JP6171351B2 - エンジンの燃料噴射時期制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は内燃機関(以下「エンジン」という。)の燃料噴射時期制御装置及び燃料噴射時期制御方法に関する。
噴孔が燃焼室内に臨みピストンを指向して燃料を噴射する燃料噴射装置を備えるエンジンでは、シリンダの壁面に付着、残留する燃料量を低減するため燃料噴射時期を進角すると、ピストンの冠面に付着、残留する燃料量が増大する傾向となる。ピストンの冠面に付着、残留する燃料量が増大すると、排気微粒子(Particulate Matter、以下、「PM」という。)の排出粒子数が増大する。一方、PMの排出粒子数の増大を抑制するため燃料噴射時期を遅角させると、シリンダの壁面に付着、残留する燃料量が増大し、未燃ガスが増大する傾向となる。このため、ピストンの冠面温度に応じピストンの冠面温度が相対的に高いときにピストンの冠面温度が相対的に低いときより燃料噴射時期を進角側に制御するものがある(特許文献1参照)。
特開2011−256815号公報
ところで、ピストンの冠面温度は燃料噴射時期の影響を受けて温度上昇したり温度低下してしまうので、上記特許文献1の技術のようにピストンの冠面温度に応じて燃料噴射時期を制御するのでは、PMの排出粒子数の増大を抑制するにしても限界がある。
そこで本発明は、簡易な方法で確実にPMの発生を抑制し得る装置を提供することを目的とする。
本発明のエンジンの燃料噴射時期制御装置は、噴孔が燃焼室内に臨みピストンを指向して燃料を噴射する燃料噴射装置を備える。さらに本発明のエンジンの燃料噴射時期制御装置は、前記ピストンの冠面温度が所定の温度以上のときに、前記燃料噴射装置より噴射される燃料噴霧が前記ピストンの冠面に衝突しないときの第1の燃料噴射時期と、前記第1の燃料噴射時期より進角側の第2の燃料噴射時期であってかつ前記燃料噴霧が前記ピストンの冠面に衝突するときの第2の燃料噴射時期との間で燃料噴射時期を周期的に変化させる燃料噴射時期変更手段を備える。さらに、前記第2の燃料噴射時期は、前記第2の燃料噴射時期での燃料噴射を継続した場合に前記ピストンの冠面温度が前記所定の温度未満へ低下する燃料噴射時期である。前記所定の温度以上の温度域で、ピストンの冠面温度が上昇するほど第2の燃料噴射時期と第1の燃料噴射時期との間の間隔を大きくするか、ピストンの冠面温度が上昇するほど第1の燃料噴射時期を維持する時間に対する第2の燃料噴射時期を維持する時間の割合を大きくする。さらに、前記所定の温度以上の温度域で、ピストンの冠面温度が上昇するほど第1の燃料噴射時期と第2の燃料噴射時期との間の間隔を大きくすると共に、第1の燃料噴射時期を維持する時間に対する第2の燃料噴射時期を維持する時間の割合を大きくしてもよい。
本発明では、ピストンの冠面温度が所定の温度以上のときに、燃料噴霧をピストンの冠面に衝突させる場合の第2の燃料噴射時期で燃料噴射を行うことで、ピストンの冠面に付着した燃料噴霧の気化が高温のピストン冠面によって促進されることから、燃料噴霧を前記ピストンの冠面に衝突させない場合の第1の燃料噴射時期だけで燃料噴射を行う場合より、PMを低減できる。その一方で、ピストンの冠面に衝突する燃料噴霧はピストンの冠面より気化潜熱を奪うので、第2の燃料噴射時期での燃料噴射を継続したのでは、ピストンの冠面温度が所定の温度未満へと低下してしまうのであるが、本発明では、第2の燃料噴射時期と第1の燃料噴射時期との間で燃料噴射時期を周期的に変化させるので、燃料噴霧をピストンの冠面に衝突させ続けることがないようにすることができ、これによって、第2の燃料噴射時期での燃料噴射を継続する場合よりもピストンの冠面温度の所定の温度未満への低下を抑制できる。このように、本発明によれば、第2の燃料噴射時期、第1の燃料噴射時期を定めるに際してピストンの冠面温度を直接用いることなく、PMの発生を従来装置よりも簡易にかつ確実に低減できる。
本発明の実施形態のエンジンの燃料噴射制御装置の概略構成図である。 燃料噴射時期とピストン冠面温度に対する単位体積当たりPM排出数の特性図である。 第1〜第3の3つの噴射時期とピストン位置との関係を示す特性図である。 第1実施形態の燃料噴射パターンの特性図である。 第2実施形態の燃料噴射パターンの特性図である。 第3実施形態の燃料噴射パターンの特性図である。 第4実施形態の燃料噴射パターンの特性図である。 第5実施形態の燃料噴射パターンの特性図である。 第6実施形態の燃料噴射パターンの特性図である。 第7実施形態の燃料噴射パターンの特性図である。 第1〜第3の実施形態の燃料噴射時期の設定を説明するためのフローチャートである。 第4〜第7の実施形態の燃料噴射時期の設定を説明するためのフローチャートである。 第8実施形態の第1噴射時期を維持する時間に対する第3噴射時期を維持する時間の割合の特性図である。 第9実施形態の第3噴射時期と第1噴射時期との間の間隔の特性図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は本発明の実施形態のエンジン1の燃料噴射制御装置の概略構成図である。図1において、空気は吸気管2の一部である吸気コクレタ3、吸気マニフォルド4を経て燃焼室5に供給される。空気の量はスロットル弁12とスロットルモータ13とで構成される電制スロットル装置11により調整される。燃料は燃焼室5に直接臨んで設けた各気筒の燃料インジェクタ14より各気筒の燃焼室5に直接、噴射供給される。この噴射された燃料は、吸気ポートから流入する空気と混合しつつ気化し、燃焼室5内で混合気を形成する。
