JP6169431B2 - 射出成形金型 - Google Patents

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Description

本発明は、ピンポイントゲート形式の射出成形金型におけるピンポイントゲートのゲート形状に関する。
従来、プラスチックの射出成形金型構造の一つに、ピンポイントゲート(以降、ピンゲートと称する)形式を取った3枚型構造のものがある。ピンゲート形式の金型は、金型構造は複雑になるが、ゲート残りを小さくし、ゲートカットを不要とすることができることから、比較的多用されている金型である。
このピンゲート形式の射出成形金型において、ゲート残りを小さくし、ゲートカットを不要とする技術は、従来から、様々な技術が提案されている。(例えば、下記の特許文献1)
以下、特許文献1に示された技術について、図11〜図13を用いて説明する。なお、図11は特許文献1に示された金型の要部縦断面図、図12は図11におけるX−X線矢視図、図13は図11で示された金型で成形された樹脂製品の要部廻りの斜視図を示している。
特許文献1に示されたゲート残り防止策の金型構造は、図11に示されるように、キャビティプレート1にピンゲート4を設けている。また、キャビティプレート1とコアプレート2との間に樹脂製品Wを成形するためのキャビティ3を設けている。
ピンゲート4は、キャビティ3に向かって漸次縮経する抜き勾配を持って形成され、その先端の内周面が、図12に示すように、内周面が平面視略星形状をなして、粗面になるように形成されている。なお、特許文献1では、平面視略星形状は厳密な形状でなく、内周面が凹凸状になっていれば良いとしている。
また、キャビティプレート1には、キャビティ3内に開口されたピンゲート4の開口部周り9が、樹脂製品Wに略半球面状の凹部w1が形成されるように凸状に形成されている。即ち、ピンゲート4の中心線に対して樹脂製品Wの構成面が直角ではなく、鋭角または凹湾曲となるようにピンゲート4が形成されている。
特許文献1によれば、以上の金型構造を取ることによって、ピンゲート4の開口部周り9を凸状にしたこと、つまり、ピンゲート4の中心線に対して、樹脂製品Wの構成面が鋭角または凹湾曲としたこと、ピンゲート4の内周面を凹凸状に形成し、且つ、粗面とすることにより、樹脂製品Wと接するゲートの先端部に引っ張り応力が集中して、確実にゲートが切断されるとしている。
従来技術にあっては、ピンゲート形式におけるゲート口周辺の金型構造は、一般に、図14に示すような金型構造が取られている。図14はピンゲート形式の金型のゲート口の周辺部を示した断面図で、引用文献1で用いられた符号と同じ符号を用いて示している。図14において、ピンゲート4はキャビティプレート1に設けられており、そのゲート口4aはキャビティ3に連通している。ゲート口4aを取り囲む周辺のキャビティプレート1には凸部1aを設けている。
また、キャビティ3はキャビティプレート1とコアプレート2との間に設けられるが、ピンゲート4の凸部1aに対向するコアプレート2には凹部2aを設けており、凸部1aと凹部2aとの間には所要の隙間hを設けている。
以上のような構造を取る金型に溶融樹脂を射出して樹脂成形を行い、ゲートカットを行うと、ゲートカットの破断面は図15、図16に示すような形状が得られる。
図15において、網掛け表示で表した5はピンゲート4内に樹脂が充填されて形成されたランナーである。また、キャビティ3内に樹脂が充填して形成された樹脂製品Wも網掛けで表示している。溶融樹脂をピンゲート4を介してキャビティ3内に充填し、その後に、金型を冷却して樹脂を固化し、キャビティプレート1を下方に押しさげると、ランナーロックピン(図示していない)に固定された固化したランナー5がピンゲート4から離型する。そのとき、ゲート口4aのランナー5は樹脂製品Wと分断されて樹脂製品Wと分離し、図15に示す状態の形状、または図16に示す状態の破断形状が得られる。
図15は、破断形状として、樹脂製品W側に凸状のゲート残り6が発生した状態を示している。これは、ランナー5の先端の一部分が樹脂製品W側に引っ張られて残り、樹脂製品Wの破断面Waが凸状に盛り上がった状態をなし、樹脂製品W側にゲート残り6が発生した状態を示している。なお、樹脂製品W側にゲート残り6が発生した場合には、ランナー5の先端部は凹状に切り取られた破断面5aの形状が現れる。
図16は、破断形状として、樹脂製品W側に凹状のゲートトラレ7が発生した状態を示している。樹脂製品Wの一部分がランナー5に引っ張られて凹状に切り取られた状態になり、樹脂製品Wの破断面Waは凹状に引きちぎられて、ゲートトラレ7が現れた形状をなす。なお、このゲートトラレ7が現れた場合には、ランナー5の先端部は凸状の破断面5aの形状が現れる。
図15に示すゲート残り6が発生するか、あるいは、図16に示すゲートトラレ7が発生するかは、前もって予測することはできない。そこで、金型構造に次のような対策を盛り込んだ構造を取っている。
ゲート残り対策としては、図14に示すように、ピンゲート4のゲート口4a周辺のキャビティプレート1に凸部1aを設け、ゲート口4a周辺の樹脂製品Wに凹部が形成されるようにしている。そして、その凹部内にゲート残りが納まるようにしている。しかしながら、ゲート残りが凹部から飛び出すようなことになれば、機能的な問題も発生することにもなり、後工程でゲート残りを削除することが必要とされる。
