である〔1〕又は〔2〕に記載の睡眠改善剤。
〔4〕一般式(1)で表される化合物のR1が、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基及びペンチル基から選択される1種であり、より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基及びイソプロピル基から選択される1種であり、更に好ましくはメチル基である〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の睡眠改善剤。
〔5〕一般式(1)で表される化合物のnが、好ましくは1である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の睡眠改善剤。
〔6〕一般式(1)で表される化合物が、好ましくは酢酸ミルテニル、イソ酪酸ミルテニル、3-メチル酪酸ミルテニル、2-メチル酪酸ミルテニル、アンゲリカ酸ミルテニル及び酢酸ノピルから選択される1種以上である〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の睡眠改善剤。
〔7〕一般式(1)で表される化合物が、好ましくは酢酸ミルテニルである〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の睡眠改善剤。
〔8〕1,8-シネオールの一般式(1)で表される化合物に対する質量比(1,8-シネオール)/(一般式(1)で表される化合物)が、好ましくは0.03以下、より好ましくは0.01以下、更に好ましくは0.005以下、更に好ましくは0.001以下に処理されたミルトル油を有効成分とする睡眠改善剤。
〔9〕剤形が、好ましくは経口組成物、皮膚外用剤、毛髪外用剤及び噴霧・散布剤から選択される1種である〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の睡眠改善剤。
〔10〕剤形が皮膚外用剤又は毛髪外用剤であり、一般式(1)で表される化合物を、好ましくは0.0001〜30質量%含有し、より好ましく0.001〜20質量%含有し、更に好ましくは0.01〜10質量%含有する〔9〕に記載の睡眠改善剤。
〔11〕剤形が噴霧・散布剤であり、噴霧又は散布した際の使用者の周りの空間における一般式(1)で表される化合物の濃度が、好ましくは0.01〜10000ppbであり、より好ましくは10〜1000ppbである〔9〕に記載の睡眠改善剤。
〔12〕剤形が経口組成物であり、一般式(1)で表される化合物の投与量が、好ましくは1〜500mg/日、より好ましくは10〜300mg/日である〔9〕に記載の睡眠改善剤。
〔13〕入眠潜時の短縮作用を有する〔1〕〜〔12〕のいずれか1項に記載の睡眠改善剤。
〔14〕ノンレム睡眠時間の延長作用を有する〔1〕〜〔13〕のいずれか1項に記載の睡眠改善剤。
〔15〕中途覚醒時間の短縮作用を有する〔1〕〜〔14〕のいずれか1項に記載の睡眠改善剤。
試験1及び2(アンケート形式による睡眠及び翌日の活動状態評価)
睡眠に不満を感じる健常な成人男女18名の被験者に、下記4種のサンプル2.0gを含浸させた葉書大のろ紙を毎晩就寝直前に枕元に設置して就寝してもらい、2週間後に睡眠に関するアンケートを行い、主観的な睡眠状態を評価した。
睡眠に関するアンケート項目は、就寝前の疲労感に対する睡眠後の疲労回復感が得られたか、翌日朝の目覚めは良いか、入眠時の寝つきは良かったか、中途覚醒などで夜中に目覚めたか、の4項目に関して、それぞれ1から5までの5段階評価(1:まったく思わない、2:やや思う、3:まあまあ思う、4:かなり思う、5:非常に思う)によりスコア化した。
サンプルには、チュニジア産のミルトル油(学名 Myrtus communis,和名 ギンバイカの葉や枝から、水蒸気蒸留によって得られる精油)、ソマリア産のオリバナム油(学名 Boswellia carterii,和名 ニュウコウジュの樹脂から、水蒸気蒸留によって得られる精油)、和光純薬製の酢酸ミルテニルと1,8-シネオールを用いた。コントロールには、何も含浸させないろ紙を使用し、2週間後同様の主観評価を行った。