シリンダ5内に供給された混合気に対して各気筒の点火プラグ15で火花点火を行うことで、混合気が燃焼し、その燃焼圧力がピストン6を押し下げる仕事をしてクランクシャフトを回転駆動する。燃焼の終わったガスは排気として排気管8に出される。排気に含まれる有害三成分は三元触媒9によって浄化した後に大気に放出する。三元触媒9は、理論空燃比での運転時に排気中の有害三成分(CO、HC、NOx)を無害の成分(CO2、H2O及びN2)にする触媒である。例えばPtとRhの混合物またはPtとPdとRhの混合物をアルミナに担持させたもので構成する。
エンジンコントローラ21には、アクセルセンサ22からのアクセル開度、クランク角センサ23からのクランク角、エアフローメータ24からの吸入空気量、水温センサ25からの冷却水温Twの信号が入力されている。エンジンコントローラ21では、電制スロットル装置11を介してエンジン1に供給する空気の量を、各気筒の燃料インジェクタ14を介してエンジン1に供給する燃料供給量を制御する。また、各気筒の点火プラグ15を介して点火時期を制御する。上記の三元触媒7は、排気の空燃比が理論空燃比付近で振れることによって排気中の有害三成分を効率よく浄化できるため、理論空燃比の混合気が得られるように各気筒の燃料インジェクタ14に与える燃料噴射パルス幅を定めている。
さて、図2は燃料噴射時期(燃料噴射の開始時期)とピストン6の冠面温度がPMの発生に及ぼす影響を本発明者が初めて調べたものである。図2の横軸は燃料噴射時期IT[degATDC]、図2の縦軸は排気の単位体積に含まれるPMの排出数(以下、「単位体積当たりPM排出数」という。)[/cc]である。
横軸の単位である[degATDC]は、吸気上死点を基点として遅角側に採ったクランク角である。例えば、燃料噴射時期ITが0[degATDC]のときピストン6は吸気上死点にある。燃料噴射時期ITが正の値で大きくなるほどピストン6が下降し、燃料噴射時期ITが180[degATDC]のときピストン6は吸気下死点にくる。ここでは、左端の吸気上死点(IT=0)から吸気下死点(IT=180)までの間に6つの燃料噴射時期を採っている。
特に、吸気上死点側の3つの燃料噴射時期IT1、IT2、IT3を図3を参照して説明すると、図3は3つの燃料噴射時期IT1、IT2、IT3のとき、吸気上死点より下降するピストン6が上下方向のどの位置にくるのかを示している。
燃料インジェクタ14は、その噴孔14aが燃焼室5内に臨みピストン6を指向して、つまりその噴孔14aより噴射供給される燃料噴霧が円筒状のシリンダ7の斜め下方に向かうように、シリンダ7のほぼ上端位置に設けられている。一方、ピストン6はシリンダ7の軸に沿ってシリンダ7の壁面を上下方向に摺動する。このため、噴孔14aを開いて燃料噴射を開始する時期によって、噴孔14aより噴射供給される燃料噴霧がピストン6の冠面6aに衝突する位置が変化する。
まず、ピストン6が十分下降していれば、噴孔14aより噴射供給される燃料噴霧がピストン6の冠面6aに衝突しない。第1噴射時期IT1は、噴孔14aより噴射開始される燃料噴霧がピストン6の冠面6aに衝突しないときの燃料噴射時期のうち最も進角側にある燃料噴射時期である。第1噴射時期IT1よりも遅角側の燃料噴射時期でも噴孔14aより噴射される燃料噴霧はピストン6の冠面6aに衝突しないのであるが、第1噴射時期IT1は最も進角側の燃料噴射時期に相当する。
次に、ピストン6が吸気上死点より下降していくしばらくの間であれば、噴孔14aより噴射供給される燃料噴霧がピストン6の冠面6aに衝突する。第2噴射時期IT2は噴孔14aより噴射開始される燃料噴霧がピストン6の冠面6aの周縁のうち噴孔14aより最も遠い周縁(図3で右端)に衝突するときの燃料噴射時期である。
燃料噴射時期を第2噴射時期IT2より進角するほど噴孔14aより噴射開始される燃料噴霧がピストン6の冠面上で衝突する位置が変化し、ピストン6の冠面中央へと移ってゆく。第3噴射時期IT3は噴孔14aより噴射開始される燃料噴霧がピストン6の冠面6aのほぼ中央で衝突するときの燃料噴射時期である。ここで、ピストン6の冠面6a中央は冠面6aのうち最も温度が高くなり得る部位である。これは、ピストンが受ける燃焼熱を冷却水によって冷却しているシリンダへと伝わらせることで、熱を逃す構成であるので、ピストンの外周にあるシリンダに近い冠面部位ほど良く冷やされ、シリンダから最も遠い冠面中央が最も冷やされにくくなるためである。
図2に戻り単位体積当たりPM排出数は、ピストン6の冠面温度によって相違している。ピストン6の冠面温度が採り得る温度範囲は予め定まっており、所定の幅を有するのであるが、ここでは簡単のため、ピストン6の冠面温度が低い場合、中程度の場合、高い場合の3つに大きく分けて記載している。
図2に示したように、第1噴射時期IT1を含めて第1噴射時期IT1より遅角側の燃料噴射時期では、3ついずれのピストン6の冠面温度の場合も、単位体積当たりPM排出数はほぼ同じである。しかしながら、第1噴射時期IT1より進角側の燃料噴射時期では、ピストン6の冠面温度に依存して、単位体積当たりPM排出数が変化している。すなわち、ピストン6の冠面温度が低い場合や中程度の場合に、噴孔より噴射される燃料噴霧がピストンの冠面と衝突するときの燃料噴射時期であるIT2、IT3へと進角させたのでは、燃料噴射時期がIT1のときより単位体積当たりPM排出数が増加している。