また、ゲートトラレ対策としては、図14に示すように、コアプレート2のゲート口4aと対向する面に凹部2aを設け、キャビティプレート1の凸部1a面とコアプレート2の凹部2a面との隙間(距離)hを所要の隙間に設けている。そして、樹脂製品Wのゲート口4a周辺の肉厚の厚みを厚く形成し、凹状なるゲートトラレが発生しても、樹脂製品Wに破れなどが発生しないようにしている。
特開2007−283505号公報(図1、2、3)
特許文献1に記載されたゲート残り防止方法は、ピンゲート4の開口部周り9を凸状にし、ピンゲート4の中心線に対して、樹脂製品Wの構成面が鋭角または凹湾曲になるようにピンゲート4を形成するものである。また、ピンゲート4の先端の内周面が平面視略星形状となるように凹凸状に形成し、且つ、粗面に形成するものである。
引用文献1によれば、ピンゲート4の中心線に対して、樹脂製品Wの構成面が鋭角または凹湾曲としたこと、ピンゲート4の先端の内周面が凹凸状をなして、且つ、粗面にしたことから、樹脂製品Wと接するゲートの先端部に引っ張り応力が集中して、確実にゲートが切断されるとしている。
しかしながら、ピンゲート4の開口部周り9を凸状にし、ピンゲート4の中心線に対して、樹脂製品Wの構成面が鋭角または凹湾曲になるようにピンゲート4を形成する構成は、図14を用いて説明した従来技術の構成と大きく相違するものではなく、ゲート残りの発生状況や大きさは余り変わらない。また、ゲート残りの大きさはゲート口のゲート口径の大きさに大きく影響を受ける。ゲート口径についても、図14を用いて説明した従来技術でのゲート口径と大きく変わらなければ、ゲート残りの大きさも余り変わらない。
また、引用文献1は、ピンゲート4の先端の内周面が凹凸状になって、且つ、粗面を形成すものであるが、しかしながら、内周面が凹凸状をなして粗面をなしていると、ピンゲート4の内周面と樹脂との密着力が強くなり、ランナーのピンゲート4の内周面からの離型性は非常に悪化する。そして、その離型性の悪化によって、ランナーのゲートカットができずに金型のランナーロックピン(図示していない)が抜けてしまうという問題も生じる。これは、金型の破損にもつながる。また、ゲート先端部が離型時に擦れてゲートカスが発生することも起こる。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、ゲート残りの大きさやゲートトラレの大きさを小さくし、機能面並びに外観面で問題の無い品質が得られる射出成形金型を提供するものである。
上記の課題を解決するための手段として、本発明の射出成形金型は、ピンゲート形式の射出成形金型において、キャビティに樹脂を注入する前記ピンゲートのゲート先端口が仕切り板によって複数のゲート口に仕切られており前記仕切り板の表面は鏡面であることを特徴とするものである。
仕切り板によってゲート先端口が複数のゲート口に仕切られていると、ゲートを通過してキャビティに流れる樹脂は、ゲート先端口の複数のゲート口に分枝して流れるようになる。そのため、それぞれのゲート口においては、ゲート口の面積が小さくなって、流れる樹脂の量が少なくなる。そのため、金型冷却が施されて樹脂が固化すると、それぞれのゲート口の所で固化した樹脂の太さは細くなる。そして、ランナーの離型を行うと、ゲート先端におけるゲート口の所の樹脂は細いために切れ易くなり、ゲート残りやゲートトラレなどの大きさを小さく抑えられる。
つまり、複数のゲート口に仕切られていると、それぞれのゲート口では、ゲート口径は小さくなり、ゲートカットした時、ゲート残りやゲートトラレの大きさも小さく抑制されるようになる。
また、ゲート先端口が複数のゲート口に仕切られていて、それぞれのゲート口の面積が小さくなって、流れる樹脂量が少なくなって樹脂が細くなると、金型冷却において、樹脂の冷却による固化を早めることができる。これは、樹脂の冷却作用を早める効果を生む。
また、仕切り板の表面が鏡面であると、樹脂と仕切り板との剥離性が良くなり、ランナーの仕切り板からの離型が容易に行えるようになる
また、本発明においては、ピンゲート形式の射出成形金型において、キャビティに樹脂を注入する前記ピンゲートのゲート先端口が仕切り板によって複数のゲート口に仕切られており前記仕切り板の前記キャビティに面している側の端面には、先端が鋭角に尖った突起が設けられているのが好ましい
溶融樹脂がゲート口からキャビティに流れ込んで行ったとき、キャビティに面している仕切り板の端面が平坦面をなしていると、その平坦面の裏側への樹脂の流れが悪くなって、樹脂の流れの渦が生まれるようになる。そして、空気が巻き込まれる現象が発生する。
樹脂に空気が巻き込まれるとキャビティの末端まで流れて行き、樹脂製品全体に気泡が発生し、成形品質を悪くする。
仕切り板のキャビティ側に面する面側に先端が鋭角に尖った突起があると、鋭角に尖った突起の面に沿って樹脂がキャビティ内にスムーズに流れ込んで行くので、樹脂の渦現象は発生しなくなる。そのため、製品に気泡が発生することがなくなる。
また、本発明においては、仕切り板のキャビティに面している側の端面に対して反対側にあたる端面は、中心部に向かって凹形状をなしているのが好ましい。
仕切り板のキャビティに面している側の端面に対して反対側にある端面が中心部に向って凹形状をなしていると、つまり、ピンゲートの内周壁面に繋がった部分の仕切り板の丈寸法が大きく、中心部に行くに従って丈寸法が小さくなって端面が凹形状をなしていると、仕切り板強度を保ちつつ樹脂の流動損失は小さく抑えられる。
また、本発明においては、仕切り板が板状の形状をなして、ゲート先端口の中心部を通ると共に、中心部の周りを等角度で仕切った板からなるのが好ましい。
