JP4821750B2 - ピストン往復動型内燃機関の燃料噴射時期制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、燃焼室内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁を備えたピストン往復動型内燃機関の燃料噴射時期制御装置に関する。
従来から、内燃機関の排ガス中に含まれる微粒子の量(数)を低減するための種々の試みがなされている。このような微粒子は、例えば、その直径が20nm〜150nm程度のSOF及びSoot等の微粒子であり、パティキュレートマター、パティキュレート及びナノ粒子等とも称呼されている。微粒子は、例えば、燃料と酸素との結合が不十分となる場合に多く発生すると考えられている。
一方、近年、燃焼室内にガソリン燃料を直接噴射する燃料噴射弁(以下、「筒内噴射弁」とも称呼する。)を備えた内燃機関が普及して来ている。このような機関は、筒内噴射式内燃機関とも称呼される。微粒子は、筒内噴射式内燃機関の排ガス中にも当然含まれる。特に、筒内噴射式内燃機関においては、燃料が燃焼室内に直接噴射されるから、所定の噴射時期において噴射された燃料はピストン頂面に直接衝突する。このとき、ピストン頂面の温度が低いと、ピストン頂面に多量の燃料が付着し、その結果、燃料液膜が生じる。このような付着燃料は酸素との結合が不十分となるから、多量の微粒子を発生させる要因となる。
そこで、従来技術の一つは、燃焼室内の温度が所定温度より高い場合、吸気行程における燃料噴射時期を進角することにより、点火までの「燃料の気化時間及び霧化時間」を長くする。その結果、混合気の霧化状態が改善されるので、微粒子の量が低減され得る(例えば、特許文献1を参照)。なお、燃料噴射時期を進角させることにより、ピストン頂面に直接衝突する燃料の量は多くなる。しかし、そのような燃料噴射時期の進角は、燃焼室内の温度が高い場合、即ち、ピストン頂面温度が高い場合に行われる。従って、ピストン頂面に燃料が付着したとしても、付着した燃料の霧化・気化が十分に行われると考えられている。
特開2006−77668号公報
上記従来技術は、ピストン頂面の温度が低い場合、噴射された燃料がピストン頂面に直接衝突すると、ピストン頂面上に燃料液膜が形成され且つ燃料の霧化・気化が不完全となるので、微粒子量が増大することを教示している。しかしながら、本発明者は、以下に述べるように、筒内噴射式内燃機関の吸気弁及び燃料噴射弁の配置(燃料噴射方向の設定)が特定の場合、微粒子の量が「ピストン頂面上の燃料液膜の存在」のみならず、他の多くの要因によっても増大するとの知見を得た。
即ち、本発明による燃料噴射時期制御装置が適用される内燃機関は、ピストン往復動型の内燃機関であり、吸気弁及び燃料噴射弁(筒内噴射弁)等が以下に述べるように構成されている。
吸気弁は少なくとも傘部を有する通常の吸気弁である。この吸気弁は、通常の吸気弁と同様に駆動される。より具体的に述べると、傘部は吸気ポート開口を開閉する。吸気ポート開口は、「ピストンの頂面、シリンダボアの壁面及びシリンダヘッドの下面」により画定される燃焼室と、そのシリンダヘッドに形成された吸気ポートと、を連通するように「燃焼室を画定するシリンダヘッドの下面」に形成された開口(即ち、燃焼室に臨む吸気ポートの端部)である。
この吸気弁は、傘部が吸気ポート開口の周囲に形成された弁座部に着座しているとき、即ち、傘部の移動量(吸気弁の移動量)であるリフト量が「0」となっているとき、吸気ポート開口を閉じる。更に、この吸気弁は、傘部が燃焼室内に突出するように移動させられる。リフト量は、「0」から「最大リフト量」となるまで徐々に増大し、その後、「最大リフト量」から「0」となるまで徐々に減少する。このリフト量が「0」でない期間、即ち、傘部が弁座部から離れている期間である「吸気弁開弁期間」において、傘部は吸気ポート開口を開く。
燃料噴射弁は、前記燃焼室に露呈した噴孔を有している。燃料噴射弁は、噴射指示信号に応答して開弁することにより、噴孔から燃焼室内に燃料を直接噴射する筒内噴射弁である。燃料噴射弁は、前記シリンダボアの中心軸線を含む一つの特定の平面に交差する向きであり且つ前記シリンダヘッドの下面から前記ピストンの頂面に向かう方向の成分を有する向きである燃料噴射方向に燃料を噴射するようになっている。更に、燃料噴射弁は、燃料を同噴孔から噴射し続けたと仮定した場合、その燃料噴射方向が以下の条件1及び条件2を満たすように燃焼室に対して配置(構成)されている。
(条件1)第1所定期間において、僅かな時間だけ過去の時点において噴孔から噴射され飛来してきた燃料が前記ピストンの頂面と前記シリンダボアの壁面とにより形成される角部である「燃焼室隅部」に直接衝突する。
(条件2)前記第1所定期間より後の期間であって前記リフト量が前記最大リフト量よりも小さい所定の閾値リフト量よりも大きくなる第2所定期間において、僅かな時間だけ過去の時点において噴孔から噴射され飛来してきた燃料が前記傘部の背面に直接衝突することにより同シリンダヘッドの下面側に反射される。
発明者は、吸気弁及び燃料噴射弁(筒内噴射弁)等が以上に述べたように構成されている場合について、次に述べる知見を得た。
即ち、吸気弁温度がピストン頂面温度よりも低いとき、噴孔から噴射された燃料が吸気弁の傘部の背面に直接衝突すると、その傘部の背面に多量の燃料が付着する。更に、傘部の背面にて反射され且つ低温の状態を維持した燃料が、十分に霧化・気化していないまま、燃焼室のシリンダヘッド下面近傍に滞留する(シリンダ下面近傍に極めてリッチな混合気が形成される。)。即ち、傘部の背面及びシリンダヘッド下面近傍に「過濃な燃料領域」が形成される。なお、「過濃な燃料領域」とは、「燃料が液体(ときに液膜)状態にて存在する領域」及び/又は「燃料が極めてリッチな混合気の状態にて存在する領域」を言う。この結果、その過濃な燃料領域に存在する燃料は酸素と十分に結合できないので、多量の微粒子が生成される。これに対し、吸気弁温度がピストン頂面温度よりも低いときには、ピストン頂面温度はある程度まで高い温度となっている。従って、噴孔から噴射された燃料がピストンの頂面に直接衝突しても、その燃料は十分に霧化・気化する。その結果、微粒子の量は減少する。
一方、吸気弁温度がピストン頂面温度よりも高いとき、吸気弁の傘部の背面に直接衝突した燃料は、その傘部から熱を受けて十分に霧化・気化する。その結果、生成される微粒子の量は極めて少なくなる。これに対し、吸気弁温度がピストン頂面温度よりも高いときには、ピストン頂面温度は比較的低い温度となっている。従って、噴孔から噴射された燃料がピストンの頂面に直接衝突すると、ピストンの頂面に多量の燃料が付着するか、或は、ピストン頂面近傍に極めてリッチな混合気が形成される。即ち、ピストン頂面近傍に「過濃な燃料領域」が形成される。その結果、その過濃な燃料領域に存在する燃料は酸素と十分に結合できないので、多量の微粒子が生成される。
更に、吸気弁温度及びピストン頂面温度に関わらず、燃料が前記ピストンの頂面と前記シリンダボアの壁面とにより形成される角部である「燃焼室隅部」に直接衝突すると、その燃焼室隅部の近傍に過濃な燃料領域が形成される。その結果、その過濃な燃料領域に存在する燃料は酸素との十分に結合できないので、多量の微粒子が生成される。
このような知見に基いてなされた「本発明による燃料噴射時期制御装置」は、吸気弁温度取得手段と、ピストン頂面温度取得手段と、判定手段と、燃料噴射時期制御手段と、を備える。