一方、ピストン6の冠面温度が高い場合には、燃料噴射時期を噴孔より噴射される燃料噴霧がピストンの冠面と衝突するときの燃料噴射時期であるIT2、IT3へと進角させたとき、燃料噴射時期がIT1のときより単位体積当たりPM排出数が減少している。これは、ピストン6の冠面6aに衝突し付着した燃料が、高温の冠面6aより気化潜熱を得て容易に蒸発し良好に燃焼する、つまりPMの発生が抑制されるためであると考えられる。
図2の特性より本発明者は次のようにすれば単位体積当たりPM排出数を低減できることに思い至った。すなわち、図2より、燃料噴射時期をIT1より進角したとき、単位体積当たりPM排出数が増えることになる温度域と、単位体積当たりPM排出数が減ることになる温度域とを分ける境界の温度(所定の温度)があるはずである。この2つの温度域の境界の温度を「閾値」として定めると、閾値未満の温度域の場合(図2では冠面温度が低い場合や中程度の場合)には、燃料噴射時期をIT1より進角させても、単位体積当たりPM排出数を減らすことはできない。一方、ピストン6の冠面温度が閾値以上の温度域の場合(図2では冠面温度が高い場合)には、燃料噴射時期をIT1より進角させることで、単位体積に当たりPM排出数を減らすことができる。
そこで、IT1より進角させることで単位体積当たりPM排出数が却って増加することになる場合と、IT1より進角させることで単位体積当たりPM排出数が減少することになる場合とを分ける境界の温度である閾値を予め求めておく。そして、ピストン6の冠面温度を推定し、推定したピストン6の冠面温度と閾値を比較し、閾値未満の温度域の場合には、単位体積当たりPM排出数が却って増えてしまわないように燃料噴射時期を第1噴射時期IT1(第1の燃料噴射時期)に設定する。一方、閾値以上の温度域の場合には、燃料噴射時期をIT1よりも進角側の燃料噴射時期(IT3、IT2)(第2の燃料噴射時期)に設定し、これによって燃料噴射時期が第1噴射時期IT1にあるときより単位体積当たりPM排出数を低減する。
ただし、燃料噴射時期をIT3、IT2(第2の燃料噴射時期)に設定し燃料噴霧をピストン6の冠面6aに衝突させるときには、冠面6aに衝突する燃料噴霧が気化潜熱として冠面6aから熱を奪うので、冠面に付着した燃料の蒸発が一時は促進される。しかしながら、燃料噴霧の冠面6aへの衝突を継続したのではピストン6の冠面温度が閾値未満にまで低下することが考えられる。せっかく閾値以上の温度域にあったのに、ピストン6の冠面温度を低下させて閾値未満にしてしまったのでは、単位体積当たりPM排出数が再び増大することとなり、そもそも燃料噴射時期を進角させた意味がなくなってしまう。
そこで、燃料噴霧の冠面6aへの衝突の継続によりピストン6の冠面温度が閾値未満へと下がり過ぎないように、一定時間が経過したら燃料噴射時期を燃料噴霧がピストン6の冠面と衝突するときの燃料噴射時期(IT3、IT2)より第1噴射時期IT1に戻す。一定時間を周期として、つまり燃料噴霧がピストン6の冠面と衝突するときの燃料噴射時期と第1噴射時期IT1との間で燃料噴射時期を周期的に変化させることで、燃料噴霧のピストン冠面への衝突の継続による閾値未満への温度低下を抑制する。ここで、「周期的」とは、決まった変化を繰り返し行うことと定義する。
例えば、ピストンの冠面温度が閾値以上である定常の運転条件においてある時間A内に10回の燃料噴射時期が訪れるとする。このとき、ある時間Aを一定時間Bで分割したとき5であったとする。すると、5つの各分割時間には2つずつの燃料噴射時期が含まれることとなる。そこで、5つの分割時間のうち、例えば1番目、3番目、5番目の分割時間に含まれる2つの燃料噴射時期を燃料噴霧がピストン6の冠面と衝突するときの燃料噴射時期とし、2番目、4番目の分割時間に含まれる2つの燃料噴射時期を第1噴射時期IT1とする。このように、本実施形態では、異なる2つの燃料噴射時期の間で燃料噴射時期を一定時間毎に変化させつつ燃料噴射を行うのである。ここで、異なる2つの燃料噴射時期の一方は燃料噴霧がピストン6の冠面と衝突するときの燃料噴射時期、他方は第1噴射時期IT1である。実施形態は、周期を定める期間が時間である場合であるが、これに限られるものでなく、周期を定める期間をクランク角区間で定めるようにしてもかまわない。
次に、燃料噴射時期を、異なる2つの燃料噴射時期の一方である噴孔14aより噴射される燃料噴霧がピストン6の冠面と衝突するときの燃料噴射時期と、他方である第1噴射時期ITとの間で周期的に変化させる方法を図4〜図10を用いて説明する。
上記図2、図3では、燃料噴霧をピストン6の冠面に衝突させる燃料噴射時期として、第3噴射時期IT3と第2噴射時期IT2を挙げた。図4〜図6は燃料噴霧をピストン6の冠面に衝突させる燃料噴射時期として、第3噴射時期IT3(ピストン6の冠面中央に燃料噴霧が衝突する)のみを採用するものである。すなわち、図4〜図6は、燃料噴射時期を第3噴射時期IT3と第1噴射時期IT1との間で周期的に変化させる第1〜第3の実施形態の燃料噴射パターンである。
このうち、図4に示す第1実施形態の燃料噴射パターンは、第3噴射時期IT3を維持する時間T3と、第1噴射時期IT1を維持する時間T1を等しくするものである。図5に示す第2実施形態の燃料噴射パターンは、第3噴射時期IT3を維持する時間T3のほうを第1噴射時期IT1を維持する時間T1より長くするものである。図6の第3実施形態の燃料噴射パターンは、図5に示す第2実施形態と反対に、第3噴射時期IT3を維持する時間T3のほうを第1噴射時期IT1を維持する時間T1より短くするものである。
次に、図7〜図10は第3噴射時期IT3だけでなく第2噴射時期IT2(ピストン6の冠面周縁のうち噴孔14aより最も遠い周縁に衝突する)をも採用するものである。すなわち、図7〜図10は、燃料噴射時期を2つの噴射時期IT2、IT3と第1噴射時期IT1との間で周期的に変化させる第4〜第7の実施形態の燃料噴射パターンである。
