JP6174470B2 - ゴムクローラおよびスチールコード端部のゴムクローラ表面への飛び出し防止方法 - Google Patents

ゴムクローラおよびスチールコード端部のゴムクローラ表面への飛び出し防止方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6174470B2
JP6174470B2 JP2013245953A JP2013245953A JP6174470B2 JP 6174470 B2 JP6174470 B2 JP 6174470B2 JP 2013245953 A JP2013245953 A JP 2013245953A JP 2013245953 A JP2013245953 A JP 2013245953A JP 6174470 B2 JP6174470 B2 JP 6174470B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel cord
rubber crawler
rubber
steel
peripheral side
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013245953A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015101315A (ja
Inventor
吉郎 上野
吉郎 上野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to JP2013245953A priority Critical patent/JP6174470B2/ja
Publication of JP2015101315A publication Critical patent/JP2015101315A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6174470B2 publication Critical patent/JP6174470B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、コンバイン、トラクタ等の農業機械、バックホー等の建設機械のクローラ式走行装置に使用されるゴムクローラに関する。
コンバイン、トラクタ、バックホー等のクローラ式走行装置に使用されるゴムクローラは、周方向に作用する大きな張力に耐えられるように、スチールコードが複数並べられて帯状に形成された抗張体が、クローラ周方向に1周した状態で埋め込まれている。
抗張体は、従来、クローラ本体の周長よりも若干長く帯状に形成されたものを一周させ、その両端が厚さ方向に重ね合わされてクローラ本体に埋め込まれることが多かった。
しかし、このような構造のゴムクローラは、抗張体の両端が重ね合わされた部分の剛性が他の部分に比べて高くなり、この部分が駆動輪および従動輪を通過するときの歪みによって、抗張体からのゴムのはく離等が生じ易い。そこで、抗張体として、1本のスチールコードをまたはこのスチールコード複数本で形成された帯状コード単位を、周方向にらせん状(スパイラル状)に巻き回すことにより、この問題を解決する技術が提案されている(特許文献1,2)。
特開平9−76369号公報 特開2001−114144号公報
特許文献1に記載された1本のスチールコードを未加硫ゴム材料に巻き回す技術は、特許文献2によれば、加硫時にスチールコードの乱れが生じ易い。
特許文献2が指摘する加硫時にスチールコードの乱れを解決するための、特許文献2に提案された(スチールコード複数本で形成された帯状コード単位を使用する)技術は、剛性の局部的低下を避ける目的で、ゴムクローラ周方向において帯状コード単位の端同士の位置を異ならせる(段落0020)。そのため、特許文献2に提案された技術では、ゴムクローラ周方向において帯状コード単位の両端近傍を一定範囲重なり合わせた、または両端に一定の距離を有する構造としている。
しかし、一般に、スパイラル状のスチールコードを有するゴムクローラは、クローラ式走行装置の走行時に、スチールコードの端近傍が沈み込み(内周側に凸状に湾曲し)易い。そして、この沈み込みが繰り返されると、圧縮疲労によってこの部分に亀裂が生じ、亀裂を放置すると、スチールコードの端部が(外周側(接地側)表面に)飛び出しまたはスチールコードが断線することがある。
このことは、特許文献1,2に提案されたスチールコードの形態のいずれにも当てはまる。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、スパイラル状のスチールコードの端部の接地側表面への飛び出しを防止する方法およびスチールコード端部の飛び出しが防止されたゴムクローラを提供することを目的とする。
