以下、本発明に係る水処理装置を純水製造装置に適用した場合の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係る純水製造装置1について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る純水製造装置1の全体概略図である。図2Aは、第1実施形態に係る純水製造装置1の全体構成図の前段部分である。図2Bは、第1実施形態に係る純水製造装置1の全体構成図の中段部分である。図2Cは、第1実施形態に係る純水製造装置1の全体構成図の後段部分である。図3は、シリカ濃度センサSS1の全体構成を示す図である。図4は、検査水W101のシリカ濃度が0mgSiO2/L(蒸留水)と0.1mgSiO2/Lと0.2mgSiO2/Lの場合において、試薬添加開始からの経過時間と、検査水W101の吸光度と、の関係を示すグラフである。本実施形態に係る純水製造装置1は、例えば、原水(例えば、水道水)から透過水や脱イオン水を製造する純水製造装置に適用される。純水製造装置1で製造された透過水や脱イオン水は、純水として、需要箇所等に送出される。なお、本実施形態に係る純水製造装置1において、需要箇所等へ純水を供給することを「採水」ともいう。
図1に示すように、第1実施形態に係る純水製造装置1は、第1オプション機器OP1と、プレフィルタ4と、第2オプション機器OP2と、加圧ポンプ5と、インバータ6と、逆浸透膜モジュールとしてのRO膜モジュール7と、脱炭酸装置15と、第1流路切換弁V71と、第3オプション機器OP3と、制御部30と、入力操作部40と、主表示部60と、を備える。
第1オプション機器OP1〜第3オプション機器OP3は、純水製造装置1に着脱可能なオプション機器として、純水製造装置1に装備される機器である。第1オプション機器OP1は、軟水器2及び活性炭濾過器3を含む。第2オプション機器OP2は、硬度センサS1及び残留塩素センサS2を含む。第3オプション機器OP3は、第2比抵抗センサRS2、全有機炭素センサTOC及び第3温度センサTE3を含む。
また、図1に示すように、純水製造装置1は、供給水ラインL1と、透過水ラインL21と、RO透過水リターンラインL41と、RO濃縮水リターンラインL51と、を備える。なお、本明細書における「ライン」とは、流路、径路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
また、純水製造装置1は、図2A〜図2Cに示すように、図1に示す構成に加えて、第1開閉弁V11〜第6開閉弁V16と、真空破壊弁V41と、減圧弁V42と、供給水補給弁V31と、第1排水弁V32〜第3排水弁V34と、第1定流量弁V51〜第4定流量弁V54と、第1逆止弁V61〜第4逆止弁V64と、第1圧力計P1〜第3圧力計P3と、第1圧力センサPS1及び第2圧力センサPS2と、圧力スイッチPSWと、第1温度センサTE1〜第3温度センサTE3と、第1流量センサFM1と、シリカ濃度センサSS1と、第1電気伝導率センサEC1と、第2比抵抗センサRS2と、を備える。
図1、図2A〜図2Cでは、電気的な接続の経路を省略するが、制御部30は、供給水補給弁V31、第1流路切換弁V71、第1排水弁V32〜第3排水弁V34、圧力スイッチPSW、第1温度センサTE1〜第3温度センサTE3、第1圧力センサPS1及び第2圧力センサPS2、第1流量センサFM1、第1電気伝導率センサEC1、第2比抵抗センサRS2、全有機炭素センサTOC、硬度センサS1、残留塩素センサS2、シリカ濃度センサSS1等と電気的に接続される。
まず、純水製造装置1における全体構成図の前段部分について説明する。
図1及び図2Aに示すように、供給水ラインL1には、供給水W1が流通する。供給水ラインL1は、供給水W1を、RO膜モジュール7へ流通させるラインである。供給水ラインL1は、第1供給水ラインL11と、第2供給水ラインL12と、を有する。
第1供給水ラインL11には、原水W11(供給水W1)が流通する。第1供給水ラインL11は、原水W11の供給源(不図示)と軟水器2とをつなぐラインである。第1供給水ラインL11の上流側の端部は、原水W11の供給源(不図示)に接続されている。また、第1供給水ラインL11の下流側の端部は、軟水器2に接続されている。
第1供給水ラインL11には、図2Aに示すように、上流側から順に、接続部J1、第1開閉弁V11、及び軟水器2が設けられている。第1開閉弁V11は、第1供給水ラインL11の開閉を操作可能な手動弁である。
軟水器2は、原水W11中に含まれる硬度成分をナトリウムイオンに置換して軟水W12(供給水W1)を製造する機器である。軟水器2は、圧力タンク内に陽イオン交換樹脂床を収容したイオン交換塔を有する。
第2供給水ラインL12には、軟水W12(供給水W1)が流通する。第2供給水ラインL12は、軟水W12を、RO膜モジュール7へ流通させるラインである。第2供給水ラインL12は、軟水器2とRO膜モジュール7とをつなぐラインである。図2Aに示すように、第2供給水ラインL12の上流側の端部は、軟水器2に接続されている。また、図2Bに示すように、第2供給水ラインL12の下流側の端部は、RO膜モジュール7の一次側入口ポート(供給水W1の入口)に接続されている。
第2供給水ラインL12には、上流側から順に、図2Aに示すように、第2開閉弁V12、接続部J2、第3開閉弁V13、活性炭濾過器3、第4開閉弁V14、接続部J3、プレフィルタ4、接続部J4、及び接続部J5が設けられている。また、接続部J5以降には、図2Bに示すように、第5開閉弁V15、接続部J6、減圧弁V42、供給水補給弁V31、接続部J51、接続部J7、接続部J8、加圧ポンプ5、接続部J9、及びRO膜モジュール7が設けられている。第2開閉弁V12〜第5開閉弁V15は、第2供給水ラインL12の開閉を操作可能な手動弁である。供給水補給弁V31は、第2供給水ラインL12の開閉を制御可能な自動弁である。供給水補給弁V31は、制御部30と電気的に接続されている。供給水補給弁V31の開閉は、制御部30から送信される流路開閉信号により制御される。
活性炭濾過器3は、軟水W12(供給水W1)に含まれる塩素成分(主として遊離残留塩素)を除去する機器である。活性炭濾過器3は、圧力タンク内に活性炭からなる濾材床を収容した濾過塔を有する。活性炭濾過器3は、軟水W12に含まれる塩素成分を分解除去する他、有機成分を吸着除去したり、懸濁物質を捕捉したりして軟水W12(供給水W1)を浄化する。
プレフィルタ4は、活性炭濾過器3により浄化された軟水W12(供給水W1)に含まれる微粒子を除去するフィルタである。プレフィルタ4は、ハウジング内にフィルタエレメントが収容されて構成される。フィルタエレメントとしては、例えば、濾過精度が1〜50μmの不織布フィルタエレメント又は糸巻きフィルタエレメント等が用いられる。
硬度センサS1は、供給水ラインL1を流通する供給水W1の全硬度(すなわち、硬度リーク量)を測定する機器である。残留塩素センサS2は、供給水ラインL1を流通する供給水W1の遊離残留塩素濃度(すなわち、塩素リーク量)を測定する機器である。硬度センサS1及び残留塩素センサS2は、図2Aに示すように、測定ラインL110を介して、接続部J5において供給水ラインL1に接続されている。接続部J5は、供給水ラインL1におけるプレフィルタ4と第5開閉弁V15との間に配置されている。硬度センサS1及び残留塩素センサS2は、制御部30と電気的に接続されている。硬度センサS1で測定された硬度リーク量、及び残留塩素センサS2で測定された塩素リーク量は、それぞれ制御部30へ検出信号として送信される。なお、接続部J5には、後述する軟水供給ラインL24の上流側の端部が接続されている。
次に、純水製造装置1における全体構成図の中段部分について説明する。
図2Bに示すように、接続部J6には、真空破壊弁V41が接続されている。真空破壊弁V41は、常閉式の圧力作動弁であり、供給水ラインL1の管内圧力が大気圧力よりも低くなった場合に弁が開いて大気を吸入する。真空破壊弁V41を設けることにより、原水W11(供給水W1)が断水となって供給水ラインL1が負圧になったとしても、RO膜モジュール7の膜の破損等の不具合を防止することができる。
減圧弁V42は、軟水器2、活性炭濾過器3及びプレフィルタ4を通過した軟水W12の圧力を、RO膜モジュール7から流出する濃縮水W3の圧力よりも低い圧力に調整する機器である。減圧弁V42は、軟水W12の圧力よりも濃縮水W3の圧力が大きく(軟水W12の圧力<濃縮水W3の圧力)なるように、軟水W12の圧力を調整する。これにより、濃縮水W3の一部が軟水W12に循環され、軟水W12に濃縮水W3が混合された供給水は、RO膜モジュール7に供給される。すなわち、RO膜モジュール7においては、加圧ポンプ5により供給水を循環させながら、透過水を生産するクロスフロー方式の分離操作が行われる。
加圧ポンプ5は、供給水ラインL1を流通する供給水W1を吸入し、RO膜モジュール7へ向けて圧送(吐出)する装置である。加圧ポンプ5には、インバータ6から周波数が変換された駆動電力が供給される。加圧ポンプ5は、供給された駆動電力の周波数(以下、「駆動周波数」ともいう)に応じた回転速度で駆動される。