中心部の周りを等角度で仕切った仕切り板で形成した複数のゲート口は、それぞれ等しい面積をなす。従って、それぞれのゲート口から流入する樹脂の量は少なくなって、ほぼ同じ細さの量となる。樹脂の充填後の金型冷却後においては、それぞれのゲート口で固化する樹脂の太さが同じ細さをなして、樹脂が破断し易くなる。ランナーが離型した時に、ゲート残りやゲートトラレなどが小さく抑えられる。
また、本発明においては、仕切り板によって形成した複数のゲート口は均一なる面積でもって2〜4個有するのが好ましい。
複数のゲート口のそれぞれの面積が均一であると、それぞれのゲート口に流れる樹脂の量が均一になると共に、その量は少なくなる。そのため、前述した如く、ゲート口で固化した樹脂の太さは細くなって破断し易くなり、ゲートカットしたときに、ゲート残りやゲートトラレなどが小さく抑えられる
また、ゲート口の数が2〜4個が好ましい。4個より多くなると、圧力損出が大きくなり、キャビティへの充填不足が起きる可能性が生じる。樹脂製品に充填不足が生じると、ヒケ、ボイドなどが発生し、品質を悪化させるようになる。また、場合によっては、成形時間を長くする必要も生まれ、成形コストの問題も生じてくる。
また、本発明においては、仕切り板が、前記キャビティに面している側の板厚が厚く、前記キャビティから遠のくに従って板厚が薄くなって傾斜角が付いているのが好ましい。
傾斜角が付いて、仕切り板のキャビティに面している側の板厚が一番厚いと、板厚の一番厚い部位においてゲート口の大きさが一番小さくなる。そして、ゲートカットしたとき、ゲート口の一番小さい部位でゲートのカットが起きる。板厚の一番厚い部位がキャビティ側に面している位置にあると、ゲート先端口の所でゲートのカットが起きる。
また、仕切りに、ランナーが離型する方向に板厚が薄くなって傾斜角が付いていると、仕切り板からのランナーの離型が容易になる。
また、本発明においては、仕切り板のキャビティに面している側の端面に対して反対側にあたる端面には、先端が鋭角に尖った突起を設けられているのが好ましい。
複数のゲート口に分枝して流れる際に、仕切り板の端面に鋭角に尖った突起があると、溶融樹脂が突起なる鋭角の面に沿って分枝して流れて行くので、溶融樹脂の流れがスムーズに行われる。又、ゲートカット時のランナーの離型性も向上する。
また、本発明においては、複数のゲート口のコーナ部分はR形状をなしているのが好ましい。
仕切り板によって仕切られたゲート口のコーナ部分がR形状に仕上げられていると、仕切り板のコーナ部分の強度が強められる。仕切り板の破損防止効果を生む。
本発明によれば、ゲート残りやゲートトラレを小さく押えることのできる射出成形金型を得ることができる。
本発明の第1実施形態に係る射出成形金型の要部断面図である。 図1におけるA−A断面図である。 図1における矢印B部の拡大図とその断面図で、図3(a)は矢印B部の拡大図、図3(b)は図3(a)に示された仕切り板の平面図で、キャビティ側から見た平面図である。 仕切り板を部品単体で形成し、固定側型板に組み立て固定して2つのゲート口を形成した説明図で、図4(a)は仕切り板単体の斜視図、図4(b)は図4(a)に示した仕切り板を固定側型板に組み込んだ時における組み立て斜視図で、キャビティ側から見た斜視図である。 図1に示される射出成形金型での射出成形製品のゲート残り状態を説明する説明図である。 図1に示される射出成形金型での射出成形製品のゲートトラレ状態を説明する説明図である。 図7(a)は本発明の第2実施形態に係る射出成形金型のピンゲート先端口に設けた仕切り板の要部断面図で、図7(b)は図7(a)のD−D断面図である。 仕切り板の形状で湾曲した凹形状以外の形状を示すもので、図8(a)は角度を付けて段状を形成した凹形状の断面図で、図8(b)は三角形の角部を中心部に形成した凹形状の断面図である。 本発明の第3実施形態に係る射出成形金型のピンゲートのゲート先端口の方角から見た仕切り板の斜視図である。 本発明の第4実施形態に係る射出成形金型のピンゲートのゲート先端口の方角から見た仕切り板の斜視図である。 特許文献1に示された金型の要部縦断面図である。 図11におけるX−X線矢視図である。 図11で示された金型で成形された樹脂製品の要部廻りの斜視図である。 従来技術におけるピンゲート形式の金型のゲート口の周辺部を示した断面図である。 従来技術におけるゲート部での樹脂の切れの悪さによってゲート残りが発生した状態を説明する説明図である。 従来技術におけるゲート部での樹脂の切れの悪さによってゲートトラレが発生した状態を説明する説明図である。
[第1実施形態の説明]
以下、本発明の第1実施形態に係る射出成形金型ついて、図1〜図6を用いて説明する。なお、図1は本発明の第1実施形態に係る射出成形金型の要部断面図、図2は図1におけるA−A断面図を示している。また、図3は図1における矢印B部の拡大図で、図3(a)は矢印B部の拡大図、図3(b)は図3(a)に示された仕切り板の平面図で、キャビティ側から見た平面図を示している。また、図4は、仕切り板の他の製造方法を説明する説明斜視図である。図5は図1に示される射出成形金型での射出成形製品のゲート残り状態を説明する説明図、図6は図1に示される射出成形金型での射出成形製品のゲートトラレ状態を説明する説明図を示している。
本発明の射出成形金型10は、ピンゲート形式の射出成形金型に関するもので、特に、本発明の特徴はピンゲートの構成の部分に大きな特徴を有する。従って、ピンゲートの構成の部分を主体にして本発明の説明を行う。