このうち、図7に示す第4実施形態の燃料噴射パターンは、第2噴射時期IT2を維持する時間T2と、第3噴射時期IT3を維持する時間T3と、第1噴射時期IT1を維持する時間T1を全て等しくするものである。図8に示す第5実施形態の燃料噴射パターンは、第3噴射時期IT3を維持する時間T3と第1噴射時期IT1を維持する時間T1とが等しく、これら時間T3、T1より第2噴射時期IT2を維持する時間T2を長くするものである。図9に示す第6実施形態の燃料噴射パターンは、第2噴射時期IT2を維持する時間T2と第1噴射時期IT1を維持する時間T1とが等しく、これら時間T2、T1より第3噴射時期IT3を維持する時間T3を長くするものである。図10に示す第7実施形態の燃料噴射パターンは、第2噴射時期IT2を維持する時間T2と第3噴射時期IT3を維持する時間T3とが等しく、これら時間T2、T3より第1噴射時期IT1を維持する時間T1を長くするものである。なお、ここでは、第2噴射時期IT2のほうが第3噴射時期IT3よりも先にくるようにしているが、第3噴射時期IT3のほうを第2噴射時期IT2よりも先にくるようにすることも考え得る。
図4〜図10に示した燃料噴射パターンを得るための制御を図11、図12のフローチャートに基づいて説明する。ここで、図11のフローチャートは図4〜図6に示した第1〜第3の実施形態の燃料噴射時期ITを設定するためのもの、図12のフローチャートは図7〜図10に示した第4〜第7の実施形態の燃料噴射時期ITを設定するためのものである。図11、図12の各フローはエンジンコントローラ21がエンジン運転中に一定周期毎(例えば10ms毎)に実行する。ここでは、エンジンコントローラ21が実行する周期をΔtとする。
まず、図11のフローを先に説明する。ステップ1では、エアフローメータ24により検出される吸入空気量Qa、クランク角センサ23からの信号に基づいて算出されるエンジン回転速度Ne、水温センサ25により検出される冷却水温Twを読み込む。
ステップ2では吸入空気量Qa、回転速度Ne、冷却水温Twに基づきピストン6の冠面温度Tp[℃]を算出(推定)する。ただし、ここでのピストン6の冠面温度Tpは、燃料噴霧をピストン6の冠面6aに衝突させた場合の燃料の気化潜熱によるピストン6の冷却等を考慮せずに算出するものとする。従って、あまり正確な温度ではない。つまり、吸入空気量Qa、回転速度Ne、冷却水温Twで定まる運転条件のときに、ピストン6の冠面温度がどうなるか与えるのがTpであり、Tpは大まかなピストン6の冠面温度を表すこととなる。大まかな冠面温度でよしとする理由は、本実施形態では、冠面温度は閾値以上の温度域にあるか否かを判定するために主に用いるだけであるので、正確な冠面温度までは要求されないためである。
ピストン6の冠面温度Tpは、基本的には運転条件(Qa、Ne)が同じであれば冷却水温Twが高いほど高くなる。また、高負荷(Qa大)かつ高回転速度(Ne大)での運転の継続時間が長いほどピストン6の冠面温度Tpが高くなる。ピストン6の冠面温度の算出(推定)方法はこれに限られず、エンジン1の油温や冷却水温からピストン6の冠面温度を算出(推定)してもかまわない。
ステップ3では吸入空気量Qaと回転速度Neから所定のマップを検索することにより基本燃料噴射時期IT0[degATDC]を算出する。基本燃料噴射時期IT0は、上記図2、図3で示した第1噴射時期IT1を与えるものである。つまり、基本燃料噴射時期IT0は、噴孔14aより噴射される燃料噴霧がピストン6の冠面6aに衝突しないときの燃料噴射時期のうち最も進角側にある燃料噴射時期になっている。ここで、基本燃料噴射時期IT0の単位は[degATDC]であるため、IT0がゼロのときピストン6は吸気上死点位置にあり、IT0の値が正の値で大きいほど吸気行程における遅角側(ピストン6の位置が低い)となる。
ステップ4では、ステップ2で得たピストン6の冠面温度Tpと閾値Tpth[℃]を比較する。閾値Tpthは、噴孔14aより噴射される燃料噴霧をピストン6の冠面に衝突させたほうが単位体積当たりPM排出数が減少する(つまりPMの発生が抑制される)と判断できるピストン6の冠面温度で、予め設定しておく。ピストン6の冠面温度Tpが閾値Tpth未満であるときには、燃料噴射時期を基本燃料噴射時期IT0より進角し噴孔14aより噴射される燃料噴霧をピストン6の冠面に衝突させると却ってPMの発生が多くなると判断する。このときにはステップ4よりステップ5に進み、基本燃料噴射時期IT0をそのまま燃料噴射時期IT[degATDC]とする。
ステップ4でピストン6の冠面温度Tpが閾値Tpth以上であるときには燃料噴射時期を基本燃料噴射時期IT0より進角し噴孔14aより噴射される燃料噴霧をピストン6の冠面に衝突させることで、PMの発生が抑制されると判断する。このときには、燃料噴射時期をIT0より進角させるためステップ6に進み、そのときのピストン6の冠面温度Tpから燃料噴射時期の進角補正量hIT1[deg]を算出する。燃料噴射時期の進角補正量hIT1はピストン6の冠面温度Tpが高いほど大きくなる値である。ただし、前述したようにピストンの冠面温度Tpはおおまかな温度でしかないので、ピストン6の冠面温度Tpに拘わらず、燃料噴射時期の進角補正量hIT1を固定値としてもよい。
ステップ7ではタイマの値Timer3と閾値T3を比較する。閾値T3は図4〜図6で示した第3噴射時期IT3を維持する時間T3を与えるものである。ここでは、図4〜図6で示した第3噴射時期IT3を維持する時間T3をそのまま閾値T3としている。閾値T3は一定値で予め設定しておく。