試験は、精油同士の比較(試験1:ミルトル油とオリバナム油)、単独化合物同士の比較(試験2:酢酸ミルテニルと1,8-シネオール)を行い、その結果を表1及び2に示した。
評価結果は、それぞれのサンプルの平均スコアからコントロールの平均スコアを引き、その差を数値で示し、疲労回復感、翌日の目覚めの良さ、寝つきの良さの項目については、数値が-0.1より小さい場合は×、数値が-0.1〜+0.5の場合は△、数値が+0.5より大きい場合は○とし、夜中の目覚め有りの項目については、数値が+0.5より大きい場合は×、数値が-0.1〜+0.5の場合は△、数値が-0.1より小さい場合は○とした。
なお、用いた精油の組成を以下に示す(含有量はおおよその値)。
・ミルトル油
α-ピネン(14質量%)、リモネン(8質量%)、1,8-シネオール(24質量%)、リナロール(2質量%)、酢酸ミルテニル(20質量%)、α-ターピネオール(4質量%)、酢酸ゲラニル(3質量%)、ミルテノール(1質量%)、メチルオイゲノール(1質量%)、その他
・オリバナム油
α-ピネン(26質量%)、β-ピネン(4質量%)、サビネン(7質量%)、ミルセン(3質量%)、パラ−サイメン(5質量%)、酢酸オクチル(2質量%)、カリオフィレン(2質量%)、その他
Figure 0006174885
Figure 0006174885
試験1においては、酢酸ミルテニルを20質量%含むミルトル油及びオリバナム油のいずれも睡眠効果は示さず、反対に夜中の目覚めが増加する傾向(覚醒効果)が見られた。
また、ミルトル油中の主要成分である、1,8-シネオールと酢酸ミルテニルを比較した試験2においては、酢酸ミルテニルに高い睡眠効果が示されたが、1,8-シネオールには睡眠効果とは反対の覚醒効果が示された。すなわち、1,8-シネオールと酢酸ミルテニルを含むミルトル油には覚醒効果があり、1,8-シネオール単体でも覚醒効果が示されたが、酢酸ミルテニル単体には睡眠効果があることが示された。
試験3(酢酸ミルテニルとα-ピネンの比較実験)
睡眠に不満を感じる健常な成人男女18名の被験者に、下記2種のサンプル10mgを含有するカプセルを1日あたり3カプセル、夕食後〜就寝前に摂取してもらい、2週間後に睡眠に関するアンケートを行い、主観的な睡眠状態を評価した。
睡眠に関するアンケートは、就寝前の疲労感に対する睡眠後の疲労回復感が得られたか、翌日朝の目覚めは良いか、入眠時の寝つきは良かったか、中途覚醒などで夜中に目覚めたか、の4項目に関して、それぞれ1から5までの5段階評価(1:まったく思わない、2:やや思う、3:まあまあ思う、4:かなり思う、5:非常に思う)によりスコア化した。
サンプルには、チュニジア産のミルトル油(学名 Myrtus communis,和名 ギンバイカの葉や枝から、水蒸気蒸留によって得られる精油)から分画した酢酸ミルテニルと、パイン(学名 Pinus palustris Millなど,和名 マツ)から得られるターペンチンを水蒸気蒸留することによって得られるテレビン油から分画したα-ピネンを用い、1カプセルには、前記サンプル10mgのほかに小麦胚芽油190mgを充てんした。コントロールには小麦胚芽油200mgを充てんしたカプセルを用い、2週間後同様の主観評価を行った。
その結果を表3に示した。評価結果は、それぞれのサンプルの平均スコアからコントロールの平均スコアを引き、その差を数値で示し、疲労回復感、翌日の目覚めの良さ、寝つきの良さの項目については、数値が-0.1より小さい場合は×、数値が-0.1〜+0.5の場合は△、数値が+0.5より大きい場合は○とし、夜中の目覚め有りの項目については、数値が+0.5より大きい場合は×、数値が-0.1〜+0.5の場合は△、数値が-0.1より小さい場合は○とした。
Figure 0006174885
表3より、酢酸ミルテニルはリラックス効果の知られているα-ピネンに比べ、眠りの深さ、翌日の目覚めの良さで高い値を示し、夜中の目覚めではより低い値となり、睡眠効果があることが示された。
