JP6173081B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
また、タイヤの加硫成形時に一対のビード部の形状が不均一になると、タイヤのユニフォミティ性が損なわれて操縦安定性能が低下することに着目し、少なくともいずれか一方のビードコアの外周面に有機繊維の平織物にゴムを被覆したビードカバーテープを、巻き付け回数を調整しながら重ねて巻き付けることによって、一対のビード部を均一に形成したタイヤも提案されている(特許文献2)。
そこで、本発明は、タイヤのリム滑りを抑制することにより、操縦安定性能を向上させた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明の空気入りタイヤは、1対のビード部に設けられたビードコア間にトロイダル状に跨る、少なくとも1層のカーカスを有する空気入りタイヤであって、前記タイヤを適用リムに装着し所定空気圧を充填し所定荷重を負荷した状態における、前記タイヤの前記リムからの離反点より、タイヤ径方向外側のタイヤ外表面に、タイヤ幅方向に突出するリムガードを具え、前記タイヤを適用リムに装着し所定空気圧を充填し荷重を負荷しない、基準状態における、該リムガードのタイヤ幅方向最外端から前記タイヤのビードトウまでのタイヤ径方向距離H 1 の、タイヤ高さTHに対する比H 1 /THが、35%以上60%以下であり、かつ該タイヤ径方向距離H 1 が、32mm以上37mm以下であること、を特徴とする。
また、本発明における、タイヤ高さ、リムガードのタイヤ幅方向最外端からビードトウまでのタイヤ径方向距離等の諸元は、特に断りのない限り、当該タイヤを適用リムに装着し所定空気圧を充填し荷重を負荷しない状態(本発明において、以下「基準状態」という。)で測定するものとする。
図1は、本発明に係る空気入りタイヤの半部の幅方向断面を、適用リムに装着し所定空気圧を充填し荷重を負荷しない、基準状態で示したものである。空気入りタイヤ10は、超高性能タイヤであり、1対のビード部11(その一方を図示)に設けられたビードコア1と、ビードコア1間にトロイダル状に跨る少なくとも1層(図示例では1層)のカーカス2とを備え、該ビード部11近傍のタイヤ10のタイヤ外表面には、該タイヤ10とリム7との組立体に所定荷重を負荷した際の、タイヤ10のリム7からの離反点Rより、タイヤ径方向外側に、タイヤ幅方向外側に突出するリムガード5を有する。また、前記離反点R上またはその近傍のタイヤ外表面には、タイヤ10とリム7との嵌合状態を外部から判断できるように、タイヤ周方向に細線状に延在する微小幅のリムライン13が設けられている。なお、符号8は、ビード部11のタイヤ幅方向最内側にあたるビードトウを示す。
ここにおいて、本発明に係るタイヤ10におけるリムガード高さH1を、通常、例えば28mm前後である従来タイヤのリムガード高さH2よりも大きく、特には、前記リムガード高さH1を32mm以上37mm以下とすることが肝要である。
その様子を、図3の断面図に示した。(a)が本発明に係るタイヤ10であり、(b)が従来タイヤである。図3(b)においては、前記の負荷荷重および入力によってタイヤが変形し、リムガード5′とリムフランジの先端部7eとが接触している。このとき、リムガード5′とリムフランジの先端部7eは、タイヤ周方向に連続して接触することになるが、各々の接点における接触圧がタイヤ周方向位置によって大きく異なる部分が生じるため、リムフィット性が不安定になる。具体的には、タイヤ周方向における前記接触圧の違いに起因して、タイヤ・リム組立体の組立て当初のビード部11′とリム7との位置関係から、ビード部11′をタイヤ周方向に動かす力が働き、その結果、リム滑りが生じることになる。
一方、図3(a)を参照すると、本発明に係るタイヤ10では、リムガード5とリムフランジの先端部7eとが接触しないことから、ビード部11とリム7の位置関係がタイヤ組立て当初のまま維持される。つまり、本発明に係るタイヤ10は、安定したリムフィット性を有してリム滑りを抑制し、その結果として操縦安定性能を向上させることができる。
図2(b)からも分かるように、従来タイヤのビード部11′のタイヤ外表面は、曲率中心がタイヤ外表面の外側に位置する円弧r3と曲率中心がタイヤ外表面の内側に位置する円弧r4とを含む複数の円弧を、1又は複数の変曲点を介して滑らかに連ねた形状であり、タイヤ幅方向外側に凹となる部分(凹部)と、該側に凸となる部分(凸部)とを有しているものが多い。このようなタイヤ形状は、タイヤがリムにフィットする際に、リムによって圧縮されたタイヤのゴムが元の形状に戻ろうとするゴムの粘弾性を利用して、該タイヤとリムとの間の隙間を埋めることを目的に採用されてきた。かような形状は、リムフィット性に最も優れているとされてきたが、タイヤ幅方向への入力が大きい場合においては、一概に優れているとは言い切れないことが分かった。
すなわち、従来タイヤのビード部11′のタイヤ外表面の凹凸した形状に起因して、タイヤ幅方向の入力が大きい場合には、ビード部11′とリム7との接触圧分布が前記凸部に集中することになる。その結果、凸部が梃子の力点となって、タイヤ・リム組立体の組立て当初のビード部11′とリム7との位置関係から、ビード部11′をタイヤ周方向に動かす力が働き、リム滑りが生じる場合がある。このような問題に起因するリム滑りを抑制するため、ビード部11のタイヤ径方向領域mのタイヤ外表面を、曲率中心がビード部11のタイヤ外表面の外側に位置する1又は複数の円弧のみを滑らかに連ねてなる形状、すなわち、当該領域全体にわたってタイヤ幅方向外側に凹となる形状として、該領域におけるビード部11のタイヤ外表面とリム7との接触圧分布を均一にすることが好ましい。
