以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、実施の形態における携帯情報端末1を含む医療情報提供システムSの全体構成を示すブロック図である。医療情報提供システムSは、携帯情報端末1と、携帯情報端末1において表示の対象となる医療情報を記憶し、携帯情報端末1の要求に応じて該当する医療情報を提供するデータベース2とから構成される。
また、携帯情報端末1とデータベース2との間での医療情報のやり取りは、例えば、ブルートゥース(登録商標)等、無線を利用して行われる。一方、データベース2が複数設けられている場合には、これらは、例えば通信ネットワークNによって互いが接続されている。
なお、医療情報提供システムSは、それ自体独立したシステムとして構成されても良いが、例えば、病院情報管理システム(HIS:Hospital Information System)、放射線部門情報管理システム(RIS:Radiological Information System)、医用画像管理システム(PACS:Picture Archiving Communication System)といった医療機関内に構築された各種管理システムの全て、或いは、その一部を構成するようにされていても良い。
携帯情報端末1は、可搬性があり、医師や技師等のユーザが医療行為や様々な処置、読影等の処理の際に使用する機器である。当該携帯情報端末1は、例えば、スマートフォンやタブレット等、その形態はどのようなものであっても良い。また、携帯情報端末1からデータベース2への医療情報の要求、或いは、データベース2から携帯情報端末1への医療情報の提供は、ここでは無線を利用して行われることを前提とする。但し、例えば、通信ネットワークNに携帯情報端末1を接続してデータベース2との間で医療情報のやり取りを行うことを排除するものではない。
データベース2は、医療機関内において発生する多種多様な医療情報を記憶する装置である。データベース2は、例えば、医療機関内に構築される、上述した様々な管理システムを構成しても良く、或いは、単独で設置されていても良い。さらには、クラウドシステムを利用して医療機関外に設けられていても良い。
通信ネットワークNは、データベース2をそれぞれつなぎ、互いの間で、例えば医用画像情報のやりとりを可能とする。なお、図1に示す医療情報提供システムSでは、通信ネットワークNに接続されているのは2つのデータベース2A、2Bのみでその図示を省略しているが、その他例えば、上述したX線CT装置等の医用画像診断装置(モダリティ)や会計システム等が接続されていても良い。
通信ネットワークNの例としては、LAN(Local Area Network)やインターネット等のネットワークを挙げることができる。また、この通信ネットワークNで使用される通信規格は、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)等、いずれの規格であっても良い。
なお、図1に示す医療情報提供システムSでは、携帯情報端末1Aまたは1B(以下、適宜これら複数の携帯情報端末をまとめて「携帯情報端末1」と表わす。)が示され、通信ネットワークNに2つのデータベース2A及び2B(以下、適宜これら複数のデータベースをまとめて「データベース2」と表わす。)が接続されている。但し、携帯情報端末1の数、或いは、通信ネットワークNに接続されるデータベース2の数は単数、或いは複数のいずれでも良く、その数は任意である。
図2は、本発明の第1の実施の形態における携帯情報端末1の内部構成を示すブロック図である。携帯情報端末1は、CPU(Central Processing Unit)1aと、ROM(Read
Only Memory)1bと、RAM(Random Access Memory)1c及び入出力インターフェイス1dがバス1eを介して接続されている。入出力インターフェイス1dには、入力部1fと、表示部1gと、通信制御部1hと、記憶部1iとが接続されている。また、入出力インターフェイス1dには、端末位置取得部10と、表示アプリケーション決定部20と、表示データ決定部30とが接続されている。
CPU1aは、入力部1fからの入力信号に基づいてROM1bから携帯情報端末1を起動するためのブートプログラムを読み出して実行し、記憶部1iに格納されている各種オペレーティングシステムを読み出す。またCPU1aは、入力部1fや入出力インターフェイス1dを介して、図2において図示していないその他の外部機器からの入力信号に基づいて各種装置の制御を行う。さらにCPU1aは、RAM1cや記憶部1i等に記憶されたプログラム及びデータを読み出してRAM1cにロードするとともに、RAM1cから読み出されたプログラムのコマンドに基づいて、医療情報の表示のための処理やデータの計算、加工等、一連の処理を実現する処理装置である。
入力部1fは、携帯情報端末1のユーザ(例えば、医師や技師)が各種の操作を入力するタッチパネル等の入力デバイスにより構成されており、操作者の操作に基づいて入力信号を作成しバス1eを介してCPU1aに送信される。