試験4(睡眠脳波測定試験)
女性87名に対し、PSQI(Pittsburgh Sleep Quality Index)試験を行い、スコアの高い(すなわち「睡眠障害あり」と判断されたパネル)14名を選定した。
各パネルには、エアディフューザーにてサンプルを提供した。すなわち、パネルの鼻から40cm以内の枕元にエアディフューザーを設置し、酢酸ミルテニルを含浸させた直径4mmのケイ酸カルシウムのビーズ20gをエアディフーザーにセットし、自然蒸散するサンプルに30秒に5秒間の割合で無音ファンにて送風し、就寝開始から起床までパネルに提供し続けた。無香の場合は、何も含浸させていないケイ酸カルシウムのビーズ20gをそのまま使用した。
無香条件、酢酸ミルテニル条件共に、2晩の慣らし測定の後、5晩の脳波測定を行った(無香、酢酸ミルテニルの順はパネルにより切り替え)。
測定した脳波は、常法に従い解析を行い、入眠潜時、中途覚醒(時間、割合)、覚醒指数(回/時間)、総覚醒回数、睡眠効率(割合)、ノンレム睡眠時のデルタパワー量などの結果について、上記2条件(酢酸ミルテニル条件と無香条件)において分散分析で有意差の検定を行った。
Figure 0006174885
以下に本発明の睡眠改善剤の処方例を挙げる。いずれも、安全性が高く、睡眠を量的、質的に改善する効果に優れるものであることが期待される。なお、以下の%値は質量%を示す。
処方例1 軟膏
(成分) 含有量(%)
マイクロクリスタリンワックス 9.0
セタノール 3.5
サラシミツロウ 6.0
フィトステロール 1.0
スクワラン 1.5
ワセリン 69.0
酢酸ミルテニル 1.0
流動パラフィン 9.0
処方例2 入浴剤
(成分) 含有量(%)
硫酸ナトリウム 49.0
炭酸水素ナトリウム 49.0
ヒソップオイル 1.0
酢酸ミルテニル 1.0
処方例3 ルームフレグランス
(成分) 含有量(%)
アルコール 70.0
精製水 残余
酸化防止剤 1.0
酢酸ミルテニル 10.0
3-メチル-3-メトキシブタノール 5.0
ジベンジリデンソルビトール 5.0
処方例4 タブレット
(成分) 含有量(%)
潤沢剤(ショ糖脂肪酸エステル等) 1.0
アラビアガム水溶液(5%) 2.0
酸味料 1.0
着色料 適量
酢酸ミルテニル 2.0
糖質(粉糖又はソルビトール等) 残余
処方例5 顆粒
(成分) 含有量(%)
スクラロース 0.2
酢酸ミルテニル 0.5
香味料 6.0
賦形剤(セオラス) 10.0
マルチトール 残余
処方例6 スキンローション
(成分) 含有量(%)
エタノール 8.0
モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 0.4
メチルパラベン 0.1
1,3-ブチレングリコール 5.0
N-メチル-L-セリン 0.1
火棘抽出物 0.1
酢酸ミルテニル 0.01
香料 0.1
精製水 残量
処方例7 スキンクリーム
(成分) 含有量(%)
グリセリンモノステアレート 2.0
ミツロウ 1.0
ソルビタンモノステアレート 1.0
ワセリン 4.0
流動パラフィン 12.0
N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム 1.0
キサンタンガム 0.2
カムカムエキス 0.1
メチルパラベン 0.1
酢酸ミルテニル 0.05
香料 0.2
精製水 残量
実施例8(乳液)
(成分) 含有量(%)
L-塩化カルニチン 0.5
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
テンニンカ抽出物 0.001
水素添加大豆リン脂質 2.0
コレステロール 1.0
スクワラン 2.0
トリス(トリメトキシ)メチルシラン 5.0
イソノナン酸イソノニル 5.0
ミリスチン酸オクチルドデシル 7.0
1,3-ブチレングリコール 5.0
ジプロピレングリコール 5.0
濃グリセリン 1.0
ジグリセリン 5.0
ポリエチレングリコール4000 3.0
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.1