インバータ6は、加圧ポンプ5に、周波数が変換された駆動電力を供給する電気回路(又はその回路を持つ装置)である。インバータ6は、制御部30と電気的に接続されている。インバータ6には、制御部30から周波数指定信号が入力される。インバータ6は、制御部30により入力された周波数指定信号(電流値信号又は電圧値信号)に対応する駆動周波数の駆動電力を加圧ポンプ5に出力する。
RO膜モジュール7は、加圧ポンプ5により圧送された供給水W1を、溶存塩類が除去された透過水W2と、溶存塩類が濃縮された濃縮水W3(第1濃縮水)と、に分離する。RO膜モジュール7は、単一又は複数のスパイラル型RO膜エレメントを圧力容器(ベッセル)に収容して構成される。当該RO膜エレメントに使用されるRO膜としては、架橋芳香族ポリアミド系複合膜等が例示される。架橋芳香族ポリアミド系複合膜からなるRO膜エレメントとしては、東レ社製:型式名「TMG20−400」、ウンジン・ケミカル社製:型式名「RE8040−BLF」、日東電工社製:型式名「ESPA1」等が市販されており、これらのエレメントを好適に用いることができる。
RO濃縮水リターンラインL51は、RO膜モジュール7で分離された濃縮水W3の一部W31を供給水ラインL1へ返送するラインである。RO濃縮水リターンラインL51の上流側の端部は、RO膜モジュール7の一次側出口ポート(濃縮水W3の出口)に接続されている。RO濃縮水リターンラインL51の下流側の端部は、接続部J51において供給水ラインL1に接続されている。RO濃縮水リターンラインL51には、第1逆止弁V61及び第1定流量弁V51が設けられている。
RO濃縮水排出ラインL61は、RO膜モジュール7で分離された濃縮水W3の残部W32を、RO濃縮水リターンラインL51の途中から装置の外へ排出するラインである。RO濃縮水排出ラインL61の上流側の端部は、接続部J53に接続されている。接続部J53は、RO濃縮水リターンラインL51におけるRO膜モジュール7と接続部J52との間に配置されている。第1濃縮水排水ラインL611、第2濃縮水排水ラインL612及び第3濃縮水排水ラインL613の上流側の端部は、接続部J55及びJ56において、RO濃縮水排出ラインL61に接続されている。
第1濃縮水排水ラインL611〜第3濃縮水排水ラインL613には、それぞれ、第1排水弁V32〜第3排水弁V34、及び第2定流量弁V52〜第4定流量弁V54が設けられている。第2定流量弁V52〜第4定流量弁V54は、それぞれ異なる流量値に設定されている。第1排水弁V32〜第3排水弁V34により、第1濃縮水排水ラインL611〜第3濃縮水排水ラインL613を個別に開閉することができる。第1排水弁V32〜第3排水弁V34の開放数を適宜に選択することにより、装置外へ排出する濃縮水W3の排水流量を調節することができる。この調節により、透過水W2の回収率を予め設定された値に保つことができる。なお、透過水W2の回収率とは、RO膜モジュール7に供給される軟水W12(濃縮水W3の一部W31が混合される前の供給水W1)の流量に対する透過水W2の割合(%)をいう。
第1排水弁V32〜第3排水弁V34は、それぞれ制御部30と電気的に接続されている。第1排水弁V32〜第3排水弁V34の開閉は、制御部30から送信される駆動信号により制御される。
第1濃縮水排水ラインL611、第2濃縮水排水ラインL612及び第3濃縮水排水ラインL613の下流側の端部は、接続部J57及びJ58において、合流排水ラインL62の上流側の端部に接続されている。合流排水ラインL62の下流側の端部は、例えば、排水ピット(不図示)に接続又は開口している。合流排水ラインL62の途中には、第2逆止弁V62が設けられている。
透過水ラインL21は、RO膜モジュール7で分離された透過水W2を脱炭酸装置15に流通させるラインである。透過水ラインL21は、図2B及び図2Cに示すように、前段側透過水ラインL211と、中段側透過水ラインL212と、を有する。
前段側透過水ラインL211の上流側の端部は、図2Bに示すように、RO膜モジュール7の二次側ポート(透過水W2の出口)に接続されている。前段側透過水ラインL211の下流側の端部は、図2Cに示すように、第1流路切換弁V71を介して、中段側透過水ラインL212及びRO透過水リターンラインL41に接続されている。
前段側透過水ラインL211には、上流側から順に、図2Bに示すように、第3逆止弁V63、接続部J10、接続部J11、接続部J63、及び第6開閉弁V16が設けられている。また、第6開閉弁V16以降には、図2Cに示すように、脱炭酸装置15、接続部J31、接続部J32、及び第1流路切換弁V71が設けられている。第6開閉弁V16は、透過水ラインL21の開閉を操作可能な手動弁である。
次に、純水製造装置1における全体構成図の後段部分について説明する。
図2Cにおいて、脱炭酸装置15は、透過水W2に含まれる遊離炭酸(溶存炭酸ガス)を、気体分離膜モジュールにより脱気処理して、精製水としての脱炭酸水を製造する設備である。RO膜モジュール7の下流側に脱炭酸装置15を設けることにより、RO膜を透過しやすい遊離炭酸を透過水W2から除去することができる。従って、より純度の高い透過水W2を得ることができる。なお、本実施形態では、脱炭酸装置15で製造された脱炭酸水を、便宜上、透過水W2ともいう。
本実施形態の脱炭酸装置15では、中空糸膜からなる外部灌流式の気体分離膜モジュールを用い、中空糸膜の内側を真空ポンプ(後述)で吸引しながら、空気等の掃引ガスを導入し、膜壁を介して遊離炭酸を掃引ガス中に移行させつつ排気する。このような用途に適した気体分離膜モジュールとしては、例えば、セルガード社製:製品名「Liqui−Cel G−521R」等が挙げられる。気体分離膜モジュールに接続される真空ポンプは、制御部30と電気的に接続されている。
軟水供給ラインL24は、第2供給水ラインL12(図2A参照)を流通する軟水W12(供給水W1)の一部を、脱炭酸装置15(封水タンク)へ供給するラインである。軟水供給ラインL24の上流側の端部は、第2供給水ラインL12の接続部J5(図2A参照)に接続されている。軟水供給ラインL24の下流側の端部は、封水タンクの気相部(上部)に接続されている。第2供給水ラインL12を流通する軟水W12(供給水W1)の一部が軟水供給ラインL24を介して脱炭酸装置15に供給されることにより、第2供給水ラインL12(図2A参照)を流通する軟水W12(供給水W1)の一部は、真空ポンプの封水として利用され、その後、封水排出ラインL71(後述)を介して装置の外に排出される。
第1流路切換弁V71は、図2Cに示すように、RO膜モジュール7で分離された透過水W2を、中段側透過水ラインL212を介して流通させる流路(採水側流路)、又は、RO透過水リターンラインL41を介してRO膜モジュール7の上流側の供給水ラインL1へ向けて流通させる流路(循環側流路)に切り換え可能な自動弁である。第1流路切換弁V71は、例えば、電動式又は電磁式の三方弁により構成される。第1流路切換弁V71は、制御部30と電気的に接続されている。第1流路切換弁V71における流路の切り換えは、制御部30から送信される流路切換信号により制御される。
RO透過水リターンラインL41は、RO膜モジュール7で分離された透過水W2を、RO膜モジュール7よりも上流側の供給水ラインL1へ返送するラインである。RO透過水リターンラインL41の上流側の端部は、第1流路切換弁V71に接続されている。RO透過水リターンラインL41の下流側の端部は、図2Bに示すように、接続部J52において、RO濃縮水リターンラインL51に接続されている。接続部J52は、RO濃縮水リターンラインL51における接続部J53と接続部J51との間に配置されている。RO透過水リターンラインL41における接続部J52から接続部J51までの部分は、RO濃縮水リターンラインL51における接続部J52から接続部J51までの部分と共通する。RO透過水リターンラインL41の上流側には、図2Cに示すように、第4逆止弁V64が設けられている。
中段側透過水ラインL212は、RO膜モジュール7で分離された透過水W2を、純水として需要箇所に向けて送出するラインである。中段側透過水ラインL212の上流側の端部は、第1流路切換弁V71に接続されている。中段側透過水ラインL212の下流側の端部は、需要箇所の装置等(不図示)に接続されている。
封水排出ラインL71は、脱炭酸装置15から排出される封水排水W8を、装置の外に排出するラインである。封水排出ラインL71の上流側の端部は、脱炭酸装置15に接続されている。封水排出ラインL71の下流側は、例えば、排水ピット(不図示)に接続又は開口している。
第1圧力計P1〜第4圧力計P4は、接続された各ラインを流通する水の圧力を計測する機器である。図2Aに示すように、第1圧力計P1〜第4圧力計P4は、接続部J1〜J4において、それぞれ、供給水ラインL1に接続されている。