表示部1gは、例えば液晶ディスプレイである。この表示部1gは、CPU1aからバス1eを介して出力信号を受信し、例えば、医療情報を表示するための複数のアプリケーションを表示させる等、或いはCPU1aの処理結果等を表示する。
通信制御部1hは、LANカードやモデム等の手段であり、携帯情報端末1を無線でインターネットやLAN等の通信ネットワークNに接続することを可能とする手段である。通信制御部1hを介してデータベース2との間で送受信した医療情報(データ)は入力信号または出力信号として、入出力インターフェイス1d及びバス1eを介してCPU1aに送受信される。
記憶部1iは、半導体や磁気ディスクで構成されており、CPU1aで実行されるプログラムやデータが記憶されている。また、携帯情報端末1から要求する医療情報をデータベース2から提供された際に、一旦当該医療情報を記憶させておく。さらに当該医療情報を表示するためのアプリケーションも記憶しておく。
端末位置取得部10は、携帯情報端末1の位置を把握(取得)する。具体的に位置情報を取得する方法としては、例えば、GPS(Global Positioning System)を利用したり、或いは、RFID(Radio Frequency IDentification)を利用して、ユーザが当該携帯情報端末1をどの場所で使用するかを特定する。
表示アプリケーション決定部20は、ユーザが必要とする医療情報を表示するために用いるアプリケーションを決定する。なお、以下において、或いは、図面においては、「表
示アプリケーション決定部20」を「表示アプリ決定部20」と表わす。
表示データ決定部30は、携帯情報端末1を使用してユーザが表示する医療情報(データ)を決定、特定する。表示対象を携帯情報端末1の表示部1gに表示させるアプリケーションのみを決定しても、当該アプリケーションを起動させて表示させることができる医療情報は多岐に亘る可能性が高い。そこで、表示データ決定部30はより具体的にユーザが表示を欲する医療情報を絞り込む。
なお、表示アプリ決定部20、及び、表示データ決定部30の詳しい機能、働きについては、以下、ユーザに対して医療情報を提供(表示)するまでの過程を説明する際に併せて説明する。
図3は、第1の実施の形態における医療情報の提供を行う流れを示すフローチャートである。ユーザから携帯情報端末1に必要な医療情報を表示させるに当たっては、まず、ユーザが当該携帯情報端末1にログインする必要がある。携帯情報端末1では、ユーザのログイン処理において入力された情報(以下、「ログイン情報」と表わす)を取得する(ST1)。
ここで「医療情報」には、患者自身の情報、患者のバイタル情報、或いは、患者に行われた処置やその結果、カルテに関する情報、撮影された医用画像等、医療機関内において取り扱われる様々な情報が含まれる。また、「ログイン情報」には、例えば、携帯情報端末1を使用するユーザのIDや医師、看護師、技師といった属性が含まれる。また、ログインされた日付け等の情報を含めても良く、さらには携帯情報端末1の位置情報も含めても構わない。このように、「医療情報」や「ログイン情報」にどのような情報を含めるかについては、任意に設定する事ができる。
ログイン情報を取得すると、携帯情報端末1では、当該携帯情報端末1が存在する位置に関する情報(以下、適宜「位置情報」と表わす)を端末位置取得部10において取得する。なお、携帯情報端末1の位置情報については、適宜間隔を置いて端末位置取得部10において取得しても、或いは、リアルタイムに携帯情報端末1の位置を計測しても良い。以上で、携帯情報端末1を使用するユーザに関する情報、携帯情報端末1が存在する位置に関する情報が取得されたことになる。
図4は、第1の実施の形態における携帯情報端末1の端末情報を示す一覧である。ここでは、携帯情報端末1の位置情報として「場所」の項目が設けられており、ユーザに関する情報として「ユーザ」の項目が設けられている。
位置情報としての「場所」は、さらに2つの項目「場所1」及び「場所2」に分かれている。「場所1」は、例えば、「病室」や「検査室」、「手術室」といった大まかな位置が示されている。一方、「場所2」においては、さらに詳細な情報、例えば、「場所1」が「病室」である場合に、いずれの病室であるかを示す。図4に示す端末情報では、「病室」として「A101」が示されている。さらに、この携帯情報端末1を使用する「ユーザ」としては、「医師AG」が把握されている。
そしてこれらの情報をまとめて、以下、「端末情報」と適宜表わす。なお、情報の項目としてどのような項目を設けるのかは自由である。また、1つの項目に属する項目の数をいくつ設けるかについては任意である。例えば、「場所」の項目について、さらに詳細な位置に関する情報として「場所3」というように特定することも可能である。この場合、携帯情報端末1の位置を位置情報として把握することが、患者の位置、すなわち患者を特定することにつながる。
