JP6169476B2 - 乗物用シート - Google Patents

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本発明は、乗物用シートに関し、着座者を拘束可能なシートベルトと、シートベルトに留められているタングプレートと、タングプレートを装着可能なバックルと、から成るシートベルト装置を備えている乗物用シートに関する。
従来、この種の乗物用シートとして、例えば、特許文献1に開示されている技術が既に知られている。この技術では、乗物用シートのシートクッションに対するシートバックの傾き角度を調整するリクライナは、ヒンジカバーによって覆われている。このヒンジカバーのフランジには、シートベルト装置のバックルを配置可能な切欠が形成されている。これにより、バックルを切欠に配置できるため、シートベルト装置を使用していないとき、このバックルがシートバックの座面に放置されることを防止できる。したがって、乗物用シートの見栄えを高めることができる。
特開2006−88743号公報
しかしながら、上述した特許文献1の技術では、バックルを切欠に配置したときでも、単なる配置である。そのため、切欠に配置したバックルの位置決め性が悪いものとなっていた。すなわち、切欠の中でバックルにグラツキ等が生じてしまうこととなっていた。特に、バックルがウェビングを介してアンカーに組み付けられている場合、この位置決め性が顕著に悪いものとなっていた。
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、バックルの位置決め性を高めることができる乗物用シートを提供することである。
本発明は、上記の目的を達成するためのものであって、以下のように構成されている。
請求項1に記載の発明は、着座者が着座するシートクッションと、着座者を拘束可能なシートベルトに留められているタングプレートを装着可能なバックルと、シートクッションにバックルがタングプレートの装着側の反対側から収納可能な凹部と、を備えており、シートクッションを構成するクッションフレームは、外面をシールドによって覆われ、シールドは、面部と、面部の周縁から面部と交差する方向に延びるフランジと、を有し、フランジは、バックル係止可能なフランジ側係合部を有する一方、バックルは、フランジ側係合部に係止可能なバックル側係合部を有しており、バックルが凹部に収納されるとき、バックル側係合部フランジ側係合部に係合させられる構成である。
この構成によれば、バックルがクッションフレーム側の部材に保持されるため、このバックルにグラツキが生じることがない。したがって、バックルの位置決め性を高めることができる。

また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の乗物用シートであって、前記フランジは、その縁部から前記面部に向かって少なくとも2つの切欠溝を備え、前記フランジ側係合部は前記切欠溝の間に設けられる略L字状の引掛部である一方、前記バックル側係合部は、前記引掛部と係止可能な引掛孔である構成である。
この構成によれば、バックルを凹部に収納した後、バックルを押し込むことで引っ掛け状態を抜け難くできる。
本発明の実施例に係るベンチシートの斜視図である。 図1の主要部の拡大図である。 図2のシールドの拡大図である。 図2のバックルの拡大図である。 図2の左シートベルト装置の使用状態を示す図である。 図1において、各シートベルト装置を使用した状態を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜6を用いて説明する。なお、以下の説明にあたって、『乗物用シート』の例として、『自動車の後部に設けられる3人掛けのシート、所謂、ベンチシート1』を説明することとする。また、以下の説明にあたって、上、下、前、後、左、右とは、上述した図に記載した、上、下、前、後、左、右の方向、すなわち、自動車の後部に設けた状態のベンチシート1を基準にしたときの上、下、前、後、左、右の方向を示している。
まず、図1を参照して、ベンチシート1の構成を説明する。このベンチシート1は、例えば、主として、シートクッション2と、シートバック3とから構成されている。このベンチシート1は、3人掛けであるため、左から左席4、内席5、右席6の順に隣り合った格好となっている。
このように3人掛けであるため、このベンチシート1には、左席4、内席5、右席6のためのシートベルト装置が3セット備えられている。すなわち、このベンチシート1には、左シートベルト装置7、内シートベルト装置8(図1において、シートベルト70がリトラクターに巻き取られているため、図示しない)、右シートベルト装置9が備えられている。以下に、これらシートクッション2と、シートバック3と、左シートベルト装置7、内シートベルト装置8、右シートベルト装置9とを個別に説明していく。
まず、シートクッション2から説明していく。シートクッション2は、左席4、内席5、右席6のものが一体を成す格好となっており、主として、左右に対を成すシートクッションフレーム(図示しない)と、このシートクッションフレームに包着状に組み付けられるシートクッションパッド(図示しない)と、このシートクッションパッドの表面をカバーリングするシートクッションカバー14とから構成されている(図1参照)。