第1圧力センサPS1及び第2圧力センサPS2は、接続された各ラインを流通する水の圧力を計測する機器である。図2Bに示すように、第1圧力センサPS1は、接続部J9において、供給水ラインL1に接続されている。接続部J9は、供給水ラインL1における加圧ポンプ5とRO膜モジュール7との間に配置されている。第2圧力センサPS2は、接続部J11において、透過水ラインL21に接続されている。接続部J11は、透過水ラインL21におけるRO膜モジュール7と脱炭酸装置15との間に配置されている。
第1圧力センサPS1及び第2圧力センサPS2は、制御部30と電気的に接続されている。第1圧力センサPS1及び第2圧力センサPS2で測定された供給水W1又は透過水W2の圧力は、制御部30へ検出信号として送信される。
圧力スイッチPSWは、供給水ラインL1を流通する供給水W1の圧力が第1設定圧力値以下又は第2設定圧力値以上であることを検出する機器である。図2Bに示すように、圧力スイッチPSWは、接続部J7において、供給水ラインL1に接続されている。接続部J7は、供給水ラインL1における接続部J51と加圧ポンプ5との間に配置されている。圧力スイッチPSWで検出された供給水W1の圧力の検出信号は、制御部30へ送信される。
第1温度センサTE1〜第3温度センサTE3は、接続された各ラインを流通する水の温度を測定する機器である。第1温度センサTE1は、接続部J8において、供給水ラインL1に接続されている。接続部J8は、供給水ラインL1における接続部J51と加圧ポンプ5との間に配置されている。水温検出手段としての第2温度センサTE2は、接続部J31において、透過水ラインL21に接続されている。接続部J31は、透過水ラインL21における脱炭酸装置15と第1流路切換弁V71との間に配置されている。第3温度センサTE3は、接続部J43において、中段側透過水ラインL212に接続されている。接続部J43は、中段側透過水ラインL212に配置されている。
第1温度センサTE1〜第3温度センサTE3は、制御部30と電気的に接続されている。第1温度センサTE1〜第3温度センサTE3で測定された供給水W1、透過水W2(後述する他の実施形態では脱塩水W6)の温度(検出温度値)は、制御部30へ検出信号として送信される。
第1流量センサFM1は、接続された透過水ラインL21を流通する透過水W2の流量を測定する機器である。第1流量センサFM1は、接続部J10において、透過水ラインL21に接続されている。接続部J10は、透過水ラインL21におけるRO膜モジュール7と脱炭酸装置15との間に配置されている。
第1流量センサFM1は、制御部30と電気的に接続されている。第1流量センサFM1で測定された透過水W2の流量(検出流量値)は、制御部30へ検出信号として送信される。
第1電気伝導率センサEC1は、透過水ラインL21を流通する透過水W2の電気伝導率(電気的特性値)を測定する機器である。第1電気伝導率センサEC1は、接続部J32において、透過水ラインL21に接続されている。接続部J32は、透過水ラインL21における脱炭酸装置15と第1流路切換弁V71との間に配置されている。
第2比抵抗センサRS2は、中段側透過水ラインL212を流通する透過水W2の比抵抗(電気的特性値)を測定する機器である。第2比抵抗センサRS2は、接続部J41において、中段側透過水ラインL212に接続されている。接続部J41は、中段側透過水ラインL212において、第1流路切換弁V71よりも下流側に配置されている。なお、第2比抵抗センサRS2は、測定された比抵抗値の温度補償のため、温度センサを内蔵している。そのため、第2比抵抗センサRS2は、透過水W2の水温を測定することができる。
第1電気伝導率センサEC1、及び第2比抵抗センサRS2は、制御部30と電気的に接続されている。第1電気伝導率センサEC1で測定された透過水W2の電気伝導率、及び第2比抵抗センサRS2で測定された透過水W2の比抵抗(及び温度)は、それぞれ、制御部30へ検出信号として送信される。
全有機炭素センサTOCは、中段側透過水ラインL212を流通する透過水W2の有機体炭素量を検出する機器である。有機体炭素とは、水中に存在する有機物中の炭素である。全有機炭素センサTOCは、接続部J42において、中段側透過水ラインL212に接続されている。接続部J42は、中段側透過水ラインL212において、第1流路切換弁V71よりも下流側に配置されている。
全有機炭素センサTOCは、制御部30と電気的に接続されている。全有機炭素センサTOCで検出された透過水W2の全有機炭素量は、制御部30へ検出信号として送信される。
シリカ濃度センサSS1は、透過水ラインL21を流通する透過水W2のシリカ濃度を検出シリカ濃度値Cpとして検出する機器である。シリカ濃度センサSS1は、図2Bに示すように、透過水導入ラインL112を介して、接続部J63において、透過水ラインL21に接続されている。接続部J63は、透過水ラインL21におけるRO膜モジュール7と脱炭酸装置15との間に配置されている。
シリカ濃度センサSS1は、制御部30と電気的に接続されている。シリカ濃度センサSS1で検出された透過水W2の検出シリカ濃度値Cpは、制御部30へ検出信号として送信される。
ここで、シリカ濃度センサSS1の構造について説明する。シリカ濃度センサSS1は、モリブデンイエロー法(モリブデン黄吸光光度法)により検査水W101のシリカ濃度を測定する装置である。ここでは、説明の便宜上、シリカ濃度センサSS1により測定する水(透過水W2等)を検査水W101として説明する。
シリカ濃度センサSS1は、測定波長の切り替えにより、低濃度のシリカ濃度と、高濃度シリカ濃度とを測定することができる。図3に示すように、シリカ濃度センサSS1は、測定セル120と、試薬注入部130と、吸光度測定部の一部を構成する光学検出部140と、攪拌部150と、センサ表示部160と、センサ制御部110と、検査水導入ラインL101と、検査水排出ラインL102と、を備える。
測定セル120は、シリカ濃度を測定する検査水W101を収容する容器である。測定セル120は、不透明の樹脂材料により形成されている。測定セル120は、その側壁に一対の光透過窓121,122が形成されている。光透過窓121,122には、透明な板材121a,122aが嵌め込まれている。
検査水導入ラインL101は、測定セル120への検査水W101の導入を行うラインである。検査水導入ラインL101は、図3に示すように、測定セル120の光透過窓121,122よりも下方の側壁に接続されている。検査水導入ラインL101は、測定セル120へ検査水W101を導入する流路である。検査水導入ラインL101には、電磁弁123が設けられている。電磁弁123は、検査水W101を採取する際に用いられる弁である。電磁弁123の開閉は、センサ制御部110から出力される駆動信号により制御される。
検査水排出ラインL102は、測定セル120からの検査水W101(試薬W102を含む)の排出を行うラインである。検査水排出ラインL102は、図3に示すように、測定セル120の光透過窓121,122よりも上方の側壁に接続されている。検査水排出ラインL102は、測定セル120から検査水W101を排出する流路である。
試薬注入部130は、測定セル120の内部へ試薬W102を注入する設備である。試薬注入部130は、試薬W102を内部に保持しており、所望の量の試薬W102を測定セル120の内部に吐出して供給する。試薬W102には、検査水W101に含まれるシリカと反応して、発色する呈色物質が配合されている。本実施形態では、モリブデンイエロー法によりシリカ濃度を測定しており、試薬としては、七モリブデン酸六アンモニウムおよび無機酸を含む水溶液を用いる。本実施形態に好適な一液型の試薬水溶液の組成は、本願の出願人による特許第5169809号公報に詳細に開示されているため、当該特許文献を引用して詳細な説明を省略する。
試薬注入部130は、試薬カートリッジ131と、ローラポンプ機構132と、を備える。試薬カートリッジ131は、試薬W102(上述した一液型の試薬水溶液)が充填された試薬パック(不図示)と、試薬パックに一端側が接続され且つ他端にノズルを有する弾性チューブとからなる注入体(不図示)とが収納された容器である。
ローラポンプ機構132は、図3に示すように、測定セル120の上方に設けられている。ローラポンプ機構132の上部には、カートリッジ差込口133が設けられている。試薬カートリッジ131は、カートリッジ差込口133に着脱自在に装着される。
ローラポンプ機構132は、ローラポンプ134を備える。ローラポンプ134を駆動して、試薬カートリッジ131に収納された注入体の弾性チューブをしごくことにより、試薬パック内の試薬W102をノズルから測定セル120に向けて注入することができる。ローラポンプ134の駆動は、センサ制御部110から出力される駆動信号により制御される。
光学検出部140は、試薬W102と共に攪拌された検査水W101の吸光度を測定する設備である。光学検出部140は、図3に示すように、第1発光素子141と、第2発光素子142と、発光基板143と、第1受光素子144と、第2受光素子145と、受光基板146と、を備える。