ここまでで携帯情報端末1は、上述したような端末情報を取得する。その上で、これら携帯情報端末1の位置情報及びログイン情報から、当該ユーザにおいて利用される可能性のあるアプリケーションを選択して表示させる(ST3)。これは、端末情報を用いて表示アプリ決定部20が表示部1gに表示させる。
例えば、端末情報から医師(読影医)が読影室にいることが把握できた場合には、読影に必要な医療情報である医用画像を表示させるために用いる画像ビューアのアプリケーションをユーザに対して提示する。或いは、端末情報から技師(理学療法士)がリハビリ室にいる場合に携帯情報端末1を使用する場合には、対象となる患者に対してリハビリの内容を説明するための説明資料を表示するべく、表示のためのアプリケーションとしてドキュメントビューアを提示する。
ここでは図4において示したように、医師AGが病室(A101)にいることを前提に以下、さらに説明する。
表示アプリ決定部20は、端末情報を基にデータベース2にアクセスして、「場所」が「病室(A101)」であって、「ユーザ」が「医師(AG)」である情報をもってユーザに提示するアプリケーションについての情報の要求を行う。データベース2では、携帯情報端末1の表示アプリ決定部20からの要求に基づいて、当該位置においてユーザが表示するであろう医療情報(データ)及び該当する医療情報を表示するためのアプリケーションを表示アプリケーションデータテーブル内から取得する。
図5は、第1の実施の形態における表示アプリデータテーブルM1の一例を示す説明図である。表示アプリケーションデータテーブルM1には、例えば、「場所」、「ユーザ」、「アプリケーション」、「データ」の4つの項目が設けられている。例えば、携帯情報端末1からの要求が「診察室にいる診察医」に対して提示するアプリケーションの要求であれば、図5に示す表示アプリデータテーブルM1によればアプリケーションとしては「レポートビューア」を挙げることができる。なお、表示アプリデータテーブルM1に記憶させる項目については、上述した4つの項目に限られず、任意に設定することが可能である。
携帯情報端末1(表示アプリ決定部20)からの要求が、位置情報として「病室」、「ユーザ」として「医師」である場合には、図5に示す表示アプリデータテーブルM1において破線で囲む2つのアプリケーションが挙げられることになる。すなわち、「カルテ」のアプリケーションと「ドキュメントビューア」である。
但し、この段階ではユーザが要求する医療情報をいずれのアプリケーションを利用して表示させるかは不明である。そこで、携帯情報端末1から送られてきた情報に基づいて検索することのできたアプリケーションである「カルテ」と「ドキュメントビューア」とを使用の可能性があるアプリケーションとしてこれらに関する情報を携帯情報端末1へと送り返す。
当該情報を受信した携帯情報端末1では、その表示部1gにユーザが利用する可能性のあるアプリケーションとしてデータベース2から受信した「カルテ」及び「ドキュメントビューア」の2つのアプリケーションを表示する(ST3)。
図6は、第1の実施の形態における携帯情報端末1の表示部1gにおける表示例を示す説明図である。当該表示部1gにおいては、「現在地」として表示部1gの右上に現在携帯情報端末1が存在する位置が示されている。また、画面中央には、上段にユーザに対し
て提示されたアプリケーションの選択を促す文章「アプリケーションを選択して下さい。」が示されている。その下に表示アプリ決定部20が提示するアプリケーションである、「カルテ」と「ドキュメントビューア」とが表示されている。
すなわち、医師が病室にいる状態においては、医師は病室において、カルテを開く、或いは、患者に対して何らかの説明を行う、という状況が予想できる。そこで、携帯情報端末1の位置情報とユーザに関する情報とから、その場所においてその人が利用する可能性の高いアプリケーションを推測し、自動的に表示させる。
このように、携帯情報端末1の表示部1gには、端末情報を基にしたユーザが利用するであろうアプリケーションが単数、または、複数提示される。このことによって、ユーザは表示を求める医療情報を思い浮かべながら適宜自ら適切なアプリケーションを検索することなく、表示されたアプリケーションの中から適切なアプリケーションを決定するだけで医療情報を表示させるに適切なアプリケーションを決定することができる。
特に医用分野においては、X線CT画像の表示に最適なアプリケーション、或いは、心臓の表示に強みを持つアプリケーション、というように、アプリケーションごとに得意とする分野が固定される傾向が強い。このような状況の下では、ユーザ自身が医療情報を表示させる都度、適切なアプリケーションを選択し起動させる、というのは困難な場合もある。従って、携帯情報端末1の方で位置情報とユーザに関する情報から予めアプリケーションを見繕って提示してあげることで、ユーザがアプリケーションの選択に掛ける時間を短くすることができ、結果として作業効率の向上につながるものである。
