以下、送電機器(送電装置)及び非接触電力伝送装置(非接触電力伝送システム)の一実施形態について説明する。
図1に示すように、非接触電力伝送装置10は、非接触で電力伝送が可能な送電機器11(地上側機器、1次側機器)及び受電機器21(車両側機器、2次側機器)を備えている。送電機器11は地上に設けられており、受電機器21は車両に搭載されている。
送電機器11は、予め定められた周波数の交流電力を出力可能な交流電源12を備えている。交流電源12は、例えば電圧源であり、インフラとしての系統電源Eから外部電力として系統電力が入力された場合に、当該系統電力を交流電力に変換し、その変換された交流電力を出力可能に構成されている。
詳細には、交流電源12は、系統電源Eから入力される系統電力を直流電力に変換する変換部としてのAC/DC変換器12aと、AC/DC変換器12aから出力された直流電力が入力されるものであって当該直流電力を交流電力に変換し、その変換された交流電力を出力するDC/AC変換器12b(DC/AC変換部)とを備えている。
AC/DC変換器12aは、例えばスイッチング素子12aaを有し、当該スイッチング素子12aaを周期的にON/OFFさせることにより直流電力を出力する。ちなみに、AC/DC変換器12aは、スイッチング素子12aaのON/OFFのデューティ比を可変制御することにより、出力する直流電力の電力値を可変(変更可能)に構成されている。
DC/AC変換器12bは、例えばD級増幅器である。詳細には、DC/AC変換器12bは、互いに直列に接続された第1スイッチング素子Q1及び第2スイッチング素子Q2を有している。各スイッチング素子Q1,Q2は例えばn型のパワーMOSFETである。第1スイッチング素子Q1のドレインは、AC/DC変換器12aの第1出力端(+端)に接続されており、第2スイッチング素子Q2のソースは、AC/DC変換器12aの第2出力端(−端)に接続されている。第1スイッチング素子Q1のソースと、第2スイッチング素子Q2のドレインとが接続されており、その接続線はDC/AC変換器12bの第1出力端に接続されている。また、第2スイッチング素子Q2のソースは、DC/AC変換器12bの第2出力端に接続されている。
かかる構成によれば、各スイッチング素子Q1,Q2が交互にON/OFFすることにより、DC/AC変換器12bから、各スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング周波数に対応した交流電力が出力される。また、例えば、第1スイッチング素子Q1がOFF状態であり、第2スイッチング素子Q2がON状態である場合、又は、各スイッチング素子Q1,Q2の双方がOFF状態である場合には、DC/AC変換器12bから交流電力は出力されない、つまり交流電力の出力が停止している。
図1に示すように、DC/AC変換器12bは、各スイッチング素子Q1,Q2を個別に動作させるドライバ回路12baを備えている。ドライバ回路12baは、各スイッチング素子Q1,Q2の動作モードを、交流電力が出力される出力モード、又は、交流電力の出力が停止している停止モードに設定するものである。
ちなみに、第1スイッチング素子Q1がON状態であり、且つ、第2スイッチング素子Q2がOFF状態である場合を第1状態とし、各スイッチング素子Q1,Q2の双方がOFF状態である場合を第2状態とし、第1スイッチング素子Q1がOFF状態であり、且つ、第2スイッチング素子Q2がON状態である場合を第3状態とする。ドライバ回路12baは、動作モードが出力モードである場合には、第1状態→第2状態→第3状態→第2状態→第1状態→…、という順序で各スイッチング素子Q1,Q2を動作させる。すなわち、ドライバ回路12baは、一旦各スイッチング素子Q1,Q2をOFF状態にしてから、各スイッチング素子Q1,Q2のON/OFFを切り替える。換言すれば、各スイッチング素子Q1,Q2のON/OFFの切り替わりの間には、各スイッチング素子Q1,Q2の双方がOFF状態となるデッドタイムが存在する。
なお、各スイッチング素子Q1,Q2は、ボディダイオード(寄生ダイオード)D1,D2を有している。各スイッチング素子Q1,Q2の動作モードが出力モードである場合に生じ得る逆起電力に係る電流は、各ボディダイオードD1,D2を伝送する。
交流電源12から出力された交流電力は、非接触で受電機器21に伝送され、受電機器21に設けられた負荷22に入力される。具体的には、非接触電力伝送装置10は、送電機器11及び受電機器21間の電力伝送を行うものとして、送電機器11に設けられた送電器13と、受電機器21に設けられた受電器23とを備えている。
送電器13及び受電器23は同一の構成となっており、両者は磁場共鳴可能に構成されている。詳細には、送電器13は、互いに並列に接続された1次側コイル13a及び1次側コンデンサ13bからなる共振回路を有している。受電器23は、互いに並列に接続された2次側コイル23a及び2次側コンデンサ23bからなる共振回路を有している。両共振回路の共振周波数は同一に設定されている。
第1スイッチング素子Q1のソースと第2スイッチング素子Q2のドレインとの接続線は、DC/AC変換器12bの第1出力端及び後述するインピーダンス変換器30を介して、送電器13の第1入力端(1次側コイル13aの一端)に接続されている。第2スイッチング素子Q2のソースは、DC/AC変換器12bの第2出力端及びインピーダンス変換器30を介して、送電器13の第2入力端(1次側コイル13aの他端)に接続されている。DC/AC変換器12bから出力される交流電力は、インピーダンス変換器30を介して送電器13に入力される。