第1発光素子141及び第2発光素子142は、発光基板143に実装されている。第1発光素子141及び第2発光素子142は、測定セル120の光透過窓121に向けて光を照射する素子である。第1発光素子141及び第2発光素子142は、それぞれ発光波長の異なるLED(発光ダイオード)により構成される。本実施形態においては、第1発光素子141は、低濃度のシリカ濃度を測定するために、375nmの波長(低濃度測定波長)の光を発光可能な発光素子である。第2発光素子142は、高濃度のシリカ濃度を測定するために、450nmの波長(高濃度測定波長)の光を発光可能な発光素子である。
第1発光素子141及び第2発光素子142の点灯/消灯は、センサ制御部110から出力される駆動信号により制御される。
第1受光素子144及び第2受光素子145は、受光基板146に実装されている。第1受光素子144及び第2受光素子145は、測定セル120の光透過窓122を通過した透過光を受光する素子である。第1受光素子144及び第2受光素子145は、フォトトランジスタにより構成される。第1受光素子144及び第2受光素子145は、受光した透過光量に対応した検出値信号をセンサ制御部110に出力する。
攪拌部150は、測定セル120の内部に収容された検査水W101及び試薬W102を攪拌する設備である。図3に示すように、攪拌部150は、測定セル120の底部に設けられている。攪拌部150は、攪拌子151と、ステータコイル152と、を備える。攪拌子151は、測定セル120の底部に、回転可能に配置されている。ステータコイル152は、測定セル120の周囲を囲むようにリング状に形成された電磁誘導コイルである。ステータコイル152に駆動電流を供給すると、電磁誘導の作用により、測定セル120の底部に配置された攪拌子151が非接触で回転する。ステータコイル152の動作は、センサ制御部110から供給される駆動電流により制御される。
センサ表示部160は、測定した検査水W101のシリカ濃度の測定値やシリカ濃度センサSS1の動作状況等を表示する装置である。センサ表示部160は、液晶表示パネルにより構成される。
センサ制御部110は、シリカ濃度センサSS1の動作を制御する装置である。センサ制御部110は、第1発光素子141、第2発光素子142を制御する。センサ制御部110は、第1受光素子144及び第2受光素子145からの出力を受信する。センサ制御部110は、光学検出部140により検出された吸光度に基づいて、検査水W101に含まれるシリカ成分の濃度を測定する。センサ制御部110は、測定した検査水W101のシリカ濃度の測定値をセンサ表示部160に表示させる。センサ制御部110は、後述する検量線を、測定波長毎に内部のメモリに格納している。
センサ制御部110は、低濃度のシリカ濃度を測定するために、吸光度測定部の一部を構成する吸光度算出部111と、変化量算出部112と、計時部113と、シリカ濃度検出部114と、を有する。
吸光度算出部111は、光学検出部140により検出された透過光量の検出値に基づいて、第1時間T1及び第2時間T2(図4参照)において、検査水W101の吸光度を算出する。これにより、本実施形態においては、光学検出部140及び吸光度算出部111は、試薬W102が添加された検査水W101における375nmの吸光度を測定する。
第1時間T1は、試薬W102が添加された直後の時間である(図4参照)。第1時間T1は、好ましくは、検査水W101に試薬W102が添加されてから3分以内である。なお、第1時間T1は、規定量の試薬W102の添加を実行可能な範囲で、規定量の試薬W102の添加が完了された直後に近い時間が採用される。本実施形態においては、第1時間T1は、2分程度である(図4参照)。また、試薬W102の添加操作に要する時間が極く短時間の場合には、第1時間T1は、検査水W101に試薬W102が添加された時間と同時である0分であってもよい。
第2時間T2は、検査水W101と試薬W102との反応が終了した試薬反応終了時間である(図4参照)。第2時間T2は、検査水W101と試薬W102との呈色反応がほぼ完結し、検査水W101の発色が安定する時間であり、予め試験等により求められた時間であって、予めセンサ制御部110のメモリ(不図示)に記憶されている。本実施形態においては、第2時間T2は、試薬W102の添加が開始されてから、20分程度である(図4参照)。
計時部113は、第2時間T2を計時する。計時部113により計時された第2時間T2において、吸光度算出部111は、検査水W101の吸光度を算出する。
変化量算出部112は、光学検出部140及び吸光度算出部111により測定される試薬W102が添加された検査水W101の吸光度について、試薬W102が添加されてから第1時間T1経過後の検査水W101の吸光度A1と、試薬W102が添加されてから第1時間T1よりも長い第2時間T2経過後の検査水W101の吸光度A2との変化量、すなわち差分A2−A1を算出する。
シリカ濃度検出部114は、変化量算出部112により算出された吸光度の変化量(差分)に基づいて、シリカ濃度を検出する。具体的には、シリカ濃度検出部114は、算出された吸光度の変化量(差分)を検査水W101の吸光度と見做し、この吸光度に対してシリカ濃度と吸光度との検量線を用いて検査水W101中のシリカ濃度を求める。検量線は、予めシリカ標準液を用いてシリカ濃度と吸光度との関係線として作成されており、センサ制御部110のメモリ(不図示)に記憶されている。本実施形態においては、メモリ(不図示)には、検査水W101の吸光度とシリカ濃度との検量線として、検査水W101と試薬W102との呈色反応が完結された状態で作成された検量線が記憶されている。
以上のように構成されるシリカ濃度センサSS1は、測定波長を切り替えることより、高濃度のシリカのシリカ濃度(10〜80mgSiO2/L)を測定可能な高濃度レンジと、低濃度のシリカのシリカ濃度(0.1〜1mgSiO2/L)を測定可能な低濃度レンジとを、切替可能である。本実施形態においては、シリカ濃度センサSS1は、透過水W2のシリカ濃度を検出するため、低濃度レンジで使用される。
入力操作部40は、装置の運転状態に係る選択(例えば、運転/停止の選択、警報の解除等)、装置の運転条件に係る各種設定について、ユーザー又は管理者の入力操作を受け付ける入力インターフェースである。この入力操作部40は、ディスプレイとボタンスイッチを組み合わせた操作パネル、ディスプレイ上で直接操作するタッチパネル等により構成される。入力操作部40は、制御部30と電気的に接続されている。入力操作部40から入力された情報は、制御部30に送信される。
主表示部60は、所望の情報を表示する。主表示部60は、制御部30と電気的に接続されている。主表示部60は、表示により所定の警報を報知する報知手段としても機能する。なお、本実施形態においては、報知手段として、表示により警報を報知するように主表示部60を構成したが、これに制限されない。例えば、報知手段による報知は、例えば、表示、音声、発光などのうちの一つ以上であってもよい。つまり、報知手段は、表示器(液晶ディスプレイ等)、ブザーやスピーカー、ランプなどのうちの一つ以上から構成されてもよい。
次に、制御部30について説明する。制御部30は、CPU及びメモリを含むマイクロプロセッサ(不図示)により構成される。制御部30において、マイクロプロセッサのCPUは、メモリから読み出した所定のプログラムに従って、後述する各種の制御を実行する。制御部30において、マイクロプロセッサのメモリには、純水製造装置1を制御するためのデータや各種プログラムが記憶される。また、制御部30のマイクロプロセッサには、時間の計時等を管理するインテグレーテッドタイマユニット(以下、「ITU」ともいう)が組み込まれている。
制御部30は、流量フィードバック水量制御として、第1流量センサFM1の検出流量値が予め設定された目標流量値となるように、速度形デジタルPIDアルゴリズムにより、加圧ポンプ5の駆動周波数を演算し、当該駆動周波数の演算値に対応する電流値信号(周波数指定信号)をインバータ6に出力する。制御部30による流量フィードバック水量制御については後述する。
また、制御部30は、供給水W1の温度に基づいて、透過水W2の回収率制御(以下、「温度フィードフォワード回収率制御」ともいう)を実行する。この温度フィードフォワード回収率制御は、上述した流量フィードバック水量制御と並行して実行される。制御部30による温度フィードフォワード回収率制御については後述する。
制御部30は、流量フィードバック水量制御及び温度フィードフォワード回収率制御の実行中に、検出シリカ濃度値Cpが所定の閾値Coを上回る場合に、第1工程を実行する。制御部30における第1工程は、透過水W2のシリカ濃度を要求された水質レベルに維持するために、回収率(RO膜モジュール7へ供給される供給水W1の流量に対する透過水W2の流量の比率)を下げるように、濃縮水W3の流量を増加させる工程である。ここで、所定の閾値Coは、透過水W2のシリカ濃度が要求された水質レベルとなる上限の値が設定される。