本発明の第1実施形態において、樹脂がピンゲートを通ってキャビティに流れる箇所の金型構造は図1に示す構造をなしている。図1において、ランナープレート11と固定側型板12に連通してピンゲート14が設けられている。また、このピンゲート14が形成されたゲート先端口14aの周辺の固定側型板12は凸部12aを設けた構造をとっている。符号16はキャビティであるが、図中において、固定側型板12とコア15とによって囲まれている部分が樹脂製品を成形するキャビティ16である。このキャビティ16は、可動側型板(図示はしていない)に設けたコア15と固定側型板12との間に囲まれて形成され、そのキャビティ16の所定の位置にピンゲート14の先端口14aが連通した構造をなしている。従って、溶融樹脂がピンゲート14を通ってキャビティ16に充填して成形された樹脂製品には、固定側型板12の凸部12aに対応する位置に、凸部12aの高さに相当する量の凹部なるへこみが形成される。
第1実施形態では、ゲート先端口14aの周辺の固定側型板12に凸部12aを設け、樹脂製品にへこみなる凹部を形成する構造をとっている。これは、ゲートカットを行ったときに発生するゲート残りを樹脂製品の凹部内に納め、機能に影響を及ぼさないようにしたものである。
また、第1実施形態の射出成形金型10は、図1、図2に示すように、キャビティ16に連通する所のピンゲート14のゲート先端口14aに、1個の板状の仕切り板13を設けた構造をとっている。図3は仕切り板13の拡大図を示したもので、図1の矢印で示したB部を拡大して示したものである。
仕切り板13の形状は、図1、図2、図3に示すように、板状の形状をなしていて、第1実施形態では、円形なるゲート先端口14aの真ん中に設けて、ゲート先端口14aを2つに仕切っている。図3(b)において、14cと14dは2つに仕切られたゲート口を表している。そして、この2つに仕切られたゲート口14c、14dは、ゲート先端口14aの中心部Oを通って、中心部Oの周りを180°で二等分して仕切った仕切り板13で形成しており、ほぼ同じ位の面積をなしている。
図3(a)において、仕切り板13のキャビティ16に面している側の端面の両端の部位をP、Qと表示している。また、第1実施形態においては、板状の形状をなす仕切り板13の左右の表面13c、13d(図3(a)参照)には、傾斜角を設けている。キャビティ16に面している側の板厚が厚く、キャビティ16から遠のくに従って板厚を薄くなる傾斜角が付いている。従って、P、Qで表示される部位の板厚が一番厚くなっている。この傾斜角は、ゲート先端口14aでゲートカットが容易に行えるようにするためと、ゲートカットしたときにランナーの仕切り板13からの離型が容易になるようにするために設けており、第1実施形態においては、この傾斜角は4〜5°付けている。
P、Qの部位の厚みをtとし、P、Qからの仕切り板13の丈寸法をmとすると、厚みtは上記した傾斜角を設けていることにより、仕切り板13の一番厚みの厚い寸法をなしている。また、仕切り板13の厚みt寸法と丈m寸法は所要の寸法を持っている。ピンゲート14を通って流れた溶融樹脂は仕切り板13の所で2つのゲート口14c、14dに分枝して流れ、キャビティ16に流入する。そのため、仕切り板13には樹脂の射出圧やゲートカット時の破断力が負荷的に掛かるので、所要の強度を必要とする。第1実施形態においては、ゲート先端口14aの直径を2.0mmφ位に設定していることから、仕切り板13の厚みt寸法を0.2〜0.3mm、丈m寸法を1.0mmに設定し、必要とする強度を確保している。
なお、仕切り板13の厚みt寸法が大きすぎると、仕切られた2つのゲート口14c、14dのそれぞれ面積は小さくなる。ゲート口14c、14dの面積が小さくなると、そのゲート口に流動する樹脂は仕切り板13や固定側型板の金型温度に影響を受け、樹脂温度が低下して流動性が悪くなり、圧力損失が発生する。
そして、その圧力損失によってキャビティ16への充填性が悪くなるという問題が発生する。この厚みt寸法はゲート先端口14aの直径との関係や仕切り板13の強度などによって適宜に設定するのが好ましい。また、仕切り板14の丈m寸法は、ゲートカット時の破断力や樹脂流動時の流動損失などを考慮して適宜に設定するのが好ましい。
ここで、図3(a)の断面図において、ピンゲート14のゲート先端口14aなる円形の両端の部位をR、Sとすると、仕切り板13のP、Qの部位は、RとSを結んだ直線上にある。つまり、ゲート先端口14aのライン上にある。このようにすると、ゲート口14dにおいてはRとP間の距離が一番小さく、ゲート口14cにおいてはQとS間の距離が一番小さくなり、固化する樹脂の太さも一番細くなる。ゲートカットを行った時の樹脂の破断は、樹脂の太さが一番細い部位で破断を起こすので、ゲート口14dではRとP間の所、ゲート口14cではQとS間の所に破断が起きる。
更に、ゲート口14c、14dでの距離の一番小さい部位が、即ち、樹脂の太さの一番細い部位が真横に一直線上に並んでいるので、ゲートカットしたとき、2つのゲート口14c、14dではほぼ等しい破断力が同時に掛かるようになる。そして、その結果としてゲートカットした時、2つのゲート口14c、14dでのゲート残りの大きさやゲートトラレの大きさは同程度の大きさに抑えられ、且つ、小さく抑制される。
また、仕切り板13は、キャビティ16に面している側の端面には先端が鋭角に尖った突起13aを設けている。
溶融樹脂がゲート口14c、14dからキャビティ16に流れ込んで行ったとき、キャビティ16に面している仕切り板13の端面が平坦面をなしていると、その平坦な端面の裏側では、ゲート口14c、14dからの樹脂の廻り込みが悪くなり、樹脂の流れの渦が生まれる。そして、その渦の中に空気が巻き込まれる現象が発生する。そして、巻き込まれた空気はキャビティの末端まで流れて行き、樹脂製品全体に気泡が発生し、成形品質を悪くする場合がある。