かかる構成によれば、送電器13及び受電器23の相対位置が磁場共鳴可能な位置にある状況において、交流電力が送電器13(1次側コイル13a)に入力された場合、送電器13と受電器23(2次側コイル23a)とが磁場共鳴する。これにより、受電器23は送電器13からのエネルギの一部を受け取る。すなわち、受電器23は、送電器13から交流電力を受電する。
ちなみに、交流電源12から出力される交流電力の周波数(各スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング周波数)は、送電器13及び受電器23間にて電力伝送が可能となるよう、送電器13及び受電器23の共振周波数に対応させて設定されている。例えば、交流電力の周波数は、送電器13及び受電器23の共振周波数と同一に設定されている。なお、これに限られず、電力伝送が可能な範囲内で、交流電力の周波数と、送電器13及び受電器23の共振周波数とが、ずれていてもよい。
受電器23によって受電された交流電力が入力される負荷22は、例えば整流器(AC/DC変換部)と、整流器によって整流された直流電力が入力される車両用バッテリとを含む。受電器23によって受電された交流電力は、車両用バッテリの充電に用いられる。
送電機器11は、AC/DC変換器12aやDC/AC変換器12b(詳細にはドライバ回路12ba)等の制御を行う送電側コントローラ14を備えている。
詳細には、送電側コントローラ14は、交流電力の出力を開始させる場合には、AC/DC変換器12aに対して、直流電力の電力値に関する情報である電力値情報が含まれた出力指示信号を送信する。AC/DC変換器12aは、上記出力指示信号に基づいて、スイッチング素子12aaを、上記電力値情報に対応したデューティ比で周期的にON/OFFさせる。これにより、上記電力値情報の電力値の直流電力がAC/DC変換器12aから出力される。
一方、送電側コントローラ14は、交流電力の出力を停止させる場合にはAC/DC変換器12aに停止指示信号を送信する。AC/DC変換器12aは、上記停止指示信号に基づいて、スイッチング素子12aaを、AC/DC変換器12aから直流電力が出力されない状態(例えばOFF状態)にする。
また、送電側コントローラ14は、ドライバ回路12baに対して、パルス信号と、動作モードを指示する指示信号とを送信する。ドライバ回路12baは、指示信号にて指示された動作モードが出力モードである場合には、入力されるパルス信号の周波数で各スイッチング素子Q1,Q2を交互にON/OFFさせる。一方、ドライバ回路12baは、指示信号にて指示された動作モードが停止モードである場合には、例えば、第1スイッチング素子Q1をOFF状態にし、且つ、第2スイッチング素子Q2をON状態にしたり、各スイッチング素子Q1,Q2の双方をOFF状態にしたりする。
ちなみに、DC/AC変換器12bの出力電圧は、パルス信号の周波数と同一周波数のパルス波形である。この場合、出力電圧のデューティ比は、パルス信号のデューティ比と同一である。
受電機器21は、送電側コントローラ14と無線通信可能に構成された受電側コントローラ24を備えている。非接触電力伝送装置10は、各コントローラ14,24間にて情報のやり取りを通じて、電力伝送の開始又は終了などを行う。
図1に示すように、送電機器11は、交流電源12(詳細にはDC/AC変換器12b)と送電器13との間に設けられ、インピーダンス変換を行うインピーダンス変換器30を備えている。インピーダンス変換器30は、例えばトランスやLC回路等で構成されている。
ここで、インピーダンス変換器30の入力端(DC/AC変換器12bの出力端)から負荷22までを1つの電源負荷とする。この場合、インピーダンス変換器30は、交流電源12(DC/AC変換器12b)から予め定められた特定電力値Ptの交流電力が出力されている場合における電源負荷に対する力率λが「1」に近づく(好ましくは一致する)ように送電器13(1次側コイル13a)の入力インピーダンスをインピーダンス変換する。換言すれば、インピーダンス変換器30のインピーダンスは、交流電源12から特定電力値Ptの交流電力が出力されている場合に力率λが「1」に近づく(好ましくは一致する)ように設定されている。すなわち、本実施形態のインピーダンス変換器30は、力率改善回路である。なお、力率λとは、DC/AC変換器12b(交流電源12)の出力電圧と出力電流との位相差に対応しており、力率λが「1」に近づくとは、上記位相差が「0」に近づくことと等価である。本明細書において位相差は絶対値として扱う。
ちなみに、送電側コントローラ14は、特定電力値Ptの電力値情報が含まれた出力指示信号をAC/DC変換器12aに送信し、且つ、出力モードの指示信号及びパルス信号をドライバ回路12baに送信することにより、交流電源12から特定電力値Ptの交流電力を出力させる。
ここで、力率λが低く(悪く)なると、DC/AC変換器12b(詳細には各スイッチング素子Q1,Q2)の電力損失(負担)が大きくなる。このため、仮にDC/AC変換器12bから出力される電力値である出力電力値Poutが正常値であったとしても、力率λが過度に低い場合には、各スイッチング素子Q1,Q2の電力損失が過度に大きくなり、DC/AC変換器12bに異常が発生し得る。
さらに、本発明者らは、DC/AC変換器12bの出力電圧と出力電流との位相状態に応じて、各スイッチング素子Q1,Q2の電力損失が異なることを見出した。詳細には、本発明者は、位相状態が出力電圧に対して出力電流が遅れている位相遅れの場合の方が、出力電圧に対して出力電流が進んでいる位相進みの場合と比較して、各スイッチング素子Q1,Q2の電力損失が小さいことを見出した。