前記吸気弁温度取得手段は、前記吸気弁の温度である吸気弁温度を、温度センサ又は計算による推定に基いて、取得するようになっている。
前記ピストン頂面温度取得手段は、前記ピストンの頂面の温度であるピストン頂面温度を、温度センサ又は計算による推定に基いて、取得するようになっている。
前記判定手段は、前記取得された吸気弁温度が前記取得されたピストン頂面温度より高いか否かを判定するようになっている。
前記燃料噴射時期制御手段は、燃料噴射時期を、
(1)前記取得された吸気弁温度が前記取得されたピストン頂面温度より高いと判定されたときには、「前記噴孔から噴射された燃料が前記燃焼室隅部に直接衝突するようになる期間である第1噴射時期よりも後の期間」であり且つ「前記噴孔から噴射された燃料が前記傘部の背面に直接衝突するようになる期間である第2噴射時期」に設定し、
(2)前記取得された吸気弁温度が前記取得されたピストン頂面温度より低いと判定されたときには、「前記第1噴射時期よりも前の期間」であり且つ「(前記噴孔から噴射された燃料が前記シリンダボアの壁面に直接衝突することなく)前記ピストンの頂面に直接衝突するようになる期間である第3噴射時期」に設定する、
ようになっている。
前記燃料噴射時期は、前記燃料噴射弁が前記噴射指示信号に応答して開弁し前記燃料を前記噴孔から噴射している期間である。
これによれば、吸気弁温度がピストン頂面温度より高い場合、燃料は前記第2噴射時期において噴孔から噴射される。従って、その噴射された燃料は、前記燃焼室隅部に直接衝突することなく、比較的高温となっている吸気弁の傘部の背面に直接衝突する。これにより、噴射された燃料は、吸気弁の傘部から熱を受けて十分に霧化・気化する。その結果、この燃料噴射時期制御装置は、生成される微粒子の量を低減することができる。
これに対し、ピストン頂面温度が吸気弁温度よりも高い場合、燃料は前記第3噴射時期において噴孔から噴射される。従って、その噴射された燃料は、比較的高温となっているピストンの頂面に直接衝突する。このとき、噴射された燃料は、吸気弁の傘部の背面に衝突してシリンダヘッドの下面側に反射されることなく、且つ、シリンダボアの壁面及び燃焼室隅部に直接衝突することがない。この結果、噴射された燃料は、ピストンの頂面から熱を受けて十分に霧化・気化する。従って、この燃料噴射時期制御装置は、生成される微粒子の量を低減することができる。
なお、第2噴射時期は、第2噴射時期にて噴射された燃料のうちの実質的に総ての燃料(例えば、噴射された燃料の量の70%以上、より好ましくは80%以上、最も好ましくは100%の量の燃料)が前記吸気弁の傘部の背面に直接衝突するような噴射時期を含む。同様に、第3噴射時期は、第3噴射時期にて噴射された燃料のうちの実質的に総ての燃料(例えば、噴射された燃料の量の70%以上、より好ましくは80%以上、最も好ましくは100%の量の燃料)が前記ピストンの頂面に直接衝突するようになる期間を含む。
本発明による内燃機関の燃料噴射時期制御装置において、
前記吸気ポート開口は、「前記特定の平面」に沿って「そのシリンダヘッド下面を二つの半円状領域」に分割したとき、二つの半円状領域のうちの一方の領域である第1領域における同吸気ポート開口の面積が同二つの半円領域のうちの他方の領域である第2領域における同吸気ポート開口の面積よりも大きくなるように形成される。
前記燃料噴射弁の噴孔は前記第1領域内に配置される。
更に、前記ピストンは、前記ピストンの頂面に形成された凹部であるキャビティ部と、前記ピストンの頂面に形成されたキャビティ部以外の部分である平面をなす平面部と、を備える。また、前記キャビティ部は、前記シリンダボアの中心軸線方向において前記第1領域に対向する前記ピストンの頂面の領域(第1ピストン頂面領域)における前記キャビティ部の面積が、前記第2領域に対向する前記ピストン頂面の領域(第2ピストン頂面領域)における前記キャビティ部の面積よりも大きくなるように形成されている。
そして、前記第3噴射時期は、その第3噴射時期において前記噴孔から噴射された燃料が、第2ピストン頂面領域に存在する「前記平面部」(即ち、ピストンの頂面における平面部の主要部)に直接衝突するようになる期間に設定されている。
発明者は、ピストンの頂面の前記第1ピストン領域に主としてキャビティ部が形成され、前記ピストンの頂面の前記第2ピストン領域に主として平面部が形成されている場合、噴射された燃料が「キャビティ部」及び「キャビティ部と平面部との境界領域(キャビティ部の縁、段差部)」に直接衝突すると、キャビティ部及びキャビティ部の縁の近傍に過濃な燃料領域が形成され、その結果、多量の微粒子が生成されるとの知見を得た。
従って、上述したように、第3噴射時期を、その第3噴射時期において前記噴孔から噴射された燃料が第2ピストン頂面領域に存在する「平面部」に直接衝突するようになる期間に設定することにより、キャビティ部の存在によって多量の微粒子が生成されることを回避することができる。なお、この場合の第3噴射時期は、第3噴射時期にて噴射された燃料のうちの実質的に総ての燃料(例えば、噴射された燃料の量の70%以上、より好ましくは80%以上、最も好ましくは100%の量の燃料)が前記第2ピストン頂面領域に存在する「平面部」に直接衝突するようになる期間を含む。
また、本発明において、「前記取得された吸気弁温度が前記取得されたピストン頂面温度より高いと判定されるとき」には、「前記取得された吸気弁温度に0又は正の所定値を加えた温度が前記取得されたピストン頂面温度より高いと判定されたとき」が含まれる。同様に、「前記取得された吸気弁温度が前記取得されたピストン頂面温度より低いと判定されるとき」には、「前記取得された吸気弁温度に0又は正の所定値を加えた温度が前記取得されたピストン頂面温度より低いと判定されたとき」が含まれる。従って、上記判定手段には、「前記取得された吸気弁温度に0又は正の所定値を加えた温度が前記取得されたピストン頂面温度より高いか否かを判定する手段」が含まれる。
以下、本発明の実施形態に係るピストン往復動型内燃機関の燃料噴射時期制御装置(以下、単に「制御装置」と称呼することもある。)について図面を参照しながら説明する。
(概略構成)
図1は、本発明の実施形態に係る制御装置をピストン往復動型・火花点火式・ガソリン燃料・多気筒(例えば、4気筒)・4サイクルの内燃機関10に適用したシステムの概略構成を示している。なお、図1は、特定の気筒の断面のみを図示しているが、他の気筒も同様な構成を備えている。
この内燃機関10は、シリンダブロック、シリンダブロックロワーケース及びオイルパン等を含むシリンダブロック部20と、シリンダブロック部20の上に固定されるシリンダヘッド30と、シリンダブロック部20に空気を供給するための吸気系統40と、シリンダブロック部20からの排ガスを外部に放出するための排気系統50とを含んでいる。
シリンダブロック部20は、シリンダボア(シリンダ)21の壁面21a、ピストン22、コンロッド23及びクランク軸24を含んでいる。ピストン22はシリンダボア21の壁面21aに沿ってシリンダ内を往復動し、ピストン22の往復動がコンロッド23を介してクランク軸24に伝達され、これによりクランク軸24が回転するようになっている。ピストン22の頂面22a、シリンダボア21の壁面21a及びシリンダヘッド30の下面30aは、燃焼室25を画定(形成)している。