本発明に係るゴムクローラは、芯金の翼部の外周側にスパイラル状に巻き回されたスチールコードを備えている。
ゴムクローラは、幅方向から見たときに、巻き回されたスチールコードの両端が重ならないで間隔を有する。スチールコードの両端の近傍この両端がスチールコードの他の部分よりも内周側に位置するようにいずれも折り曲げられている。
スチールコードの両端の近傍における折り曲げ位置は、いずれもスチールコードの端近傍が周方向において最初に重なる芯金の翼部よりも当該端側である。
ここで、「スチールコードの端近傍が周方向において最初に重なる芯金の翼部」とは、当該端から他端に向けて巻き回されたスチールコードが最初に重なる(芯金の)翼部を言う。
好ましくは、ゴムクローラは、幅方向から見たときに、スチールコードの両端の間隔が、周方向に隣り合う芯金の翼部の間隔の10%以上である。
複数本が不連続にスパイラル状に巻き回されたスチールコードを有する場合、好ましくは、その長さがいずれもスチールコードの位置におけるゴムクローラを一周する長さに芯金のピッチの2倍を加えた長さ以上である。
好ましくは、ゴムクローラは、幅方向から見たときに、スチールコードにおける折り曲げられた両端近傍と、スチールコードの他の部分と、の曲がり角度が5度以上である。
好ましくは、ゴムクローラは、スチールコードの断面が略円形であり、幅方向から見たときに、スチールコードにおける折り曲げられた両端とスチールコードの他の部分との距離がスチールコードの径以上である。
好ましくは、ゴムクローラには、スチールコードの他の部分よりも内周側に位置する両端近傍の外周側に、他の部分と異なる物性を有するゴムの塊が埋め込まれる。
好ましくは、ゴムクローラには、厚さ方向から見たときに、その一部がスチールコードの他の部分よりも内周側に位置する両端近傍の外周側に配され、かつ前記一部を除く部分の一部または全部が芯金の翼部とスチールコードとの間に配された、織物、編み物またはシートが埋め込まれる。
本発明に係る芯金の翼部の外周側にスパイラル状に巻き回されたスチールコード端部のゴムクローラ表面への飛び出し防止方法は、ゴムクローラをその幅方向から見たときに、以下のように構成される。つまり、巻き回されたスチールコードの両端が重ならないように間隔を設け、スチールコードの両端を、いずれも隣り合う芯金間に位置させる。スチールコードのそれぞれの端近傍を、周方向において当該端近傍が最初に重なる前記翼部よりもそれぞれの端側で内周側に折り曲げて、両端をいずれもスチールコードの他の部分よりも内周側に配置する。
本発明によると、スパイラル状のスチールコードの端部の接地側表面への飛び出しが防止されたゴムクローラを提供することができる。
図1はゴムクローラの製造過程における並列被覆体の様子を示す図である。 図2は図1におけるA−A矢視図である。 図3は他のゴムクローラの製造過程における並列被覆体様子を示す図である。 図4は図3におけるB−B矢視図である。 図5は他のゴムクローラ1の製造過程における並列被覆体回りの様子を示す図である。 図6は図5におけるC−C矢視図である。 図7は他のゴムクローラの製造過程における並列被覆体回りの様子を示す図である。 図8は図7におけるD−D矢視図である。 図9は他のゴムクローラの製造過程における単一被覆体回りの様子を示す図である。
図1はゴムクローラ1の製造過程における芯金4の翼部12にらせん状に巻き回された並列被覆体15の様子を示す図、図2は図1におけるA−A矢視図である。
ゴムクローラ1は、クローラ本体2、ラグ3、芯金4および一対の抗張体5等からなる。
クローラ本体2は、肉厚な帯状のゴムにより形成された大きな輪である。ラグ3は、輪であるクローラ本体2の外周面から外方に突出した状態で、クローラ本体2の内方からクローラ本体2の幅方向端に向けて延びたゴムの塊である。ラグ3は、クローラ本体2の周方向に一定の間隔で複数設けられる。以下単に「幅方向」というときはクローラ本体2における幅方向をいい、「周方向」というときはクローラ本体2における周方向をいうものとする。「外周」および「内周」の語は、「輪」であるクローラ本体2(ゴムクローラ1)におけるそれぞれ「外周」および「内周」をいう。
ラグ3は、幅方向の両側に面対称に、または幅方向両側で交互に千鳥状に配される。ラグ3は、幅方向の一方の端から他方の端に連続して設けられることがある。
芯金4は、金属等の硬質材料によって形成される。芯金4は、全体として細長い形状である。芯金4の中央には、芯金4の長手方向に間隔を有して一方の表面から同方向に突出する一対の突起部11が設けられている。芯金4における突起部11から長手方向外方端までの部分を翼部12という。