仕切り板のキャビティ側に面する面側に先端が鋭角に尖った突起があると、鋭角に尖った突起の面に沿って樹脂がキャビティ内にスムーズに流れ込んで行くので、樹脂の渦現象は発生しなくなり、仕切り板により製品に気泡が発生することがなくなる。
なお、この突起13aはゲート先端口14aのラインよりキャビティ16側に飛び出して設けるのが好ましい。
また、第1実施形態においては、仕切り板13のキャビティ16に面している側の端面に対して反対側にあたる端面にも、先端が鋭角に尖った突起13bを設けている。
2つのゲート口14c、14dに分枝して流れる際に、仕切り板13の端面に鋭角に尖った突起13bを設けると、溶融樹脂が突起13bの角度に沿って分枝して流れて行くので、溶融樹脂の流れがスムーズに行われる。また、ゲートカット時のランナーの離型も容易に行われるようになる。
なお、キャビティ16に面している側の端面に設けた突起13a、並びに、仕切り板13のキャビティ16に面している側の端面に対して反対側にあたる端面に設けた突起13bは先端が鋭角に尖った突起を表すものであるが、その鋭角なる角度については、特に厳密に規制するものではなく、概ね30°〜90°の範囲が好適である。
また、図3(b)に示すように、2つのゲート口14c、14dのそれぞれのコーナ部cは、R形状に仕上げている。
仕切り板13によって仕切られたゲート口14c、14dのコーナ部cにR付けがなされていると、仕切り板13のコーナ部分の強度が強められる。これは、仕切り板13の破損防止効果を生む。
上記の構成をなす仕切り板13は、第1実施形態においては、電極を用いて放電加工によって形成している。最初に、固定側型板12に形成するピンゲート14を所要の深さまで放電加工によって形成し、次に、2つのゲート口14c、14d形成用の電極を用いて放電加工でゲート口14c、14dを形成する。この時、仕切り板13の鋭角に尖った突起13bは、突起13bも形成できる電極を制作し、放電加工でゲート口14c、14dそれぞれの形成と同時に形成する。
次に、仕切り板13の鋭角に尖った突起13aは、固定側型板12を裏返しにして2つのゲート口14c、14dを上に向け、研削方法にて鋭角なる突起13aを形成するが、同時に、固定側型板12の凸部12aの上面も研削して、上記で述べたR、P、Q、Sの部位が一直線上に並ぶように形成する。
以上のような形成方法を取ることにより仕切り板13を形成することができる。なお、突起13aの形成は、研削加工方法に限らず放電加工方法で形成することも可能である。
上記の製造方法は、固定側型板12に直接仕切り板13を形成した方法であるが、固定側型板12に直接加工するのではなく、入れ子(ブッシュ)方式で形成する方法も取れる。これは、ピンゲート14と仕切り板13を形成した入れ子を別途に制作し、この入れ子を固定側型板12に圧入固定する方法である。入れ子方式の形成方法を取っても、本構造と同じ働きをなす射出成形金型を得るものである。
また、仕切り板13の別な形成方法として、図4に示す形成方法を取ることもできる。図4は仕切り板を部品単体で形成し、固定側型板に組み立て固定して2つのゲート口を形成した説明図で、図4(a)は仕切り板単体の斜視図、図4(b)は図4(a)に示した仕切り板を固定側型板に組み込んだ時における組み立て斜視図で、キャビティ側から見た斜視図である。
図4(a)において、この仕切り板13は、板状の形状をなし、両端に四角いブロック状の鍔部13gを有する。また、仕切り板13の板状の両表面13d、13c(表面13dの反対側の表面を表している)はそれぞれ4〜5°の傾斜角が付いていて、図中において、突起13aを設けた側の端面の板厚が厚く、突起13aの反対側の端面の板厚は薄くなっている。また、この両表面13d、13cは鏡面仕上げがなされている。また、両端の鍔部13gと板とのコーナc部分はR付けの仕上げを施している。また、仕切り板13には、キャビティに面する側の端面には、図示してあるように、先端が鋭角に尖った突起13aを設けている。
このような形状をなす仕切り板13は、機械加工(フライス加工、研削加工)方法などで形成することができる。
次に、図4(b)に示すように、固定側型板12の凸部12aを含んだ固定側型板12に摺割り溝12dを形成する。この摺割り溝12dは仕切り板13の鍔部13gが係合する所要の幅と深さをもって、ゲート先端口の中心部Oを通る位置に形成する。この摺割り溝12dは放電加工などの方法で形成することができる。
このようにして固定側型板12に形成した摺割り溝12dに単体で形成した仕切り板13を組み込んで、ロー付けなどの公知の方法で仕切り板13を固定側型板12に固定すれば、図4(b)に示された中心部Oを通る仕切り板13が得られる。そして、ピンゲート14は2つに仕切ったゲート口14c、14dが形成される。
上記のように、仕切り板13を予め部品として形成し、固定側型板12に組み込み方式で形成する方法を取ると、加工方法も簡単であるので短時間で形成でき、コスト的にも安く仕切り板13を設けることができる。
更に、仕切り板13の両表面13d、13cを研磨加工によって鏡面に仕上げることができる。表面が鏡面に仕上げられていると、樹脂との剥離性が高められて、離型性を更に良くすることができる。
以上、図4を用いて仕切り板13を単体で部品加工する形成方法について説明した。しかしながら、仕切り板13の形成方法はこれに限るものではなく、電鋳加工方法でも形成することが可能である。仕切り板13の形成方法は、寸法精度や面の粗さ、樹脂との離型性、加工コストなどを考慮して好適な方法を選択するのが好ましい。