図2は、燃焼室25及び燃焼室25の近傍部位の拡大断面図である。図3はピストン22の頂面22aの平面図(シリンダボア21の中心軸線CL上の位置であって燃焼室25の上部の位置からピストン22の頂面22aを見た図)である。図4は燃焼室25の平面図(シリンダボア21の中心軸線CL上の位置であって燃焼室25の上部の位置から燃焼室25を形成するシリンダヘッド30の下面30aを見た図)である。
図1乃至図3に示したように、ピストン22の上部には、キャビティ部(凹部、キャビティ、断面が浅いU字状の有底の穴)22bが形成されている。即ち、ピストン22の頂面22aは、キャビティ部22b(の壁面)と、略平坦な平面部22cと、から構成されている。
以下、説明を簡単にするため、次のように領域を定義する(図2乃至図4を参照。)。
(1)第1領域B1(図4)…シリンダボア21の中心軸線CLを含む一つの平面である「特定の平面PL」により、燃焼室25を画定しているシリンダヘッド下面30a(の部分)を二つの半円状領域に分割したときの、その二つの半円状領域のうちの一方の領域(図4において左側の領域)。
(2)第2領域B2(図4)…前記「特定の平面PL」により、燃焼室25を画定している部分のシリンダヘッド下面30aを二つの半円状領域に分割したときの、その二つの半円状領域のうちの他方の領域(図4において右側の領域)。
(3)第1ピストン頂面領域D1(図3)…シリンダボア21の中心軸線CL方向において、第1領域B1に対向するピストン頂面22aの領域(図3において左側の領域)。
(4)第2ピストン頂面領域D2(図3)…シリンダボア21の中心軸線CL方向において、第2領域B2に対向するピストン頂面22aの領域(図3において右側の領域)。
キャビティ部22bは、図2及び図3に示したように、第1ピストン頂面領域D1におけるキャビティ部22bの面積(平面視における面積)が、第2ピストン頂面領域D2におけるキャビティ部22bの面積(平面視における面積)よりも大きくなるように形成されている。即ち、キャビティ部22bの主たる部分(大きな面積を占める部分)は、第1ピストン頂面領域D1に存在している。
平面部22cは、ピストン22の頂面22aのうちのキャビティ部22bが形成されている部分を除いた部分である。平面部22cは実質的に平面状である。即ち、平面部22cは、前記特定の平面PLに直交する平面を形成している。平面部22cは、第1ピストン頂面領域D1における平面部22cの面積(平面視における面積)が、第2ピストン頂面領域D2における平面部22cの面積(平面視における面積)よりも小さくなるように形成されている。即ち、平面部22cの主たる部分(大きな面積を占める部分)は、第2ピストン頂面領域D2に存在している。
再び図1を参照すると、シリンダヘッド30は、燃焼室25に連通した吸気ポート31、吸気ポート31を開閉する吸気弁32、吸気弁32を開閉駆動する吸気弁駆動装置33、燃焼室25に連通した排気ポート34、排気ポート34を開閉する排気弁35、排気弁35を駆動するエキゾーストカムシャフト36、点火プラグ37、点火プラグ37に与える高電圧を発生するイグニッションコイルを含むイグナイタ38及び燃料を燃焼室25内に直接噴射する燃料噴射弁(筒内噴射弁、フューエルインジェクタ、燃料噴射手段)39を備えている。
吸気ポート31及び燃焼室25は、図2に矢印A1にて示したように、吸気ポート31を介して燃焼室25内に吸入される空気によって燃焼室25内にタンブル流(順方向のタンブル流、順タンブル、縦スワール)が生成されるように形成されている。
吸気弁32は、図3及び図4に示したように、一つの燃焼室25に対して二つずつ設けられている。二つの吸気弁32のそれぞれは、シリンダヘッド下面30aの前記第1領域B1に配設されている。
排気弁35は、図3及び図4に示したように、一つの燃焼室25に対して二つずつ設けられている。二つの排気弁35のそれぞれは、シリンダヘッド下面30aの前記第2領域B2に配設されている。
図2及び図4に示したように、吸気ポート31と燃焼室25とは吸気ポート開口31aにて連通している。換言すると、吸気ポート開口31aは、燃焼室25と、シリンダヘッド30に形成された吸気ポート31と、を連通するように「燃焼室25を画定するシリンダヘッド30の下面30a」に形成された開口である。即ち、吸気ポート開口31aは、燃焼室25に臨む吸気ポート31の端部である。
図2に示したように、吸気弁32は、軸部32aと、軸部32aの一端に連接された傘部32bを有する周知の吸気弁である。この吸気弁32は、周知の吸気弁と同様に駆動される。より具体的に述べると、吸気弁32は、インテークカムシャフト及びインテークカム等を含む吸気弁駆動装置33(図1参照。)により、傘部32bが燃焼室25内に突出するように往復動(移動、駆動)せしめられるようになっている。その結果、傘部32bは吸気ポート開口31aを開閉するようになっている。
吸気ポート開口31aの周囲には吸気弁32の傘部32b(傘部32bの背面側の端部外周部)が着座するための弁座部31bが形成されている。吸気弁32は、傘部32bが弁座部31bに着座しているとき、即ち、傘部32bの移動量(吸気弁32の移動量)であるリフト量が「0」となっているとき、吸気ポート開口31aを閉じる。リフト量は、インテークカムのカムプロフィールにより決定され、「0」から「最大リフト量」となるまで徐々に増大し、その後、「最大リフト量」から「0」となるまで徐々に減少する。このリフト量が「0」でない期間、即ち、傘部32bが弁座部31bから離れている期間である「吸気弁開弁期間」において、傘部32b(吸気弁32)は吸気ポート開口31aを開く。
燃料噴射弁39は、図2に示したように、シリンダヘッド30に固定され、且つ、燃焼室25に露呈した噴孔39aを有している。燃料噴射弁39は、噴射指示信号に応答して開弁することにより、噴孔39aから燃焼室25内に燃料を直接噴射する筒内噴射弁である。噴孔39aは、図4に示したように、第1領域B1内の二つの吸気弁32,32の間であって、図2及び図4に示したように、二つの吸気弁32,32よりも燃焼室25の外周側に配置されている。燃料噴射弁39は、図2に矢印A2にて示したように、前記「特定の平面PL」に交差する向きであり、且つ、シリンダヘッド30の下面30aからピストン22の頂面22aに向かう方向の成分を有する向きに、噴孔39aから燃料を噴射するようになっている。換言すると、シリンダボア21の中心軸線CLに平行な方向であってシリンダヘッド30側を上方、ピストン22側を下方と定義するとき、燃料噴射弁39は吸気弁32から排気弁35に向かう成分を有する「斜め」下方に燃料を噴射するようになっている。噴孔39aから噴射される燃料の飛行方向を「燃料噴射方向」とも称呼する。なお、実際には、燃料噴射弁39は、矢印A2にて示した軸線を中心軸線とし且つ噴孔39aを頂点とする円錐状(コーン状)に燃料を噴射する。
再び、図1を参照すると、吸気系統40は、吸気ポート31に連通し吸気ポート31とともに吸気通路を形成するインテークマニホールドを含む吸気管41、吸気管41の端部に設けられたエアフィルタ42、吸気管41内にあって吸気通路の開口断面積を可変とするスロットル弁43及びスロットル弁駆動手段を構成するDCモータからなるスロットル弁アクチュエータ43aを備えている。