翼部12は、板状であって、突起部11近傍から芯金4の長手方向の端に向かうに伴い厚さおよび幅が小さくなっている。翼部12の厚さおよび幅は、この形状に限られず、芯金4に求める機能により、任意に決定される。
芯金4は、突起部11の突出する側がゴムクローラ1の内周側となるように、複数が周
方向に等間隔に配されて、クローラ本体2に埋め込まれている。
抗張体5は、1本のスチールコード13が、またはスチールコード13複数本が略等間隔で平行に並べられて1単位となったコード並列体が、突起部11側から芯金4の長手方向の端側に向けて(またはこの逆方向に)、翼部12の外周側にらせん状(スパイラル状)に巻き回されて形成される。
ゴムクローラ1の加硫成形工程では、らせん状に巻き回される1本のスチールコード13またはコード並列体は、あらかじめゴム14により被覆されたものが使用される。ゴム14で被覆されたスチールコード13、およびゴム14で被覆されたコード並列体は、例えば特開2001−253374号公報、特開2013−40428号公報等に記載されており、公知である。
図1に示されるコード並列体は、2本のスチールコード13を1単位とする。以下、ゴム14で被覆されたコード並列体を「並列被覆体15」という。
抗張体5を備えたゴムクローラ1は、例えば以下のようにして製造される。
先ずゴムクローラ1の内周側の形状を形成する内側モールド(内側金型)に未加硫ゴムが充填され、芯金4が、突起部11を内側(奥側、内周側)にして所定の位置に並べられる。続いて、芯金4の翼部の外側に、突起部11側から翼部12の端側に向けて並列被覆体15が巻き回される。並列被覆体15は、巻き始めの端が隣り合う芯金4,4間にかつ芯金4に近い位置に配されて、巻き始めの端16(以下「始端16」という)近傍が内側に折り曲げられる。並列被覆体15における折り曲げられた位置を屈曲点CPという。並列被覆体15の折り曲げでは、点として屈曲点CPを認識できない場合が多い、その場合、後述する曲がり角度θを形成する点を屈曲点CPとする。
なお、巻き回しを突起部11とは反対側から始めてもよい。
並列被覆体15の巻き回しが所定の周回数繰り返され、巻き回しは、隣り合う芯金4,4間に巻き終わりの端17(以下「終端17」という)を位置させて終了される。終端17は、始端16と同様に、芯金4に重ねずかつ芯金4に近い位置に配されて、終端17近傍が内側に折り曲げられる。終端17近傍の折り曲げにおいても、折り曲げられた位置を屈曲点CPという。
次に、芯金4,4および並列被覆体15の外側が、そのキャビティに未加硫ゴムが充填された外側モールド(外側金型)で覆われ、内側モールドと外側モールドとが結合される。外側モールドは、ゴムクローラ1におけるラグ3を含む外周側の形状を形成させる
キャビティ内の未加硫ゴムは、所定の温度および所定時間で加硫処理され、芯金4,4および抗張体5が埋め込まれたゴムクローラ1が形成される。
ゴムクローラ1の成形前に、芯金4の翼部12の外周側に巻かれた並列被覆体15は、前述したようにその始端16および終端17が屈曲点CPで内周側に折り曲げられる。始端16側の屈曲点CPは、ゴムクローラ1の厚さ方向から見たときに最初に重なる翼部12の(始端16側の)端から始端16側に設けられる。終端17側の屈曲点CPは、ゴムクローラ1の厚さ方向から見たときに最後に重なる翼部12の(終端17側の)端から終端17側に設けられる。屈曲点CPにおける曲がり角度θは5度以上45度以下が好ましい。
なお、曲がり角度θは、始端16近傍および終端17近傍が真っ直ぐで屈曲点CPが明確に判別できれば、屈曲点CPを挟むスチールコード13の中心線と他の部分のスチールコード13の中心線との角度である。始端16近傍および終端17近傍において屈曲点CPを明快に特定できない場合、例えば円弧のように連続して湾曲する場合には、ゴムクローラ1の幅方向から見た曲がり部分(曲がり開始から端までの部分)におけるスチールコ
ード13の中心線の各微小部分の接線の傾き平均を、曲がり角度θとする。「接線の傾き」とは、湾曲しない部分のスチールコード13の中心線となす角度である。
始端16および終端17におけるスチールコード13の中心と折り曲げられた部分以外のスチールコード13の中心との距離aは、スチールコード13の径dに等しいかまたは大きい。
始端16および終端17は、同じ芯金4,4間に配される(巻き回し回数が整数)のが好ましい。この場合、ゴムクローラ1の幅方向から見たときに、始端16と終端17とは重ならず間隔bを有し、この間隔bは、始端16および終端17が配される芯金4,4の距離cの10%以上が好ましい。なお、芯金4の翼部12の幅が長手方向の端に向かって変化する場合には、始端16および終端17それぞれに対応する(芯金4長手方向の翼部12の)位置における芯金4,4の距離の平均を距離cとする。