上記知見の一考察について図2を用いて詳細に説明する。図2(a)〜図2(c)は、位相状態が位相遅れである状況下における各スイッチング素子Q1,Q2の切り替わり時の電流を説明するための回路図であり、図2(d)〜図2(f)は、位相状態が位相進みである状況下における各スイッチング素子Q1,Q2の切り替わり時の電流を説明するための回路図である。
まず、位相遅れである場合について説明する。位相状態が位相遅れである場合、図2(a)に示すように、各スイッチング素子Q1,Q2が第1状態から第2状態に切り替わる直前のタイミングにおいては、第1スイッチング素子Q1を介して、AC/DC変換器12aからインピーダンス変換器30を通って送電器13(1次側コイル13a)に向けて正の電流I1が流れている。
その後、図2(b)に示すように、各スイッチング素子Q1,Q2が第2状態となったタイミングでは、1次側コイル13aの逆起電力によって、第2ボディダイオードD2を介して、正の電流I1が流れる。そして、図2(c)に示すように、各スイッチング素子Q1,Q2が第2状態から第3状態に切り替わると、第2スイッチング素子Q2を介して、正の電流I1が流れる。この場合、第2ボディダイオードD2には逆方向の電圧は印加されない。
次に、位相進みである場合について説明する。位相状態が位相進みである場合、図2(d)に示すように、各スイッチング素子Q1,Q2が第1状態から第2状態に切り替わる直前のタイミングにおいては、第1スイッチング素子Q1を介して、送電器13からインピーダンス変換器30を通ってAC/DC変換器12aに向けて負の電流I2が流れている。
その後、図2(e)に示すように、各スイッチング素子Q1,Q2が第2状態となったタイミングでは、1次側コイル13aの逆起電力によって、第1ボディダイオードD1を介して、負の電流I2が流れる。そして、図2(f)に示すように、各スイッチング素子Q1,Q2が第3状態となったタイミングでは、第2スイッチング素子Q2を介して、負の電流I2が流れる。
ここで、各スイッチング素子Q1,Q2が第2状態から第3状態に切り替わることによって、第1ボディダイオードD1に印加される電圧が、順方向から逆方向に切り替わる。これにより、第1ボディダイオードD1のリカバリ特性によって、第1ボディダイオードD1及び第2スイッチング素子Q2を介して、リカバリ時間だけ貫通電流Ixが流れる。当該貫通電流Ixが発生する分だけ、位相状態が位相遅れである場合と比較して、位相状態が位相進みである場合のDC/AC変換器12bの電力損失が大きくなり易い。
これに対して、本実施形態の送電機器11(非接触電力伝送装置10)は、上記位相状態や力率λに応じて変動するDC/AC変換器12bの電力損失に対応可能に構成されている。この点について以下に詳細に説明する。
図1に示すように、送電機器11は、DC/AC変換器12bの出力電力値Poutを測定する測定部としての出力電力値測定部31を備えている。出力電力値測定部31は、DC/AC変換器12bの出力電圧値Vout及び出力電流値Ioutを測定し、その測定結果からDC/AC変換器12bの出力電力値Poutを算出する。なお、出力電圧値Vout及び出力電流値Ioutは、例えば実効値である。
送電機器11は、DC/AC変換器12bの出力電圧と出力電流との位相差に関する物理量としての力率λを検出する力率検出部32を備えている。力率検出部32は、DC/AC変換器12bの入力電流値Iinと、DC/AC変換器12bの出力電流値Ioutとを測定し、その2つの値から力率λを検出する。詳細には、力率λは、出力電流値Ioutに対する入力電流値Iinの商(Iin/Iout)である。なお、力率検出部32が物理量検出部に対応する。
図1に示すように、送電機器11は、DC/AC変換器12bの出力電圧と出力電流との位相状態を検出する位相状態検出部33を備えている。位相状態検出部33は、送電側コントローラ14からドライバ回路12baに向かうパルス信号と、DC/AC変換器12bの出力電流とに基づいて、位相状態が位相進みか位相遅れかを検出する。
位相状態検出部33による検出態様について図3を用いて詳細に説明する。なお、図3(b)において、太線の波形はDC/AC変換器12bの出力電圧を示し、細線の波形はDC/AC変換器12bの出力電流を示す。
図3(a)及び図3(b)に示すように、パルス信号と、DC/AC変換器12bの出力電圧とは同期しており、詳細には、パルス信号の立ち上がりタイミングと、DC/AC変換器12bの出力電圧の立ち上がりタイミングとは、ほぼ同時となっている。
かかる構成において、位相状態検出部33は、パルス信号の立ち上がりタイミングにおける出力電流の瞬時値の正負を検出し、当該正負によって位相状態を検出(特定)する。詳細には、位相状態検出部33は、パルス信号の立ち上がりタイミングにおける出力電流の瞬時値が正である(「0」よりも大きい)場合には、位相状態が位相進みであると判定する一方、パルス信号の立ち上がりタイミングにおける出力電流の瞬時値が負である(「0」よりも小さい)場合には、位相状態が位相遅れであると判定する。
図1に示すように、出力電力値測定部31は、測定された出力電力値Poutに関する情報を送電側コントローラ14に送信する。同様に、力率検出部32は、検出された力率λに関する情報を送電側コントローラ14に送信し、位相状態検出部33は、位相状態に関する情報を送電側コントローラ14に送信する。