第1工程において、制御部30は、所定水量の透過水W2を確保した上で、透過水W2のシリカ濃度を要求された水質レベルに維持するために、透過水W2の流量を一定に維持した状態で濃縮水W3の排出流量を増加させる。具体的には、制御部30は、第1工程において、透過水W2の目標流量を一定に維持するように加圧ポンプ5の回転速度を制御すると共に、濃縮水W3の流量を増加させるように第1排水弁V32〜第3排水弁V34を制御して、回収率を下げる。
第1工程が実行される結果、RO膜モジュール7の酸化劣化や供給水W1の水質変動(すなわち、原水W11のシリカ濃度の上昇)が生じた場合において、透過水W2の流量を確保しつつ、透過水W2のシリカ濃度を要求された水質レベルに維持することができる。なお、濃縮水W3の排出流量の増加について、システムが第1オプション機器OP1などの前処理装置を備える場合には、濃縮水W3の最大排出流量が前処理装置により製造される供給水の最大流量に依存するため、濃縮水W3の排出流量を際限なく増加させることができない。そのため、制御部30は、第1工程において、前処理装置により製造される供給水の最大流量を上限として、濃縮水W3の排出流量を増加させることができる。
ここで、制御部30は、第1工程において、例えば、回収率を、所定割合まで一度に下げてもよいし、段階的に下げてもよい。具体的には、回収率を所定割合まで一度に下げる場合には、制御部30は、回収率を、例えば、80%から65%に下げることができる。また、例えば、回収率を段階的に下げる場合には、制御部30は、例えば、所定時間毎にシリカ濃度を監視しながら、5%ずつ段階的に回収率を下げることができる。なお、第1工程における回収率を下げる制御については、これらの制御に限定されず、状況に応じて適宜設定することができ、例えば、所定割合まで一度に下げる制御及び段階的に下げる制御を組み合わせてもよい。
制御部30は、第1工程の実行中に、検出シリカ濃度値Cpが所定の閾値Coを上回る場合に、第2工程を実行する。制御部30における第2工程は、透過水W2のシリカ濃度を要求された水質レベルに維持するために、回収率を下げるように、RO膜モジュール7により分離された濃縮水W3の排出流量を一定に維持した状態で、透過水W2の流量を減少させる工程である。
第2工程において、制御部30は、透過水W2のシリカ濃度を要求された水質レベルに維持するために、所定水量の透過水W2を確保することを断念し、濃縮水W3の排出流量を一定に維持した状態で透過水W2の流量を減少させる。具体的には、制御部30は、第2工程において、濃縮水W3の排水流量を一定に維持するように第1排水弁V32〜第3排水弁V34を制御すると共に、透過水W2の目標流量を減少させるように加圧ポンプ5の回転速度を制御して、回収率を下げる。
第2工程が実行される結果、RO膜モジュール7の酸化劣化や供給水W1の水質変動(すなわち、原水W11のシリカ濃度の上昇)が生じた場合において、透過水W2の流量を減少させることにより、透過水W2のシリカ濃度を要求された水質レベルに維持することができる。
ここで、制御部30は、第2工程において、第1工程と同様に、例えば、回収率を、所定割合まで一度に下げてもよいし、段階的に下げてもよい。具体的には、回収率を所定割合まで一度に下げる場合には、制御部30は、回収率を、例えば、65%から50%に下げることができる。また、例えば、回収率を段階的に下げる場合には、制御部30は、例えば、所定時間毎にシリカ濃度を監視しながら、5%ずつ段階的に回収率を下げることができる。なお、第2工程における回収率を下げる制御については、第1工程と同様に、これらの制御に限定されず、状況に応じて適宜設定することができ、例えば、所定割合まで一度に下げる制御及び段階的に下げる制御を組み合わせてもよい。
制御部30は、第2工程の実行中に、検出シリカ濃度値Cpが所定の閾値Coを上回る場合に、第3工程又は第4工程を実行する。第3工程と第4工程のいずれを実行するかの選択は、例えば、装置管理者が入力操作部40を介して制御部30のメモリに入力した設定情報に基づいて決定される。
第3工程において、制御部30は、報知手段としての主表示部60により警報を報知させると共に、加圧ポンプ5の駆動を継続させる。つまり、第3工程では、要求された水質レベルを満足しない処理水の送水が短時間であれば許容されるケースにおいて、水質レベルの不調を報知した上で、透過水W2の製造を継続させる(給水優先)。
一方、第4工程において、制御部30は、報知手段としての主表示部60により警報を報知させると共に、加圧ポンプ5の駆動を停止させる。つまり、第4工程では、要求された水質レベルを満足しない処理水の送水が短時間であっても許容されないケースにおいて、水質レベルの不調を報知した上で、透過水W2の製造を直ちに終了させる(水質優先)。
次に、制御部30による流量フィードバック水量制御について説明する。図5は、制御部30において流量フィードバック水量制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。図5に示すフローチャートの処理は、純水製造装置1の運転中において、検出シリカ濃度値Cpが所定の閾値Coを下回る場合(後述する図7のステップST303においてNOの場合)に、繰り返し実行される。
図5に示すステップST101において、制御部30は、透過水W2の目標流量値Qp´を取得する。この目標流量値Qp´は、例えば、装置管理者が入力操作部40を介して制御部30のメモリに入力した設定値である。
ステップST102において、制御部30は、ITUによる計時tが制御周期(Δt)である100msに達したか否かを判定する。このステップST102において、制御部30により、ITUによる計時tが100msに達したと(YES)判定された場合に、処理はステップST103へ移行する。また、ステップST102において、制御部30により、ITUによる計時tが100msに達していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST102へ戻る。
ステップST103(ステップST102:YES判定)において、制御部30は、第1流量センサFM1の検出流量値Qpをフィードバック値として取得する。
ステップST104において、制御部30は、ステップST103で取得した検出流量値(フィードバック値)Qpと、ステップST101で取得した目標流量値Qp´との偏差がゼロとなるように、速度形デジタルPIDアルゴリズムにより操作量Unを演算する。速度形デジタルPIDアルゴリズムでは、制御周期Δt(100ms)毎に操作量の変化分ΔUnを演算し、これを前回の制御周期時点の操作量Un−1に加算することで現時点の操作量Unを決定する。
速度形デジタルPIDアルゴリズムに用いられる演算式は、下記の式(1a)及び式(1b)により表される。
ΔUn=Kp{(en−en−1)+(Δt/Ti)×en+(Td/Δt)×(en−2en−1+en−2)} (1a)
Un=Un−1+ΔUn (1b)
式(1a)及び式(1b)において、Δt:制御周期、Un:現時点の操作量、Un−1:前回の制御周期時点の操作量、ΔUn:前回から今回までの操作量の変化分、en:現時点の偏差の大きさ、en−1:前回の制御周期時点の偏差の大きさ、en−2:前々回の制御周期時点の偏差の大きさ、Kp:比例ゲイン、Ti:積分時間、Td:微分時間である。なお、現時点の偏差の大きさenは、下記の式(2)により求められる。
en=Qp´−Qp (2)
ステップST105において、制御部30は、現時点の操作量Un、目標流量値Qp´及び加圧ポンプ5の最大駆動周波数(50Hz又は60Hzの設定値)を使用して、所定の演算式により、加圧ポンプ5の駆動周波数F[Hz]を演算する。
ステップST106において、制御部30は、駆動周波数Fの演算値を、対応する電流値信号(周波数指定信号:4〜20mA)に変換し、この電流値信号をインバータ6に出力する。これにより本フローチャートの処理は終了する(ステップST101へリターンする)。なお、ステップST106において、制御部30が電流値信号をインバータ6へ出力すると、インバータ6は、入力された電流値信号で指定された周波数に変換された駆動電力を加圧ポンプ5に供給する。その結果、加圧ポンプ5は、インバータ6から入力された駆動周波数に応じた回転速度で駆動される。
次に、制御部30による温度フィードフォワード回収率制御について説明する。図6は、制御部30において温度フィードフォワード回収率制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。図6に示すフローチャートの処理は、純水製造装置1の運転中において、検出シリカ濃度値Cpが所定の閾値Coを下回る場合(後述する図7のステップST303においてNOの場合)に、繰り返し実行される。
図6に示すステップST201において、制御部30は、透過水W2の目標流量値Qp´を取得する。この目標流量値Qp´は、例えば、装置管理者が入力操作部40を介してメモリに入力した設定値である。