スチールコードがスパイラル状に埋め込まれたゴムクローラは、一般に、スチールコードの端近傍が沈み込み易く、沈み混みの繰り返しにより亀裂が生じ、亀裂を放置したまま装着し続けるとスチールコードの端が露出する。
図2に示される抗張体5を有するゴムクローラ1は、スチールコード13の端16,17近傍をクローラ本体2の外周面から遠ざけて端16,17近傍の外相側を肉厚に形成することで、ゴムクローラ1の屈曲時にスチールコード13の端16,17近傍のはね上がりを防止することができる。また、ゴムクローラ1は、駆動輪等の通過および転輪が突起物に乗り上げ等の屈曲時において、内周側に曲げられたスチールコード13の端16,17近傍により、端16,17の周方向への移動が妨げられ、端16,17近傍につながって隣り合う芯金4間に跨がるスチールコード13の波打ち(沈み込み)が改善される。
ゴムクローラ1は、スチールコード13の端16,17近傍が沈み込み側と同じ内周側に折り曲げられていることにより、亀裂の発生に相関するスチールコード13の端部の接地側表面への飛び出しを防止することができる。
上述した並列被覆体15を翼部12の外側に巻き回す場合の好ましい形態およびその効果は、(コード並列体ではなく)1本のスチールコード13がゴムに被覆された「単一被覆体」を翼部12の外側に巻き回す場合にも当てはまる。
図3は他のゴムクローラ1Bの製造過程におけるらせん状に巻き回された並列被覆体15a,15bの様子を示す図、図4は図3におけるB−B矢視図である。
ゴムクローラ1Bを構成するクローラ本体2、ラグ3および芯金4は、ゴムクローラ1におけるものと同じである。
ゴムクローラ1Bは、抗張体5が、連続する1本の並列被覆体15で形成されるのではなく、2本の並列被覆体15a,15bが不連続に直列に並べられて形成される。並列被覆体15a,15bは、それぞれの長さが並列被覆体15より短い点を除き、2本のスチールコード13,13がゴム14に被覆された並列被覆体15と同じである。
ゴムクローラ1Bは、芯金4の翼部12の外周側に最初に巻き回される並列被覆体15(15a)に、新たにボビン等に巻かれた別の並列被覆体15(15b)が巻き足されて製造される。
ゴムクローラ1Bの製造における芯金4の翼部12への並列被覆体15aの巻き回しの開始は、ゴムクローラ1と同様に、突起部11側から行われる。並列被覆体15aの巻き始めの端16a(始端16a)は、芯金4,4間にかつ芯金4に近くに位置するように配され、始端16aの近傍が内側に折り曲げられることも、ゴムクローラ1の場合と同じである。
初めに使用した並列被覆体15aの巻き終わりの端17a(終端17a)が芯金4,4
間に位置するように、並列被覆体15aの余分な長さ分が切断される。終端17aは、始端16aと同様に、芯金4に重ねずかつ芯金4近くに配され、終端17a近傍が内側に折り曲げられる。
次に、別の並列被覆体15bが、巻き終えた並列被覆体15aが最後に(周方向に)重なる芯金4の隣の芯金4に重ねられて、巻き回しが再開される。2本目の並列被覆体15bの始端16bは、隣り合う芯金4,4間で、すでに巻き回された並列被覆体15aの終端17aに対向する。始端16bが内側に折り曲げられること、および始端16bと芯金4との位置関係は、並列被覆体15aと芯金4との位置関係と同じである。
並列被覆体15bは、その巻き回数が並列被覆体15aの巻き回数に加算され、総巻き回数が設定巻き回数になったら、1本目の並列被覆体15aの始端16aが位置する芯金4,4間で巻き回しを終了させる。巻き終わりの端17b(終端17b)は、始端16bと同様に、その近傍が内側に折り曲げられる。
ゴムクローラ1Bの成形過程は、2本の並列被覆体15a,15bが互いに不連続に巻き回される点を除き、ゴムクローラ1の製造過程と同じであるので、その説明を周略する。
図3に示されるゴムクローラ1Bでは、1本目の並列被覆体15aの始端16a、終端17a、および2本目の並列被覆体15bの始端16b、終端17bのいずれも、同じ芯金4,4間に位置する。例えば、並列被覆体が巻き回しの途中で不足し、他の並列被覆体を続けて巻き回す場合には、1本目の並列被覆体15aの始端16aと続いて巻き回す並列被覆体15bの終端17bとを同じ芯金4,4間に位置させ、巻き回し途中で不足した先の並列被覆体15aの終端17aとこれに続く並列被覆体15bの始端16bとを同じ芯金4,4間に位置させれば、すべての始端16a,16b、終端17a,17bを同じ芯金4,4間に位置(図3)させなくてもよい。