送電側コントローラ14は、交流電源12から交流電力が出力されている場合には、これら出力電力値Pout、力率λ及び位相状態に基づいて、当該交流電力の出力の停止制御を行う停止制御処理を定期的に実行している。当該停止制御処理について以下に詳細に説明する。
図4に示すように、まずステップS101では、送電側コントローラ14は、位相状態検出部33の検出結果、力率検出部32の検出結果及び出力電力値測定部31の測定結果から、現状の位相状態、力率λ及び出力電力値Poutを把握する。
その後、ステップS102では、送電側コントローラ14は、力率λが予め定められた閾値力率λthよりも低いか否かを判定する。
送電側コントローラ14は、力率λが閾値力率λth以上である場合には、ステップS102を否定判定して、ステップS107に進む一方、力率λが閾値力率λthよりも低い場合には、ステップS103にて、位相状態が位相進みか否かを判定する。
送電側コントローラ14は、位相状態が位相進みである場合、ステップS104に進み、出力電力値Poutが予め定められた進み閾値P1よりも大きいか否かを判定する。
ここで、DC/AC変換器12bが正常に動作可能な出力電力値Poutの上限値又は当該上限値に対して所定のマージン分だけ小さい値を許容電力値とする。図5(a)に示すように、許容電力値は、力率λに依存するパラメータであり、詳細には力率λが高くなるに従って大きくなる。この場合、進み閾値P1は、例えば位相状態が位相進みである状況下における許容電力値の最小値である。
図4に示すように、送電側コントローラ14は、出力電力値Poutが進み閾値P1よりも大きい場合には、ステップS105にて、交流電力の出力を停止させる出力停止処理を実行して、本停止制御処理を終了する。詳細には、送電側コントローラ14は、AC/DC変換器12aに対して停止指示信号を送信するとともに、DC/AC変換器12bのドライバ回路12baに対して停止モードの指示信号を送信する。
一方、送電側コントローラ14は、出力電力値Poutが進み閾値P1以下である場合(ステップS104:NO)には、ステップS107に進む。
また、送電側コントローラ14は、位相状態が位相遅れである場合、ステップS103を否定判定して、ステップS106に進む。ステップS106では、送電側コントローラ14は、出力電力値Poutが予め定められた遅れ閾値P2よりも大きいか否かを判定する。
ここで、既に説明した通り、位相状態に応じて、DC/AC変換器12bの電力損失が変動する。このため、許容電力値は、位相状態に応じて変動する。詳細には、図5(a)及び図5(b)に示すように、位相遅れである場合の許容電力値は、位相進みである場合の許容電力値よりも大きくなっている。
この許容電力値の違いに対応させて、遅れ閾値P2は、進み閾値P1よりも大きく設定されている。なお、遅れ閾値P2は、例えば位相状態が位相遅れである状況下における許容電力値の最小値である。
図4に示すように、送電側コントローラ14は、出力電力値Poutが遅れ閾値P2よりも大きい場合には、ステップS105にて出力停止処理を実行して、本停止制御処理を終了する一方、出力電力値Poutが遅れ閾値P2以下である場合には、ステップS107に進む。
ステップS107では、送電側コントローラ14は、電力値を変更することなく交流電力の出力を継続する出力継続処理を実行する。そして、送電側コントローラ14は、本停止制御処理を終了する。
すなわち、送電側コントローラ14は、位相状態が位相進みである状況において、力率λが閾値力率λthよりも低く、且つ、出力電力値Poutが進み閾値P1よりも大きい場合(ステップS102:YES、且つ、ステップS104:YES)に、交流電力の出力を停止させる。一方、送電側コントローラ14は、位相状態が位相進みである状況において、力率λが閾値力率λth以上、又は、出力電力値Poutが進み閾値P1以下である場合(ステップS102:NO、又は、ステップS104:NO)には、電力値を変更することなく交流電力の出力を継続する。
また、送電側コントローラ14は、位相状態が位相遅れである状況において、力率λが閾値力率λthよりも低く、且つ、出力電力値Poutが遅れ閾値P2よりも大きい場合(ステップS102:YES、且つ、ステップS106:YES)に、交流電力の出力を停止させる。一方、送電側コントローラ14は、位相状態が位相遅れである状況において、力率λが閾値力率λth以上、又は、出力電力値Poutが遅れ閾値P2以下である場合(ステップS102:NO、又は、ステップS106:NO)には、電力値を変更することなく交流電力の出力を継続する。
次に本実施形態の作用について図5を用いて説明する。
図5(a)の1点鎖線で示すように、位相状態が位相進みである状況下では、力率λが閾値力率λthよりも低く、且つ、出力電力値Poutが進み閾値P1よりも大きい領域が、交流電力の出力が停止する第1停止領域A1である。
また、図5(b)の1点鎖線に示すように、位相状態が位相遅れである状況下では、力率λが閾値力率λthよりも低く、且つ、出力電力値Poutが遅れ閾値P2よりも大きい領域が、交流電力の出力が停止する第2停止領域A2である。この場合、第2停止領域A2は、第1停止領域A1よりも狭くなっているため、位相状態が位相遅れである場合には、交流電力の出力が継続され易い。
以上詳述した本実施形態によれば以下の効果を奏する。