ステップST202において、制御部30は、供給水W1のシリカ(SiO2)濃度Csを取得する。このシリカ濃度Csは、例えば、装置管理者がユーザーインターフェース(不図示)を介してメモリに入力した設定値である。供給水W1のシリカ濃度は、事前に供給水W1を水質分析することにより得ることができる。なお、供給水ラインL1において、不図示の水質センサにより供給水W1のシリカ濃度を計測してもよい。
ステップST203において、制御部30は、第1温度センサTE1から供給水W1の検出温度値Tを取得する。
ステップST204において、制御部30は、取得した検出温度値Tに基づいて、水に対するシリカ溶解度Ssを決定する。
ステップST205において、制御部30は、前のステップで取得又は決定したシリカ濃度Cs、及びシリカ溶解度Ssに基づいて、濃縮水W3におけるシリカの許容濃縮倍率Nsを演算する。シリカの許容濃縮倍率Nsは、下記の式(3)により求めることができる。
Ns=Ss/Cs (3)
ステップST206において、制御部30は、前のステップで取得又は演算した目標流量値Qp´、及び許容濃縮倍率Nsに基づいて、回収率が最大となる排水流量(目標排水流量Qd´)を演算する。目標排水流量Qd´は、下記の式(4)により求めることができる。
Qd´=Qp´/(Ns−1) (4)
ステップST207において、制御部30は、濃縮水W3の実際排水流量QdがステップST206で演算した目標排水流量Qd´となるように第1排水弁V32〜第3排水弁V34の開放数を制御する。これにより本フローチャートの処理は終了する(ステップST201へリターンする)。第1実施形態に係る純水製造装置1において、制御部30は、温度フィードフォワード回収率制御を実行する。このため、純水製造装置1においては、透過水W2の回収率を最大としつつ、RO膜モジュール7におけるシリカ系スケールの析出をより確実に抑制することができる。
次に、検出シリカ濃度値Cpが閾値Coを上回る場合において、制御部30による回収率を下げる制御(補助回収率制御)について説明する。図7は、制御部30において補助回収率制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。図7に示すフローチャートの処理は、前述した流量フィードバック水量制御及び温度フィードフォワード回収率制御に割り込む形で緊急避難的に実行される。
図7に示すステップST301において、制御部30は、流量フィードバック水量制御(図5参照)及び温度フィードフォワード回収率制御(図6参照)を実行する。
流量フィードバック水量制御及び温度フィードフォワード回収率制御の実行中であるステップST302において、制御部30は、シリカ濃度センサSS1から検出シリカ濃度値Cpを取得する。
ステップST303において、制御部30は、取得した検出シリカ濃度値Cpが所定閾値Coを上回るか否かを判定する。検出シリカ濃度値Cpが所定閾値Coを上回ると判定された場合(YES)には、処理は、ステップST304に移行する。検出シリカ濃度値Cpが所定閾値Coを下回ると判定された場合(NO)には、処理は、ステップST301へ戻り、流量フィードバック水量制御及び温度フィードフォワード回収率制御を継続する。
ステップST304において、制御部30は、第1工程を実行する。制御部30は、第1工程において、所定水量の透過水W2を確保した上で、透過水W2のシリカ濃度を要求された水質レベルに維持するために、透過水W2の流量を一定に維持した状態で濃縮水W3の排出流量を増加させる。具体的には、制御部30は、透過水W2の目標流量を一定に維持するように加圧ポンプ5の回転速度を制御すると共に、濃縮水W3の流量を増加させるように第1排水弁V32〜第3排水弁V34を制御して、回収率を下げる。つまり、制御部30は、目標流量値Qp´での流量フィードバック水量制御を継続しつつ、濃縮水W3の流量を温度フィードフォワード回収率制御での調整流量よりも増加させる。第1工程が実行される結果、RO膜モジュール7の酸化劣化や供給水の水質変動が生じた場合において、透過水W2の流量を確保しつつ、透過水W2のシリカ濃度を要求された水質レベルに維持することができる。
ここで、制御部30は、第1工程において、例えば、回収率を、所定割合まで一度に下げてもよいし、段階的に下げてもよい。具体的には、回収率を所定割合まで一度に下げる場合には、制御部30は、回収率を、例えば、80%から65%に下げることができる。また、例えば、回収率を段階的に下げる場合には、制御部30は、例えば、所定時間毎にシリカ濃度を監視しながら、5%ずつ段階的に回収率を下げることができる。
第1工程の実行中であるステップST305において、制御部30は、シリカ濃度センサSS1から検出シリカ濃度値Cpを取得する。
ステップST306において、制御部30は、取得した検出シリカ濃度値Cpが所定閾値Coを上回るか否かを判定する。検出シリカ濃度値Cpが所定閾値Coを上回ると判定された場合(YES)には、処理は、ステップST307に移行する。検出シリカ濃度値Cpが所定閾値Coを下回ると判定された場合(NO)には、処理は、ステップST304へ戻り、第1工程を継続する。
ステップST307において、制御部30は、第2工程を実行する。制御部30は、第2工程において、透過水W2のシリカ濃度を要求された水質レベルに維持するために、所定水量の透過水W2を確保することを断念し、濃縮水W3の排出流量を一定に維持した状態で透過水W2の流量を減少させる。具体的には、制御部30は、濃縮水W3の排水流量を一定に維持するように第1排水弁V32〜第3排水弁V34を制御すると共に、透過水W2の目標流量を減少させるように加圧ポンプ5の回転速度を制御して、回収率を下げる。つまり、制御部30は、濃縮水W3の排水流量を第1工程での調整流量に維持しつつ、透過水W2の目標流量値Qp´を下げた状態で流量フィードバック水量制御を実行する。第2工程が実行される結果、RO膜モジュール7の酸化劣化や供給水の水質変動が生じた場合において、透過水W2の流量を減少させることにより、透過水W2のシリカ濃度を要求された水質レベルに維持することができる。
ここで、制御部30は、第2工程において、第1工程と同様に、例えば、回収率を、所定割合まで一度に下げてもよいし、段階的に下げてもよい。具体的には、回収率を所定割合まで一度に下げる場合には、制御部30は、回収率を、例えば、65%から50%に下げることができる。また、例えば、回収率を段階的に下げる場合には、制御部30は、例えば、所定時間毎にシリカ濃度を監視しながら、5%ずつ段階的に回収率を下げることができる。
第2工程の実行中であるステップST308において、制御部30は、第2工程の実行後において、シリカ濃度センサSS1から検出シリカ濃度値Cpを取得する。
ステップST309において、制御部30は、取得した検出シリカ濃度値Cpが所定閾値Coを上回るか否かを判定する。検出シリカ濃度値Cpが所定閾値Coを上回ると判定された場合(YES)には、処理は、ステップST310又はステップST311に移行する。この移行の選択は、制御部30のメモリに入力された設定情報に基づいて決定され、設定情報が「給水優先」である場合には、ステップST310に移行し、設定情報が「水質優先」である場合には、ステップST311に移行する。検出シリカ濃度値Cpが所定閾値Coを下回ると判定された場合(NO)には、処理は、ステップST307へ戻り、第2工程を継続する。
ステップST310において、制御部30は、第3工程を実行する。制御部30は、第3工程において、報知手段としての主表示部60により警報を報知させると共に、加圧ポンプ5の駆動を継続させる。つまり、第3工程では、水質レベルの不調を報知した上で、透過水W2の製造を継続させる「給水優先」制御が行われる。警報の報知後、本フローチャートの処理は終了する。
ステップST311において、制御部30は、第4工程を実行する。制御部30は、第4工程において、報知手段としての主表示部60により警報を報知させると共に、加圧ポンプ5の駆動を停止させる。つまり、第4工程では、水質レベルの不調を報知した上で、透過水W2の製造を直ちに終了させる「水質優先」制御が行われる。警報の報知及び加圧ポンプ5の駆動停止後、本フローチャートの処理は終了する。
なお、第1工程〜第4工程の実行中においては、入力操作部40の停止ボタンを押下すると、第1工程〜第4工程の動作が中断される。そして、RO膜モジュール7の交換や原水水質のチェック後に、制御部30を再起動することにより、定常時の流量フィードバック水量制御及び温度フィードフォワード回収率制御に復帰させることができる。
上述した第1実施形態に係る純水製造装置1によれば、例えば、以下のような効果が奏される。