ゴムクローラ1Bに巻き回される並列被覆体15a,15bにおける始端16a,16bおよび終端17a,17b近傍の屈曲点CPでの曲がり角度θは、5度以上35度以下が好ましい。始端16a,16b、終端17a,17bのスチールコード13中心と他の部分のスチールコード13中心との距離aを、スチールコード13の径dに等しいかまたは大きくするのが好ましい。
ゴムクローラ1Bの幅方向から見たときに、1本目の並列被覆体15aの始端16aと最後に巻き回す並列被覆体15bの終端17bとは、および巻き回し途中で不足した先の並列被覆体15aの終端17aとこれに続く並列被覆体15bの始端16bとは、いずれの二つも重ならず間隔bを有し、この間隔bは、芯金4,4の距離cの10%以上が好ましい。同時に、1本目の並列被覆体15aの始端16aと終端17aとが、およびこれに続く並列被覆体15bの始端16bと終端17bとが、ゴムクローラ1Bの幅方向から見たときに、いずれの二つも重ならず間隔bを有し、この間隔bが、芯金4,4の距離cの10%以上であることが好ましい。
上述した好ましい形態等は、互いに不連続な3本以上の並列被覆体を不連続に直列させて巻き回す場合も同じである。不連続な複数本の並列被覆体を巻き回す場合には、それぞれの並列被覆体は、ゴムクローラ1Bを一巻きする長さ(「周長」という)に芯金4のピッチPの2倍を加えた長さ以上とするのが好ましい。芯金4のピッチPとは周長を芯金4の総数で除した値に略等しい。
このように形成されたゴムクローラ1Bは、装着するクローラ式走行装置の走行時に沈み込みが繰り返されても、スチールコード13の端16a,16b,17a,17b近傍によるクローラ本体2のゴムへの圧縮を軽減して亀裂の発生を防ぎ、スチールコード13
の端部の接地側表面への飛び出しが防止される。
1つのゴムクローラを、複数本の不連続な単一被覆体を巻き回して製造する場合の好ましい巻き回しの形態およびその効果は、上述した複数本の不連続な並列被覆体を巻き回す形態およびその効果に共通する。
それぞれの始端16a,16bおよび終端17a,17bを上述した形態とすることにより、加硫成形工程で残った、短いために連続して巻き回すことができずこれまでスクラップとなった並列被覆体、単一被覆体を有効に活用することができる。
図5は他のゴムクローラ1Cの製造過程における並列被覆体15C回りの様子を示す図、図6は図5におけるC−C矢視図である。
ゴムクローラ1Cを構成するクローラ本体2、ラグ3および芯金4は、ゴムクローラ1,1Bにおけるものと同じである。
ゴムクローラ1Cは、埋め込まれる抗張体5が、5本のスチールコード13,…,13を略等間隔で平行に並べて1単位としたコード並列体がゴムで被覆された並列被覆体15Cで形成される。
ゴムクローラ1Cの製造における芯金4の翼部12への並列被覆体15Cの巻き回しの始めにおける端16C(始端16C)は、ゴムクローラ1,1Bの場合と同様に、芯金4,4間で芯金4に近くなるように配され、かつ始端16Cの近傍が内側に折り曲げられる。所定の周回数の並列被覆体15Cによる巻き回しが終わると、巻き終わりの端17C(終端17C)が芯金4,4間に位置するように並列被覆体15Cが切断される。そして、終端17C近傍が内側に折り曲げられる。
始端16Cと終端17Cとの位置関係、これらと直近の隣り合う芯金4,4との位置関係、ならびに始端16C近傍および終端17C近傍の曲がり角度θ等は、ゴムクローラ1,1Bにおけるものと同じである。
並列被覆体15Cの巻き回しが終了すると、始端16C近傍および終端17C近傍が内側に折り曲げられて生ずる、並列被覆体15Cの他の部分との段差部分に、未加硫のゴムの塊21C(以下「補積材21C」という)が配される。
この段差部分に、意図して未加硫のゴムの塊を配意するのは、ゴムクローラ1において始端16C近傍および終端17C近傍を、並列被覆体15Cの他の部分よりも確実に内周側に位置させるためである。
補積材21Cには、加硫後の硬度がJIS−K−6253、タイプAにおいて60〜80度のゴムが用いられる。補積材21Cに使用されるゴムは、常にクローラ本体2の他の部分のゴムに比べて高くなるようにこの硬度範囲の中から選択される。このように補積材21Cのゴム高度を高めるのは、始端16C近傍および終端17C近傍の外周側へのはね上がりを一層制限するためである。
並列被覆体15Cが上述したように巻き回されたゴムクローラ1Cは、装着するクローラ式走行装置の走行時に沈み込みが繰り返されても、スチールコード13の端(始端16C、終端17C)近傍における亀裂が生じにくい。これに加えて、ゴム補積材21Cが加えられたゴムクローラ1Cは、始端16C近傍および終端17C近傍の接地側表面への飛び出しが防止されて耐久性が向上する。