(1)直流電力を交流電力に変換するDC/AC変換器12bを有する交流電源12と、交流電力が入力される送電器13(1次側コイル13a)とを備えている送電機器11は、DC/AC変換器12bの出力電力値Poutと位相状態とに基づいて、交流電力の出力を停止させる送電側コントローラ14を備えている。詳細には、送電機器11は、出力電力値Poutを測定する出力電力値測定部31と、DC/AC変換器12bの出力電圧と出力電流との位相状態が、位相遅れか位相進みかを検出する位相状態検出部33とを備えている。送電側コントローラ14は、位相状態が位相進みである状況下では出力電力値Poutが進み閾値P1よりも大きい場合に交流電力の出力を停止させる一方、位相状態が位相遅れである状況下では出力電力値Poutが遅れ閾値P2よりも大きい場合に交流電力の出力を停止させる。この場合、遅れ閾値P2は進み閾値P1よりも大きく設定されている。これにより、不要な交流電力の出力停止を回避できる。
詳述すると、仮に、出力電力値Poutが進み閾値P1よりも大きい場合には、位相状態に関わらず、交流電力の出力が停止される構成を想定する。この場合、位相状態が位相遅れである状況下において出力電力値Poutが進み閾値P1よりも大きく且つ遅れ閾値P2よりも小さい場合には、DC/AC変換器12bが正常に動作する状況にも関わらず、交流電力の出力が停止してしまう不都合が生じ得る。これに対して、本実施形態によれば、上記不都合を回避できる。なお、DC/AC変換器12bが正常に動作する状況とは、DC/AC変換器12bの電力損失が正常値である(比較的小さい)状況とも言える。
特に、出力電力値Poutは、1次側コイル13aと2次側コイル23aとの相対位置によって変動し得る。このため、上記のように不要な交流電力の出力停止が行われると、1次側コイル13aと2次側コイル23aとの相対位置の変動の許容範囲が狭くなってしまう場合がある。これに対して、本実施形態では、上記のような不要な交流電力の出力停止を回避することを通じて、上記相対位置の変動の許容範囲を広げることができる。よって、1次側コイル13aと2次側コイル23aとの位置ずれに好適に対応できる。
(2)送電機器11は、DC/AC変換器12bの出力電圧と出力電流との位相差に関する物理量としての力率λを検出する力率検出部32を備えている。送電側コントローラ14は、力率検出部32によって検出された力率λと出力電力値Poutとに基づいて、交流電力の出力の停止制御を行う。詳細には、送電側コントローラ14は、力率λが閾値力率λthよりも低い場合であって、出力電力値Poutが閾値(位相進みである場合には進み閾値P1、位相遅れである場合には遅れ閾値P2)よりも大きい場合に、交流電力の出力を停止させる。これにより、出力電力値Poutが正常値であっても力率λが低いことに起因して発生し得るDC/AC変換器12bの過度な電力損失を抑制できる。
(3)送電側コントローラ14は、力率λが閾値力率λthよりも低い場合であっても、出力電力値Poutが上記閾値以下である場合には、電力値を変更することなく交流電力の出力を継続する。力率λが閾値力率λthよりも低い場合であっても、出力電力値Poutが上記閾値以下である場合には、DC/AC変換器12bの電力損失は比較的小さい。この点、本構成によれば、上記のような場合には、電力値を変更することなく交流電力の出力が継続される。これにより、DC/AC変換器12bの電力損失が比較的小さい状況であるにも関わらず、交流電力の出力停止が行われることを回避できる。
また、本構成によれば、出力電力値Poutの過渡現象に好適に対応できる。当該効果について図6を用いて詳述する。図6は、送電側コントローラ14によって特定電力値Ptの交流電力の出力が指示されてからの出力電力値Poutと力率λとの変化の様子を模式的に示すグラフである。なお、図6においては、各タイミングt1〜t5における力率λ及び出力電力値Poutをプロットして示す。
図6に示すように、送電側コントローラ14からAC/DC変換器12a及びDC/AC変換器12bに対して特定電力値Ptの交流電力の出力指示が行われると、時間経過に伴って、出力電力値Poutが徐々に大きくなる。
ここで、既に説明した通り、送電機器11のインピーダンス変換器30は、特定電力値Ptの交流電力が出力される場合に、力率λが「1」に近づくように構成されている。このため、力率λは、出力電力値Poutが小さい段階、すなわち送電側コントローラ14からの出力指示タイミングから十分な時間が経過していない段階では低く、出力電力値Poutが大きくなるに従って高くなる。よって、仮に力率λが閾値力率λthよりも低い場合には、出力電力値Poutに関わらず交流電力の出力が停止される構成とすると、出力電力値Poutが特定電力値Ptに到達する前に、交流電力の出力が停止してしまうという不都合が生じる。
これに対して、本実施形態では、力率λが閾値力率λthよりも低い場合であっても、出力電力値Poutが閾値以下であれば、電力値が変更されることなく交流電力の出力が継続される。これにより、上記不都合を回避できる。
(4)送電側コントローラ14は、力率λが閾値力率λth以上である場合には、出力電力値Poutに関わらず、交流電力の出力を継続する。これにより、電源負荷に対して効率的に電力を入力させることができる。
(5)遅れ閾値P2及び進み閾値P1は、力率λに関わらず一定値である。これにより、力率λに応じて遅れ閾値P2及び進み閾値P1を可変させる構成と比較して、制御の容易化を図ることができる。