排気系統50は、排気ポート34に連通したエキゾーストマニホールド51、エキゾーストマニホールド51に接続されたエキゾーストパイプ(排気管)52、上流側の三元触媒53及び下流側の三元触媒54を備えている。上流側の三元触媒53は、エキゾーストパイプ52に配設されている。下流側の三元触媒54は、上流側の三元触媒53の下流においてエキゾーストパイプ52に配設されている。排気ポート34、エキゾーストマニホールド51及びエキゾーストパイプ52は、排気通路を構成している。
一方、このシステムは、熱線式エアフローメータ61、スロットルポジションセンサ62、カムポジションセンサ63、クランクポジションセンサ64、吸気弁温度センサ65、ピストン頂面温度センサ66、冷却水温センサ67、第1触媒53の上流の排気通路に配設された空燃比センサ68及びアクセル開度センサ69を備えている。
熱線式エアフローメータ61は、吸気管41内を流れる吸入空気の単位時間あたりの質量流量を検出し、質量流量Gaを表す信号を出力するようになっている。スロットルポジションセンサ62は、スロットル弁43の開度を検出し、スロットル弁開度TAを表す信号を出力するようになっている。カムポジションセンサ63は、インテークカムシャフトが所定角度から90度、次いで90度、更に180度回転する毎に一つのパルスを出力するようになっている。この信号はG2信号とも称呼される。クランクポジションセンサ64は、クランク軸24が10度回転する毎にパルスを出力するようになっている。クランクポジションセンサ64から出力されるパルスはエンジン回転速度NEを表す信号に変換されるようになっている。更に、カムポジションセンサ63及びクランクポジションセンサ64からの信号に基いて、機関10のクランク角度(クランク角θ)が求められるようになっている。
吸気弁温度センサ65は、図1及び図2に示したように、吸気弁32の傘部32bに固定されている。吸気弁温度センサ65は、吸気弁32の温度(特に、傘部32bの温度)を取得するようになっている。具体的には、吸気弁温度センサ65は、図示しない温度検出用抵抗と抵抗値検出回路と発信機とを内蔵している。温度検出用抵抗は、温度に応じて抵抗値が変化する抵抗である。吸気弁温度センサ65は、温度検出用抵抗の抵抗値を抵抗値検出回路により検出し、その検出した抵抗値に基いた値(吸気弁32の温度TKBを表す値)を発信機を通して後述する電気制御装置70に送信するようになっている。吸気弁温度センサ65は、各気筒の二つの吸気弁32の一方に設けられている。
ピストン頂面温度センサ66は、図1及び図2に示したように、ピストン頂面22aの近傍(平面部22cの近傍)であってピストン22の内部においてピストン22に固定されている。ピストン頂面温度センサ66は、ピストン頂面22aの温度(特に、平面部22cの温度)を取得するようになっている。具体的には。ピストン頂面温度センサ66は、図示しない温度検出用抵抗と抵抗値検出回路と発信機とを内蔵している。ピストン頂面温度センサ66は、温度検出用抵抗の抵抗値を抵抗値検出回路により検出し、その検出した抵抗値に基いた値(ピストン頂面22aの温度TPSを表す値)を発信機を通して後述する電気制御装置70に送信するようになっている。ピストン頂面温度センサ66は、各気筒毎に設けられている。
図1に示した冷却水温センサ67は、機関10の冷却水の温度を検出し、その冷却水温度THWを表す信号を出力するようになっている。空燃比センサ68は、触媒53の上流の空燃比を検出し、その空燃比を表す信号を出力するようになっている。アクセル開度センサ69は、運転者によって操作されるアクセルペダル81の操作量を検出し、アクセルペダル81の操作量Accpを表す信号を出力するようになっている。アクセルペダル81の操作量Accpは機関10の「負荷」の大きさを表す量である。
電気制御装置70は、互いにバスで接続されたCPU71、CPU71が実行するルーチン(プログラム)、テーブル(ルックアップテーブル、マップ)及び定数等を予め記憶したROM72、CPU71が必要に応じてデータを一時的に格納するRAM73、電源が投入された状態でデータを格納するとともに格納したデータを電源が遮断されている間も保持するバックアップRAM74、並びに、ADコンバータを含むインターフェース75等からなるマイクロコンピュータである。
インターフェース75は、上記センサ61〜64及び上記センサ67〜69と接続され、CPU71にこれらのセンサからの信号を供給するようになっている。更に、インターフェース75は図示しない受信機を備えていて、吸気弁温度センサ65及びピストン頂面温度センサ66から送信されてきた信号を受信するとともに、受信した信号をCPU71に供給するようになっている。加えて、インターフェース75は、CPU71の指示に応じて各気筒の吸気弁駆動装置33及びスロットル弁アクチュエータ43a等に駆動信号を送出し、各気筒の燃料噴射弁39に噴射指示信号を送出し、各気筒のイグナイタ38に点火信号を送出するようになっている。
(燃料噴射弁からの燃料噴射方向の詳細)
次に、図5乃至図8を参照しながら、燃料が噴孔39aから継続的に噴射され続けているとの仮定下で燃料噴射方向について説明する。図5乃至図8のそれぞれは、燃焼室25、燃料噴射弁39、吸気弁32及びピストン22の頂面22a近傍部を、前記シリンダボア21の「中心軸線CL」を含み且つ前記「特定の平面PL」に直交する平面に沿って切断した部分断面図である。
図5はクランク角θが圧縮上死点前(BTDC)310°クランク角(即ち、吸気上死点後50°クランク角)における燃料噴射状態、吸気弁32の状態及びピストン22の状態を示した図である。
図6はクランク角θが圧縮上死点前(BTDC)300°クランク角(即ち、吸気上死点後60°クランク角)における燃料噴射状態、吸気弁32の状態及びピストン22の状態を示した図である。
図7はクランク角θが圧縮上死点前(BTDC)280°クランク角(即ち、吸気上死点後80°クランク角)における燃料噴射状態、吸気弁32の状態及びピストン22の状態を示した図である。
図8はクランク角θが圧縮上死点前(BTDC)270°クランク角(即ち、吸気上死点後90°クランク角)における燃料噴射状態、吸気弁32の状態及びピストン22の状態を示した図である。
先ず、クランク角θが圧縮上死点前370°クランク角前後になると吸気弁32のリフト量が0から徐々に大きくなり始める。即ち、吸気上死点前10°クランク角前後の吸気弁開弁時期にて傘部32bが弁座部31bを離れ、吸気ポート開口31aが開かれ始める。ピストン22は、クランク角θが圧縮上死点前360°クランク角(吸気上死点)となるまで上昇(前記上方に移動)し、その後、下降(前記下方へ移動)し始める。
クランク角θが圧縮上死点前310°クランク角(吸気上死点後50°クランク角)になると、ピストン頂面22aの位置は図5に示した位置に到達する。このため、噴孔39aから噴射された燃料は、図5に示したように、上記第2ピストン頂面領域D2における「キャビティ部22bと平面部22cとの境界領域(段差部)」に直接衝突(到達)する(破線の円M1により囲んだ領域を参照。)。なお、この場合、噴孔39aから噴射された燃料とは、「極めて僅かな時間だけ過去に遡った時点にて噴射され且つ燃焼室25内を飛行した燃料」を意味し、以下の説明において同様である。