次に、仕切り板13を設けたことによる効果を図5、6を用いて説明する。図5、6において、網掛け表示した符号17はランナーである。このランナー17はランナープレート11及び固定側型板12に形成されたピンゲート14内に充填して形成された樹脂からなるものである。また、網掛け表示した符号Wは樹脂製品である。樹脂製品Wは、図1に示した金型構造のピンゲート14を介してキャビティ16内に樹脂を充填して形成されたものが樹脂製品である。
図5は、ランナー17をゲートカットしたときに、樹脂製品Wにゲート残りが発生した状態を表したもので、図6は、ランナー17をゲートカットしたときに、樹脂製品Wにゲートトラレが発生した状態を表したものである。
図5において、金型を冷却してランナー17及び樹脂製品Wを固化した後に、固定側型板12を矢印の方向に移動させて、固定側型板12をランナープレート11から離間させたとき、図示していないランナーロックピンによってランナープレート11側に固定されたランナー17は、ピンゲート14のゲート先端口14aの2カ所のゲート口で引きちぎられて、即ち、2カ所のゲート口の所で破断して樹脂製品Wと分離する。このとき、ランナー17の破断面17aと樹脂製品Wの破断面Waはお互いに相反する形状をなす。例えば、図5に示す破断面は、樹脂製品W側の破断面Waには凸状のゲート残り18が発生し、ランナー17の破断面17aには凹状のへこみが現れる。
また、図6に示すように、樹脂製品W側の破断面Waには凹状のゲートトラレ19が発生し、ランナー17の破断面17aには凸状の突起が現れる。
樹脂製品W側に発生する凹状のゲートトラレ19は、樹脂製品Wの厚みが薄いと、残肉部が破れて穴が開くという問題を引き起こす。従って、ゲートトラレ19が発生する部位は破れることがないように、必要とする残肉量を設ける必要がある。
第1実施形態においては、ピンゲート14のゲート先端口14aは、図3(b)に示すように、仕切り板13によってゲート口14cとゲート口14dの2つに仕切られている。そのため、キャビティ16に流入する樹脂は2手に分かれて流入する。この2つのゲート口14c、14dは同じ面積でもって形成しているので、それぞれのゲート口に流れる樹脂量はほぼ同じとなり、ゲート先端口14aの全体量から見ると約1/2量となって少なくなる。つまり、ゲート口14c、並びにゲート口14の部分で固化する樹脂の太さはそれぞれ1/2細くなる。
一般に、ゲート残りやゲートトラレの大きさは固化した樹脂の太さに影響され、ほぼ比例すると言われている。
前述したように、2つのゲート口14c、14dでの樹脂の太さが一番細くなる部位がゲート先端口14aのラインに有って、その太さがほぼ1/2に細くなっていることから、図5で示した2つのゲート口14c、14dでのゲート残り18の大きさや、または、図6で示した2つのゲート口14c、14dでのゲートトラレ19の大きさは、ほぼ同じ大きさをなして非常に小さくなる。
そして、図5に示すように、樹脂製品の凹状のへこみの内にゲート残り18が納められ、また、図6に示すように、凹状のへこみの中でゲートトラレ19を小さい大きさに押さえることができるという効果を得る。
次に、樹脂製品Wの取り出し方法について説明する。図1、2、5、6において、PLはパーティングラインを表していて、固定側型板12と可動側型板(図示していない)との合わせ面を示している。
固定側型板12がランナープレート11から切り離されるとランナー17は2つのゲート口14c、14dでゲートカットされて固定側型板12から離型する。その後に、コア15を設けた可動側型板(図示していない)が移動してパーティングラインPLの所で固定側型板12から離間する。可動側型板が固定側型板12から離間することによってコア15内に形成された樹脂製品Wは固定側型板12から離型する。
次に、可動側型板のコア15内に形成された樹脂製品Wを、図示していないエジェクタービンによってコア15の外に押し出すことによって、樹脂製品Wがコア15から離型して、成形金型の外に排出される。
以上の手順の下で樹脂製品Wは取り出される。
第1実施形態においては、1枚の板なる仕切り板13を用いて、ピンゲート14のゲート先端口14aを2つのゲート口に仕切った構成を取ったものである。本発明においては、ゲート口の数は3個、4個と更に増やすことは可能である。ゲート口の数を増やすと、ゲート口一つ一つに流れる樹脂量は更に少なくなり、そこで固化する樹脂の太さも細くなる。そして、細くなることによって、ゲート残りやゲートトラレの大きさは更に小さく押えることができるようになる。
しかしながら、本発明においては、仕切り板によって仕切られるゲート口の数は4個が最大である。これより多くなると、ゲート口の面積は小さくなり、樹脂の流れが悪くなって充填不足などの品質問題が発生する。
[第2実施形態の説明]
次に、本発明の第2実施形態に係る射出成形金型について、図7を用いて説明する。図7は本発明の第2実施形態に係る射出成形金型のピンゲート先端口に設けた仕切り板の仕様を説明する断面図で、図7(a)は仕切り板の要部断面図、図7(b)は図7(a)のD−D断面図を示したものである。なお、第2実施形態及び以降の説明において、前述の第1実施形態と同じ部品名称をとるものは、同一符号を付与して説明する。
第2実施形態に係る仕切り板13は、仕切り板13のキャビティ16に面している側の端面に、図7(a)に示すように、鋭角に尖った突起13aを設けている。この突起13a部分はゲート先端口14aよりキャビティ16側に飛び出して設けられている。また、キャビティ16に面している側の端面に対して反対側にあたる端面は、図7(b)に示すように、湾曲した面をなして、中心部Oに向かって凹形状13fをなしている。