ここでのタイマは、後述する(1)式に示すように、基本燃料噴射時期IT0を進角補正量hIT1で補正した燃料噴射時期を継続する時間を計測するためのもので、このタイマの値がTimer3である。閾値がT3であるため、タイマの値にも「3」を付している。
タイマの値Timer3が閾値T3未満であるときにはステップ8に進み、基本燃料噴射時期IT0から進角補正量hIT1を差し引いた値を燃料噴射時期ITとして、つまり次式により燃料噴射時期ITを算出する。
IT=IT0−hIT1 …(1)
燃料噴射時期ITの単位は[degATDC]であるので、(1)式によりhIT1を差し引くことは燃料噴射時期を進角側に補正することを意味する。以下、基本燃料噴射時期IT0を進角補正量hIT1で補正した燃料噴射時期を「補正燃料噴射時期」という。この補正燃料噴射時期(=IT0−hIT1)は図4〜図6で示した第3噴射時期IT3を与えるものである。補正燃料噴射時期は、噴孔14aより噴射開始される燃料噴霧がピストン6の冠面6aのほぼ中央で衝突するときの燃料噴射時期になっている。
ステップ9では次式によりタイマの値Timer3を増加させる。
Timer3=Timer3z+Δt …(2)
ただし、Timer3z:Timer3の前回値、
Δt:本ルーチンの実行時間間隔、
タイマの値Timer3が閾値T3未満である間、ステップ8で設定される補正燃料噴射時期(=IT0−hIT1)を維持する。ステップ9の操作の繰り返しによりやがて、ステップ7でタイマの値Timer3が閾値T3以上となったときにはステップ10に進み、タイマの値Timer1と閾値T1を比較する。閾値T1は図4〜図6で示した第1噴射時期IT1を維持する時間T1を与えるものである。ここでは、図4〜図6で示した第1噴射時期IT1を維持する時間T1をそのまま閾値T1としている。閾値T1は一定値で予め設定しておく。
ここでのタイマは、基本燃料噴射時期IT0を燃料噴射時期として継続する時間を計測するためのもので、このタイマの値がTimer1である。閾値がT1であるため、タイマの値にも「1」を付している。タイマの値Timer1が閾値T1未満であるときにはステップ11に進み、基本燃料噴射時期IT0をそのまま燃料噴射時期ITとする。
ステップ12では次式によりタイマの値Timer1を増加させる。
Timer1=Timer1z+Δt …(3)
ただし、Timer1z:Timer1の前回値、
Δt:本ルーチンの実行時間間隔
タイマの値Timer1が閾値T1未満である間、ステップ11の操作を実行し、基本燃料噴射時期IT0を燃料噴射時期ITとして維持する。ステップ12の操作の繰り返しによりやがて、ステップ10でタイマの値Timer1が閾値T1以上となったときにはステップ13に進み、タイマの値Timer3=0、タイマの値Timer1=0とする。ステップ14では燃料噴射時期ITに基本燃料噴射時期IT0を入れる。
図示しないフローでは、吸気上死点からのクランク角がこのようにして設定された燃料噴射時期ITになったタイミングで燃料インジェクタ14を開いて燃料噴射を行わせる。
ステップ13で2つのタイマの値をリセットしたことより、ピストン6の冠面温度Tpが閾値Tpth以上である限り、次回にはステップ4、6、7と流れ、再びタイマの値Timer3と閾値T3を比較する。ここではタイマの値Timer3が閾値T3未満となり、ステップ8、9の操作を実行する。ステップ9での操作の継続によりやがてステップ7でタイマの値Timer3が閾値T3以上となればステップ10に流れ、タイマの値Timer1と閾値T1を比較する。ここではタイマの値Timer1が閾値T1未満となり、ステップ11、12の操作を実行する。ステップ12での操作の継続によりやがてステップ10でタイマの値Timer1が閾値T1以上となればステップ13に流れ、タイマの値Timer3=0、タイマの値Timer1=0とする。以下、上記を繰り返す。
このようにして、ピストン6の冠面温度Tpが閾値Tpth以上の場合に、補正燃料噴射時期(IT0−hIT1)と基本燃料噴射時期IT0との間で燃料噴射時期が周期的に変化する。閾値Tpth以上の温度域であっても、燃料噴射時期を補正燃料噴射時期として燃料噴霧をピストン6の冠面に衝突させ続けることによって、ピストン6の冠面温度が閾値未満へと低下したのでは、PM低減効果が得られなくなる(かえってPMの発生が多くなる)。そこで、燃料噴射時期を補正燃料噴射時期と基本燃料噴射時期IT0とに周期的に変更することで燃料噴霧をピストン6の冠面に衝突させ続けることがないようにする。これによって、ピストン6の冠面温度を閾値Tpth以上に保ちつつPM低減効果を得るようにするわけである。
ここで、図11のフローと図4〜図6を対応づけると、図11のフローにおいて2つの閾値T3、T1をT3=T1とすれば、図4に示した第1実施形態の燃料噴射パターンになる。図11のフローにおいて2つの閾値T3、T1をT3>T1とすれば、図5に示した第2実施形態の燃料噴射パターンになる。図11のフローにおいて2つの閾値T3、T1をT3<T1とすれば、図6に示した第3実施形態の燃料噴射パターンになる。
次に、図12のフローを説明すると、図12のフローは図7〜図10に示した第4〜第7の実施形態の燃料噴射時期ITを設定するためのものである。
図12のフローは図11のフローとはステップ21、22、23、24が相違する。なお、図12のフローでは、閾値T2、T3(T1を含む)は一定値である。