次に、クランク角θが圧縮上死点前300°クランク角(吸気上死点後60°クランク角)になると、ピストン頂面22aの位置は図6に示した位置に到達する。このため、噴孔39aから噴射された燃料は、図6に示したように、上記第2ピストン頂面領域D2における「平面部22c」のみに直接衝突(到達)する(破線の円M2により囲んだ領域を参照。)。この場合、噴孔39aから噴射された燃料は、シリンダボア21の「噴孔39aと対向している側の壁面21a」、「キャビティ部22b」及び「キャビティ部22bと平面部22cとの境界領域」の何れにも直接衝突しない。このように燃料が「平面部22c」のみに直接衝突している期間を便宜上「第3所定期間」と称呼する。
その後、クランク角θが圧縮上死点前280°クランク角(吸気上死点後80°クランク角)になると、ピストン頂面22aの位置は図7に示した位置に到達する。このため、噴孔39aから噴射された燃料は、図7に示したように、「ピストン22の頂面22a」とシリンダボア21の「噴孔39aと対向している側の壁面21a」とにより形成される角部である「燃焼室隅部」に直接衝突(到達)する(破線の円M3により囲んだ領域を参照。)。このように燃料が燃焼室隅部に衝突している期間を便宜上「第1所定期間」と称呼する。
更に、クランク角θが圧縮上死点前270°クランク角(吸気上死点後90°クランク角)になると、ピストン頂面22aの位置は図8に示した位置に到達する。このとき、吸気弁32のリフト量(傘部32bの移動量)は、所定の閾値リフト量よりも大きくなる。この閾値リフト量は最大リフト量よりも小さい。このように、リフト量が閾値リフト量より大きくなっている期間を便宜上「第2所定期間」と称呼する。この第2所定期間中、噴孔39aから噴射された燃料は、傘部32bの背面に直接衝突する。そして、その傘部32bの背面に衝突した燃料は、図8のハッチング部M4により示したように、傘部32bの背面近傍(背面側)及びシリンダヘッド30の下面30aの近傍(下面30a側)に反射される。
本実施形態においては、以上に述べたように、吸気弁32のリフト量、ピストン頂面22aの位置及び燃料噴射弁39からの燃料噴射方向が定められている。
(燃料時期の検討)
次に、本発明者が行った噴射時期の検討結果について図9を参照しながら説明する。図9は、燃料噴射時期θinjと排ガス中の微粒子の数(密度)との関係を実験により調べた結果を表すグラフである。なお、図9において、円形のプロットは機関10が暖機中(冷却水温度=40℃)にある場合のデータを示し、三角形のプロットは機関10が暖機を終了した後(冷却水温度=80℃)にある場合のデータを示している。また、本明細書において、燃料噴射時期θinjは、「燃料噴射弁39が電気制御装置70からの噴射指示信号に応答して開弁することにより燃料を噴孔39aから噴射している期間」と定義される。但し、この実験における燃料噴射時期(燃料噴射弁39の開弁期間)は極めて短時間であるので、燃料噴射時期θinjとして燃料噴射開始時期Ainjを採用した。
(考察1)図9において破線の楕円K1により囲んだ領域に示したように、機関10が暖機後の状態である場合、燃料噴射時期θinjが圧縮上死点前310°〜320°クランク角(吸気上死点後40°〜50°クランク角)前後の時期(吸気行程初期、相当に進角側の時期)であるとき、微粒子の数は多くなった。この微粒子数の増大は、機関10が暖機する前においては更に顕著に発生した。これは、図5に示したように、噴孔39aから噴射された燃料が「キャビティ部22bと平面部22cとの境界領域(段差部)」に直接衝突し、その境界領域に燃料が液体状となって滞留したためであると考えられる。即ち、その後の燃焼行程において酸素との結合が不十分となる燃料を含む「過濃な燃料領域」が「キャビティ部22bと平面部22cとの境界領域」に形成されたためであると考えられる。
(考察2)図9において破線の楕円K2により囲んだ領域に示したように、機関10が暖機前の状態である場合、燃料噴射時期θinjが圧縮上死点前290°〜310°クランク角(吸気上死点後50°〜70°クランク角)前後の時期であるとき、微粒子の数は多くなった。これは、図6に示したように、噴孔39aから噴射された燃料が上記第2ピストン頂面領域D2における「平面部22c」に直接衝突し、その衝突した燃料が低温の平面部22c上に液体状(液膜状)となって滞留したためであると考えられる。即ち、過濃な燃料領域が「平面部22c」に形成されたためであると考えられる。
(考察3)これに対し、図9において破線の楕円K3により囲んだ領域に示したように、機関10が暖機後の状態である場合、燃料噴射時期θinjが圧縮上死点前290°〜310°クランク角前後の時期であるとき、微粒子の数は少なくなった。これは、平面部22cが高温となっているので、平面部22cに直接衝突した燃料が十分に霧化・気化したため(液膜状に存在することがなくなったため)であると考えられる。
(考察4)図9において破線の楕円K4により囲んだ領域に示したように、燃料噴射時期θinjが圧縮上死点前275°〜285°クランク角(吸気上死点後75°〜85°クランク角)前後の時期(吸気行程中期)であるとき、微粒子の数は多くなった。この微粒子数の増大は、機関10の暖機状態に関わらず発生した。これは、図7に示したように、噴孔39aから噴射された燃料が「燃焼室隅部」に直接衝突し、燃焼室隅部に燃料が滞留したためであると考えられる。即ち、過濃な燃料領域が「燃焼室隅部」に形成されたためであると考えられる。この過濃な燃料領域は、例えば、燃料が「シリンダボア21の壁面21a」と「ピストン22の側面」との間等に侵入すること等によって発生すると考えられる。
(考察5)図9において破線の楕円K5により囲んだ領域に示したように、機関10が暖機前の状態である場合、燃料噴射時期θinjが圧縮上死点前200°〜270°クランク角(吸気上死点後90°〜160°クランク角)前後の時期(吸気行程後期)であるとき、微粒子の数は多くなった。これは、図8に示したように、噴孔39aから噴射された燃料が傘部32bの背面に直接衝突し且つ傘部32bの温度が低いので傘部32bの背面に液体状となって存在するため、及び、傘部32bにてシリンダヘッド30の下面30aの近傍に反射された燃料がシリンダヘッド30の下面30aの近傍に滞留するためであると考えられる。即ち、その後の燃焼行程において酸素との結合が不十分となる過濃な燃料領域が、傘部32bの背面及びシリンダヘッド30の下面30aの近傍に形成されたためであると考えられる。
(考察6)これに対し、図9において破線の楕円K6により囲んだ領域に示したように、機関10が暖機後の状態である場合、燃料噴射時期θinjが圧縮上死点前200°〜270°クランク角前後の時期であるとき、微粒子の数は非常に少なくなった。これは、傘部32bが高温となっているので、傘部32bの背面に直接衝突した燃料が「高温となっている傘部32b」から熱を受けて十分に霧化・気化したためであると考えられる。
(燃料噴射時期制御の概要)
以上の考察から、本実施形態の制御装置は、吸気弁温度センサ65により取得(検出)される吸気弁温度TKBと、ピストン頂面温度センサ66により取得(検出)されるピストン頂面温度TPSと、に基いて、次に述べるように燃料噴射時期θinjを設定するようになっている。
(A−1)吸気弁温度TKBがピストン頂面温度TPSより高いと判定されたとき