図7は他のゴムクローラ1Dの製造過程における並列被覆体15C回りの様子を示す図、図8は図7におけるD−D矢視図である。
ゴムクローラ1Dを構成するクローラ本体2、ラグ3および芯金4は、ゴムクローラ1,1B,1Cにおけるものと同じである。
また、ゴムクローラ1Dに埋め込まれた抗張体5は、ゴムクローラ1Cにおけるものと同じである。ゴムクローラ1Dにおいてゴムクローラ1,1B,1Cにおけるものと同じ構成の部分は、図7,8においてゴムクローラ1,1B,1Cにおけるものと同じ符合を付し、その説明を省略する。
ゴムクローラ1Dの加硫成形工程では、ゴムクローラ1Cにおけるゴムによる補積材21Cに換えて、キャンバス(帆布)が略矩形に裁断された織物による補積材21Dが使用される。
ゴムクローラ1Dの加硫成形では、芯金4の翼部12の外側への巻き始めに、補積材21Dの矩形における1つの辺S1の近傍によって、並列被覆体15Cにおける始端16Cおよび屈曲点CPを含みその巻き方向に在る翼部12に重なる部分を覆う。補積材21Dにおけるこの辺S1に平行な辺S2は、並列被覆体15Cの巻き方向の反対側に隣り合う芯金4の翼部12に架け渡される。並列被覆体15Cは、2周目から、芯金4との間に補積材21Dが挟まれるように、翼部12の外側(ゴムクローラ1Dにおける外周側)に巻き回される。
並列被覆体15Cの巻き終わりでは、その終端17Cおよび屈曲点CPを含み翼部12に重なる部分が、辺S2側の、矩形の補積材21Dにおける始端16Cを覆った部分の対角位置に差し入れられる。
織物による補積材21Dがゴムクローラ1Dにおいて上述のように埋め込まれることにより、走行時に沈み込みによるスチールコード13の端(始端16C、終端17C)近傍の外周側への移動が制限される。ゴムクローラ1Dは、クローラ本体2の亀裂およびこれに起因する始端16C近傍および終端17C近傍の接地側表面への飛び出しが防止されて、耐久性が向上する。
図9は他のゴムクローラ1Eの製造過程における単一被覆体18E回りの様子を示す図である。
「単一被覆体18E」とは、1本のスチールコード13がゴムに被覆されたものをいう。
ゴムクローラ1Eの製造は、1本の単一被覆体18Eを芯金4の翼部12の外側に巻き回し、その始端16Eおよび終端17Eに別々の織物による補積材21Eが配される点で、ゴムクローラ1Dの製造と異なる。細長い矩形のそれぞれの補積材21E,21Eは、その長手方向が単一被覆体18Eの巻き回し方向に揃えられ、長手方向を隣り合う芯金4,4に架け渡らせて、巻き回された単一被覆体18Eの始端16Eおよび終端17Eから、それぞれの芯金4に重なる部分までを覆う
補積材21E,21Eは、矩形形状の多くの部分が、巻き回された単一被覆体18Eと芯金4との間に挟まれる。
ゴムクローラ1Eは、ゴムクローラ1Dと同様に、クローラ本体2の亀裂およびこれに起因するスチールコード13端の外周側への飛び出しを防止することができる。
ゴムクローラ1,1B〜1Dの製造に使用される並列被覆体15,15a,15b,15Cは、2〜5本のスチールコード13がゴム14に被覆されたものが好ましい。ゴムクローラ1,1B,1C,1D,1Eの製造過程における、図1〜9に示される並列被覆体15,15a,15b,15C、単一被覆体18Eおよびこれらの周囲の形態は、相互に適用しても、それぞれの効果を同様に奏する。例えば、ゴムクローラ1Bの始端16a,16b、終端17a,17b近傍にゴムクローラ1Cにおける補積材(ゴム塊)21Cを使用することができる。
同様に、ゴムクローラ1Bの始端16a,16b、終端17a,17b近傍に、ゴムクローラ1D,1Eにおける補積材(織物)21D,21Eを使用することができる。
ゴムクローラ1Bへの補積材21D,21Eの埋め込みは、例えば図3の網掛けで示される範囲AR1〜3に行われる。
ゴムクローラ1,1B,1C,1D,1Eの製造過程における、並列被覆体15,15a,15b,15C、単一被覆体18Eおよびこれらの周囲の形態は、ゴムクローラ1,1B,1C,1D,1E内に埋め込まれたスチールコード13の形態にそのまま反映される。
上述の実施形態において、補積材21D,21Eを、キャンバス(帆布)に換えて、ナイロン等の他の種類の繊維による織物、ポリイミド樹脂シート等の樹脂シートまたは樹脂シートが編まれたもの(編み物)等を使用することができる。
補積材21D,21Eを、ゴムの塊による補積材21Cとともにゴムクローラ内に埋め込んでもよい。その場合、補積材21Cは、例えば始端16C近傍において始端16C近傍と補積材21Dとに挟まれる。
その他、ゴムクローラ1,1B,1C,1D,1E、およびゴムクローラ1,1B,1C,1D,1Eの各構成または全体の構造、形状、寸法、個数、材質などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