(6)DC/AC変換器12bが正常に動作可能な上限値又はそれよりも所定のマージン分だけ小さい出力電力値Poutを許容電力値とする。当該許容電力値は力率λに依存するパラメータである。この場合、遅れ閾値P2は、位相状態が位相遅れである状況下において力率λに応じて変動する許容電力値の最小値に設定されており、進み閾値P1は、位相状態が位相進みである状況下において力率λに応じて変動する許容電力値の最小値に設定されている。これにより、力率λがどのように変動した場合であっても出力電力値Poutが許容電力値よりも大きくなることを抑制できる。
(7)DC/AC変換器12bの出力電圧は、パルス波形であり、位相状態検出部33は、DC/AC変換器12bの出力電圧の立ち上がりタイミングにおけるDC/AC変換器12bの出力電流の瞬時値の正負に基づいて、位相状態が位相進みか位相遅れかを検出する。当該DC/AC変換器12bの出力電圧の立ち上がりタイミングは比較的容易に把握できるタイミングである。また、上記構成によれば、瞬時値の絶対値を測定することなく、位相状態を検出できる。これにより、位相状態の検出を比較的容易に実現できるため、位相状態検出部33の構成の簡素化を図ることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 位相状態検出部33は、DC/AC変換器12bの出力電圧(パルス信号)の立ち下がりタイミングにおける出力電流の瞬時値の正負で位相状態を検出してもよい。
○ 図7に示すように、位相状態検出部33は、出力電圧(パルス信号)の立ち上がりタイミングから出力電流の瞬時値が「0」となるまでの期間Txに基づいて、位相状態を検出してもよい。
詳細には、図7(a)及び図7(b)に示すように、位相状態検出部33は、上記期間Txがパルス信号の周期Tpの1/4よりも長ければ、位相状態が位相進みであると判定する。一方、図7(a)及び図7(c)に示すように、位相状態検出部33は、上記期間Txがパルス信号の周期Tpの1/4よりも短ければ、位相状態が位相遅れであると判定するとよい。この場合、出力電圧の立ち上がりタイミングと瞬時値の検出タイミングとがずれているため、瞬時値の検出時において出力電圧の立ち上がりタイミングに生じ得るノイズの影響を受けにくい。よって、ノイズに起因する誤検出を抑制できる。
なお、本別例においては、上記期間Txから位相差を検出してもよい。この場合、力率検出部32を省略できる。つまり、位相状態検出部33は、位相状態だけでなく、位相差を検出するものであってもよい。但し、位相差に関する物理量としての力率λを容易に検出できる点に着目すれば、入力電流値Iin及び出力電流値Ioutから力率λを検出する方が好ましい。
○ また、位相状態検出部33は、DC/AC変換器12bの出力電圧の立ち上がりタイミング又は立ち下がりタイミングから、出力電流の瞬時値が極大値又は極小値となるタイミングまでの期間に基づいて、位相状態を検出してもよい。要は、位相状態検出部33は、位相状態を検出することができれば、その具体的な構成は任意である。
○ 実施形態では、遅れ閾値P2及び進み閾値P1は、位相状態に応じて可変となっている一方、位相差(力率λ)に関わらず一定値となっていたが、これに限られない。例えば、送電側コントローラ14は、遅れ閾値P2及び進み閾値P1を、力率λに応じて可変させてもよい。この場合の停止制御処理について以下に説明する。
図8に示すように、まずステップS201にて、送電側コントローラ14は、現状の位相状態、力率λ及び出力電力値Poutを把握する。なお、ステップS101にて把握された現状の力率λを、便宜上、検出力率λ0とする。
そして、送電側コントローラ14は、ステップS202にて、位相状態が位相進みか否かを判定する。位相状態が位相進みである場合には、送電側コントローラ14は、ステップS203にて、出力電力値Poutが、検出力率λ0に対応した進み閾値P1(λ)である進み閾値P1(λ0)よりも大きいか否かを判定する。ここで、本別例の進み閾値P1(λ)は、力率λに依存する関数として設定されており、詳細には位相状態が位相進みである場合における許容電力値と一致するように設定されている。そして、進み閾値P1(λ0)は、進み閾値P1(λ)に対して検出力率λ0を代入した場合の値である。
送電側コントローラ14は、出力電力値Poutが進み閾値P1(λ0)よりも大きい場合には、ステップS204にて出力停止処理を実行して、本停止制御処理を終了する一方、出力電力値Poutが進み閾値P1(λ0)以下である場合には、ステップS206にて出力継続処理を実行して、本停止制御処理を終了する。
また、位相状態が位相遅れである場合には、送電側コントローラ14は、ステップS202を否定判定し、ステップS205に進む。ステップS205では、送電側コントローラ14は、出力電力値Poutが、検出力率λ0に対応した遅れ閾値P2(λ)である遅れ閾値P2(λ0)よりも大きいか否かを判定する。ここで、本別例の遅れ閾値P2(λ)は、力率λに依存する関数として設定されており、詳細には位相状態が位相遅れである場合における許容電力値と一致するように設定されている。
かかる構成によれば、図9(a)及び図9(b)に示すように、本別例の第1停止領域A11及び第2停止領域A12は、許容電力値のグラフに沿った形状となる。これにより、より好適に不要な交流電力の出力停止を回避できる。
ちなみに、本別例においては、図9(a)及び図9(b)に示すように、力率λが同一である場合において、遅れ閾値P2(λ)は、進み閾値P1(λ)よりも大きく設定されている。
○ 力率λに代えて、進み閾値P1及び遅れ閾値P2を、位相の関数としてもよい。詳細には、例えば位相進みの場合を正とし、位相遅れの場合を負とするものであって、絶対値が位相差である位相に対応させて、進み閾値と遅れ閾値とを設定してもよい。