このシートクッションフレームは、左のサイドフレーム(図示しない)と、右のサイドフレーム(図示しない)と、フロントフレーム(図示しない)と、リアフレーム(図示しない)とから、略矩形枠状に形成されている。この左右のサイドフレームには、シートクッション2に対するシートバック3の傾き角度を調整可能なリクライナ(図示しない)をそれぞれ組み付けるための左右のロアパネル(左のロアパネルは図示しない)10fが組み付けられている。
この左右のロアパネル10fには、その外面を覆う目隠しカバーを成す左右のシールド20、22が組み付けられている。これにより、左右のロアパネル10fおよびリクライナが露出しないため、シートクッション2の意匠性を高めることができる。また、この左右のロアパネル10fには、互いを橋渡すようにパイプフレーム(図示しない)が組み付けられている。
また、このシートクッションパッドのうち左席4に対応する位置には、後述する内シートベルト装置8を使用していない状態のサブバックル74をサブウェビング74aと共に収納可能な第1の凹部12aが形成されている(図1参照)。これと同様に、このシートクッションパッドのうち内席5に対応する位置には、後述する左シートベルト装置7のバックル64をウェビング(図示しない)と共に収納可能な第2の凹部12bが形成されている。
また、これと同様に、このシートクッションパッドのうち内席5に対応する位置には、後述する内シートベルト装置8を使用していない状態のメインバックル78をメインウェビング(図示しない)と共に収納可能な第3の凹部12cが形成されている。また、これと同様に、このシートクッションパッドのうち内席5に対応する位置には、後述する右シートベルト装置9のバックル84をウェビング(図示しない)と共に収納可能な第4の凹部12dが形成されている。
ここで、図3を参照して、左席4の右のシールド22について詳述すると、この右のシールド22は、その左側(内側)に向けてフランジ22aを有するカバー状に形成されている。この図3からも明らかなように、このフランジ22aの前端(先端)の右側(外側)は、切り欠かれた状態となっている。
すなわち、このフランジ22aの前端(先端)の右側(外側)には、切欠22bが形成されている。なお、この切欠22bは、シートクッション2の第2の凹部12bに対応する位置に形成されている。また、このフランジ22aの前端の左側は、前後に隣り合うように略L字状を成す切欠溝22cが2個形成されている。
このように切欠溝22cが2個形成されているため、この2個の切欠溝22cの間には、略L字を成す引掛部22dが形成されていることになる。右のシールド22は、このように構成されている。この右のシールド22が、特許請求の範囲に記載の「シールド」に相当する。なお、右席6の左のシールド20も、この左席4の右のシールド22と左右対称に構成されている。シートクッション2は、このように構成されている。
次に、シートバック3を説明する。シートバック3は、主として、左席4と内席5のものであるメインシートバック30と、このメインシートバック30に対して別体を成し右席6のものであるサブシートバック32とから構成されている。そのため、このメインシートバック30は、シートバック3のうちの6割を成すように構成されており、このサブシートバック32は、シートバック3のうちの残りの4割を成すように構成されている。
このメインシートバック30は、周知のものであり、主として、メインシートバックフレーム(図示しない)と、このメインシートバックフレームに包着状に組み付けられるメインシートバックパッド(図示しない)と、このメインシートバックパッドの表面をカバーリングするメインシートバックカバー44とから構成されている。このメインバックフレームの左右のサイドフレームは、リクライナを介して、シートクッション2の左席4の左右のロアパネル10fに組み付けられている。これにより、シートクッション2に対して左席4と内席5との傾き角度を調整できる。
また、このサブシートバック32も、周知のものであり、主として、サブシートバックフレーム(図示しない)と、このサブシートバックフレームに包着状に組み付けられるサブシートバックパッド(図示しない)と、このサブシートバックパッドの表面をカバーリングするサブシートバックカバー54とから構成されている。このサブバックフレームの左右のサイドフレームも、リクライナを介して、シートクッション2の右席6の左右のロアパネルに組み付けられている。これにより、シートクッション2に対して右席6の傾き角度を調整できる。シートバック3は、このように構成されている。
次に、左シートベルト装置7を説明する。左シートベルト装置7は、主として、着座者を拘束可能なシートベルト60と、シートベルト60の長手方向の途中に引っ掛けられているタングプレート62と、タングプレート62を装着可能なバックル64とから構成されている。シートベルト60の一端は、メインシートバック30の外側の下端に組み付けられ、同他端は、メインシートバック30の外側の肩口のリトラクター30aに巻き取られている。