本発明は、コンバイン、トラクタ等の農業機械、バックホー等の建設機械のクローラ式走行装置に装着されるゴムクローラに利用することができる。
1,1B,1C,1D,1E ゴムクローラ
4 芯金
12 翼部
13 スチールコード
16,16a,16b,16C,16E (巻き始めの)端、始端
17,17a,17b,17C,17E (巻き終わりの)端、終端
21C ゴム塊、補積材(ゴムの塊)
21D,21E 補積材(織物、編み物またはシート)
θ 曲がり角度
CP 屈曲点(折り曲げ位置)

Claims (8)

  1. 芯金の翼部の外周側にスパイラル状に巻き回されたスチールコードを備えたゴムクローラであって、
    幅方向から見たときに、
    巻き回された前記スチールコードの両端が重ならないで間隔を有し、
    前記両端は、いずれも隣り合う前記芯金間に位置し、
    記両端の近傍、前記両端が前記スチールコードの他の部分よりも内周側に位置するようにいずれも折り曲げられており、
    前記両端の近傍における折り曲げ位置は、いずれも前記スチールコードの端近傍が周方向において最初に重なる前記翼部よりも当該端側である
    ことを特徴とするゴムクローラ。
  2. 幅方向から見たときに、
    前記スチールコードの両端の間隔が、周方向に隣り合う前記芯金の翼部の間隔の10%以上である
    請求項1に記載のゴムクローラ。
  3. 複数本が不連続にスパイラル状に巻き回された前記スチールコードを有し、その長さがいずれも前記スチールコードの位置におけるゴムクローラを一周する長さに前記芯金のピッチの2倍を加えた長さ以上である
    請求項1または請求項2に記載のゴムクローラ。
  4. 幅方向から見たときに、
    前記スチールコードにおける折り曲げられた両端近傍と、前記スチールコードの他の部分と、の曲がり角度が5度以上である
    請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のゴムクローラ。
  5. 前記スチールコードの断面が円形であり、
    幅方向から見たときに、
    前記スチールコードにおける折り曲げられた両端と前記スチールコードの他の部分との距離が前記スチールコードの径以上である
    請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のゴムクローラ。
  6. 前記スチールコードの他の部分よりも内周側に位置する両端近傍の外周側に、他の部分に比べて硬度の高いゴムの塊が埋め込まれた
    請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のゴムクローラ。
  7. 厚さ方向から見たときに、
    その一部が前記スチールコードの他の部分よりも内周側に位置する両端近傍の外周側に配され、かつ前記一部を除く部分の一部または全部が前記芯金の翼部と前記スチールコードとの間に配された、織物、編み物またはシートが埋め込まれた
    請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のゴムクローラ。
  8. 芯金の翼部の外周側にスパイラル状に巻き回されたスチールコード端部のゴムクローラ表面への飛び出し防止方法であって、
    ゴムクローラをその幅方向から見たときに、
    巻き回された前記スチールコードの両端が重ならないように間隔を設け、
    前記両端を、いずれも隣り合う前記芯金間に位置させ、
    前記スチールコードのそれぞれの端近傍を、周方向において当該端近傍が最初に重なる前記翼部よりもそれぞれの端側で内周側に折り曲げて、前記両端をいずれも前記スチールコードの他の部分よりも内周側に配置する
    ことを特徴とするスチールコード端部のゴムクローラ表面への飛び出し防止方法。
JP2013245953A 2013-11-28 2013-11-28 ゴムクローラおよびスチールコード端部のゴムクローラ表面への飛び出し防止方法 Active JP6174470B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013245953A JP6174470B2 (ja) 2013-11-28 2013-11-28 ゴムクローラおよびスチールコード端部のゴムクローラ表面への飛び出し防止方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013245953A JP6174470B2 (ja) 2013-11-28 2013-11-28 ゴムクローラおよびスチールコード端部のゴムクローラ表面への飛び出し防止方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015101315A JP2015101315A (ja) 2015-06-04