ユーザはこのように、提示されたアプリケーションの中から自身が欲する医療情報の表示に適切なアプリケーションを選択し、決定する。携帯情報端末1では、当該選択の信号を受信したか否かを判断する(ST4)。図6に示す携帯情報端末1では、表示部1gにおいて表示されたアプリケーションのうち、「ドキュメントビューア」が選択された状態が示されている。この段階で、医師AGは、病室A101に入院している患者に対してドキュメントビューアを利用して何らかの文書(ここでは「説明資料」)を用いる(表示部1gに表示させる)ことを意図していることがわかる。
携帯情報端末1では、さらに、携帯情報端末1の位置情報からユーザ(医師)が対応しようとしている患者に関する情報を取得する(ST5)。なお、患者に関する情報を取得するためのデータテーブルは、データベース2内に記憶されていることから、携帯情報端末1の表示データ決定部30は、データベース2にアクセスして必要な情報を入手する。
図7は、第1の実施の形態における病室データテーブルOの一例を示す説明図である。病室データテーブルOには、「病室」に関する項目と「患者ID」に関する項目とが設けられている。当該病室データテーブルOによって、病室と当該病室に入院している患者とが紐付けられる。
図7に示す病室データテーブルOによると、ここで例に挙げている(携帯情報端末1が存在する)「病室A101」には、「001」と「002」との患者IDを持つ患者が入院していることがわかる。表示データ決定部30はこれら2人の患者の情報を取得する(ST6)。
但し、この段階では、まだ医師AGが病室A101に入院している「患者001」、或いは、「患者002」のいずれに対して説明資料を使用するのかが不明である。そこで、さらに、対象となる患者を特定する(ST7)。表示データ決定部30は、データベース2に対して患者を特定する情報の提供を要求する。ここでは、データベース2は検査デー
タテーブルPから患者を特定する情報を検索し、携帯情報端末1(表示データ決定部30)へと送信する。携帯情報端末1において受信した情報は、例えば記憶部1iに記憶される。
図8は、第1の実施の形態における検査データテーブルPの一例を示す説明図である。当該検査データテーブルPに示されている通り、ここでは4つの項目「検査室」、「日付け」、「患者ID」、及び「検査」に分けて検査に関する情報が記憶されている。「検査室」としては、「CT01」と「XR01」に関する情報が記憶されている。
ここで「CT01」は、X線CT装置を利用した検査を行う第1検査室を示している。一方「XR01」は、X線撮影装置を利用した検査を行う第1検査室を示している。また、「日付け」は、検査が行われた、或いは、行われる予定の日付けである。「検査」は、患者に対して行われる、或いは、行われた検査の内容が示されている。
上述した病室A101に入院している患者「001」或いは「002」のうち、当該検査データテーブルPに記載されている患者は、「001」である。すなわち、図8の破線に囲まれた欄に示されている通り、患者「001」は、検査室「CT01」において、「2012年5月1日」に「造影CT」という検査を受けることがわかる。
表示データ決定部30では、当該検査に関する情報をデータベース2から取得することで、医師AGが病室A101に入院しているどの患者に対してドキュメントビューアを利用使用としているのか、特定することができる。そして、当該患者に関する情報を確定させる(ST8)。
患者に関する情報が確定されると、対象となる検査についても特定される。さらに、当該特定された検査から実際にアプリケーションを利用して表示させる対象が特定される(ST9)。すなわち、表示データ決定部30では、対象となる患者に対して行われる検査に関する情報から、当該検査が行われる際に患者に対して示される(説明される)資料の特定が可能となる。そこで、表示データ決定部30は、データベース2に対して選択されたアプリケーションを利用して表示させる文献(資料)についての情報を要求する(ST10)。
データベース2では、当該要求を受信して、記憶している情報を検索する。図9は、第1の実施の形態における説明資料データテーブルQの一例を示す説明図である。説明資料データテーブルQには、「検査」と当該検査が行われる際に医師が患者に検査の説明をする際に用いる「説明資料」が紐付けられて記憶されている。
例えば、患者「001」が受ける予定にしている検査は「造影CT」の検査であり、患者「001」が当該検査を受ける場合には、「造影剤の副作用について」という説明資料を用いて事前に医師から説明を受ける。
そこで、医師AGが病室A101に入院している患者「001」に対して検査を行う場合には、事前に説明を行う。この際には、携帯情報端末1を使用してドキュメントビューアを起動させ、表示部1gに造影剤の副作用について説明している説明資料を表示させながら説明を行う(ST11)。
このように、表示アプリ決定部20にてユーザが利用する可能性のあるアプリケーションを携帯情報端末の位置情報とユーザに関する情報とから特定するが、このままでは、当該特定されたアプリケーションを利用して表示される医療情報の限定、特定までには至らないことも多い。上述したように、近年医療情報の量は膨大となり、多様化していきてお