また、図1および図2に示すリムガード5は、タイヤ幅方向最外側に1つの頂点を有する形状であるが、タイヤ幅方向外側に2つの頂点を有する形状(例えば、台形状)や、その他の形状であってもよい。
発明例タイヤ1〜8、従来例タイヤ1および比較例タイヤ1〜4(ともに、タイヤサイズは235/35ZR20)を表1に示す仕様のもと試作し、リム滑り性および操縦安定性能を評価した。
なお、表中のAは、タイヤ径方向領域mまたはMにおける、タイヤ外表面を形成する円弧の曲率中心のうち少なくとも1つが、タイヤ外表面の内側にあることを示している。この場合、タイヤ10の外表面の形状は、図2(b)に示した従来タイヤのように、タイヤ幅方向外側に向かって凸となる部分を有する。一方、表中のBは、タイヤ径方向領域mまたはMにおける、タイヤ外表面を形成する円弧の曲率中心の全てが、タイヤ外表面の外側にあることを示している。この場合、タイヤ10の外表面形状は、図2(a)の本発明に係るタイヤのように、該領域全体にわたってタイヤ幅方向外側に凹となる。
発明例タイヤ1は、図1に示すベルト構造を有し、リムガード高さH1は32.0mmである。タイヤ径方向領域mおよびMにおけるタイヤ外表面には、タイヤ幅方向外側に向かって凸となる部分を有する。
発明例タイヤ2〜4、従来例タイヤおよび比較例タイヤ1、2は、H1の値を変化させたこと以外は、発明例タイヤ1と同様である。
発明例タイヤ5は、領域mの外表面形状を変化させたこと以外は、発明例タイヤ1と同様である。
発明例タイヤ6〜8および比較例タイヤ3、4は、H1の値ならびに領域mの外表面形状共に発明例タイヤ1と異なる。
各供試タイヤを車体に組み付け、所定空気圧を充填した後、ドライ状態のサーキットコースで走行させた。高速直進走行および旋回走行を繰り返し行い、走行後のリムとタイヤとの相対的な円周方向のずれ量(リム滑り量)を測定した。
なお、リム滑り量は、車体に組み付けたタイヤごとの、ここでは4本のタイヤそれぞれの滑り量を計測し、それらの平均滑り量について、従来例タイヤにおける平均滑り量を100として指数化し、リム滑り性を評価した。数値が小さいほど、リム滑りが少ないことを示している。
ドライ状態のサーキットコースにおいて、プロのテストドライバーによる実車官能試験を行い、その評価点数を10点満点として表1に示した(実車フィーリング)。数値が大きいほど、操縦安定性能に優れていることを示している。
2 カーカス
3 傾斜ベルト
3a、3b 傾斜ベルト層
4 周方向ベルト
5 リムガード
5e、5e′リムガードのタイヤ幅方向最外端
6 トレッド
7 リム
7e、7e′リムフランジの先端部
8 ビードトウ
10 空気入りタイヤ
11、11′ビード部
13 リムライン
m ビードコアの中心から離反点にわたるタイヤ径方向領域
M ビードコアの中心からリムガードのタイヤ幅方向最外端にわたるタイヤ径方向領域
H1、H2 リムガード高さ(リムガードのタイヤ幅方向最外端からビードトウまでのタイヤ径方向距離)
TH タイヤ高さ(ビードトウからタイヤ赤道におけるトレッド表面までのタイヤ径方向距離)
R 離反点
Claims (5)
- 1対のビード部に設けられたビードコア間にトロイダル状に跨る、少なくとも1層のカーカスを有する空気入りタイヤであって、
前記タイヤを適用リムに装着し所定空気圧を充填し所定荷重を負荷した状態における、前記タイヤの前記リムからの離反点より、タイヤ径方向外側のタイヤ外表面に、タイヤ幅方向に突出するリムガードを具え、
前記タイヤを適用リムに装着し所定空気圧を充填し荷重を負荷しない、基準状態における、該リムガードのタイヤ幅方向最外端から前記タイヤのビードトウまでのタイヤ径方向距離H 1 の、タイヤ高さTHに対する比H 1 /THが、35%以上60%以下であり、かつ該タイヤ径方向距離H 1 が、32mm以上37mm以下であること、を特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記基準状態におけるタイヤ幅方向断面視で、前記ビードコアの中心から前記離反点にわたるタイヤ径方向領域mにおける、タイヤ外表面の形状が、曲率中心が前記タイヤ外表面の外側に位置する1又は複数の円弧のみを滑らかに連ねてなること、を特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記タイヤ径方向領域mにおける、タイヤ外表面の形状が、曲率中心が前記タイヤ外表面の外側に位置する単一の円弧からなること、を特徴とする請求項2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記基準状態におけるタイヤ幅方向断面視で、前記ビードコアの中心から前記リムガードのタイヤ幅方向最外端にわたるタイヤ径方向領域Mにおける、タイヤ外表面の形状が、曲率中心が前記タイヤ外表面の外側に位置する1又は複数の円弧のみを滑らかに連ねてなること、を特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記タイヤ径方向領域Mにおける、タイヤ外表面の形状が、曲率中心が前記タイヤ外表面の外側に位置する単一の円弧からなること、を特徴とする請求項4に記載の空気入りタイヤ。
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