第1実施形態に係る純水製造装置1において、供給水W1を透過水W2と濃縮水W3とに分離するRO膜モジュール7と、供給水W1をRO膜モジュール7に向けて吐出する加圧ポンプ5と、RO膜モジュール7により分離された透過水W2のシリカ濃度を検出シリカ濃度値Cpとして検出するシリカ濃度センサSS1と、検出シリカ濃度値Cpが所定の閾値Coを上回る場合に、RO膜モジュール7へ供給される供給水W1の流量に対する透過水W2の流量の比率である回収率を下げるように、濃縮水W3の流量を増加させる第1工程を実行する制御部30と、を備える。そのため、RO膜モジュール7の酸化劣化や供給水の水質変動が生じた場合に、回収率を下げるように濃縮水W3の流量を増加させることで、処理水である透過水W2の流量を確保しつつ、透過水W2のシリカ濃度を要求された水質レベルに維持することができる。
また、本実施形態においては、制御部30は、第1工程の実行中に、検出シリカ濃度値Cpが所定の閾値Coを上回る場合に、回収率を下げるように、透過水W2の流量を減少させる第2工程を実行する。これにより、第1工程を実行しても透過水W2のシリカ濃度を要求された水質レベルに維持できない場合において、更に回収率を下げるように透過水W2の流量を減少させることにより、透過水W2のシリカ濃度を要求された水質レベルに維持することができる。
また、本実施形態においては、制御部30は、第2工程の実行中に、検出シリカ濃度値Cpが所定の閾値Coを上回る場合に、主表示部60により警報を表示により報知させると共に、加圧ポンプ5の駆動を継続させる第3工程を実行する。そのため、処理水の品質を最大限に高めつつ、後段機器や需要箇所への処理水の送水を持続することができる。
また、本実施形態においては、制御部30は、第2工程の実行中に、検出シリカ濃度値が所定の閾値Coを上回る場合に、主表示部60により警報を表示により報知させると共に、加圧ポンプ5の駆動を停止させる第4工程を実行する。そのため、品質の悪い処理水が後段機器や需要箇所に送水されてしまうのを防止することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る純水製造装置1Aについて、図8及び図9A〜図9Cを参照しながら説明する。図8は、第2実施形態に係る純水製造装置1Aの全体概略図である。図9Aは、第2実施形態に係る純水製造装置1Aの全体構成図の前段部分である。図9Bは、第2実施形態に係る純水製造装置1Aの全体構成図の中段部分である。図9Cは、第2実施形態に係る純水製造装置1Aの全体構成図の後段部分である。
第2実施形態では、主に第1実施形態との相違点について説明する。このため、第1実施形態と同一(又は同等)の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第2実施形態において特に説明しない点については、第1実施形態の説明が適宜に適用される。
第2実施形態に係る純水製造装置1Aは、第1実施形態に係る純水製造装置1がRO膜モジュール7の下流側に脱炭酸装置15を備えているのに対して、脱炭酸装置15の下流側に、更に脱イオン部としての電気脱イオンスタック(以下、「EDIスタック」ともいう)16を備えている点、及びこれらの周辺の構成において、第1実施形態に係る純水製造装置1と主に異なる。
図8に示すように、第2実施形態に係る純水製造装置1Aは、第1オプション機器OP1と、プレフィルタ4と、第2オプション機器OP2と、加圧ポンプ5と、インバータ6と、RO膜モジュール7と、脱炭酸装置15と、第1流路切換弁V71と、EDIスタック16と、第2流路切換弁V72と、比例制御弁V35と、第3オプション機器OP3と、制御部30Aと、入力操作部40と、直流電源装置50と、主表示部60と、を備える。
図9Aに示すように、第2実施形態に係る純水製造装置1Aは、第2供給水ラインL12の接続部J5に、第2オプション機器OP2が接続され、軟水供給ラインL24は接続されていない。第2実施形態に係る純水製造装置1Aにおいて、脱炭酸装置15の封水タンクには、EDIスタック16(濃縮室162)から排出された濃縮水W7が供給され、封水W8として利用される。
本実施形態の透過水ラインL21は、図9B及び図9Cに示すように、前段側透過水ラインL211と、中段側透過水ラインL212と、脱塩室流入ラインL213と、濃縮室流入ラインL214と、を有する。
本実施形態において、前段側透過水ラインL211の下流側の端部は、図9Cに示すように、第1流路切換弁V71を介して、中段側透過水ラインL212及びRO透過水リターンラインL41に接続されている。
図9Bに示すように、第2実施形態に係る純水製造装置1Aは、第2供給水ラインL12において、供給水補給弁V31と接続部J51との間に接続部J59が設けられている。接続部J59には、後述する脱塩水リターンラインL42の下流側の端部が接続されている。
図9Cに示すように、本実施形態の第1流路切換弁V71は、RO膜モジュール7で分離された透過水W2を、中段側透過水ラインL212を介してEDIスタック16へ向けて流通させる流路(採水側流路)、又は、RO透過水リターンラインL41を介してRO膜モジュール7の上流側の供給水ラインL1へ向けて流通させる流路(循環側流路)に切り換え可能な弁である。
本実施形態において、中段側透過水ラインL212の下流側の端部は、分岐部J71において、脱塩室流入ラインL213の上流側の端部及び濃縮室流入ラインL214の上流側の端部に接続されている。
中段側透過水ラインL212の上流側の端部は、第1流路切換弁V71に接続されている。中段側透過水ラインL212の下流側の端部は、分岐部J71において、脱塩室流入ラインL213の上流側の端部及び濃縮室流入ラインL214の上流側の端部に接続されている。
脱塩室流入ラインL213の下流側の端部は、EDIスタック16の一次側ポート(脱塩室161の入口側)に接続されている。脱塩室流入ラインL213には、接続部J33が配置されている。濃縮室流入ラインL214の下流側の端部は、EDIスタック16の一次側ポート(濃縮室162の各入口側)に接続されている。濃縮室流入ラインL214には、接続部J34が配置されている。
EDIスタック16は、RO膜モジュール7で供給水W1から分離された透過水W2を脱塩処理(脱イオン処理)して、脱イオン水としての脱塩水W6と濃縮水W7(第2濃縮水)とを得る水処理機器である。EDIスタック16は、直流電源装置50(図8参照)と電気的に接続されている。EDIスタック16には、直流電源装置50から直流電圧が印加される。EDIスタック16は、直流電源装置50から印加された直流電圧により通電され、動作する。
直流電源装置50は、直流電圧をEDIスタック16の一対の電極間に印加する。直流電源装置50は、制御部30Aと電気的に接続されている。直流電源装置50は、制御部30Aにより入力された電圧指定信号(又は、電流指定信号)に応答して、直流電圧をEDIスタック16に印加する。
EDIスタック16は、一対の電極間に、陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜(不図示)が交互に配置される。EDIスタック16の内部は、これらイオン交換膜により、脱塩室161及び濃縮室162(陽極室及び陰極室を含む)に区画される。脱塩室161には、イオン交換体(不図示)が充填される。脱塩室161に充填されるイオン交換体としては、例えば、イオン交換樹脂又はイオン交換繊維等が用いられる。なお、図9Cでは、EDIスタック16の内部に区画された複数の脱塩室161及び濃縮室162を模式的に示す。
脱塩室161の入口側には、透過水W2を流入させる脱塩室流入ラインL213が接続されている。脱塩室161の出口側には、脱塩室161においてイオンが除去されて排出された脱塩水W6を流通させる脱塩水ラインL3が接続されている。濃縮室162の入口側には、透過水W2を流入させる濃縮室流入ラインL214が接続されている。濃縮室162の出口側には、イオンが濃縮されて排出された濃縮水W7を流通させるEDI濃縮水ラインL52が接続されている。
脱塩室161及び濃縮室162それぞれには、透過水ラインL21を流通する透過水W2が流入される。透過水W2に含まれる残留イオンは、脱塩室161内に充填されたイオン交換体(不図示)により捕捉され、脱塩水W6となる。脱塩水W6は、脱塩水ラインL3(後述)を介して需要箇所へ送出される。また、脱塩室161内のイオン交換体に捕捉された残留イオンは、印加された直流電圧の電気エネルギーにより濃縮室162に移動する。そして、残留イオンを含む水は、濃縮水W7として、濃縮室162からEDI濃縮水ラインL52(後述)を介して脱炭酸装置15に向けて送出される。脱炭酸装置15に送出された濃縮水W7は、封水W8として利用され、その後、封水排出ラインL71を介して装置の外に排出される。
脱塩水ラインL3は、EDIスタック16で得られた脱塩水W6を純水として需要箇所に向けて送出するラインである。脱塩水ラインL3は、上流側脱塩水ラインL31と、下流側脱塩水ラインL32と、を有する。
上流側脱塩水ラインL31の上流側の端部は、EDIスタック16の二次側ポート(脱塩室161の出口側)に接続されている。上流側脱塩水ラインL31の下流側の端部は、第2流路切換弁V72を介して、下流側脱塩水ラインL32及び脱塩水リターンラインL42に接続されている。上流側脱塩水ラインL31には、上流側から順に、接続部J36、接続部J37、接続部J38、第7開閉弁V17、及び第2流路切換弁V72が設けられている。第7開閉弁V17は、上流側脱塩水ラインL31の開閉を操作可能な手動弁である。