り、同じアプリケーションを利用して表示が可能となる医療情報は膨大な数にのぼるからである。そこで、表示データ決定部30は特定されたアプリケーションを利用する医療情報の中からさらに一層実際にユーザが表示を望んでいる医療情報を限定、特定する役割を果たす。
以上説明したように、携帯情報端末の位置情報と当該携帯情報端末を使用するユーザに関する情報とから、ユーザが使用する可能性のあるアプリケーションを提示するとともに、選択されたアプリケーションを利用してユーザが必要とする医療情報を表示させる。従って、使用される医療現場において最適な医療情報を表示させるべく適切なアプリケーションを適宜決定することによって、携帯情報端末の持つメリットを最大限生かしつつ膨大な医療情報を簡易ながらも十分に使用することで医療現場における作業効率の向上を図ることができる携帯情報端末及び医療情報提供システムを提供することができる。
また、携帯情報端末の位置情報とユーザに関する情報とから利用される可能性の高いアプリケーションを提示するため、医療現場において必要とされる医療情報が遅滞なく表示されることになり、結果として処置や処方といった医療行為の効率化を図ることが可能となる。
なお、以上においては医師が病室にいることを前提として様々説明を行ってきたが、当然携帯情報端末は病室のみで使用されるわけではなくその可搬性の良さもあり、検査室、処置室、読影室、リハビリ室、或いは、診察室というように様々な場所で使用される。従って位置情報やユーザに関する情報から利用するアプリケーションを検索して提示されるアプリケーションの種類は当然異なるが、ログイン情報の取得から必要とする医療情報の表示までの流れは、携帯情報端末をいずれの場所において使用しても変化しない。
(第2の実施の形態)
次に本発明における第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態において、上述の第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
携帯情報端末とデータベース2とによって医療情報提供システムSが構成されることは第1の実施の形態と同様である。但し、携帯情報端末の内部構成、及び、医療情報の提供を行う流れが相違する。
図10は、第2の実施の形態における携帯情報端末1Aの内部構成を示すブロック図である。携帯情報端末1Aの基本的な構成は第1の実施の形態における携帯情報端末1と同様であるが、新たに現在時刻取得部40が追加されている点に特徴がある。現在時刻取得部40は、ユーザが携帯情報端末1Aを使用するためにログインした際の日時を取得する機能を備えている。
図11、及び、図12は、第2の実施の形態における医療情報の提供を行う流れを示すフローチャートである。携帯情報端末1Aを使用するユーザが携帯情報端末1Aにログインを行うとともに、ログイン情報を取得した携帯情報端末1Aが自機の位置情報を取得するステップは、これまで説明した通りである。
その結果、携帯情報端末1Aが取得した端末情報は、次の通りである。図13は、第2の実施の形態における携帯情報端末1Aの端末情報を示す一覧である。ここで取得された端末情報としては、まず場所(位置情報)は、「病室 A101」である。ユーザは、「看護師XY」である。また、日付けは「2012年5月3日」となっている。
このような端末情報を取得し、携帯情報端末1Aは、看護師XYが表示させたい医療情報のために利用されるアプリケーションを提示するとともに、当該医療情報がいずれの患者に対する情報であるか特定するために、患者を特定する(ST3ないしST8)。ここまでは、第1の実施の形態において説明した通りである。なおここでは、看護師XYが担当する患者は、「A405病室」に入院している患者IDが「086」であるとする。
次に、特定された患者の情報から、当該患者に関するクリティカルパスを特定する(ST21)。ここで「クリティカルパス」とは、医師や看護師等からなるチームが、例えば特定の疾患等について共同で作業していく内容を時間軸に沿ってまとめた、いわば治療計画書である。
図14は、第2の実施の形態におけるクリティカルパスデータテーブルRの一例を示す説明図である。クリティカルパスデータテーブルRには、各患者に関するクリティカルパスが規定されている。すなわち、例えば、病室A405に入院している患者「086」については、「心臓カテーテル」についてのクリティカルパスである。
さらに、現在時刻取得部40は、ログイン情報から時間情報を確認する(ST22)。看護師XYが携帯情報端末1Aにログインした日付けは、上述したように、「2012年5月3日」である。
なお、ここでの説明では、現在時刻取得部40は時間情報として時分までは確認していないが、時分まで確認するように設定されていても良い。特に患者の手術当日等、時間単位、分単位で患者が移動する、患者に対して処置しなければならないといった場合には、時分まで確認できるとより有効である。