図11のフローと相違する部分を主に説明すると、ステップ4でピストン6の冠面温度Tpが閾値Tpth以上であるときには燃料噴射時期を基本燃料噴射時期IT0より進角し噴孔14aより噴射される燃料噴霧をピストン6の冠面に衝突させることで、PMの発生が抑制されると判断する。このときには、燃料噴射時期をIT0より進角させるためステップ21に進み、タイマの値Timer2と閾値T2を比較する。閾値T2は図7〜図10で示した第2噴射時期IT2を維持する時間T2を与えるものである。ここでは、図7〜図10で示した第2噴射時期IT2を維持する時間T2をそのまま閾値T2としている。閾値T2は一定値で予め設定しておく。
ここでのタイマは、後述する(4)式に示すように、基本燃料噴射時期IT0を進角補正量でhIT2で補正した燃料噴射時期を継続する時間を計測するためのもので、このタイマの値がTimer2である。閾値がT2であるため、タイマの値にも「2」を付している。タイマの値Timer2が閾値T2未満であるときにはステップ22に進み、基本燃料噴射時期IT0から進角補正量hIT2を差し引いた値を燃料噴射時期ITとして、つまり次式により燃料噴射時期ITを算出する。
IT=IT0−hIT2 …(4)
燃料噴射時期ITの単位は[degATDC]であるので、(4)式よりhIT2を差し引くことは燃料噴射時期を進角側に補正することを意味する。以下、基本燃料噴射時期IT0を進角補正量hIT2で補正した燃料噴射時期をも「補正燃料噴射時期」という。この補正燃料噴射時期IT(=IT0−hIT2)は図7〜図10で示した第2噴射時期IT2を与えるものである。補正燃料噴射時期(=IT0−hIT2)は、噴孔14aより噴射開始される燃料噴霧がピストン6の冠面6aの周縁のうち噴孔より最も遠い周縁に衝突するときの燃料噴射時期になっている。
ステップ23では次式によりタイマの値Timer2を増加させる。
Timer2=Timer2z+Δt …(5)
ただし、Timer2z:Timer2の前回値、
Δt:本ルーチンの実行時間間隔、
タイマの値Timer2が閾値T2未満である間、ステップ22の操作を実行し、補正燃料噴射時期(=IT0−hIT2)を燃料噴射時期ITとして維持する。ステップ23の操作の繰り返しによりやがて、ステップ21でタイマの値Timer2が閾値T2以上となったときにはステップ7以降に進む。ステップ7〜12の操作は図11のフローと同じであるので説明を省略する。
ステップ10でタイマの値Timer1が閾値T1以上となったときにはステップ24に進み、タイマの値Timer2=0、タイマの値Timer3=0、タイマの値Timer1=0とする。ステップ14では燃料噴射時期ITに基本燃料噴射時期IT0を入れる。
ステップ24で3つのタイマの値をリセットしたことより、ピストン6の冠面温度Tpが閾値Tpth以上である限り、次回にはステップ4、21と流れ、再びタイマの値Timer2と閾値T2を比較する。ここではタイマの値Timer2が閾値T2未満となり、ステップ22、23の操作を実行する。ステップ23での操作の継続によりやがてステップ21でタイマの値Timer2が閾値T2以上となればステップ7に流れ、タイマの値Timer3と閾値T3を比較する。ここではタイマの値Timer3が閾値T3未満となり、ステップ8、9の操作を実行する。ステップ9での操作の継続によりやがてタイマの値Timer3が閾値T3以上となればステップ10に流れ、タイマの値Timer1と閾値T1を比較する。ここではタイマの値Timer1が閾値T1未満となり、ステップ11、12の操作を実行する。ステップ12での操作の継続によりやがてステップ10でタイマの値Timer1が閾値T1以上となればステップ24に流れ、タイマの値Timer2=0、タイマの値Timer3=0、タイマの値Timer1=0とする。以下、上記を繰り返す。
このようにして、ピストン冠面温度Tpが閾値Tpth以上の場合に、補正燃料噴射時期(IT0−hIT2、IT0−hIT1)と基本燃料噴射時期IT0との間で燃料噴射時期が周期的に変化する。閾値Tpth以上の温度域であっても、燃料噴射時期を補正燃料噴射時期として燃料噴霧をピストン6の冠面に衝突させ続けることによって、ピストン6の冠面温度が閾値未満へと低下したのでは、PM低減効果が得られなくなる(かえってPMの発生が多くなる)。そこで、燃料噴射時期を補正燃料噴射時期と基本燃料噴射時期IT0とに周期的に変更することで燃料噴霧をピストン6の冠面に衝突させ続けることがないようにする。これによって、ピストン6の冠面温度を閾値Tpth以上に保ちつつPM低減効果を得るようにするわけである。
さらに、図12のフローでは補正燃料噴射時期をIT0−hIT2とIT0−hIT1の2つとすることで、噴孔14aより噴射される燃料噴霧をピストン6の冠面6aに衝突させる際に、燃料噴霧を衝突させる場所も冠面6a上で周期的に変化させている。このため、ピストン6の冠面6aに付着する燃料によるピストン冠面6aの冷却が冠面6a上で平均化される。
ここで、図12のフローと図7〜図10を対応づけると、図12のフローにおいて2つの進角補正量hIT2、hIT1をhIT2<hIT1とし3つの閾値T2、T3、T1をT1=T2=T3とすれば、図7に示した第4実施形態の燃料噴射パターンになる。図12のフローにおいて2つの進角補正量hIT2、hIT1をhIT2<hIT1とし3つの閾値T2、T3、T1をT2>T3=T1とすれば、図8に示した第5実施形態の燃料噴射パターンになる。図12のフローにおいて2つの進角補正量hIT2、hIT1をhIT2<hIT1とし3つの閾値T2、T3、T1をT3>T2=T1とすれば、図9に示した第6実施形態の燃料噴射パターンになる。図12のフローにおいて2つの進角補正量hIT2、hIT1をhIT2<hIT1とし3つの閾値T2、T3、T1をT1>T2=T3とすれば、図10に示した第7実施形態の燃料噴射パターンになる。