制御装置は、燃料噴射時期θinjを、噴孔39aから噴射された燃料が吸気弁32の傘部32bの背面のみに直接衝突するようになる期間である「第2噴射時期θinj2」に設定する。なお、吸気弁温度TKBに正の所定値αを加えた温度がピストン頂面温度TPSより高いと判定されたときに、燃料噴射時期θinjを第2噴射時期θinj2に設定してもよい。
これによれば、上記考察6にて述べたように、吸気弁温度TKBがある程度高いので、微粒子の数は図9の破線の楕円K6により囲んだ領域における数に近づく。従って、微粒子の数を低減することができる。
(A−2)吸気弁温度TKBがピストン頂面温度TPSより低いと判定されたとき
制御装置は、燃料噴射時期θinjを、噴孔39aから噴射された燃料が、第2ピストン頂面領域D2における平面部22cのみに直接衝突するようになる期間である「第3噴射時期θinj3」に設定する。この第3噴射時期θinj3にて噴孔39aから噴射された燃料は、
・キャビティ部22bと平面部22cとの境界領域(段差部)及びキャビティ部22bに直接衝突することなく、且つ、
・「燃焼室隅部」に直接衝突することなく、且つ、
・シリンダボア21の壁面21aに直接衝突することがなく、且つ、
・吸気弁32の傘部32bの背面のみに直接衝突することがない。
なお、この第3噴射時期は、噴射された燃料が「燃焼室隅部」に直接衝突するようになる噴射時期(第1噴射時期θinj1)よりも前の期間(進角側の時期)である。また、吸気弁温度TKBに正の所定値αを加えた温度がピストン頂面温度TPSより低いと判定されたときに、燃料噴射時期θinjを第3噴射時期θinj3に設定してもよい。
これによれば、上記考察3にて述べたように、ピストン頂面温度TPSがある程度高いので、微粒子の数は図9の破線の楕円K3により囲んだ領域の数に近づく。従って、微粒子の数を低減することができる。
更に、上記(A−1)及び(A−2)に記載したように燃料噴射時期θinjを設定することにより、微粒子の数が「上記考察1、2、4及び5」においてそれぞれ述べた「図9の破線の楕円K1、K2、K4及びK5により囲んだ領域の数」となることを回避することができる。従って、この制御装置は、従来の燃料噴射時期制御装置に比べ、微粒子数を減少することができる。
(燃料噴射時期制御の詳細)
次に、上記のように構成された制御装置により行われる燃料噴射時期制御の詳細について説明する。この制御装置のCPU71は、図10にフローチャートにより示した燃料噴射制御ルーチンを、特定の気筒のクランク角が所定のクランク角度(例えば、吸気上死点前90°クランク角)に一致する毎に繰り返し実行している。なお、CPU71は、他の気筒に対しても同様なルーチンを同様なタイミングにて実行するようになっている。
特定の気筒のクランク角度が前記所定のクランク角度に一致すると、CPU71は図10のルーチンの処理をステップ1000から開始し、ステップ1010〜ステップ1030にて以下の処理を行う。
ステップ1010:CPU71は、吸気弁温度センサ65からの信号に基づいて吸気弁温度TKBを取得する。
ステップ1020:CPU71は、ピストン頂面温度センサ66からの信号に基づいてピストン頂面温度TPSを取得する。
ステップ1030:CPU71は、アクセルペダル81の操作量Accp(機関の負荷)及びエンジン回転速度NEを、燃料噴射量決定テーブルMapTAUに適用して燃料噴射時間(燃料噴射量に応じた燃料噴射弁39の開弁時間)TAUを求める。燃料噴射量決定テーブルMapTAUは、アクセルペダル81の操作量Accp及びエンジン回転速度NEと、燃料噴射時間TAU、との関係を定めたルックアップテーブルであり、ROM72内に格納されている。
次に、CPU71はステップ1040に進み、取得した吸気弁温度TKBが取得したピストン頂面温度TPSよりも大きいか否かを判定する。なお、この場合、CPU71は、ステップ1040にて「取得した吸気弁温度TKBに「0又は正の所定値である値α」を加えた温度が、取得したピストン頂面温度TPSよりも大きいか否か」を判定してもよい。
このとき、取得した吸気弁温度TKBが取得したピストン頂面温度TPSよりも大きければ、CPU71はステップ1040にて「Yes」と判定してステップ1050に進み、燃料噴射時期θinjに上述した第2燃料噴射時期θinj2を設定する。なお、実際には、CPU71は、「期間」である燃料噴射時期θinjの開始時期を定める燃料噴射開始時期Ainjに、「期間」である第2燃料噴射時期θinj2の開始時期を定める第2燃料噴射開始時期Ainj2を設定する。
これに対し、取得した吸気弁温度TKBが取得したピストン頂面温度TPSよりも小さければ、CPU71はステップ1040にて「No」と判定してステップ1060に進み、燃料噴射時期θinjに上述した第3燃料噴射時期θinj3を設定する。なお、実際には、CPU71は、燃料噴射開始時期Ainjに、「期間」である第3燃料噴射時期θinj3の開始時期を定める第3燃料噴射開始時期Ainj3を設定する。
その後、CPU71はステップ1050又はステップ1060からステップ1070に進み、「噴射指示信号」を特定の気筒の燃料噴射弁39に送出する。この噴射指示信号は、特定の気筒のクランク角θが燃料噴射開始時期Ainjに一致した時点から、同特定の気筒の燃料噴射弁39を燃料噴射時間TAUだけ開弁させる(燃料噴射時間TAUだけ燃料を噴孔39aから噴射させる)ための信号である。そして、CPU71はステップ1095に進み、本ルーチンを一旦終了する。これにより、第2燃料噴射時期θinj2及び第3燃料噴射時期θinj3の何れかの期間において燃料が噴孔39aから噴射される。
以上、説明したように、本発明の実施形態に係る燃料噴射時期制御装置によれば、吸気弁温度TKBと、ピストン頂面温度TPSと、に基いて、燃料噴射時期θinjが適切な時期に設定されるので、排ガス中の微粒子数を減少することができる。
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、吸気弁温度センサ65は、温度検出用抵抗と抵抗値検出回路と発信機とを内蔵していたが、これに代え、シリンダヘッド30内であって吸気弁32の近傍位置に配設された「赤外線を用いた温度センサ」であってもよい。
また、以下に述べるように、吸気弁温度TKBを計算により推定してもよい。いま、図11に示した各熱量を以下のように定義する。
受熱量Qin:吸気弁32が燃焼室25から受ける熱の量、
傘部放熱量Qout1:傘部32bが弁座部を介してシリンダヘッド30に放出する熱の量、
軸部放熱量Qout2:軸部32aがバルブステムVSを介してシリンダヘッド30に放出する熱の量、
吸気放熱量Qout3:燃焼室25に吸気ポート31を通して吸入される空気により吸気弁32から持ち去られる熱の量。
CPU71はこれらの熱量に基いて吸気弁温度TKBを計算により推定する。より具体的に述べると、CPU71は図12に示した吸気弁温度推定ルーチンを所定時間の経過毎に繰り返し実行する。従って、所定のタイミングにてCPU71はステップ1200から処理を開始し、以下に記載したステップ1210乃至ステップ1260の処理を順に行い、ステップ1295に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1210:CPU71は、アクセルペダル81の操作量Accp(機関の負荷)及びエンジン回転速度NEを、受熱量推定テーブルMapQinに適用することにより実際の受熱量Qinを推定する。受熱量推定テーブルMapQinは、アクセルペダル81の操作量Accp及びエンジン回転速度NEと、受熱量Qin、との関係を定めたルックアップテーブルであり、予め実験により求められ、ROM72内に格納されている。なお、受熱量推定テーブルMapQinに使用されるパラメータとして、アクセルペダル81の操作量Accpに代え、質量流量Ga及びエンジン回転速度NEから求められる「一回の吸気行程における筒内吸入空気量(または負荷率)」、或は、「スロットル弁開度TA」を用いてもよい。