現在時刻取得部40は、さらに、取得した時間情報を基に、イベント情報を確認する(ST23)。イベント情報は、イベントカレンダーデータテーブルに記憶されている。図15は、第2の実施の形態におけるイベントカレンダーデータテーブルTの一例を示す説明図である。イベントカレンダーデータテーブルTには、3つの項目が設けられており、それぞれ「患者ID」、「イベント」及び「予定日付け」である。図15においては、ここでの説明の対象として挙げている患者「086」の各イベントが分かるように示されている。ここでは患者「086」が2012年4月24日に入院してから、検査、手術を経て、2012年5月15日に退院するまでのイベントが示されている。
現在時刻取得部40は、さらに、イベント情報の日付けのうち、時間情報による日付けより前で、直近の日付けを確認する(ST24)。これは、現在の患者「086」がどのような状態にあるのかを把握するための確認である。従って、上述したように時間情報から把握される時間(日付け)は、「2012年5月3日」である。一方、イベントカレンダーデータテーブルTにおけるイベントであって、「2012年5月3日」よりも前で直近の日付けは、「2012年5月1日」であり、この日に患者「086」は、手術を行っている。
現在時刻取得部40は、時間情報による日付けと直近のイベントの日付けとを比較して経過日を算出する(ST25)。すなわち、イベントが行われた日から看護師XYがログインした日まで何日経過しているかを算出するものである。上述した例であれば、手術は「2012年5月1日」に行われ、時間情報が示す日付けは「2012年5月3日」であることから、「2012年5月3日」現在、手術というイベントから患者「086」は2日経過した状態にある、ということになる。
さらに、表示データ決定部30がユーザ情報、位置情報、確認されたクリティカルパス
、及び算出された経過日を基に、表示アプリデータテーブルM2において該当する項目を抽出する(ST26)。ここで挙げている例では、看護師XYが「2012年5月3日」に病室A405においてログインし、看護師XYの医療行為の相手は患者「086」である。また、クリティカルパスは「心臓カテーテル」であって、イベントである手術からの経過日は2日である。
図16は、第2の実施の形態における表示アプリデータテーブルM2の一例を示す説明図である。ここでの「表示アプリデータテーブルM2」は、クリティカルパスに従って規定されている。
当該表示アプリデータテーブルM2によれば、病室において看護師が心臓カテーテルを行った患者に対する場合については、2つの場合が考えられる。一方は起点となるイベントが「手術後」であって、経過日が「1〜3日」であるのに対し、他方は起点イベントは同じ「手術後」であるが、経過日は「10日〜15日」である。従って、看護師XYが手術後2日の患者「086」に携帯情報端末1Aを使用して対応する場合には、図16に矢印に示すように、提示されるアプリケーションは「看護」であり、表示されるデータ(医療情報)は、「点滴記録」となる。
そこで、表示アプリデータテーブルM2から抽出された項目を基に表示対象となり得る医療情報を特定し(ここでは、「点滴記録」である)(ST27)、アプリケーション(看護)を起動して点滴記録を表示させる(ST11)。
以上説明したように、携帯情報端末の位置情報と当該携帯情報端末を使用するユーザに関する情報とから、ユーザが使用する可能性のあるアプリケーションを提示するとともに、選択されたアプリケーションを利用してユーザが必要とする医療情報を表示させる。
従って、使用される医療現場において最適な医療情報を表示させるべく適切なアプリケーションを適宜決定することによって、携帯情報端末の持つメリットを最大限生かしつつ膨大な医療情報を簡易ながらも十分に使用することで医療現場における作業効率の向上を図ることができる携帯情報端末及び医療情報提供システムを提供することができる。
特に第2の実施の形態においては、表示データ決定部30における表示対象となる医療情報の絞り込みの際に時間情報をも利用することによって、よりきめ細かく表示対象となる医療情報を表示させるためのアプリケーションの提示をユーザに対して行うことが可能となる。時間情報は、クリティカルパスと親和性が高いと考えられることからクリティカルパスと絡めて利用する形態を説明したが、もちろん、第1の実施の形態においても時間情報を利用してユーザに対して提示するアプリケーションを選択することも可能である。
(第3の実施の形態)
次に本発明における第3の実施の形態について説明する。なお、第3の実施の形態において、上述の第1、或いは第2の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
携帯情報端末とデータベース2とによって医療情報提供システムSが構成されることは第1の実施の形態と同様である。但し、携帯情報端末の内部構成、及び、医療情報の提供を行う流れが相違する。
図17は、第3の実施の形態における携帯情報端末1Bの内部構成を示すブロック図である。基本的な構成は、第1の実施の形態における携帯情報端末1と同様であるが、「アプリ間連携情報部50」が付加されている。