バックル64は、図2、4に示すように、ウェビング64aとアンカー64bとを介して左席4の右のロアパネル10fに組み付けられている。このとき、このバックル64はウェビング64aと共に第2の凹部12bに収納されている。なお、この図4からも明らかなように、バックル64の下半分とウェビング64aとは、軟性を有する合成樹脂から成るブーツ66によって覆われた状態となっている。
このブーツ66の側面には、左席4の右のシールド22の引掛部22dに引っ掛け可能な引掛孔66aを有するフック66bが形成されている。そのため、このバックル64をウェビング64aと共に第2の凹部12bに収納したとき、この収納したバックル64を覆うブーツ66のフック66bの引掛孔66aを右のシールド22の引掛部22dに引っ掛けることができる(図2参照)。この記載が、特許請求の範囲に記載の「バックルは、シートクッションのクッションフレーム側の部材に対して係合可能となっている」に相当する。
このとき、図2〜3から明らかなように、引掛部22dは略L字状を成しているため、ブーツ66のフック66bの引掛孔66aを右のシールド22の引掛部22dに引っ掛けた後、この引っ掛け状態のまま、ブーツ66を後ろに向けて押し込むことができる。したがって、右のシールド22の引掛部22dの先端がブーツ66のフック66bに干渉するため、この引っ掛け状態を抜け難くできる。
そして、乗員が左席4に着座した状態で、リトラクター30aからシートベルト60を引き出し、この引き出したシートベルト60のタングプレート62をバックル64に装着すると、左席4に着座した乗員を拘束できる(図5〜6参照)。なお、バックル64に設けられている解除ボタン64cを押すと、このバックル64に対するタングプレート62の装着が解消されるため、この左席4に着座した乗員の拘束を解消できる。左シートベルト装置7は、このように構成されている。この左シートベルト装置7のバックル64が、特許請求の範囲に記載の「バックル」に相当する。
次に、内シートベルト装置8を説明する。内シートベルト装置8は、周知のものであり、主として、着座者を拘束可能なシートベルト70と、シートベルト70の一端に留められているサブタングプレート72と、サブタングプレート72を装着可能なサブバックル74と、シートベルトの長手方向の途中に引っ掛けられているメインタングプレート76と、メインタングプレート76を装着可能なメインバックル78とから構成されている。シートベルト70の他端は、天井に埋め込まれているリトラクター(図示しない)に巻き取られている。
サブバックル74は、サブウェビング74aとサブアンカー(図示しない)とを介してパイプフレームのブラケット(いずれも図示しない)に組み付けられている。なお、このサブバックル74は、図1からも明らかなように、サブウェビング74aと共に第1の凹部12aに収納可能となっている。
一方、メインバックル78は、メインウェビング(図示しない)と共に第3の凹部12cに収納されている。そして、乗員が内席5に着座した状態で、サブバックル74と共にサブウェビング74aを第1の凹部12aから引き出し、さらに、メインバックル78と共にメインウェビングを第3の凹部12cから引き出す。その後、これら引き出し状態のまま、リトラクターから引き出したシートベルト70のサブタングプレート72をサブバックル74に装着し、さらに、メインタングプレート76をメインバックル78に装着すると、内席5に着座した乗員を拘束できる(図6参照)。
なお、サブバックル74およびメインバックル78にそれぞれ設けられている解除ボタン(図示しない)を押すと、これらサブバックル74およびメインバックル78に対するサブタングプレート72およびメインタングプレート76の装着が解消されるため、この内席5に着座した乗員の拘束を解消できる。内シートベルト装置8は、このように構成されている。
最後に、右シートベルト装置9を説明する。右シートベルト装置9も、主として、着座者を拘束可能なシートベルト90と、シートベルト90の長手方向の途中に引っ掛けられているタングプレート92と、タングプレート92を装着可能なバックル94とから構成されている。シートベルト90の一端は、サブシートバック32の外側の下端に組み付けられ、同他端は、サブシートバック32の外側の肩口のリトラクター32aに巻き取られている。
バックル94は、ウェビングとアンカー(いずれも図示しない)を介して右席6の左のロアパネルに組み付けられている。このとき、このバックル94はウェビングと共に第4の凹部12dに収納されている。なお、このバックル94の下半分とウェビングも、軟性を有する合成樹脂から成るブーツ(図示しない)によって覆われた状態となっている。このブーツも、左シートベルト装置7のブーツ66と左右対称に構成されている。そのため、このバックル94をウェビングと共に第4の凹部12dに収納したとき、この収納したバックルのブーツも、左シートベルト装置7のバックル64のブーツ66と同様に、右席6の左のシールド20に引っ掛けることができる。