○ なお、上記構成に限られず、例えば、送電側コントローラ14は、位相状態が位相進みである状況下において、力率λが閾値力率λthよりも低い場合には、出力電力値Poutと第1進み閾値とを比較する一方、力率λが閾値力率λth以上である場合には、出力電力値Poutと、第1進み閾値よりも大きい第2進み閾値とを比較する構成でもよい。詳細には、送電側コントローラ14は、位相状態が位相進みである状況下において、(A)力率λが閾値力率λthよりも低く、且つ、出力電力値Poutが第1進み閾値よりも大きい場合、又は、(B)力率λが閾値力率λth以上であり、且つ、出力電力値Poutが第2進み閾値よりも大きい場合には、交流電力の出力を停止する。一方、送電側コントローラ14は、(A),(B)以外の場合には、電力値を変更することなく交流電力の出力を継続する。なお、第2進み閾値は、例えば力率λが閾値力率λthである場合の許容電力値に設定されているとよい。
同様に、送電側コントローラ14は、位相状態が位相遅れである状況下において、力率λが閾値力率λthよりも低い場合には、出力電力値Poutと第1遅れ閾値とを比較する一方、力率λが閾値力率λth以上である場合には、出力電力値Poutと、第1遅れ閾値よりも大きい第2遅れ閾値とを比較する構成でもよい。この場合、第2遅れ閾値は、例えば力率λが閾値力率λthである場合の許容電力値に設定されているとよい。なお、かかる別例においては、第1遅れ閾値は第1進み閾値よりも大きく設定されており、第2遅れ閾値は第2進み閾値よりも大きく設定されているとよい。
○ 実施形態では、ステップS102の処理では、力率λを用いたが、これに限られない。例えば、力率λに代えて、入力電流値Iinと出力電流値Ioutとの電流差を用いてもよい。この場合、送電機器11は、力率検出部32に代えて(又は加えて)、上記電流差を検出する電流差検出部を備えているとよい。そして、送電側コントローラ14は、ステップS102では、電流差検出部によって検出された上記電流差が予め定められた閾値電流差よりも大きいか否かを判定するとよい。
また、送電機器11は、力率検出部32に代えて、DC/AC変換器12bの出力電圧と出力電流との位相差自体を検出する位相差検出部を備えていてもよい。この場合、ステップS102では、送電側コントローラ14は、上記位相差が予め定められた閾値位相差(例えば閾値力率λthに対応する位相差)よりも大きいか否かを判定するとよい。
要は、ステップS102の判定処理では、DC/AC変換器12bの出力電圧と出力電流との位相差に関する物理量、詳細には相対的に上記位相差に対して変動し易く(変動量が大きく)、且つ、その他のパラメータ(例えば出力電力値Pout等)には変動しにくい(変動量が小さい)パラメータを用いるとよい。
○ 力率検出部32を省略し、ステップS102の処理を省略してもよい。要は、送電側コントローラ14は、出力電力値Pout及び位相状態のみに基づいて、交流電力の出力の停止制御を行ってもよい。
○ 位相状態検出部33は、パルス信号に代えて、出力電圧の立ち上がりタイミングを検出するものであってもよい。
○ 実施形態では、ステップS104及びステップS106の処理では、出力電力値Poutを用いたが、これに限られない。例えば、送電機器11は、出力電力値測定部31に代えて、DC/AC変換器12bの入力電力値を測定する入力電力値測定部を備えていてもよい。入力電力値測定部は、DC/AC変換器12bの入力電圧値及び入力電流値Iinを測定し、これらの値から入力電力値を算出し、その算出結果を送電側コントローラ14に送信する。送電側コントローラ14は、ステップS104等では、入力電力値が進み閾値P1等よりも大きいか否かを判定する。この場合であっても、上述した(1)等の効果を奏する。
また、ステップS104等の処理では、出力電力値Poutに代えて、入力電流値Iinを用いてもよいし、出力電流値Ioutを用いてもよい。この場合、DC/AC変換器12bの入力電圧値又は出力電圧値Voutの測定、及び、入力電力値又は出力電力値Poutの算出を省略することができるため、構成の簡素化を図ることができる。
要は、送電機器11は、DC/AC変換器12bの入力電力値、入力電流値Iin、出力電力値Pout又は出力電流値Ioutを測定する測定部を備え、送電側コントローラ14は、その測定部によって測定された測定値と閾値(位相進みである場合には進み閾値、位相遅れである場合には遅れ閾値)との比較を行えばよい。この場合、測定対象に応じて、比較対象の進み閾値及び遅れ閾値を変更するとよい。また、DC/AC変換器12bが正常に動作可能な許容値(例えば許容電力値や許容電流値)は、測定対象に合わせて適宜変更される。
○ 送電機器11は、DC/AC変換器12bの入力電力値、入力電流値Iin、出力電力値Pout及び出力電流値Ioutのうち少なくとも2つを測定する測定部を備えていてもよい。この場合、送電側コントローラ14は、上記少なくとも2つの測定結果に基づいて、交流電力の出力を停止するか否かを判定してもよい。
○ 送電側コントローラ14は、ステップS105の出力停止処理に代えて、交流電力の電力値を小さくする処理を実行してもよい。詳細には、例えば送電側コントローラ14は、現状の電力値よりも小さい電力値が設定された電力値情報を含む出力指示信号をAC/DC変換器12aに送信するとよい。この場合であっても、DC/AC変換器12bの電力損失の軽減を図ることができる。
○ 出力電力値測定部31、力率検出部32及び位相状態検出部33は、送電側コントローラ14に搭載されていてもよい。