「アプリ間連携情報部50」は、ユーザに対して医療情報を表示させるに適切なアプリケーションを提示する際に、提示の対象となるアプリケーションのみならず、当該アプリケーションと連携するアプリケーションを検索して併せて提示する機能を備えている。
もともと携帯情報端末1Bはユーザに対してアプリケーションを提示する機能を備えているが、さらに当該アプリケーションと連携するアプリケーション(以下、適宜「連携アプリケーション」と表わす)を検索し、連携アプリケーションによって表示可能な医療情報も併せて表示させることによって、ユーザはもともと必要とする医療情報のみならず、当該医療情報に関連する医療情報をも表示させることができる。
図18は、第3の実施の形態における医療情報の提供を行う流れを示すフローチャートである。携帯情報端末1Bを使用するユーザが携帯情報端末1Bにログインを行うとともに、ログイン情報を取得した携帯情報端末1Bが自機の位置情報を取得するステップは、これまで説明した通りである(ST1及びST2)。
その結果、携帯情報端末1Bが取得した端末情報は、次の通りである。図19は、第3の実施の形態における携帯情報端末1Bの端末情報を示す一覧である。ここで取得された端末情報としては、まず場所(位置情報)は、「読影室」である。なお、位置情報としては、「場所1」のみであり、「場所2」についての位置情報は設定がなく端末位置取得部10において取得されていない。もちろん、例えば読影室が複数ある場合には、「場所2」としてさらに詳細な位置情報に関する設定がなされていても良い。
ユーザは、「読影医FN」である。また、日付けは「2012年4月27日」となっている。このような端末情報を取得し、携帯情報端末1Bは、読影医FNが表示させたい医療情報のために利用されるアプリケーションを提示する(ST3及びST4)。ここまでは、第1の実施の形態において説明した通りである。
このようにユーザである読影医FNは、読影処理を行うに当たって、携帯情報端末1Bが提示したアプリケーションの中から適切なアプリケーションを選択する。携帯情報端末1Bでは、選択されたアプリケーションに関する情報を取得する。
図20は、第3の実施の形態における表示アプリデータテーブルM3の一例を示す説明図である。携帯情報端末1Bが提示しユーザである読影医FNが選択したアプリケーションは、図20に破線で囲まれた「画像ビューア」である。これまでの実施の形態においては、アプリケーションとして例えば「画像ビューワ」が選択されたことを表示アプリ決定部20が確認すると、表示データ決定部30が当該選択されたアプリケーションを利用して表示する医療情報を絞り込む役割を果たしていた。
第3の実施の形態においては、当該表示データ決定部30が表示対象となる医療情報の絞り込みの処理を行う前に、アプリ間連携情報部50が選択されたアプリケーションが表示する予定の医療情報に関連する医療情報(データ)があるか否かを検索する。すなわち、アプリ間連携情報部50は、選択されたアプリケーションによって表示される予定の医療情報に関連のある医療情報(以下、このような医療情報を適宜「連携データ」と表わす。)が連携データテーブル内に記憶されていないか、検索を行う(ST31)。
図21は、第3の実施の形態における連携データテーブルUの一例を示す説明図である。アプリ間連携情報部50は、データベース2にアクセスして連携データの検索要求をデータベース2に出す。データベース2では、ユーザによって選択されたアプリケーションによって表示される予定の医療情報に関連する連携データがあるか否か連携データテーブ
ルUを検索の上、結果をアプリ間連携情報部50へと送信する。
ここでは、ユーザである読影医FNによって「画像ビューア」がアプリケーションとして選択されている(図20参照)。従って、表示予定の医療情報は「画像」となる。アプリ間連携情報部50では当該選択された「画像ビューア」の情報を基に、さらに連携データの有無の検索をデータベース2に要求する。データベース2では、連携データテーブルU内を検索する。図21に示す連携データテーブルUをみると、「アプリケーション」という項目と「連携データ」の2つの項目が設けられている。
「アプリケーション」とは、ユーザが選択したアプリケーションを示している。一方「連携データ」は、選択されたアプリケーションにおいて表示予定の医療情報に関連する可能性のあるデータ(連携データ)を示している。連携データテーブルUによれば、「アプリケーション」として「画像ビューア」が選択されると、2つの「連携データ」が検索される。すなわち、「画像・レポート連携データ」及び「画像・カルテ連携データ」の2つの連携データである。このうち前者、「画像・レポート連携データ」からは、画像ビューワに連携するアプリケーションが「レポートビューア」であることが理解できる。一方、後者の「画像・カルテ連携データ」からは、画像ビューアに連携するアプリケーションが「カルテ」である。