第2流路切換弁V72は、EDIスタック16の脱塩室161で得られた脱塩水W6を、下流側脱塩水ラインL32を介して需要箇所に向けて送出させる流路(採水側流路)、又は、脱塩水リターンラインL42を介してRO膜モジュール7の上流側の供給水ラインL1に向けて流通させる流路(循環側流路)に切り換え可能な自動弁である。第2流路切換弁V72は、例えば、電動式又は電磁式の三方弁により構成される。第2流路切換弁V72は、制御部30Aと電気的に接続されている。第2流路切換弁V72における流路の切り換えは、制御部30Aから送信される流路切換信号により制御される。
第2流路切換弁V72は、制御部30により採水側流路に切り換えられることにより、EDIスタック16で得られた脱塩水W6を脱塩水ラインL3から需要箇所に供給するように送り出す処理を実行可能な送出手段として機能する。
下流側脱塩水ラインL32の上流側の端部は、第2流路切換弁V72に接続されている。下流側脱塩水ラインL32の下流側の端部は、需要箇所の装置等(不図示)に接続されている。
脱塩水リターンラインL42は、EDIスタック16の脱塩室161で得られた脱塩水W6を、脱塩水ラインL3の途中から、RO膜モジュール7の上流側へ返送するラインである。本実施形態において、脱塩水リターンラインL42の上流側の端部は、第2流路切換弁V72に接続されている。脱塩水リターンラインL42の下流側の端部は、接続部J59に接続されている。脱塩水リターンラインL42は、EDIスタック16の脱塩室161で得られた脱塩水W6をRO膜モジュール7の上流側(供給水ラインL1)へ返送するラインである。脱塩水リターンラインL42の上流側には、第5逆止弁V65が設けられている。
EDI濃縮水ラインL52は、EDIスタック16の濃縮室162から排出された濃縮水W7を、脱炭酸装置15に送出するラインである。EDI濃縮水ラインL52の上流側の端部は、EDIスタック16の二次側ポート(濃縮室162の出口側)に接続されている。EDI濃縮水ラインL52の下流側の端部は、脱炭酸装置15に接続されている。
EDI濃縮水ラインL52には、比例制御弁V35が設けられている。比例制御弁V35は、EDI濃縮水ラインL52から排出される濃縮水W7の排水流量を調節する弁である。比例制御弁V35は、制御部30Aと電気的に接続されている。比例制御弁V35の弁開度は、制御部30Aから送信される駆動信号により制御される。制御部30Aから駆動信号として電流値信号(例えば、4〜20mA)を比例制御弁V35に送信して、弁開度を制御することにより、濃縮水W7の排水流量を調節することができる。この調節により、脱塩水W6の回収率を予め設定された値に保つことができる。なお、脱塩水W6の回収率とは、EDIスタック16に供給される透過水W2の流量に対する脱塩水W6の割合(%)をいう。
本実施形態に係る純水製造装置1Aは、第1圧力計P1〜第4圧力計P4に加えて、第5圧力計P5及び第6圧力計P6を有する。図9Cに示すように、第5圧力計P5は、接続部J35において、EDI濃縮水ラインL52に接続されている。第6圧力計P6は、接続部J36において、脱塩水ラインL3に接続されている。
本実施形態に係る純水製造装置1Aは、第1圧力センサPS1及び第2圧力センサPS2に加えて、第3圧力センサPS3及び第4圧力センサPS4を有する。第3圧力センサPS3は、接続部J33において、脱塩室流入ラインL213に接続されている。接続部J33は、脱塩室流入ラインL213の途中に配置されている。第4圧力センサPS4は、接続部J34において、濃縮室流入ラインL214に接続されている。接続部J34は、濃縮室流入ラインL214の途中に配置されている。
本実施形態に係る純水製造装置1Aは、第2比抵抗センサRS2に加えて、第1比抵抗センサRS1を備える。第1比抵抗センサRS1は、接続部J37において、脱塩水ラインL3に接続されている。接続部J37は、脱塩水ラインL3におけるEDIスタック16と第2流路切換弁V72との間に配置されている。第1比抵抗センサRS1は、第2比抵抗センサRS2と同様に、測定された比抵抗値の温度補償のため、温度センサを内蔵している。そのため、第2比抵抗センサRS2は、脱塩水W6の水温を測定することができる。
第1比抵抗センサRS1は、第2比抵抗センサRS2と同様に、制御部30Aと電気的に接続されている。第1比抵抗センサRS1で測定された脱塩水W6の比抵抗(及び温度)は、制御部30Aへ検出信号として送信される。
本実施形態に係る純水製造装置1Aは、第1流量センサFM1に加えて、第2流量センサFM2を有する。第2流量センサFM2は、接続部J38において、脱塩水ラインL3に接続されている。接続部J38は、脱塩水ラインL3におけるEDIスタック16と接続部J24(後述)との間に配置されている。
制御部30Aは、第1実施形態と同様の流量フィードバック定流量制御及び温度フィードフォワード回収率制御を実行する。また、制御部30Aは、第1実施形態と同様の第1工程〜第4工程を実行する。
また、制御部30Aは、前記第1実施形態における第3工程の実行中に、第5工程を実行する。第5工程は、脱塩水W6の流量を減少させると共に第2濃縮水W7の流量を増加させる工程である。
前述の第3工程では、透過水W2のシリカ濃度が要求された水質レベルを満足しない状態でありながら、給水を優先させている。そのため、このシリカ濃度の高い透過水W2をEDIスタック16に供給すると、濃縮室162等でスケールトラブルが発生するおそれがある。そこで、第5工程においては、制御部30は、脱塩水W6の流量を減少させると共に第2濃縮水W7の流量を増加させるように、比例制御弁V35の弁開度を制御する。透過水W2の流量は、流量フィードバック水量制御により一定に保たれているため、比例制御弁V35の弁開度を上げていくと、第2濃縮水W7の流量が増加する一方で、脱塩水W6の流量が減少する。
第5工程は、第1実施形態における図7に示すフローチャートにおいて、ステップST310の第3工程と並行して実行される工程である。第2実施形態においては、第5工程が追加で実行される以外は、第1実施形態と同様の制御が実行されるため、第1実施形態の制御の説明を援用して、その説明を省略する。
第5工程が実施される結果、第2濃縮水W7の濃縮倍率が下がると共に脱塩水W6の脱塩率が向上することになり、スケールトラブルを防止しつつ、シリカ濃度の低減された脱塩水W6を得ることが可能になる。なお、脱塩水W6の水質レベルを更に向上させるため、比例制御弁V35の弁開度に対応して、EDIスタック16に印加する直流電圧を調整することも好適である。
上述した第2実施形態の純水製造装置1Aにおいても、第1実施形態の純水製造装置1と同じ効果を得ることができる。すなわち、RO膜モジュール7の酸化劣化や供給水の水質変動が生じた場合に、透過水W2のシリカ濃度を要求された水質レベルに維持することができる。
また、本実施形態においては、制御部30Aは、第3工程の実行中に、脱塩水W6の流量を減少させると共に第2濃縮水W7の流量を増加させる第5工程を実行する。そのため、EDIスタック16でのスケールトラブルを防止しつつ、シリカ濃度の低減された脱塩水W6を得ることができる。従って、要求された水質レベルを満足する処理水の需要箇所への送水を持続することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
上記実施形態においては、加圧ポンプ5の駆動周波数を、速度形PIDアルゴリズムにより演算する例について説明した。これに限らず、これら加圧ポンプの駆動周波数を位置形PIDアルゴリズムにより演算してもよい。また、PIDアルゴリズムに限らず、Pアルゴリズム又はPIアルゴリズム等により駆動周波数を演算してもよい。
上記実施形態においては、制御部30,30Aからインバータ6への周波数指定信号として電流値信号を出力する例について説明した。これに限らず、制御部30,30Aからこれらインバータ6への周波数指定信号として電圧値信号(例えば、0〜10V)を出力するように構成してもよい。
上記実施形態においては、原水W11中に含まれる硬度成分を除去した軟水W12を供給水W1とする例について説明した。これに限らず、原水W11を除鉄除マンガン装置、砂濾過装置、精密濾過膜装置、限外濾過膜装置等により前処理した水を供給水W1としてもよい。なお、原水W11としては、例えば、地下水や水道水等を用いることができる。
また、上記実施形態では、第1排水弁V32〜第3排水弁V34の開放数を選択することにより、濃縮水W3の排水流量を段階的に調節する例について説明した。これに限らず、例えば、RO濃縮水排出ラインL61を分岐させずに、当該RO濃縮水排出ラインL61に比例制御弁を設けた構成としてもよい。この場合、制御部(30,30A)から電流値信号を比例制御弁に送信して弁開度を制御することにより、濃縮水W3の排水流量を調節することができる。