そして、乗員が右席6に着座した状態で、リトラクター32aからシートベルト90を引き出し、この引き出したシートベルト90のタングプレート92をバックル94に装着すると、右席6に着座した乗員を拘束できる(図6参照)。なお、バックル94に設けられている解除ボタン(図示しない)を押すと、このバックル94に対するタングプレート92の装着が解消されるため、この右席6に着座した乗員の拘束を解消できる。右シートベルト装置9は、このように構成されている。
これらシートクッション2と、シートバック3と、左シートベルト装置7、内シートベルト装置8、右シートベルト装置9とからベンチシート1は構成されている。
本発明の実施例に係るベンチシート1は、上述したように構成されている。この構成によれば、シートクッション2の左席4の右のシールド22のフランジ22aには、引掛部22dが形成されている。また、左のシートベルト装置7のバックル64の下半分を覆うブーツ66には、引掛部22dに引っ掛け可能な引掛孔66aを有するフック66bが形成されている。そのため、このバックル64をウェビング64aと共に第2の凹部12bに収納したとき、この収納したバックル64を覆うブーツ66のフック66bの引掛孔66aを右のシールド22の引掛部22dに引っ掛けることができる。したがって、バックル64が右のシールド22に保持されるため、このバックル64にグラツキが生じることがない。結果として、バックル64の位置決め性を高めることができる。このことは、右シートベルト装置9のバックル94においても同様である。
また、この構成によれば、ブーツ66のフック66bの引掛孔66aを引っ掛ける引掛部22dは、右のシールド22に形成されている。そのため、右のシールド22に引掛部22dを形成するといった簡単な加工のみで、ブーツ66のフック66bの引掛孔66aを引っ掛けることができる。したがって、既存の右のシールド22を流用できるため、新たな、部材等を必要とすることなく、バックル64の位置決め性を高めることができる。このことは、右シートベルト装置9のバックル94においても同様である。
また、この構成によれば、ブーツ66のフック66bの引掛孔66aを引っ掛ける引掛部22dは、右のシールド22のフランジ22aに形成されている。そのため、フランジ22aに引掛部22dを形成するといったより簡単な加工のみで、ブーツ66のフック66bの引掛孔66aを引っ掛けることができる。したがって、既存の右のシールド22のフランジ22aを流用できるため、新たな、部材等を必要とすることなく、バックル64の位置決め性を高めることができる。このことは、右シートベルト装置9のバックル94においても同様である。
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施の形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。
実施例では、『乗物用シート』の例として、『ベンチシート1』を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、『乗物用シート』は、各種の乗物のシート、例えば、『船舶のシート』、『飛行機のシート』、『鉄道車両のシート』等であっても構わない。もちろん、3人掛けに限ることなく、1人掛け、2人掛けのシートでも構わない。
実施例では、バックル64を右のシールド22に引っ掛ける形態を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、バックル64を右のサイドフレームや右のロアパネル10fに引っ掛ける形態でも構わない。また、この引っ掛けは、汎用の構造(矢尻構造)であっても構わない。
1 ベンチシート(乗物用シート)
2 シートクッション
7 左シートベルト装置(シートベルト装置)
22 右のシールド
22a フランジ
60 シートベルト
62 タングプレート
64 バックル

Claims (2)

  1. 着座者が着座するシートクッションと、
    前記着座者を拘束可能なシートベルトに留められているタングプレートを装着可能なバックルと、
    前記シートクッションに前記バックルが前記タングプレートの装着側の反対側から収納可能な凹部と、
    を備えており、
    前記シートクッションを構成するクッションフレームは、外面をシールドによって覆われ、
    前記シールドは、面部と、前記面部の周縁から前記面部と交差する方向に延びるフランジと、を有し、
    前記フランジは、前記バックル係止可能なフランジ側係合部を有する一方、前記バックルは、前記フランジ側係合部に係止可能なバックル側係合部を有しており、
    前記バックルが前記凹部に収納されるとき、前記バックル側係合部前記フランジ側係合部に係合させられる乗物用シート。
  2. 請求項1に記載の乗物用シートであって、
    前記フランジは、その縁部から前記面部に向かって少なくとも2つの切欠溝を備え、前記フランジ側係合部は前記切欠溝の間に設けられる略L字状の引掛部である一方、前記バックル側係合部は、前記引掛部と係止可能な引掛孔である乗物用シート。
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