ステップ1220:CPU71は、傘部放熱量Qout1を、下記(1)式に従って推定する。TKB(n)は現時点にて求められている吸気弁温度TKBである。THWは冷却水温センサ67により検出された冷却水温であり、シリンダヘッド30の温度を表す。η1は予め測定により求められた傘部32bとシリンダヘッド30との間の熱伝達係数である。
傘部放熱量Qout1=η1・(TKB(n)−THW) …(1)
ステップ1230:CPU71は、軸部放熱量Qout2を、下記(2)式に従って推定する。η3は予め測定により求められた軸部32aとシリンダヘッド30との間の熱伝達係数である。THWは冷却水温センサ67により検出された冷却水温であり、シリンダヘッド30の温度を表す。
軸部放熱量Qout2=η2・(TKB(n)−THW) …(2)
ステップ1240:CPU71は、アクセルペダル81の操作量Accp(機関の負荷)及びエンジン回転速度NEを、吸気放熱量推定テーブルMapQout3に適用することにより実際の吸気放熱量Qout3を推定する。吸気放熱量推定テーブルMapQout3は、アクセルペダル81の操作量Accp及びエンジン回転速度NEと、吸気放熱量Qout3、との関係を定めたルックアップテーブルであり、予め実験により求められ、ROM72内に格納されている。なお、吸気放熱量推定テーブルMapQout3に使用されるパラメータとして、アクセルペダル81の操作量Accpに代え、質量流量Ga及びエンジン回転速度NEから求められる「一回の吸気行程における筒内吸入空気量(または負荷率)」、或は、「スロットル弁開度TA」を用いてもよい。
ステップ1250:CPU71は、最新の吸気弁温度TKB(n+1)を、下記(3)式に従って推定する。この最新の吸気弁温度TKB(n+1)が図10のステップ1040における吸気弁温度TKBとして使用される。ξは、熱量を吸気弁温度TKBの変化分に変換するための予め定められた定数である。
Figure 0004821750
ステップ1260:CPU71は、求められた吸気弁温度TKB(n+1)を次回の計算のために吸気弁温度TKB(n)として格納する。
以上の処理により、吸気弁温度TKBが推定される。なお、燃料が傘部32bに付着して気化熱を奪うことを考慮してもよい。但し、この気化熱は他の上記熱量に比べ極めて小さいので無視することができる。
更に、以下に述べるように、ピストン頂面温度TPSを計算により推定してもよい。いま、図13に示した各熱量を以下のように定義する。
ピストン受熱量QPin:ピストン22が燃焼室25から受ける熱の量、
ピストン放熱量QPout1:ピストン22がシリンダボア21の壁面21aを介して放出する熱の量。
CPU71はこれらの熱量に基いてピストン頂面温度TPSを計算により推定する。より具体的に述べると、CPU71は図14に示したピストン頂面温度推定ルーチンを所定時間の経過毎に繰り返し実行する。従って、所定のタイミングにてCPU71はステップ1400から処理を開始し、以下に記載したステップ1410乃至ステップ1440の処理を順に行い、ステップ1495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1410:CPU71は、アクセルペダル81の操作量Accp(機関の負荷)及びエンジン回転速度NEを、ピストン受熱量推定テーブルMapQPinに適用することにより実際のピストン受熱量QPinを推定する。ピストン受熱量推定テーブルMapQPinは、アクセルペダル81の操作量Accp及びエンジン回転速度NEと、ピストン受熱量QPin、との関係を定めたルックアップテーブルであり、予め実験により求められ、ROM72内に格納されている。なお、ピストン受熱量推定テーブルMapQPinに使用されるパラメータとして、アクセルペダル81の操作量Accpに代え、質量流量Ga及びエンジン回転速度NEから求められる「一回の吸気行程における筒内吸入空気量(または負荷率)」、或は、「スロットル弁開度TA」を用いてもよい。
ステップ1420:CPU71は、ピストン放熱量QPout1を、下記(4)式に従って推定する。なお、TPS(n)は現時点にて求められているピストン頂面温度TPSである。THWは冷却水温センサ67により検出された冷却水温でり、シリンダボア21の壁面21aの温度を表す。ε1は予め測定により求められたピストン22とシリンダボア21の壁面21aとの間の熱伝達係数である。
ピストン放熱量QPout1=ε1・(TPS(n)−THW) …(4)
ステップ1430:CPU71は、最新のピストン頂面温度TPS(n+1)を、下記(5)式に従って推定する。この最新のピストン頂面温度TPS(n+1)が図10のステップ1040におけるピストン頂面温度TPSとして使用される。φは、熱量をピストン頂面温度TPSの変化分に変換するための予め定められた定数である。
Figure 0004821750
ステップ1440:CPU71は、求められたピストン頂面温度TPS(n+1)を次回の計算のためにピストン頂面温度TPS(n)として格納する。
以上の処理により、ピストン頂面温度TPSが推定される。なお、燃料がピストン22に付着して気化熱を奪うことを考慮してもよい。但し、この気化熱は他の上記熱量に比べ極めて小さいので無視することができる。
更に、上記機関10のピストン22は、キャビティ部22bを備えていたが、キャビティ部22bを備えない機関にも本発明を適用することができる。その場合、上記(A−2)において説明した「吸気弁温度TKBがピストン頂面温度TPSより低いと判定されたとき」の燃料噴射時期θinjは、噴孔39aから噴射された燃料が、第2ピストン頂面領域D2のみでなく第1ピストン頂面領域D1に形成された平面部のみに(即ち、ピストン22の頂面22aのみに)直接衝突するようになる期間である「第3a噴射時期θinj3a」に設定される。
加えて、上記実施形態において、「第2噴射時期θinj2」は、その噴射時期にて噴射された燃料が吸気弁32の傘部32bの背面のみに直接衝突するようになる期間であった。しかしながら、「第2噴射時期θinj2」は、その噴射時期にて噴射された燃料のうちの実質的に総ての燃料(例えば、噴射された燃料の総量の70%以上、より好ましくは80%、最も好ましくは100%の量の燃料)が吸気弁32の傘部32bの背面のみに直接衝突するような噴射時期であればよい。また、第2噴射時期θinj2は、第2噴射時期θinj2により定まる噴射開始時刻t1と噴射終了時刻t2との中間の時刻(t1+t2)/2にて噴孔39aから噴射された燃料が、吸気弁32の傘部32bの背面のみに直接衝突するような噴射時期であるということもできる。