○ 外部電力として所定の電力値の直流電力が入力されてもよい。この場合、AC/DC変換器12aを省略してもよいし、AC/DC変換器12aに代えてDC/DCコンバータを設けてもよい。この場合、DC/DCコンバータが変換部に対応する。
○ インピーダンス変換器30を複数設けてもよい。また、インピーダンス変換器30を省略してもよい。
○ DC/AC変換器12bの具体的な構成は任意であり、例えばスイッチング素子を1つ有するE級増幅器であってもよいし、4つのスイッチング素子を有するブリッジ回路であってもよい。
○ AC/DC変換器12aの具体的な構成は任意であり、直流電力の電力値を可変にできない構成であってもよい。また、AC/DC変換器12aは、例えば昇圧型又は昇降圧型であってもよい。
○ 各スイッチング素子Q1,Q2はパワー型のMOSFETであったが、これに限られず、IGBT等他のスイッチング素子を用いてもよい。また、ボディダイオードD1,D2に代えて、スイッチング素子Q1,Q2に並列に接続される2つのダイオードを別途設けてもよい。要は、スイッチング素子Q1,Q2に対して並列に接続されるダイオードは、スイッチング素子Q1,Q2に内蔵されたものであってもよいし、別途取り付けられるものであってもよい。
○ ドライバ回路12baの出力モードにおいてデッドタイム(第2状態)を省略してもよい。
○ 交流電力の出力を停止させる具体的な構成は任意であり、例えばAC/DC変換器12aの前段又は後段の電力伝送経路上にコンタクタを設け、送電側コントローラ14が当該コンタクタをON状態からOFF状態に切り替える構成でもよい。
○ 停止制御処理の実行主体は、送電側コントローラ14に限られず任意であり、例えば受電側コントローラ24が実行してもよい。この場合、送電側コントローラ14は、上記停止制御処理に必要な情報を適宜受電側コントローラ24に送信するとよい。また、受電側コントローラ24は、必要に応じて送電側コントローラ14に対して各種指示を行い、送電側コントローラ14は、上記各種指示に従って、DC/AC変換器12bやAC/DC変換器12a等の制御を行うとよい。
○ 交流電源12は、電圧源に限られず、電力源や電流源であってもよい。
○ 送電器13の共振周波数と受電器23の共振周波数とは同一に設定されていたが、これに限られず、電力伝送が可能な範囲内で両者を異ならせてもよい。
○ 送電器13と受電器23とは同一の構成であったが、これに限られず、異なる構成であってもよい。
○ 各コンデンサ13b,23bを省略してもよい。この場合、各コイル13a,23aの寄生容量を用いて磁場共鳴させる。
○ 受電機器21の搭載対象は任意であり、例えばロボットや電動車いす等に搭載されてもよい。
○ 実施形態では、1次側コイル13aと1次側コンデンサ13bとは並列に接続されていたが、これに限られず、両者は直列に接続されていてもよい。同様に、2次側コイル23aと2次側コンデンサ23bとは、直列に接続されていてもよい。
○ 実施形態では、非接触の電力伝送を実現させるために磁場共鳴を用いたが、これに限られず、電磁誘導を用いてもよい。
○ 実施形態では、受電器23にて受電された交流電力は車両用バッテリの充電に用いられたが、これに限られず、別の用途に用いてもよい。
○ 送電器13は、1次側コイル13a及び1次側コンデンサ13bからなる共振回路と、その共振回路と電磁誘導で結合する1次側結合コイルとを有してもよい。同様に、受電器23は、2次側コイル23a及び2次側コンデンサ23bからなる共振回路と、その共振回路と電磁誘導で結合する2次側結合コイルとを有してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる好適な一例について以下に記載する。
(イ)前記制御部は、前記位相状態が位相進みである場合には、前記測定値が前記進み閾値以下、又は、前記力率が前記閾値力率以上である場合に、電力値を変更することなく前記交流電源からの前記交流電力の出力を継続し、前記位相状態が位相遅れである場合には、前記測定値が前記遅れ閾値以下、又は、前記力率が前記閾値力率以上である場合に、電力値を変更することなく前記交流電源からの前記交流電力の出力を継続する請求項4に記載の送電機器。
(ロ)前記交流電源と前記1次側コイルとの間に設けられ、インピーダンス変換を行うインピーダンス変換部を備え、前記インピーダンス変換部は、前記交流電源から予め定められた特定電力値の交流電力が出力されている場合に、前記位相差が0に近づくように前記1次側コイルの入力インピーダンスをインピーダンス変換する請求項2〜6及び(イ)のうちいずれか一項に記載の送電機器。
(ハ)前記交流電源は、外部電力を直流電力に変換するものであって、当該直流電力の電力値を変更可能な変換部を備えている請求項1〜6及び(イ),(ロ)のうちいずれか一項に記載の送電機器。
(ニ)前記DC/AC変換部は、互いに直列に接続された第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子に対して並列に接続された第1ダイオードと、前記第2スイッチング素子に対して並列に接続された第2ダイオードと、を備え、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子との接続線が前記1次側コイルに接続されている請求項1〜6及び(イ)〜(ハ)のうちいずれか一項に記載の送電機器。なお、本構成における各ダイオードは、各スイッチング素子とは別に設けられているものであってもよいし、例えば各スイッチング素子がパワー型のMOSFETである場合にはボディダイオードであってもよい。