ここで、第1〜第7の実施形態の作用効果をまとめて説明する。
各実施形態では、噴孔14aが燃焼室5内に臨みピストン6を指向して燃料を噴射する燃料インジェクタ14(燃料噴射装置)と、ピストン6の冠面温度Tpが閾値Tpth(所定の温度)以上のときに、燃料インジェクタ14より噴射される燃料噴霧が第1噴射時期IT1(ピストン6の冠面6aに衝突しないときの第1の燃料噴射時期)と、第3噴射時期IT3、第2噴射時期IT2(第1の燃料噴射時期より進角側の第2の燃料噴射時期であってかつ燃料噴霧がピストンの冠面に衝突するときの第2の燃料噴射時期)との間で燃料噴射時期を周期的に変化させるエンジンコントローラ21(燃料噴射時期変更手段)とを備えている。
各実施形態では、ピストン6の冠面温度Tpが閾値Tpth以上のときに、第3噴射時期IT3、第2噴射時期IT2で燃料噴射を行うことで、ピストン6の冠面6aに付着した燃料噴霧の気化が高温のピストン冠面によって促進されることから、第1噴射時期IT1だけで燃料噴射を行う場合より、単位体積当たりPM排出数を低減できる。その一方で、ピストン6の冠面6aに衝突する燃料噴霧はピストン6の冠面6aより気化潜熱を奪うので、第3噴射時期IT3、第2噴射時期IT2での燃料噴射を継続したのでは、ピストン6の冠面6a温度が閾値Tpth未満へと低下してしまうのであるが、各実施形態では、第3噴射時期IT3、第2噴射時期IT2と第1噴射時期IT1との間で燃料噴射時期を周期的に変化させるので(図11のステップ4、7〜14、図12のステップ4、21〜23、7〜12、24、14参照)、燃料噴霧をピストン6の冠面に衝突させ続けることがないようにすることができ、これによって、第3噴射時期IT3、第2噴射時期IT2での燃料噴射を継続する場合よりもピストン6の冠面温度の閾値Tpth未満への低下を抑制できる。このように、各実施形態によれば、第3噴射時期IT3、第2噴射時期IT2、第1噴射時期IT1を定めるに際してピストン6の冠面温度を直接用いることなく、PMの発生を従来装置よりも簡易にかつ確実に低減できる。
第4〜第7の実施形態によれば、噴孔14aより噴射される燃料噴霧がピストン6の冠面6aに衝突するときに、その衝突するピストン冠面6a上の位置を周期的に変化させるので(図12のステップ4、21〜23、7〜12、24、14参照))、ピストン6の冠面6aに衝突する燃料噴霧によるピストン冠面6aの冷却を冠面6a上で平均化することができる。
さて、閾値Tpth以上の温度域では、ピストン6の冠面温度が上昇するほど基本燃料噴射時期IT0を維持する時間T1に対する補正燃料噴射時期を維持する時間(例えばT3)の割合を大きくすることが考えられる(第8実施形態)。例えば、図13に示したように閾値Tpth以上の温度域をピストン6の冠面温度Tpが比較的低いとき、ピストン6の冠面温度Tpが中程度のとき、ピストン6の冠面温度Tpが比較的高いときのさらに3つに分ける。そして、次のようにピストン6の冠面温度Tpに応じて図11のフローに示した閾値T3、T1を可変設定する。すなわち、閾値Tpth以上の温度域でピストン6の冠面温度Tpが比較的低いときには図6に示したような燃料噴射パターンとし、燃料噴霧をピストン6の冠面6aに衝突させる継続時間を相対的に短くする。閾値Tpth以上の温度域でピストン6の冠面温度Tpが中程度のときには図4に示したような燃料噴射パターンとし、燃料噴霧をピストン6の冠面6aに衝突させる継続時間を相対的に中程度とする。閾値Tpth以上の温度域でピストン6の冠面温度Tpが比較的高いときには図5に示したような燃料噴射パターンとし、燃料噴霧をピストン6の冠面6aに当てる継続時間を相対的に長くする。
このように第8実施形態によれば、ピストン6の冠面温度Tpが閾値Tpth(所定の温度)以上の温度域で、ピストン6の冠面温度Tpが上昇するほど基本燃料噴射時期IT0(第1の燃料噴射時期)を維持する時間T1に対する第3噴射時期IT3(第2の燃料噴射時期)を維持する時間T3の割合(T3/T1)を大きくするので(図13参照)、ピストン6の冠面温度が上昇するほどピストン6の冠面に燃料噴霧が衝突する時間割合が大きくなり、閾値Tpth以上の温度域でピストン6の冠面温度Tpが相違するときでもピストン6の冠面温度低下を効果的に抑制できる。
第8実施形態と同様に、閾値Tpth以上の温度域で、ピストン6の冠面温度Tpが上昇するほど補正燃料噴射時期(例えばIT3)と基本燃料噴射時期IT0との間の間隔を、図14に示したように大きくすることが考えられる(第9実施形態)。
第9実施形態によれば、ピストン6の冠面温度が閾値Tpth(所定の温度)以上の温度域で、ピストン6の冠面温度Tpが上昇するほど第3噴射時期IT3(第2の燃料噴射時期)と基本燃料噴射時期IT0(第1の燃料噴射時期)との間の間隔を大きくするので(図14参照)、閾値Tpth以上の温度域でピストン6の冠面温度が上昇するほど冠面温度が高い部分により長く燃料噴霧を衝突させることが可能となり、ピストン6の冠面温度低下を効果的に抑制できる。
上記第8、第9の実施形態は、図4〜図6に示した燃料噴射パターンを組み合わせて適用する場合であったが、同様に図7〜図10に示した燃料噴射パターンを組み合わせて適用する場合も考え得る。すなわち、図7〜図10に示した燃料噴射パターンのどの燃料噴射パターンを選ぶかは、そのエンジンのピストン冠面の温度分布特性から決めればよい。また、閾値Tpth以上の温度域でピストンの冠面温度Tpに応じて図7〜図10に示した燃料噴射パターンを切換える(選択する)ようにしてもよい。この場合にも図13、14と同様にしてどのように選択するかを定めることとなる。