JP6174470B2 true JP6174470B2 (ja) 2017-08-02

Family

ID=53377375

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013245953A Active JP6174470B2 (ja) 2013-11-28 2013-11-28 ゴムクローラおよびスチールコード端部のゴムクローラ表面への飛び出し防止方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6174470B2 (ja)

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4180751B2 (ja) * 1999-10-21 2008-11-12 住友ゴム工業株式会社 弾性クローラ
JP4151969B2 (ja) * 2004-06-01 2008-09-17 住友ゴム工業株式会社 弾性クローラ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015101315A (ja) 2015-06-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2030876A1 (en) Structure of rubber crawler track
JP6455442B2 (ja) 空気入りタイヤおよびその製造方法
US7883160B2 (en) Elastic crawler and elastic crawler manufacturing method
JP6063768B2 (ja) スチールコード及びそれを用いた弾性クローラ
JP6174470B2 (ja) ゴムクローラおよびスチールコード端部のゴムクローラ表面への飛び出し防止方法
JP4866123B2 (ja) 空気入りタイヤの製造方法
JP6255223B2 (ja) ゴムクローラおよびゴムクローラの製造方法
JP2012066626A (ja) 弾性クローラ
JP6472676B2 (ja) 弾性クローラ
JP5213377B2 (ja) ゴムクローラ
AU2017256518B2 (en) Vehicle track
JP2007230265A (ja) ゴムクロ−ラのエンドレス構造
JP5588283B2 (ja) 弾性クローラ
JP2008094240A (ja) 弾性クローラ
JP7298332B2 (ja) 弾性クローラ
KR100913914B1 (ko) 카카스 레이어 성형방법
JP2006123841A (ja) 弾性クローラの製造方法
JP5683991B2 (ja) ゴムクローラ
JP2009029205A (ja) 弾性クローラおよび弾性クローラの製造方法
JP6082262B2 (ja) 成型ドラム
JP5462960B2 (ja) ゴムクローラおよびクローラ式走行体
JP6225071B2 (ja) 航空機用更生タイヤの製造方法
JP2002321667A (ja) 弾性クローラ
JP2009248890A (ja) 抗張力芯線の配置構造
JP2005271710A (ja) 弾性クローラ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160901

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170413

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170418

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170613

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170620

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170706

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6174470

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250