カルボキシビニルポリマー 0.2
キサンタンガム 0.1
水酸化カリウム 0.08
エデト酸二ナトリウム 0.02
フェノキシエタノール 0.3
酢酸ミルテニル 0.01
香料 0.09
酵母エキス(*1) 0.1
ハクガイシ加水分解エキス(*2) 0.1
混合植物抽出液(*3) 0.1
カロットエキス(*4) 0.1
ブクリョウエキス(*5) 0.1
タイソウエキス(*6) 0.1
精製水 残量
*1;イーストリキッドZB(一丸ファルコス社製)
*2;シナブランカーWH(テクノーブル社製)
*3;マルチフルーツBSC(Arch Personal Care Products L.P.社製)
*4;ベジタブルコラーゲン(高研社製)
*5;ファルコレックスブクリョウE(一丸ファルコス社製)
*6;タイソウ抽出液BG-J(丸善製薬社製)
なお、上記処方例において用いる香料は、下記処方のフローラル系調合香料が挙げられる。
(成分) 含有量(%)
ベルガモットオイル 2.0
リナリールアセテート 1.5
メチルアンスラニレート 0.2
ペチグレインオイル 0.5
オーランチオール 10%PG 1.0
アミルアリルグリコレート 1%PG 0.5
ガルバナムオイル 1%PG 0.1
ブラックカラントバズアブソリュート 10%PG 1.5
タジェットオイル 10%PG 0.8
イランイランオイルエキストラ 2.0
ベンジールアセテート 5.0
メチルジヒドロジャスモネート 13.0
シスジャスモン 1%PG 1.0
オレンジフラワーアブソリュート 0.5
インドール 5%PG 0.5
L-シトロネロール 0.5
ローズオイル 0.5
ローズアブソリュート 0.5
ダマセノン 1%PG 0.5
L-ローズオキサイド 1%PG 0.5
ジメチルベンジルカーボニルアセテート 1.0
ヒドロキシシトロネラール 4.5
リラール 3.5
シクラメンアルデヒド 0.5
アルファイソメチルヨノン 4.0
オリスコンクリート 10%PG 0.8
メチルイソオイゲノール 0.5
イソEスーパー 2.5
ベルトフィックスクール 4.0
ベチバーアセテート 2.0
サンダルウッドオイル 1.5
バグダノール 10%PG 1.0
パチュリーオイル 10%PG 0.2
エベルニール 10%PG 1.5
ガラクソリッド 50%ベンジールベンゾエート 10.0
シクロペンタデカノリッド 4.0
ヘリオトロピン 0.5
クマリン 0.5
バニリン 10%PG 0.5
エチルバニリン 10%PG 2.5
ラズベリーケトン 10%PG 0.5
ガンマウンデカラクトン 10%PG 1.5
ガンマデカラクトン 10%PG 1.5
ラブダナム アブソリュート 10%PG 0.5
プロピレングリコール 残量
合計 100.0
※ PG:プロピレングリコールによる希釈物

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物を有効成分とし、1,8-シネオールの一般式(1)で表される化合物に対する質量比(1,8-シネオール)/(一般式(1)で表される化合物)が、0.03以下に処理されたミルトル油を含有する睡眠改善剤。
    Figure 0006174885
    〔式中、R1は炭素数1〜5の炭化水素基を示し、nは1又は2の整数を示す。〕
  2. 剤形が、経口組成物、皮膚外用剤、毛髪外用剤及び噴霧・散布剤から選択される1種である請求項に記載の睡眠改善剤。
  3. 剤形が経口組成物であって、一般式(1)で表される化合物として1〜500mg/日経口投与される請求項に記載の睡眠改善剤。
  4. 剤形が皮膚外用剤又は毛髪外用剤であって、一般式(1)で表される化合物を0.0001〜30質量%含有する請求項に記載の睡眠改善剤。
  5. 剤形が噴霧・散布剤であって、使用者の周りの空間における一般式(1)で表される化合物の濃度が0.01〜10000ppbとなるように噴霧又は散布される請求項に記載の睡眠改善剤。
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