次にこれら把握される連携するアプリケーションを基に、連携データを検索する(ST32)。図22は、第3の実施の形態における使用データテーブルの一例を示す説明図である。使用データテーブルVによると、選択された画像ビューアに連携する連携データのうち、最近使用されたデータがアプリケーションごとに示されている。すなわち、項目として「アプリケーション」と「最近使用したデータ」の2つがあるが、「アプリケーション」とは、連携データテーブルUにおいて把握される、選択されたアプリケーションに連携するアプリケーションを示している。
上述した例に沿って言えば、「画像ビューア」に連携するアプリケーションである「カルテ」或いは、「レポートビューア」を利用して使用されたデータ(連携データ)がそれぞれ示されている。例えば、「カルテ」については、2種類のカルテ(カルテID「001」と「101」)が医療情報として使用、或いは、表示されている。また「レポートビューア」については、レポートID「00256」のレポートが作成、或いは表示等されている。
さらに、データベース2では、最近使用されたデータを基に、当該連携データの詳細について検索する。連携するアプリケーションとしては、「カルテ」と「レポートビューア」とが把握され、それぞれのアプリケーションを利用して使用、表示等された医療情報もそれぞれ連携データとして把握される。そこで、アプリ間連携情報部50は、さらにデータベース2に対して把握された連携データの詳細を検索するよう、要求する。
ここでは「レポートビューア」を例に挙げて説明する。図23は、第3の実施の形態におけるレポート状況データテーブルWの一例を示す説明図である。「レポートビューア」を利用して使用、表示等された連携データとして、使用データテーブルVからレポートID「00256」のレポートが把握されている。そこで、データベース2は、レポートが記憶されている、レポート状況データテーブルWを検索する。図23に示されているように、レポートIDが「00256」のレポートについては、「画像ID:I01256」という画像が用いられており、さらに「確定状況」として「未確定」とされている。
ここで「画像ID」とは、レポート内で使用されている画像のIDである。また、「確定状況」とは、読影医がレポートを作成する過程におけるレポートの内容の確定の有無を
示すものである。従って、未だ書き上げていない場合は「未確定」、レポートの作成が終了して今後当該レポートの内容に変更がない場合、ドラフトではない場合が「確定」となる。
従って、ここで挙げた例に沿って説明すると、ユーザである読影医FNが選択した画像ビューアを利用して、例えば、レポートにおいて使用されている「画像ID:I01256」の画像を携帯情報端末1Bの表示部1gに表示させる(ST33)。併せて、連携するアプリケーションである「レポートビューア」を起動して、「レポートID:00256」のレポートをも表示させることができる。或いは、図を用いて説明していないが、連携するアプリケーションである「カルテ」を起動して、2種類のカルテ(カルテID「001」と「101」)のいずれかを表示させることも可能である。
以上説明したように、携帯情報端末の位置情報と当該携帯情報端末を使用するユーザに関する情報とから、ユーザが使用する可能性のあるアプリケーションを提示するとともに、選択されたアプリケーションを利用してユーザが必要とする医療情報を表示させる。
従って、使用される医療現場において最適な医療情報を表示させるべく適切なアプリケーションを適宜決定することによって、携帯情報端末の持つメリットを最大限生かしつつ膨大な医療情報を簡易ながらも十分に使用することで医療現場における作業効率の向上を図ることができる携帯情報端末及び医療情報提供システムを提供することができる。
特に第3の実施の形態において説明した機能を利用することで、ユーザが選択したアプリケーションを利用して表示させる医療情報のみならず、当該アプリケーションに連携するアプリケーションを通して連携する医療情報までも表示させることが可能となる。
このようにユーザがそもそも希望する医療情報以外に関連する医療情報までも併せて表示させることが可能となるため、仮にユーザが思いつかなくとも基本となる医療情報のみ要求すれば、自動的に関連する医療情報まで表示されることになる。従って、医師等が活動を行う際に豊富な情報を自動的に把握することができ、患者に対して提供することができる医療情報が増えるとともに、作業効率の向上に一層資することになる。
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。例えば、説明の都合上、3つの実施の形態に分けて説明しているが、これらを適宜自由に組み合わせて実施することも当然可能である。また、医療情報を表示させるアプリケーションについては、携帯情報端末の内部に備えていることを前提に説明を行ったが、データベース2内に記憶されていても、或いは、Webアプリのように医療情報提供システムの外に置かれていても良い。
この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。