第2実施形態において、前述の第1実施形態に係る仕切り板13と異なる所は、キャビティ16に面している側の端面に対して反対側にあたる端面を、第1実施形態においては、直線をなして先端が鋭角に尖った突起13bを設けているに対して、第2実施形態では、中心部Oに向かって湾曲した凹形状13fに仕上げている点である。
図7(b)において仕切り板13のキャビティ16に面している側の端面に対して反対側にあたる端面は、中心部Oの部分が一番低く、ピンゲート14の内周面の部分が一番高い。即ち、中心部Oに向かって湾曲した凹形状13fに仕上げられている。従って、仕切り板13の丈は、中心部Oの領域部分は丈が短く、ピンゲート14の内周壁に近い部分は丈が長い形状をなしている。
このように、湾曲した凹形状13fに仕上げることによって、樹脂流動に特に影響があるゲート中心部温度を低下し難くし、樹脂流動への影響が少ない外周側の仕切り板丈を高くすることになる。つまり、仕切り板強度を保ちつつ樹脂の流動損失は小さく抑えられる。
この湾曲した凹形状13fは、湾曲の丘陵性によってその効果も異なる。湾曲がなだらかな傾斜をなすとその効果は薄く、湾曲が急な傾斜をなすとその効果は大きく現れる。
なお、第2実施形態において、仕切り板13のキャビティ16に面している側の端面に対して反対側にあたる端面は、図7(b)に示したように、湾曲した凹形状で構成したが、凹形状は特に湾曲した形状に限るものではなく、例えば、図8に示す形状のものでも同様に適用できるものである。
図8は仕切り板の形状で湾曲した凹形状以外の形状を示すもので、図8(a)は、角度を付けて段状を形成した凹形状の断面図で、端面の2カ所に角度を設けて皿状の凹形状を形成した構成のものである。また図8(b)は三角形の角部を中心部に形成した凹形状の断面図で、中心部に三角形の角部設けて凹形状を形成した構成のものである。形状的には特に大きく限定するものではなく、例えば、2段、3段と段状をなして凹形状をなすものでも適用できるものである。
なお、第2実施形態においては、凹形状をなす端面は平坦面をなすものであるが、前述の第1実施形態と同様に、端面に鋭角に尖った突起13bを設けても良い。
[第3実施形態の説明]
次に、本発明の第3実施形態に係る仕切り板の構成を図9を用いて説明する。図9は、本発明の第3実施形態に係る仕切り板をゲート先端口の方角から見た仕切り板の斜視図である。
第3実施形態の仕切り板13は、図9に示すように、中心部Oを基点にして、ゲート先端口を120°間隔に3つに仕切った仕切り板13からなる。即ち、仕切り板13は中心部Oを通って3つに枝分かれした仕切り板13−1、仕切り板13−2、仕切り板13−3とから構成している。そして、この3つの仕切り板13−1、13−2、13−3で、ピンゲート14のゲート先端口を3つのゲート口14e、14f、14gに分割している。
この3つのゲート口14e、14f、14gは中心部Oの周りを120°間隔に分割したものであるので、それぞれのゲート口14e、14f、14gの大きさはみな同じ面積をなしている。従って、それぞれのゲート口14e、14f、14gを流れる溶融樹脂の量は、ゲート先端口に流れる全体の流量からすると、それぞれ1/3の流量となり、金型の冷却時においては、ゲート口14e、14f、14gで固化する樹脂の太さは非常に細くなる。それにより、ゲートカット時の破断面におけるゲート残りやゲートトラレの大きさを小さく抑える効果が得られる。
更に、第3実施形態においては、仕切り板13を構成する3つの仕切り板13−1、13−2、13−3は、それぞれキャビティに面している側の板厚が厚く、キャビティから遠のくに従って板厚が薄くなっており、4°〜5°の傾斜角を持った傾斜面をなしている。このような傾斜角を設けることで、ゲート先端口でゲートカットができるようにすると共に、固化した樹脂の仕切り板13−1、13−2、13−3からの離型性を良くしている。
また、キャビティに面している側の端面には、先端が鋭角に尖った突起13aを設けており、キャビティへの樹脂の廻り込みを円滑に行なわれるようにし、気泡の発生を防止している。
また、図示はしていないが、キャビティに面している側の端面に対して反対側にあたる端面にも先端が鋭角に尖った突起を設けていて、溶融樹脂の分流がスムーズに行われるようにすると共に,固化した樹脂の離型性を良くしている。
また、3つのゲート口14e、14f、14gのそれぞれのコーナc部分はR付けを行い、仕切り板13の強度補強を施している。
なお、第3実施形態においては、キャビティに面している側の端面に対して反対側にあたる端面には先端が鋭角に尖った突起を設けた構成を取ったが、更に、前述の第2実施形態で説明したように、中心部Oに向かって凹形状を設けた構成にすることも可能である。
また、第3実施形態の仕切り板13は、固定側型板12に一体的に形成した構成をなしたが、前述の第1実施形態での図4で示したように、仕切り板13を部品として単体で製作し、固定側型板12に仕切り板13の取り付け溝を形成し、固定側型板12に仕切り板13を組み立て固定する構成を取ることも可能である。
以上述べたように、仕切り板13によって3つのゲート口14e、14f、14gを設けることによって、前述の第1実施形態での2つのゲート口を設けた構成より、ゲートカットにおけるゲート残りやゲートトラレの大きさを更に小さく抑える効果が得られる。
[第4実施形態の説明]