ところで、多段の燃料噴射を行い得るコモンレール式燃料噴射装置をガソリンエンジンに備えるものでは、複数の燃料噴射時期の中に、噴射された燃料噴霧がピストン6の冠面6aに衝突するときの燃料噴射時期を含んでいる実施形態がある。この実施形態を第10実施形態とすると、第10実施形態では、コモンレール式燃料噴射装置から噴射される燃料噴霧がピストン6の冠面6aに衝突するときの燃料噴射時期に対して本発明の適用が可能である。すなわち、当該燃料噴射時期に置き換えて、第1噴射時期IT1と第3噴射時期IT3、第2噴射時期IT2との間で燃料噴射時期を周期的に変化させるのである。
このように第10実施形態によれば、燃料噴射装置が多段の燃料噴射を行い得るコモンレール式燃料噴射装置(燃料噴射装置)であり、多段の燃料噴射時期の中に、噴孔14aより噴射される燃料噴霧がピストン6の冠面6aに衝突するときの燃料噴射時期を含んでいる場合に、ピストン6の冠面温度Tpが閾値Tpth(所定の温度)以上のときに、前記含んでいる燃料噴射時期に代えて、第1噴射時期IT1(燃料噴霧がピストンの冠面に衝突しないときの第1の燃料噴射時期)と第3噴射時期IT3、第2噴射時期IT2(燃料噴霧がをピストンの冠面に衝突するときの第2の燃料噴射時期)との間で燃料噴射時期を周期的に変化させるので、燃料噴射装置が多段の燃料噴射を行い得るモンレール式燃料噴射装置であり、多段の燃料噴射時期の中に、噴孔14aより噴射される燃料噴霧がピストン6の冠面6aに衝突するときの燃料噴射時期を含んでいる場合においても、ピストンの冠面温度を直接用いることなく、PMの発生を従来装置よりも簡易にかつ確実に低減できる。
1 エンジン
6 ピストン
6a 冠面
14 燃料インジェクタ(燃料噴射装置)
14a 噴孔
21 エンジンコントローラ(燃料噴射時期変更手段)

Claims (5)

  1. 噴孔が燃焼室内に臨みピストンを指向して燃料を噴射する燃料噴射装置と、
    前記ピストンの冠面温度が所定の温度以上のときに、前記噴孔より噴射される燃料噴霧が前記ピストンの冠面に衝突しないときの第1の燃料噴射時期と、前記第1の燃料噴射時期より進角側の第2の燃料噴射時期であってかつ前記燃料噴霧が前記ピストンの冠面に衝突するときの第2の燃料噴射時期との間で燃料噴射時期を周期的に変化させる燃料噴射時期変更手段と
    を備え、
    前記第2の燃料噴射時期は、前記第2の燃料噴射時期での燃料噴射を継続した場合に前記ピストンの冠面温度が前記所定の温度未満へ低下する燃料噴射時期であり、
    前記所定の温度以上の温度域で、前記ピストンの冠面温度が上昇するほど前記第2の燃料噴射時期と前記第1の燃料噴射時期との間の間隔を大きくすることを特徴とするエンジンの燃料噴射時期制御装置。
  2. 噴孔が燃焼室内に臨みピストンを指向して燃料を噴射する燃料噴射装置と、
    前記ピストンの冠面温度が所定の温度以上のときに、前記噴孔より噴射される燃料噴霧が前記ピストンの冠面に衝突しないときの第1の燃料噴射時期と、前記第1の燃料噴射時期より進角側の第2の燃料噴射時期であってかつ前記燃料噴霧が前記ピストンの冠面に衝突するときの第2の燃料噴射時期との間で燃料噴射時期を周期的に変化させる燃料噴射時期変更手段と
    を備え、
    前記第2の燃料噴射時期は、前記第2の燃料噴射時期での燃料噴射を継続した場合に前記ピストンの冠面温度が前記所定の温度未満へ低下する燃料噴射時期であり、
    前記所定の温度以上の温度域で、前記ピストンの冠面温度が上昇するほど前記第1の燃料噴射時期を維持する時間に対する前記第2の燃料噴射時期を維持する時間の割合を大きくすることを特徴とするエンジンの燃料噴射時期制御装置。
  3. 噴孔が燃焼室内に臨みピストンを指向して燃料を噴射する燃料噴射装置と、
    前記ピストンの冠面温度が所定の温度以上のときに、前記噴孔より噴射される燃料噴霧が前記ピストンの冠面に衝突しないときの第1の燃料噴射時期と、前記第1の燃料噴射時期より進角側の第2の燃料噴射時期であってかつ前記燃料噴霧が前記ピストンの冠面に衝突するときの第2の燃料噴射時期との間で燃料噴射時期を周期的に変化させる燃料噴射時期変更手段と
    を備え、
    前記第2の燃料噴射時期は、前記第2の燃料噴射時期での燃料噴射を継続した場合に前記ピストンの冠面温度が前記所定の温度未満へ低下する燃料噴射時期であり、
    前記所定の温度以上の温度域で、前記ピストンの冠面温度が上昇するほど前記第1の燃料噴射時期と前記第2の燃料噴射時期との間の間隔を大きくすると共に、前記第1の燃料噴射時期を維持する時間に対する前記第2の燃料噴射時期を維持する時間の割合を大きくすることを特徴とするエンジンの燃料噴射時期制御装置。
  4. 前記噴孔より噴射される燃料噴霧が前記ピストンの冠面に衝突するときに、その衝突するピストン冠面上の位置を周期的に変化させることを特徴とする請求項1から3までのいずれか一つに記載のエンジンの燃料噴射時期制御装置。
  5. 前記ピストンの冠面温度を、エンジンの油温もしくは冷却水温から推定するかまたはエンジンの負荷及び回転速度に基づいて推定することを特徴とする請求項1からまでのいずれか一つに記載のエンジンの燃料噴射時期制御装置。
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