同様に、上記実施形態において、「第3噴射時期θinj3」は、その噴射時期にて噴射された燃料が第2ピストン頂面領域D2における平面部22cのみに直接衝突するようになる期間であった。しかしながら、「第3噴射時期θinj3」は、その噴射時期にて噴射された燃料のうちの実質的に総ての燃料(例えば、噴射された燃料の総量の70%以上、より好ましくは80%以上、最も好ましくは100%の量の燃料)が第2ピストン頂面領域D2における平面部22cのみに直接衝突するような噴射時期であればよい。また、第3噴射時期θinj3は、第3噴射時期θinj3により定まる噴射開始時刻t3と噴射終了時刻t4との中間の時刻(t3+t4)/2にて噴孔39aから噴射された燃料が、第2ピストン頂面領域D2における平面部22cのみに直接衝突するような噴射時期であるということもできる。
更に、吸気弁駆動装置33は、インテークカムシャフトとインテークカムとの相対回転角度(位相角度)を油圧により調整・制御する周知の構成を備え、吸気弁32の開弁時期(吸気弁開弁時期)を変更することができるようになっていてもよい。この場合、第2噴射時期θinj2は吸気弁開弁時期に応じて変更される。
本発明の実施形態に係る燃料噴射時期制御装置を適用した内燃機関の概略図である。 図1に示した燃焼室及び同燃焼室の近傍部位の拡大断面図である。 図1に示したピストンの頂面の平面図である。 図1に示した燃焼室の平面図である。 クランク角が圧縮上死点前(BTDC)310°クランク角(即ち、吸気上死点後50°クランク角)である場合における燃料噴射状態、吸気弁の状態及びピストンの状態を示した図である。 クランク角θが圧縮上死点前(BTDC)300°クランク角(即ち、吸気上死点後60°クランク角)である場合における燃料噴射状態、吸気弁の状態及びピストンの状態を示した図である。 クランク角θが圧縮上死点前(BTDC)280°クランク角(即ち、吸気上死点後80°クランク角)である場合における燃料噴射状態、吸気弁の状態及びピストンの状態を示した図である。 クランク角θが圧縮上死点前(BTDC)270°クランク角(即ち、吸気上死点後90°クランク角)である場合における燃料噴射状態、吸気弁の状態及びピストンの状態を示した図である。 燃料噴射時期と排ガス中の微粒子の数(密度)との関係を実験により調べた結果を表すグラフである。 図1に示したCPUが実行する燃料噴射制御ルーチンを示したフローチャートである。 吸気弁が受ける熱量及び吸気弁が放出する熱量を説明するための図である。 図1に示したCPUが実行する吸気弁温度推定ルーチンを示したフローチャートである。 ピストンが受ける熱量及びピストンが放出する熱量を説明するための図である。 図1に示したCPUが実行するピストン頂面温度推定ルーチンを示したフローチャートである。
符号の説明
10…内燃機関、20…シリンダブロック部、21…シリンダボア、21a…シリンダボア壁面、22…ピストン、22a…ピストン頂面、22b…キャビティ部(キャビティ)、22c…平面部、23…コンロッド、24…クランク軸、25…燃焼室、30…シリンダヘッド(シリンダヘッド部)、30a…シリンダヘッド下面、31…吸気ポート、31a…吸気ポート開口、31b…弁座部、32…吸気弁、32a…軸部、32b…傘部、33…吸気弁駆動装置、34…排気ポート、35…排気弁、36…エキゾーストカムシャフト、37…点火プラグ、39…燃料噴射弁、39a…噴孔、40…吸気系統、50…排気系統、65…吸気弁温度センサ、66…ピストン頂面温度センサ、67…冷却水温センサ、69…アクセル開度センサ、70…電気制御装置、71…CPU。

Claims (2)

  1. ピストン往復動型内燃機関の燃料噴射時期制御装置であって、
    ピストンの頂面、シリンダボアの壁面及びシリンダヘッドの下面により画定される燃焼室と同シリンダヘッドに形成された吸気ポートとを連通するように同シリンダヘッドの下面に形成された吸気ポート開口を開閉する傘部を有するとともに、同傘部が同吸気ポート開口の周囲に形成された弁座部に着座して同傘部の移動量であるリフト量が0となっているとき同吸気ポート開口を閉じ、且つ、同傘部が同燃焼室内に突出するように移動させられて同リフト量が0から最大リフト量へと変化した後に再び0になるまでの期間であって同傘部が同弁座部から離れている吸気弁開弁期間において同吸気ポート開口を開く吸気弁と、
    前記燃焼室に露呈した噴孔を有するとともに噴射指示信号に応答して開弁することにより前記シリンダボアの中心軸線を含む一つの特定の平面に交差する向きであり且つ前記シリンダヘッドの下面から前記ピストンの頂面に向かう方向の成分を有する向きである燃料噴射方向に燃料を同噴孔から同燃焼室内に直接噴射する燃料噴射弁であって、同燃料噴射方向が、同燃料を同噴孔から噴射し続けたと仮定した場合、第1所定期間において同燃料が前記ピストンの頂面と前記シリンダボアの壁面とにより形成される角部である燃焼室隅部に直接衝突し且つ同第1所定期間より後の期間であって前記リフト量が前記最大リフト量よりも小さい所定の閾値リフト量よりも大きくなる第2所定期間において同燃料が前記傘部の背面に直接衝突することにより同シリンダヘッドの下面側に反射されるような燃料噴射方向となるように同燃焼室に対して配置構成された燃料噴射弁と、
    前記吸気弁の温度である吸気弁温度を取得する吸気弁温度取得手段と、
    前記ピストンの頂面の温度であるピストン頂面温度を取得するピストン頂面温度取得手段と、
    前記取得された吸気弁温度が前記取得されたピストン頂面温度より高いか否かを判定する判定手段と、
    前記燃料噴射弁が前記噴射指示信号に応答して開弁し前記燃料を前記噴孔から噴射している期間である燃料噴射時期を、前記取得された吸気弁温度が前記取得されたピストン頂面温度より高いと判定されたとき同噴孔から噴射された燃料が前記燃焼室隅部に直接衝突するようになる期間である第1噴射時期よりも後の期間であり且つ同噴孔から噴射された燃料が前記傘部の背面に直接衝突するようになる期間である第2噴射時期に設定し、同取得された吸気弁温度が同取得されたピストン頂面温度より低いと判定されたとき同第1噴射時期よりも前の期間であり且つ同噴孔から噴射された燃料が前記ピストンの頂面に直接衝突するようになる期間である第3噴射時期に設定する燃料噴射時期制御手段と、
    を備えた燃料噴射時期制御装置。
  2. 請求項1に記載のピストン往復動型内燃機関の燃料噴射時期制御装置において、
    前記吸気ポート開口は、前記特定の平面に沿って同シリンダヘッド下面を二つの半円状領域に分割したとき同二つの半円状領域のうちの一方の領域である第1領域における同吸気ポート開口の面積が同二つの半円領域のうちの他方の領域である第2領域における同吸気ポート開口の面積よりも大きくなるように形成され、
    前記燃料噴射弁の噴孔は前記第1領域内に配置され、
    前記ピストンは、同ピストンの頂面に形成された凹部であるキャビティ部と同ピストンの頂面に形成された平面部とを備えるとともに、前記シリンダボアの中心軸線方向において前記第1領域に対向する同ピストンの頂面の領域における同キャビティ部の面積が前記第2領域に対向する同ピストンの頂面の領域における同キャビティ部の面積よりも大きくなるように形成され、
    前記第3噴射時期は、同第3噴射時期において前記噴孔から噴射された燃料が、前記シリンダボアの中心軸線方向において前記第2領域に対向する前記ピストンの頂面の領域内の前記平面部に直接衝突するようになる期間に設定された、
    燃料噴射時期制御装置。
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