次に、本発明の第4実施形態に係る仕切り板の構成を図10を用いて説明する。なお、図10は、本発明の第4実施形態に係る仕切り板をゲート先端口の方角から見た仕切り板の斜視図である。
第4実施形態の仕切り板13は、図10に示すように、中心部Oを基点にして、ゲート先端口を90°間隔に4つに仕切った仕切り板13からなる。即ち、仕切り板13は中心部Oを通って4つに枝分かれした仕切り板13−1、仕切り板13−2、仕切り板13−3、仕切り板13−4とから構成している。そして、この4つの仕切り板13−1、13−2、13−3、13−4で、ピンゲート14のゲート先端口を4つのゲート口14h、14i、14j、14kに分割している。
この4つのゲート口14h、14i、14j、14kは中心部Oの周りを90°間隔に分割したものであるので、それぞれのゲート口14h、14i、14j、14kの大きさはみな同じ面積をなしている。従って、それぞれのゲート口14h、14i、14j、14kを流れる溶融樹脂の量は、ゲート先端口に流れる全体の流量からすると、それぞれ1/4の流量となり、金型の冷却時においては、ゲート口14h、14i、14j、14kで固化する樹脂の太さは、前述の第3実施形態での3つのゲート口の場合より、更に細くなる。それゆえに、ゲートカットした時、ゲート残りやゲートトラレの大きさを更に小さく抑えられる。
また、第4実施形態の仕切り板13は、キャビティに面している側の板厚が厚く、キャビティから遠のくに従って板厚を薄くしての傾斜角を設けている。また、キャビティに面している側の端面には、先端が鋭角に尖った突起13aをキャビティ側に突き出る状態で設けている。
また、図示はしていないが、キャビティに面している側の端面に対して反対側にあたる端面にも先端が鋭角に尖った突起を設けている。
また、4つのゲート口14h、14i、14j、14kのそれぞれのコーナc部分はR付けを行い、仕切り板13の強度補強を施している。
以上述べたように、仕切り板13で4つのゲート口14h、14i、14j、14kを設けることによって、前述の第3実施形態での3つのゲート口を設けた構成より、ゲートカットのゲート残りやゲートトラレの大きさを更に小さくする効果が得られる。
以上、第1実施形態〜第4実施形態において、仕切り板によってゲート先端口を2〜4つのゲート口に仕切った構成を説明した。本発明においては、ゲート口を増せば増すほど樹脂圧を大きくしなければ溶融樹脂の流れが悪くなり、充填不足問題が起きる。様々な試みの結果、本発明においては、ゲート口を2〜4つに設定するのが好適で、それ以上多くすると充填不足問題などが発生して好ましくない。
10 射出成形金型
11 ランナープレート
12 固定側型板
12a 凸部
12d 摺割り溝
13、13−1、13−2、13−3、13−4 仕切り板
13a、13b 鋭角に尖った突起
13c、13d 表面
13f 凹形状
13g 鍔部
14 ピンゲート
14a ゲート先端口
14c、14d、14e、14f、14g、14h、14i、14j、14k ゲート口
15 コア
16 キャビティ
17 ランナー
17a、Wa 破断面
18 ゲート残り
19 ゲートトラレ
O 中心部
PL パーティングライン
W 樹脂製品
t 厚み
m 丈
c コーナ

Claims (8)

  1. ピンゲート形式の射出成形金型において、キャビティに樹脂を注入する前記ピンゲートのゲート先端口が仕切り板によって複数のゲート口に仕切られており、前記仕切り板の表面は鏡面であることを特徴とする射出成形金型。
  2. ピンゲート形式の射出成形金型において、キャビティに樹脂を注入する前記ピンゲートのゲート先端口が仕切り板によって複数のゲート口に仕切られており、前記仕切り板の前記キャビティに面している側の端面には、先端が鋭角に尖った突起が設けられていることを特徴とする射出成形金型。
  3. ピンゲート形式の射出成形金型において、キャビティに樹脂を注入する前記ピンゲートのゲート先端口が仕切り板によって複数のゲート口に仕切られており、前記仕切り板の前記キャビティに面している側の端面に対して反対側にあたる端面は、前記中心部に向かって凹形状をなしていることを特徴とする射出成形金型。
  4. 前記仕切り板は、板状の形状をなして、前記ゲート先端口の中心部を通ると共に、前記中心部の周りを等角度で仕切った板からなることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の射出成形金型。
  5. 前記仕切り板によって形成した前記複数のゲート口は均一なる面積でもって2〜4個有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の射出成形金型。
  6. 前記仕切り板は、前記キャビティに面している側の板厚が厚く、前記キャビティから遠のくに従って板厚が薄くなって傾斜角が付いていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の射出成形金型。
  7. 前記仕切り板の前記キャビティに面している側の端面に対して反対側にあたる端面には、先端が鋭角に尖った突起が設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の射出成形金型。
  8. 前記複数のゲート口のコーナ部分はR形状をなしていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の射出成形金型。
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